2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K6505-1995
靴甲用人工皮革試験方法
Testing method for man-made upper material of shoes
1. 適用範囲 この規格は,靴の甲材料に使用する人工皮革の試験方法について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 6544 革の吸湿度試験方法
JIS K 6545 革の耐屈曲性試験方法
JIS K 6546 革の半球状可塑性試験方法
JIS K 6547 革の染色摩擦堅ろう度試験方法
JIS K 6548 革の銀面割れ試験方法
JIS K 6549 革の透湿度試験方法
JIS K 6550 革試験方法
JIS L 0849 摩擦に対する染色堅ろう度試験方法
JIS L 1096 一般織物試験方法
JIS R 6253 耐水研磨紙
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 用語の定義 靴甲用人工皮革とは,高分子物質を繊維層に浸透させ革の組織構造に準拠して造られた
もので,高分子物質は連続微細多孔構造を持ち,繊維層にランダム三次元立体構造を持つ靴の甲材料をい
う。
3. 試験の一般的条件
3.1
試験片の標準状態 JIS Z 8703の標準温湿度状態1類[温度20±1℃,相対湿度 (65±2) %]中に24
時間放置し,水分が平衡に達した状態とする。
3.2
試験室の標準状態 JIS Z 8703の標準温度状態3 (20±5℃) 及び相対湿度 (65±10) %とする。
4. 試験項目,試験片数及び求める試験値の位数 この規格に規定する試験項目,試験片数及び求める試
験値のけた数は,表1のとおりとする。求める試験値の数値の丸め方は,JIS Z 8401による。
2
K6505-1995
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表1 試験項目,試験片数及び求める試験値のけた数
試験項目
単位
試験片数
測定値
求める数値のけた数
厚さ
mm
3(1)
小数点以下2けた
小数点以下1けた
質量
mg/cm2
2
小数点以下1けた
整数位
見掛密度
g/cm3
2
小数点以下3けた
小数点以下2けた
引張強さ ロール方向
MPa {kgf/mm2}
3
小数点以下3けた
小数点以下2けた
ロールに垂直方向
MPa {kgf/mm2/}
3
小数点以下3けた
小数点以下2けた
伸び ロール方向
%
3(2)
小数点以下1けた
整数位
ロールに垂直方向
%
3(2)
小数点以下1けた
整数位
引裂強さ ロール方向
N/mm {kgf/mm}
3
小数点以下2けた
小数点以下1けた
ロールに垂直方向
N/mm {kgf/mm}
3
小数点以下2けた
小数点以下1けた
耐屈曲性(3) 常温
−
2
−
−
低温
−
2
−
−
耐熱粘着性
−
1
−
−
表面摩耗強さ
−
2
−
−
表面割れ 荷重
N {kgf}
3
小数点以下1けた
整数位
高さ
mm
3(4)
小数点以下1けた
小数点以下1けた
半球状可塑性
%
3
小数点以下1けた
整数位
耐水度
min
2
小数点以下1けた
整数位
吸水度
%
2
小数点以下1けた
整数位
吸湿度
mg/cm2
2
小数点以下2けた
小数点以下1けた
透湿度
mg/ (cm2・h)
2
小数点以下2けた
小数点以下1けた
染色摩擦堅ろう度 A法
−
1
−
−
B法
−
1
−
−
注(1) 表面割れ試験片を用いて測定する。
(2) 引張強さと同じ試験片を用いる。
(3) 試験片はロール方向に平行に採取する。
(4) 荷重と同じ試験片を用いる。
5. 試験方法
5.1
試験片の採取方法 試験片は,ロール端末から50cm,両側端から5cmを除いた部分から無作為に採
取する。
5.2
操作
5.2.1
厚さ 厚さは,次の方法によって測定する。
(1) 測定器は,1001 mmの目盛を持ち,加圧面は平滑な,直径10±0.1mmの円形で,その圧荷重は3.854
±0.981N {393±10gf} とする。ただし,加圧面の直径が5〜10mm,圧荷重49.03±1.177kPa {500±
12gf/cm2} の測定器を使用してもよい。
(2) 試験片は,5.2.8の試験用のものを用い,測定箇所はその中心と,その円周の直径から約5mm小さい
同心円上の等間隔な4か所,計5か所とする。
(3) 厚さの測定は,試料の表面を上にして測定器の下部台上に置き,加圧面を静かに試料の上に置き,加
圧し,5秒経過してから0.01mmまで測定する。
(4) 厚さは,3個の試験片のそれぞれの5か所,計15か所の平均値を取る。
5.2.2
質量及び見掛密度 試験片は5.2.12の試験用のものを用い5.2.12の試験の際,測定された試験片の
厚さ,直径及び質量から,次の式によって質量及び見掛密度を算出する。
3
K6505-1995
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2
785
.0
d
W
W
′
=
ここに,
W: 質量 (mg/cm2)
W': 試験片の質量 (mg)
d: 試験片の直径 (cm)
000
1
10
1
×
×
=
t
W
AD
ここに, AD: 見掛密度 (g/cm3)
W: 質量 (mg/cm2)
t: 試験片の厚さ (mm)
5.2.3
引張強さ及び伸び 引張強さ及び伸びは,JIS K 6550の5.2(引張強さ及び伸び)によって試験す
る。ただし,試験片はつかみ部分を20mmず固定し,つかみ部分の間隔が正確に50mmとなるように取り
付ける。引張強さ及び伸びは,ロール方向に平行及び垂直のそれぞれの平均値を算出する。ただし,伸び
はつかみ間隔で測定する。
5.2.4
引裂強さ 引裂強さは,JIS K 6550の5.3(引裂強さ)によって試験し,ロール方向に平行及び垂
直のそれぞれの平均値を算出する。
5.2.5
耐屈曲性 耐屈曲性は,試験条件によって常温試験及び低温試験に区分し,それぞれJIS K 6545
の4.(装置)の装置を使用し,その5.(試験方法)の(1)〜(3)の方法によって試験して表・裏両面の損傷を
検査し,表2の基準によって参考図1を参考として判定する。
(1) 常温試験 3.1の試験片の標準状態によって調整した70×40mmの長四角形の試験片を3.2の試験室の
標準状態によって調整された室内で10 000,30 000,100 000及び200 000回屈曲後それぞれ判定する。
(2) 低温試験 3.1の試験片の標準状態によって調整した試験片を温度−10±3℃中に30分間放置後,同温
度中で試験を行い,5 000,10 000及び25 000回屈曲後それぞれ判定する。
表2 耐屈曲性の判定基準
区分
等級
判定基準
表
裏
スムーズ(5)
1
部分的に切断を生じたもの。
部分的に切断を生じたもの。
2
不織布又は織布層にき裂を生じたもの。
連続微細多孔層にき裂を生じたもの。
3
表面仕上層を越えてき裂を生じたもの。
織布又は不織布層にき裂を生じたもの。
4
わずかにき裂が認められるもの。
わずかに異常が認められるもの。
5
き裂の認められないもの。
異常の認められないもの。
ナップ(6)
1
部分的に切断を生じたもの。
部分的に切断を生じたもの。
2
表面(毛羽状)層を越えて織布又は不織布層に
き裂を生じたもの。
織布又は不織布層と表面(毛羽状)層との界面
に達するき裂を生じたもの。
3
表面(毛羽状)層と織布又は不織布層との界面
に達するき裂を生じたもの。
織布又は不織布層にき裂を生じたもの。
4
わずかに異常の認められるもの。
わずかに異常の認められるもの。
5
異常の認められないもの。
異常の認められないもの。
注(5) スムーズとは,革の銀面様の外観をもつものをいう(表3及び表4)。
(6) ナップとは,革のスエード,ベロアなどの外観をもつものをいう(表3及び表4)。
4
K6505-1995
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参考図1 耐屈曲性の判定基準の参考図
5.2.6
耐熱粘着性 60±1mm×90±1mmの2枚の試験片の表面を向かい合わせ,60±1mm×60±1mmの
平滑なガラス板2枚の間にその短辺の線を合わせてはさむ。これに底面が60±1mm×60±1mm,質量3kg
のおもりを載せ,100±2℃の空気恒温器中に1時間放置した後取り出し,おもりを除き,3.2によって調整
された室内に1時間放置した後,2枚の試験片を静かにはがし,表面の損傷(異常)の有無を検査し,表3
の基準によって判定する。
表3 耐熱粘着性の判定基準
区分
等級
判定基準
スムーズ(5)
1
表面仕上層を越えた損傷の認められるもの。
2
表面仕上層の損傷が認められるもの。
3
光沢及び表面形状が変化するもの。
4
光沢及び表面形状がわずかに変化するもの。
5
外観上変化が認められないもの。
ナップ(6)
1
表面(毛羽状)層を越えた損傷の認められるもの。
2
表面(毛羽状)層の大部分が損傷するもの。
3
表面(毛羽状)層の一部が損傷するもの。
4
わずかに異常が認められるもの。
5
外観上変化が認められないもの。
5.2.7
表面摩耗強さ 表面摩耗強さは,JIS L 1096の6.17(摩耗強さ)のA-1法による。ただし試験片は
表面を上方にして取り付ける。試験には,JIS R 6253のCwCC400を使用し,125,250,500及び1 000回
の摩耗の後,損傷の有無を検査し,表4の基準によって判定する。
表4 表面摩耗強さの判定基準
区分
等級
判定基準
スムーズ(5)
1
貫通孔を生じたもの。
2
不織布又は織布層の露出が著しいもの。
3
表面仕上層が全く消滅し,微細多孔層の大部分が露出したもの。
4
着色表面仕上層の一部が消滅したもの。
5
外観上変化が認められないもの。
ナップ(6)
1
貫通孔を生じたもの。
2
表面(毛羽状)層を越えて不織布又は織布層の一部が破壊されたもの。
3
表面(毛羽状)層の大部分が消滅したもの。
4
表面(毛羽状)層の一部が消滅したもの。
5
外観上変化が認められないもの。
5
K6505-1995
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5.2.8
表面割れ 表面割れは,JIS K 6548によって試験する。
5.2.9
半球状可塑性 半球状可塑性は,JIS K 6546によって試験する。ただし,成形温度は100±2℃,
成形加熱時間は30±1分間とする。
5.2.10 耐水度 耐水度は,JIS K 6550の5.4(耐水度)によって試験する。
5.2.11 吸水度 吸水度は,JIS K 6550の5.5(吸水度)によって試験する。
5.2.12 吸湿度 吸湿度は,JIS K 6544によって試験する。ただし,試験片の調整及び時間並びに試験室の
標準状態の調整は,3.1及び3.2による。
5.2.13 透湿度 透湿度は,JIS K 6549によって試験する。
5.2.14 染色摩擦堅ろう度 染色摩擦堅ろう度は,次の方法のいずれかの方法によって試験する。
A法 JIS K 6547によって試験する。
B法 JIS L 0849の4.(装置および材料)の(1)に規定の摩擦試験機II形を用い,その6.1(摩擦試験機
Ⅰ形による場合)によって試験する。
関連規格 JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
高分子部会 人工皮革専門委員会 構成表(昭和46年8月1日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
菅 野 英二郎
東京農工大学
山 口 正 隆
東京工業大学
松 本 健 次
株式会社松本繊維化学研究所
土 林 貞 雄
工業技術院繊維高分子材料研究所
和 田 裕
通商産業省繊維雑貨局
赤 羽 信 久
工業技術院標準部
長 浜 宗 保
ヒカリシューズ株式会社
大 野 里 美
新興製靴工業株式会社
島 田 勝 治
日本製靴株式会社
春 田 謙 三
ハルタ製靴株式会社
中 山 克 郎
東レ株式会社
高 山 剛 三
株式会社クラレ
藤 田 寛 治
東洋ゴムエ業株式会社
横 田 匡 史
日本クロス工業株式会社
櫛 原 光 也
株式会社櫛原商店
片 岡 寛 一
株式会社日興
(事務局)
遠 山 雄 一
工業技術院標準部繊維化学規格課
中 軸 美智雄
工業技術院標準部繊維化学規格課
(事務局)
青 木 誠 治
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和52年5月1日改正のとき)
石 川 哲之介
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和52年5月1日改正のとき)
(事務局)
渡 辺 武 夫
工業技術院標準部繊維化学規格課(平成7年12月1日改正のとき)
稲 葉 知 英
工業技術院標準部繊維化学規格課(平成7年12月1日改正のとき)