2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6893-1995
四ふっ化エチレン樹脂
ディスパージョン試験方法
Testing methods for polytetrafluoroethylene aqueous dispersion
1. 適用範囲 この規格は,四ふっ化エチレン樹脂ディスパージョンの試験方法について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 7525 比重浮ひょう
JIS R 1302 化学分析用磁器蒸発ざら
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
JIS Z 8802 pH測定方法
JIS Z 8804 液体比重測定方法
JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極
JIS Z 8809 粘度計校正用標準液
2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 試料の採取方法 容器を転倒して振とうする操作を数回繰り返すなどして,内容物を十分に均一な状
態にしてから試料を採取する。
3. 試験の一般条件
3.1 試験室の状態 試験室の温湿度は特に規定のない場合は,JIS Z 8703の標準温度状態4級 (20±15℃),
標準湿度状態3級 [(65±20) %] とする。
3.2
試料の標準状態 試料は試験前1時間以上,測定温度に保管しなければならない。
3.3
試験回数及び試験成績 試験は各項目について3回行い,それぞれの測定値を求め,それらを平均
して試験成績を算出する。試験成績の位取りは表1のとおりとし,その数値の丸め方は,JIS Z 8401によ
る。
表1 試験成績の位取り
試験項目
測定値
比重
小数点以下第2位
粘度 mPa・s {cP}
整数位
pH
小数点以下第1位
水分及び固形分 %
整数位
2
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4. 試験方法
4.1
外観 試料を清浄なガラス板上に塗り付け,異物,凝固物などの有無を目視によって調べる。
4.2
比重
4.2.1
測定用器具
(1) 浮きばかり JIS B 7525を使用する。
(2) シリンダー ガラス製で,浮きばかりの読みを妨げるひずみのないもの。その大きさは,浮きばかり
を液体に浮かべたとき,浮きばかりとシリンダー内壁及び底部までの距離が1cm以上あることを要す
る。
(3) 温度計 最小目盛1℃の校正されたガラス温度計とする。
4.2.2
操作 浮きばかりは,あらかじめ十分清浄にしておき,試料の温度が25±2℃になった後,浮きば
かりの上端を軽くつまみ,泡の付かないように静かに液中に浮かべる。静止した後,これを約2目盛だけ
液中に沈めてから手を離す。浮きばかりが静止した後,その示度を21目盛まで読み取る。目盛の読み方は,
JIS Z 8804の4.4.1(上縁規定)による。
4.3
粘度 粘度計校正用標準液によって回転粘度計を校正し,この粘度計を用いて試料の粘度を測定す
る。ここにいう標準液とは,JIS Z 8809の表1のJS20とする。
4.3.1
装置 ここに用いる回転粘度計は,次に述べる二つの型のいずれかに該当し,回転速度を4.3.2で
述べる範囲内で一定に保つことができ,かつ,粘性抵抗として内円柱に働くトルクが粘度目盛数に比例す
る構造のものとする。
(1) 同心二重円筒型で,外円筒と内円柱との間に試料を入れ,外円筒を固定して,内円柱を一定速度で回
転するか又は内円柱を固定して,外円筒を一定速度で回転し,粘性抵抗として内円柱に働くトルクを
検出する。
(2) 多量の試料を入れた容器の中に回転円柱を浸して一定速度で回転し,粘性抵抗として回転円柱に働く
トルクを検出する。
4.3.2
操作 4.3.1で述べたいずれかの型の粘度計を用い,粘度計校正用標準液及び試料について,25±
1℃において,一定の回転速度で内円柱又は外円筒を回転し,そのときのトルク目盛TS(標準液),T(試
料)を読み取る。このときの粘度計の回転速度としては,12 (1−R12/R22) 〜60 (1−R12/R22) min−1 {rpm} の
範囲内の任意の一定の値を選ぶ。ここにR1,R2は4.3.1の(1)又は(2)の粘度計の,それぞれ内円柱の半径,
外円筒の内側半径とする。(2)についてはR12/R22=0とみなす。
4.3.3
計算 標準液及び試料の25℃における粘度をそれぞれηs,η,同一条件で測ったときのトルク目盛
をそれぞれTS,Tとし,両液をニュートン液体とみなし,次の式によって試料の粘度η (mPa・s) {cP} を計
算する。
s
s
s
T
T
T
T
×
=
×
=
30
20η
η
η
η
ここに, η20及びη30は,標準液に添付された20℃及び
30℃における粘度の基準値とする。
4.4
pH
4.4.1
装置及び標準液
(1) ガラス電極pH計 測定には,ガラス電極pH計を使用する。ガラス電極pH計は,ガラス電極及び比
較電極 (JIS Z 8805) からなる検出部と検出された電位差を指示する指示部とで構成される。検出部に
は必要に応じ温度補償用感温部を,また指示部には非対称電位調整用ダイヤル及び温度補償用ダイヤ
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ル又は感度調整用ダイヤルを備えたものとする。
(2) 温度計 温度計は,1℃目盛で校正されたガラス温度計とする。
(3) 標準液 標準液は,JIS Z 8802の6.(pH標準液)による次の2種類とする。
(a) 中性りん酸塩標準液
(b) ほう酸塩標準液
4.4.2
操作
(1) 準備 使用前に計器を電源につなぎ回路を安定にしておく。検出部は純水で繰り返し3回以上洗い,
きれいなろ紙でぬぐっておく。標準液と試料の温度を±1℃以内で一致させるよう調整しておく。
(2) 計器の調整 計器の調整は,次の二つの標準液によって行う。
(a) 中性りん酸塩標準液による調整 温度補償用ダイヤルのあるものは,そのダイヤルの目盛を標準液
の温度に合わせた後,検出部を中性りん酸塩標準液中に浸し,計器の指示が表2に示した値に一致
するよう非対称電位調整用ダイヤルを調整する。次に検出部を繰り返し3回以上洗い,次の操作を
行う。
(b) ほう酸塩標準液による調整 次に検出部をほう酸塩標準液中に浸し,指示値が±0.1以内で表2の値
と一致するかどうかを調べる。もし一致しない場合は感度調整用ダイヤル又は標準液の温度にかか
わらず,温度補償用ダイヤルを動かして一致するよう調整する。ダイヤルを動かした場合は必ず再
び中性りん酸塩標準液に検出部を浸して指示値が表2の値と±0.1以内で一致するかどうかを確か
めておく。もし一致しない場合には,以上の操作を繰り返して行う。
表2 標準液のpH
温度 (℃)
標準液
中性りん酸塩
ほう酸塩
20
6.88
9.22
25
6.86
9.18
30
6.85
9.14
(3) 測定 試料の温度を25±1℃に調整する。試料の表は,ガラス電極の球部を浸すのに十分な量とする。
測定操作は検出部の洗浄をはじめ,標準液で計器を調整する場合と全く同様に行い,引き続いて測定
された3回の結果が±0.1以内の範囲に入るまで行い,それらの平均値を求め測定値とする。
4.5
水分及び固形分
4.5.1
装置及び器具
(1) 蒸発ざら JIS R 1302の外径90mmのもの。
(2) デシケーター
(3) 化学はかり 感量1mg以上の精度のもの。
(4) 乾燥器 自動温度調節器付乾燥器 容量1.5kW以上のもの
(5) 電気炉 温度調節の可能な容量2kW以上のもの
4.5.2
操作 試料約10gを蒸発ざらに正確に量り採る。これを110±5℃の温度に保たれた乾燥器の中に
移し,そのまま2時間加熱乾燥する。乾燥後デシケーター内にさらを移し,室温になるまで放冷し,質量
を1mgまで量る。次にこれを電気炉に移し,300±10℃の温度で1時間加熱した後,さらをデシケーター
に移し,室温まで放冷し,再び質量を1mgまで量る。
4.5.3
計算 水分A1 (%) 及び固形分A2 (%) は,次の式によって算出する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
100
0
1
0
1
×
−
=
W
W
W
A
100
0
2
2
×
=W
W
A
ここに, W0: 試料の乾燥前の質量 (g)
W1: 110±5℃で2時間乾燥後の試料の質量 (g)
W2: 300±10℃で1時間加熱後の試料の質量 (g)
関連規格 JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
高分子部会 四ふっ化エチレン樹脂専門委員会 構成表(昭和44年12月1日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
太 田 清 水
ブリヂストンタイヤ株式会社
堀 三 陽
東邦大学
村 瀬 良 一
工業技術院繊維工業試験所
菊 地 一 寛
通商産業省化学工業局
大 橋 桂 次
工業技術院標準部
斎 藤 秀 夫
防衛庁技術研究所
杉 田 是 好
日本油圧工業会
泉 忠 之
日本管工事工業会
植 村 東 治
社団法人日本水道協会
三 枝 幸次郎
日本ピラー工業株式会社
浅 田 光 雄
三井物産株式会社
山 田 平八郎
三菱商事株式会社
藤 井 一 正
日本ジョンクレーン株式会社
近 森 徳 重
株式会社阪上製作所
荒 木 義 男
日本バルカー工業株式会社
石 垣 式 年
日本アスベスト株式会社
平 野 実
日本ダッジファイバーズ株式会社
森 山 康 弘
日東電気工業株式会社
小 林 政 治
大日日本電線株式会社
小 島 啓 示
住友電気工業株式会社
梅 原 稔
三井フロロケミカル株式会社
水 嶋 国 夫
ダイキン工業株式会社
野間口 兼 良
日本弗素化学協会
(事務局)
山 脇 政 次
工業技術院標準部繊維化学規格課
伊 藤 定 義
工業技術院標準部繊維化学規格課
(事務局)
青 木 誠 治
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和51年3月1日改正
のとき)
石 川 哲之介
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和51年3月1日改正
のとき)
(事務局)
小 林 勝
工業技術院標準部繊維化学規格課(平成7年4月1日改正の
とき)
砂 川 輝 美
工業技術院標準部繊維化学規格課(平成7年4月1日改正の
とき)