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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K6732-1996 

農業用ポリ塩化ビニルフィルム 

Poly (vinyl chloride) films for agriculture 

1. 適用範囲 この規格は,主に農業用に用いる外張用ポリ塩化ビニルフィルム(以下,外張用農ビとい

う。)及び内張用ポリ塩化ビニルフィルム(以下,内張用農ビという。)について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 7503 ダイヤルゲージ 

JIS B 7753 サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機 

JIS K 6253 加硫ゴムの硬さ試験方法 

JIS K 6900 プラスチック−用語 

JIS K 7100 プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態 

JIS P 8116 紙及び板紙の引裂強さ試験方法 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

2. この規格の中で{ }を付けてある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参考と

して併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900によるほか,次による。 

(1) 外張用農ビ 農業用に用いるハウス,雨よけ施設,露地トンネルなどの構造物の屋根・側壁などに被

覆する農ビ。 

(2) 内張用農ビ 農業用に用いるガラス室及びプラスチックハウス内で使用する固定内張用,カーテン用

及びトンネル用の農ビ。 

(3) ハウス 農ビなどガラス以外の資材で被覆され,人が中に入って作業ができる施設。 

(4) べた付き性 農ビを重ねて置くと互いに密着して離れにくくなる性質。 

3. 種類 種類は,農業用に用いる外張用農ビ及び内張用農ビとし,厚さは,表1のとおりとする。 

表1 種類(外張用農ビ及び内張用農ビ)と厚さ 

種類 

厚さmm 

外張用農ビ 

0.05,0.075,0.10,0.13,0.15,0.20 

内張用農ビ 

0.05,0.075 

4. 性能 外張用農ビ及び内張用農ビは,9.によって試験を行い,外張用農ビは表2.1に,内張用農ビは表

2.2に適合しなければならない。 

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K6732-1996  

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表2.1 外張用農ビの性能 

試験項目 

厚さmm 

適用箇条 

0.05 

0.075 

0.10 

0.13 

0.15 

0.20 

引張切断強さ 

N {kgf} 

{0.8} 以上 

12 

{1.2} 以上 

15 

{1.5} 以上 

18 

{1.8} 以上 

22 

{2.2} 以上 

30 

{3.0} 以上 

9.3 

伸び 

% 180以上 

210以上 

230以上 

240以上 

9.3 



直角形引裂強さ 

N {kgf} 

1.5 

{0.15} 以上 

2.5 

{0.25} 以上 

3.5 

{0.35} 以上 

4.5 

{0.45} 以上 

5.5 

{0.55} 以上 

7.5 

{0.75} 以上 

9.4.1 

エルメンドル
フ引裂強さ 

N {kgf} 

3.0 

{0.30} 以上 

4.0 

{0.40} 以上 

6.0 

{0.60} 以上 

7.5 

{0.75} 以上 

9.0 

{0.90} 以上 12.0 

{1.20} 以上 

9.4.2 


低温伸び 

10以上 

12以上 

13以上 

9.5 



変色試験 

著しい黄変がないこと。 

9.6.3 

試験後の 
伸び残率 

50以上 

55以上 

60以上 

9.6.4 

表2.2 内張用農ビの性能 

試験項目 

厚さ mm 

適用箇条 

0.05 

0.075 

引張切断強さ N {kgf}  

{0.7} 以上 

10 

{1.0} 以上 9.3 

伸び 

150以上 

170以上 

9.3 



直角形引裂強さ 

N {kgf} 

1.5 

{0.15} 以上 

2.5 

{0.25} 以上 9.4.1 

エルメンドルフ引裂
強さ 

N {kgf} 

2.0 

{0.20} 以上 

3.0 

{0.30} 以上 9.4.2 



変色試験 

著しい黄変がないこと。 9.6.3 

試験後の伸び残率 

40以上 

9.6.4 

べた付き性 

N {gf} 

0.35 

{35} 以下 

9.7 

備考 固定内張用農ビにはべた付き性を適用しない。 

5. 寸法 

5.1 

幅及び長さ 外張用農ビ及び内張用農ビの幅及び長さは,表3のとおりとする。 

また,幅及び長さの負側の許容差は零とする。 

なお,幅及び長さについては,受渡当事者間の協定によって表3以外の寸法のものでもよい。 

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表3 外張用農ビ及び内張用 

農ビの幅及び長さ 

幅 cm 

長さ m 

135 

100 

185 

230 

270 

300 

370 

5.2 

厚さ 8.1によって採取した3枚の厚さ測定用試料の,それぞれ幅方向に等分した5か所をダイヤル

ゲージ(1)で測り,0.001mmまでの読みを記録する。記録された厚さの全数値の中で,大小それぞれ3個の

値を除いた9個の値の平均値を求め,これを平均厚さとし,厚さとの差を求める。前に測定した9個の厚

さの最高値及び最低値と平均厚さとの差を平均値で除した値を百分率で示し,これを平均厚さに対する許

容差とする。外張用農ビ及び内張用農ビの厚さは,外張用農ビは表4.1に,内張用農ビは表4.2に適合しな

ければならない。 

注(1) ダイヤルゲージは,JIS B 7503に規定するもの(測定範囲1mm又は2mmのもの)で,そのスピ

ンドルの測定子は直径5±0.01mmの平滑円形の測定面をもち,かつ,アンビルは,直径が30mm

以上の平滑面からできているものを用いる。アンビルは,垂直で,ダイヤル径は50mm以上で,

0.001mmまで読める目盛をもち,加圧荷重は,原則として0.8N {80gf} とする。この場合,これ

と同等以上の精度をもつものでもよい。 

表4.1 外張用農ビの厚さ及び許容差 

厚さ mm 

0.05 

0.075 

0.10 

0.13 

0.15 

0.20 

許容差 

厚さと平均厚さとの差 

mm 

幅185cm以下のもの 

±0.005 

幅185cmを超えるもの 

±0.007 

平均厚さに対する許容差 

幅185cm以下のもの 

±20 ±15 ±10 

±8 

±7 

±6 

幅185cmを超えるもの ±25 ±20 ±15 ±12 

±10 

表4.2 内張用農ビの厚さ及び許容差 

厚さ mm 

0.05 

0.075 


厚さと平均厚さとの差 

mm 

幅185cm以下のもの 

±0.005 

幅185cmを超えるもの 

±0.007 

平均厚さに対する許容差 

幅185cm以下のもの 

±20 

±15 

幅185cmを超えるもの 

±25 

±20 

6. 外観 外観は,次のとおりとする。 

(1) 概略 試験片用試料全部をすりガラス板上に置いて,下部から電灯光を当て,異常箇所(泡,むら,

しわ,異物質,ピンホール及び色むら)の有無を約1m上から目視によって調べ,異常がないこと。 

(2) 精密 図2の試験片について精密にピンホール及び異物質の存在箇所を目視によって調べ,異常箇所

は10以内であること。 

7. 材料及び加工方法 材料及び加工方法は,次のとおりとする。 

(1) 外張用農ビ及び内張用農ビは,ポリ塩化ビニル及び可塑剤を主体とし,安定剤などを添加した配合物

を膜状に成形したものとする。 

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(2) 材料にはカドミウム化合物を使用してはならない。 

(3) 外張用農ビ及び内張用農ビは,透明品又は絞物とする。 

また,着色したものでもよい。 

8. 試験片の採取方法 

8.1 

試料の採取方法 試料は,外張用農ビ,内張用農ビともに巻上がりフィルムの3層以下の部分から

約2mを採取し,長さ方向のマークを記入しておく。次にこの試料から上部,中央部及び下部の各帯状試

料を幅400mmに裁断し,各帯状試料から表5のように必要に応じて幅の両端から100mmを除いた後,各

試料から図1のように9枚の試験片用試料及び3枚の厚さ測定用試料を採取する。残りの巻上がりフィル

ムは9.6で用いる未照射用試料を採取するために保管する。未照射用試料は,9.6.3及び9.6.4の試験を行う

ときに照射用試料と同様に採取する。 

表5 幅による試料採取方法 

幅 

135cm未満のもの 

135cm以上のもの 

測定試料 

そのまま 

幅の両端から100mmずつ切り取った中央部 

備考 内張用べた付き性試験の試料の採取方法は,附属書による。 

8.2 

試験片の採取方法及び数 外張用農ビ及び内張用農ビは,8.1によって各部から採取した9枚の試験

片用試料について表6によって図2を参考として試験片を採取する。 

また,引張切断強さ及び伸び,直角形引裂強さ,エルメンドルフ引裂強さ並びに低温伸びの試験片の寸

法は,図3,図4,図5及び図6による。 

備考 内張用べた付き性試験の試験片の採取方法及び数は,附属書による。 

図1 試料の採取方法の一例 

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表6 試験片の採取方法及び数 

試験項目 

試験片の採取方法 

試験片の数 

外観 

精密試験 

9枚の試験片用試料から
図2の例のように採取す
る。 

引張試験 

切断強さ及び伸び 

縦横各9 

引裂試験 

直角形引裂強さ 
エルメンドルフ引裂強さ 

耐寒性試
験 

低温伸び 

9枚の試験片用試料のう
ち任意の5枚から図2の
例のように採取する。 

促進耐候性試験 

上中央・中中央・下中央
の試験片用試料3枚から
図2の例のように採取す
る。 

図2 試験片用試料から試験片の採取方法の一例 

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図3 引張切断強さ及び伸び試験片の形状・寸法 

図4 直角形引裂強さ試験片の形状・寸法 

図5 エルメンドルフ引裂強さ試験片の形状・寸法 

図6 低温伸び試験片の形状・寸法 

9. 試験方法 

9.1 

試験条件 厚さ,引張切断強さ,伸び,直角形引裂強さ及びエルメンドルフ引裂強さの試験温度は,

JIS K 7100に規定する標準温度状態2級 (23±2℃) とし,試験片を1時間以上試験場所に保った後,試験

を行う。 

9.2 

試験結果の表し方 試験結果は,規格値の1けた下の位まで求めて,JIS Z 8401によって丸める。 

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9.3 

引張試験 図3の試験片の中央から両端に正確に20mmずつ測り,標線を付ける。標線間距離は

0
2

40−mmとし,試験片を引張試験機(2)に正確に取り付ける。 

試験速度は,毎分200±20mmとし,試験片が切断したときの引張切断強さ及び標線間距離を測定する。

標線外で切断したときには無効とし,不足分を補充して試験を行う。各試験片の伸びは,次の式(1)によっ

て算出する。 

100

0

0

1

×

=

L

L

L

L

········································································ (1) 

ここに, 

L: 伸び (%) 

L1: 切断時の標線間距離 (mm) 

L0: 初めの標線間距離 (mm) 

縦・横別々に9個の測定値及び算出値の中から大小それぞれ2個の値を除き,残りの5個の平均値を算

出する。 

注(2) 試験機は,振り子形又はクロスヘッド分離速度一定形引張試験機を用い,自動的に締まるか又

は試験片が滑らないようにしたつかみ具を備えていること。荷重指示の許容差は,±1%以下で

あり,試験片の切断強さが試験機容量の15〜85%であること。 

9.4 

引裂試験 

9.4.1 

直角形引裂強さ 図4の試験片を9.3の引張試験機に試験片の軸方向と試験機のつかみ具方向とを

一致させて正確に取り付ける。試験速度は,毎分200±20mmとし,切断したときの強さを測定する。 

縦・横別々に9個の測定値の中から大小それぞれ2個の値を除き,残りの5個の平均値を算出する。 

9.4.2 

エルメンドルフ引裂強さ 図5の試験片を用い,JIS P 8116に準じて試験を行う。 

9個の測定値の中から大小それぞれ2個の値を除き,残りの5個の平均値を算出する。この場合,切れ

目の延長線から5mm以上外れて引き裂かれたものの測定値は無効とし,不足分を補充して試験を行う。 

9.5 

耐寒試験 図6の試験片に両端を約10mmずつ残して100mmの標線を付ける。図7の低温伸び試験

機(3)の荷重目盛板のつり合いおもりをあらかじめ調節し(4),試験片をつかみ具に標線の位置で正しく挟む。

低温浴を調節した後,試験片全体を浸し,約3分後に毎分5±1mmの速度で荷重目盛板が水平になるまで

下部つかみ具を下降させる。その後,荷重目盛板を常に水平に保持するように調節し,引張り開始から5

分後の伸びを伸び目盛板で読み取る。 

次の式(2)によって各試験片の低温伸びを求め,5個の平均値を算出する。 

100

0

=LL

L

 ············································································· (2) 

ここに, 

L: 低温伸び (%) 

L1: 荷重下における伸び (mm) 

L0: 標線間距離 (=100mm) 

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図7 低温伸び試験機の一例 

注(3) 低温伸び試験機の低温浴は,メタノール又はエタノール1部,水3部の組成で,ドライアイスなどで−

5±0.5℃に保つ。伸びは,目盛の読みで表される。初め零点に調整し,試験開始後伸びた長さが目盛
に示されるようにする。 

(4) 試験荷重は,試験片の厚さによって表7による。 

表7 低温伸びの試験荷重 

単位N {gf} 

試験片の厚さ 

(mm) 

試験荷重 

0.05 

 3.5 {  350} 

0.075 

 5.3 {  525} 

0.10 

 7.0 {  700} 

0.13 

 9.1 {  910} 

0.15 

10.5 {1 050}  

0.20 

14.0 {1 400}  

9.6 

促進耐候性試験 

9.6.1 

装置 装置は,JIS B 7753に規定するもの又はデューサイクル式サンシャインカーボンアーク灯式

耐光性及び耐候性試験機を用いる。 

9.6.2 

照射 8.2によって長さ200mm,幅約70mmの試験片3個を採取して照射面を決め(フィルムに表

裏がある場合は,表側を照射面とする。)耐候性試験機の保持枠にたるみをもたせて取り付ける。サンシャ

インカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機を用いる場合には,表8に示す条件によって表9に示す

時間照射する。 

また,デューサイクル式サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機を用いる場合には,

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表10に示す条件によって表11に示す時間照射する。 

いずれの試験機を用いる場合にも,試験中にフィルムが保持枠にはり着くことがあるので,カーボン交

換時にこれを調べ,保持枠に密着しているときは,はく離する。 

表8 サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機の試験条件 

灯数 

カーボン電極 種類及び組合せ 

有心と有心のサンシャインカーボン4対 

連続点灯可能時間 22h又は60h以上 

フィルター 

形状 

パネル形 

分光透過率 
(使用前) 

255nmで1%以下 

302nmで68%以上 
375〜700nmで90%以上 

使用限度時間 

2 000h 

平均放電電圧,電流 

50V±2%,60A±2% 

ブラックパネル温度計の示す温度 63±3℃ 
水の噴霧条件 時間 

水噴霧12min−噴霧なし48minのサイクル 

ノズル数 

ノズルの径 

約1mm 

噴霧面 

照射面 

水圧 

100±20kPa {1.0±0.2kgf/cm2}  

水量 

2.1±0.1l/min 

表9 外張用農ビ及び内張用農ビの照射時間 

単位h 

試験片の厚さ 

(mm) 

種類 

外張用農ビ 

内張用農ビ 

0.05 

200 

0.075 

300 

0.10 

400 

− 

0.13 
0.15 
0.20 

表10 デューサイクル式サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機の試験条件 

灯数 

消灯−照射サイクル 

60min−60min 

消灯時
の条件 

空気温度 

30±3℃ 

相対湿度 

98%以上 

水の噴霧
条件 

ノズル 数 

径 

約0.5mm 

噴霧面 

照射裏面 

水圧 

100±20kPa {1.0±0.2kgf/cm2}  

水量 

160±20ml/min 

温度 

約7℃ 

照射時
の条件 

カーボン
電極 

種類及び組合せ 

有心と有心のサンシャインカーボン4対 

連続点灯可能時間 

22h又は60h以上 

フィルター 

用いない 

平均放電電圧,電流 

50V±2%,60A±2% 

ブラックパネル温度計の示す温度 

63±3℃ 

水の噴霧 

行わない 

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10 

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表11 外張用農ビ及び内張用農ビの照射時間 

単位h 

試験片の厚さ 

(mm) 

種類 

外張用農ビ 

内張用農ビ 

0.05 

180 

0.075 

270 

0.10 

360 

− 

0.13 

0.15 
0.20 

9.6.3 

変色試験 規定時間照射した後,試験片を取り外し,水洗して水あかなどを取り除き,室温に24

時間以上静置して乾燥する。乾燥後,照射部分の黄変の程度を目視によって8.1に示す方法で採取した未

照射試料と比較観察する。 

9.6.4 

引張試験 9.6.3によって観察を行った後,この試験片1個から図3の試験片2個ずつ計6個を打

ち抜く。この際,フィルムの保持枠に触れた部分が図3の試験片のくびれた平行部分に入ってはならない

が,膨れた部分には多少の欠陥があっても差し支えないものとする。6個の試験片についてその中央から

両側にそれぞれ20mmの所に標線を付ける。標線間距離は

0
2

40−mmとする。23±2℃に1時間以上静置し

てから,5個の試験片について9.3の方法に準じて切断時の標線間距離を測定し,伸びを算出する。標線外

切断が発生した場合の測定値の処理は,次によって行う。 

(1) 有効測定値が5個のとき:最高値及び最低値を除き,残り3個の平均値を求め伸びとする。 

(2) 有効測定値が4個のとき:最高値を除き,残り3個の平均値を求め伸びとする。 

(3) 有効測定値が3個のとき:全数値の平均値を求め伸びとする。 

なお,有効測定値が3個未満のときは,予備の試験片を用いて再試験を行う。 

未照射巻物のほぼ中央部(表示部を除く。)が3層以下の部分から8.1に示す方法によって試料を切り取

り,室温に24時間以上静置してから長さ方向に図3に示す試験片を6個打ち抜き,照射後の試料と同じ方

法によって伸びを算出する。 

次の式(3)によって照射後の伸びの残率を算出する。 

100

1

=LL

γ

 ············································································· (3) 

ここに, 

γ: 照射後の伸びの残率 (%) 

L1: 未照射試料の伸び (%) 

L2: 照射後の試料の伸び (%) 

照射後の試料と未照射試料からの試験片の打抜き及び引張試験は,同時に行う。 

備考 促進耐候性試験においては,試験成績に次の事項を記録する。 

(1) 

照射に使用した耐候性試験機の種類,名称及び形式 

(2) 

照射の途中で中断した場合は,その時間と理由(休日,停電,断水,故障など) 

(3) 

引張試験における有効測定値の数 

9.7 

べた付き性試験 べた付き性試験方法は,附属書による。 

10. 検査方法 外張用農ビ及び内張用農ビの検査は,次の形式検査(5)及び受渡検査(6)とに区分し,9.によ

って試験を行い,それぞれの規定に適合しなければならない。 

なお,受渡検査項目は,受渡当事者間の協定によって選択することができる。 

11 

K6732-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注(5) 形式検査とは,製品の品質が設計されたすべての特性を満足するかどうかを判定するための検

査をいう。 

(6) 受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造にかかわる製品の受渡しに際し

て必要と認められる特性が満足するものであるかどうかを判定するための検査をいう。 

(1) 形式検査項目 

(a) 外観 

(b) 厚さ 

(c) 幅及び長さ 

(d) 引張切断強さ 

(e) 伸び 

(f) 引裂強さ(直角形及びエルメンドルフ) 

(g) 低温伸び(外張用農ビ) 

(h) 促進耐候性 

(i) べた付き性(内張用農ビ,ただし,固定内張用は除く。) 

(2) 受渡検査項目 

(a) 外観 

(b) 厚さ 

(c) 幅及び長さ 

(d) 引張切断強さ 

(e) 伸び 

(f) 引裂強さ(直角形及びエルメンドルフ) 

11. 表示 

11.1 製品の表示 外張用農ビ及び内張用農ビには容易に消えない方法で,1m以内の間隔ごとに1個,次

の表示をしなければならない。 

(1) 内張用農ビには,内張用である旨の表示,固定内張専用については,固定内張用である旨の表示 

(2) 厚さ又はその略号 

(3) 製造業者名又はその略号 

(4) 農業用ポリ塩化ビニルフィルムの統一マーク( 

) 

11.2 包装の表示 外装には,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 農業用ポリ塩化ビニルフィルムという名称又は略称 

(2) 内張用農ビには,内張用である旨の表示,固定内張専用については,固定内張用である旨の表示 

(3) 厚さ又はその略号 

(4) 幅及び長さ 

(5) ロット番号又はその記号 

(6) 製造業者名又はその略号 

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K6732-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書 べた付き性試験方法 

1. 適用範囲 この附属書は,内張用農ビの固定内張用を除き,カーテン用及びトンネル用に使用する内

張用農ビのべた付き性試験方法について規定する。 

2. 試験装置 試験装置は,クロスヘッド分離速度一定形引張試験機とする。荷重のフルスケールは5N 

{0.5kgf} 以下とする。ロードセル容量は,10N {1kgf},50N {5kgf} 及び100N {10kgf} のいずれかとする。 

3. 試料の採取方法 試料は,巻き上がりフィルムの3層以下の部分から約2mを採取し,長さ方向とフ

ィルム面(内側・外側)のマークを記入しておく。次にこの試料から上部,下部の各帯状試料を幅150mm

に裁断し,幅の両端から100mmを除いた後,各試料から附属書図1のように6枚の試験片用試料を採取

し,フィルム面(内側・外側)のマークを記入しておく。 

附属書図1 試料の採取方法 

4. 試験片の状態調節 附属書図1によって採取した6枚の試験片用試料を23±2℃の恒温室に24時間以

上静置する。 

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K6732-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 試料の浸せき ビーカー1lにイオン交換水0.8lを入れ,状態調節した試験片用試料2枚を,互いに密

着しないように,23±2℃で2時間浸せきする。イオン交換水は導電率2×10−4Sm−1 (25℃) 以下のもので,

試験日前日に恒温室に入れておいたものを使用する。 

6. 試験片の採取方法 

6.1 

試料の圧着 試料を取り出し,そのまま上下左辺試験片用試料,上下中央試験片用試料及び上下右

辺試験片用試料をそれぞれ内側と外側を重ね合わせた後,表面に付着している水滴をろ紙などでふき取る。 

幅300mm,直径60mmの大きさで,JIS K 6253によるゴム硬さが45±3IRHD(A形)質量1.21±0.03kg

の圧着ロールで,水が軽く抜ける程度に3回掛ける。 

圧着台はガラス板を使用する。 

6.2 

試験片の採取 圧着させた一組の試料から,附属書図2に示す採取方法によって試験片を採取する。

試験片のずれは,再圧着しないでずれを戻すだけとする。 

附属書図2 試験片の採取方法 

7. 試験片の加熱処理 附属書図3のように,ガラス板の上に合紙を敷き,その上に試験片を三組並べ,

再び合紙を敷く。この要領で九組の試験片を3段に重ね合紙の上からガラス板で押さえて,ガラス板を含

め質量1.00±0.03kgのおもりを載せ,70±2℃の空気かき混ぜ装置のある加熱機に2時間入れる。 

ガラス板は,厚さ5mm,縦10cm,横10cmのものを使用する。 

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K6732-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書図3 試験片の積み重ね方法 

備考 (A)+(B)の質量 1.00±0.03kg 

8. 放冷処理 空気かき混ぜ装置のある加熱機から取り出し,ガラス板を取り除いて,合紙に挟んだまま

23±2℃で1時間以上静置する。 

9. べた付き性試験 

9.1 

試験方法 べた付き性は,2枚の試験片の引きはがしによって測定し,次の方法によって求める。 

9.2 

試験速度 引張試験速度は,毎分100±10mmとし,チャート紙(記録紙)速度は,毎分50±5mm

とする。 

9.3 

操作 操作は,次による。 

(1) 試験片を約20mm手ではがし,上下のつかみ具に固定する。 

(2) 荷重を零調整した後,試験機を始動させ,すべてがはがれるまで引っ張る。 

(3) 測定は,空気かき混ぜ装置のある加熱機から取り出し,放冷処理時間を含み2時間以内に行う。 

9.4 

測定値の算出 最初の最大強さを過ぎて,最低を示したところから,引きはがし距離約40mmまで

の平均強さを測定値とする。 

チャート紙に定規を当て,平均強さを10mN {1gf} 単位で目視で読み取る。例を附属書参考図1に示す。 

附属書参考図1 測定値算出のチャート例 

9.5 

べた付き性 9個の測定値の中から大小それぞれ2個の値を除き,残り5個の平均値を求め,これを

べた付き性の試験結果とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

牧     廣 

拓殖大学工学部(元工業技術院製品科学研究所) 

増 田   優 

通商産業省基礎産業局 

岡 林 哲 夫 

工業技術院標準部 

塩 谷 和 正 

農林水産省食品流通局 

香 山   茂 

財団法人高分子素材センター 

太 田 成 美 

社団法人日本施設園芸協会 

興 津 伸 二 

全国農業協同組合連合会(JA全農)営農・技術センター 

板 木 利 隆 

板木技術士事務所 

青 木 宏 史 

千葉県農業試験場 

須 田 耕 士 

太洋興業株式会社農業開発部 

荒 井 弘 光 

シーアイ化成株式会社農業資材部 

浅 利 能 弘 

株式会社高藤化成開発室 

長 澤   宏 

チッソ株式会社アグリ事業部 

山 本 忠 雄 

三井東圧化学株式会社樹脂製品事業部 

牛 山 博 司 

三菱化学MKV株式会社農業資材事業部 

(関係者) 

小 林   勝 

工業技術院標準部(平成7年6月まで) 

渡 辺 武 夫 

工業技術院標準部(平成7年7月から) 

稲 葉 知 英 

工業技術院標準部 

米 沢 博 行 

全国農業協同組合連合会(JA全農)営農・技術センター 

小曽戸 信 雄 

アキレス株式会社滋賀フィルム工場 

石 丸 一 臣 

オカモト株式会社静岡工場研究部 

川 原 範 雄 

三井東圧化学株式会社樹脂製品事業部 

(事務局) 

飛 田 好 雄 

日本ビニル工業会