2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6552-1977
衣料用革試験方法
Testing Method for Clothing Leathers
1. 適用範囲 この規格は,衣料に使用する牛革,馬革,やぎ革,めん羊革その他の革の試験方法につい
て規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,国際単位系 (SI) によるものであ
って,参考として併記したものである。
引用規格:
JIS K 2201 工業ガソリン
JIS K 6550 革試験方法
JIS K 8295 グリセリン(試薬)
JIS L 0860 ドライクリーニングに対する染色堅ろう度試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
関連規格:JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
2. 試験項目 この規格に規定する試験項目は,次のとおりである。
(1) 引張試験
(2) 引裂試験
(3) 液中加熱収縮温度試験
(4) 液中加熱収縮温度の変化試験
(5) 染色堅ろう度試験
3. 試料及び試験片採取方法 試料は,図1に示した部位から100mm×240mmの大きさに切り取り,こ
の試料から図2に従って各試験片を採取する。HT線は背線,OT線は乳房部Oを通り背線と直交する線,
PR線は前脚部の付け根を通り背線に平行する線とする。試料の長辺の中心NがRT線の中心と合致するよ
うに採取する。
2
K 6552-1977
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図1
図2
備考1. 試料の部位に傷などがある場合には,試料採取位置を適宜にずらすものとする。ただし,その旨を付記す
る。
2. 図1のように試料を採取できないときは,当事者間の協定によって決める。
4. 試験の一般条件
4.1
試験室の標準状態 試験室は,原則として温度20±2℃,相対湿度65±5%とし,垣温恒湿の設備の
ない場合は常温 (20±15℃) ,常湿 (65±20%) の状態で試験してもよいが,この場合は試験時の温湿度を
記録する。
4.2
試験片の標準状態 試験片は試験前24時間以上,標準状態中に置かなければならない。
4.3
数値の丸め方 各試験によって得られた試験成績は,JIS Z 8401(数値の丸め方)により丸め,表1
のけたにする。
表1
試験項目
測定値
求める試験成績
引張切断荷重 (kgf) {N}
小数点以下1けた
整数値
ダンベル試験片の厚さ (mm) 小数点以下2けた
小数点以下1けた
伸 び (%)
小数点以下1けた
整数値
引裂荷重 (kgf) {N}
小数点以下2けた
小数点以下1けた
引裂強さ試験片の厚さ (mm) 小数点以下2けた
小数点以下1けた
液中加熱収縮温度 (℃)
小数点以下1けた
整数値
5. 引張試験
5.1
試験片 試験片の形状・寸法は,図3による。
3
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図3 試験片の形状・寸法
5.2
厚さの測定 試験片の厚さは,次の方法により測定する。
(1) 厚さは,JIS K 6550(革試験方法)の5.1によって測定する。
(2) 厚さの測定箇所は,試験片の狭部の中心線上の中心とその両側にそれぞれ15mmの点,合計3点とす
る。
5.3
伸び測定用の標線 試験片は,次の方法により,伸び測定用の標線(以下,標線という。)を付ける。
(1) 標線距離(標線間の距離)は,30mmとする。
(2) 標線は試験片の平行部分に,その中央部分を中心として正確に,かつ鮮明に付けなければならない。
5.4
試験機 次の条件を満たす引張試験機を用いる。
(1) 試験機の機構 試験機は,最大荷重の指示装置を持たなければならない。
(2) 試験機の能力 試験機は,試験時の最大荷重がその各能力の15〜85%の範囲になるものを用いなけれ
ばならない。
(3) 引張速さ 試験片つかみの移動速度は,原則として試験片に対して100±20mm/minとする。
(4) 試験機の許容差 試験機の荷重目盛の許容差は±2%とする。
(5) 試験機の検査 試験機は正確にすえ付け,少なくとも1年に1回以上検査しなければならない。
5.5
試験方法
5.5.1
試験片の取り付け 試験片は試験中にゆがみその他の不都合を生じないように,正しく,かつ確実
につかみに取り付けなければならない。
5.5.2
引張切断荷重及び伸びの測定 引張荷重の測定は5.4の試験機により,試験片の切断に至るまでの
最大荷重を読み取り,この荷重を引張切断荷重とし,試験成績は2個の試験片の平均値をもって表す。
なお,2個の試験片の厚さの平均値を引張荷重の値に付記する。
伸びの測定は,適当な方法により切断時の標線間の長さをmmまで測定し,次の式によって算出する。
100
0
0
1
×
L
L
L
EB
−
=
ここに
EB: 伸び (%)
L1: 切断時の標線間の長さ (mm)
L0: 標線距離 (mm)
6. 引裂試験
6.1
試験片 試験片の形状及び基本寸法は,図4のとおりとし,長軸上の一端から中心線上に70mmの
切込みを鋭利な刃物で入れる。
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6.2
厚さの測定 5.2による。ただし,測定箇所は切込部線上の未切込部の中央とその両端の3箇所とす
る。
6.3
試験機 5.4による。
6.4
引裂荷重の測定 試験片のX部とY部を試験機に取り付け,引き裂いて切断するまでの最大荷重を
測定する。
引裂速さは5.4(3)引張速さと同じとする。
図4
この引裂切断時までの最大荷重を引裂荷重とし,試験成績は2個の試験片についての測定値の平均値を
もって表す。
なお,2個の試験片の厚さの平均値を引裂荷重の値に付記する。
7. 液中加熱収縮温度
7.1
試験片 試験片は,10mm×50mmの大きさとする。
7.2
試験装置 図5のような構造を持つもの。
5
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図5 液中加熱収縮温度測定装置
7.3
液中加熱収縮温度の測定 7.2の試験装置を用い,試験片にかかる荷重を30gf {0.29N} とし,タンニ
ンなめし革は水中で,クロムなめし革及びコンビなめし革は水1容とグリセリン3容の混合液中で,液量
は1lとし,1分間に3〜5℃の速度で液温が上昇するように加熱し,試験片が収縮し始めるときの液温を測
定する。試験成績は4個の試験片についての測定値の平均値をもって表す。
備考 水はpH5〜7の蒸留水,グリセリンはJIS K 8295〔グリセリン(試薬)〕の1級を用いる。
8. 液中加熱収縮温度の変化 9.の染色堅ろう度試験の前後に7.により液中加熱収縮温度を測定し,その
温度差を求める。
9. 染色堅ろう度
9.1
装置及び材料 JIS L 0860(ドライクリーニングに対する染色堅ろう度試験方法)の3.による。ただ
し,次の材料を追加する。
(1) ラウリル硫酸ナトリウム(ウェットクリーニング法用)日本薬局方のもの
(2) ガソリン(ドライクリーニング乙法用)JIS K 2201(工業ガソリン)の5号のもの
9.2
複合試験片の作製 試験片をこれと同じ大きさに裁断した添付白布2枚の間にはさんで,対応する2
辺を白綿縫糸であらく縫い合わせる。3組を作り,2組はウェットクリーニング法,ドライクリーニング法
甲法又は乙法の試験用に,1組は判定の基準に使用する。
9.3
操作
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9.3.1
ウェットクリーニング法 JIS L 0860の5.による。ただし試験びんの中に入れる試験液は,ラウリ
ル硫酸ナトリウム0.2g及び水100mlとし,複合試験片を試験びんから取り出した後の洗浄操作は次による。
複合試験片及びびんを軽く水道水で洗い,次に複合試験片及び40±2℃の蒸留水100mlを試験びんに再
び入れ,軽く手で振り,数分経過後液を捨て,新たに40±2℃の蒸留水100mlを入れ,同様に振る。この
水洗を3回行った後複合試験片をびんから出し,軽くろ紙間にはさみ,余分の水分を除き試験片と添付白
布を縫い合わせたまま40〜45℃の乾燥機中で乾燥する。
9.3.2
ドライクリーニング甲法 JIS L 0860の5.及び6.による。ただし,乾燥温度は,40〜45℃とする。
9.3.3
ドライクリーニング乙法 JIS L 0860の5.及び6.による。ただし,パークロルエチレンの代わりに
ガソリンを用い,また乾燥温度は40〜45℃とする。
9.4
判定及び表示 JIS L 0860の7.及び8.による。ただし,表示には試験に用いたクリーニング方法を
付記すること。
高分子部会 衣料革専門委員会 構成表(昭和40年9月1日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
井 上 吉 之
東京農工大学
堀 勉
丸紅飯田株式会社東京支社物資部
横 山 鹿之亮
株式会社白洋舎
小 菅 国 光
神奈川県クリーニング協同組合
村 上 文 七
株式会社村上商店
青 木 英 二
株式会社青木染革所
小 野 隆
日中皮革株式会社
岡 本 茂
全国皮革産業連合会
菅 野 英二郎
日本皮革技術協会
豊 田 春 和
工業技術院東京工業試験所第7部
原 田 義 久
通商産業省軽工業局
野 手 清 吉
東京皮革服装協同組合
伊 藤 美佐子
主婦連合会
堀 志 津
友の会中央部
丸 田 幸 栄
工業技術院標準部
(事務局)
山 脇 政 次
工業技術院標準部繊維化学規格課
安 達 孝 明
工業技術院標準部繊維化学規格課
(事務局)
青 木 誠 治
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和52年5月1日改正のとき)
石 川 哲之介
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和52年5月1日改正のとき)