2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6729-1977
ポリビニルホルマール試験方法
Testing Methods for Polyvinyl Formal
1. 通用範囲 この規格は,アセタール化度約70モル%以上のポリビニルホルマールの試験方法について
規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,国際単位系 (SI) によるものであ
って,参考として併記したものである。
2. 用語の意味
2.1
揮発分 揮発分とは,ポリビニルホルマールを105±2℃で恒量になるまで乾燥した場合の減量 (%)
をいう。
2.2
遊離酸 遊離酸とは,ポリビニルホルマールに含まれる酸相当物を酢酸含量 (%) として表したもの
をいう。
3. 試料の採取方法 同一生産ロットに属する容器(10〜25kg入り)50個ごとにランダムに5個を抜き取
り,それらの容器からランダムに約100gずつを取り,よく混合して供試試料(以下,試料という。)とす
る。50個未満の数については,10個及びそのは数ごとに1個を抜き取り,上記と同様にして試料を調製す
る。
4. 試験項目
(1) 揮発分
(2) 灰分
(3) 遊離酸
(4) 組成
(5) 粘度
5. 試験方法 試験に用いる器具は,特に規定するものの外は次による。
(1) 化学用体積計 JIS R 3505(ガラス製化学用体積計)
(2) 分析用ガラス器具 JIS R 3503(化学分析用ガラス器具)
(3) 化学はかり ひょう量100〜200g,感量1mg
5.1
揮発分
5.1.1
器具
引用規格:5ページに示す。
2
K 6729-1977
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(1) はかりびん 平形はかりびん50mm×30mm
(2) 化学はかり
(3) 乾燥器
(4) デシケーター 乾燥剤はシリカゲルを用いる。
5.1.2
操作 試料約2gを,あらかじめ質量を量ったはかりびんに正確に量り取り,105±2℃で恒量にな
るまで乾燥し,デシケーター中で放冷後,その質量を量り,次の式により小数点以下2けたまで求め,揮
発分を算出する。値は3回の測定の平均値で表す。
100
×
−
=
s
W
s
R
ここに
R: 揮発分 (%)
s: 試料の質量 (g)
W: 乾燥後の試料の質量 (g)
5.2
灰分
5.2.1
器具
(1) 磁器るつぼ JIS R 1301(化学分析用磁器るつぼ)に規定するるつぼ50ml
(2) 化学はかり
(3) デシケーター 乾燥剤はシリカゲルを用いる。
5.2.2
操作 試料約2gを質量の分かった磁器るつぼに正確に量り取り,あらかじめ400〜500℃で灰化し
た後,750〜800℃で恒量になるまで強熱灰化し,デシケーター中で放冷後その質量を量り,次の式により
小数点以下2けたまで求め,灰分を算出する。
100
×
=sa
A
ここに
A: 灰分 (%)
a: 灰分の質量 (g)
s: 試料の質量 (g)
5.3
遊離酸
5.3.1
試薬
(1) N/20水酸化カリウム溶液 JIS K 8574〔水酸化カリウム(試薬)〕に規定する水酸化カリウム1級を用
い,JIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)の2.(9)に準じて調製し,標定を行う。
ただし
(調製)
N/2水酸化カリウム溶液約100mlに炭酸を含まない水を加えて約1lとする。
(標定)
JIS K 8005(容量分析用標準試薬)に規定するスルファミン酸1〜1.3gを正確に量り取
り,水に溶解して250mlとし,その25mlを用いる。
(2) フェノールフタレイン0.1%溶液 JIS K 8799〔フェノールフタレイン(試薬)〕に規定するフェノー
ルフタレイン特級を用いJIS K 8006の3.により調製する。
(3) ピリジン−メチルアルコール混液 JIS K 8777〔ピリジン(試薬)〕に規定するピリジン1級とJIS K
8891〔メチルアルコール(メタノール)(試薬)〕に規定するメチルアルコール1級を容量で3:2の割
合に混合して調製する。
5.3.2
器具
(1) 共せん付三角フラスコ 200ml
(2) ミクロビュレット 5ml,最小目盛0.01ml
3
K 6729-1977
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(3) メスシリンダー 50ml
(4) 化学はかり
5.3.3
操作 試料約2gを正確に量り取り,共せん付三角フラスコに移し,ピリジン−メチルアルコール
混液50mlを加えて加温溶解し,冷却後N/20水酸化カリウム溶液でフェノールフタレインを指示薬として
1分間微紅色を保つ点まで滴定し,その滴定量をamlとする。
別に空試験を行い,これに要したN/20水酸化カリウム溶液の滴定量をbmlとし,次の式により小数点
以下2けたまで求め,遊離酸を算出する。
(
)
100
003
.0
×
×
−
×
=
s
F
b
a
S
ここに
S: 遊離酸 (%)
F: N/20水酸化カリウム溶液の力価
s: 試料の質量 (g)
5.4
組成
5.4.1. 酢酸ビニル
(1) 試薬
(a) N/10水酸化カリウム溶液 JIS K 8574に規定する水酸化カリウム1級を用いJIS K 8006の2.(9)に
より調製し標定を行う。
(b) N/5水酸化カリウム溶液 JIS K 8574に規定する水酸化カリウム1級を用いJIS K 8006の2.(7)に準
じて調製する。ただし,水酸化カリウム約14gを取る。
(c) N/10塩酸 JIS K 8180〔塩酸(試薬)〕に規定する塩酸1級を用い,JIS K 8006の2.(3)により調製。
(d) フェノールフタレイン1%溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン特級を用いJIS K
8006の3.により調製。
(e) ビリジン−メチルアルコール混液 5.3.1(3)で調製したもの。
(2) 器具
(a) 共せん付三角フラスコ 300mLで(f)の冷却器と共通のテーパー擦り合わせを持つもの。
(b) ビュレット 25ml,最小目盛0.1ml及び50ml,最小目盛0.1ml
(c) ピペット 全量ピペット25ml,メスピペット10ml
(d) メスシりンダー 50ml
(e) 化学はかり
(f) 冷却器 球管冷却器300mm,脚部に(a)の共せん付三角フラスコと共通のテーパー擦り合わせを持つ
もの。
(g) 水浴
(3) 操作 試料約1gを正確に量り取り,共せん付三角フラスコに移し,ピリジン−メチルアルコール混液
50mlを加えて加温溶解し,N/5水酸化カリウム溶液25mlをピペットからよく振り混ぜながら加え,
冷却器を付けて沸騰水浴中で1時間加熱する。冷却後N/10塩酸50mlをビュレットからよく振り混ぜ
ながら加え,30分間放置後フェノールフタレイン溶液1mlを加え,過剰の塩酸をN/10水酸化カリウ
ム溶液で微紅色を呈する点まで滴定し,その滴定量をamlとする。
別に空試験を行い,それに要したN/10水酸化カリウム溶液の滴定量をbmlとし,次の式により小
数点以下1けたまで求め,酢酸ビニルを算出する。
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K 6729-1977
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(
)
(
)
100
100
86
.0
×
−
×
×
−
×
=
R
s
F
b
a
VAC
ここに
VAσ: 酢酸ビニル (%)
F: N/10水酸化カリウム溶液の力価
s: 試料の質量 (g)
R: 揮発分 (%)
5.4.2
ビニルアルコール
(1) 試薬
(a) N/2水酸化カリウム溶液 JIS K 8574に規定する水酸化カリウム1級を用い,JIS K 8006の2.(8)に
より調製し標定を行う。
(b) ピリジン−無水酢酸混液 JIS K 8886〔無水酢酸(試薬)〕に規定する無水酢酸特級6mlとJIS K 8777
に規定するピリジン1級94mlをよく混合して調製する。
かっ色びんに保存し,調製後1週間を経過したものは使用してはならない。
(c) フェノールフタレイン溶液 5.4.1(1)(d)で調製したもの。
(d) ジクロルエタン JIS K 8465〔1,2−ジクロルエタン(試薬)〕に規定する1,2−ジクロルエタン1
級。
(2) 器具
(a) 共せん付三角フラスコ 5.4.1(2)(a)と同じもの,
(b) ビュレット 50ml,最小目盛0.1ml
(c) ピペット 全量ピペット15ml
(d) メスシリンダー 25ml,100ml
(e) 化学はかり
(f) 冷却器 5.4.1(2)(f)と同じもの
(g) 水浴
(3) 操作 試料約1gを正確に量り取り,共せん付三角フラスコに移し,ピリジン−無水酢酸混液15mlを
ピペットで加えて溶解し,冷却器をつけて沸騰水浴中で3時間加熱する。冷却後ジクロルエタン25ml
を冷却器の上部から流し入れて中を洗浄し,冷却器をとりはずし,フラスコをよく振り混ぜる。次に
水100mlを加え,せんをして激しく振とうした後30分間放置する。
フェノールフタレイン溶液1mlを加え,生成した酢酸をN/2水酸化カリウム溶液で激しく振り混ぜ
ながら1分間微紅色を保つ点まで滴定し,その滴定量をamlとする。
別に空試験を行い,これに要したN/2水酸化カリウム溶液の滴定量をbmlとし,次の式により小数
点以下1けたまで求め,ビニルアルコールを算出する。
(
)
(
)
100
100
2.2
×
−
×
×
−
×
=
R
s
F
a
b
VA
ここに
VA: ビニルアルコール (%)
s: 試料の質量 (g)
R: 揮発分 (%)
F: N/2水酸化カリウム溶液の力価
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5.4.3
ビニルホルマール ビニルホルマール (%) は,測定した酢酸ビニル (%) 及びビニルアルコール
(%) を100から引いて小数点以下1けたまで算出する。
5.5
粘度
5.5.1
試薬
フラフラール JIS K 8833〔フルフラール(試薬)〕に規定するフルフラール1級の159〜162℃の留分
5.5.2
器具
(1) 共せん付三角フラスコ 200ml
(2) 粘度計 回転粘度計,毛細管粘度計,ヘプラー粘度計のいずれを用いてもよい。ただし試験結果には
使用粘度計を付記し,回転粘度計の場合にはローターと回転数を付記する。
(3) 上ざらはかり ひょう量100〜200g,感量10mg及びひよう量500g,感量500mg
(4) 恒温水そう
(5) 水浴
(6) 真空乾操器
5.5.3
操作 フルフラール90±0.5gを共せん付三角フラスコに量り取り,これに乾燥試料(1)10±0.02gを
加え,1時間以上膨潤後,約80℃の水浴中で時々振り混ぜて溶解する。恒温水そうに1時間静置した後,
粘度を30±0.1℃又は50±0.1℃でJIS Z 8803(粘度測定方法)に準じて測定する。値は3回の測定の平均
値をセンチポアズ (cP) {mPa・s} で表す(10位まで)。
注(1) 乾操試料 試料を圧力約50mmHg {6.67kPa},温度約50℃で3時間減圧乾燥したもの。
6. 試験結果の丸め方 各試験によって得られた試験結果は,規定の数値の1けた下の位まで求め,JIS Z
8401(数値の丸め方)により丸める。
引用規格:
JIS K 8005 容量分析用標準試薬
JIS K 8006 試薬の含量試験中滴定に関する基本事項
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8465 1,2−ジクロルエタン(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬)
JIS K 8833 フルフラール(試薬)
JIS K 8886 無水酢酸(試薬)
JIS K 8891 メチルアルコール(メタノール)(試薬)
JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製化学用体積計
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8803 粘度測定方法
関連規格:JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
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K 6729-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
高分子部会ポリビニルホルマール試験方法専門委員会 構成表(昭和44年2月1日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
長 野 正 満
名古屋工業大学
五 島 春 夫
チッソ株式全社
平 井 宗 之
電気化学工業株式全社
鈴 木 宗 彦
昭和電線電纜株式公社
安 福 幸 雄
古河電気工業様式公社
久 保 進
倉茂電工株式公社
野 田 三 彦
住友電気工業株式会社
荒 井 渓 吉
社団法人高分子学会
大 橋 桂 次
工業技術院標準部
菊 地 一 寛
通商産業省化学工業局
(事務局)
山 脇 政 次
工業技術院標準部繊維化学規格課
伊 藤 定 義
工業技術院標準部繊維化学規格課
(事務局)
青 木 誠 治
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和52年5月1日改正のとき)
石 川 哲之介
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和52年5月1日改正のとき)