K 6925-1 : 1997 (ISO 8986-1 : 1993)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
今回の制定は,国際規格に整合させるために,ISO 8986-1 : 1993を基礎として用いた。
JIS K 6925-1 : 1997は,一般名称を“プラスチック−ポリブテン (PB) 成形用及び押出用材料”として,
次の各部によって構成する。
第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
(Part 1 : Designation system and basis for specifications)
第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
(Part 2 : Preparation of test specimens and determination of properties)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6925-1 : 1997
(ISO 8986-1 : 1993)
プラスチック−ポリブテン (PB)
成形用及び押出用材料−
第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
Plastics−Polybutene (PB) moulding and extrusion materials−
Part 1 : Designation system and basis for specifications
序文 この規格は,1993年に第1版として発行されたISO 8986-1, Plastics−Polybutene (PB) moulding and
extrusion materials−Part 1 : Designation system and basis for specificationsを翻訳し,技術的内容及び規格票の
様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲
1.1
この規格は,熱可塑性材料ポリブテン (PB) の呼び方について規定する。この呼び方は,仕様の基
礎として用いることができる。
1.2
ポリブテン樹脂を,次の性質及びポリマーの基本パラメータの適切なレベル並びに用途及び/又は
加工方法,重要な性質,添加剤,着色剤,充てん材及び強化材に関する情報に基づいて区分する。
a) 密度
b) メルトマスフローレイト
1.3
この規格は,すべてのブテンホモポリマーに適用する。さらに,他の1−オレフィンモノマーが50%
(m/m) 未満の共重合体や,官能基をもつ最大1% (m/m) の非オレフィンモノマーを含むコポリマーに適用
する。
この規格は,着色剤,添加剤,充てん材などを加えた材料又は加えない材料で,粉状,か粒状又はペレ
ット状の,通常使用されるものに適用する。
1.4
この規格の呼び方では,同じ呼び方の材料が,必ずしも同一の性能を示すとは限らない。この規格
は,特定用途及び/又は加工方法のための材料を特定するときに必要なエンジニアリングデータ,性能デ
ータ又は加工条件に関するデータを提供するものではない。
このような追加データが必要な場合は,この規格の第2部に規定した試験方法が適用できれば,それに
よって測定する。
1.5
特定の用途向けに熱可塑性材料を規定するため,又は再現性のある成形加工を確実にするために,
追加要求事項をデータブロック5に入れてもよい(3.の最初の段落参照)。
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2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,その年の版だけがこの規
格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。
JIS K 6899 : 1992 プラスチック−記号−第1部:基本重合体(ポリマー)及びそれらの特性
備考 ISO 1043-1 : 1987, Plastics−Symbols−Part 1 : Basic polymers and their special characteristicsが,
この規格と一致している。
JIS K 6899-2 : 1996 プラスチック−記号−第2部:充てん材及び強化材
備考 ISO 1043-2 : 1988, Plastics−Symbols and codes−Part 2 : Fillers and reinforcing materialsが,この
規格と同等である。
JIS K 6925-2 : 1997 プラスチック−ポリブテン (PB) 成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り
方及び諸性質の求め方
備考 ISO 8986-2 : 1995, Plastics−Polybutene (PB) moulding and extrusion materials−Part 2 :
Preparation of test specimens and determination of propertiesが,この規格と一致している。
ISO 1133 : 1991, Plastics−Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and the melt volume-flow rate
(MVR) of thermoplastics
ISO 1183 : 1987, Plastics−Methods for determining the density and relative density of non-cellular plastics
3. 呼び方及び仕様表記のシステム
熱可塑性プラスチックの呼び方は,次の標準様式による。
呼び方
種類
ブロック
(記載任意)
識別項目ブロック
規格番号
ブロック
個別項目ブロック
データ
ブロック
1
データ
ブロック
2
データ
ブロック
3
データ
ブロック
4
データ
ブロック
5
この呼び方は,記載任意の種類ブロック(熱可塑性プラスチックと記す。)及び識別項目ブロックによっ
て構成し,さらに,識別項目ブロックは,規格番号ブロック及び個別項目ブロックによって構成する。
規格番号ブロックには,この規格の番号 “JIS K 6925-1” 及び括弧内に入れた国際規格番号 “(ISO
8986-1)” の両者を記す。
あいまいな表示を避けるため,個別項目ブロックを,更に次の五つのデータブロックに細分する。
データブロック1: JIS K 6899に規定する記号PB及び重合工程又はポリマー組成に関する情報による
プラスチックの識別(3.1参照)
データブロック2: 位置1 : 用途又は加工方法(3.2参照)
位置2〜8,重要な性質,添加剤及びその他補足情報(3.2参照)
データブロック3: 区分用の性質(3.3参照)
データブロック4: 充てん材又は強化材,及びそれらの公称含有率(3.4参照)
データブロック5: 仕様書の基礎とするために,追加情報を含む5番目のデータブロックに加えてもよ
い。
個別項目ブロックの最初の文字は,ハイフンとする。それぞれのデータブロックは,互いにコンマで区
切る。
使わないデータブロックがある場合は,そのデータブロックを二つ続きの分離記号,すなわち,二つの
3
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コンマ“,,”によって示す。
3.1
データブロック1 このデータブロックでは,ハイフンの後に,ポリブテンをJIS K 6899による記
号 (PB) を記して識別する。ポリマーについての追加情報があれば,その記号の後に更にハイフン及び表
1に示すコードを付けて識別する。
表1 データブロック1に用いる追加情報のコード
コード
定義
H
ブテンのホモポリマー
B
オレフィン基以外の官能基をもたないもう一つ(又は複数)のオレフィンモ
ノマー
50% (m/m) 未満とブテンとで共重合した熱可塑性ブテンブロックコポリマ
ー
R
オレフィン基以外の官能基をもたないもう一つ(又は複数)のオレフィンモ
ノマー
50% (m/m) 未満とブテンとで共重合した熱可塑性ブテンランダムコポリマ
ー
Q
少なくとも50% (m/m) のブテンプラスチックH(ホモポリマー),B(ブロ
ックコポリマー)及び/又はR(ランダムコポリマー)のポリマーブレンド
3.2
データブロック2 このデータブロックでは,位置1に用途及び/又は加工方法についての情報を,
位置2〜8に重要な性質,添加剤及び着色剤についての情報を,表2に示すコードを用いて表示する。位置
2〜8の情報があって,位置1の情報がない場合には,位置1にコード “X” を挿入する。
表2 データブロック2に使用するコード
コード
位置1
コード
位置2〜8
A
加工安定処方
B
ブロー成形用
B
ブロッキング防止処方
C
カレンダ加工用
C
着色品
D
粉末
E
押出成形用
E
発泡処方
F
フィルム押出用
F
特殊燃焼特性処方
G
一般用
G
ペレット,か粒
H
コーティング用
H
熱老化安定処方
K
ケーブル,ワイヤコーティング
用
K
金属不活性処方
L
モノフィラメント押出用
L
耐光又は耐候処方
M
成形用
M
造核剤処方
N
自然色(非着色品)
P
耐衝撃処方
Q
圧縮成形用
R
回転成形用
R
離型剤処方
S
焼結成形用
S
滑剤処方
T
テープ用
T
透明
X
表示なし
Y
導電処方
Z
帯電防止処方
3.3
データブロック3 このデータブロックでは,密度を2けたのコード(番号)で表し(3.3.1参照),
また,MFRをその測定条件を示す1けたのコード(文字)と値の範囲を示す3けたのコード(番号)で表
す(3.3.2参照)。密度とMFRのコードの間には,ハイフンを入れる。
密度及びMFRの値が範囲の境界上にあるか,又はそれに近い場合,製造業者はその材料がどちらの範
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囲に入るかを決める。その後,その材料の試験値が仮にその範囲から外れても製造許容範囲にあれば,そ
のコードを変える必要はない。
備考1. 密度及びメルトフローレイトのコードのすべての組合せのポリマーが,現在入手できるとは
限らない。
3.3.1
密度 密度は,ISO 1183のD法に従って,メルトインデクサーの押出物で測定する。
着色剤や充てん材を含まないサンプルを,適当な長さの,気泡を含まない,表面が滑らかなストランド
や得られる適切な条件で,ISO 1133の規定に従って190℃で標準メルトインデクサーから押し出す。スト
ランドをメルトインデクサーから切り取った後,そのストランドを冷たい金属板の上に放置する。試験に
先立ち,温度23℃±2℃,相対湿度 (50±5) %に10日保って状態調節する。
表3のとおり,密度の値を七つの範囲に分割し,それぞれ2けたのコードで表示する。
表3 データブロック3の密度に使用するコード
コード
23℃±2℃の条件下での密度の範囲
kg/m3
00
≦900
03
900<〜≦905
08
905<〜≦910
13
910<〜≦915
18
915<〜≦920
23
920<〜≦925
62
925<
3.3.2
メルトマスフローレイト (MFR) MFRは,表4で規定する試験条件で,ISO 1133に従って測定
する。
表4 MFRの測定条件
コード
測定温度℃
荷重N
D
190
21.18
F
190
98.07
条件Fは,条件Dで測定したとき,MFRが0.1g/10min未満の材料だけに使用する。
表5のとおり,MFRの値を11の範囲に分割し,それぞれ3けたのコードで表示する。使用する試験条
件を,表4で規定するように一つのコードで表示し,そのすぐ後に範囲を示すコードを続ける。
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表5 データブロック3のMFRに
使用するコード
コード
MFRの範囲
g/10min
000
≦0.10
001
0.10<〜≦0.20
003
0.20<〜≦0.40
006
0.40<〜≦0.80
012
0.80<〜≦1.5
022
1.5 <〜≦3.0
045
3.0 <〜≦6.0
090
6.0 <〜≦12.0
200
12.0<〜≦25.0
400
25.0<〜≦50.0
700
50.0<
備考2. メルトマスフローレイト (MFR) は,ISO 1872の5年見直しのときに,メルトボリュームフロ
ーレイト (MVR) に置き換えられる可能性がある。
3.4
データブロック4 このデータブロックでは,位置1に充てん材及び/又は強化材の種類を1けたの
コード(文字)で表示し,位置2にその物理的形状を,2番目のコード(文字)で表示する。それらのコ
ードは,表6に示すとおりとする。このコードに続いて(空白なしで),その含有率% (m/m) を,位置3
と4に2けたの数字で表示する。
表6 データブロック4で使用する充てん材及び強化材のコード
コード
物質(位置1)
コード
形状(位置2)
B
ボロン
B
ビーズ,スフェア,ボール
C
カーボン1)
D
粉末
F
繊維
G
ガラス
G
粉砕品(繊維状粉砕品も含む。)
H
ウィスカ
K
炭酸カルシウム
L
セルロース1)
M
鉱物1),2),金属1)
S
有機合成物1)
T
タルク
X
指定なし
X
指定なし
Z
その他1)
Z
その他1)
1)
これらの物質は,例えば,化学記号又は関連規格に規定する略号で詳しく
表示してもよい。金属 (M) の場合,含有率の後に化学記号によって金属の
種類を表示する。
2) 鉱物充てん材は,利用できる記号があるときは,例えば,“E” 及び “P” の
ようにその記号で表示したほうがよい。
数種の物質及び/又は異なる形状の混合物を表す場合,“+”の記号を使って
コードをつなぎその全体を括弧でくくる。例えば,25%ガラス繊維 (GF) と10%
鉱物粉末 (MD) の混合物は,(GF25+MD10) と表示する。
3.5
データブロック5 このデータブロックには,特定用途の材料仕様書を作成するために必要な場合,
追加事項を表示する。例えば,適切な国家規格又は一般に用いられている標準的な仕様を引用する。
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4. 呼び方の例
4.1
フィルム押出用 (F) として製造され,ブロッキング防止剤 (B) と滑材 (S) を含み,密度が907kg/m3
(08),MFR (190/21.18) (D) が1.0g/10min (012) である熱可塑性プラスチック材料,ポリブテンランダムコ
ポリマー (PB-R) は,次のように表示する。
4.2
パイプ押出用 (E) で,耐候安定剤 (L) を含み,密度が919kg/m3 (18),MFR (M190/21.18) (D) が
0.5g/10min (006) である熱可塑性プラスチック材料,ポリブテンホモポリマー (PB-H) は,次のように表示
する。
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JIS K 6925-1,-2 (PB) 原案作成委員会 構成表
本委員会
分科会
氏名
所属
◎
植 村 勝
工学院大学講師
○
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
○
増 田 優
通商産業省基礎産業局
○
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
○
塚 野 隆
財団法人高分子素材センター
○
本 橋 健 司
建設省建築研究所
○
吉 川 高 雄
財団法人鉄道総合技術研究所
○
高 杉 和 徳
株式会社東芝映像メディア事業本部
○
狩 野 佐登視
富士重工業株式会社スバル開発本部
○
西 山 浩
日本ポリエチレン製品工業連合会
○
伊 藤 治 之
日本ポリオレフィンフィルム工業組合
○
鈴 木 照 彦
東燃化学株式会社千鳥工場
○
久 米 和 男
出光石油化学株式会社樹脂研究所
○
石 本 亮 治
三井・デュポンポリケミカル株式会社テクニカルセンター
○
○
横 山 昭
三井石油化学工業株式会社環境保安品質保証部
○
雨 宮 英 夫
三井東圧化学株式会社樹脂事業本部
○
瀬 沼 昭 高
日本ユニカー株式会社樹脂技術研究所
○
佐 藤 裕 之
大日本インキ化学工業株式会社石油化学技術本部
○
三 宅 彰
住友化学工業株式会社
○
森 欣 弥
チッソ株式会社ポリプロ・ポリエチ事業部
○
谷 口 隆 司
チッソ石油化学株式会社高分子研究所
○
堀 越 公 夫
住友化学工業株式会社樹脂事業部
○
福 井 修
宇部興産株式会社化学・樹脂事業本部
(事務局) 濱 島 俊 行
日本プラスチック工業連盟
◎は,委員長を示す。