K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
今回の制定に際しては,国際規格に整合させるために,ISO/DIS 5470-1 : 1996 Rubber-or plastics-coated
fabrics
−Determination of abrasion resistance−Part 1 : Taber abrader を,基礎として用いた。
JIS K 6404-22
には,次に示す附属書がある。
附属書 A(規定) 摩耗輪の摩耗力の測定
附属書 B(参考) 参考文献
JIS K 6404
は一般名称を“ゴム引布・プラスチック引布試験方法”として次の各部によって構成する。
第 1 部:試験及び状態調節の標準雰囲気
第 2 部:ロールの特性値の測定方法
−第 1 節: 長さ,幅及び質量の測定
−第 2 節: 引布の単位面積当たりの総質量並びにコーティング材及び基布の単位面積当たり
の質量の測定
−第 3 節: 厚さの測定
第 3 部:引張試験
第 4 部:引裂試験
第 5 部:接着試験
第 6 部:もみ試験
第 7 部:防水試験
第 8 部:はっ水試験
第 9 部:水浸試験
第 10 部:ガス透過性の測定方法
第 11 部:破裂強さ試験
第 12 部:促進老化試験
第 13 部:低温曲げ試験
第 14 部:ブロッキング試験
第 15 部:透湿試験
第 16 部:染色摩擦堅ろう度試験
第 17 部:耐光試験
第 18 部:耐候試験
第 19 部:オゾン劣化試験
第 20 部:低温ねじり試験
第 21 部:耐炎試験
第 22 部:耐摩耗試験
日本工業規格
JIS
K
6404-22
: 1999
(ISO/DIS
5470-1
: 1996
)
ゴム引布・プラスチック引布
試験方法−第 22 部:耐摩耗試験
Testing methods for rubber-or plastics-coated fabrics
−
Part 22 : Determination of abrasion resistance
序文 この規格は,1996 年に第 1 版の改訂版として発行された ISO/DIS 5470-1, Rubber-or plastics-coated
fabrics
−Determination of abrasion resistance−を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作
成した日本工業規格である。
警告 この規格の使用者は通常の試験室業務に習熟しているべきである。この規格はその使用に関連し
たすべての安全問題を処理することを意図したものではない。適切な安全と保健実務を確立し,国のいか
なる規制条件も確実に遵守することは使用者の責任である。
1.
適用範囲 この規格はゴム引布又はプラスチック引布の耐摩耗性を,テーバー摩耗試験機を使用して
評価する方法について規定する。
備考1. ゴム引布・プラスチック引布とは,布生地の片面若しくは両面にゴム・プラスチックを塗布
し,又は薄層ゴムをはり合わせ,若しくは同様の処理を施した2枚以上の布をはり合わせてあ
るものをいう。
2.
この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO/DIS 5470-1 : 1996
Rubber-or plastics-coated fabrics−Determination of abrasion resistance
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS K 6404-1 : 1999
ゴム引布・プラスチック引布試験方法−第 1 部:試験及び状態調節の標準雰囲気
備考 ISO 2231 : 1989, Rubber-or plastic-coated fabric−Standard atmosphere for conditioning and testing
が,この規格の該当項目と同等である。
ISO 48 : 1944, Rubber, vulcanized or thermoplastic
−Determination of hardness (hardness between 10 IRHD
and 100 IRHD)
ISO 105-A02 : 1993, Textiles
−Test for colour fastness−Part A02 : Grey scale for assessing change in colour
ISO 525 : 1986, Bonded abrasive products
−General−Designation, marking, range of outside diameters and
tolerances
ISO 6103 : 1986, Bonded abrasive products
−Static balancing of grinding wheels−Testing
ISO 6506 : 1981, Metalic materials
−Hardness test−Brinell test
ISO 6507-1 : 1982, Metalic materials
−Hardness test−Vickers test
2
K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
3.
定義 この規格で用いる主な用語の定義は次による。
3.1
摩耗輪 (abrasive wheel) 小さなと石輪又は表面に摩耗紙をはったローラー。
3.2
摩耗 (abrasive wear) 摩耗輪による切断又はこすり作用によって,ゴム又はプラスチック材料の作
用表面に発生する材料の連続的な損失。
4.
装置
4.1
摩耗試験機(付図 1 及び付図 2 参照) この試験機は,小さくまとめて設計された架構,平面で円
形の試験テーブル,一対の摩耗輪が取り付けてある摩耗輪取付けアーム,試験片テーブルを回転させる電
動機,試験片テーブルの回転数を示す計数器,規定数回転後,自動停止させ得る器具及び摩耗粉を除去す
る真空付属装置からなる。
摩耗輪取付けアームの自由端に取り付ける摩耗輪は自由に回転し,試験片上にあるときは,摩耗輪の外
周と試験片表面の接触面との関係が鋭角で,摩耗輪の外周の移動角が他のそれと反対である。摩耗輪の反
対方向の動きによって,これらと回転する試験片の間に摩擦を発生させる。摩耗輪と試験片テーブルの中
心との位置的相対関係を
付図 1 に示す。
試験片は,テーブルの中心にねじをもつロッドにナットと座金を用いてテーブルに固定する。薄い試験
片を試験する場合,試験片固定枠又は両面粘着テープを使用して,試験片を支持デスク又は試験片テーブ
ルに固定する。不織布,編物又は薄い試験片を試験する場合,試験片を厚紙でできたパッキングの上にの
り付けできる。この方法を使用すると,試験中に試験片のしわやひずみの発生が防止できる。ピボット点
の摩耗輪取付けアームの中心から試験片テーブルの表面頂部までの距離は約 25mm とする。
試験片支持ディスクは,水平になるように駆動シャフトに固定する。ディスクが回転するとき,水平表
面上の半径 45mm の円上の点がその平均位置付近で 0.05mm 以上の振幅で垂直に振動しないように調整す
る。ディスクは公称 100mm の直径をもち,その回転速度はそれぞれ 60Hz のとき 72rpm,50Hz のとき 60rpm
にする。
摩耗輪は,2 個の左右対称のアームで支持し,水平軸のまわりに自由に振動させる。摩耗輪は,例えば
ボールベアリングを使用するなど自由な回転を可能とする方法で取り付ける。試験位置において,取付け
ボスは同軸で,これを,試験片支持ディスクの面に向かうこれらの共通軸の垂直投影がディスクの軸を貫
通して通過する平行線から 19.1±0.1mm になるような位置に置く(
付図 1 参照)。
摩耗輪のそれぞれの内面間距離は 26.2±0.1mm とする。
各アームは,その質量に平衡錘を付加して,摩耗輪その他の質量と既知な追加質量の合計質量がこれら
と釣り合うような構造にする(4.5 参照)
。
備考1. 補助質量又は平衡錘を付けない場合,摩耗輪取付けアームには1輪当たり2.5N の力を試験片
に負荷するように設計する。
2.
中心に直径 6mm の孔をもつ直径約 114mm の試験片を回転円盤の双頭摩耗機に当てがう。こ
れによって摩耗部(
付図 1 参照)には摩耗輪の幅プラス接触角の効果が,幅にして約 13mm
から 14mm しか得られないが,試験片のストリップには 54mm の有効幅が確保されるように
なる。
4.2
摩耗輪 摩耗輪には軸を貫通する孔があるので,アームにボスの遊びがないように取り付けること
ができる。この場合,摩耗輪は次のいずれか一つをもって代替し,構成する。
a)
摩耗材料(摩耗輪) 新品の摩耗輪の寸法:厚さ 12.7±0.1mm,外径 51.6±0.1mm(摩耗したときの
使用可能外径は 44.4mm 以上。
)
3
K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
b)
材料又は製品の仕様に他の規定がない限り,ISO 525 に基づくグレードが,180 のシリコーン・カーバ
イドの摩耗紙又は摩耗布を硬度が 50 IRHD∼55 IRHD(IRHD は ISO 48 に基づくゴム硬度の国際単位)
の範囲にある厚さ 6mm の加硫ゴムに,すき間がないようにはり合わせた,周辺部が金属保護皮膜を
もつ金属ディスク。
摩耗輪の選択に適用する指針を
表 1 に示す。
備考 摩耗輪の摩耗力特性を調べる必要がある場合,これを附属書 A に規定する手順を踏んで求める
ことができる。
表 1 摩耗輪の選択
シリーズ名称
摩耗輪のタイプ
構成
推奨負荷範囲
(N)
摩耗作用
(効果)
グリッドの概略サイズ
(摩耗粒子数/cm
2
)
CS10
弾性
ゴムと摩耗粒子
4.9
∼9.8
穏やか 1
420
CS10F
弾性
ゴムと摩耗粒子
4.9
∼5.5
非常に穏やか 1
420
CS17
弾性
ゴムと摩耗粒子
4.9
∼9.8
粗い
645
H10
非弾性
磁器 4.9∼9.8
粗い 1
160
H18
非弾性
磁器 4.9∼9.8
中程度に粗い 1
160
H22
非弾性
磁器 4.9∼9.8
非常に粗い
515
H38
非弾性
磁器
2.5 : 4.9 : 9.8
非常に粗くかつ激しい 5
755
注 通常の条件下では,柔軟性のある試験片の場合は CS シリーズの摩耗輪を,柔軟性のない試験片の場合は H シ
リーズの摩耗輪をそれぞれ使用する。
4.3
真空装置 真空装置には摩耗粉を除去するため,試験片に二つの排気ノズルが付けられている。一
つのノズルは摩耗輪の間に,もう一方のノズルは全く正反対に位置している(
付図 1 参照)。各ノズルは内
径が 8±0.5mm で,試験片から 6.4±0.5mm の距離が保たれている。摩耗粉を効果的に除去するには,約
2.5kPa
の吸引圧力が適切である。
4.4
標準亜鉛板 必要に応じて摩耗輪の摩耗力を調整するもの(附属書 A 参照)。
4.5
追加質量 対応する材料又は製品仕様の要件を満たす目的で摩耗輪に負荷を加えるもの。
4.6
両面粘着テープ
4.7
はかり 正確に 1mg のけたで計れるもの。
4.8
摩耗輪の調整装置 摩耗輪が再研磨されても,静的バランス(ISO 6103 参照)が失われず,摩耗輪
の全表面を試験片に直角に接触できるもの。
5.
試験片 近接していない,無作為に抜き取った場所から,直径が 114±1mm であり,中心に直径 6.35mm
の孔をもつ 6 個の試験片を採取する。
6.
状態調節及び試験雰囲気 JIS K 6401-1 : 1999 に規定する方法の,いずれか一つに準拠して状態調節
する。研磨剤として炭化けい素紙を摩耗輪の代わりに使用する場合,直射日光と熱を避けて,温度約 20℃,
相対湿度約 50%の雰囲気で保管した後,JIS K 6401-1 : 1999 の規定によって,状態調節を 1 時間行う。
7.
手順
4
K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
7.1
準備及び試験片の取付け 各試験片の質量を 1mg のけたまで計量する。各試験片裏面に両面粘着テ
ープをはる。この場合,試験片又は粘着テープがゆがんだり,しわがよらないように注意し,更に粘着テ
ープによって試験片が変形したり,中央の孔がふさがれないようにする。その後,試験片を注意深く試験
機回転台の上に載せ,平らに押して置く。
7.2
摩耗面の予備処理 炭化けい素輪を使用する場合,試験の都度,及び 2000 サイクルに 1 回,摩耗輪
をドレッシングする。ドレッシングは,各摩耗輪の面をダイヤモンドのチップを横断させ,ドレッシング
工具を往復(すなわち前方に 1 回,後方に 1 回動く)させて,25 秒を要するように操作する。効果的に手
入れを行うには,ドレッシング工具によって摩耗輪に加える力をできるだけ小さくする。このドレッシン
グ操作中に,摩耗輪を 6rpm 以上,10rpm 未満の速度で回転させる。
炭化けい素紙を使用する場合,適切な粘着剤を用いて,その両端を突き合わせて固い摩耗輪の外周に接
着固定する。試験が終わる都度,及び 500 サイクルに 1 回,摩耗紙を新品と交換する。各摩耗輪に加える
負荷を,平衡錘又は追加質量を使用して調節し,対応する材料又は製品の仕様に規定する値になるように
する(4.5 参照)
。
7.3
運転 平衡錘を試験する材料又は製品の仕様の規定による限界にセットする。試験片表面上に摩耗
輪を下げて機械を運転状態にする。
8.
評価の方法
8.1
終点に対するサイクル数 試験材料と製品仕様によって終点を決める。次の終点の決め方をすすめ
る。
a)
色変化のためのグレースケール(ISO 105 の-A02)を参照して評価された摩耗部の色の変化
b)
基板又は発泡層の露出
c) mg
又は試験片の最初の質量に対する%で表した全質量の損失
d)
承認された試験方法を使用し,検討評価された適切な物理的性質で参考となるもの
8.2
質量損失の平均速度 100 サイクル当たりの質量損失は次の式によって算出し mg 単位で表す。
n
p
M
)
100
(
×
=
ここに, M: 100 サイクル当たりの平均質量損失 (mg)
p
: 全質量損失 (mg)
n
: 実際のサイクル数
9.
試験報告 試験報告書には次の事項を記載しなければならない。
a)
適用規格
b)
引布の説明
c)
JIS K 6404-1 : 1999
に基づく試験及び状態調節の標準雰囲気
d)
摩耗輪にかけた負荷
e)
摩耗サイクル数
f)
研磨剤の詳細
g)
性状に起こった変化の詳細
h)
平均損失 mg/100 サイクル
5
K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
i)
標準試験手順との差異の詳細
j)
試験年月日
10.
精度 この試験方法の精度は研究所間のデータが得られていないので不明である。この方法によって
得られる精度は摩耗の評価に使用する手順に依存して定まるものと考えるべきである。質量の損失を質量
で評価するか,容積で評価するか又は光学的性質の変化によって評価するかによって異なった結果が得ら
れる。結果の精度は,真空ノズルのすき間及び吸引圧力を適正に維持しないとき,平衡錘を不適切に配置
すると影響を受ける。研究所間のデータがない限り,この方法を仕様に含めて使用したり,紛争の的とな
ったことに利用することは適切ではないかもしれない。
6
K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
付図 1 装置の配列図
7
K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
付図 2 摩耗試験機の前正面図
8
K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
附属書 A(規定) 摩耗輪の摩耗力の測定
1.
原理 摩耗輪のもつ摩耗力を試験すべき材料又は製品の仕様に規定する条件に基づいて測定する。規
定数の回転を行った後に基準亜鉛板に発生する質量損失によって特徴づけられる。
2.
基準試験片 厚さが 0.7 から 0.8mm までの範囲に収まり,純粋(純度が少なくとも 99%)な亜鉛板を
200
℃に 60 分熱処理したものを使用して基準試験片を作製する。この亜鉛版の表面の ISO 6507-1 に基づく
ヴィッカース硬度値は,42HV100±2HV100 又は ISO 6506 によって計量された同等なブリネル硬度値であ
る。
3.
手順 基準試験片をアセトンで洗浄後,その質量を 1mg のけたまではかり,本体 7.に規定する手順に
よって試験に供する。負荷荷重及び適用回転数は,試験する材料又は製品仕様に規定するとおりとする。
この指示がない場合,負荷と回転数はそれぞれ 4.9N と 1 000 回にする。試験後,試料の質量を 1mg のけた
まで計量する。
4.
結果の表示 使用した摩耗輪(又は摩耗紙)の摩耗力は 1 000 回転で計算した質量損失,容積損失又
は試験する材料若しくは製品仕様に規定するとおり記録する。
5.
調整頻度
5.1
摩耗輪を使用する場合 摩耗輪を受け取ったとき調整し,この手順を 3 か月ごとに繰り返す。調整
後,試験の前に再度表面を元どおりにする。
5.2
摩耗紙を使用する場合 調整は標本試料を使用して行う。最初に試験を行う場合,摩耗紙は未使用
の部分で試験する。紙は受領時にまず調整し,この手順を 3 か月ごとに繰り返すか,試験する材料又は製
品仕様の規定どおりに行う。
9
K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
附属書 B(参考) 参考文献
ISO 9352 : 1989, Plastics
−Determination of to wear by abrasive wheels
10
K 6404-22 : 1999 (ISO/DIS 5470-1 : 1996)
ゴム引布・プラスチック引布試験方法原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
荒 木 峻
東京都立大学(名誉教授)
(委員)
西 出 徹 雄
通商産業省基礎産業局化学課
大 嶋 清 治
通商産業省工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
神 代 啓
社団法人日本化学工業協会
鈴 木 守
社団法人日本ゴム協会
今 井 修 二
財団法人化学品検査協会
御 船 直 人
財団法人鉄道総合技術研究所
寺 岡 憲 吾
防衛庁装備局
吉 田 實
アキレス株式会社
真 野 洋 三
シバタ工業株式会社
恩 田 健 二
東洋ゴム工業株式会社
三 木 茂 機
藤倉ゴム工業株式会社
當 間 満 義
日本ゴム工業会
(事務局)
三 須 武
社団法人日本化学工業協会
濱 島 俊 行
社団法人日本化学工業協会
岩 瀬 剛
日本ゴム工業会
(解説文責 三木茂機)