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K 6869:2009  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 原理······························································································································· 2 

5 試薬及び原料 ··················································································································· 2 

6 装置······························································································································· 3 

7 ポリマー試料の調製 ·········································································································· 3 

8 手順······························································································································· 3 

8.1 一般 ···························································································································· 3 

8.2 内標準物質溶液の調製 ···································································································· 3 

8.3 A法の試料溶液の調製····································································································· 3 

8.4 B法の試料溶液の調製 ····································································································· 3 

8.5 校正溶液の調製 ············································································································· 3 

8.6 ガスクロマトグラフの操作手順························································································· 4 

9 結果の表示 ······················································································································ 6 

9.1 検量線からの結果の算出 ································································································· 6 

9.2 結果の判定及び測定感度 ································································································· 7 

10 試験報告 ······················································································································· 7 

附属書A(参考)代表的な分析条件 ························································································· 8 

附属書B(参考)校正溶液の代表例························································································· 11 

附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 12 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本スチレン工業

会 (JSIA),日本プラスチック工業連盟 (JPIF) 及び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具

して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正

した日本工業規格である。これによって,JIS K 6869 : 1999は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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プラスチック−ガスクロマトグラフ法による 

ポリスチレン (PS) 及び耐衝撃性ポリスチレン (PS-I)  

中の残留スチレンモノマーの求め方 

Plastics-Determination of residual styrene monomer in polystyrene (PS) 

and impact-resistant polystyrene (PS-I) by gas chromatography 

序文 

この規格は,2006年に第2版として発行されたISO 2561を基に,技術的内容を変更して作成した日本

工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,ガスクロマトグラフ法によるポリスチレン(以下,PSという。)及び耐衝撃性ポリスチレ

ン(以下,PS-Iという。)中の残留スチレンモノマーの求め方について規定する。 

この方法によって,PS及びPS-I中のエチルベンゼン,クメン,α−メチルスチレンなどのスチレン以外

の芳香族炭化水素を同時に測定してもよい。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 2561 : 2006,Plastics−Determination of residual styrene monomer in polystyrene (PS) and 

impact-resistant polystyrene (PS-I) by gas chromatography (MOD) 

なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21に基づき,“修正している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則  

JIS K 8101 エタノール (99.5)(試薬) 

JIS K 8161 ジクロロメタン(試薬) 

JIS K 8500 N,N-ジメチルホルムアミド(試薬) 

JIS K 8900 2-ブタノン(試薬) 

JIS K 9703 2,2,4-トリメチルペンタン(試薬) 

JIS K 9705 テトラヒドロフラン(試薬) 

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JIS R 3505 ガラス製体積計 

ISO 472,Plastics−Vocabulary 

注記 1999年版。ISO 472 : 1988との対応日本工業規格としてJIS K 6900 : 1994(プラスチック−

用語)(IDT) がある。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,ISO 472による。 

原理 

PS又はPS-I試料(以下,ポリマー試料という。)を,内標準物質を含んだ溶媒に溶解する。ポリマー溶

液,又は沈殿剤添加によってポリマーを沈殿した後の上澄み溶液の少量をガスクロマトグラフに注入し,

溶液からスチレン及びスチレン以外の芳香族炭化水素(エチルベンゼン,クメン,α−メチルスチレンな

ど)を分離する。ポリマー溶液から分析する方法(A法)は,簡便で,かつ,上澄み溶液から分析する方

法(B法)と同等精度の結果が得られるが,ポリマー及びオリゴマーによるカラム及び注入口の汚染が経

時後に発生し,誤った結果を得ることがあるので,カラム及びインサート部品の交換について管理を行う

必要がある。 

注記 キャピラリカラムを用いる場合,注入口の内径が非常に細いため,注射器で直接注入すること

が通常は不可能である。そこで,注射器とカラム注入口との間にインサート部品(ライナー又

はガラスインサートともいう。)を用いて試料を気化し,その全量又は一部をカラム内に導入す

るという方法をとる。インサート部品内には,試料の気化を容易にするためにグラスウールが

詰めてあり,このグラスウールが汚れるため交換が必要となる。 

試薬及び原料 

試薬及び原料は,次による。 

5.1 

内標準物質 内標準物質は,ポリマー試料に含まれる揮発性物質及び溶媒の保持時間を考慮して選

定する。望ましい物質として,分析用純度のn-ブチルベンゼン,シクロペンタノール,1,2,4-トリメチルベ

ンゼン及び1,4-ジエチルベンゼンがある。5.2の溶媒との組合せは,n-ブチルベンゼンにはジクロロメタン

が,シクロペンタノールにはN,N-ジメチルホルムアミドが望ましい。 

なお,1,4-ジエチルベンゼンには,テトラヒドロフラン(JIS K 9705に規定するもの。)を用いる。 

5.2 

溶媒 溶媒は,N,N-ジメチルホルムアミド(JIS K 8500に規定するもの。),2-ブタノン(JIS K 8900

に規定するもの。),ジクロロメタン(JIS K 8161に規定するもの。),又はテトラヒドロフラン(JIS K 9705

に規定するもの。)を用いる(テトラヒドロフランは,A法だけに用いる。)。 

5.3 

沈殿剤 沈殿剤は,2,2,4-トリメチルペンタン(JIS K 9703に規定するもの。)又はエタノール(JIS K 

8101に規定するもの。)を用いる。 

5.4 

芳香族炭化水素 芳香族炭化水素は,市販の又は受渡当事者間の協議によるスチレン又はスチレン

以外の芳香族炭化水素(エチルベンゼン,クメン,α−メチルスチレンなど)を用いる。スチレンは,同

容量のエタノールと混合したときに,透明な混合液にならなければならない。 

5.5 

ガスクロマトグラフ用キャリヤガス及び燃焼用ガス キャリヤガスは,JIS K 0114の6.(検出器に

よるガスの使い分け)に規定するヘリウム又は窒素を用い,燃焼用ガスは,水素及び乾燥空気を用いる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

装置 

装置は,次による。 

6.1 

一般 通常の実験設備及び次の装置を必要とする。代表的な分析条件は,附属書Aを参照する。 

6.2 

ガスクロマトグラフ ガスクロマトグラフは,次による。 

6.2.1 

注入口 注入口は,液体サンプル用とする。カラムをキャピラリカラム(オープンチューブカラム)

にする場合は,注入口にはスプリッタを備えてもよい。 

6.2.2 

カラム カラムは,充てん式カラム又はキャピラリカラムのいずれかを用いる。充てん剤,液相の

種類,カラムの径及び長さは,分離度 (Re) がよく,かつ,検量線の直線性がよくなるように選定する。 

6.2.3 

検出器 検出器は,水素炎イオン化検出器(以下,FIDという。)を用いる。 

6.3 

データ処理装置 検出器からの信号を記録するため,データ処理装置として記録計又は電子的処理

装置を用いる。 

6.4 

マイクロシリンジ マイクロシリンジは,1 μL〜50 μLのものを用いる。オートインジェクタに組み

込まれたタイプを用いてもよい。 

6.5 

はかり はかりは,0.1 mgまで測定可能なもの。 

6.6 

全量フラスコ 全量フラスコは,JIS R 3505に規定するものを用いる。 

6.7 

全量ピペット 全量ピペットは,JIS R 3505に規定するものを用いる。 

ポリマー試料の調製 

ポリマー試料は,粉末,ペレット又は成形品から採取する。ポリマー試料の質量をできる限り正確には

かりとるために,大きなポリマー試料は,通常のペレットの大きさと同じ程度の径2 mm〜3 mmとする破

片にする。 

手順 

8.1 

一般 

次の8.2〜8.5の手順において,希釈操作を行っている間は,各溶液の温度を25 ℃以下に保つ。 

8.2 

内標準物質溶液の調製 

200 mgの内標準物質 (5.1) を1 mgまではかりとり,溶媒 (5.2) で内標準物質を洗い流しながら全量フ

ラスコに入れ,正確に1 000 mLとなるまで溶媒を加える。密栓し,よく混合する。 

8.3 

A法の試料溶液の調製 

0.5 gのポリマー試料を1 mgまではかりとり,25 mL〜100 mLのフラスコに入れる。さらに,内標準物

質溶液(8.2)20 mLを全量ピペットを用いて正確にはかりとり,加える。密栓しポリマー試料が完全に溶

解するまでよく混合する。 

8.4 

B法の試料溶液の調製 

0.5 gのポリマー試料を1 mgまではかりとり,100 mLのフラスコに入れる。さらに,内標準物質溶液 (8.2) 

20 mLを全量ピペットなどを用いて正確にはかりとり加える。密栓し,ポリマー試料が溶解するまでよく

混合する。ポリマー試料が完全に溶解した後に,全量ピペットを用いて10 mLの沈殿剤 (5.3) を加える。

よく混合した後,ポリマーが沈殿するまで静置する。マイクロシリンジを用い,この上澄み溶液をガスク

ロマトグラフに注入する。 

8.5 

校正溶液の調製 

8.5.1 

一般 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

分析するポリマー試料に含まれるスチレン又はスチレン以外の芳香族炭化水素の質量分率の推定値が,

ほぼ中心に入るように,表1によって,用いる校正溶液の濃度を数点選択する。これらの校正溶液は,各々

の芳香族炭化水素が測定できるように調製し,各溶液をガスクロマトグラフに注入するために保管する。 

表1−ポリマー試料中の芳香族炭化水素の推定質量分率と校正溶液との対応 

校正溶液の 

芳香族炭化水素の濃度 

mg/L 

ポリマー試料中の 

芳香族炭化水素の質量分率 

μg/g 

2.5  

100 

5.0  

200 

10.0  

400 

20.0  

800 

25.0  

1 000 

50.0  

2 000 

注記 例えば,ポリマー試料中のスチレンの推定質量分率が800 μg/g

の場合,表1によって選択する校正溶液は,溶液中のスチレン
の濃度が,5.0 mg/L,10.0 mg/L,20.0 mg/L,25.0 mg/Lなどにな
るものを用いる。スチレン以外の芳香族炭化水素も同時に分析
する場合は,同様の方法で芳香族炭化水素の濃度を選択し,上
記のスチレンに混合して校正溶液を作製することとなる。 

8.5.2 

A法の校正溶液 

校正溶液は,分析対象のスチレン(必要な場合は,エチルベンゼン,クメン,α−メチルスチレンなど

のスチレン以外の芳香族炭化水素)を0.1 mgまではかりとり,全量フラスコに入れる(スチレン以外の芳

香族炭化水素も分析対象に含める場合は,それぞれの物質を混合して用いてもよい。)。内標準物質溶液 

(8.2) を加え,表1から選択した4点以上の濃度となるよう希釈し,校正溶液を得る。 

注記 ここで用いる全量フラスコの容量の例を,表B.1に記載する。 

8.5.3 

B法の校正溶液 

内標準物質溶液 (8.2) を1 mLまではかりとり,大きめのフラスコに入れる。その後,内標準物質溶液

の半量の沈殿剤 (5.3) を加え,密栓してよく混合する(以下,沈殿剤溶液という。)。スチレン(必要なら

ばエチルベンゼン,クメン,α−メチルスチレンなどのスチレン以外の芳香族炭化水素)を,これらが収

容可能な容量のフラスコ中で0.1 mgまで計量し,沈殿剤溶液を加え,表1から選択した4点以上の濃度と

なるように希釈し,校正溶液を得る。 

注記 8.5.2の注記参照。 

8.6 

ガスクロマトグラフの操作手順 

8.6.1 

ガスクロマトグラフの操作条件 

スチレンと,エチルベンゼン,クメン,α−メチルスチレンなどのスチレン以外の芳香族炭化水素(ス

チレン以外のピークをもつ物質)との分離ができるようにクロマトグラフ条件,溶媒及び内標準物質を選

定する。内標準物質ピークとスチレン以外の分析成分ピークとの重なりが避けられない場合は,標準添加

法[JIS K 0114の11.8(標準添加法)]によって分析する。内標準物質ピークと不純物ピークとの重なりが

避けられない場合は,不純物ピークが無視できるまで内標準物質の濃度を高める。 

クロマトグラフは,次の性能を満足するように調整しなければならない。スチレン,内標準物質及びも

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

し必要ならば,エチルベンゼン,クメン,α−メチルスチレンなどのスチレン以外の芳香族炭化水素のピ

ークと,それらの直前及び直後に留出する成分ピークとの間の分離度 (Re) が1.0以上(可能であれば1.5

以上が望ましい。)となるように調整する。分離度 (Re) は,次の式によって算出する。 

)

)/(

(2

2

1

1

2

e

W

W

t

t

R

+

=

ここに, 

Re: 分離度 

t1及びt2: 二つのピークの保持時間 

W1及びW2: それぞれのピークに対応した半値幅 

ガスクロマトグラフの条件は,上記性能を得るように選択する。代表的な条件は,次による。また,A

法及びB法における詳細な分析条件を,附属書Aに示す。 

カラム 

: 金属管,ガラス管又は溶融シリカキャピラリが一般的である。 

充てんカラム  

: 市販の適切な充てん剤を充てんし,十分エージングする。 

キャピラリカラム 

: 適切な液膜の市販キャピラリカラムを選定し,十分エージング 

 して用いる。 

カラム温度 

: 特に規定しないが,テトラヒドロフランを溶媒とする場合は,

60 ℃から昇温速度4 ℃/minで100 ℃まで昇温し,更に昇温速度

10 ℃/min で150 ℃まで昇温する。 

注入口温度 

: 200 ℃〜250 ℃ 

検出器温度 

: 200 ℃〜250 ℃ 

キャリヤガス 

: ヘリウム又は窒素 

キャリヤガスの流量 

: 充てんカラムの場合,25 cm3/min〜90 cm3/min 

キャピラリカラムの場合,2.5 cm3/min〜10 cm3/min 

FID 

: 水素及び空気の流速は,次のことに注意して調整する。 

− 高い感度の応答 

− 測定する濃度範囲で直線的な応答 

− 流速の変化が応答又は感度へ影響をほとんど与えない。 

A法では,カラム及びインサート部品が,ポリマー,オリゴマーなどで汚染されるために,経時後,カ

ラム及びインサート部品の交換が必要である。特に,インサート部品の交換は,頻繁に行うほうがよい。 

8.6.2 

試料溶液及び校正溶液のガスクロマトグラムの記録 

用いるガスクロマトグラフの感度によって適切な量のポリマー試料溶液(8.3又は8.4によって調製)又

は校正溶液(8.5によって調製)を注入する。ポリマー試料溶液の注入量は,対応する校正溶液の注入量と

同量にする。スチレン,エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素,及び内標準物質のすべてが完全に留出す

るまでガスクロマトグラムを記録する。 

8.6.3 

ガスクロマトグラフピークの評価 

スチレン,内標準物質及び他の芳香族炭化水素の各々の保持時間の相対関係を,あらかじめ分析する。 

注記 表2に頻繁に測定する成分の保持時間の例を示す。得られる結果は,用いる装置及び操作条件

によって異なる。 

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表2−スチレン及び他の芳香族炭化水素の保持時間 

芳香族炭化水素 

保持時間 

分 

n-ブチルベンゼンに対する 

保持時間の割合 

エチルベンゼン 

3.4 

0.29 

クメン 

4.7 

0.39 

n-プロピルベンゼン 

5.9 

0.50 

スチレン 

8.2 

0.69 

n-ブチルベンゼン(内標準物質) 

11.9 

1.00 

a−メチルスチレン 

13.7 

1.15 

注記 附属書Aに代表的な分析条件及び代表的なガスクロマトグラム(図A.1参照)を示す。 

表2に示すもの以外に,まれに検出することがある微量成分として,ベンゼン,トルエン,o-,m-及び

p-キシレン,o-,m-及びp-エチルトルエン,並びにsec-ブチルベンゼンがある。 

求める成分及び内標準物質のピーク面積は,検出器からの信号をマイクロコンピュータなどを用いて積

分して求める。 

結果の表示 

9.1 

検量線からの結果の算出 

8.5によって調製した濃度の異なる4点以上の校正溶液を分析する場合は,最初にそれぞれの校正溶液の

ピーク面積比Y 'を,次の式によって算出する。 

s

a

'

/'

'

A

A

Y=

ここに, 

Y ': 校正溶液の測定成分と内標準物質とのピーク面積比 

A'a: 校正溶液のスチレン又はスチレン以外の芳香族炭化水素の

ピーク面積 

A's: 校正溶液の内標準物質のピーク面積 

その後,ピーク面積比Y 'に対する求める成分の濃度 (mg/mL) から検量線を作成する。 

作成した検量線から,次の直線回帰式を求める。 

b

C

a

Y

+

×

=

a'

'

ここに, 

Y ': 校正溶液の測定成分と内標準物質とのピーク面積比 

C 'a: 校正溶液の測定成分の濃度 (mg/mL) 

a: 直線回帰式の傾き 

b: 直線回帰式のY切片 

相関係数が0.995以下の場合,校正点の増加又は検量線の再作成を行う。 

試料溶液の測定の場合は,次の式の測定成分ごとのピーク面積比Yを算出する。 

s

a/A

A

Y=

ここに, 

Y: 測定成分ごとのピーク面積比 

Aa: スチレン又はスチレン以外の芳香族炭化水素とのピーク

面積 

As: 内標準物質のピーク面積 

測定成分の濃度を,次の式で算出する。 

a

b

Y

C

)/

(

a

=

ここに, 

Ca: 測定成分の濃度 (mg/mL) 

Y: 測定成分ごとのピーク面積比 

a: 直線回帰式の傾き 

b: 直線回帰式のY切片 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ポリマー試料中のスチレン又はスチレン以外の芳香族炭化水素のCaを用いて質量分率Pa(μg/g)を,次

の式によって算出する。 

)

10

)/(

20

(

3

p

a

a

×

×

=

m

C

P

ここに, 

Pa: 試料中のスチレン又はスチレン以外の芳香族炭化水素成

分の質量分率 (μg/g) 

Ca: 測定成分の濃度 (mg/mL) 

mp: ポリマー試料の質量 (g) 

20: 内標準物質溶液の容量 (mL) 

9.2 

結果の判定及び測定感度 

試料中の各芳香族炭化水素の繰返し測定における結果は,そのばらつきが,Paの平均値の5 %を超えて

はならない。この規格の方法による感度は,検出下限値で,数10 μg/gが期待できる。 

10 試験報告  

試験報告書には,次の項目を含まなければならない。 

a) この規格の規格番号(JIS K 6869) 

b) 試験したポリマーの識別を可能とする詳細事項 

c) 選択した方法(A法又はB法),ガスクロマトグラフ,用いた条件,用いた内標準物質及び溶媒(附

属書Aの代表的な分析条件を用いた場合は,その項目番号を参照してもよい。) 

d) 有効数字2けたで表示した,スチレン(及び必要ならば,他の芳香族炭化水素)の質量分率 (μg/g) 

e) 試験年月日 

K 6869:2009  

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附属書A 

(参考) 

代表的な分析条件 

この附属書は,本体について補足するもので,規定の一部ではない。 

A.1 A法  

A.1.1 充てんカラムの条件  

1) 装置 HP5890(ヒューレットパッカード社製) 

2) カラム ガラス管 

Uniport HPコート,PEG20Mを質量分率25 %含有 

長さ3.66 m,内径4 mm,粒子径180 μm〜250 μm 

3) カラム温度 110 ℃ 

4) 注入口温度 220 ℃ 

5) 検出器温度 220 ℃ 

6) キャリヤガス ヘリウム 流量90 cm3/min 

7) 注入方法 直接注入法 

8) 注入量 3 μL 

9) 検出器 水素炎イオン化検出器 (FID) 

10) 溶媒 ジメチルホルムアミド 

11) 内標準物質 シクロペンタノール 

12) 分離度 (Re) 3.7(スチレン) 

A.1.2 キャピラリカラムの条件  

1) 装置 HP5890A(ヒューレットパッカード社製) 

2) カラム 溶融石英管 

DB-WAX(J&W製),膜厚1 μm,長さ15 m,内径0.53 mm 

3) カラム温度 130 ℃ 

4) 注入口温度 200 ℃ 

5) 検出器温度 200 ℃ 

6) キャリヤガス ヘリウム 流量5 cm3/min 

7) 注入方法 直接注入法 

8) 注入量 1 μL 

9) 検出器 水素炎イオン化検出器 (FID) 

10) 溶媒 ジメチルホルムアミド 

11) 内標準物質 n-ブチルベンゼン 

12) 分離度 (Re) 2.8(スチレン) 

A.1.3 溶媒にテトラヒドロフラン (THF) を用いる条件 

1) 装置 GC-17A(島津製作所製) 

2) カラム けい酸ガラス細管 

K 6869:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

TC-WAX(GLサイエンス製),ガスクロマトグラフ用ポリエチレングリコールを0.5 μmの

厚さで塗布,長さ30 m,内径0.25 mm 

3) カラム温度 150 ℃(60 ℃から4 ℃/minで100 ℃まで昇温,更に10 ℃/minで150 ℃まで昇温) 

4) 注入口温度 220 ℃ 

5) 検出器温度 220 ℃付近 

6) キャリヤガス 窒素又はヘリウム,ジエチルベンゼンが約11分で流出する速度 

7) 注入方法 直接注入法 

8) 注入量 1 μL 

9) 検出器 水素炎イオン化検出器 (FID) 

10) 溶媒 テトラヒドロフラン 

11) 内標準物質 ジエチルベンゼン 

12) 分離度(Re) 記載なし 

A.2 B法  

A.2.1 充てんカラムの条件  

1) 装置 HP5890(ヒューレットパッカード社製) 

2) カラム ガラス管 

Uniport HPコート,PEG20Mを質量分率10 %含有 

長さ3.66 m,内径4 mm,粒子径180 μm〜250 μm 

3) カラム温度 80 ℃ 

4) 注入口温度 150 ℃ 

5) 検出器温度 150 ℃ 

6) キャリヤガス ヘリウム 流量90 cm3/min 

7) 注入方法 直接注入法 

8) 注入量 3 μL 

9) 検出器 水素炎イオン化検出器 (FID) 

10) 溶媒 ジクロロメタンとメタノールとの2 : 1混合溶液 

11) 内標準物質 n-ブチルベンゼン 

12) 分離度 (Re) 4.7(スチレン) 

A.2.2 キャピラリカラムの条件  

1) 装置 HP5890A(ヒューレットパッカード社製) 

2) カラム 溶融石英管 

DB-WAX(J&W製),膜厚1 μm,長さ15 m,内径0.53 mm 

3) カラム温度 50 ℃ 

4) 注入口温度 220 ℃ 

5) 検出器温度 220 ℃ 

6) キャリヤガス ヘリウム 流量10 cm3/min 

7) 注入方法 直接注入法 

8) 注入量 1 μL 

9) 検出器 水素炎イオン化検出器 (FID) 

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10 

K 6869:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

10) 溶媒 ジクロロメタンとメタノールとの2 : 1混合溶液 

11) 内標準物質 n-ブチルベンゼン 

12) 分離度 (Re) 7.5(スチレン) 

ピーク番号 

        保持時間(分) 

芳香族炭化水素名 

1  

 6.867 

トルエン 

2  

10.458 

エチルベンゼン 

3  

13.075 

イソプロピルベンゼン 

4  

15.683 

n-プロピルベンゼン 

5  

19.575 

スチレン 

6  

21.783 

シクロペンタノール 

図A.1−スチレン及びその他の芳香族炭化水素の代表的なガスクロマトグラム(A法及びA.1.1の条件) 

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11 

K 6869:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

校正溶液の代表例 

この附属書は,本体について補足するもので,規定の一部ではない。 

表B.1−校正溶液中の芳香族炭化水素の質量と試料溶液中の芳香族炭化水素の質量分率との対応 

A法及びB法で用いる代表的な校正溶液での例 

芳香族炭化水素 

の質量 

mg 

フラスコ容量 

 
 

mL 

校正溶液の添加量 

 
 

mL 

校正溶液20 mL中の 

芳香族炭化水素 

の質量 

mg 

ポリマー試料中の 
芳香族炭化水素の 

質量分率 

μg/g 

10.0 

200 

 0.5 

  0.025 

   50 

10.0 

200 

10.0 

0.5 

 1 000 

10.0 

100 

 0.5 

 0.05 

  100 

10.0 

100 

10.0 

1.0 

 2 000 

20.0 

100 

 0.5 

0.1 

  200 

20.0 

100 

10.0 

2.0 

 4 000 

20.0 

 50 

 0.5 

0.2 

  400 

20.0 

 50 

10.0 

4.0 

 8 000 

40.0 

 50 

 0.5 

0.4 

  800 

40.0 

 50 

10.0 

8.0 

16 000 

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12 

K 6869:2009  

附属書JA 

(参考) 

JISと対応する国際規格との対比表 

JIS K 6869 : 2009 プラスチック−ガスクロマトグラフ法によるポリスチレン (PS) 
及び耐衝撃性ポリスチレン (PS-I) 中の残留スチレンモノマーの求め方 

ISO 2561 : 2006,Plastics−Determination of residual styrene monomer in polystyrene 
(PS) and impact-resistant polystyrene (PS-I) by gas chromatography 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規格
番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

5 試薬及
び原料 

 
5.1 内標準物質 
1,4-ジエチルベンゼ
ンを追加した。 
最適な内標準物質
と溶媒との組合せ
を追加した。 
5.2 溶媒 
テトラヒドロフラ
ンを追加した。 
5.1 及び5.2に試薬
を規定 

 
 

 
追加 

 
揮発性物質測定法を追加する
変更を行った。 
試薬を規定した。 

 
国内で最も一般的に用いられてい
る方法を追加した。 
使用者の利便性のため試薬を規定
した。 
ISOに提案する。 

6 装置 

 
6.6 全量フラスコ 
6.7 全量ピペット 
の規定を追加 

 
追加 

 
装置(全量フラスコ及び全量ピ
ペット)の規定を追加。 

 
対応国際規格には,フラスコ及び
ピペットの規定がなく,それらの
必要精度が不明で使用者に不便で
ある。 
ISOに提案する。 

2

K

 6

8

6

9

2

0

0

9

2

K

 6

8

6

9

2

0

0

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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13 

K 6869:2009  

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規格
番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

8 手順 
 

 
8.3 
1)“25 mL〜100 mL
のフラスコ” 
 
2)“内標準物質溶液
20 mLを全量ピペッ
トを用いて正確に
加える” 


 
8.3 

 
 
1)“20 mLのメスフラス
コ” 
 
2)“内標準物質溶液を正
確に20 mL加える” 
 

 
 
変更 

 
 
1) 技術的差異なし。 
(対応国際規格の誤記修正) 
 
2) 技術的差異なし。 
(対応国際規格の不十分な点
の追加) 

 
 
1) 20 mLのメスフラスコでは不足
であるため,対応国際規格の誤記
の修正。 
2) 使用者の利便性のため追記。 
 
 

8.4 
“全量ピペットな
ど” 
8.5.1 校正溶液選択
に関する注記を追
加。 
8.5.2 全量フラスコ
容量の規定を削除
した。 
 
8.5.3 内標準物質溶
液量,フラスコ容量
の規定を削除した。 
8.6.1 
1)“標準添加法”の
規定を追加した。 
2) カラム温度の規
定をTHF溶媒を用
いる場合だけとし
た。 

8.4 
 
 
8.5.1 
 
 
8.5.2 
 
 
 
8.5.3 
 
 
8.6.1 

 
“注射器又はピペット” 
 
 
 
 
全量フラスコ容量を規
定。 
 
 
内標準物質溶液量,フラ
スコ容量を規定。 
 
 
 
 
2) 90 ℃〜110 ℃ 

 
変更 
 
 
 
 
削除 
 
 
 
削除 
 
 
 
追加 
 
追加 

 
技術的差異なし。 
 
技術的差異なし。 
(対応国際規格の不十分な点
の修正) 
技術的差異なし。 
(対応国際規格の不十分な点
の修正) 
 
8.5.2と同じ。 
 
 
 
1) 技術的差異なし。 
 
2) 規定を変更した。 
 

 
現存の注射器の誤差レベルが不明
りょう(瞭)なため,削除した。 
表1の関連など不明りょう(瞭)
であるため,使用者の利便のため
追加。 
全量フラスコ容量を1 000 mLで校
正溶液を作製することは不経済で
技術的根拠が薄いことから削除し
た。 
8.5.2と同じ。 
 
 
 
1) 使用者の利便のため追加。 
 
2) 国内で最も一般的に用いられて
いる条件を追加するため。 
 
ISOに提案する。 

2

K

 6

8

6

9

2

0

0

9

2

K

 6

8

6

9

2

0

0

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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14 

K 6869:2009  

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規格
番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

9 結果の
表示 
 

9.1 検量線からの結
果の算出 

Pa試料中のスチレ

ン等の質量分率を
求める式にある 
“20” の説明を追加。 

9.1 

“20” の説明なし。 

追加 

技術的差異なし。 

使用者の理解を促進するために追
加。 

附属書A 
(参考) 

A.1.3に条件例を追
加。 

附属書A  

追加 

ガスクロマトグラフ条件例示
を追加した。 

国内で最も一般的に用いられてい
る条件を追加した。 
ISOに提案する。 

 
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 2561 : 2006,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格の規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD …………… 国際規格を修正している。 
 

2

K

 6

8

6

9

2

0

0

9

2

K

 6

8

6

9

2

0

0

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。