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K 6557-12:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 原理······························································································································· 2 

5 装置及び器具 ··················································································································· 2 

6 試料採取及び試料調製 ······································································································· 3 

7 試験手順························································································································· 4 

8 試験結果の表し方 ············································································································· 4 

9 試験報告書 ······················································································································ 5 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 6 

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(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本皮革産業連合会(JLIA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出

があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。これによって,

JIS K 6549:1977は廃止され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS K 6557の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 6557-1 第1部:厚さの測定 

JIS K 6557-2 第2部:引張強さ及び伸びの測定 

JIS K 6557-3 第3部:シングルエッジ法による引裂荷重の測定 

JIS K 6557-4 第4部:ダブルエッジ法による引裂荷重の測定 

JIS K 6557-5 第5部:耐水圧の測定 

JIS K 6557-6 第6部:静的吸水度の測定 

JIS K 6557-7 第7部:液中熱収縮温度の測定 

JIS K 6557-8 第8部:耐屈曲性の測定−フレクソメータ法 

JIS K 6557-9 第9部:仕上膜の剝離強さの測定 

JIS K 6557-10 第10部:銀面割れの測定−ボールバースト法 

JIS K 6557-11 第11部:はっ水性の測定 

JIS K 6557-12 第12部:透湿度の測定 

日本産業規格          JIS 

K 6557-12:2020 

革試験方法−物理試験−第12部:透湿度の測定 

Leather-Physical and mechanical tests-Part 12: Determination of water 

vapour permeability 

序文 

この規格は,2012年に第2版として発行されたISO 14268を基とし,技術的内容を変更して作成した日

本産業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,革の透湿度(水蒸気透過性)の試験方法について規定する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 14268:2012,Leather−Physical and mechanical tests−Determination of water vapour permeability

(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 6556-1 革試験方法−試料採取及び調製−第1部:試料採取部位 

注記 対応国際規格:ISO 2418,Leather−Chemical, physical and mechanical and fastness tests−

Sampling location 

JIS K 6556-2 革試験方法−試料採取及び調製−第2部:試料調製及び状態調節 

注記 対応国際規格:ISO 2419,Leather−Physical and mechanical tests−Sample preparation and 

conditioning 

JIS K 6557-1 革試験方法−物理試験−第1部:厚さの測定 

注記 対応国際規格:ISO 2589,Leather−Physical and mechanical tests−Determination of thickness 

JIS K 6557-8 革試験方法−物理試験−第8部:耐屈曲性の測定−フレクソメータ法 

注記 対応国際規格:ISO 5402-1,Leather−Determination of flex resistance−Part 1: Flexometer method 

JIS R 6252 研磨紙 

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用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6556-1による。 

原理 

透湿度とは,一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気の質量をいう。この規格では,革を境界

面とし,一方の側の空気を標準状態の相対湿度に,反対側の空気をシリカゲルで乾燥状態に保ったとき,

この境界面を通過する水蒸気の質量を,その革1 cm2当たりに換算し,その値をその革の透湿度とする。 

シリカゲルを入れた試験容器の開口部に試験片を固定し,標準状態中でファンを用いて試験片に向けて

風を吹き付ける。試験容器内の空気は継続的にかくはんされ,試験片を通過した水蒸気がシリカゲルに吸

収される。試験の開始時及び終了時に試験容器の質量を測定し,シリカゲルが吸収した水分の質量を透湿

量とし,透湿度を求める。 

装置及び器具 

5.1 

試験容器 首部の内径が30 mm±3 mmのつぼ又は瓶の形状をしたねじ蓋付きの容器。ねじ蓋にも円

形の開口部があり,その内径は,首部の内径と等しいものとする。試験容器の高さは,70 mm〜90 mmと

する。 

5.2 

透湿度試験機 ファンが回転し,それと反対方向に回転するターンテーブルに取り付けた試験容器

に風を吹き付ける機能をもつものとする。ファンの先端は,ターンテーブルの前面から10 mm±5 mmの

位置にあり,両者の回転軸は同一直線上とする。ターンテーブル及びファンの概略図を図1に示す。 

a) ターンテーブル 回転速度が75 r/min±5 r/minで,ターンテーブルの回転軸から67 mm±2 mmの距離

に,回転軸と平行に試験容器(5.1)を保持することが可能なもの。 

b) ファン 直径224 mm±1 mmの円盤状の平板上に3枚の平翼が120°間隔で垂直に取り付けてあり,

回転することによって,試験容器の開口部に風を吹き付けることができるもの。平翼の寸法は(90 mm

±1 mm)×(75 mm±1 mm)とする。回転速度は1 400 r/min±100 r/minとする。 

単位 mm 

図1−透湿度試験機の概略図 

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5.3 

シリカゲル 粒径が2 mm〜5 mmのもので,湿度インジケータ付きのもの。分級して小さい粒子及

び粉じんを除去し,換気式定温乾燥機(5.11)を用いて125 ℃±5 ℃で16時間以上加熱して再生する。そ

の後,密閉容器に入れ,JIS K 6556-2の3.1(基準標準状態)に規定する温度まで放熱する。シリカゲルの

粒径は,2 mmのふるいを通過しないものとする。試験片よりも温度の高いシリカゲルを使用してはなら

ない。 

注記1 シリカゲルビーズは,シリカゲルの粒子よりも発生する粉じんが少ない。 

注記2 シリカゲルは,密閉容器内に大量にあると,温度が低下するのに時間がかかる。全てのシリ

カゲルの温度がJIS K 6556-2の3.1に規定する温度まで下がるには,長時間かかることがあ

る。 

5.4 

分析用天びん(秤) 精度が0.001 g以上のもの。 

5.5 

タイマー 最小目盛が1分以下のもの。 

5.6 

ノギス 0.1 mmの単位まで読み取れるもの。 

5.7 

抜型 試験容器(5.1)の口に密着する適切な寸法の円形試験片を,1回の操作で採取することが可

能なもので,JIS K 6556-2の箇条4(抜型のデザイン)に規定されたもの。 

5.8 

蜜ろう 

5.9 

研磨紙 JIS R 6252に規定するP180のもの。 

5.10 

耐屈曲性試験装置 JIS K 6557-8の5.1(耐屈曲性試験装置)に規定するもの。 

5.11 

換気式定温乾燥機 125 ℃±5 ℃に加熱できるもの。 

5.12 

厚さ測定器 JIS K 6557-1の4.1(試験機)に規定する試験機。 

試料採取及び試料調製 

6.1 

JIS K 6556-1に規定する方法で試料を採取し,JIS K 6556-2に規定する方法で,抜型(5.7)を使用

して直径30 mm±3 mmの試験片を3個採取する。必要があれば,厚さ測定器(5.12)を使用し,JIS K 6557-1

に規定する方法で試験片の厚さを測定する。試験片の厚さが3.0 mmを超える場合は,7.2の試験手順によ

って密封する必要がある。 

着用時に生じる摩耗及び屈曲による影響をみるために,試料の前処理が必要な場合は,6.2に規定する方

法で前処理を行った後に,3個の試験片を採取する。 

一つのロットから,3枚以上の革を試験する場合,それぞれの革から1個の試験片を採取する必要があ

る。ただし,試験片の総数は3個以上とする。 

6.2 

試料の前処理の方法は,次による。 

a) 摩耗による影響をみる場合は,1辺が50 mm以上の正方形の試料を採取する。使用面を上に向けて平

らな面に置き,研磨紙(5.9)を使用面に当て,約2 Nの力を手で加えて,様々な方向に計10回研磨

する。研磨した領域から6.1に規定する方法で試験片を採取する。 

b) 屈曲による影響をみる場合は,耐屈曲性試験装置を用いて,JIS K 6557-8の6.2.1(乾燥試験)に規定

する方法によって試料を20 000回屈曲する。屈曲した領域から5.7に規定する抜型を用いて,円形の

試験片を採取する。 

注記 ほとんどの革は,塗装仕上げがされているため,塗装仕上げされていない革に比較して透湿

性が低下する。仕上塗膜を屈曲させるか,又は僅かに研磨することによって,仕上塗膜の影

響を小さくすることができる。a) 及びb) に規定する前処理の目的は,着用時における革の摩

耗及び屈曲を模擬的に発生させることである。 

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6.3 

試験片は,JIS K 6556-2の箇条6(状態調節)に規定する方法で状態調節する。 

試験手順 

7.1 

試験容器(5.1)を二つ用意する。一つは状態調節用(以下,状態調節容器という。)として最初に使

用する。もう一つは16時間以上24時間以内の範囲で状態調節した後に,透湿度測定用(以下,透湿度測

定容器という。)として使用する。透湿度測定容器は,ノギス(5.6)を用いて,首部の内径を2回測定(0.1 

mmまで計測)し,その値を平均し,平均内径とする。 

7.2 

試験片の厚さが3.0 mmを超える場合で,深い型押しがされている場合,又は透湿性が5 mg/cm2·h

未満であると見込まれる場合は,試験片と試験容器の首部との間の接合部を密封する必要があり,7.3及び

7.8の前に試験容器を50 ℃±5 ℃に暖め,蜜ろう(5.8)を首部の平たん(坦)な面に薄く塗布する。 

7.3 

状態調節容器の半分まで,再生したシリカゲル(5.3)を入れる。 

7.4 

7.3の状態調節容器の口に,製品の使用時に高い湿度にさらされる面が外側になるように試験片を置

く。このとき,試験片の中心と試験容器との中心を合わせる。 

7.5 

状態調節容器にねじ蓋を取り付け,試験片が試験容器の縁に確実に密着し,試験容器が密閉される

ようにねじ蓋を締める。 

7.6 

状態調節容器を垂直に取り付けたターンテーブル[5.2 a)]に取り付け,透湿度試験機及びタイマー

を作動させ,16時間以上24時間以内の範囲で状態調節を行う。 

注記 ターンテーブルの釣合いを取るために,7.3〜7.5に規定する方法で用意した追加の試験容器を

対角線上に使用しなければならないことがある。 

7.7 

状態調節後に,透湿度試験機から状態調節容器を取り外し,試験片及びねじ蓋を取り外す。 

7.8 

あらかじめ内径を測定した透湿度測定容器に,再生したシリカゲルを半分まで入れ,7.7で取り外し

た試験片及びねじ蓋を取り付ける。このとき,試験片は7.4と同じ向きに置く。シリカゲル及び試験片を

含む透湿度測定容器の質量を測定する。質量(m0)は,0.001 gまで記録する。これらの操作はできるだけ

短時間で行う。 

7.9 

透湿度測定容器を垂直に取り付けたターンテーブルに取り付け,透湿度試験機及びタイマーを作動

させる。 

7.10 

7時間以上16時間以内の範囲で,透湿度試験機を停止し,試験時間を記録する。 

7.11 

透湿度測定容器を取り外して質量を測定する。質量(m1)は,0.001 gまで記録する。 

試験結果の表し方 

透湿度Pwv(mg/cm2·h)は,式(1)を用いて算出し,四捨五入によって小数点以下1桁とする。 

t

d

m

P

2

wv

Δ

639

7

=

 ·········································································· (1) 

ここに, 

Δm: 試験容器の質量の増加(m1−m0)(mg) 

d: 試験容器首部の平均内径(mm) 

t: 質量(m0)の測定から質量(m1)の測定までの時間(min) 

注記 定数7 639は,内径(mm)を半径(cm)に,また,時間単位を分(min)から時間(h)に換

算するための係数で,定数πを用いて次の式から得られる。 

60

π

20

639

7

=

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試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記載する。 

a) この規格の規格番号 

b) 3個の試験片の平均透湿度Pwv(mg/cm2·h,小数点以下1桁) 

c) 6.2に規定する前処理を行った場合は,前処理方法の記載 

d) JIS K 6556-2に規定する,どの標準状態で状態調節したかの詳細 

e) この規格で規定した方法との相違点 

f) 

試料を識別するための詳細情報,及び試料採取に関するJIS K 6556-1との相違点 

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K 6557-12:2020  

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 6557-12:2020 革試験方法−物理試験−第12部:透湿度の測定 

ISO 14268:2012,Leather−Physical and mechanical tests−Determination of water vapour 
permeability 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

3 用語及び
定義 

− 

− 

追加 

ISO規格では記載がなかったが,
JISでは追加した。 

実質的な差異はない。 

4 原理 

追加 

透湿度の原理を具体的に記載した。 実質的な差異はない。 

5 装置及び
器具 

5.9 研磨紙 

4.9 

− 

追加 

研磨紙を規定したJISを追加した。 実質的な差異はない。 

5.11 換気式定温乾
燥機 

− 

− 

追加 

ISO規格では記載がなかったが,
JISでは追加した。 

実質的な差異はない。 

5.12 厚さ測定器 

− 

− 

追加 

ISO規格では記載がなかったが,
JISでは追加した。 

実質的な差異はない。 

6 試料採取
及び試料調
製 

6.1 

5.1 

追加 

ISO規格では試料の前処理の目的
が最後に記載しているが,JISでは
6.1の第2段落に記載した。 

実質的な差異はない。 

6.1 

5.1 NOTE 

変更 

ISO規格では注記に記載している
が,JISでは規定であるため本文に
移した。 

実質的な差異はない。 

6.2 

5.2 

削除 

JISでは前処理が必要な場合に
a) 又はb) から選ぶことにし,前処
理が不要なc) を削除した。 

実質的な差異はない。 

7 試験手順 7.1 

− 

− 

追加 

JISでは試験容器の説明を追加し
た。 

実質的な差異はない。 

− 

− 

附属書A 

装置のサプライヤ 

削除 

JISでは削除した。 

実質的な差異はない。 

− 

− 

附属書B 

水蒸気指数 

削除 

JISでは削除した。 

実質的な差異はない。 

2

K

 6

5

5

7

-1

2

2

0

2

0

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K 6557-12:2020  

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 14268:2012,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

K

 6

5

5

7

-1

2

2

0

2

0