2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6851-1994
接着剤の木材引張りせん断接着強さ
試験方法
Testing methods for tensile shear strength of wood-to-wood adhesive bonds
1. 適用範囲 この規格は,接着剤の引張りせん断接着強さの試験方法について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 6800 接着剤・接着用語
JIS K 6848 接着剤の接着強さ試験方法通則
JIS K 6900 プラスチック−用語
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 6237 : 1987 Adhesives−Wood-to-wood adhesive bonds−Determination of shear strength by
tensile loading
3. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参
考値である。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6800及びJIS K 6900による。
3. 試験の一般条件
3.1
試験室の標準状態 試験室の標準状態は,JIS K 6848の3.1(試験室の状態)による。
なお,特別の事情があるときは,JIS Z 8703の標準温度状態5級 (20±5℃) 及び標準湿度状態20級 [(65
±20) %] を適用してもよい。この場合,試験成績には適用した試験室の温度及び湿度を記録しなければな
らない。
3.2
接着剤の状態調節及び試験値の丸め方 接着剤の状態調節及び試験値の丸め方は,JIS K 6848の3.2
(接着剤の状態調節)及び3.3(試験値の丸め方)による。
4. 接着剤の採取方法及び取扱方法 接着剤の採取方法及び取扱方法は,JIS K 6848の4.(接着剤の採り
方及び取扱い方)による。
5. 試験機 試験機は,破壊荷重が引張試験機の容量の15〜85%に当たるもので,その標準荷重に対し許
容差±1%のものを用いる。荷重速度は毎分5.88kN {600kgf} 以下,又はクロスヘッドの移動速度を毎分0.5
〜2.0mmに調整する。
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6. 試験片
6.1
被着材の種類 被着材の種類は,JIS K 6848の5.(被着材及びその表面処理)に規定する木材及び
木質材料とする。
6.2
試験片材料の構成 試験片材料の構成は,3枚合わせの合板構成又は2枚合わせの平行構成とする。
6.3
合板試験片の作製 接着剤に製造業者の指定する配合剤を指定量加え,均一に混ぜる。この際,希
釈剤を少量加え,粘度を調整してもよい。この配合接着剤を被着材の接着しようとする厚さ1.2〜1.5mm
の心板単板の両面に製造業者の指定する量を,指定のないときは,心板単板の両面にそれぞれ1m2当たり
160±10gの割合で均等に塗布し,厚さ1.2〜1.5mmの表板及び裏板をそれぞれ木表が外側になるように,
繊維方向が心板と直交するように重ねて,製造業者の指定する条件で圧締して3枚合わせの合板を3枚作
製する。これを室温まで放冷した後,図1の形状及び寸法の試験片を作製する。この際,心板の裏割れに
対し,順方向にせん断力が掛かる試験片と逆方向にせん断力が掛かる試験片が同数になるように,切込み
を入れる。
図1 合板引張りせん断接着強さ試験片の形状及び寸法
6.4
2枚合わせ試験片の作製 厚さ5〜10mmの被着材の接着しようとする面を平滑に仕上げ,木材の主
繊維方向は図2の試験片の材軸と平行にする。接着剤に製造業者の指定する配合剤を指定量加え,混ぜて
均一にする。この際,希釈剤を少量加え,粘度を調整してもよい。この配合接着剤を被着材の接着しよう
とする面のそれぞれに製造業者の指定する量を,指定のないときは,接着しようとする面のそれぞれに1m2
当たり約100gの割合で均等に塗布し,両側面にずれないように接着面を密着させ,製造業者の指定する条
件で圧締して試験体を作製する。除圧後,室温下に規定時間保持した試験体から,図2の形状及び寸法の
試験片を切り取る。
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図2 2枚合わせ引張りせん断接着強さ試験片の形状及び寸法
6.5
試験片の数
6.5.1
合板試験片 合板試験片の数は,6.3によって切込みを入れたものA,Bそれぞれ5個計10個を,
作製した合板試験体3枚から取り,合計30個とする。このとき,個々の試験片の切込み間の長さを0.25mm
の精度で測定しておく。
6.5.2
2枚合わせ試験片 2枚合わせ試験片の数は,6.4によって作製した少なくとも3枚の試験体から合
計12個以上とする。このとき,個々の試験片の切込み間の長さを0.25mmの精度で測定しておく。
7. 試験の種類 試験片は,以下に示すどの試験を行うかによって,次の処理を行った後,引張せん断試
験に供する。
(1) 常態試験 試験片を3.1の試験室に48時間状態調節した後,そのままの条件で試験する。
(2) 耐水試験 試験片を30±1℃の水中に3時間浸せきした後,20±1℃の水中に10分間浸し,ぬれたま
まの状態で試験する。
(3) 耐温水試験 試験片を60±3℃の水中に3時間浸せきした後,室温の水中に冷めるまで浸し,ぬれた
ままの状態で試験する。
(4) 煮沸繰返し試験 試験片を沸騰水中に4時間浸せきした後,60±3℃の空気中で20時間乾燥し,再び
沸騰水中に4時間浸せきする。この処理後,室温の水中に冷めるまで浸し,ぬれたままの状態で試験
する。
(5) 連続煮沸試験 試験片を沸騰水中に72時間浸せきした後,室温の水中に冷めるまで浸し,ぬれたまま
の状態で試験する。
8. 操作 試験片取付け具(1)に試験片の両端を固く取り付け,5.の試験機によって試験片が破断するまで
の最大荷重を記録する。このとき,木部における破断した面積のせん断面積に対する百分率を10%刻みで
読み取り,木部破断率とする。
注(1) 試験片取付け具は,ねじれ及びはく離の応力がかからないような構造のものを用いる。
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9. 測定結果の処理
9.1
引張りせん断接着強さ 8.で得られた最大荷重とせん断面積から次の式によって,個々の試験片につ
いての接着剤の引張りせん断接着強さを求め,全測定値の平均を,合板試験片については小数点以下1け
たまで,2枚合わせ試験片については整数位に丸めて引張りせん断接着強さとする。
A
P
S=
ここに, S: 引張りせん断接着強さ (N/mm2) {kgf/cm2}
P: 最大荷重 (N) {kgf}
A: 試験片の二つの切込み間の実測したせん断面積 (mm2) {cm2}
9.2
平均木部破断率 8.で得られた個々の試験片の木部破断率の平均を求め,2捨3入して5%刻みで表
示する。
10. 報告 報告には,次の事項を記録する。
(1) 接着剤の種類及び配合
(2) 被着材の種類,厚さ及び表面処理方法
(3) 試験片の種類,作製方法及び接着条件(個々の試験片の寸法,圧締方法,圧力と時間,加熱方法,温
度と時間,保持時間など),接着剤の塗布量と塗布方法
(4) 試験の種類
(5) 試験体の数と全試験片の個数
(6) 試験時の荷重速度又はクロスヘッドの移動速度
(7) 個々の試験片の引張りせん断接着強さの平均値及び最大・最小値
(8) 木部破断率の平均値及び最大・最小値
(9) その他特記すべき事項
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JIS K 6851改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
小 野 昌 孝
実践女子大学
宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学
天 野 晋 武
工学院大学
長 沢 長八郎
工業技術院製品科学研究所
本 橋 健 司
建設省建築研究所
大 黒 昭 夫
農林水産省林業試験場
高 島 米 司
財団法人接着剤研究所
細 川 幹 夫
工業技術院標準部繊維化学規格課
柳 原 栄 一
株式会社日立製作所
増 原 憲 一
日新製鋼株式会社
斎 藤 満
株式会社東洋精機製作所
鶴 田 康 彦
大成建設株式会社
岩 田 立 男
ヤマハ株式会社
柳 原 誠 一
横浜ゴム株式会社
永 田 宏 二
セメダイン株式会社
永 沢 滋
コニシ株式会社
滝 沢 稔
ヘキスト合成株式会社
田 村 靖 夫
豊年製油株式会社
池 田 修
日立化成ポリマー株式会社
若 林 一 民
ノガワケミカル株式会社
池 田 順 一
財団法人日本規格協会
(事務局)
岡 崎 久
日本接着剤工業会