K 6927-1 : 1997 (ISO 4894-1 : 1990)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
今回の制定は,国際規格に整合させるために,ISO 4894-1 : 1990を基礎として用いた。
JIS K 6927 : 1997は,一般名称を“プラスチック−スチレン/アクリロニトリル (SAN) 成形用及び押出
用材料”として,次の各部によって構成する。
第1部:呼び方
(Part 1 : Designation)
第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
(Part 2 : Preparation of test specimens and determination of properties)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6927-1 : 1997
(ISO 4894-1 : 1990)
プラスチック−スチレン/アクリロニトリル
(SAN) 成形用及び押出用材料−
第1部:呼び方
Plastics−Styrene/acrylonitrile (SAN) moulding and extrusion materials−
Part 1 : Designation
序文 この規格は,1990年に第2版として発行されたISO 4894-1 : 1990, Plastics−Styrene/acrylonitrile (SAN)
moulding and extrusion materials−Part 1 : Designationを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲
1.1
この規格は,熱可塑性材料スチレン/アクリロニトリル (SAN) の呼び方について規定する。この呼
び方は,仕様の基礎として用いることができる。
1.2
スチレン/アクリロニトリル樹脂を,次の性質の適切なレベル並びに組成,用途,加工方法,重要
な性質,添加剤,着色剤に関する情報に基づいて区分する。
a) ビカット軟化温度
b) メルトマスフローレイト (MFR)
1.3
この規格は,スチレン及び/又は置換スチレンと,10% (m/m) から50% (m/m) のアクリロニトリル
からなるコポリマーに適用する。
この規格は,着色剤,添加剤,充てん材などを加えたもので,粉状,か粒状又はペレット状の,通常使
用される材料に適用する。
1.4
この規格の呼び方では,同じ呼び方の材料が必ずしも同一の性能を示すとは限らない。この規格は,
特定用途の材料又は加工方法を特定するのに必要なエンジニアリングデータ,性能データ又は加工条件に
関するデータを提供するものではない。
このような追加データが必要な場合は,この規格の第2部に規定した試験方法が適用できれば,それに
よって測定する。
1.5
特定の用途向けに熱可塑性材料を規定するため,追加要求事項をデータブロック5に入れてもよい
(3.の最初の段落参照)。
2
K 6927-1 : 1997 (ISO 4894-1 : 1990)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,その年の版だけがこの規
格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適しない。
JIS K 6899 : 1992 プラスチック−記号−第1部:基本重合体(ポリマー)及びそれらの特性
備考 ISO 1043-1 : 1987, Plastics−Symbols−Part 1 : Basic polymers and their special characteristicsが,
この規格と一致している。
JIS K 6899-2 : 1996 プラスチック−記号−第2部:充てん材及び強化材
備考 ISO 1043-2 : 1988, Plastics−Symbols−Part 2 : Fillers and reinforcing materialsが,この規格と同
等である。
JIS K 6927-2 : 1997 プラスチック−スチレン/アクリロニトリル (SAN) 成形用及び押出用材料−第2
部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
備考 ISO 4894-2 : 1995, Plastics−Styrene/acrylonitrile (SAN) moulding and extrusion materials−Part 2 :
Preparation of test specimens and determination of propertiesが,この規格と一致している。
ISO 306 : 1994, Plastics−Determination of Vicat softening temperature (VST)
ISO 1133 : 1991, Plastics−Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and the melt
volume-flow rate (MVR) of thermoplastics
ISO 1656 : 1988, Rubber, raw natural, and rubber latex, natural−Determination of nitrogen content
3. 呼び方のシステム
熱可塑性プラスチックの呼び方は,次の標準様式による。
呼び方
種類
ブロック
(記載任意)
識別項目ブロック
規格番号
ブロック
個別項目ブロック
データ
ブロック
1
データ
ブロック
2
データ
ブロック
3
データ
ブロック
4
データ
ブロック
5
この呼び方は,記載任意の種類ブロック(熱可塑性プラスチックと記す。)及び識別項目ブロックによっ
て構成し,さらに,識別項目ブロックは,規格番号ブロック及び個別項目ブロックによって構成する。
規格番号ブロックには,この規格の番号“JIS K 6927-1”及び括弧内に入れた国際規格番号“ (ISO
4894-1) ”の両者を記す。
あいまいな表示を避けるため,個別項目ブロックを,更に次の四つのデータブロックに細分する。
データブロック1: JIS K 6899に規定する記号SANで,スチレン/アクリロニトリルコポリマーを
識別,及びコポリマーの組成に関する情報を表示(3.1参照)
データブロック2: 位置1:用途又は加工方法(3.2参照)
位置2〜4:重要な性質,添加剤及びその他補足情報(3.2参照)
データブロック3: 区分用の性質(3.3参照)
データブロック4: 充てん材又は強化材,及びそれらの公称含有率(3.4参照)
仕様書を作成するために5番目のデータブロックを追加して,追加情報を加えてもよい。この情報の種
類及び使用するコードは,この規格では規定しない。
個別項目ブロックの最初の文字は,ハイフンとする。それぞれのデータブロックは,互いにコンマで区
切る。
3
K 6927-1 : 1997 (ISO 4894-1 : 1990)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
使わないデータブロックがある場合は,そのデータブロックを二つ続きの分離記号,すなわち,二つの
コンマ“,,”によって示す。
3.1
データブロック1 このデータブロックでは,ハイフンの後に,スチレン/アクリロニトリルコポリ
マーをJIS K 6899による記号 (SAN) を記して識別する。その記号の後の空白の後に,アクリロニトリル
(AN) の含有率を,表1に示すコードを付けて示す。
AN含有率は,ISO 1656で規定するKjeldahl法によるか,熱分解/熱伝導率法によるか,いずれかの方
法で測定する。
表1 データブロック1に使用するアクリロニトリル含有率のコード
コード
AN含有率の範囲
% (m/m)
1
10<〜≦20
2
20<〜≦30
3
30<〜≦50
3.2
データブロック2 このデータブロックでは,位置1に用途及び/又は加工方法についての情報を,
位置2〜4に重要な性質,添加剤及び着色剤についての情報を,表2に示すコード(文字)を用いて表示す
る。位置2〜4の情報があって,位置1の情報がない場合には,位置1にコード“X”を挿入する。
表2 データブロック2に使用するコード
コード
位置 1
位置2〜4
C
着色品
E
パイプ,異形,シート押出用
F
特殊燃焼特性処方
G
一般用
L
耐光又は耐候処方
M
射出成形用
N
自然色(非着色品)
R
離型剤処方
S
滑剤処方
T
透明
X
表示なし
Z
帯電防止処方
3.3
データブロック3 このデータブロックでは,ビカット軟化温度を3けたのコード(番号)で表し
(3.3.1参照),MFRを2けたのコード(番号)で表す(3.3.2参照)。ビカット軟化温度とMFRのコードの
間にはハイフンを入れる。
ビカット軟化温度及びMFRの値が範囲の境界上にあるか,又はそれに近い場合,製造業者はその材料
がどちらの範囲に入るかを決める。その後,その材料の試験値が仮にその範囲から外れても製造許容範囲
にあるならば,そのコードを変える必要はない。
備考1. ビカット軟化温度及びMFRのコードのすべての組合せのポリマーが,現在入手できるとは
限らない。
3.3.1
ビカット軟化温度 ビカット軟化温度 (VST) は,ISO 306のB法に従って,試験荷重50N±1N,
昇温速度50℃/h±5℃/hの条件で測定する。
表3のとおり,ビカット軟化温度の値を,四つの範囲に分割し,それぞれ3けたのコード(番号)で表
示する。
4
K 6927-1 : 1997 (ISO 4894-1 : 1990)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3 データブロック3のビカット軟化温度に使用するコード
コード
ビカット軟化温度の範囲
℃
085
≦90
095
90<〜 ≦100
105
100<〜 ≦110
115
110<
3.3.2
メルトマスフローレイト (MFR) MFRは,ISO 1133に従って,試験温度220℃,試験荷重98.07N
の条件で測定する。表4のとおり,MFRの値を,四つの範囲に分割し,それぞれ2けたのコードで表示す
る。
3.4
データブロック4 このデータブロックでは,位置1に充てん材又は強化材の種類を1けたのコード
(文字)で表示し,位置2にその物理的形状を,2番目のコード(文字)で表示する(表5及びISO 1043-2
参照)。このコードに続いて(空白なしで),その含有率% (m/m) を,位置3と4に2けたの数字で表示す
る。
数種の物質又は異なる形状の混合物を表す場合,“+”の記号を使ってコードをつないで,その全体を括
弧でくくる。例えば,25% (m/m) のガラス繊維 (GF) と10% (m/m) の鉱物粉末 (MD) の混合物は (GF25
+MD10) と表示する。
表4 データブロック3のMFRに使用するコード
コード
MFRの範囲
g/10 min
04
≦5
08
5< 〜 ≦10
15
10< 〜 ≦20
25
20<
表5 データブロック4で使用する充てん材及び強化材のコード
コード
物質(位置1)
形状(位置2)
B
ボロン
ボール,ビーズ,スフェア
C
カーボン
D
粉末,ドライブレンド
F
繊維
G
ガラス
か粒,粉砕品(繊維状粉砕
品も含む。)
H
ウィスカ
K
炭酸カルシウム (CaCO3)
M
鉱物1),金属2)
S
りん片,フレーク
T
タルク
X
指定なし
指定なし
Z
その他1)
その他
1)
これらの物質は,例えば,化学記号又は同意された別のコード
で,データブロックの位置4の後に二つの文字で詳しく表示し
てもよい。
2)
金属充てん材は,含有率の後に化学記号(大文字)によって詳
しく表示する。例えば,スチールウィスカは,“MH05FE”と表
示してもよい。
5
K 6927-1 : 1997 (ISO 4894-1 : 1990)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4. 呼び方の例 射出成形用 (M) で,耐光又は耐候処方 (L) 処理を行い,自然色(非着色品)(N) で,
ビカット軟化温度101℃ (105),MFR6g/10min (08),アクリロニトリル含有率25% (m/m)(2)である熱可塑性
プラスチック材料,スチレン/アクリロニトリル (SAN) は,次のように表示する。
JIS K 6927-1, -2 (SAN) 原案作成委員会 構成表
本委員会
分科会
氏名
所属
◎
植 村 勝
工学院大学講師
○
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
○
増 田 優
通商産業省基礎産業局
○
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
○
塚 野 隆
財団法人高分子素材センター
○
本 橋 健 司
建設省建築研究所
○
吉 川 高 雄
財団法人鉄道総合技術研究所
○
高 杉 和 徳
株式会社東芝映像メディア事業本部
○
狩 野 佐登視
富士重工業株式会社スバル開発本部
○
西 山 浩
日本ポリエチレン製品工業連合会
○
伊 藤 治 之
日本ポリオレフィンフィルム工業組合
○
鈴 木 照 彦
東燃化学株式会社千鳥工場
○
久 米 和 男
出光石油化学株式会社樹脂研究所
○
石 本 亮 治
三井・デュポンポリケミカル株式会社テクニカルセンター
○
横 山 昭
三井石油化学工業株式会社環境保安品質保証部
○
○
雨 宮 英 夫
三井東圧化学株式会社樹脂事業本部
○
瀬 沼 昭 高
日本ユニカー株式会社樹脂技術研究所
○
○
佐 藤 裕 之
大日本インキ化学工業株式会社石油化学技術本部
○
岡 島 修
旭化成工業株式会社技術センター
○
服 部 靖 郎
旭化成工業株式会社樹脂技術センター
○
石 橋 正 雄
三井東圧化学株式会社大阪工業所
○
江 沢 洋
三井東圧化学株式会社樹脂事業部
○
飯 尾 恵 司
三井東圧化学株式会社樹脂事業部
(事務局) 濱 島 俊 行
日本プラスチック工業連盟
◎は,委員長を示す。