2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6547-1994
革の染色摩擦堅ろう度試験方法
Testing method for colour fastness to rubbing of leathers
1. 適用範囲 この規格は,すべての革の摩擦による革表面(1)の変退色及び摩擦用白布によって染色堅ろ
う度を評価する方法について規定する。
注(1) 革の両面とも使用する場合は,表面及び裏面について試験する。使用中に革の表面塗料のはが
れた部分の染色摩擦堅ろう度は,6.の備考に示すように,表面摩耗処理を行った後,試験する
ことができる。
備考1. この規格で規定する染色摩擦堅ろう度とは,各種の溶液で処理又は未処理の摩擦用白布で包
んだ摩擦子に一定の荷重を掛け,この往復運動によって革の表面を摩擦し,その結果生じる
革の変退色及び白布の汚染をグレースケールで判定したときの評価の結果をいう。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 6550 革試験方法
JIS K 8594 石油ベンジン(試薬)
JIS L 0801 染色堅ろう度試験方法通則
JIS L 0803 染色堅ろう度試験用添付白布
JIS L 0823 染色堅ろう度試験用摩擦試験機
JIS L 0848 汗に対する染色堅ろう度試験方法
JIS R 6252 研磨紙
3. この規格の中で { } を付けてある単位及び数値は,従来単位によるものであって,規格値
である。ただし,従来単位は1995年4月1日から参考値とする。
2. 試料及び試験片の採取方法 試料及び試験片の採取方法は,JIS K 6550の4.(試料及び試験片の採取
方法)によって採取する。この場合,試料(2)1枚から試験の種類に要する数だけの試験片を採取する。
また,試験片の大きさは次による。
(1) JIS L 0823で規定する摩擦試験機I形で試験する場合,試験片の大きさは約14×5cmより小さくない
ものとし,摩擦用白布の大きさは約5×5cmとする。
(2) JIS L 0823で規定する摩擦試験機II形で試験する場合,試験片の大きさは約22×3cmとし,摩擦用白
布の大きさは約5×5cmとする。
注(2) 試料を規定部位から採取できないときは,規定部位に近接した部分から採取してもよい。スエ
ード,ベロア,ヌバックなど毛羽をもつ試料で,毛並方向によって革の色が大きく変化する場
合は,試験に先立って清浄なブラシで毛並方向を整える。
2
K 6547-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3. 試験の一般条件
3.1
試験室の標準状態 試験室の温湿度は,原則として温度20±2℃,相対湿度 (65±5) %とし,恒温恒
湿の設備のない場合は常温20±15℃,常湿 (65±20) %の雰囲気中で試験してもよいが,この場合は試験時
の温湿度を試験結果の報告に記録する。
3.2
試験片の状態調節 試験片は,試験前に温度20±2℃,相対湿度 (65±5) %の雰囲気中で48時間以
上静置する。
4. 装置,材料及び薬品
4.1
摩擦試験機 摩擦試験機は,JIS L 0823に規定するI形又はII形を用いる。
4.2
摩擦用白布 摩擦用白布は,JIS L 0803に規定する添付白布3号(綿)を用いる。
4.3
ベンジン ベンジンは,JIS K 8594に規定する特級を用いる。
5. 人工汗液
5.1
酸性人工汗液 酸性人工汗液は,JIS L 0848の6.1.1に規定するものを用いる。
5.2
アルカリ性人工汗液 アルカリ性人工汗液は,JIS L 0848の6.1.2に規定するものを調製する。
6. 操作 摩擦の操作は,次のいずれかによって行い,摩擦した後,試験片及び白布をはずし,大気中で
乾燥する。
(1) 摩擦試験機I形による場合 摩擦子の先端に,乾燥又は湿潤状態の摩擦用白布をかぶせ,試験片台の
耐水研磨紙上に固定した試験片上10cmの間を荷重8.83N {900gf} で10秒間に10回往復摩擦する。
(2) 摩擦試験機II形による場合 摩擦子の先端に,乾燥又は湿潤状態の摩擦用白布をかぶせ,試験台上に
固定した試験片上10cmの間を荷重1.96N {200gf} で毎分30回往復の速度で100回往復摩擦する。
II形で往復摩擦するとき,試験片が伸びて固定できない場合は,摩擦方向に試験片を伸ばすことが
できる。
備考 表面塗料はく離後の染色堅ろう度試験のための革の表面摩耗処理は,摩擦子と等しい大きさの
JIS R 6252のCC240番研磨紙をゴム系接着剤で摩擦用白布のほぼ中央に接着し,摩擦子の中心
と研磨紙の中心が一致するように摩擦子に取り付け,6.(1)又は(2)によって摩擦して革の表面を
摩耗し,その摩耗面に生じた粉末を清浄なブラシで取り除く。
7. 試験の種類 試験は,乾燥試験,湿潤試験,有機溶剤試験及び汗試験の4種類とする。
(1) 乾燥試験 乾燥試験は,標準状態に4時間以上静置した摩擦用白布を用いて行う。
(2) 湿潤試験 湿潤試験は,摩擦用白布を精製水中に10分間以上浸した後取り出し,液が滴らなくなった
程度のものを用いて行う。
(3) 有機溶剤試験 有機溶剤試験は,摩擦用白布をベンジン中に浸した後取り出し,ベンジンが滴らなく
なった程度のものを用いて行う。
(4) 汗試験 汗試験は,摩擦用白布を酸性又はアルカリ性人工汗液中に10分間以上浸した後取り出し,液
が滴らなくなった程度のものを用いて行う。
8. 判定 試験片(3)の変退色及び添付白布の汚染の判定は,JIS L 0801の10.(判定)によって行う。
注(3) スエード,ベロア,ヌバックなど毛羽をもつ試験片で,毛並方向によって革の色が大きく変化
3
K 6547-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
する場合は,変退色の判定に先立って清浄なブラシで毛並方向を整えなければならない。
9. 表示 染色摩擦堅ろう度の表示は,JIS L 0801の11.(表示)によって行う。
例 摩擦試験(摩擦試験機I形)
(1) 乾燥試験
変退色4級,汚染4−5級(綿)
(2) 汗試験
(アルカリ性)変退色4−5級,汚染3級(綿)
10. 報告 報告には必要に応じて次の事項を記録する。
(1) 試験した材料の種類
(2) 試験片の表裏の区別
(3) 試験片の状態調節の温度,湿度及び時間
(4) 試験室の温度及び湿度
(5) 操作条件(装置名と操作条件)
(6) 試験の種類
(7) 試験結果
(8) 試験年月日
(9) その他特記すべき事項
関連規格:JIS L 0804 変退色用グレースケール
JIS L 0805 汚染用グレースケール
JIS L 0849 摩擦に対する染色堅ろう度試験方法
4
K 6547-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 6547改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
久 保 知 義
東京農工大学
白 井 邦 郎
東京農工大学
○ 青 木 英 彦
株式会社アオキ
○ 石 原 矩 武
和歌山県工業技術センター
○ 今 井 哲 夫
東京都立皮革技術センター
大 沢 重 見
株式会社シャミオール
岡 村 浩
昭和女子大学
倉 剛 進
工業技術院標準部
小 島 延 貢
株式会社ストック小島
斉 藤 勝
光陽産業株式会社
○ 白 山 琢 持
埼玉県工業技術研究所
杉 田 正 見
兵庫県立工業技術センター
長 南 康 正
東京都立皮革技術センター
出 口 公 長
社団法人日本タンナーズ協会
中 西 健太郎
株式会社ふくや商店
○ 中 村 蔚
大阪府立産業技術総合研究所
平 澤 繁
メルクス株式会社
増 岡 岑 夫
大阪府立産業技術総合研究所
三 尾 哲 也
株式会社山陽
○ 水 谷 茂 章
兵庫県立工業技術センター
村 岡 登
株式会社リーガルコーポレーション
○ 元 吉 治 雄
和歌山県工業技術センター
横 川 市 次
財団法人日本皮革研究所
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
(事務局)
○ 石 井 泰 博
東京農工大学
備考 ○印は分科会委員