K 6751-4 : 1999
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS K 6751は,次に示す部編成となっている。
第1部:一般項目
第2部:酸分測定−フェノールフタレイン滴定法
第3部:エステル分測定−けん化後滴定法
第4部:加熱減量,加熱後酸価及び体積固有抵抗測定
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6751-4 : 1999
フタル酸エステル試験方法−
第4部:加熱減量,加熱後酸価及び
体積固有抵抗測定
Testing methods for phthalic esters−
Part 4 : Heating loss, acid value after heating,
volume resistivity
1. 適用範囲 この規格は,工業用フタル酸エステルの加熱減量,加熱後酸価,体積固有抵抗測定の試験
方法について規定する。
この規格は,第1部と合わせて利用する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8101 エタノール (99.5) (試薬)
3. 試験方法
3.1
加熱減量 試料約30gを直径60mmの平形はかり瓶2個にそれぞれ1mgのけたまではかり,2個を
同時に乾燥器(1)に入れて125±3℃(2)で3時間加熱した後,デシケーターの中で常温になるまで放置し,各々
の減量を求め,次の式によって減量の百分率を算出して平均値をとる。ただし,2個の数値が著しく異な
るときは再試験を行う。
100
(%)
×
=mA
加熱減量
ここに, A: 試料の減量 (g)
m: 試料の質量 (g)
注(1) 乾燥は,高さ400mmの電熱恒温乾燥器を用い,そのほぼ中央に厚さ2〜3mm直径200mmの円形
耐熱板をおき,この上に試料を入れた平形はかり瓶を接して並べ,なるべく中央に置く。
(2) 温度計の先端は,試料の面と同じ高さで二つの液面の間に置く。
3.2
加熱後酸価
a) 原理 溶媒としてエタノールを使用し,水酸化カリウム標準溶液,指示薬としてフェノールフタレイ
ンを使用して酸価を測定する。
b) 試薬 試薬は,次のものを用いる。
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K 6751-4 : 1999
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1) エタノール JIS K 8101に規定するエタノール (99.5) の特級を用いる。
2) 0.1mol/λ水酸化カリウム溶液 JIS K 8001の4.5(18.3)によって調整したもの。
3) フェノールフタレインエタノール溶液 (1%)
c) 器具 器具は,次のものを用いる。
1) 三角フラスコ2個:200ml
2) ミクロビュレット:0.01mlの目盛
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
三角フラスコc)1)に加熱減量を測定した試料(3.1)から20gを1mgのけたまではかりとり,エタノー
ルb)1)40ml加えて十分に混合した後,指示薬としてフェノールフタレインエタノール溶液b)3)3,4
滴を加え,0.1mol/λ水酸化カリウム標準液b)2)をミクロビュレットc)2)から滴加して滴定し,薄いピン
ク色が30秒以上保つ点を終点とする。空試験として,別の三角フラスコにエタノール40mlをとり,
同様に滴定を行う。
e) 測定値の算出 次の式によって,酸価を算出する。
m
V
V
6.5
)
(
(KOHmg/g)
0
1
×
−
=
酸価
ここに, V1: この試験に使用した0.1mol/λ水酸化カリウム標準液b)2)の滴定
量 (ml)
V0: 空試験に使用した0.1mol/λ水酸化カリウム標準液の滴定量 (ml)
m: 試料の質量 (g)
備考 もし,0.1mol/λ水酸化カリウム標準液の濃度が正確でないなら,適当な補正が必要である。
3.3
体積固有抵抗 体積固有抵抗の測定に用いる装置と測定方法は,次のとおりとする。
a) 装置 装置には,次の器具を用いる。
回路 固有抵抗試験回路は,原則として図1に示すようなものとする。
この試験回路においては,検流計・分流器又は接続線などを適切に遮へいし,かつ,この漏えい抵
抗を高くする。また,試料に電圧を印加しない状態では,検流計が分流器目盛のいずれの位置におい
ても振れを生じないよう安定に保つ必要がある。
直流検流計 (G)
反照形検流計で,電流感度10〜100pA/mm (10−11〜10−10A/mm) 程度のもの。
分流器 (S)
直流検流計の感度を調整するために分流器を用いる。
標準抵抗 (Rs)
抵抗値1〜10MΩ (106〜107Ω) のものとする。
直流電源
電圧300〜500Vの蓄電池,乾電池又は電圧安定装置を備えた交流整流電源でもよい。
電極
測定用電極は黄銅製同心筒形の構造で,保護電極を備え,電極間げきは1〜2mm,これ
を空にしたときの静電容量は50pF程度のものとする。この電極の例を図2に示す。
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K 6751-4 : 1999
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図1 固有抵抗試験回路
備考 この電極は黄銅製で,外部電極は内径32mm,内部電極は外径30mm,高さ60mmの円筒で,内部電
極の上下に保護電極を取り付ける。電極間げきは,1mm,空の静電容量は約50pF,したがって電極定
数は約550cmである。
高圧及び低圧両電極は常時組立てられており,使用に当たっては試料をガラス容器に入れ,電極と
ともに十分洗浄した後,電極を差し入れ,そのまま恒温油槽中で指定温度に調整して使用する。
温度は恒温槽の温度による。試料はガラス容器に入れるから電極は分解する必要はないが,特に水
分又はじんあいのある試料を測定した後は,分解し清掃する方がよい。この場合,電極各部にはノッ
クピンを入れて分解して,もとの位置に組立て得るようにしてある。
図2 電極
b) 試料の準備 試料の適当量をガラス容器(図2)に入れ,これに電極を差し入れ,静かにこれを上下
又は回転して洗浄した後,この試料を捨てる。更に同様に試料をとってこれを試験用とする。電極が
はなはだしく汚れている場合は,ベンジンで洗浄し,よく乾燥し,更に上記の操作を繰り返して行う。
c) 操作 試料を入れた電極を恒温槽につけ,この液面から電極が約20mm程度出るよう支持し,液槽の
温度を30±1℃に約1時間保持してから試験を始める。
図1の試験回路において分流器Sの目盛を感度最低の位置に置き,スイッチKを閉じて試料に電圧
を印加する。次いで,検流計 (G) が適当な振れ20〜200mmを示すように分流器目盛を調節し,電圧
印加後1分間後の振れを記録する。この場合,検流計の周期に注意しながら誤差なく振れを測定しな
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ければならない。次に,試料の代わりに標準抵抗RSを接続し直す前と同じ測定を行う。いま,試料測
定時の分流器の分流比を1/Mx,検流計の振れをDx,標準抵抗測定時の分流比及び振れをそれぞれ1/Ms
及びDsとすれば
X
S
X
S
S
D
D
M
M
R
C
6.3
cm)
(
=
π
Ω・
固有抵抗
ここに,
C: 電極を空にした場合の静電容量 (pF)
3.6π: 定数 (cm/pF)
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可塑剤原案作成委員会・分科会 構成表
氏名
所属
委員会
分科会
(委員長)
荒 木 峻
東京都立大学名誉教授
◎
増 田 優
通商産業省基礎産業局
○
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
○
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
○
○
神 代 啓
社団法人日本化学工業協会
○
田 村 正 勝
日本プラスチック工業連盟
○
○
鹿 島 武
日本ビニル工業会
○
○
児 島 健 志
チッソ株式会社有機化学品事業部
○
◎
三 浦 恒 司
協和油化株式会社環境保安部
○
○
森 武 春 男
三菱化学株式会社化成品カンパニー化成
品第1事業部
○
○
柳 澤 邦 夫
積水化学工業株式会社化学品事業本部
○
○
山 中 宏
大八化学工業株式会社営業部
○
◎
矢ヶ部 正
アクゾノーベル株式会社フォスフォラス
ケミカル部
○
○
大 槻 謙 治
可塑剤工業会
○
○
(事務局)
三 須 武
社団法人日本化学工業協会
○
○
◎ 委員長,分科会主査を示す。
○ 委員会,分科会委員を示す。
文責 児島 健志