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K 6451-2:2016  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 原理······························································································································· 2 

4 試薬······························································································································· 2 

5 装置······························································································································· 3 

6 試料の採取及び調製方法 ···································································································· 3 

7 アクリロニトリルの定量方法 ······························································································ 4 

8 結合アクリロニトリル量の計算 ··························································································· 4 

8.1 滴定標準溶液に0.05 mol/dm3の硫酸を用いる場合 ································································ 4 

8.2 滴定標準溶液に0.05 mol/dm3の塩酸を用いる場合 ································································ 5 

9 試験精度························································································································· 5 

10 試験報告書 ···················································································································· 5 

附属書A(参考)自動分析装置及び分析条件の例 ······································································· 6 

附属書B(参考)試験精度 ····································································································· 8 

附属書JA(参考)自動分析装置を用いないセミミクロケルダール法 ·············································· 9 

附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 12 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本ゴム工業会(JRMA)及び

一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS K 6451の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 6451-1 第1部:デュマ法 

JIS K 6451-2 第2部:ケルダール法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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合成ゴム−NBR− 

結合アクリロニトリル量の求め方− 

第2部:ケルダール法 

Rubber, raw-Determination of bound acrylonitrile content in 

acrylonitrile-butadiene rubber (NBR)-Part 2: Kjeldahl method 

序文 

この規格は,2008年に第1版として発行されたISO 24698-2を基とし,技術的内容を変更して作成した

日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。 

適用範囲 

この規格は,ケルダール法による自動分析装置を用いて,合成ゴムNBR(アクリロニトリルとブタジエ

ンとのゴム状共重合体。以下,NBRという。)の結合アクリロニトリル量を求める方法について規定する。

また,XNBR(カルボキシル化されたアクリロニトリルとブタジエンとのゴム状共重合体)並びにNBIR

(アクリロニトリル,ブタジエン及びイソプレンのゴム状共重合体)にも適用できる。 

注記1 この規格群の第1部と第2部とを用いて同じ試料を測定しても,同じ結果が得られるとは限

らない。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 24698-2:2008,Rubber, raw−Determination of bound acrylonitrile content in 

acrylonitrile-butadiene rubber (NBR)−Part 2: Kjeldahl method(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

警告 この規格の利用者は,通常の実験室の作業に精通していることを前提とする。この規格は,そ

の使用に関して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用

者は,各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 6229 ゴム−溶剤抽出物の求め方(定量) 

注記 対応国際規格:ISO 1407,Rubber−Determination of solvent extract(MOD) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 6298 原料ゴム−天然ゴム・合成ゴム−サンプリング及びその後の準備手順 

注記 対応国際規格:ISO 1795,Rubber, raw natural and raw synthetic−Sampling and further preparative 

procedures(IDT) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8844 ブロモフェノールブルー(試薬) 

JIS K 8863 ほう酸(試薬) 

JIS K 8896 メチルレッド(試薬) 

JIS K 8897 メチレンブルー(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8960 硫酸アンモニウム(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

原理 

硫酸カリウムと硫酸銅(II)との混合触媒及び硫酸を用いて試料を湿式分解し,試料中の窒素を硫酸ア

ンモニウムに変換する。これに強アルカリを加えて遊離したアンモニアを水蒸気蒸留し,ほう酸水溶液に

導入した後,硫酸又は塩酸で滴定してアンモニア量を求める。その量から試料中の結合アクリロニトリル

量を算出する。 

試薬 

試薬は,次による。 

4.1 

硫酸アンモニウム JIS K 8960による。 

4.2 

滴定標準溶液 次のいずれかとする。 

a) 硫酸標準水溶液:0.05 mol/dm3 

b) 塩酸標準水溶液:0.05 mol/dm3 

4.3 

硫酸 JIS K 8951による。 

4.4 

水酸化ナトリウム水溶液 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用いて,10 mol/dm3に調製し

たもの。 

4.5 

混合触媒 JIS K 8962に規定する硫酸カリウムとJIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物との

混合物で,装置メーカの推奨する割合で調製したもの。 

4.6 

指示薬 装置メーカの推奨するJIS K 8896に規定するメチルレッド,JIS K 8897に規定するメチレ

ンブルー及びJIS K 8844に規定するブロモフェノールブルーから,4.8に規定するエタノールを用いて推

奨の濃度に調製したもの。 

4.7 

ほう酸吸収液 JIS K 8863に規定するほう酸を用いて装置メーカの推奨する濃度(通常,質量分率

3 %〜4 %)に調製し,4.6の指示薬を装置メーカの推奨する割合で混合したもの。 

4.8 

エタノール JIS K 8102に規定する純度のもの又は純度がそれ以上のもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

装置 

5.1 

自動分析装置 

5.1.1 

一般 

自動分析装置は,次の構成とする。自動分析装置及び分析条件の例を,附属書Aに示す。 

a) 分解装置 試料を湿式分解するために加熱する装置であって,装置メーカの推奨する加熱温度が維持

できるもの。 

b) 分解チューブ 分解及び蒸留に使用できるもの。 

c) 蒸留装置 分解後のチューブを装着すると,自動で水酸化ナトリウム水溶液が所定量注入された後,

水蒸気蒸留が開始され,遊離したアンモニアを滴定容器に導入することができるもの。 

d) 滴定装置 滴定容器に前もって自動的に所定量のほう酸吸収液が注入されるようになっており,蒸留

終了後,滴定標準溶液を用いて光度滴定法又は電位差滴定法によって滴定の終点を求めることができ

るもの。 

e) 演算装置 標準物質を用いて装置の校正を実施することが可能で,滴定結果から試料中の窒素質量分

率を計算することができるもの。 

5.1.2 

自動分析装置の要求精度 

自動分析装置の要求精度は,次による。 

a) 試料として4.1で規定した硫酸アンモニウムを用いて,箇条7に従って窒素質量分率を連続10回測定

し,その測定結果の平均窒素質量分率(%)(wN)が,理論値(21.2 %)に対して±0.2 %でなければ

ならない。 

b) 相対標準偏差(RSD)が0.5 %以内でなければならない。 

なお,RSDは,次の式(1)によって求める。 

100

N

×

=ws

RSD

 ········································································· (1) 

ここに, RSD: 相対標準偏差(%) 
 

s: 標準偏差(%) 

wN: 平均窒素質量分率(%) 

5.2 

化学はかり 0.1 mgの桁まではかれるもの。 

5.3 

抽出装置 JIS K 6229のC法に規定する抽出装置。 

5.4 

ふるい 目開き150 μmのもの。 

5.5 

ろ紙 

5.6 

乾燥機 100 ℃±2 ℃に制御可能なもの。 

5.7 

練りロール機 100 ℃±5 ℃に制御可能なもの。 

試料の採取及び調製方法 

試料の採取及び調製方法は,次による。 

a) 試験室試料は,JIS K 6298に従って10 g〜50 gを採取し,ロール間隙0.2 mm±0.05 mm及びロール表

面温度100 ℃±5 ℃の練りロール機に通してシート状にする。 

b) a)で調製した試験室試料から3 g〜5 gを採取し,試験試料とする。 

c) 試験試料は,JIS K 6229のC法によってエタノールを抽出溶剤として還流抽出する。抽出終了後,抽

出液を除去し,少量のエタノールで2回洗浄した後,ふるいを用いて試験試料を分離する。その試験

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試料の余分な溶剤をろ紙で拭き取り,10分間の質量変化が0.1 mg以下になるまで100 ℃±2 ℃の乾

燥機中で乾燥する。 

アクリロニトリルの定量方法 

アクリロニトリルの定量方法は,次による。 

なお,自動分析装置は,装置メーカの取扱説明書に従って操作する。また,試料を用いた測定に先立ち,

空試験を実施して,V2(0.05 mol/dm3の硫酸の場合)又はV2'(0.05 mol/dm3の塩酸の場合)を求める。 

a) 箇条6のc)で調製した試験試料から50 mg〜500 mgの試験片を0.1 mgの桁まではかりとる。試験片は,

含有窒素量が5 mg〜15 mgとなる質量が望ましい。試験片の質量(m)と4.2に規定する硫酸標準水

溶液の濃度(CS)又は塩酸標準水溶液の濃度(CH)とを,演算装置に入力する。 

b) 試験片を分解チューブ(以下,チューブという。)に入れ,所定量の混合触媒と所定量の硫酸とを加え

る。 

c) チューブを分解装置に取り付けて分解炉の温度を所定の温度にして分解を開始する。チューブ内の液

の色が黄から透明な青緑になった後,更に30分間加熱を続ける。 

d) 分解終了後,チューブを分解装置から取りはずし,室温まで冷却する。その後,蒸留水を所定量加え

る。 

e) チューブを蒸留装置に取り付ける。 

f) 

チューブに所定量の水酸化ナトリウム水溶液及び蒸留水が自動注入された後,水蒸気がチューブ内の

溶液に供給され,蒸留が開始される。所定の蒸留時間後,水蒸気の供給が停止され,蒸留が終了する。 

g) 蒸留留分は,蒸留開始前に滴定容器に所定量自動注入されたほう酸吸収液に吸収される。 

h) 次いで,4.2に規定する滴定標準溶液で光度滴定法又は電位差滴定法によって自動滴定される。ここで

得られた滴定標準溶液量をV1(0.05 mol/dm3の硫酸の場合)又はV1'(0.05 mol/dm3の塩酸の場合)と

する。 

i) 

滴定終了後,滴定容器から溶液が自動的に排出される。 

j) 

演算装置によって,結合アクリロニトリル量が求まる(箇条8参照)。 

注記1 f)〜j)は,自動的に行われる。 

注記2 自動分析装置及び分析条件の例は,附属書Aを参照する。 

注記3 自動分析装置を用いないセミミクロケルダール法は,附属書JAを参照する。 

結合アクリロニトリル量の計算 

8.1 

滴定標準溶液に0.05 mol/dm3の硫酸を用いる場合 

滴定標準溶液に0.05 mol/dm3の硫酸を用いる場合は,結合アクリロニトリル量は,次の式(2)によって算

出する。 

なお,試験結果は,1回の結合アクリロニトリル量測定の値である。 

m

V

V

C

w

)

(

61

.

10

2

1

S

A

×

=

 ······························································· (2) 

ここに, 

wA: 結合アクリロニトリル量(%) 

CS: 硫酸標準水溶液の濃度(mol/dm3) 

V1: 本試験に要した硫酸標準水溶液の量(cm3) 

V2: 空試験に要した硫酸標準水溶液の量(cm3) 

m: 試験片の質量(g) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.2 

滴定標準溶液に0.05 mol/dm3の塩酸を用いる場合 

滴定標準溶液に0.05 mol/dm3の塩酸を用いる場合は,結合アクリロニトリル量は,次の式(3)によって算

出する。 

なお,試験結果は,1回の結合アクリロニトリル量測定の値である。 

m

'

V

'

V

C

w

)

(

306

.5

2

1

H

A

×

=

 ····························································· (3) 

ここに, 

wA: 結合アクリロニトリル量(%) 

CH: 塩酸標準水溶液の濃度(mol/dm3) 

V1': 本試験に要した塩酸標準水溶液の量(cm3) 

V2': 空試験に要した塩酸標準水溶液の量(cm3) 

m: 試験片の質量(g) 

試験精度 

試験精度は,附属書Bを参照する。 

10 試験報告書 

試験報告書には,次の項目を記録しなければならない。 

a) この規格の番号 

b) 試験に用いたゴムの詳細 

c) 使用した試験装置の詳細 

d) 使用した滴定標準溶液 

e) 試験結果(小数点第1位に丸める。) 

f) 

試験年月日 

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附属書A 

(参考) 

自動分析装置及び分析条件の例 

A.1 一般 

一般的に入手可能な自動分析装置は,機種によって,分解条件(分解温度を含む。)及び触媒に関して違

いがある。また,アンモニアの抽出,吸収及び滴定方法に関しても違いがある。しかしながら,ケルダー

ル法に基づいたいかなる自動分析装置も,5.1.2で規定する要求精度をもつものであれば,この規格に規定

するNBR,XNBR及びNBIRの結合アクリロニトリル量の測定に適している。 

A.2 自動分析装置の例 

自動分析装置の例を,次に示す。 

装置A − なかやま理化製作所社製,分解装置:QDS-10M 蒸留・滴定装置:KJEL-AUTO DTP-3S

から構成される装置 

装置B − 柴田科学社製,分解装置:BUCHI K-435,蒸留装置:柴田科学社製B-324,滴定装置:

平沼産業社製 COM-1500から構成される装置 

注記 いずれの装置も,この規格の使用者の利便性を図ることを目的に,市販されている機器を例と

して示すものであり,推奨ではない。 

A.3 分析条件例 

分析条件例を,表A.1に示す。 

表A.1−分析条件例 

分析手順 

条件 

装置A 

装置B 

箇条7のb)
及びc) 

試料量 

75 mg 

100 mg 

混合触媒a) 

硫酸カリウム 

9.0 g 

2.4 g 

硫酸銅(II)五水和物 

1.0 g 

0.3 g 

硫酸b) 

15 cm3 

4 cm3 

箇条7のd) 

分解温度(設定温度)c) 

450 ℃ 

750 ℃ 

分解時間(分)c) 

140分 

70分 

箇条7のe) 

添加蒸留水量 

50 cm3 

20 cm3 

箇条7のf) 

水酸化ナトリウム水溶液d) 

60 cm3 

30 cm3 

添加蒸留水量 

15 cm3 

40 cm3 

蒸留時間(留出量)e) 

270秒(105 cm3) 

360秒(125 cm3) 

箇条7のg) 

ほう酸吸収液中のほう酸濃度 

質量分率3 % 

質量分率4 % 

ほう酸吸収液量f) 

25 cm3 

20 cm3 

指示薬に使用した試薬の種類g) 

メチルレッド/メチレンブルー 

ブロモフェノールブルー 

指示薬の添加量h) 

0.25 cm3 

0.01 cm3 

箇条7のh) 

滴定標準溶液 

0.05 mol/dm3硫酸 

0.05 mol/dm3塩酸 

滴定方法 

光度滴定法 

電位差滴定法 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−分析条件例(続き) 

注a) 混合触媒の硫酸カリウムと硫酸銅(II)五水和物との質量比は,9:1〜8:1である。実際の混合触媒の質量比と量

とは,装置メーカの取扱説明書に従って,前もって適切な条件を決定しておくとよい。 

b) 硫酸の量は,試料の分解過程で消費する酸の量に対して過剰量が必要で,分解チューブの大きさにも依存する。 

c) 分解温度(設定温度)及び分解時間は,装置メーカの取扱説明書に従って,前もって適切な条件を決定してお

くとよい。 

なお,分解温度(設定温度)は,装置に入力する設定値であり,実際の分解温度を示していない。 

d) 水酸化ナトリウム添加量は,分解液が十分強アルカリ性を示すように,使用する硫酸量に対して過剰量の設定

が必要である。 

e) 蒸留時間(水蒸気投入時間)は,装置の水蒸気発生能力に依存するため,装置ごとに必要時間を設定しておく

とよい。 

f) ほう酸吸収液量は,アンモニア吸収においても十分酸性が保たれるように,適切な量を設定しておくとよい。 

g) 指示薬は,装置Aでは,メチルレッド0.10 gとメチレンブルー0.05 gとをエタノール100 cm3に溶解したものを

用い,装置Bにおいては,ブロモフェノールブルー0.1 gをエタノール20 cm3に溶解し,蒸留水を加えて100 cm3
にしたものを用いた。 

h) 装置Aの光度滴定法においては,溶液の色の変化が重要であるので,再現性の確保のために指示薬とほう酸水

溶液とを混合したほう酸吸収液は,調製後48時間以内に使用することが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 
試験精度 

B.1 

一般 

この試験法の精度を評価するため,2006年にケルダール法の自動分析装置を用いてNBRを測定し,試

験室間試験プログラム(以下,ITPという。)を実施した。精度は,ISO/TR 9272のタイプ1によって評価

した。 

5試験室がITPに参加して,2種類のNBRを測定した。試験結果は,1回の測定で得られた結合アクリ

ロニトリル量である。試験は,4日間隔で3回行った。 

なお,このITPによって求めた精度を,製品又は材料の受入れ可否判断に用いてはならない。ただし,

受渡当事者間の協定があればその限りではない。 

B.2 

精度の結果 

B.1で得られた精度の結果を,表B.1に示す。これらの結果は,ISO/TR 9272の外れ値を削除する方法に

従っている。 

なお,精度は,次の2種類を評価した。 

− 試験室内繰返し精度:試験室内繰返し精度rを,表B.1に示す。2回の測定で得られた結果の差が表

の値より大きい場合は,その結果は疑わしく,適切な調査を実施しなければならない。 

− 試験室間再現精度:試験室間再現精度Rを,表B.1に示す。2回の測定で得られた結果の差が表の値

より大きい場合は,その結果は疑わしく,適切な調査を実施しなければならない。 

表B.1−精度の結果 

試料 

平均 

含有量 

試験室内 

試験室間 

実施試験室

数a) 

sr 

(r) 

sR 

(R) 

NBR1 

25.33 

0.112 

0.316 

1.249 

0.240 

0.679 

2.680 

NBR2 

33.35 

0.082 

0.231 

0.693 

0.413 

1.168 

3.502 

プール値b) 

0.098 

0.277 

1.010 

0.338 

0.955 

3.118 

表中に使用している記号は,次による。 

sr  試験室内繰返し精度の標準偏差 

試験室内繰返し精度(測定項目の単位) 

(r) 試験室内繰返し精度(百分率)相対値 

sR 試験室間再現精度の標準偏差 

試験室間再現精度(測定項目の単位) 

(R) 試験室間再現精度(百分率)相対値 
注a) 実施試験室数は,外れ値を削除した後の数である。 

b) プール値は,二乗和平均の平方根値を表す。 

参考文献 ISO/TR 9272,Rubber and rubber products−Determination of precision for test method standards 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

自動分析装置を用いないセミミクロケルダール法 

JA.1 器具及び装置 

器具及び装置は,次による。 

a) セミミクロケルダール装置 図JA.1に装置の概要を示す。 

なお,ケルダールフラスコは,容量30 cm3のものを使用する。 

b) ビュレット 最小目盛0.02 cm3以下のもの。 

c) メスシリンダー 

d) 乳鉢及び乳棒 

e) 化学はかり 0.1 mgの桁まではかれるもの。 

f) 

網布 目開き150 μmのもの。 

g) ろ紙 

h) 乾燥機 100 ℃±2 ℃に制御可能なもの。 

i) 

練りロール機 100 ℃±5 ℃に制御可能なもの。 

JA.2 試薬 

試薬は,次による。 

a) 硫酸 JIS K 8951による。 

b) 硫酸標準水溶液 0.05 mol/dm3のもの。 

c) ほう酸水溶液 JIS K 8863に規定するほう酸を用いて,0.167 mol/dm3に調製したもの。 

d) 水酸化ナトリウム水溶液 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用いて,10 mol/dm3に調製した

もの。 

e) 硫酸カリウム JIS K 8962による。 

f) 

硫酸銅(II)五水和物 JIS K 8983による。 

g) メチルレッド JIS K 8896による。 

h) メチレンブルー JIS K 8897による。 

i) 

エタノール JIS K 8102に規定する純度のもの又は純度がそれ以上のもの。 

JA.3 試料の調製 

試料の調製は,箇条6による。 

JA.4 試薬の調製 

試薬の調製は,次による。 

a) 混合触媒 硫酸カリウム7.5〜9質量部と硫酸銅(II)五水和物1質量部とを混合し,乳鉢で十分に粉

砕する。 

b) 指示薬 メチルレッド0.1 gとメチレンブルー0.05 gとをエタノール100 cm3に溶解する。 

10 

K 6451-2:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JA.5 操作手順 

操作手順は,次による。 

なお,測定に先立ち,a)〜i)の本試験と同量の試薬を用い,同一条件下で空試験を行う。 

a) 試料約100 mgを採取し,0.1 mgの桁まではかり,ケルダールフラスコに入れ,少なくとも2.7 gの混

合触媒と濃硫酸3.0 cm3とを加えた後,注意して沸点まで加熱する。分解液の色が黄から緑になった後,

更に30分間沸騰を続ける。過剰の沸騰は,分解液が冷えたとき固化する傾向があり,窒素の損失を招

くので避けなければならない。 

b) 水蒸気発生装置の水を沸騰させ,受器も含めて装置に蒸気を少なくとも2分間通す。この間,冷却器

は空にしておく。 

c) ケルダールフラスコは,室温又は室温以下まで冷却し,水10 cm3を加え,直ちに内容物を蒸気を通し

終えた蒸留フラスコに移す。 

d) 水3 cm3でケルダールフラスコをすすぎ,十分に水切りをする。この操作を3回行う。 

e) 受器に受けた蒸気を通したときの凝縮物を捨てる。 

f) 

ビュレットによって,ほう酸水溶液10 cm3(又は予想される窒素量によって適切な量に増やす。),JA.4 

b)の指示薬2滴,及び水約5 cm3を蒸留装置の蒸気を通した受器に入れる。冷却器からの導出管の端

末が吸収液の液面下に浸るように,受器の位置を調節する。 

g) メスシリンダーで水酸化ナトリウム水溶液約15 cm3を蒸留フラスコに加え,蒸気発生フラスコからの

水蒸気を蒸留フラスコに通して,受器の最終液量が約70 cm3になるように10分〜12分間通す。吸収

液の色がアルカリ性を示したとき,液が酸性になるまで,ほう酸水溶液を加える。 

h) 蒸留終期に,冷却器の先端が酸性の吸収液の液面から出るまで受器を引き下げ,更に1分間蒸留を続

ける。 

i) 

冷却器の先端を数cm3の水で洗い落とし,洗液は留出液に集める。受器の液は,直ちに滴定標準溶液

で滴定する。 

j) 

結合アクリロニトリル量は,8.1の式(2)によって算出し,小数点以下1桁まで求める。 

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11 

K 6451-2:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

 A:ケルダールフラスコ 

B:水蒸気発生器 
C:しぶき止め 
D:給水用漏斗 
E:蒸気管 
F:アルカリ溶液注入用漏斗 
G:ピンチコック付きゴム管 
H:小孔(径は管の内径にほぼ等しい。) 
J:冷却器(下端は斜めに切ってある。) 
K:受器 
 

図JA.1−セミミクロケルダール装置の概要 

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12 

K 6451-2:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JB 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 6451-2:2016 合成ゴム−NBR−結合アクリロニトリル量の求め方−第2
部:ケルダール法 

ISO 24698-2:2008,Rubber, raw−Determination of bound acrylonitrile content in 
acrylonitrile-butadiene rubber (NBR)−Part 2: Kjeldahl method 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲  

ISO規格ではNBRだけを規
定している。 

追加 

XNBR及びNBIRを適用に加えた。 次回のISO規格見直し時に提案す

る。 

4 試薬 

使用される試薬,物質類の
規定 

変更 

分かりやすくするため,表現を変更
した。また,JISで規定されている
試薬のJIS番号を記載した。 

JIS番号はJISとして必要なため,
追加した。技術的な差異はない。 

4.5 混合触媒 

6.2.1 

変更 

薬品の調製項については箇条4に
移動して分かりやすくした。 

技術的な差異はない。 

4.6 指示薬 

6.2.2 

変更 

薬品の調製項については箇条4に
移動して分かりやすくした。 

技術的な差異はない。 

4.7 ほう酸吸収液 

6.2.3 

変更 

薬品の調製項については箇条4に
移動して分かりやすくした。 

技術的な差異はない。 

− 

4.10 

メタノール 

削除 

この規格では使用しない。 

技術的な差異はない。 

5 装置 

− 

5.4 
5.5 

ビーカー 
かくはん機 

削除 
削除 

この規格では使用しない。 
この規格では使用しない。 

技術的な差異はない。 
技術的な差異はない。 

附属書B 
(参考) 

表B.1 

Annex 

Pooled Valueの説明がない。 追加 

注b)として,プール値の説明を記載
した。 

技術的な差異はない。 

附属書JA 
(参考) 

自動分析装置を用
いないセミミクロ
ケルダール法 

− 

− 

追加 

滴定を手分析で実施する方法を参
考として記載した。 

使用者の利便性と旧JISからの移
行を考慮して,附属書に手分析法
を記載した。JIS制定後の5年後
の見直しで削除を検討する。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 24698-2:2008,MOD 

2

K

 6

4

5

1

-2

2

0

1

6

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13 

K 6451-2:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

K

 6

4

5

1

-2

2

0

1

6