2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6860-1974
接着剤の耐候性試験方法通則
General Recommended Practices for Atmospheric
Exposure of Adhesive Bonds
1. 適用範囲 この規格は,接着剤の耐候性を推知するために,試験片を屋外に暴露する試験方法の通則
について規定する。
関連規格 JIS A 1410 プラスチック建築材料の屋外暴露試験方法
JIS K 5400 塗料一般試験方法
JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
JIS Z 8445 ジュールとカロリーとの換算表
2. 用語の意味 この規格で用いる主たる用語の意味は次による。
(a) 耐候性 屋外において日光,風雨などの自然条件の影響を受けて時間の経過に伴って起こる物理的・
化学的影響に抵抗して接着剤が変化しにくい性質をいう。
(b) 耐候性試験 試験片を屋外の自然条件下に暴露して性能の変化を調べる試験をいう(以下,試験とい
う。)。
(c) 暴露試験片 試験のため屋外に暴露する試験片をいう。
(d) 保存試験片 暴露試験片と同一ロットから採取され暴露しないで標準状態において保存されるものを
いう。
(e) 初期性能試験片 暴露試験片と同一ロットから採取され,試験前の性能を測定するために使用される
ものをいう。
3. 試験片
3.1
試験片の作製 接着剤及び被着材料の種類により別の規格に定められた方法又は当事者間の協定に
より定められた接着剤性能試験方法の規格に規定された方法による。
3.2
試験片の数 それぞれの規格に定められた数の試験片を準備し,暴露用,保存用,初期性能試験用
の規定数をランダムに選び出したものを用いる。
3.3
試験片の表示 試験片の適当な箇所に試験番号,試験片番号,試験開始日,試験終了予定日などを
記入する。
4. 耐候性試験装置及び設置場所
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4.1
耐候性試験場の設置場所 耐候性試験場は,正東から正南までと正南から正西までの間において,
日の出30分後から日没30分前までの間に日光の直射を妨げるような地上物体がなく,年間平均日照時間
が2000時間以上と年間平均日射量が100000gcal/cm2 {418.6kJ/cm2} (1)以上との地域であって,年ごとの気
象の変化が統計上で大きくない地方で,試験の管理が行いやすいところであることが望ましい。
なお,ほこり,すす,砂などが飛来せず,有害なガス,水蒸気,霧,海塩粒子などが比較的少ない場所
に設置することが望ましい。
注(1) { }を付して示した単位及び数値は,国際単位系 (SI) によるものであって,1cal=4.18605J
とする。
4.2
耐候性試験台 耐候性試験台は図のような構造のもので,鋼材,木材などで作り,試験片取付具を
備え,いずれも適当な塗料で塗装して試験片を損傷しないようにしたものとする。
また試験片の暴露表面は正南向で,水平面との角度は原則として45°とし,また試験片の下端が地面か
ら700mm以上あるように保って強固に設置する。試験片取付具は,耐候性試験中も取付け,取り外しの
さいも試験片を損傷することがなく,また試験片の下端が取付けわくに滞留した水に浸されることがなく,
激しい風雨でも試験片が外れることがないような構造のものでなければならない。
図 耐候性試験台
5. 耐候性試験方法
5.1
暴露試験片の取扱い 暴露試験片の取扱いは次による。
(1) 暴露試験片は必要に応じて暴露の前後に標準状態で1週間放置する。
(2) 暴露試験片の暴露面は正南面(方位誤差2°以内)とし,水平に対して原則として45°に傾斜させる。
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(3) 暴露試験片の取付け又は支持には,変形に対するゆとりを十分に考慮する。
(4) 暴露試験片の取付け,取り外しに際しては,はなはだしい外力を加えたり,有害な損傷を与えないよ
うにする。
5.2
試験片の暴露方法と性能試験
(1) 暴露試験片の暴露期間は,接着剤の規格に定めた期間又は当事者間の協定により定めた期間。ただし,
1年間以内の試験のときは暴露は春季に始める。
(2) 暴露試験片の耐候性の時間的経過を調べるために,暴露試験中に観察又は性能試験を行う時期は,当
事者間の協定による。
(3) 試験片の性能を試験し観察する事項と方法とは,その規格に定めたもの,又は当事者間の協定により
定めたものとする。
(4) 保存試験片は,所定期間の暴露を行った試験片と共に性能の試験,観察を行う。
(5) 初期性能試験片は,暴露前の性能試験及び観察を行う。
6. 報告 次の事項について報告する。
(1) 接着剤と被着材料の種類及び名称
(2) 試験片の作り方,形状,寸法,接着条件,数量
(3) 採用した接着剤性能試験方法
(4) 暴露場所の所在地,緯度 経度,標高及び耐候性試験台の角度
(5) 暴露方法
(6) 暴露開始時期,中間試験時期,終了時期と暴露期間
(7) 暴露期間中の観察結果
(8) 性能試験結果
(9) 環境因子資料 次の項目の環境因子のうち必要と考えられるものについて報告する。
(a) 天候
(b) 気温
(c) 湿度
(d) 降水量
(e) 日照時間
(f) 日射量
(g) 紫外線量
(h) 風向
(i) 風速
(j) 降下ばいじん
(k) オゾン
(l) 亜硫酸ガス
(m) 海塩粒子など
(10) 試験を途中で中止又は中断した場合は,その時期,理由及び処置
(11) 台風その他の特記すべき事項
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高分子部会 接着剤試験方法専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
堀 岡 邦 典
東京農工大学
岡 崎 久
日本接着剤工業会
石 川 幸 二
日本自動車用品工業会
斉 藤 実
足立ベニヤ株式会社
芝 崎 一 郎
セメダイン株式会社
沖 津 俊 直
株式会社小西儀助商店浦和工場
川那辺 実
横浜ゴム株式会社
赤 羽 信 久
通商産業省基礎産業局
菊 地 邦 雄
工業技術院標準部
小 野 昌 孝
工業技術院製品科学研究所
島 田 勝 治
日木製靴株式会社
五十嵐 清 一
レンゴー株式会社中央研究所
川 名 勝
ボスチックジャパン株式会社
今 泉 勝 吉
建設省建築研究所
福 村 勉 郎
株式会社日立製作所中央研究所
山 口 章三郎
工学院大学
島 崎 昭 夫
富士電機製造株式会社中央研究所
市 村 五 郎
豊年製油株式会社
小 西 迪 夫
大日本インキ化学工業株式会社
(事務局)
石 川 哲之介
工業技術院標準部繊維化学規格課