2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6858-1974
接着剤の耐薬品性試験方法
Testing Methods for Resistance of
Adhesive Bonds to Chemical Substances
1. 適用範囲 この規格は,接着剤の耐薬品性を定められた方法で作製された標準の接着強さ試験片によ
って測定する方法について規定する。
引用規格:
JIS K 6848 接着剤の接着強さ試験方法通則
関連規格 JIS K 6857 接着剤の耐水性試験方法
JIS K 7114 プラスチックの耐薬品性試験方法
ASTM D 896-58 Standard Method of Test for Resistance of Adhesive Bonds to Chemical Reagents.
2. 試験の一般条件 JIS K 6848(接着剤の接着強さ試験方法通則)の3.による。
3. 試料のとり方及び扱い方 JIS K 6848の4.による。
4. 装置及び用具
4.1
処理容器 試験片を試験液に浸せきするための耐薬品性材料の容器で,試験片の間隔を適当に保ち,
試験片の周囲を規定温度の薬品が自由に流通しうる構造のものを用いる。また薬品の蒸発を防ぐため,密
封できる構造(すり合せのふたなど)とする。
4.2
浸せき用薬品の容量 処理容器にいれる薬品の容量は,試験片の容積の約10倍を使用する。
4.3
恒温室又は恒温そう 7.に示す処理条件が保持できる恒温室又は恒温そうを用いる。
5. 試験液
5.1
試験液に使用する薬品は,日本工業規格に規定するものを用いる。日本工業規格に規定のない薬品
は,当事者間の協定により品質を定める。
5.2
試験液の例を表に示す。
6. 試験片 試験片は接着剤の種類,被着材料により別の接着強さ試験方法の規格に規定された方法,又
は当事者間の協定により定めた接着強さ試験方法に規定された方法により作製する。試験片の数は,標準
状態下での試験片1組と耐薬品性試験片1組をそれぞれ規定数準備する。ただし同一接着剤について2種
類以上の耐薬品性試験をする場合は,標準状態下での試験片は,1組のみ規定数準備すればよい。
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K 6858-1974
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7. 操作
7.1
試験前後の外観検査 浸せき前における試験片及び試験液の外観を調べる。
7.2
試験片の処理 4.3の恒温室又は恒温そうに静置されている4.1の容器に試験片を収納し,表によっ
て選んだ試験液に20±1℃,7日間浸せきする。試験液は1昼夜に1回は必ずかきまぜる。浸せき終了後に
おいては,試験液が水溶液の場合は,試験片を流水で洗浄した後,乾燥した清潔な布でぬぐう。トルエン,
アルコールなどの揮発性溶媒の場合は,洗浄及びきれいにふく必要はない。油等の不揮発性有機薬品で試
験した場合は,洗浄することなく乾燥した清潔な布でぬぐう。
備考 浸せき温度,時間は当事者間の協定により変更しても差し支えない。
7.3
外観変化 試験終了後の試験片及び試験液の外観変化を調べる。
7.4
接着強さの測定 7.2で処理した試験片について,それぞれの接着強さ試験方法に従い,接着強さを
測定する。他の1組の試験片は,前処理することなく,通常の接着強さ試験(標準常態下での試験)に供
する。
表 試験液
n−ヘキサン
(JIS K 0504)
炭酸ソーダ
(JIS K 1201)
2%
かせいソーダ
(JIS K 1202)
10%
かせいソーダ
(JIS K 1202)
1%
硫酸
(JIS K 1302)
30%
硫酸
(JIS K 1302)
3%
硝酸
(JIS K 1308)
10%
塩酸
(JIS K 1310)
10%
酢酸
(JIS K 1351)
5%
過酸化水素
(JIS K 1463)
3%
アセトン
(JIS K 1503)
95% (V/V)
エチルアルコール
(JIS K 1505)
95% (V/V)
エチルアルコール
(JIS K 1505)
50% (V/V)
酢酸エチル
(JIS K 1513)
95% (V/V)
パークロルエチレン
(JIS K 1521)
トルエン
(JIS K 2431)
アンモニア水
(JIS K 8085)
10%
食塩
(JIS K 8150)
10%
蒸留水
オレイン酸
イソオクタン
ガソリン
マシン油
燈油
(JIS K 2203の1号)
絶縁油
(JIS C 2320の2号)
8. 計算 浸せき処理した試験片の平均接着強さ(耐薬品接着強さ)及び標準状態における平均接着強さ
(常態接着強さ)を算出し,更に次式により耐薬品接着強さ保持率 (%) を整数位まで求め,これを耐薬品
性とする。
100
×
=XY
R
ここに
R: 耐薬品接着強さ保持率
X: 常態接着強さ
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Y: 耐薬品接着強さ
9. 報告 測定結果の表し方は,次による。
(1) 接着剤の種類,等級,表示事項
(2) 試験片の種類と形状,作製方法及び接着条件(圧着方法,硬化条件,放置時間など)
(3) 試験液及び濃度
(4) 浸せき前後の接着層・薬品及び試験片の外観変化
(5) 浸せき温度及び時間(7.2に規定する温度及び時間を変更した場合)
(6) 採用した接着強さ試験方法
(7) それぞれの接着強さの平均値・最大値・最小値
(8) 耐薬品接着強さ保持率
高分子部会 接着剤試験方法専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
堀 岡 邦 典
東京農工大学
岡 崎 久
日本接着剤工業会
石 川 幸 二
日本自動車用品工業会
斉 藤 実
足立ベニヤ株式会社
芝 崎 一 郎
セメダイン株式会社
沖 津 俊 直
株式会社小西儀助商店浦和工場
川那辺 実
横浜ゴム株式会社
赤 羽 信 久
通商産業省基礎産業局
菊 地 邦 雄
工業技術院標準部
小 野 昌 孝
工業技術院製品科学研究所
島 田 勝 治
日本製靴株式会社
五十嵐 清 一
レンゴー株式会社中央研究所
川 名 勝
ポスチックジャパン株式会社
今 泉 勝 吉
建設省建築研究所
福 村 勉 郎
株式会社日立製作所中央研究所
山 口 章三郎
工学院大学
島 崎 昭 夫
富士電機製造株式会社中央研究所
市 村 五 郎
豊年製油株式会社
小 西 迪 夫
大日本インキ化学工業株式会社
(事務局)
石 川 哲之介
工業技術院標準部繊維化学規格課