K 6558-3:2016
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 原理······························································································································· 2
5 試薬······························································································································· 2
6 装置······························································································································· 2
7 試料採取························································································································· 3
8 手順······························································································································· 3
8.1 硫酸化全灰分 ················································································································ 3
8.2 硫酸化不溶性灰分 ·········································································································· 3
8.3 全灰分 ························································································································· 3
9 試験結果の表し方 ············································································································· 4
9.1 計算 ···························································································································· 4
9.2 繰返し性 ······················································································································ 4
10 試験報告書 ···················································································································· 4
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 6
K 6558-3:2016
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本皮革産業連合会(JLIA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS K 6558の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 6558-1 第1部:化学試験用試料の調製
JIS K 6558-2 第2部:揮発性物質の測定
JIS K 6558-3 第3部:硫酸化全灰分,硫酸化不溶性灰分及び全灰分の測定
JIS K 6558-4 第4部:ジクロロメタン又はヘキサン可溶性物質の測定
JIS K 6558-5 第5部:水溶性物質,水溶性無機物及び水溶性有機物の測定
JIS K 6558-6 第6部:窒素含有量及び皮質分の測定−滴定法
JIS K 6558-7 第7部:なめし度の測定
JIS K 6558-8-1 第8-1部:酸化クロム含有量の測定−滴定法
JIS K 6558-8-2 第8-2部:酸化クロム含有量の測定−比色法
JIS K 6558-8-3 第8-3部:酸化クロム含有量の測定−原子吸光分析法
JIS K 6558-8-4 第8-4部:酸化クロム含有量の測定−ICP発光分光分析(ICP-OES)
JIS K 6558-9 第9部:pHの測定
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日本工業規格 JIS
K 6558-3:2016
革試験方法−化学試験−第3部:
硫酸化全灰分,硫酸化不溶性灰分及び全灰分の測定
Leather-Determination of sulphated total ash,
sulphated water-insoluble ash, and total ash
序文
この規格は,1977年に第1版として発行されたISO 4047を基とし,対応する部分については対応国際
規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定さ
れていない規定項目(全灰分の測定)を日本工業規格として追加している。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,全ての種類の革に適用でき,硫酸化全灰分,硫酸化不溶性灰分及び革の全灰分の測定方法
について規定する。
測定結果は,革の有機金属化合物(例 シリコン)の含有量によって不正確なことがある(8.1の注記1
を参照)。
革の灰化で得られる鉱物の量は,分解,還元又はある種の塩の揮発によって,実際の含有量とは異なる
ことがある。灰を硫酸で処理することによって塩及び酸化物が硫酸塩となるが,特定の燃焼温度で一部の
塩は再度酸化物に変化する。例えば,革の総合分析の範ちゅうで鉱物の総含有量を特定するには,水溶性
及び不水溶性の無機物質を計算で求めたり個別に測定したりすることで求めることが可能である。
アンモニウム塩は,この方法では測定できない(JIS K 6558-5と比較するのがよい。)。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 4047:1977,Leather−Determination of sulphated total ash and sulphated water-insoluble ash
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6556-1 革試験方法−試料採取及び調製−第1部:試料採取部位
注記 対応国際規格:ISO 2418,Leather−Chemical, physical and mechanical and fastness tests−
Sampling location(MOD)
2
K 6558-3:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 6558-1 革試験方法−化学試験−第1部:化学試験用試料の調製
注記 対応国際規格:ISO 4044,Leather−Chemical tests−Preparation of chemical test samples(MOD)
JIS K 6558-2 革試験方法−化学試験−第2部:揮発性物質の測定
JIS K 6558-5 革試験方法−化学試験−第5部:水溶性物質,水溶性無機物及び水溶性有機物の測定
注記 対応国際規格:ISO 4098,Leather−Chemical tests−Determination of water-soluble matter,
water-soluble inorganic matter and water-soluble organic matter(MOD)
JIS K 8545 硝酸アンモニウム(試薬)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
硫酸化全灰分(sulphated total ash)
この規格に規定する方法によって,革を炭化した後に,硫酸化処理を行い,800 ℃で灰化して得られる
残留物。
3.2
硫酸化不溶性灰分(sulphated water-insoluble ash)
JIS K 6558-5に規定する方法で,あらかじめ水溶性物質を抽出した革を炭化し,硫酸化した後800 ℃で
灰化して得られる残留物。
3.3
全灰分(total ash)
この規格に規定する方法によって,革を炭化した後,600 ℃で灰化して得られる残留物。
4
原理
革を炭化した後に,硫酸化物を求める場合は,硫酸化処理を行い,灰化する。全灰分の場合は,革を炭
化した後に,灰化する。灰分は,試料の質量に対する灰分質量の割合として表す。
5
試薬
この分析では,試薬特級だけを使用する。また,蒸留水又は同等純度の水だけを使用する。
5.1
硫酸(1 mol/L) 濃度約1 mol/Lの溶液。
5.2
硝酸アンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8545に規定する硝酸アンモニウム100 gを水に溶かして1 L
とする。
6
装置
一般的な実験室の装置を必要とする。特に,次のものが必要である。
6.1
るつぼ及び皿 磁器製,白金製又は石英製のもの。
6.2
マッフル炉 600 ℃又は800 ℃を維持可能なもの(8.1の注記4を参照)。
6.3
分析用天びん 精度0.000 1 gを計測できるもの。
3
K 6558-3:2016
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7
試料採取
JIS K 6556-1に規定する方法で試料採取を行い,JIS K 6558-1に規定する方法によって,革を細切する。
JIS K 6556-1に規定する方法で試料採取が不可能な,靴,衣類など完成品における革の場合は,試料採取
方法の詳細を試験報告書に記載する。
なお,試料測定数は2個とする。
8
手順
8.1
硫酸化全灰分
JIS K 6558-1に規定する方法で,試料調製を行う(注記1を参照)。使用するるつぼ(6.1)を事前に800 ℃
に加熱し,放冷後ひょう量する。そのるつぼに0.000 1 gの桁までひょう量した2 g〜5 gの試料を入れる。
革が小さい炎を出して燃焼するように,るつぼを弱火で加熱して,試料を注意深く炭化する。加脂した
革の炭化は,油脂がゆっくり燃焼するように特に注意する。
次に,硫酸(1 mol/L)(5.1)で均一にぬらし,三酸化硫黄の発煙が目視できなくなるまで弱火で加熱す
る。更に強火で加熱した後,るつぼをマッフル炉(6.2)に入れ,加熱を開始する。
試料が完全に灰化するまで800 ℃に保持する(注記2〜注記4を参照)。デシケータに入れて放冷後,質
量をひょう量する。質量の減少が0.002 g以下になるまで,硫酸(1 mol/L)の添加,加熱,放冷及びひょ
う量の操作を繰り返す(注記5を参照)。
注記1 硫酸化全灰分を測定する前に,革に含浸している有機金属化合物についてジクロロメタン,
又はヘキサンを用いて除去することを推奨する。
注記2 800 ℃で加熱しても残留物から炭素を除去できない場合,灰分から炭素が除去するまで,少
量の硝酸アンモニウム溶液(100 g/L)(5.2)を残留物に加えてから加熱する操作を繰り返す。
注記3 硝酸アンモニウム溶液(100 g/L)を使用しても完全に灰化しない場合,るつぼの内容物を温
水と混合し,無灰ろ紙でろ過する。炭素を含む残留物をろ紙とともに灰化し,ろ液をるつぼ
の内容物に加える。ウォーターバスで水分を蒸発させる。炭化物の存在が目視で確認できな
くなるまで再度800 ℃で加熱し,デシケータでの放熱後に質量を測定する。
注記4 800 ℃を超える温度では,一部の無機塩の揮発によって,残留物の質量が減少する可能性が
ある。このため,炉温が800 ℃を超えないように精密な制御が重要である。
注記5 成分(酸化クロム,酸化アルミニウム,酸化鉄など)の測定,及び不純物の鉱物に存在する
陽イオンの測定に必要な場合は,硫酸化全灰分を保管し測定を行う。
8.2
硫酸化不溶性灰分
細切した革からJIS K 6558-5に規定する方法で水溶性物質を抽出する。抽出後に残った試料を空気乾燥
する(注記を参照)。続けて,8.1の操作を行う。
注記 硫酸化不溶性灰分を個別に測定する場合,JIS K 6558-5に規定する水溶性物質の測定後に残っ
た,乾燥した革を全量灰化する必要はない。乾燥した革を混合してその質量を測定し,適切な
量を灰化してもよい。
8.3
全灰分
JIS K 6558-1に規定する方法で,試料を調製する(8.1の注記1を参照)。使用するるつぼ(6.1)を事前
に600 ℃に加熱し,放冷後ひょう量する。そのるつぼに0.000 1 gの桁までひょう量した試料3 g〜5 gを
入れる。
革が小さい炎を出して燃焼するように,るつぼを弱火で加熱して,試料を注意深く炭化させる。加脂し
4
K 6558-3:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
た革の炭化は,油脂がゆっくり燃焼するように特に注意する。更に強火で加熱した後,るつぼをマッフル
炉(6.2)に入れ,加熱を開始する。
試料が完全に灰化するまで600 ℃に保持する。デシケータに入れて放冷後,質量をひょう量する。質量
の減少が0.002 g以下になるまで,加熱,放冷,及びひょう量の操作を繰り返す。
この方法でも十分に灰化しないときは,内容物を温水に溶かし,これを定量ろ紙でろ過し,ろ紙ととも
に乾燥させる。更にるつぼに入れて燃焼させ,これにろ液を加える。水浴上で蒸発乾固し,再び強熱して
十分に灰化した後,デシケータ中で室温まで放冷して質量を測定する。
9
試験結果の表し方
9.1
計算
9.1.1
硫酸化全灰分S(%)は,質量の割合として式(1)から算出する。揮発性物質の質量で換算する場合
は,式(1)に式(2)で得られる係数Fを乗じ算出する。結果は,四捨五入によって小数点以下1桁とする。
100
0
1×
=mm
S
············································································· (1)
ここに,
m0: 元の試料の質量(g)
m1: 硫酸化全灰分の質量(g)
また,係数(F)は,
100
100
1
×
−
=
w
F
······································································· (2)
ここに,
w: JIS K 6558-2に基づく揮発性物質の質量分率(%)
9.1.2
硫酸化不溶性灰分I(%)は,質量の割合として式(3)から算出する。揮発性物質の質量で換算する
場合は,式(3)に式(2)で得られる係数Fを乗じ算出する。結果は,四捨五入によって小数点以下1桁とする。
100
0
2×
=m
m
I
············································································· (3)
ここに,
m0: 元の試料の質量(g)
m2: 硫酸化不溶性灰分の質量(g)
注記 水溶性物質の硫酸化灰分を個別に測定した場合,硫酸化不溶性灰分の割合を求める別の方法と
して,硫酸化全灰分の割合から水溶性物質の硫酸化灰分の割合を減算して求めることができる。
9.1.3
全灰分T(%)は,質量の割合として式(4)から算出する。揮発性物質の質量で換算する場合は,式
(4)に式(2)で得られる係数Fを乗じ算出する。結果は,四捨五入によって小数点以下1桁とする。
100
0
3×
=m
m
T
············································································· (4)
ここに,
m0: 元の試料の質量(g)
m3: 全灰分の質量(g)
9.2
繰返し性
同一試料を繰り返し測定した結果の差は,0.2 %を超えてはならない。差が0.2 %を超えた場合,再度測
定しなければならない。
10 試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の規格番号
b) 試験結果の算術平均値(%,小数点以下1桁)
5
K 6558-3:2016
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c) 試料を識別するための詳細情報及び試料採取に関するJIS K 6556-1との相違点
d) この規格で規定した方法との相違点
e) 結果に影響を与えた可能性がある特殊な環境の詳細情報
6
K 6558-3:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 6558-3:2016 革試験方法−化学試験−第3部:硫酸化全灰分,硫酸化不溶
性灰分及び全灰分の測定
ISO 4047:1977,Leather−Determination of sulphated total ash and sulphated
water-insoluble ash
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び
定義
3.3 全灰分
−
−
追加
JISでは,600 ℃での全灰分を測定
することとした。
我が国の使用実態に合わせた。
実質的な差異はない。
7 試料採取 −
7.2
他の試料採取の応用
削除
ISO規格では,関連する明細又は契
約によって採取を実行するとして
いる。
我が国の使用実態に合わせた。
実質的な差異はない。
8 手順
8.1 硫酸化全灰分
−
−
追加
JISでは有機金属化合物測定にヘキ
サンを追加した。
地球環境及び試験者の保護に
配慮した。実質的な差異はな
い。
8.3 全灰分
−
−
追加
JISでは全灰分を追加した。ISO規
格の硫酸化全灰分とJISの全灰分測
定方法とは,クロスチェックによっ
て差がないことが判明した。
我が国の使用実態に合わせた。
実質的な差異はない。次回の
ISO規格の見直しの際に,修正
を提案する。
9 試験結果
の表し方
9.1.1 係数(F)
9.1.3 全灰分の計算
式
−
−
追加
JISでは係数(F)を求める計算式(2)
及び全灰分の質量の割合の計算式
(4)を追加した。
我が国の使用実態に合わせた。
実質的な差異はない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 4047:1977,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
2
K
6
5
5
8
-3
:
2
0
1
6