K 6814:2008
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 記号及び略語 ··················································································································· 1
4 原理······························································································································· 2
5 装置······························································································································· 2
5.1 加熱浴槽 ······················································································································ 2
5.2 オーブン ······················································································································ 2
5.3 その他器具 ··················································································································· 2
6 準備······························································································································· 2
6.1 試験片 ························································································································· 2
6.2 状態調節 ······················································································································ 3
7 試験方法························································································································· 4
8 結果の表し方 ··················································································································· 4
9 試験報告書 ······················································································································ 4
附属書A(参考)加熱伸縮率の推奨値 ······················································································ 5
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································· 6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,給水用ポリエチレンパイプ協会 (JP) ,日本
プラスチック工業連盟 (JPIF) 及び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規
格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規
格である。これによって,JIS K 6814-1:2002及びJIS K 6814-2:2002は廃止され,この規格に置き換えられ
た。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格
JIS
K 6814:2008
熱可塑性プラスチック管−加熱伸縮率試験方法
Thermoplastics pipes-Thermal reversion test method
序文
この規格は,2005年に第3版として発行されたISO 2505を基に,技術的内容を変更して作成した日本
工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,高温の液体又は高温の空気の中で熱可塑性プラスチック管(以下,管という。)を加熱し,
加熱伸縮率を求める方法について規定する。試験結果に疑義が生じた場合,高温の液体に浸せきする方法
を標準法として用いる。
この規格は,内外面が平滑で,かつ,断面が一定である管だけに適用する。平滑でない構造壁をもつ管
には適用しない。
注記1 平滑でない構造壁をもつ管には,リブ管,コルゲート管などがある。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 2505:2005,Thermoplastics pipes−Longitudinal reversion−Test method and parameters (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを
示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7507 ノギス
JIS K 6899-1 プラスチック−記号及び略語−第1部:基本ポリマー及びその特性
注記 対応国際規格:ISO 1043-1 Plastics−Symbols and abbreviated terms−Part 1: Basic polymers and
their special characteristics (IDT)
3
記号及び略語
この規格で用いるプラスチック材料の記号及び略語は,JIS K 6899-1によるほか,次による。
PE32/40
ポリエチレン,最小要求強度3.2 MPa及び4.0 MPa
PE50/63
ポリエチレン,最小要求強度5.0 MPa及び6.3 MPa
PE80/100 ポリエチレン,最小要求強度8.0 MPa及び10.0 MPa
2
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注記 この規格では,JIS K 6899-1によって次の記号及び略語を用いる。
ABS
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンプラスチック
PA
ポリアミド
ASA
アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステルプラスチック
PB
ポリブテン
PE-X
架橋ポリエチレン
PVC-C
ポリ塩化ビニル,塩素化
PVC-U
ポリ塩化ビニル,無可塑
PVC-HI
ポリ塩化ビニル,耐衝撃性
SAN+PVC
スチレン−アクリロニトリルプラスチック及びポリ塩化ビニルの混合物
PP-H
ポリプロピレン,ホモポリマー
PP-B
ポリプロピレン,ブロックコポリマー
PP-R
ポリプロピレン,ランダムコポリマー
4
原理
規定長さの管を,規定温度の加熱媒体中に規定時間静置する。管に付けた標線間の距離を,加熱前及び
加熱後に測定する。加熱伸縮率は,初期長さに対する変化を百分率で算出する。
5
装置
5.1
加熱浴槽 加熱浴槽は,表1に規定する温度TRに自動制御できるものとする。加熱浴槽の容積及び
かくはん能力は,試験片を浸せきしたとき,温度を規定範囲内に維持できるものでなければならない。用
いる加熱媒体は,規定温度で変質せず,また,試験片に何らかの影響も及ぼしてはならない。このような
加熱媒体として,ポリエチレングリコール又はシリコーン油が適している。
5.2
オーブン オーブンは,表1に規定する温度TRで許容変動幅±2 ℃に制御でき,かつ,試験片をオ
ーブンに入れ,扉を閉じた後15分以内に規定の温度に復帰できる自動温度調節装置を備えたものとする。
5.3
その他器具
5.3.1
保持具 保持具は,箇条7に示されている状態に,試験片を加熱浴槽中又はオーブン内で保持でき
るものを用いる。
5.3.2
温度計 温度計は,±0.5 ℃まで測定できるものを用いる。
5.3.3
ノギス ノギスは,JIS B 7507に規定するもので,測定精度が0.1 mm又はこれと同等以上のもの
を用いる。
6
準備
6.1
試験片
生産直後の管は,結晶化が進行中で性能が安定していないため,生産後少なくとも24時間経過した後,
6.2に規定する条件によって試験片を状態調節する。
長さ200 mm±20 mmの管を試験片として採取する。
次に,けがき具などを用いて,図1に示すようにこの試験片に管端からの距離が互いに等しく,標線間
が100 mmの間隔で2本の標線を円周全体にわたって付ける。
3
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図1−標線間直線距離L0
長さ1 mの管から同様な試験片を3個作製する。外径250 mm以上の管については,図2に示すように
軸方向に4等分して試験片を作製してもよい。
図2−外径250 mm以上の管の4等分の方法
表1−加熱浴槽又はオーブンを用いる場合の試験条件
熱可塑性プラスチック材料
加熱浴槽又はオーブンの温度TR
℃
加熱時間
min
試験片の長さ
mm
PVC-U
150±2
加熱浴槽の場合
e≦8 mm:15
8 mm<e≦16 mm:30
16 mm<e:60
オーブンの場合
e≦8 mm:60
8 mm<e≦16 mm:120
16 mm<e:240
200±20
PVC-C
150±2
PVC-HI
150±2
SAN+PVC
150±2
PA
150±2(オーブンだけに適用)
PE 32/40
100±2
PE 50/63
110±2
PE 80/100
110±2
PE-X
120±2
PB
110±2
PP-H及びPP-B
150±2
PP-R
135±2
ABS及びASA
150±2
注記1 eは,mmで示す厚さ(基準寸法)である。
注記2 略語は,JIS K 6899-1を参照。
6.2
状態調節
試験片は,厚さe(基準寸法)に応じて,23 ℃±2 ℃で,次に示す時間状態調節する。
e ≦ 3 mm: 1時間以上
3 mm < e ≦ 8 mm: 3時間以上
8 mm < e ≦ 16 mm: 6時間以上
16 mm < e
の場合:12時間以上
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7
試験方法
温度23 ℃±2 ℃で,標線間直線距離L0を,ノギス(5.3.3)を用いて測定し,0.25 mmまで読み取る。
加熱浴槽又はオーブンの温度を表1に示す温度TRに設定する。
試験片は,加熱浴槽又はオーブン内に,壁面及び底面と接触しないよう,自由に動ける状態でつるす。
加熱浴槽を用いる場合,試験片の全標線間部が,加熱媒体液面から30 mm以上の深さになるよう浸せきす
る。試験片をつり下げる方法は,収縮が妨げられない方法であればよい。
試験片は,加熱浴槽又はオーブン内に,表1に規定する時間及び温度で静置後,つり下げた状態で取り
出す。試験片を23 ℃±2 ℃まで冷却後,標線間直線距離Lの最大値及び最小値を,ノギス(5.3.3)を用
いて測定する。加熱によって試験片が湾曲した場合,標線間直線距離Lは,湾曲の外側を最大値とし,反
対の内側を最小値とする。
加熱後,目視で,試験片の表面に変化がある場合は再試験を行う。
なお,加熱伸縮率の推奨値は,附属書Aに示す。
8
結果の表し方
各試験片について,加熱伸縮率RLを次の式によって算出し,百分率で表す。
100
Δ
0
L
×
=LL
R
ここに,
ΔL: L0−L
L0: 加熱前の標線間直線距離(mm)
L: 加熱後の標線間直線距離(mm)
ΔLの絶対値が最大となるLの値を選ぶ。
管を4等分して試験片を作製した場合(図1参照),加熱伸縮率RLは測定した4個のRLのうち,絶対値
が上位3個のRLの平均値として計算する。
3個の試験片から得られた加熱伸縮率の算術平均を求め,これを管の加熱伸縮率RLとする。
9
試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の番号(JIS K 6814)
b) 管に関する詳細情報
c) 使用加熱媒体の情報
d) 加熱浴槽又はオーブンの設定温度TR及び試験時間
e) 正負の記号で示した各試験片の長さの変化ΔL
f)
加熱中又は取り出し直後の試験片の外観変化,例えば,膨れ,き裂など
g) 箇条8に従って求めた管の加熱伸縮率RLの値
h) 測定に影響を与えたと思われる事項,及びこの規格に規定されていない測定条件
i)
試験年月日
5
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附属書A
(参考)
加熱伸縮率の推奨値
加熱浴槽又はオーブンを用いて求めた加熱伸縮率の推奨値を,表A.1に示す。
表A.1−加熱伸縮率の推奨値
熱可塑性プラスチック材料
加熱伸縮率
%
熱可塑性プラスチック材料
加熱伸縮率
%
PVC-U
e≦8 mm:≦10
8 mm<e≦16 mm:≦8
16 mm<e:≦5
PB
≦2
PVC-C
PP-H
≦2
PVC-HI
PP-B
≦2
SAN+PVC
≦5
PP-R
≦2
PE
≦3
PA
≦2
PE-X
≦3
ABS及びASA
≦5
注記1 PVC-U,PVC-C及びPVC-HIで製造された管の加熱伸縮率は,管の厚さに依存し,厚さが薄い
ほど加熱伸縮率は大きくなる。このことは,管の製造工程時における冷却速度の差異によって,
残留ひずみに差異が生じるためである。
注記2 eは,mmで示す厚さ(基準寸法)である。
6
K 6814:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 6814:2008 熱可塑性プラスチック管−加熱伸縮率試験方法
ISO 2505:2005,Thermoplastics pipes−Longitudinal reversion−Test method and parameters
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範
囲
この試験方法が適
用できるプラスチ
ック管を規定
1
削除
ISO規格の次のNOTEを削除した。
“16 mmを超える肉厚の管は,この規格
の対象外である”
対象外とする根拠が不明確である。ISO規格
の見直し時に改正提案の予定。
3 記号及
び略語
プラスチック材料
の略語を規定
3
項目はJISと同
じ
変更
略語の説明をJIS K 6899-1に従い記述。 ISO規格ではABSとASAの説明でプラスチ
ックという言葉が抜けている。見直し時に改
正提案の予定。
5 装置
5.1 加熱
浴槽
温度制御,加熱媒
体について規定
5
5.1
変更
加熱媒体の記述をNOTEから本文に移
し,かつ,加熱媒体の種類をポリエチレ
ングリコール又はシリコーン油に変更
した。
耐熱性が優れた加熱媒体に変更して作業の
安全性を向上させる。見直し時に改正提案の
予定。
5.3.3ノギ
ス
−
−
追加
ISO規格では長さの測定器具を規定し
ていない。
精度を向上させるためノギスを採用した。
ISO規格の見直し時に改正提案の予定。
7 試験方
法
加熱前後の標線間
距離の測定を規定
7
変更
標線間距離の測定を,管の湾曲に沿って
巻尺ではかる方法から,ノギスを用いて
直線間をはかる方法に変更する。
曲線は精度よく測定できない。ノギスを用い
て直線間をはかる方法を,ISO規格の見直し
時に改正提案の予定。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 2505:2005,MOD
2
K
6
8
1
4
:
2
0
0
8
7
K 6814:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除………………国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加………………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更………………国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD………………国際規格を修正している。
2
K
6
8
1
4
:
2
0
0
8