2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6545-1994
革の耐屈曲性試験方法
Testing method for flexing endurance of
light leathers and their surface finishes
1. 適用範囲 この規格は,靴用甲革及びその他の薄物革(1)の耐屈曲性試験方法について規定する。
注(1) その他の薄物革とは,靴用裏革,衣料用革,手袋用革,袋物用革などをいう。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 6550 革試験方法
2. 試験の一般条件
2.1
試験室の標準状態 試験室の温湿度は,原則として温度20±2℃,相対湿度 (65±5) %とし,恒温恒
湿の設備のない場合は常温20±15℃,常湿 (65±20) %の状態で試験してもよいが,この場合は試験時の温
湿度を試験結果の報告に記録する。
2.2
試験片の状態調節 試験片は,試験前に温度20±2℃,相対湿度 (65±5) %の雰囲気中に48時間以
上静置する。
3. 試料及び試験片の採取方法 試料及び試験片の採取方法は,JIS K 6550の4.(試料及び試験片の採取
方法)による。この場合,試料1枚からキズを避けた70×45mmの試験片を2個以上採取する。
4. 装置 耐屈曲性試験機は,次の構造をもつこと。
なお,図1に試験機の一例を示す。
(1) 上部クランプは2枚の平らな金属板からなり,1枚は図2に示すように,台形 (ABCD) で,その一端
(D) には曲率半径2mmの丸みがある。棚 (EF) の上に二つ折りした試験片の一端が載る。他の1枚は
EGHCFの形をし,これらの2枚の板は,スクリュー (K) で止められる。スクリューは図3aに示すよ
うに試験片の一端を止めると同時に,試験片がクランプの奥深くは入らぬように止める役もする。AB
近くで両板が密着し過ぎないようにしてF近くで試験片が固定できる。水平軸 (J) のところでモータ
ーによって往復運動が起こる。図2ではEFは水平で,Fは最高の位置となり,22.5°の角度まで下が
る。この間を毎分100±5回往復運動し,その往復回数をカウンターで記録する。
(2) 下部クランプは固定され,上部クランプと同一平面にある2枚の金属板の間には試験片の他の一端を
固定する。上部クランプのEFが水平のとき,下部クランプの上端はEFの25mm下にくる。
2
K 6545-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 耐屈曲性試験機の一例
図2 上部クランプ
5. 試験方法 試験方法は次による。
(1) 上部クランプを水平にする。
(2) 試験片の表面を内側にして二つ折りにし,上部クランプにその一端を固定する(図3a参照)。
(3) 試験片の遊離の他端の表面を外側にして,反対に二つ折りし,試験片にたるみのできない程度に引っ
張って,下部クランプに固定する(図3b,図3c参照)。
3
K 6545-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(4) モーターのスイッチを入れ,100回,1 000回,10 000回及び4時間,6時間,10時間屈曲後スイッチ
を切り,試験片に生じた両面の損傷の状態を6.によって判定し,そのときの往復回数とともに試験結
果の報告に記録する。
図3 試験片の取付図
6. 判定 屈曲試験後,革の表面及び裏面に生じた損傷を表1の基準で判定する。
表1 耐屈曲性の判定基準
等級
判定基準
1
一部分が切断するか,又はき裂が著しく使用に耐えないもの。
2
き裂が著しいもの(例 銀面では塗料による修正困難なもの)。
3
き裂がやや著しいもの(例 銀面では塗料によって修正可能なもの)。
4
き裂が軽微のもの(例 銀面では塗料によって修正容易なもの)。
5
き裂が生じないもの。
7. 表示 6.によって判定したすべての試験片の表面及び裏面について,それぞれの判定等級の平均及び
屈曲回数(2)を表示する。ただし,受渡当事者間の協定によって,6.による等級判定を行わず,試験片の表
面及び裏面に生じた損傷の状態と屈曲回数を表示することができる。
注(2) この場合,下2けたの数字は切り捨てる。
備考 判定等級の結果が二つの級の中間にあるときは,二つの級をハイフンでつないで表し,中間よ
りどちらかに寄っている場合は近い方の級で示す。1級より損傷が著しい場合は,1級として表
示する。
例1. 表 4級
裏 5級
1 000回
例2. 表 3-4級
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
裏 2級
24 100回(表示の場合は回数で表す。4時間)
例3. 1級 切断
59 000回
例4. 表 1級
き裂
裏 2級
10 000回
例5. 表 仕上げ塗膜に細かいき裂が生じた
50 000回
裏 部分的に革繊維の脱落が認められる。
50 000回
8. 報告 報告には必要に応じて次の事項を記録する。
(1) 試験した材料の種類
(2) 試験片の種類
(3) 試験片の作製方法
(4) 試験片の形状及び寸法
(5) 試験片の状態調節の温度,湿度及び時間
(6) 試験室の温度及び湿度
(7) 試験した試験片の数
(8) 判定結果
(9) 試験年月日
(10) その他特記すべき事項
JIS K 6545 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
久 保 知 義
東京農工大学
白 井 邦 郎
東京農工大学
○ 青 木 英 彦
株式会社アオキ
○ 石 原 矩 武
和歌山県工業技術センター
○ 今 井 哲 夫
東京都立皮革技術センター
大 沢 重 見
株式会社シャミオール
岡 村 浩
昭和女子大学
倉 剛 進
工業技術院標準部
小 島 延 貢
株式会社ストック小島
斉 藤 勝
光陽産業株式会社
○ 白 山 琢 持
埼玉県工業技術研究所
杉 田 正 見
兵庫県立工業技術センター
長 南 康 正
東京都立皮革技術センター
出 口 公 長
社団法人日本タンナーズ協会
中 西 健太郎
株式会社ふくや商店
○ 中 村 蔚
大阪府立産業技術総合研究所
平 澤 繁
メルクス株式会社
増 岡 岑 夫
大阪府立産業技術総合研究所
三 尾 哲 也
株式会社山陽
○ 水 谷 茂 章
兵庫県立工業技術センター
村 岡 登
株式会社リーガルコーポレーション
○ 元 吉 治 雄
和歌山県立工業技術センター
横 川 市 次
財団法人日本皮革研究所
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
(事務局)
○ 石 井 泰 博
東京農工大学
備考 ○印は分科会委員