K 6915-2:2006
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条1項の規定に基づいて,日本プラスチック工業連盟(JPIF)/合成樹脂
工業協会(JTPIA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。これに
よって,JIS K 6915:1993は改正されると共に一部分割され,JIS K 6915-1, JIS K 6915-2及びJIS K 6915の
三部構成となった。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 14526-2:1999,Plastics−Phenolic
powder moulding compounds(PF-PMCs)−Part 2: Preparation of test specimens and determination of propertiesを
基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS K 6915-2には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 6915の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 6915-1 第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
JIS K 6915-2 第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
JIS K 6915 フェノール樹脂成形材料
K 6915-2:2006
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 4
4. 試験片の作り方 ··············································································································· 4
4.1 一般 ···························································································································· 4
4.2 成形前の材料の取扱い ···································································································· 4
4.3 射出成形 ······················································································································ 4
4.4 圧縮成形 ······················································································································ 5
4.5 トランスファ成形 ·········································································································· 6
5. 試験片の状態調節 ············································································································ 6
6. 諸性質の求め方 ··············································································································· 6
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ···································································· 10
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6915-2:2006
プラスチック−フェノール樹脂成形材料−
第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
Plastics-Phenolic moulding compounds-
Part 2: Preparation of test specimens and determination of properties
序文 この規格は,1999年に第1版として発行されたISO 14526-2,Plastics−Phenolic powder moulding
compounds(PF-PMCs)−Part 2: Preparation of test specimens and determination of propertiesを翻訳し,技術的内
容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧
表をその説明を付けて,附属書に示す。
1. 適用範囲 この規格は,フェノール樹脂成形材料の試験片の作り方及び諸性質の求め方について規定
する。この規格では,試験材料の取扱い,成形前の試験材料及び試験前の試験片の状態調節について規定
する。
この規格は,試験片を作る手順,条件及び成形された試験片を用いて,その材料の諸性質を測定する手
順を示す。フェノール樹脂成形材料の特徴を知るための適切,かつ,必要な諸性質の試験方法を表3及び
表4に示す。
諸性質は,JIS K 7140-1に規定する一般試験方法から選んだ。フェノール樹脂成形材料に対して広範囲
に使われている試験方法及び特殊で重要な他の試験方法,並びにJIS K 6915-1に規定する区分用の性質も,
この規格に含む。
再現性があり,他と比較できる試験結果を得るためには,ここに規定する試験片の作り方,状態調節方
法,試験片寸法及び試験手順を採用する。
寸法の異なる試験片及び異なった手順で得られた試験結果は,必ずしも一致するとは限らない。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 14526-2:1999,Plastics−Phenolic powder moulding compounds(PF-PMCs)−Part 2: Preparation of
test specimens and determination of properties (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 2101 電気絶縁油試験方法
2
K 6915-2:2006
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備考 IEC 60296:1982 Specification for unused mineral insulating oils for transformers and switchgearか
らの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS C 2110 固体電気絶縁材料の絶縁耐力の試験方法
備考 IEC 60243-1:1998, Electrical strength of insulating materials−Test method−Part1:Tests at power
frequencies からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS C 2134 湿潤状態での固体電気絶縁材料の比較トラッキング指数及び保証トラッキング指数を決
定する試験方法
備考 IEC 60112:1979, Method for determining the comparative and the proof tracking indices of solid
insulating materials under moist conditionが,この規格と一致している。
JIS K 6900 プラスチック−用語
備考 ISO 472:1999, Plastics−Vocabulary が,この規格と一致している。
JIS K 6911 熱硬化性プラスチック一般試験方法
JIS K 6915-1 プラスチック−フェノール樹脂成形材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基
礎
備考 ISO 14526-1:1999 Plastics−Phenolic powder moulding compounds(PF-PMCs)−Part
1:Designation system and basis for specificationsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等
である。
JIS K 6915 フェノール樹脂成形材料
備考 ISO 14526-3:1999, Plastics−Phenolic powder moulding compounds (PF-PMCs)−Part
3:Requirements for selected moulding compoundsからの引用事項は,この規格の該当事項と同
等である。
JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気
備考 ISO 291:1997, Plastics−Standard atmospheres for conditioning and testingからの引用事項は,
この規格の該当事項と同等である。
JIS K 7111 プラスチック−シャルピー衝撃強さの試験方法
備考 ISO 179:1993, Plastics−Determination of Charpy impact propertiesからの引用事項は,この規
格の該当事項と同等である。
JIS K 7112 プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法
備考 ISO 1183:1987, Plastics−Methods for determining the density and relative density of non-cellular
plastics からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS K 7115 プラスチック−クリープ特性の試験方法−第1部:引張クリープ
備考 ISO 899-1:1993, Plastics−Determination of creep behaviour−Part 1:Tensile creep からの引用事
項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS K 7139 プラスチック−多目的試験片
備考 ISO 3167:1993, Plastics−Multipurpose test specimensが,この規格と一致している。
JIS K 7140-1 プラスチック−比較可能なシングルポイントデータの取得と掲示−第1部:成形材料
備考 ISO 10350-1:1998, Plastics−Acquisition and presentation of comparable single-point data−Part
1: Moulding materialsが,この規格と一致している。
JIS K 7144 プラスチック−機械加工による試験片の調製
備考 ISO 2818:1994, Plastics−Preparation of test specimens by machiningが,この規格と一致してい
3
K 6915-2:2006
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る。
JIS K 7145 プラスチック−アミノ樹脂成形材料−揮発分の求め方
備考 ISO 3671:1976, Plastics−Aminoplastic moulding materials−Determination of volatile matterか
らの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS K 7154-1 プラスチック−熱硬化性樹脂成形材料の射出成形試験片−第1部:通則及び多目的試験
片の成形
備考 ISO 10724-1:1998, Plastics−Injection moulding of test specimens of thermosetting powder
moulding compounds (PMCs)−Part 1:General principles and moulding of multipurpose test
specimensが,この規格と一致している。
JIS K 7154-2 プラスチック−熱硬化性樹脂成形材料の射出成形試験片−第2部:小形角板
備考 ISO 10724-2:1998, Plastics−Injection moulding of test specimens of thermosetting powder
moulding compounds (PMCs)−Part 2:Small platesが,この規格と一致している。
JIS K 7160 プラスチック−引張衝撃強さの試験方法
備考 ISO 8256:1990, Plastics−Determination of tensile-impact strengthが,この規格と一致している。
JIS K 7161:1994 プラスチック−引張特性の試験方法 第1部:通則
備考 ISO 527-1:1993, Plastics−Determination of tensile properties−Part 1:General principlesが,この
規格と一致している。
JIS K 7162 プラスチック−引張特性の試験方法 第2部:型成形,押出成形及び注型プラスチックの
試験条件
備考 ISO 527-2:1993, Plastics−Determination of tensile properties−Part 2:Test conditions for
moulding and extrusion plasticsが,この規格と一致している。
JIS K 7171 プラスチック−曲げ特性の試験方法
備考 ISO 178:1993, Plastics−Determination of flexural propertiesが,この規格と一致している。
JIS K 7191-2 プラスチック−荷重たわみ温度の試験方法−第2部:プラスチック及びエボナイト
備考 ISO 75-2:1993, Plastics−Determination of temperature of deflection under load−Part 2:Plastics
and eboniteが,この規格と一致している。
JIS K 7201-2 プラスチック−酸素指数による燃焼性の試験方法−第2部:室温における試験
備考 ISO 4589-2:1996, Plastics−Determination of burning behaviour by oxygen index−Part
2:Ambient-temperature test.が,この規格と一致している。
JIS K 7209 プラスチック−吸水率の求め方
備考 ISO 62:1999, Plastics−Determination of water absorption が,この規格と一致している。
JIS K 7230 プラスチック−フェノール樹脂成形品−遊離アンモニア及びアンモニウム化合物の求め
方(インドフェノール法)
備考 ISO 14859:1999, Plastics-Phenol formaldehyde mouldings-Determination of free ammonia and
ammonium compounds (Indophenol method) が,この規格と一致している。
JIS K 7247 試験炎−500W試験炎による燃焼試験方法
備考 IEC 60695-11-20:1999, Fire hazard testing−Part 11-20: Test flames−500 W flame test methods
が,この規格と一致している。
JIS K 7365 プラスチック−規定漏斗から注ぐことができる材料の見掛け密度の求め方
備考 ISO 60:1977, Plastics−Determination of apparent density of material that can be poured from a
4
K 6915-2:2006
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specified funnelが,この規格と一致している。
JIS Z 2391 試験炎−50W試験炎による水平及び垂直燃焼試験方法
備考 IEC 60695-11-10:1999, Fire hazard testing−Part 11-10: Test flames−50 W horizontal and vertical
flame test methods が,この規格と一致している。
ISO 120:1977, Plastics−Phenol-formaldehyde mouldings−Determination of free ammonia and ammonium
compounds ‒ colorimetric comparison method
ISO 171:1980, Plastics−Determination of bulk factor of moulding materials
ISO 295 Plastics−Compression moulding of test specimens of thermosetting materials
ISO 2039-1:1933, Plastics−Determination of hardness−Part1:Ball indentation method
ISO 2577:1984, Plastics−Thermosetting moulding materials−Determination of shrinkage
ISO 4614:1977, Plastics−Melamine-formaldehyde mouldings−Determination of extractable formaldehyde
ISO 6603-2:2000, Plastics−Determination of puncture impact behaviour of rigid plastics−Part
2:Instrumented impact testing
ISO 7808:1992, Plastics−Thermosetting moulding materials−Determination of transfer flow
ISO 11359-2:1999, Plastics−Thermomechanical analysis (TMA)−Part 2:Determination of coefficient of
linear thermal expansion and glass transition temperature
IEC 60093:1980, Methods of test for volume resistivity and surface resistivity of solid electrical insulating
materials
IEC 60167:1964, Methods of test for the determination of the insulation resistance of solid insulating
materials
IEC 60250:1969, Recommended methods for the determination of the permittivity and dielectric dissipation
factor of electrical insulating materials at power, audio and radio frequencies including metre
wavelengths
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900及びJIS K 6915-1によるほか,次による。
3.1
サーマルフロー(thermal flow) 可塑化した熱硬化性樹脂成形材料が金型キャビティに充てんする
ときの流れ挙動を示すパラメータ。
4. 試験片の作り方
4.1
一般 試験片は,常に同じ成形条件,同じ加工方法(射出成形,圧縮成形及びトランスファ成形)
で作るのが重要である。試験片の作製は,射出成形,圧縮成形又はトランスファ成形のいずれかを選択で
きる。
それぞれの試験方法に対して用いる試験片の成形方法を,表3及び表4に示す(M:射出成形,Q:圧
縮成形,T:トランスファ成形)。
材料は,使用する直前まで,防湿容器に保管する。
充てん材又は強化材が入った材料の水分量は,成形材料に対する全質量当たりの質量分率で表す。
4.2
成形前の材料の取扱い 射出成形前の材料の前処理は,通常,必要としない。前処理が必要な場合
には,製造業者の推奨条件による。
圧縮成形前の,材料の前処理は,ISO 295の5(成形前の材料調整),7.2(乾燥),7.3(高周波予熱),又
は7.4(予備可塑化)による。
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K 6915-2:2006
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4.3
射出成形 射出成形試験片は,JIS K 7154-1及び/又はJIS K 7154-2によって,表1に規定した条
件で作る。
表 1 試験片の射出成形条件
フェノール樹脂
成形材料の種類
溶融温度
TM
℃
金型温度
TC
℃
平均射出速度
v1
mm/s
硬化時間
tCR
s
射出成形用
95〜115
165〜175
50〜150
(本文参照)
成形条件は4.1の規定によることを条件として,表1に示された範囲内から選ぶ。また,特定の場合に
は,一定の値(範囲ではなく)が規定される。
− 溶融温度 TM
− 金型温度 TC
− 硬化時間 tCR
硬化時間tCRは,硬化特性及び成形材料の前処理を考慮して決定されるが,同一の成形材料で,同一厚
さで作られるすべての試験片については同一であること,及び試験結果とともに付記することが条件であ
る。
選ばれた硬化時間は,すべての試験片が可能な限り完全,かつ,均一に硬化することを保証するもので
なければならない。
備考 サーマルフローの劣るフェノール樹脂成形材料は,次の状態が起こり得る。
規定の品質をもった成形物は射出成形できるが,試験片(例えば,JIS K 7139に規定するA
形又はJIS K 7154-2に規定するD1,D2小形角板)の射出成形はできない。この場合に限り,
ISO 295 によって,圧縮成形で成形されたもの,又はJIS K 7144 によって機械加工し,ISO 295
によって圧縮成形したE形プレート(120 mm×120 mm×厚さ)から作製した試験片が推奨され
る。
4.4
圧縮成形 圧縮成形試験片は,ISO 295 に従って表2の条件で作る。
表 2 試験片の圧縮成形条件
フェノール樹脂
成形材料の種類
金型温度
TC
℃
成形圧力
PM
MPa
硬化時間
tCR
s
細かい充てん材を使用した
圧縮成形用
165 〜 175
20〜40
厚さ1 mm当たり
粗い充てん材を使用した
圧縮成形用
165 〜 175
20〜60
20〜60
成形条件は4.1の規定によることを条件として,表2に示す範囲内から選ぶ。また,特定の場合には,
一定の値(範囲ではなく)が規定される。
6
K 6915-2:2006
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− 金型温度 TC
− 成形圧力 PM
− 硬化時間 tCR
硬化時間tCRは,硬化特性及び成形材料のを考慮して決定されるが,同一の成形材料で,同一厚さで作
られるすべての試験片については同一であること,及び試験結果とともに付記することが条件である。
選ばれた硬化時間は,すべての試験片が可能な限り完全,かつ,均一に硬化することを保証するもので
なければならない。
性質の決定に要求される試験片は,JIS K 7144によって成形した小板から切削加工するか,又はISO 295
によって成形したJIS K 7139の多目的試験片A形を使用する。
4.5
トランスファ成形 トランスファ成形試験片は,受渡当事者間の取決めによって,条件設定し作製
する。
5. 試験片の状態調節 試験片は,表3及び表4の性質を求める前に,特に規定がなければ次の状態調節
を行う。
方法1 試験片は,JIS K 7100によって23±2 ℃,(50±5) %相対湿度の条件下で,少なくとも16時間
状態調節を行う。
これは,一般的な試験方法であり,方法2の使用を規定していないすべての場合において適用する。方
法1は,表3及び表4には規定していない。
方法2 試験片を常温の蒸留水に24時間入れ,その後JIS K 7100によって23±2 ℃,(50±5) %相対湿
度の条件下で,2時間状態調節を行う。
6. 諸性質の求め方 諸性質の求め方及びデータの提示は,JIS K 7140-1の規格,補足説明及び備考によ
る。
すベての試験は,次の表3及び表4に特に規定がなければ,23±2 ℃,(50±5) %相対湿度の標準状態
で行う。
表3には,JIS K 7140-1に規定するものの中から,圧縮成形,射出成形用及びトランスファ成形用フェ
ノール樹脂成形材料に適切な性質を記載した。これらの性質は,他の熱硬化及び熱可塑性プラスチックの
データと比較するのに有用である。
表4には,表3に規定していない性質で,フェノール樹脂成形材料を特徴づけるのに重要な特性又は一
般に広く用いられている性質を記載する。
この性質を用いて異なる材料間の比較をする場合は,同じ種類の熱硬化性樹脂に限定した方がよい。
なお,次に示す a)〜e)の特性については,それぞれいずれかを選択できる。
a) 成形収縮率又は成形収縮率A
b) 絶縁抵抗又は絶縁抵抗A
c) 遊離アンモニア又は遊離アンモニアA
d) 密度又は比重
e) 抽出ホルムアルデヒド又は抽出ホルムアルデヒドA
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K 6915-2:2006
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表 3 一般的性質及びその試験条件
1
2
3
4
5
6
7
性質
記号
規格
試験片のタイ
プ及び寸法
mm
試験片
の作り
方 (1)
単位
試験条件及び補足説明
1. レオロジー的性質
1.1
成形収縮率
SMo
ISO 2577
120×120×2
ISO 295タイプ
E2
Q
%
互いに直交する2方向の平均値
1.2
SMp
−(2)
60×60×2
M/T
流れ方向に平行
1.3
SMn
JIS K 7154-2タ
イプD2
流れ方向に直角
1.4
成形収縮率A
JIS K 6911
φ90×11
Q/M/T
−
2. 機械的性質
2.1
引張弾性率
Et
JIS K 7161
JIS K 7139試験
MPa
試験速度 1 mm/min
2.2
破壊応力
σB
JIS K 7162
片A形
試験速度 5 mm/min
2.3
破壊ひずみ
εB
Q/M/T
%
2.4
引張クリープ弾性率
Etc1
JIS K 7115
ISO 295
MPa
1 時間
ひずみ≦0.5 %
2.5
Etc103
タイプEから切
出し可
1 000時間
2.6
曲げ弾性率
Ef
JIS K 7171
80×10×4
Q/M/T
MPa
試験速度 2 mm/min
2.7
曲げ強さ
σfM
2.8
シャルピー衝撃強さ
acU
JIS K 7111
80×10×4
kJ/m2
2.9 シャルピー衝撃強さ
(ノッチ付き)
acA
80×10×4
V-ノッチr =0.25
Q/M/T
エッジワイズ衝撃
2.10 引張衝撃強さ
(ノッチ付き)
at1
JIS K 7160
80×10×4
ダブル
V-ノッチr =1
ノッチ付きシャルピー試験で破壊しなか
った場合だけ適用する。
2.11
2.12
多軸衝撃性質
−応力
−エネルギー
FM
ISO 6603-2
60×60×2
JIS K7154-2タイ
プD2より切出し
可
N
最大値
打撃速度4.4 m/s 直径
20mmで滑らかに打撃す
る。試験片は,外側にず
れないように十分にクラ
ンプで掴む。
WP
J
最大応力の
50%の打撃エ
ネルギー
3. 熱的性質
3.1
荷重たわみ温度
Tf1.8
JIS K 7191-2
80×10×4
Q/M/T
゚C
1.80
最大表面
応力
(MPa)
フラットワイズの
方向に荷重をかけ
る。
3.2
Tf8.0
8.00
3.3
線膨張係数
αo
ISO 11359-2
60×10×2,
120×120×2 ISO
295タイプE2か
ら切出し可
Q
−
23〜55 ℃の温度範
囲でのセカント値
を記録する。
8
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3.4
αP
60×10×4
JIS K 7139タイ
プA から切出し
可
゚C-1
流れ方向に平行
3.5
αP
60×10×2
60×60×2
JIS K 7154-2
M/T
流れ方向に平行
3.6
αn
タイプD2から切
出し可
流れ方向に直角
注(1) Q: 圧縮成形 M: 射出成形 T:トランスファ成形
(2) 国際規格は作成中
9
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表 3 一般的性質及びその試験条件(続き)
1
2
3
4
5
6
7
性質
記号
規格
試験片のタイプ
及び寸法
mm
試験片
の作り
方 (1)
単位
試験条件及び 補足説明
3.7
耐燃性
B50/3.0
JIS Z 2391
125×13×3
Q
−
分類ごとに記録する:V-0;V-1;HB40 又
はHB75(V-2は熱硬化では適用されな
い。)
さらに任意の厚さ(x)
の試験片
3.8
B50/x
3.9
B500/3.0
JIS K 7247
≧150×≧150×3
Q
−
分類ごとに記録する:5VA;5VB又はN
3.10
B500/x
さらに任意の厚さ(x)
の試験片
3.11 耐燃性
JIS K 6911
127×12.7×≧0.8
Q/M/T
−
3.12 酸素指数
O/23
JIS K
7201-2
80×10×4
Q/M/T
%
手順Aの使用:上面着火
4. 電気的性質
4.1
4.2
比誘電率
εr100
εr1M
IEC 60250
≧60×≧60×1
又は
≧60×≧60×2
Q/M/T
−
100 Hz 電極のエッジの
影響を補償する。
1分後評価
1 MHz
4.3
誘電正接
tanδ100
tanδ1M
−
100 Hz
4.4
1 MHz
4.5
体積抵抗率
ρe
IEC 60093
≧60×≧60×1
又は
≧60×≧60×2
Q/M/T
Ω・cm
1分後評価
4.6
表面抵抗率
σe
Ω
電圧
500 V
1〜2 mmの厚さの試
験片を50 mmの長
さで5 mm離して接
触した電極を使う。
1分後
評価
4.7
絶縁破壊の強さ
ES1
JIS C 2110
≧60×≧60×1
Q/M/T
MV/m
直径20 mmの球状電極。
JIS C 2101 の変圧器油に
浸せきする。
昇圧速度2 kV/sを使用する。
4.8
ES2
≧60×≧60×2
4.9
保証トラッキン
グ指数
PTI
JIS C 2134
≧15×≧15×4
120×120×4
ISO 295タイプE4又は
JIS K 7139タイプAか
ら切出し可
Q/M/T
−
溶液Aを使用する。
5. その他の性質
5.1
吸水率
WW24
JIS K 7209
60×60×1
120×120×1 ISO 295
タイプE1 から切出し
可,又は
60×60×1
JIS K 7154-2タイプD1
Q/M/T
mg
23 ℃の水に24時間浸せきする。
5.2
WW24
質量 %
5.3
密度
JIS K 7112
≧10×≧10×4
ρm
≧120×≧120×4 ISO
295タイプE4,又はJIS
K 7139タイプAの中央
部から切出し可
Q/M/T
g/cm3
JIS K 7112に規定されている四つの方
法は,この規格の目的に対して同等と
みなされる。
5.4
比重
JIS K 6911
Q/M/T
−
水中置換法
注(1) Q: 圧縮成形 M: 射出成形 T:トランスファ成形
10
K 6915-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 4 追加の諸性質及び試験条件
1
2
3
4
5
6
7
性質
記号
規格
試験片のタイ
プ及び寸法
mm
試験片
の作り
方 (1)
単位
試験条件及び補足説明
1. レオロジー的性質
1.1 みかけ密度
ρu
JIS K 7365
成形材料
−
g/cm3
−
1.2 かさばり係数
γ
ISO 171
−
かさばり係数γ=ρm/ρu
(ρmは表3, 5.3項参照)
1.3 トランスファーフロ
ー
Ftr
ISO 7808
%
−
2. 機械的性質
2.1 ボール押込み硬さ
H961/30 ISO 2039-1
≧20×≧20×4
Q/M/T
MPa
荷重961N, 時間30秒
3. 熱的性質
4. 電気的性質
4.1 絶縁抵抗
R25d
IEC 60167
≧50×≧75×4
Q
Ω
500 Vの電圧で
1分後
常態,方法1
4.2
R25w
煮沸後,方法2
4.3 絶縁抵抗A
−
JIS K 6911
20×40×10
Q/M/T
Ω
500 Vの電圧で
1分後
常態
4.4
−
煮沸後
5. その他の性質
5.1 遊離アンモニア
mEAM
ISO 120
≧120×≧120×4
ISO 295 タイプE4
Q/M/T 質量 % 成形品を粉にした代表サンプルを分析
する。
JIS K 7139
タイプA
.2
遊離アンモニアA
−
JIS K 7230
成形品
Q/M/T
5.3 揮発分
mV
JIS K 7145
成形材料
−
質量 %
5.4
5.5
5.6
抽出ホルムアルデヒ
ド
−水
−酢酸
−エタノール
mE/WF
mE/AAF
mE/ALF
ISO 4614
成形品
Q/M/T
μg/cm2
or
μg/ml
試料表面積の平方センチ当たり又は抽
出液のミリリットル(ml)当たり
5.7
抽出ホルムアルデヒ
ドA
−水
−
食品衛生法
(昭和22年
12月24日
法律第233
号)
注(1) Q: 圧縮成形 M: 射出成形 T:トランスファ成形
11
K 6915-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 6915-2:2006 プラスチック−フェノール樹脂成形材料−第2部:試験片の作り方
及び諸性質の求め方
ISO 14526-2:1999,Plastics−Phenolic powder moulding compounds(PF-PMCs)
−Part 2: Preparation of test specimens and determination of properties
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:側線及び点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.
適用範囲
フェノール樹脂粒状成形
材料の試験片の作り方及
び諸性質の求め方につい
て規定。
ISO
14526-2
1
JISと同じ。
IDT
−
−
2.
引用規格
JIS C 2101,その他。
2
ISO 60,その他。
MOD/追加
MOD/削除
JIS K 6911,JIS K
7230を追加。
ISO 15062 は“ISOポ
アチエ会議(2000
年)”で廃止されたた
め削除した。IEC
60707は第2版におい
てBH法が取り下げ
られたため削除。
試験方法の追加による。
3. 定義
用語の定義を規定。
3
−
IDT
−
−
4. 試験
片の作り
方
成形前材料の取扱い及び
成形法ごとの試験片作成
条件を規定。
4
JISとほぼ同じ。
MOD/追加 試験片の作り方にト
ランスファ成形を追
加。
日本の市場要求による。
ISO規格への追加提案を検討する。
4.3
MOD/変更 規定温度を日本の現
状に合わせた。
5. 試験
片の状態
調節
試験前の,試験片の処理方
法について規定。
5
JISと同じ。
IDT
−
−
11
K
6
9
1
5
-2
:
2
0
0
6
12
K 6915-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:側線及び点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
6. 諸性
質の求め
方
一般的性質及び追加の諸
性質並びに試験条件につ
いて規定。
6
JISとほぼ同じ。
MOD/選択
JISは,成形収縮率,
絶縁抵抗,遊離アンモ
ニア,抽出ホルムアル
デヒドAについては,
試験方法(ISO/IEC又
はJIS又は食品衛生
法)が選択可能。
日本及びアジア地区でこの特性及び成
形方法が要求されており,試験項目及
び成形法を追加。実験を積んでIEC規
格及びISO規格に提案することを含め
て次期改正に見直し検討する。
MOD/追加
耐燃性,比重,トラン
スファ成形を追加。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
1
2
K
6
9
1
5
-2
:
2
0
0
6
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K 6915-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定項目又は規定内容変更している。
― MOD/選択……… 国際規格の規定内容と別の選択肢がある。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
1
3
K
6
9
1
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:
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0
0
6