K 6923-1 : 1997 (ISO 1622-1 : 1994)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
今回の制定は,国際規格に整合させるために,ISO 1622-1 : 1994を基礎として用いた。
JIS K 6923 : 1997 (ISO 1622 : 1994) には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) ポリエチレン成形材料
参考 附属書は,従来のJIS K 6870 : 1995に一致しており,国際規格を日本工業規格に導入するため
の経過措置として添付する。
JIS K 6923 : 1997は,一般名称を“プラスチック−ポリスチレン (PS) 成形用及び押出用材料”として,
次の各部によって構成する。
第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
(Part 1:Designation system and basis for specifications)
第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
(Part 2:Preparation of test specimens and determination of properties)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6923-1 : 1997
(ISO 1622-1 : 1994)
プラスチック−ポリスチレン (PS)
成形用及び押出用材料−
第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
Plastics−Polystyrene (PS) moulding and extrusion materials−
Part 1:Designation system and basis for specifications
序文 この規格は,1994年に第2版として発行されたISO 1622-1 [Plastics−Polystyrene (PS) moulding and
extrusion materials−Part 1:Designation system and basis for specifications] を元に作成した日本工業規格であ
り,附属書を除いて,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成している。
附属書には,従来のJIS K 6870 : 1995で規定していたポリスチレン成形材料について規定した。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。
1. 適用範囲
1.1
この規格は,熱可塑性ポリスチレン (PS) 材料の呼び方について規定する。この呼び方は,仕様の基
礎として用いることができる。
1.2
ポリスチレン樹脂を,次の性質及びポリマーの基本パラメータの適切なレベル並びに用途及び/又
は加工方法,重要な性質,添加剤,着色剤,充てん材及び強化材に関する情報に基づいて区分する。
a) ビカット軟化温度
b) メルトマスフローレイト (MFR)
1.3
この規格は,すべてのアモルファスポリスチレンホモポリマーに適用でき,未変成の一般材料,着
色剤,添加剤,充てん材,補強材などで変成した一般材料に適用する。この規格は,発泡ポリスチレン,
スチレンコポリマー,置換スチレンのホモポリマー,エラストマーなどには適用しない。
1.4
この規格の呼び方では,同じ呼び方の材料が必ずしも同一の性能を示すとは限らない。この規格は,
特定用途の材料及び/又は加工方法を特定するのに必要なエンジニアリングデータ,性能データ及び加工
条件に関するデータを提供するものではない。
このような追加データが必要な場合は,この規格の第2部に規定した試験方法が適用できれば,それに
よって測定する。
1.5
特定の用途向けに熱可塑性材料を規定するため,又は再現性のある成形加工を確実にするために,
追加要求事項をデータブロック5に入れてもよい(3.の最初の段落参照)。
1.6
附属書(規定)は,2001年3月31日まで適用する。
2
K 6923-1 : 1997 (ISO 1622-1 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,その年の版だけがこの規
格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。
JIS K 6899 : 1992 プラスチック−記号−第1部:基本重合体(ポリマー)及びそれらの特性
備考 ISO 1043-1 : 1987, Plastics−Symbols−Part 1:Basic polymers and their special characteristicsが,
この規格と一致している。
JIS K 6923-2 : 1997 プラスチック−ポリスチレン (PS) 成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作
り方及び諸性質の求め方
備考 ISO 1622-2 : 1994, Plastics−Polystyrene (PS) moulding and extrusion materials−Part 2:
Preparation of test specimens and determination of propertiesが,この規格と一致している。
ISO 306 : 1994, Plastics−Thermoplastic materials−Determination of Vicat softening temperature (VST)
ISO 1133 : 1991, Plastics−Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and the melt volume-flow rate
(MVR) of thermoplastics
3. 呼び方及び仕様表記のシステム
熱可塑性プラスチックの呼び方は,次の標準様式による。
呼び方
種類
ブロック
(記載任
意)
識別項目ブロック
規格番号
ブロック
個別項目ブロック
データ
ブロック
1
データ
ブロック
2
データ
ブロック
3
データ
ブロック
4
データ
ブロック
5
この呼び方は,記載任意の種類ブロック(熱可塑性プラスチックと記す。)及び識別項目ブロックによっ
て構成し,さらに,識別項目ブロックは,規格番号ブロック及び個別項目ブロックによって構成する。
規格番号ブロックには,この規格の番号 “JIS K 6923-1” 及び括弧内に入れた国際規格番号 “(ISO
1622-1)” の両者を記す。
あいまいな表示を避けるため,個別項目ブロックを,更に次の五つのデータブロックに細分する。
データブロック1: JIS K 6899に規定する記号PSで,ポリスチレンを識別(3.1参照)。
データブロック2: 位置1:用途又は加工方法(3.2参照)
位置2〜8:重要な性質,添加剤及びその他補足情報(3.2参照)
データブロック3: 区分用の性質(3.3参照)
データブロック4: 充てん材又は強化材,及びそれらの公称含有率(この規格では使用しない。)
データブロック5: 仕様の基礎とするために,追加情報を5番目のデータブロックに加えてもよい。
個別項目ブロックの最初の文字は,ハイフンとする。それぞれのデータブロックは,互いにコンマで区
切る。
使わないデータブロックがある場合は,そのデータブロックを二つ続きの分離記号,すなわち,二つの
コンマ “,,” によって示す。
3.1
データブロック1 このデータブロックでは,ハイフンの後にJIS K 6899による記号 (PS) を記して
ポリスチレンを識別する。
3
K 6923-1 : 1997 (ISO 1622-1 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2
データブロック2 このデータブロックでは,位置1に用途及び/又は加工方法についての情報を,
位置2〜8に重要な性質,添加剤及び着色剤についての情報を,表1に示すコード(文字)を用いて表示す
る。位置2〜8の情報があって,位置1の情報がない場合には,位置1にコード “X” を挿入する。
表1 データブロック2に使用するコード
コード
位置1
位置2〜8
A
加工安定処方
C
着色品
E
押出用
F
フィルム押出用
特殊燃焼特性処方
G
一般用
L
耐光又は耐候処方
M
成形用
N
自然色(非着色品)
R
離型剤処方
S
滑剤処方
X
表示なし
Z
帯電防止処方
3.3
データブロック3 このデータブロックでは,ビカット軟化温度を3けたのコード(番号)で表し
(3.3.1参照),MFRを2けたのコード(番号)で表す(3.3.2参照)。ビカット軟化温度とMFRのコードの
間にはハイフンを入れる。
ビカット軟化温度及びメルトマスフローレイトの値が範囲の境界上にあるか,又はそれに近い場合,製
造業者はその材料がどちらの範囲に入るかを決める。その後,その材料の試験値が仮にその範囲から外れ
ても製造許容範囲にあるならば,そのコードを変える必要はない。
備考1. ビカット軟化温度及びメルトマスフローレイトのコードのすべての組合せのポリマーが,現
在入手できるとは限らない。
3.3.1
ビカット軟化温度 ビカット軟化温度は,ISO 306のB法に従って試験荷重50N±1N,昇温速度
50℃±5℃/hrの条件で測定する。
表2のとおり,ビカット軟化温度の値を,四つの範囲に分割し,それぞれ3けたのコードで表示する。
表2 データブロック3のビカット
軟化温度に使用するコード
コード
ビカット軟化温度の範囲
℃
075
≦ 80
085
80<〜≦ 90
095
90<〜≦100
105
100<
3.3.2
メルトマスフローレイト (MFR) MFRは,ISO 1133に従って,試験温度200℃,試験荷重49.03N
の条件で測定する。
表3のとおり,MFRの値を,四つの範囲に分割し,それぞれ2けたのコードで表示する。
表3 データブロック3の
MFRに使用するコード
コード
MFRの範囲
g/10min
03
≦ 4
4
K 6923-1 : 1997 (ISO 1622-1 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
コード
MFRの範囲
g/10min
06
4<〜≦ 8
12
8<〜≦16
20
16<
備考2. メルトマスフローレイト (MFR) は,ISO 1622の5年見直しのときに,メルトボリュームフロ
ーレイト (MVR) に置き換えられる可能性がある。
3.4
データブロック5 このデータブロックには,特定用途の材料仕様書を作成するために必要な場合,
追加事項を表示する。例えば,適切な国家規格又は一般に用いられている標準的な仕様を引用する。
4. 呼び方の例 成形用 (M) として製造され,耐光又は耐候処方 (L) を行ったビカット軟化温度が84℃
(085),MFRが9.0g/10min (12) の自然色(非着色品) (N) である熱可塑性プラスチック材料,ポリスチレ
ン (PS) は,次のように表示する。
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K 6923-1 : 1997 (ISO 1622-1 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定) ポリスチレン成形材料
Polystyrene moulding materials
まえがき この附属書は,国際規格を日本工業規格に導入するため経過措置として添付するが,2001年
3月31日まで適用する。
参考 この附属書は,従来の日本工業規格JIS K 6870-1995に一致している。
1. 適用範囲 この附属書は,ポリスチレンの成形材料(以下,成形材料という。)について規定する。
なお,ポリスチレンにブルーイング剤,酸化防止剤,滑剤及び重合助剤を添加した成形材料には適用す
る。ただし,着色品種,光安定品種,帯電防止品種,難燃品種,充てん材配合品種などの特殊な品種の成
形材料には適用しない。
備考1. この附属書の引用規格を,次に示す。
JIS K 6871-1995 ポリスチレン試験方法
JIS K 6900-1994 プラスチック−用語
2. この附属書の対応国際規格を,次に示す。
ISO 1622-1 Plastics−Polystyrene (PS) moulding and extrusion materials−Part 1:Designation
ISO 2897-1 Plastics−Impact-resistant polystyrene (SB) moulding and extrusion materials−Part 1:
Designation
2. 用語の定義 この附属書で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900によるほか,次による。
ポリスチレン スチレンの単独重合体(以下,一般用ポリスチレンという。)及び耐衝撃性を向上させる
ため合成ゴムで改質したスチレン重合体(以下,耐衝撃性ポリスチレンという。)をいう。
3. 種類 成形材料は,その組成によって一般用ポリスチレン (GP) と耐衝撃性ポリスチレン (HI) とに
区分し,その種類は,次のとおりとする。
(1) 一般用ポリスチレン 一般用ポリスチレンは,ビカット軟化温度によって区分し,附属書表1に示す
4種類とする。
附属書表1 一般用ポリスチレンの種類
種類
記号
一般用ポリスチレン1種
GP 1種
一般用ポリスチレン2種
GP 2種
一般用ポリスチレン3種
GP 3種
一般用ポリスチレン4種
GP 4種
(2) 耐衝撃性ポリスチレン 耐衝撃性ポリスチレンは,ビカット軟化温度及びアイゾット衝撃値によって
区分し,附属書表2に示す16種類とする。
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K 6923-1 : 1997 (ISO 1622-1 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表2 耐衝撃性ポリスチレンの種類
種類
記号
耐衝撃性ポリスチレン 1種 1類
HI 1種 1類
2類
HI 1種 2類
3類
HI 1種 3類
4類
HI 1種 4類
耐衝撃性ポリスチレン 2種 1類
HI 2種 1類
2類
HI 2種 2類
3類
HI 2種 3類
4類
HI 2種 4類
耐衝撃性ポリスチレン 3種 1類
HI 3種 1類
2類
HI 3種 2類
3類
HI 3種 3類
4類
HI 3種 4類
耐衝撃性ポリスチレン 4種 1類
HI 4種 1類
2類
HI 4種 2類
3類
HI 4種 3類
4類
HI 4種 4類
4. 品質 成形材料は,5.によって試験を行い,一般用ポリスチレンは附属書表3の規定に,耐衝撃性ポ
リスチレンは附属書表4の規定に適合しなければならない。
附属書表3 一般用ポリスチレンの品質
記号
ビカット軟化温度
℃
メルトフローレー
ト
g/10min
GP 1種 70以上 80未満
16 以上
GP 2種 80以上 90未満
1.0以上
GP 3種 90以上 100未満
1.0以上
GP 4種 100以上
0.5以上
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表4 耐衝撃性ポリスチレンの品質
記号
ビカット軟化
温度℃
アイゾット衝撃値
kJ/m2
メルトフローレー
ト
g/10min
HI 1種 1類 70以上 80未満 1.5以上 2.9未満
4.0以上
2類
2.9以上 5.9未満
3類
5.9以上 11.8未満
4類
11.8以上
HI 2種 1類 80以上 90未満 1.5以上 2.9未満
1.0以上
2類
2.9以上 5.9未満
3類
5.9以上 11.8未満
4類
11.8以上
HI 3種 1類 90以上 100未満 1.5以上 2.9未満
1.0以上
2類
2.9以上 5.9未満
3類
5.9以上 11.8未満
4類
11.8以上
HI 4種 1類 100以上
1.5以上 2.9未満
0.5以上
2類
2.9以上 5.9未満
3類
5.9以上 11.8未満
4類
11.8以上
5. 試験方法 試験方法は,次による。
(1) 試料の採取方法 試料は,品質が同一とみなすことができる成形材料のロットから合理的な方法によ
って採取する。
(2) 試験の一般条件 試験の一般条件は,JIS K 6923-2の附属書の4.(試験の一般条件)による。
(3) ビカット軟化温度試験 ビカット軟化温度試験は,JIS K 6923-2の附属書の5.(7)(ビカット軟化温度
試験)によって行う。
(4) メルトフローレート メルトフローレートの試験は,JIS K 6923-2の附属書の5.(1)(メルトフローレ
ート)によって行う。
(5) アイゾット衝撃試験 アイゾット衝撃試験は,JIS K 6923-2の附属書の5.(5)(アイゾット衝撃試験)
によって行う。
6. 包装及び表示 包装は,成形材料の品質を保護し,輸送における通常の取扱いに十分耐えるものとし,
次の事項を表示しなければならない。
(1) 名称及び種類又はその記号
(2) 正味質量
(3) 製造ロット番号
(4) 製造業者名又はその略号
関連規格 JIS K 7110 硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法
JIS K 7206 熱可塑性プラスチックのビカット軟化温度試験方法
JIS K 7210 熱可塑性プラスチックの流れ試験方法
JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
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K 6923-1 : 1997 (ISO 1622-1 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 6923-1,-2 (PS) 原案作成委員会 構成表
本委員会
分科会
氏名
所属
◎
植 村 勝
工学院大学講師
○
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
○
増 田 優
通商産業省基礎産業局
○
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
○
塚 野 隆
財団法人高分子素材センター
○
本 橋 健 司
建設省建築研究所
○
吉 川 高 雄
財団法人鉄道総合技術研究所
○
高 杉 和 徳
株式会社東芝映像メディア事業本部
○
狩 野 佐登視
富士重工業株式会社スバル開発本部
○
西 山 浩
日本ポリエチレン製品工業連合会
○
伊 藤 治 之
日本ポリオレフィンフィルム工業組合
○
鈴 木 照 彦
東燃化学株式会社千鳥工場
○
久 米 和 男
出光石油化学株式会社樹脂研究所
○
石 本 亮 治
三井・デュポンポリケミカル株式会社テクニカルセンター
○
横 山 昭
三井石油化学工業株式会社環境保安品質保証部
○
○
雨 宮 英 夫
三井東圧化学株式会社樹脂事業本部
○
瀬 沼 昭 高
日本ユニカー株式会社樹脂技術研究所
○
○
佐 藤 裕 之
大日本インキ化学工業株式会社石油化学技術本部
○
本 間 多喜夫
出光石油化学株式会社樹脂研究所
○
秋 元 久 雄
電気化学工業株式会社千葉工場
○
江 原 俊 治
大日本インキ化学工業株式会社石油化学技術本部
(事務局) 濱 島 俊 行
日本プラスチック工業連盟
◎は,委員長を示す。