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(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 分類記号························································································································· 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 8
7 特別規定の記号 ··············································································································· 10
8 表示······························································································································ 12
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
ゴム工業会(JRMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。これによって,JIS K 6386:1999は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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防振ゴム−ゴム材料の区分
Rubber vibration isolators-Rubber material classification
1
適用範囲
この規格は,一般に振動及び衝撃の伝達防止,吸振,又は緩衝の目的で使用される防振ゴム製品(以下,
防振ゴムという。)のゴム材料の区分について規定する。ただし,エボナイト,気泡性ゴム及び布,又はコ
ードで補強されたゴムについては適用しない。
警告 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているものとする。この規格は,その使
用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者
は,各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6200 ゴム−用語
JIS K 6250 ゴム−物理試験方法通則
JIS K 6251 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方
JIS K 6253-3 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ
JIS K 6254 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−応力−ひずみ特性の求め方
JIS K 6255 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−反発弾性率の求め方
JIS K 6257 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−熱老化特性の求め方
JIS K 6258 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐液性の求め方
JIS K 6259-1 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方−第1部:静的オゾン劣化試験及び
動的オゾン劣化試験
JIS K 6262 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−常温,高温及び低温における圧縮永久ひずみの求め方
JIS K 6385 防振ゴム−試験方法
JIS K 6394 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−動的性質の求め方−一般指針
JIS Z 8401 数値の丸め方
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6200及びJIS K 6254によるほか,次による。
3.1
動倍率,d
防振ゴムの動的状態におけるばね定数と静的状態におけるばね定数との比。
2
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なお,動的状態とは正弦波振動状態をいう。
4
分類記号
4.1
一般
防振ゴムのゴム材料の分類記号は,ゴム材料の種類を表す記号及び静的せん断弾性率を表す数字を並記
し,これを分類記号とする。ただし,静的せん断弾性率を測定しない場合には,その分類記号の数字を括
弧を用いて記載する。
4.2
ゴム材料の種類を表す記号
防振ゴムのゴム材料は,使用目的によって表1の5種類に分ける。ゴム材料の種類の表し方は,箇条8
による。
表1−ゴム材料の種類及びその記号
記号
種類
A
一般の加硫ゴム(B,C,D,Eに含まれないもの)
B
特に耐油性を要求される加硫ゴム
C
特に耐候性(及び軽度の耐油性)を要求される加硫ゴム
D
特に大きな振動減衰性を要求される加硫ゴム
E
特に耐熱性を要求される加硫ゴム
4.3
静的せん断弾性率を表す数字
静的せん断弾性率(MPa)の数値を10倍し,整数位を分類記号の数字とする。
5
品質
防振ゴムのゴム材料の品質は,箇条6の試験方法によって試験を行い,表2〜表6の一般規定に適合し
なければならない。ただし,受渡当事者間の協定によって,静的せん断弾性率を省略し,硬さ測定を行う
ことができる。
なお,特別規定は,受渡当事者間の協定によって,性能を付加する場合に適用し,一般規定にある特性
と同じ特性については,特別規定の方をとる。また,これを外れる場合は,受渡当事者間の協定による。
3
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表2−品質(ゴム材料A)
分類
記号
一般規定
特別規定
静的せん断
弾性率
MPa
切断時
伸び
(最小値)
%
熱老化試験
(70 ℃,72 h)
圧縮永久
ひずみ率
(70 ℃,
24 h)
(最大値)
%
圧縮永久ひずみ率
r1
反発
弾性率
(最小値)
%
d
動倍率
(最大値)
熱老化試験
(70 ℃,72 h)
熱老化試験
(100 ℃,72 h)
c
オゾン劣化
試験
(40 ℃,
24 h)
50 pphm
引張ひずみ
20 %
25 %引張
応力変化率
%
切断時伸び
変化率
(最小値)
%
b1
(70 ℃,
24 h)
(最大値)
%
b2
(100 ℃,
24 h)
(最大値)
%
a1 a)
硬さ変化
量
(HA)
a2
切断時伸
び変化率
(最小値)
%
a3 a)
硬さ変化
量
(HA)
a4
切断時伸
び変化率
(最小値)
%
A05 0.50±0.10
500
−10〜+30
−50
50
25
50
75
1.5
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
肉眼観察で
亀裂があっ
てはならな
い
A06 0.60±0.10
500
−10〜+30
−50
50
25
50
75
1.5
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A07 0.70±0.10
500
−10〜+30
−50
50
25
50
70
1.5
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A08 0.80±0.10
400
−10〜+30
−50
50
25
50
70
1.7
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A09 0.90±0.10
400
−10〜+30
−50
50
25
50
70
1.7
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A10 1.00±0.10
400
−10〜+30
−50
50
25
50
65
1.7
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A11 1.10±0.11
400
−10〜+30
−50
50
25
50
65
2.0
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A12 1.20±0.12
400
−10〜+30
−50
50
25
50
65
2.0
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A13 1.30±0.13
400
−10〜+30
−50
50
25
50
60
2.0
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A14 1.40±0.14
300
−10〜+30
−50
50
25
50
55
2.0
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A16 1.60±0.16
300
−10〜+30
−50
50
25
50
50
3.0
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A18 1.80±0.18
250
−10〜+30
−50
50
25
50
45
3.0
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
A20 2.00±0.20
250
−10〜+30
−50
50
25
50
40
3.0
(0〜+7)
−25
(0〜+15)
−40
注記 切断時伸び変化率:この規定値は,絶対値でなく変化率であり,変化率の最小値を表す。
注a) 括弧内の数値は,特別規定として硬さを指定し,静的せん断弾性率を指定しない場合に限って適用できる数値である。
3
K
6
3
8
6
:
2
0
1
9
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表3−品質(ゴム材料B)
分類
記号
一般規定
特別規定
静的せん断
弾性率
MPa
切断時伸び
(最小値)
%
耐油試験
(IRM903油)
(100 ℃,72 h)
体積変化率
(最大値)
%
熱老化試験
(100 ℃,72 h)
圧縮永久
ひずみ率
(100 ℃,24 h)
(最大値)
%
圧縮永久
ひずみ率
b1
(100 ℃,24 h)
(最大値)
%
熱老化試験
(100 ℃,72 h)
a1 a)
硬さ変化量
(HA)
c
オゾン劣化試験
(40 ℃,24 h)
50 pphm
引張ひずみ20 %
25 %引張
応力変化率
%
切断時伸び
変化率
(最小値)
%
B05
0.50±0.10
400
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
肉眼観察で亀裂
があってはなら
ない
B06
0.60±0.10
400
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B07
0.70±0.10
400
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B08
0.80±0.10
400
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B09
0.90±0.10
400
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B10
1.00±0.10
300
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B11
1.10±0.11
300
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B12
1.20±0.12
300
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B13
1.30±0.13
300
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B14
1.40±0.14
250
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B16
1.60±0.16
250
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B18
1.80±0.18
200
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
B20
2.00±0.20
150
+40
−10〜+100
−50
50
25
(0〜+15)
注記 切断時伸び変化率:この規定値は,絶対値でなく変化率であり,変化率の最小値を表す。
注a) 括弧内の数値は,特別規定として硬さを指定し,静的せん断弾性率を指定しない場合に限って適用できる数値である。
3
K
6
3
8
6
:
2
0
1
9
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表4−品質(ゴム材料C)
分類
記号
一般規定
特別規定
静的せん断
弾性率
MPa
切断時伸び
(最小値)
%
耐油試験
(IRM903油)
(100 ℃,72 h)
体積変化率
(最大値)
%
熱老化試験
(100 ℃,72 h)
オゾン劣化試験
(40 ℃,72 h)
50 pphm
引張ひずみ20 %
圧縮永久
ひずみ率
(100 ℃,24 h)
(最大値)
%
圧縮永久
ひずみ率
b1
(100 ℃,24 h)
(最大値)
%
熱老化試験
(100 ℃,72 h)
a1 a)
硬さ変化量
(HA)
c
オゾン劣化試験
(40 ℃,144 h)
50 pphm
引張ひずみ20 %
25 %引張
応力変化率
%
切断時伸
び変化率
(最小値)
%
C05
0.50±0.10
500
+120
−10〜+100
−50
肉眼観察で亀裂
があってはなら
ない
60
35
(0〜+15)
肉眼観察で亀裂
があってはなら
ない
C06
0.60±0.10
500
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C07
0.70±0.10
400
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C08
0.80±0.10
400
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C09
0.90±0.10
400
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C10
1.00±0.10
350
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C11
1.10±0.11
350
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C12
1.20±0.12
350
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C13
1.30±0.13
300
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C14
1.40±0.14
250
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C16
1.60±0.16
250
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C18
1.80±0.18
250
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
C20
2.00±0.20
200
+120
−10〜+100
−50
60
35
(0〜+15)
注記 切断時伸び変化率:この規定値は,絶対値でなく変化率であり,変化率の最小値を表す。
注a) 括弧内の数値は,特別規定として硬さを指定し,静的せん断弾性率を指定しない場合に限って適用できる数値である。
3
K
6
3
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6
:
2
0
1
9
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表5−品質(ゴム材料D)
分類
記号
一般規定
特別規定
静的せん断
弾性率
MPa
切断時
伸び
(最小値)
%
熱老化試験
(70 ℃,72 h)
圧縮永久
ひずみ率
(70 ℃,
24 h)
(最大値)
%
圧縮永久ひずみ率
r2
反発弾性
率
(最大値)
%
L
損失係数
tanδ
(最小値)
熱老化試験
(70 ℃,72 h)
a1 a)
硬さ変化量
(HA)
熱老化試験
(100 ℃,72 h)
c
オゾン劣化試験
(40 ℃,24 h)
50 pphm
引張ひずみ20 %
25 %引張
応力変化率
%
切断時伸
び変化率
(最小値)
%
b1
(70 ℃,
24 h)
(最大値)
%
b2
(100 ℃,
24 h)
(最大値)
%
a3 a)
硬さ変化量
(HA)
a2
切断時伸
び変化率
(最小値)
%
D05 0.50±0.10
500
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.2
(0〜+7) (0〜+10)
−40
肉眼観察で亀裂
があってはなら
ない
D06 0.60±0.10
500
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.2
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D07 0.70±0.10
500
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.2
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D08 0.80±0.10
400
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.2
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D09 0.90±0.10
400
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.2
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D10 1.00±0.10
400
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.2
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D11 1.10±0.11
400
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.2
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D12 1.20±0.12
350
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.25
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D13 1.30±0.13
350
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.25
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D14 1.40±0.14
350
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.25
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D16 1.60±0.16
300
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.25
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D18 1.80±0.18
300
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.25
(0〜+7) (0〜+10)
−40
D20 2.00±0.20
200
−10〜+30
−40
50
25
50
40
0.25
(0〜+7) (0〜+10)
−40
注記 切断時伸び変化率:この規定値は,絶対値でなく変化率であり,変化率の最小値を表す。
注a) 括弧内の数値は,特別規定として硬さを指定し,静的せん断弾性率を指定しない場合に限って適用できる数値である。
3
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:
2
0
1
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表6−品質(ゴム材料E)
分類
記号
一般規定
特別規定
静的せん断
弾性率
MPa
切断時
伸び
(最小値)
%
熱老化試験
(125 ℃,72 h)
圧縮永久
ひずみ率
(100 ℃,
24 h)
(最大値)
%
圧縮永久ひずみ率
熱老化試験
(125 ℃,72 h)
熱老化試験
(150 ℃,72 h)
r1
反発
弾性率
(最小値)
%
c
オゾン劣化試験
(40 ℃,72 h)
50 pphm
引張ひずみ20 %
25 %引張
応力変化率
%
切断時伸
び変化率
(最小値)
%
b1
(125 ℃,
24 h)
(最大値)
%
b2
(150 ℃,
24 h)
(最大値)
%
a1 a)
硬さ変化量
(HA)
a2
切断時伸
び変化率
(最小値)
%
a3 a)
硬さ変化量
(HA)
a4
切断時伸
び変化率
(最小値)
%
E05
0.50±0.10
500
−10〜+60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
肉眼観察で亀裂
があってはなら
ない
E06
0.60±0.10
500
−10〜+60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
E07
0.70±0.10
400
−10〜±60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
E08
0.80±0.10
400
−10〜+60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
E09
0.90±0.10
300
−10〜+60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
E10
1.00±0.10
300
−10〜+60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
E11
1.10±0.11
300
−10〜+60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
E12
1.20±0.12
250
−10〜+60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
E13
1.30±0.13
250
−10〜+60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
E14
1.40±0.14
250
−10〜+60
−50
50
60
70
(0〜+10)
−35
(0〜+15)
−40
40
注記 切断時伸び変化率:この規定値は,絶対値でなく変化率であり,変化率の最小値を表す。
注a) 括弧内の数値は,特別規定として硬さを指定し,静的せん断弾性率を指定しない場合に限って適用できる数値である。
3
K
6
3
8
6
:
2
0
1
9
8
K 6386:2019
6
試験方法
6.1
試験の一般事項
試験の一般事項は,JIS K 6250の7.(試料及び試験片の保管)による。試験片は,それぞれ規定の型で
加硫成形したものを使用し,試験成績には,加硫条件を記録しなければならない。
6.2
静的せん断弾性率
静的せん断弾性率は,JIS K 6254の箇条6(引張試験)によって行い,25 %引張応力σ25(MPa)を測定
し,次の式によって算出する。
なお,JIS Z 8401の2.c)(規則A)によって小数点以下2桁に丸める。
GS=1.639σ25
ここに,
GS: 静的せん断弾性率(MPa)
6.3
硬さ試験
硬さ試験は,JIS K 6253-3によって行い,タイプAデュロメータ硬さを測定する。ただし,6.2によっ
て静的せん断弾性率を測定する場合には,硬さの測定を行わない。また,硬さの測定を行う場合には,6.2
による静的せん断弾性率の測定を省略することができる。
6.4
切断時伸び
切断時伸びは,JIS K 6251によって行う。
6.5
熱老化試験
熱老化試験は,JIS K 6257の3.3 a)(試験方法A法)によって行い,熱老化試験前後の25 %引張応力変
化率及び切断時伸び変化率を求める。
なお,硬さ変化量を測定する場合は,25 %引張応力の測定を省略することができる。
6.6
オゾン劣化試験
オゾン劣化試験は,JIS K 6259-1の箇条10(静的オゾン劣化試験)によって行う。ただし,試験片につ
いては,受渡当事者間の協定によってもよい。
6.7
圧縮永久ひずみ試験
圧縮永久ひずみ試験は,JIS K 6262によって行う。
6.8
耐油試験
耐油試験は,JIS K 6258の8.1(浸せき試験)によって行う。
6.9
反発弾性試験
反発弾性試験は,JIS K 6255の箇条6(振子式試験)によって行う。
6.10
動的性質試験
6.10.1
動倍率(d)
動倍率(d)の求め方は,次による。
a) JIS K 6385の箇条6(静的ばね特性試験)によって,静的ばね定数(K)を求める。試験方法は,往路
方式とする。ただし,試験片の形状は,図1によるものとし,金具にあらかじめ接着剤を塗布し,ゴ
ムと金具とを加硫接着したものとする。また,必要な場合には,受渡当事者間の協定によって,表7
の試験条件を変更してもよい。
9
K 6386:2019
単位 mm
図1−静的ばね定数測定試験用試験片
表7−静的ばね定数測定試験条件
変形方法
試験条件
算出範囲 mm
1〜3
試験速度 mm/min
5
予備変形回数
2
予備変形範囲 mm
0〜4.5±1.0
試験温度 ℃
23±2
b) JIS K 6394の7.1.6 b)(大形試験装置)によって動的(貯蔵)ばね定数(K')を求める。ただし,試験
片は,静的ばね定数を測定したものを使用する。また,一般的な試験条件は,表8による。これを外
れる場合は,受渡当事者間の協定による。
表8−動的(貯蔵)ばね定数測定試験条件
変形方法
試験条件
平均たわみ mm
2
たわみ振幅 mm
±0.05
周波数 Hz
100
試験温度 ℃
23±2
c) 次の式のとおり,b) で求めた動的(貯蔵)ばね定数(K')を,a) で求めた静的ばね定数(K)で除し,
動倍率(d)を求める。
K
K'
d=
ここに,
d: 動倍率
K: 静的ばね定数
K': 動的(貯蔵)ばね定数
10
K 6386:2019
6.10.2
損失係数(tanδ)
損失係数(tanδ)の測定は,JIS K 6394の7.1.6 b) による。一般的な試験条件は,表9による。これを
外れる場合は,受渡当事者間の協定による。
表9−損失係数(tanδ)の試験条件
変形方法
試験条件
平均たわみ mm
2
たわみ振幅 mm
±0.5
周波数 Hz
15
試験温度 ℃
23±2
7
特別規定の記号
7.1
硬さを指定する場合の記号
硬さを指定する場合の記号を,表10に示す。
表10−硬さを指定する場合の記号
記号
硬さの許容範囲(HA)
J1
±5
J2
±3
注記 静的せん断弾性率の測定を省略することができる。表11に示
す熱老化試験値記号a1,a3の有無に注意する。
7.2
熱老化試験値の記号
熱老化試験値の記号を,表11に示す。
表11−熱老化試験値の記号
記号
内容
a1,a3 a)
硬さ変化量を測定し,表2〜表6の範囲とする。b)
a2,a4 a)
伸びの変化率を測定し,表2,表5及び表6の範囲と
する。
注a) a1,a3及びa2,a4は,熱老化試験温度の相違による。
b) a1,a3は25 %引張応力の測定を省略することができる。
7.3
圧縮永久ひずみ試験値の記号
圧縮永久ひずみ試験値の記号を,表12に示す。
表12−圧縮永久ひずみ試験値の記号
記号
内容
b1,b2 a)
表2〜表6の特別規定を適用する。
注a) b1,b2は,圧縮永久ひずみ試験温度の相違による。
11
K 6386:2019
7.4
オゾン劣化試験値の記号
オゾン劣化試験値の記号を,表13に示す。
表13−オゾン劣化試験値の記号
記号
内容
c
表2〜表6の特別規定を適用する。
7.5
反発弾性試験値の記号
反発弾性試験値の記号を,表14に示す。
表14−反発弾性試験値の記号
記号
内容
r1
表2及び表6によって反発弾性率を指定する。
r2
表5によって反発弾性率を指定する。
注記 r1は反発弾性率の最小値を示す。
r2は反発弾性率の最大値を示す。
7.6
動倍率の記号
動倍率の記号を,表15に示す。
表15−動倍率の記号
記号
内容
d
表2によって動倍率を指定する。
注記 dは動倍率の最大値を示す。
7.7
損失係数(tanδ)の記号
損失係数(tanδ)の記号を,表16に示す。
表16−損失係数(tanδ)の記号
記号
内容
L
表5によって損失係数(tanδ)を指定する。
注記 Lは損失係数(tanδ)の最小値を示す。
7.8
その他の記号
その他の記号を,表17に示す。
表17−その他の記号
記号
内容
Z a)
7.1〜7.7以外の特別規定を適用する。
注a) 試験方法及び試験結果の指定値を具体的に記載する。
12
K 6386:2019
8
表示
防振ゴムのゴム材料は,次の方法によって表示する。
a) ゴム材料の分類記号を,記載する。
記載例
B16
表示の説明 特に耐油性を要求される加硫ゴムで,表3の分類記号B16の一般規定を満足しなけれ
ばならない。
b) 特別規定を採用する場合には,ハイフン追記によって採用する特別規定の記号を列記する。特別規定
の記号を列記する場合には,箇条7の各記号の記載順序による。
記載例
A10−b1r1
表示の説明 A 10−b1 r1
特別規定 反発弾性率(最小値):表2参照
特別規定 圧縮永久ひずみ率(最大値):表2参照
分類記号の数字 静的せん断弾性率1.00 MPa±0.10 MPaの範囲
分類記号の記号 ゴム材料の種類:表1参照
c) 静的せん断弾性率の測定を行わない場合,その分類記号の数字を括弧を用いて記載する。
その場合,静的せん断弾性率以外の一般規定を満足しなければならない。
d) 静的せん断弾性率の測定を行わず,硬さを指定する場合には,硬さの指定値を角括弧を付けて付記す
る。
記載例
A (10)−J1a1[HA=55]
表示の説明 硬さHA=55±5で熱老化試験(70 ℃,72 h)で硬さの変化量(0〜+7)を満足しなけ
ればならない。
e) 硬さを指定する場合で,動倍率及び熱老化性を規定する場合
記載例
A (10)−J2a3d[HA=55]
表示の説明 硬さHA=55±3で熱老化試験(100 ℃,72 h)で硬さの変化量(0〜+15)及び動倍率
1.7以下を満足しなければならない。
f)
損失係数(tanδ)を指定する場合
記載例
D12−a2cL
表示の説明 静的せん断弾性率1.20 MPa±0.12 MPaで,熱老化試験(100 ℃,72 h)の切断時伸び
の変化率−40 %以上,オゾン劣化試験(40 ℃,24 h,50 pphm)で肉眼観察による亀
裂があってはならず,かつ,損失係数(tanδ)0.25以上を満足しなければならない。
g) 静的せん断弾性率を測定せず,その他の指定値を規定する場合(例えば,製品のばね定数を指定する
場合が,これに該当する。)には,その規定の要点を具体的に表示し,その場合の試験方法等は受渡当
事者間の協定による。
記載例
C (16)−Z[圧縮たわみ量:δ1 (20 kN)−δ2 (10 kN)=2.40 mm±0.36 mm]
表示の説明 圧縮たわみ量は,10 kN時のたわみ量と20 kN時のたわみ量との差が2.40 mm±0.36
mmを満足しなければならない。