2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6724-1994
酢酸ビニル
Vinyl acetate
CH2 : CHOCOCH3 FW : 86.09
1. 適用範囲 この規格は,工業用の重合防止剤(1)入り酢酸ビニルについて規定する。
注(1) 重合防止剤は,ヒドロキノンとする。
備考 この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. 品質 品質は,3.によって試験を行い,表1に適合しなければならない。
ただし,活性度及びヒドロキノンの含有量については,受渡当事者間の協定による。
表1 品質
項目
品質
適用試験箇条
外観
透明な液体で,浮遊物,ごみ
などの異物のないこと
3.4
色
ハ−ゼン色数
10以下
3.5
密度 (20℃)
g/cm3
0.930〜0.934
3.6
純分
%
99.5以上
3.7
水分
%
0.1以下
3.8
蒸発残分
%
0.01以下
3.9
酸分
%
0.01以下
3.10
アルデヒド
%
0.03以下
3.11
(アセトアルデヒドとして)
活性度
s
−
3.12
ヒドロキノンの含有量
%
−
3.13
3. 試験方法
3.1
一般事項 試験について共通する一般事項は,JIS K 0050による。
3.2
数値の丸め方 数値の丸め方は,JIS Z 8401による。
3.3
試料採取方法 品質が均一とみなすことのできる1ロットから酢酸ビニルの容器の種類によって,
次に規定する方法で試料を採取する。
なお,ロットの設定,試料採取の時期及び場所については,受渡当事者間の協定による。
3.3.1
大形容器(タンク,タンク車,タンクローリー,タンカーなど)の場合
(1) 要旨 大形液体試料採取器を用いて容器内の酢酸ビニルを所定の位置から所定の割合で採取し,適切
な試料容器に移してよく混合し,このうち1l以上を試験に供する。
(2) 器具
2
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大形液体試料採取器 JIS G 4304に規定する熱間圧延ステンレス鋼SUS304製の栓付きの採取器で,
容量は約500mlとし,大型容器の所定の深さのところまで採取器を入れて栓を開き試料を満たした後,
そのまま取り出すことができるものとする。一例を図1に示す。
図1 大形液体試料採取器の一例
備考 本体,おもり,ハンドル及びたぐり綱は,ステンレス鋼SUS304製とする。採取器の栓は,ふ
っ素樹脂製とする。
また,たぐり綱の長さは,AB>BCとする。
(3) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 試料の採取位置 直立円筒形タンクのように均一な横断面をもつものの場合は,液面の高さの65,21
及び61に相当する位置から,また,横置円筒形タンクの場合は,表2によってそれぞれ同量の試料
を採取する。
なお,酢酸ビニルの品質が安定していることが確認できる場合には,他の合理的な方法で採取し
てもよい。
3
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表2 横置円筒形タンクの試料採取位置と混合比
容器内容物の
深さ(直径に
対する%)
試料採取位置
(容器の底からの高さ)
(直径に対する%)
試料混合比(体積比)
上層
中層
下層
上層
中層
下層
90
75
50
20
3
4
3
80
70
50
20
2
5
3
70
−
50
20
−
6
4
60
−
50
20
−
5
5
50
−
40
20
−
4
6
40
−
−
20
−
−
10
30
−
−
15
−
−
10
20
−
−
10
−
−
10
10
−
−
5
−
−
10
(b) 試料の採取方法 大形容器の口を開き,あらかじめ清浄し,乾燥した大形液体試料採取器を栓をし
たまま所定の位置まで沈める。
次に,たぐり綱を一気に引き上げて栓を抜き,液面に気泡が上がってこなくなるまでその位置に
保って試料を満たした後,引き上げる。採取した試料は,あらかじめ清浄し,乾燥した共栓付き褐
色ガラス瓶に入れ,直ちに栓をする。
(c) 試験用試料の調製 採取した試料は,直立円筒形タンクの場合には3か所から採取した試料をそれ
ぞれ等量ずつ,また,横置円筒形タンクの場合には,表2の試料採取位置から採取した試料を,表
2の混合比になるように,あらかじめ清浄し,乾燥した適切な試料容器に移してよく混合し,この
うちの1l以上を試験用試料とする。
なお,試料調製後直ちに試験を行わないときは,あらかじめ清浄し,乾燥した共栓付き褐色ガラ
ス瓶に入れ,密栓をして冷暗所に保存する。
3.3.2
小形容器(金属板製18l缶,鋼製ドラムなど)の場合
(1) 要旨 小形液体試料採取器を用いて,複数の小形容器からそれぞれ等量ずつの試料を採取し,適切な
試料容器に移してよく混合し,このうちの1l以上を試験に供する。
(2) 器具
小形液体試料採取器 ガラス管の上下の口を開いたまま小形容器に入れ,試料を流入させた後,口
をふさいで取り出すことができるものとする。一例を図2に示す。
図2 小形液体試料採取器の一例
(3) 操作 操作は,次のとおり行う。
4
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(a) 小形容器の抜取個数 1ロットから複数の小形容器を抜き取る場合は,表3に示す個数をランダム
に抜き取る。
なお,酢酸ビニルの品質が安定していることが確認できる場合には,抜取個数を変更してもよい。
表3 小形容器の抜取個数
小形容器数
抜取個数
小形容器数
抜取個数
1〜 4
全数
76〜100
10
5〜10
5
101〜125
11
11〜20
6
126〜150
12
21〜30
7
151〜200
13
31〜50
8
201〜250
14
51〜75
9
251以上
14+α(2)
注(2) αは,次の式によって算出し,小数点以下は,切
り上げて整数とする。
50
250
−
n
=
α
ここに,n:小形容器数
(b) 試料の採取方法 小形容器の口を開き,あらかじめ清浄し,乾燥した小形液体試料採取器を口を開
いたまま小形容器の中に入れ,先端が器底に達した後,口をふさいで引き上げて採取する。
(c) 試験用試料の調製 採取した試料は,それぞれ等量ずつあらかじめ清浄し,乾燥した適切な試料容
器に移し,よく混合し,このうちの1l以上を試験用試料とする。
なお,試料調製後直ちに試験を行わないときは,あらかじめ清浄し,乾燥した共栓付き褐色ガラ
ス瓶に入れ,密栓して冷暗所に保存する。
3.4
外観
(1) 要旨 目視によって試料の外観を調べる。
(2) 器具
比色管 内径約23mm,高さ約400mmの無色透明の共栓付き平底ガラス試験管を用い,底部から
200〜300mmの高さに100mlの標線を付けたもの。
(3) 操作 試料を,比色管に標線まで入れ,白地及び黒地を背景として上方及び側方から透視したとき,
透明であって,浮遊物,ごみなどの異物がないかを調べる。
3.5
色 色は,目視比色法又は分光測光器若しくは光電色彩計による比色法によって測定し,ハーゼン
色数を求める。
3.5.1
目視比色法
(1) 要旨 試料の透過色をハーゼン標準比色液と目視で比較して,ハーゼン色数を求める。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(a) 比色管 3.4(2)で規定の同材質同形のもの。
(b) 全量ピペット JIS R 3505に規定する1ml,2ml,3ml,5m1及び100ml
(c) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する100ml及び1 000ml
(d) 比色装置 2本の比色管を立てる支持台,白色の平滑な底板,側面からの散光を防ぐ黒色の遮光板
及び底板を透かして光線を導入する反射鏡からなり,JIS C 7601に規定する拡散昼光の下で比色管
の上から見透かして二つの比色管内の液の色を比較することができるもの。
(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
(a) 塩化コバルト (II) 六水和物 JIS K 8129に規定するもの。
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(b) ヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム(塩化白金酸カリウム) JIS K 8163に規定するもの。
(c) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
(4) ハーゼン標準比色液の調製
(a) ハーゼン標準比色原液 全量フラスコにヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム1.245g,塩化コバルト
(II) 六水和物1.000g及び塩酸100mlを正しく量り採り,水を加えて溶かし,1 000mlとする。これ
をハーゼン標準比色原液とする。これはハーゼン標準比色液500番に相当する。
このハーゼン標準比色原液の吸光度は,分光光度計で吸収セル10mmを用い,表4の波長におい
て,水を対照液として測定したとき,それぞれの吸光度の範囲に入ることを確認する。
表4 ハーゼン比色原液の
吸光度許容範囲
波長
nm
吸光度許容範囲
430
0.110〜0.120
455
0.130〜0.145
480
0.105〜0.120
510
0.055〜0.065
(b) ハーゼン標準比色液 ハーゼン標準比色液は,表5による。
ハーゼン標準比色原液及びハーゼン標準比色液は,着色ガラス瓶に入れ,密栓して暗所に保存す
る。保存期間は,原則として調製後,ハーゼン標準比色原液については1か年以内とし,ハーゼン
標準比色液は1か月以内とする。
表5 ハーゼン標準比色液
単位 ml
ハーゼン標準比色液の番号
ハーゼン
標準比色原液
水
5
1
99
10
2
98
15
3
97
20
4
96
25
5
95
30
6
94
(5) 操作 試料を比色管に100mlの標線まで入れる。別の比色管にハーゼン標準比色液を100mlの標線ま
で入れて両管を比色装置の中に並べて立て,両管を上から透視して液の色を比較し,ハーゼン色数を
求める。
なお,二つの番号の中間にあるときは,二つのうち濃い方の番号を採択する。
3.5.2
分光測光器又は光電色彩計による比色法
(1) 要旨 試料とハーゼン標準比色液との透過色を,分光測光器又は光電色彩計によって比較し,ハーゼ
ン色数を求める。
(2) 装置 装置は,JIS Z 8722の4.(分光測色方法)又は5.(刺激値直読方法)に規定する分光測光器又
は光電色彩計を用いる。
(3) 操作 操作は,JIS Z 8722の4.4(透過物体の測定方法)又は5.3(測定方法)による。
(a) ハーゼン標準比色液の黄変度 (∆YI) を,分光測光器又は光電色彩計によって測定し,あらかじめ検
量線を作成する。
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(b) 分光測光器又は光電色彩計によって測定した試料の黄変度 (∆YI) から検量線を用いて試料のハー
ゼン色数を読み取る。
3.6
密度 密度は,振動式密度計法又は浮ひょう法によって求める。
3.6.1
振動式密度計法
(1) 要旨 JIS K 0061の4.3(振動式密度計法)によって密度を求める。
(2) 装置
振動式密度計 JIS K 0061の4.3.2(装置及び器具)に規定するB形
(3) 操作 操作は,JIS K 0061の4.3.5(測定の手順)による。
(4) 計算 密度は,次の式によって算出する。
)
(
2
2
W
S
W
T
T
K
d
D
−
+
=
ここに,
D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)
dw: 水の密度 (20℃) (0.998 20g/cm3)
K: 試料セル定数 (20℃)
Ts: 試料の振動周期 (20℃)
Tw: 水の振動周期 (20℃)
参考 なお,密度から比重を求めたい場合は,次の式によって算出する。
W
d
D
S=
ここに,
S: 試料の比重 (20/20℃)
D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)
dw: 水の密度 (20℃) (0.998 20g/cm3)
3.6.2
浮ひょう法
(1) 要旨 JIS K 0061の4.1(浮ひょう法)によって密度を求める。
(2) 器具
浮ひょう JIS K 0061の4.1.2(装置及び器具)に規定するもの。
(3) 操作 操作は,JIS K 0061の4.1.3(操作)による。
(4) 計算 密度は,密度 (20℃) で目盛られた浮ひょうを用いて求める場合,次の式によって算出する。
E
D
D
−
20
=
ここに,
D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)
D20: 密度 (20℃) で目盛られた浮ひょうの示度 (g/cm3)
E: 器差
なお,15℃で目盛られた密度浮ひょう,15/4℃又は20/20℃で目盛られた比重浮ひょうを用いた場合
の計算は,JIS K 0061の4.1.4(計算)による。
参考 また,密度から比重を求めたい場合は,3.6.1の(4)の換算式を用いて算出する。
3.7
純分
(1) 要旨 ガスクロマトグラフを用い,主成分,その他の成分(水分を除く)のピークから面積百分率法
によって見掛けの純分を求め,次に酸分及び水分を差引き純分を算出する。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,JIS K 0114によるほか,次のとおりとする。
(2.1) マイクロシリンジ 10〜25μl
(2.2) ガスクロマトグラフ
(a) 検出器 熱伝導度検出器
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(b) カラム 酢酸ビニルと他の不純物が十分に分離できるもの。
(3) 分析条件 分析条件は,機器によって異なるため,最適条件に設定する。
なお,不純物の酢酸エチルが,0.01%以上の濃度で存在するとき,これを正確に検出できる感度で
あること。
(4) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) ガスクロマトグラフの測定 マイクロシリンジを使用して,試料をガスクロマトグラフに導入し,
試料のクロマトグラムを作成する。
(b) ピーク面積測定法 JIS K 0114の8.3(2)(データ処理装置を用いる方法)によってピーク面積を求
め,JIS K 0114の8.5(面積百分率法)によって見掛けの純分 (%) を求める。
(5) 計算 純分は,次の式によって算出する。
100
)
100
(
Pi
W
A
P
×
−
−
=
ここに,
P: 純分 (%)
A: 3.10で測定した酸分 (%)
W: 3.8で測定した水分 (%)
Pi: データ処理装置で求めた見掛けの純分 (%)
3.8
水分 容量滴定法又は電量滴定法を用い,カールフィッシャー滴定法によって水分を求める。
3.8.1
容量滴定法
(1) 要旨 JIS K 0068の4.3(容量滴定法)によって,試料中の水分を求める。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,JIS K 0068の4.3.2(装置及び器具)に規定するものを用いる。この
場合,試料採取器は,注射器とする。
(3) 試薬 JIS K 0068の4.3.3(試薬)に規定するもの。
(4) 操作 約20℃の試料1〜10mlを注射器に採り(3),その質量を10mgのけたまで正しく量った後,JIS K
0068の4.3.5の(1)(直接滴定)によって測定する。
なお,試料を装置に導入後速やかに空の注射器の質量を10mgのけたまで正しく量り,試料の質量
を求める。
注(3) 試料を体積で量り採る場合は,20℃における試料の密度を乗じて質量に換算する。
(5) 計算 水分は,次の式によって算出する。
100
103×
×
×
s
V
F
W=
ここに, W: 水分 (%)
F: カールフィッシャー試薬の力価 (mg/ml)
V: 滴定に用いたカールフィッシャー試薬の量 (ml)
s: 試料の質量 (g)
3.8.2
電量滴定法
(1) 要旨 JIS K 0068の4.4(電量滴定法)によって,試料中の水分を求める。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,JIS K 0068の4.4.2(装置及び器具)に規定するものを用いる。この
場合,試料採取器は,注射器とする。
(3) 試薬 JIS K 0068の4.4.3(試薬)に規定するもの。
(4) 操作 試料1〜10mlを注射器に採り(4),その質量を10mgのけたまで正しく量った後,JIS K 0068の
4.4.4(操作)によって測定する。
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なお,試料を装置に導入後速やかに空の注射器の質量を10mgのけたまで正しく量り,試料の質量
を求める。
(5) 計算 水分は,次の式によって算出する。
100
106×
×
s
G
W=
ここに, W: 水分 (%)
G: 水分の表示値 (μg)
s: 試料の質量 (g)
注(4) 試料を体積で量り採る場合は,20℃における試料の密度を乗じて質量に換算する。
3.9
蒸発残分
(1) 要旨 試料を蒸発乾固させた後,加熱した残分の質量を求める。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(2.1) 蒸発皿 蒸発皿は,次のいずれかを用いる。
(a) JIS R 1302に規定する磁器蒸発皿丸底形100mm又は120mm
(b) JIS H 6202に規定する白金製の皿で,150番のもの。
(c) JIS R 3503に規定するガラス製の丸底蒸発皿95×45mm
(2.2) 全量ピペット JIS R 3505に規定する100ml
(2.3) デシケーター JIS R 3503に規定するもので,乾燥剤は,JIS Z 0701に規定するシリカゲルA形1
種を用いる。
(2.4) 恒温乾燥器 110±2℃を保持できるもの。
(2.5) 水浴 沸騰水浴として使用でき,蒸発皿を載せられるもの。
(2.6) 化学はかり又は電子はかり
(3) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) あらかじめ洗浄した蒸発皿を110±2℃で1時間加熱し,デシケーターの中で室温まで放冷した後,
蒸発皿の質量を正しく量る。
(b) (a)の蒸発皿に20℃の試料100mlを全量ピペットで量り採り,ドラフトチャンバー内の沸騰水浴上で,
蒸発乾固させる。
(c) 蒸発皿を110±2℃で4時間加熱し,デシケーターの中で室温まで放冷した後,蒸発皿の質量を正し
く量る。
(4) 計算 蒸発残分は,次の式によって算出する。
100
1
2
×
×
−
D
s
W
W
R=
ここに,
R: 蒸発残分 (%)
W1: 操作(a)で得られた蒸発皿の質量 (g)
W2: 操作(c)で得られた蒸発皿の質量 (g)
s: 試料採取量 (ml)
D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)
3.10 酸分
(1) 要旨 試料中の酸分を中和滴定によって測定し,酢酸に換算した数値として求める。
(2) 器具 器具は,次のとおりとする。
(a) 三角フラスコ JIS R 3503に規定する100ml
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(b) メスシリンダー JIS R 3505に規定する50ml
(c) ビュレット JIS R 3505に規定する5ml
(d) 全量ピペット JIS R 3505に規定する10ml
(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
(a) 0.02mol/l水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8001の4.5(19.6)(0.02mol/l水酸化ナトリウム溶液)によっ
て調製し,標定する。
(b) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8001の4.4(指示薬)に規定するもの。
(4) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 100mlの三角フラスコに水約20mlを量り採り,これに20℃の試料10mlを加えて十分に振り混ぜる。
(b) ブロモチモールブルー溶液を4〜6滴加える。
(c) ビュレットを用い,0.02mol/l水酸化ナトリウム溶液で滴定し,液の色が黄から青に変わる点を終点
とする。
(d) 空試験として,試料を加えないで(a)〜(c)の操作を行う。
(5) 計算 酸分は,次の式によって算出する。
100
0012
.0
)
(
×
×
×
×
−
D
s
f
b
a
A=
ここに,
A: 酸分 (%)
a: 滴定に要した0.02mo1/l水酸化ナトリウム溶液の量 (ml)
b: 空試験に要した0.02mo1/l水酸化ナトリウム溶液の量 (ml)
f: 0.02mol/l水酸化ナトリウム溶液のファクター
0.001 2: 0.02mol/l水酸化ナトリウム溶液 (f=1.000) 1mlに相当する
酸分(酢酸換算) (g/ml)
s: 試料採取量 (ml)
D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)
3.11 アルデヒド アルデヒドは,容量滴定法又はガスクロマトグラフ法によって測定し,アセトアルデ
ヒドに換算した数値として求める。
3.11.1 容量滴定法
(1) 要旨 酢酸ビニル中のアルデヒドを過剰の亜硫酸水素ナトリウムと反応させ,残った亜硫酸水素ナト
リウムをよう素滴定することによって,アルデヒドを定量し,アセトアルデヒドに換算した数値を求
める。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(a) 活栓付きビュレット JIS R 3505に規定する50ml
(b) 共栓付き三角フラスコ JIS R 3503に規定する300ml
(c) 全量ピペット JIS R 3505に規定する25ml及び50ml
(d) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する1 000ml
(e) 恒温水槽 20.0±0.1℃に保持できるもの。
(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
(a) 0.05mol/lよう素溶液 (12.69gI/l) JIS K 8001の4.5(24)(0.05mol/lよう素溶液)によって調製し,標
定する。
(b) 亜硫酸水素ナトリウム溶液 (4.8g/l) JIS K 8501に規定する二亜硫酸ナトリウム4.4gを水に溶かし
て1 000mlとする。
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(c) でんぷん指示薬 JIS K 8001の4.4(指示薬)に規定するもの。
(4) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 共栓付き三角フラスコに氷塊25gを入れ,これに亜硫酸水素ナトリウム溶液 (4.8g/l) 25mlを全量ピ
ペットで加える。
(b) 次に,試料50mlを全量ピペットで加えて,栓をしてよく混合し,10分間保持した後,でんぷん指
示薬約0.5mlを加え,0.05mol/lよう素溶液で滴定し青色が15秒間消えない点を終点とする。
(c) 空試験として,試料を入れないで(a)及び(b)の操作を行う。
(5) 計算 アセトアルデヒドは,次の式によって算出する。
100
0022
.0
)
(
×
×
×
×
−
D
s
f
a
b
AL=
ここに,
AL: アセトアルデヒド (%)
b: 空試験に要した0.05mol/lよう素溶液の量 (ml)
a: 滴定に要した0.05ml/lよう素溶液の量 (ml)
f: 0.05mol/lよう素溶液のファクター
0.002 2: 0.05mol/lよう素溶液 (f=1.000) 1mlに相当するアセトア
ルデヒドの質量 (g/ml)
s: 試料採取量 (ml)
D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)
3.11.2 ガスクロマトグラフ法
(1) 要旨 ガスクロマトグラフを用い,内標準法でアセトアルデヒドの含有量を求める。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,JIS K 0114によるほか,次のとおりとする。
(2.1) マイクロシリンジ 50μl
(2.2) 全量ピペット JIS R 3505に規定する10ml
(2.3) 共栓付き三角フラスコ JIS R 3503に規定する50ml
(2.4) ガスクロマトグラフ
(a) 検出器 水素炎イオン化検出器又は熱伝導度検出器
(b) カラム アセトアルデヒドと酢酸ビニルを完全に分離できるもの。
(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
(a) アセトアルデヒド JIS K 8030に規定するもの。
(b) 酢酸ビニル この規格に規定するもの。
(c) 内標準物質 選定したカラムとその条件において,アセトアルデヒド,酢酸ビニルなどのピークと
重ならないピークが得られる適切な物質を選定する。
(4) 分析条件 分析条件は,機器によって異なるため,最適条件に設定する。
なお,検出感度については,アセトアルデヒドが0.003%以上の濃度で存在するとき,これを正確に
検出できる感度であること。
(5) 操作 ガスクロマトグラフの測定は,次のとおり行う。
(a) 共栓付き三角フラスコに試料10mlを全量ピペットで採り,ひょう量する。
(b) これに一定量の内標準物質を加えて質量を量り,よく振り混ぜる。
(c) この液をマイクロシリンジで一定量採取し,ガスクロマトグラフに導入し試料のクロマトグラムを
作成する。
(6) 検量線 内標準法の検量線は,次のとおり作成する。
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K 6724-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(a) 酢酸ビニルにアセトアルデヒドを添加し,被検成分に近い段階的な3種類の濃度の標準液を調製す
る。
(b) (5)に準じて標準液を導入し,クロマトグラムを記録してピーク面積を測定する。
(c) アセトアルデヒドと内標準物質のピーク面積比と,アセトアルデヒドの濃度の関係をグラフにして
検量線を作成する。
(7) 計算 データ処理装置を用いる方法によってピーク面積を測定し,アセトアルデヒドと内標準物質と
のピーク面積比からアセトアルデヒド含有量を算出する。
備考 検出感度に差がないことが確認できれば,3.7に規定した分析法で得られたガスクロマトグラム
から,見掛けのアセトアルデヒド含有量を求め,次の式を用いて酸分及び水分を差し引き,ア
セトアルデヒド含有量を算出することもできる。
100
)
100
(
ALi
W
A
AL
×
−
−
=
ここに,
AL: アセトアルデヒド (%)
A: 3.10で測定した酸分 (%)
W: 3.8で測定した水分 (%)
ALi: データ処理装置で求めた見掛けのアセトアルデヒド (%)
3.12 活性度
(1) 要旨 活性度は,65.0±0.1℃での発泡開始までの時間を測り,重合性の指標とする。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(a) 試験管 内径18±2mm,全長220±3mm,厚さ0.7〜1.0mmの硬質ガラス製のもの。
(b) 全量ピペット JIS R 3505に規定する10ml
(c) ストップウォッチ 0.1秒まで測定できるもの。
(d) 恒温水槽 65.0±0.1℃を保持できるもの。
(3) 試薬
過酸化ラウロイル 純度98%以上
(4) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 過酸化ラウロイル130mgを正しく量り採り,あらかじめ清浄し,乾燥した試験管に移す。
(b) 約20℃の試料10mlを,全量ピペットで採り,試験管に移す。
(c) 過酸化ラウロイルを完全に溶解する。
(d) 65.0±0.1℃に保持した恒温水槽に,試料の液面が恒温水槽の水面から100〜150mm下に入るように
試験管を差し込む。
(e) 恒温水槽に試験管を差し込んだときから,試料が重合によって発泡を開始するまでの時間を測定し,
この時間を活性度とする。
3.13 ヒドロキノンの含有量
(1) 要旨 分光光度計を用いてヒドロキノンの紫外部の吸光度を測定し,検量線から含有量を求める。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(a) 吸収セル 石英ガラス製光路長10mm
(b) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する100ml及び1 000ml
(c) 全量ピペット JIS R 3505に規定する1ml, 3ml, 5ml, 10ml, 15ml及び20ml
(d) 分光光度計 装置は,JIS K 0115に規定するもの。分析条件は,機器によって異なるため最適条件
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に設定しなければならない。
(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
(a) 酢酸ビニル この規格に規定する酢酸ビニルを蒸留などで重合防止剤を除き,精製酢酸ビニルを得
る。
(b) ヒドロキノン標準液 JIS K 8738に規定するヒドロキノン0.100gを1mgまで正しく量った後,精製
酢酸ビニルに溶かし,全量フラスコ1 000mlに入れ,酢酸ビニルを加えて約20℃で1 000mlとする。
この溶液1mlはヒドロキノン0.1mgを含む。
(4) 操作 吸収セルに試料を採り,純水を対照液として約20℃で波長295nmの吸光度を測定する。
(5) 検量線 検量線は,次のとおり作成する。
(a) ヒドロキノンを含まない精製酢酸ビニルについて,(4)の操作を行う。
(b) 次に100ml全量フラスコにヒドロキノン標準液を1ml, 3ml, 5ml, 10ml, 15ml及び20mlを正しく量り
採り,精製酢酸ビニルを加えて約20℃で100mlとし,(4)の操作を行う。
(c) ヒドロキノン濃度 (μg/ml) と吸光度の関係をグラフにして,検量線を作成する。
(6) 計算 検量線からヒドロキノン濃度 (μg/ml) を求め,次の式によって含有量 (%) を算出する。
4
10−
×
D
C
HQ=
ここに, HQ: ヒドロキノン量 (%)
C: 検量線から求めたヒドロキノン濃度 (μg/ml)
D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)
4. 検査 検査は,3.によって試験を行い,表1に適合しなければならない。
5. 表示 酢酸ビニルには,容器ごとに,次の事項を表示しなければならない。
(1) 名称
(2) 正味質量
(3) ヒドロキノン量 (%)
(4) 製造番号又はロット番号
(5) 製造業者名又はその略号
(6) 製造年月日又はその略号
付表1 引用規格
JIS C 7601 蛍光ランプ(一般照明用)
JIS G 4304 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS H 6202 化学分析用白金皿
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8030 アセトアルデヒド(試薬)
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K 6724-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8129 塩化コバルト (II) 六水和物(試薬)
JIS K 8163 ヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム(塩化白金酸カリウム)(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8501 二亜硫酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8738 ヒドロキノン(1, 4−ベンゼンジオール)(試薬)
JIS R 1302 化学分析用磁器蒸発ざら
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
関連規格 JIS B 7525 比重浮ひょう
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0071 化学製品の色及び硫酸着色試験方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 1351 酢酸
JIS K 2249 原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表
JIS K 6716 メタクリル酸メチル
JIS K 6727 スチレン
JIS Z 8804 液体比重測定方法
ISO 753/2 Acetic acid for industrial use−Methods of test−Part 2 : Determination of acetic acid
content−Titrimetric method
ISO 753/4 Acetic acid for industrial use−Methods of test−Part 4 : Determination of acetaldehyde
monomer content−Titrimetric method
ISO 758 Liquid chemical products for industrial use−Determination of density at 20℃
ISO 759 Volatile organic liquids for industrial use−Determination of dry residue after evaporation on
water bath−General method
ISO 760 Determination of water−Karl Fischer method (General method)
ISO 2209 Liquid halogenated hydrocarbons for industrial use Sampling
ISO 2211 Liquid chemical products−Measurement of colour in Hazen units (platinum-cobalt scale)
ISO 2718 Standard layout for a method of chemical analysis by gas chromatography
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 6724改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
富 永 博 夫
東京大学(名誉教授)
(委員)
古 田 肇
通商産業省基礎産業局
衣 笠 晋 一
工業技術院化学技術研究所
地 崎 修
工業技術院標準部
安 原 暉 之
三井・デュポンポリケミカル株式会社企画部
江 村 和 朗
ユニチカケミカル株式会社
滝 沢 稔
ヘキスト合成株式会社技術本部
田 中 厚 生
電気化学工業株式会社技術部
中 村 伸 一
昭和電工株式会社有機化学品事業部
栗 山 光 正
信越化学工業株式会社有機合成事業部
(関係者)
* 松 本 憲 是
株式会社クラレポバールエーバル事業本部
大垣内 宏
日本合成化学工業株式会社品質保証室
村 野 放
ユニチカ株式会社化成事業本部
(事務局)
山 下 完
酢ビ・ポバール工業会
* 素案作成関係者