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K 6751-3: 1999  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

今回の制定では,ISO 1385-5 : 1977, Phthalate esters for industrial use−Methods of test−Part 5 : Determination 

of ester content−Titrimetric method after saponificationを基礎とした。 

JIS K 6751は,次に示す部編成となっている。 

第1部:一般項目 

第2部:酸分測定−フェノールフタレイン滴定法 

第3部:エステル分測定−けん化後滴定法 

第4部:加熱減量,加熱後酸価及び体積固有抵抗測定

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 6751-3: 1999 

フタル酸エステル試験方法− 

第3部:エステル分測定− 

けん化後滴定法 

Testing methods for phthalic esters− 

Part 3 : Determination of ester content−Titrimetric 

method after saponification 

序文 この規格は,1977年に第1版として発行されたISO 1385-5, Phthalate esters for industrial use−Methods 

of test−Part5 : Determination of ester content−Titrimetric method after saponificationを元に,技術的内容を変更

することなく作成した日本工業規格である。 

なお,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,工業用フタル酸エステルのけん化後滴定法によるエステル分の測定について

規定する。 

この規格は,第1部と合わせて利用する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 1385-5 : 1977 Phthalate esters for industrial use−Methods of test−Part 5 : Determination of 

ester content−Titrimetric method after saponification 

1.A 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成

する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬) 

2. 原理 水酸化カリウムエタノール溶液の過剰を加え,試料中のエステルをけん化後,フェノールフタ

レインを指示薬として塩酸標準液で逆滴定する。 

3. 試薬 分折試薬として認められたもの,蒸留水(JIS K 0557に規定するA3の水)又は同等の純度の

水を使用する。 

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K 6751-3: 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1 

水酸化カリウム−エタノール溶液 (1mol/l)  JIS K 8574に規定する水酸化カリウム66gをポリエチ

レン気密容器にとり,二酸化炭素を含まない水50mlを加えて溶かした後,JIS K 8102に規定するエタノ

ール(95)を加えて1lとする。振り混ぜて二酸化炭素を遮り2〜3日間放置した後,その上澄み液を気密容器

に移し,ソーダ石灰管を付けて保存する。 

3.2 

0.5mol/l塩酸(メタノール溶媒) JIS K 8001の4.5(5.4)によって調整したもの。 

3.3 

フェノールフタレイン−エタノール溶液 (5g/l)  JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン0.5g

をJIS K 8102に規定するエタノール(95)100mlに溶かし,薄い水酸化ナトリウム溶液を加えて薄いピンク

色にしたもの。 

4. 器具 次の器具を用いる。 

4.1 

三角フラスコ2個 ほうけい酸ガラス製,共栓付き300m1 

4.2 

還流冷却器 フラスコ(5.1)に合うすり合わせガラス付き 

4.3 

定量ピペット 試料10gまで計量できるもの 

5. 操作 

5.1 

水酸化カリウム−エタノール溶液 (1mol/l) (3.1)50mlを三角フラスコ(4.1)2個にそれぞれ続けて同じ

ピペットで入れる。次に,両フラスコに水5mlを加える。定量ピペット(4.3)で実験試料を次の表に従いフ

ラスコの一方に入れる。 

エステル 

アルキル基 試料質量 (g) 

分子量 

フタル酸ジメチル 

CH3 

2.2〜2.6 

194.2 

フタル酸ジエチル 

C2H5 

2.6〜3.0 

222.2 

フタル酸ジイソプロピル 

C3H7 

2.9〜3.3 

250.3 

フタル酸ジアリル 

C3H5 

2.9〜3.3 

246.3 

フタル酸ジイソブチル 

C4H9 

3.3〜3.7 

278.3 

フタル酸ジn−ブチル 

C4H9 

3.3〜3.7 

278.3 

フタル酸ジヘキシル 

C6H13 

4.0〜4.4 

334.4 

フタル酸ジヘプチル 

C7H15 

4.3〜4.7 

362.5 

フタル酸ジオクチル 

C8H17 

4.7〜5.1 

390.5 

フタル酸ジノニル 

C9H19 

5.0〜5.4 

418.6 

フタル酸ジデシル 

C10H21 

5.4〜5.8 

446.6 

フタル酸ジトリデシル 

C13H27 

6.2〜6.6 

530.8 

フタル酸ジブトキシエチル 

C6H13O 

4.4〜4.8 

366.4 

フタル酸ベンジルブチル 

3.7〜4.1 

312.3 

フタル酸ベンジルブチルは,次の化学式で示される 

C6H5−CH2OOCC6H4COO−C4H9 

5.2 

環流冷却器(4.2)にフラスコを取り付け,沸騰した水浴中で1時間加熱する。冷却器を付けたままフ

ラスコを取り出し,冷水に浸す。冷却してから水20mlで2回それぞれの冷却器の内部を洗い流す。フラ

スコを切り離し,さらに20mlの水で接続部を洗う。 

5.3 

それぞれのフラスコにフェノールフタレイン溶液(3.3)0.5mlを加え,0.5mol/l塩酸標準液(3.2)でピン

クの色が消えるまで試料と空試験をすぐに滴定する。 

6. 測定値の算出 フタル酸エステルC6H4 (COOR)2(R:フタル酸エステル中にあるアルキル基,5.1の表

参照)の質量パーセントで表すエステル分は,次の式によって算出する。 

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K 6751-3: 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(

)

(

)

166

20

100

1000

2

166

100

1000

2

1

0

1

0

A

M

m

V

V

M

m

m

A

V

V

M

×

=

×

×

×

=

エステル分

ここに, 

M: フタル酸エステル(5.1)の分子量 

V0: 空試験に使用した0.5mol/l塩酸標準液(3.2)の滴定量 (ml) 

V1: 試料のけん化後,未反応水酸化カリウムを中和するのに必

要な1mol/l塩酸標準液の滴定量 (ml) 

A: 酸分−フェノールフタレイン滴定法によるフタル酸量 

(%) 

m: 試料の質量 (g) 

166/2: 1mo1/l水酸化カリウム溶液1 000mlに対するフタル酸量 

(g) 

備考 もし,1mol/l塩酸標準液の濃度が正確でない場合,適切な補正が必要である。 

参考 エステル分をエステル価に換算する式は,理論上次のとおりである。 

参考表1 理論エステル価一覧表 

エステル 

アルキル基 理論エステル

価(KOHmg/g) 

分子量 

フタル酸ジメチル 

CH3 

578 

194.2 

フタル酸ジエチル 

C2H5 

505 

222.2 

フタル酸ジイソプロピル 

C3H7 

448 

250.3 

フタル酸ジアリル 

C3H5 

456 

246.3 

フタル酸ジイソブチル 

C4H9 

403 

278.3 

フタル酸ジn−ブチル 

C4H9 

403 

278.3 

フタル酸ジヘキシル 

C6H13 

336 

334.4 

フタル酸ジヘプチル 

C7H15 

310 

362.5 

フタル酸ジオクチル 

C8H17 

287 

390.5 

フタル酸ジノニル 

C9H19 

268 

418.6 

フタル酸ジデシル 

C10H21 

251 

446.6 

フタル酸ジトリデシル 

C13H27 

211 

530.8 

フタル酸ジブトキシエチル 

C6H13O 

306 

366.4 

フタル酸ベンジルブチル 

359 

312.3 

フタル酸ベンジルブチルは,次の化学式で示される 

C6H5−CH2OOCC6H4COO−C4H9 

エステル価 (KOHmg/g) 

100

C

=

ここに,B:エステル分 (%) 

C:理論エステル価 (KOHmg/g) 

K 6751-3: 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

可塑剤原案作成委員会・分科会 構成表 

氏名 

所属 

委員会 

分科会 

(委員長) 

荒 木   峻 

東京都立大学名誉教授 

◎ 

増 田   優 

通商産業省基礎産業局 

○ 

大 嶋 清 治 

工業技術院標準部 

○ 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

○ 

○ 

神 代   啓 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

田 村 正 勝 

日本プラスチック工業連盟 

○ 

○ 

鹿 島   武 

日本ビニル工業会 

○ 

○ 

児 島 健 志 

チッソ株式会社有機化学品事業部 

○ 

◎ 

三 浦 恒 司 

協和油化株式会社環境保安部 

○ 

○ 

森 武 春 男 

三菱化学株式会社化成品カンパニー化成

品第1事業部 

○ 

○ 

柳 澤 邦 夫 

積水化学工業株式会社化学品事業本部 

○ 

○ 

山 中   宏 

大八化学株式会社営業部 

○ 

◎ 

矢ヶ部   正 

アクゾノーベル株式会社フォスフォラス

ケミカル部 

○ 

○ 

大 槻 謙 治 

可塑剤工業会 

○ 

○ 

(事務局) 

三 須   武 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

○ 

◎ 委員長,分科会主査を示す。 
○ 委員会,分科会委員を示す。 

文責 児島健志