K6717-1:2006 (ISO 8257-1:1998)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,石油化学工業協会
(JPCA)/日本プラスチック工業連盟(JPIF)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本
工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
工業規格である。
これによって,JIS K 6717-1:1999は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 8257-1:1998,Plastics−Poly (methyl
methacrylate)(PMMA) moulding and extrusion materials−Part 1 : Designation system and basis for specifications
を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS K 6717の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 6717-1 第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
JIS K 6717-2 第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方
K 6717-1:2006 (ISO 8257-1:1998)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 2
3. 呼び方及び仕様表記のシステム ·························································································· 2
3.1 データブロック1 ··········································································································· 3
3.2 データブロック2 ··········································································································· 3
3.3 データブロック3 ··········································································································· 3
3.4 データブロック4 ··········································································································· 3
3.5 データブロック5 ··········································································································· 3
4. 呼び方の例 ····················································································································· 5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6717-1:2006
(ISO 8257-1:1998)
プラスチック−ポリメタクリル酸メチル(PMMA)
成形用及び押出用材料−
第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎
Plastics-
Poly(methyl methacrylate)(PMMA) moulding and extrusion materials-
Part 1 : Designation system and basis for specifications
序文 この規格は,1998年に第2版として発行されたISO 8257-1,Plastics−Poly (methyl
methacrylate)(PMMA) moulding and extrusion materials−Part 1 : Designation system and basis for specifications
を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲
1.1
この規格は,熱可塑性材料であるポリメタクリル酸メチル (PMMA) の呼び方について規定する。こ
の呼び方は,仕様を表記する場合に用いることができる。
1.2
ポリメタクリル酸メチルを次の性質の適切な水準,並びにポリマーの基本パラメータ,用途及び/
又は加工方法,重要な性質,添加剤, 及び着色剤に基づいて区分する。
a) ビカット軟化温度
b) メルトマスフローレイト
c) 粘度数(選択項目)
1.3
この規格は,すべてのポリメタクリル酸メチル (PMMA) 単独重合体に適用する。さらに,質量分率
80 %以上のMMAと質量分率20 %以下のアクリル酸エステル又は他のモノマーからなるメタクリル酸メ
チル (MMA) の共重合体に適用する。
この規格は,ビーズ状,か(顆)粒状又はペレット状で使用する材料,及び着色剤,添加剤などの添加
又は無添加の材料に適用するが,エラストマーで変性したPMMAには適用しない。
参考 ビーズとは,均一な小球状の粉末。
1.4
呼び方が同じ材料であっても,必ずしも同一の性能を示すとは限らない。したがって,特定の用途
及び/又は加工方法に必要な材料を特定するときに必要なエンジニアリングデータ,性能データ又は加工
条件に関するデータを提供するものではない。
このような追加データが必要な場合は,この規格の第2部 (JIS K 6717-2) に規定する試験方法が適用で
きれば,それによって測定する。
1.5
特定の用途の熱可塑性材料を規定するために,又は再現性のある加工方法のために,追加要求事項
をデータブロック5に追加してもよい(3.参照)。
2
K 6717-1:2006 (ISO 8257-1:1998)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 8527-1:1998,Plastics−Poly (methyl methacrylate)(PMMA) moulding and extrusion materials−
Part 1 : Designation system and basis for specifications (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6717-2 プラスチック−ポリメタクリル酸メチル (PMMA) 成形用及び押出用材料−第2部:試
験片の作り方及び諸性質の求め方
備考 ISO 8257-2:2001,Plastics−Poly (methyl methacrylate) (PMMA) moulding and extrusion materials
−Part 2 : Preparation of test specimens and determination of propertiesが,この規格と一致してい
る。
JIS K 6899-1 プラスチック−記号及び略語−第1部:基本重合体(ポリマー)及びその特性
備考 ISO 1043-1:1997,Plastics−symbols and abbreviated terms−Part 1 : Basic polymers and special
characteristicsが,この規格と一致している。
参考 最新版としてISO 1043-1:2001が発行済であるが,引用部分は1997版と同一である。
JIS K 6900 プラスチック−用語
備考 ISO 472:1988,Plastics−Vocabularyが,この規格と一致している。
参考 最新版としてISO 472:1999が発行済であるが,引用部分は1988版と同一である。
3. 呼び方及び仕様表記のシステム 熱可塑性プラスチックの呼び方のシステムは,次による。
呼び方
種類ブロック
(記載任意)
識別項目ブロック
規格番号
ブロック
個別項目ブロック
データ
ブロック
1
データ
ブロック
2
データ
ブロック
3
データ
ブロック
4
データ
ブロック
5
呼び方は,記載任意の種類ブロック(“熱可塑性プラスチック”と記載する。)及び識別項目ブロックに
よって構成し,更に識別項目ブロックは,規格番号ブロック及び個別項目ブロックによって構成する。
あいまいな表示を避けるために,個別項目ブロックを更に次の五つのデータブロックに細分化する。
データブロック1: JIS K 6899-1に従う略号PMMAで,プラスチックの種類を識別(3.1参照)。
データブロック2: コードの文字位置1:予想される用途及び/又は加工方法(3.2参照)
コードの文字位置2〜8:重要な性質,添加剤及び補足情報(3.2参照)
データブロック3: 区分用の性質(3.3参照)
データブロック4: 充てん材又は強化材及びこれらの公称含有率(このブロックは,この規格では用
いない。)(3.4参照)
データブロック5: 追加情報として第5番目のデータブロックを加えてもよい(3.5参照)。
個別項目ブロックの最初の文字は,ハイフンとする。それぞれのデータブロックは互いにコンマで区切
3
K 6717-1:2006 (ISO 8257-1:1998)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
る。
使用しないデータブロックがある場合は,そのデータブロックを二つ続きの分離記号,すなわち,二つ
のコンマ“,,”によって示す。
3.1
データブロック1 ハイフンの後にポリメタクリル酸メチルをJIS K 6899-1による略号PMMAで識
別する。
3.2
データブロック2 コードの文字位置1に予想される用途及び/又は加工方法についての情報を,位
置2〜8に重要な性質,添加剤,着色剤についての情報を表示する。表示コードを,表1に示す。
位置2〜8に情報があり,位置1に特定情報がない場合には,位置1に文字“X”を挿入する。
3.3
データブロック3 ビカット軟化温度の範囲を3けたのコード(番号)(3.3.1参照),メルトマスフ
ローレイトの範囲を3けたのコード(番号)(3.3.2参照),及び選択項目として粘度数の範囲を2けたのコ
ード(番号)で表示する(3.3.3参照)。二つ(又は三つ)のコードは,それぞれをハイフンで区切る。
一つの性質の値が範囲の境界上にあるか又は近い場合は,製造業者は,いずれの範囲に材料があるかを
明記しなければならない。その材料の試験値が,違っていたり又はずれていても,製造許容範囲にあるな
らば,その呼び方を変える必要はない。
備考 性質を示すすべての数字の組合せのポリマーが,現在入手できるとは限らない。
3.3.1
ビカット軟化温度 ビカット軟化温度 (VST) は,JIS K 6717-2に従って測定する。
表2で規定するように,ビカット軟化温度は,八つの範囲に分割しており,それぞれ3けたのコードで
表示する。
3.3.2
メルトマスフローレイト メルトマスフローレイト (MFR) は,JIS K 6717-2に従って測定する。
表3で規定するように,メルトマスフローレイトの値は,六つの範囲に分割しており,それぞれ3けた
のコードで表示する。
3.3.3
粘度数(記載任意) 粘度数 (VN) は,JIS K 6717-2に従って測定する。
表4で規定するように,粘度数は,六つの範囲に分割しており,それぞれ2けたのコードで表示する。
3.4
データブロック4 充てん材及び/又は強化材を表すのに使用するので,この規格では使用しない。
3.5
データブロック5 特定用途の材料仕様書を作成するために必要な場合,追加事項を表示する。例え
ば,適切な日本工業規格を引用する。
4
K 6717-1:2006 (ISO 8257-1:1998)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1 データブロック2に使用するコード
コード
コードの文字位置1
コード
コードの文字位置2〜8
A
加工安定処方
C
着色品 (2)
D
ディスク製造用 (1)
D
ビーズ
E
チューブ,異形,シートの押出用
E
発泡処方
F
フィルム及び薄物シートの押出
用
F
特殊燃焼特性処方
G
一般用
G
ペレット,か粒 (3)
H
コーティング用
H
熱老化安定処方
L
モノフィラメント押出用
L
耐光及び/又は耐候処方
M
射出成形用
N
自然色(非着色品)
Q
圧縮成形用
R
回転成形用
R
離型剤処方
S
粉末コーティング又は焼結用
S
滑剤処方
T
透明性制御処方
X
表示なし
Z
帯電防止処方
注(1) この規格では,ビデオディスク製造
(2) C1=透明着色
C2=不透明着色
(3) ペレット及びか粒の正確な定義は,JIS K 6900を参照する。
表2 データブロック3のビカット
軟化温度に使用するコード
コード
VSTの範囲
℃
076
≦ 80
084
> 80〜≦ 88
092
> 88〜≦ 96
100
> 96〜≦104
108
>104〜≦112
116
>112〜≦120
124
>120〜≦128
132
>128
表3 データブロック3のメルトマス
フローレイトに使用するコード
コード
MFRの範囲
g/10 min
005
≦ 1
015
> 1〜≦ 2
030
> 2〜≦ 4
060
> 4〜≦ 8
120
> 8〜≦16
240
>16
5
K 6717-1:2006 (ISO 8257-1:1998)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表4 データブロック3の粘度数に
使用するコード
コード
(番号)
VNの範囲
ml/g
(記載任意)
43
≦48
53
>48〜≦58
63
>58〜≦68
73
>68〜≦78
83
>78〜≦88
93
>88
4. 呼び方の例 射出成形用材料 (M),耐光処方 (L),自然色(非着色品) (N),ビカット軟化温度101 ℃
(コード100),メルトマスフローレイト10 g/10 min(コード120)及び粘度数50 ml/g(コード53)であ
るPMMAは,次のような呼び方とする。
種類ブロック
(記載任意)
規格番号
ブロック
個別項目ブロック
データ
ブロック
1
データ
ブロック
2
データ
ブロック
3
(熱可塑性プラスチック)
JIS K 6717-1 (ISO 8257-1) ,-PMMA M L N, 100-120-53
規格番号
データブロック1:記号
データブロック2:コードの文字位置1: 射出成形
コードの文字位置2: 耐光及び/又は耐候処方
コードの文字位置3: 自然色(非着色品)
データブロック3:コードの文字位置1: ビカット軟化温度
コードの文字位置2: メルトマスフローレイト
コードの文字位置3: 粘度数
呼び方:(熱可塑性プラスチック) JIS K 6717-1(ISO 8257-1) -PMMA,MLN,100-120-53