K 6740-1 : 1999 (ISO 1163-1 : 1995)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。これによって,JIS K 6740 : 1997は廃止され,この規格とJIS K 6740-2 : 1999に置き
換えられる。
今回の制定では,国際規格に整合させるために,JIS K 6740-1,JIS K 6740-2とし,この規格JIS K 6740-1
は,ISO 1163-1 : 1995, Plastics-Unplasticized poly (vinyl chloride) (PVC-U) moulding and extrusion materials−
Part 1 : Designation system and basis for specificationsを基礎として用い,国内の使用実態を考慮して,JIS K
6740の1976年版の内容を附属書とした。
JIS K 6740-1には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) 硬質塩化ビニルコンパウンドの分類項目,数値の区分及び分類の表し方
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6740-1 : 1999
(ISO 1163-1 : 1995)
プラスチック−
無可塑ポリ塩化ビニル (PVC-U)
成形用及び押出用材料−
第1部:呼び方のシステム及びその仕様表記
Plastics−Unplasticized poly (vinyl chloride) (PVC-U)
moulding and extrusion materials−
Part 1:Designation system and specifications
序文 この規格は,1995年に第3版として発行されたISO 1163-1 : 1995, Plastics−Unplasticized poly (vinyl
chloride) (PVC-U) moulding and extrusion materials−Part 1:Designation system and basis for specificationsを元
に作成した日本工業規格であり,附属書を除いて,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成
している。
附属書には,従来のJIS K 6740 : 1976で規定していた硬質塩化ビニルコンパウンドについて規定した。
なお,この規格の本体で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲
1.1
この規格は,熱可塑性材料である無可塑ポリ塩化ビニル (PVC-U) 製品の呼び方について規定する。
この呼び方は,仕様を表記する場合の基礎として用いることができる。
1.2
無可塑ポリ塩化ビニルを,次の性質の適切なレベル並びにポリマーの基本パラメータ,用途及び/
又は加工方法,重要な性質,添加剤,着色剤,充てん材,強化材に関する情報に基づいて区分する。
a) ビカット軟化温度
b) シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)
c) 引張弾性率
1.3
この規格は,塩化ビニル単独重合体及び塩化ビニルを少なくとも50% (m/m) 以上含む共重合体のす
べての無可塑の組成物に適用する。また,塩素化ポリ塩化ビニルを含む組成物にも適用でき,前述のポリ
マーの1種類以上の合計が少なくとも50% (m/m) 以上含む混合組成物にも適用する。
この規格は,粉状,か粒状又はペレット状で使用する材料及び着色剤,添加剤,充てん材などを加えた
材料又は加えない材料に適用できるが,発泡プラスチックには適用しない。
1.4
この規格の呼び方が同じ材料であっても,必ずしも同一の性能を示すとは限らない。この規格は,
特定の用途及び/又は加工方法のための材料を特定するときに必要なエンジニアリングデータ,性能デー
タ若しくは加工条件に関するデータを提供するものではない。
このような追加データが必要な場合は,この規格の第2部 (JIS K 6740-2) に規定する試験方法が適用で
2
K 6740-1 : 1999 (ISO 1163-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
きるならば,それによって測定する。
1.5
特定の用途向けに材料を規定するため,又は成形加工を再現性あるものにするために,要求事項を
データブロック5として追加してもよい(3.の最初の段落参照)。
1.6
附属書(規定)は,2003年3月31日まで適用する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。記載された発効年(又は発行年)の版だけがこの規格の規定を構成するものであって,その後の改正
版・追補には適用しない。
JIS K 6740-2 : 1999 プラスチック−無可塑ポリ塩化ビニル (PVC-U) 成形用及び押出用材料−第2
部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
備考 ISO 1163-2 : 1995, Plastics−Unplasticized poly (vinyl chloride) (PVC-U) moulding and extrusion
materials−Part 2:Preparation of test specimens and determination of propertiesが,この規格
と一致している。
JIS K 6899 : 1992 プラスチック−記号−第1部:基本重合体(ポリマー)及びそれらの特性
備考 ISO 1043-1 : 1987, Plastics−Symbols-−Part 1:Basic polymers and their special characteristics が,
この規格と一致している。
3. 呼び方及び仕様表記のシステム 熱可塑性プラスチックの呼び方及び仕様表記のシステムは,次の標
準様式による。
呼び方
種類ブロック
(記載任意)
識別項目ブロック
規格番号
ブロック
個別項目ブロック
データ
ブロック
1
データ
ブロック
2
データ
ブロック
3
データ
ブロック
4
データ
ブロック
5
この呼び方は,記載任意な種類ブロック(熱可塑性プラスチックと記す。)及び識別項目ブロックによっ
て構成し,さらに,識別項目ブロックは,規格番号ブロック及び個別項目ブロックによって構成する。
規格番号ブロックには,この規格の番号“JIS K 6740-1”及び括弧内に入れた国際規格番号“(ISO 1163-1)”
の両者を記す。
あいまいな表示を避けるため,個別項目ブロックを,更に次の五つのデータブロックに細分する。
− データブロック1:JIS K 6899に従った記号PVC-Uで,無可塑ポリ塩化ビニルを識別(3.1参照)
− データブロック2:位置1:用途又は加工方法(3.2参照)
位置2〜8:重要な性質,添加剤及びその他補足情報(3.2参照)
− データブロック3:区分用の性質(3.3参照)
− データブロック4:充てん材又は強化材,及びそれらの公称含有率。ただし,この規格では使用しな
い。
− データブロック5:仕様表記のために,追加情報を含む第5番目のデータブロックを加えてもよい。
個別項目ブロックの最初の文字は,ハイフンとする。それぞれのデータブロックは,互いにコンマで区
切る。
使わないデータブロックがある場合は,そのデータブロックを二つ続きの分離記号,すなわち,二つの
コンマ“,,”によって示す。
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K 6740-1 : 1999 (ISO 1163-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.1
データブロック1 このデータブロックでは,ハイフンの後に,無可塑ポリ塩化ビニルをJIS K 6899
による記号PVC-Uで識別する。
3.2
データブロック2 このデータブロックでは,位置1に用途及び/又は加工方法についての情報を,
位置2〜8に重要な性質,添加剤及び着色剤についての情報を,表1に示すコード(文字)を用いて表示す
る。位置2〜8の情報があり,位置1の情報がない場合には,位置1にコード“X”を挿入する。
表1 データブロック2に使用するコード
コード
位置1
コード
位置2〜8
B
ブロー成形用
B
ブロッキング防止処
方
C
カレンダー加工用
C
着色品
D
ディスク製造用
D
粉末
E
押出用
E
発泡処方
F
フィルム押出用
F
特殊燃焼性処方
G
一般用
G
ペレット,か粒
H
コーティング用
H
熱老化安定処方
L
モノフィラメント押出用
L
耐光又は耐候処方
M
射出成形用
N
自然色(非着色品)
P
耐衝撃処方
Q
圧縮成形用
R
回転成形用
R
離型剤処方
S
焼結成形用
S
滑剤処方
T
テープ用
T
透明
V
熱成形用
X
表示なし
Y
導電処方
Z
帯電防止処方
3.3
データブロック3 このデータブロックでは,ビカット軟化温度の範囲を3けたのコード(数字)で
表し(3.3.1参照),シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)の範囲を2けたのコード(数字)で表し(3.3.2参
照),引張弾性率の範囲をコード(文字)と2けたのコード(数字)で表す(3.3.3参照)。ビカット軟化温
度,シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)及び引張弾性率のコードの間には,ハイフンを入れる。
ビカット軟化温度,シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)及び引張弾性率の値が範囲の境界上にあるか,
又はそれに近い場合は,製造業者はその材料がどちらの範囲に入るかを決める。その後,その材料の個々
の試験値が,仮にその範囲から外れても製造許容範囲にあるならば,そのコードを変える必要はない。
備考1. ビカット軟化温度,シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)及び引張弾性率のコードのすべての
組合せのポリマーが,現在入手できるとは限らない。
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K 6740-1 : 1999 (ISO 1163-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2 データブロック3の区分用の性質に使用するコード
ビカット軟化温度
シャルピー衝撃強さ
(ノッチ付き)
引張弾性率
コード
範囲
℃
コード
範囲
kJ/m2
コード
範囲
MPa
058
≦ 60
05
≦ 10
18
≦2 000
062
60<〜≦ 64
25
10<〜≦ 40
23
2 000<〜≦2 500
066
64<〜≦ 68
50
40<
28
2 500<〜≦3 000
070
68<〜≦ 72
33
3 000<
074
72<〜≦ 76
078
76<〜≦ 80
082
80<〜≦ 84
086
84<〜≦ 88
090
88<〜≦ 92
094
92<〜≦ 96
098
96<〜≦ 100
102
100<〜≦ 104
106
104<〜≦ 108
110
108<〜≦ 112
114
112<〜≦ 116
118
116<〜≦ 120
122
120<
3.3.1
ビカット軟化温度 ビカット軟化温度は,JIS K 6740-2に従って測定する。
表2に規定するように,ビカット軟化温度は3けたのコード(数字)で表示する。
3.3.2
シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き) シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)は,JIS K 6740-2に従っ
て測定する。
表2に規定するように,シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)の値を三つの範囲に分割し,2けたのコー
ド(数字)で表示する。
3.3.3
引張弾性率 引張弾性率は,JIS K 6740-2に従って測定する。
表2に規定するように,引張弾性率の値を四つの範囲に分割し,2けたのコード(数字)で表示する。
引張弾性率であることは,範囲を示すコードの前にコード(文字)T (Tension) を付けて表示する。
3.4
データブロック4 この規格では使用しない。
3.5
データブロック5 このデータブロックには,特定用途の材料仕様を表記するために必要な場合,追
加事項を表示する。例えば,適切な日本工業規格又は一般に用いられている標準的な仕様を引用する。
4. 呼び方の例
4.1
押出用 (E) として製造され,ペレット (G) の形をしていて,耐光又は耐候処方 (L) で,自然色(非
着色品) (N) で,ビカット軟化温度82℃ (082),シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)8kJ/m2 (05),引張弾
性率3 700 MPa (T33) である熱可塑性プラスチック材料,無可塑ポリ塩化ビニル (PVC-U) は,次のように
表示する。
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K 6740-1 : 1999 (ISO 1163-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
呼び方:JIS K 6740-1 (ISO 1163-1) -PVC-U, EGLN, 082-05-T33
4.2
ブロー成形用 (B) として製造され,粉末 (D) で,透明 (T) で,ビカット軟化温度74℃ (074),シ
ャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)25kJ/m2 (25),引張弾性率2 670 MPa (T28) である熱可塑性プラスチック
材料,無可塑ポリ塩化ビニル (PVC-U) は,次のように表示する。
呼び方:JIS K 6740-1 (ISO 1163-1) -PVC-U, BDT, 074-25-T28
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K 6740-1 : 1999 (ISO 1163-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定) 硬質塩化ビニルコンパウンドの分類項目,
数値の区分及び分類の表し方
まえがき この附属書は,国際規格を日本工業規格に導入するため,経過措置として添付するが2003年3
月31日まで適用する。
参考 この附属書は,従来の日本工業規格JIS K 6740 : 1976の分類項目,数値の区分及び分類の表し
方に一致している。
1. 適用範囲 この附属書は,硬質塩化ビニルコンパウンドの分類項目,数値の区分及び分類の表し方に
ついて規定する。
備考 硬質塩化ビニルコンパウンドとは,塩化ビニルの単独重合体,共重合体若しくはこれらの混合
体又はこれらと他の重合体との混合体からなり,塩化ビニルを主成分とする樹脂に必要とする
安定剤,充てん剤,着色剤,可塑剤などを混合して粒状又は粉状に加工したものであって,曲
げ弾性率がJIS K 6740-2の附属書4.1によって測定したとき1 500N/mm2以上であるコンパウン
ドをいう。
2. 分類項目及び数値の区分 硬質塩化ビニルコンパウンド(以下,コンパウンドという。)は,次の附属
書表1に示す四つの性質について該当数値の区分番号の組合せで分類する。
附属書表1
性質
試験方法
番号
単位
数値の区分
0
1
2
3
4
5
6
7
8
曲げ弾性率
JIS K
6740-2
附属書4.1
N/mm2
規定せず
1 500〜
2 000
2 100〜
2 500
2 600〜
2 900
3 000以上
−
−
−
−
アイゾット
衝撃強さ
JIS K
6740-2
附属書4.2
J/cm
規定せず
0.1〜0.34
0.35〜0.74
0.75〜1.5
1.6〜3.4
3.5〜5.9
6.0以上
−
−
引張強さ
JIS K
6740-2
附属書4.3
N/mm2
規定せず
29〜37
38〜44
45〜52
53〜59
60以上
−
−
−
ビカット軟
化点
JIS K
6740-2
附属書4.4
℃
規定せず
70〜75
76〜80
81〜85
86〜90
91〜95
96〜100
101〜110
111以上
備考1. 数値を特に規定しない場合は,区分番号0を適用する。
2. ある性質の数値が該当する区分の数値範囲に入らない場合でも,その数値が該当する区分に隣接する区分の数値範
囲に入ればよい。
3. 分類の表し方 分類の表し方は,次による。
JIS K 6740-2の附属書4に示す性質の順序に従い,コンパウンドが属する数値の区分番号で示す。
例 曲げ弾性率2 600N/mm2,アイゾット衝撃強さ0.4J/cm,引張強さ44N/mm2,ビカット軟化点を特
に指定しない場合のコンパウンドは,次のように表す。
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K 6740-1 : 1999 (ISO 1163-1 : 1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 6740-1[プラスチック−無可塑ポリ塩化ビニル (PVC-U) 成形用及び押出用材料−
第1部:呼び方のシステム及びその仕様表記]制定原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
牧 廣
拓殖大学工学部(名誉教授)
(委員)
大 嶋 清 治
工業技術院標準部材料規格課
増 田 優
通商産業省基礎産業局化学製品課
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
高 野 忠 夫
財団法人高分子素材センター
田 村 正 勝
日本プラスチック工業連盟
堀 田 文 夫
塩化ビニル管・継手協会
足 立 三 郎
硬質塩化ビニール板協会
柴 田 康 之
日本異形押出製品工業会
相 澤 明
三菱樹脂株式会社
石 井 恒
住友ベークライト株式会社
宮 下 俊 逸
鐘淵化学工業株式会社
木 下 昌 紀
信越ポリマー株式会社
福 井 幸 雄
ゼオン化成株式会社
箱 崎 富 雄
三菱化学MKV株式会社
村 上 文 良
理研ビニル工業株式会社
山 田 研太郎
チッソ株式会社
鹿 島 武
日本ビニル工業会
(事務局)
濱 島 俊 行
日本プラスチック工業連盟
文責 山田研太郎
木下昌紀
鹿島 武
濱島俊行