K 6384:2016
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 試験室試料の採取 ············································································································· 2
4 原料ゴムの物理試験方法及び化学試験方法 ············································································ 2
4.1 ムーニー粘度 ················································································································ 2
4.2 揮発分 ························································································································· 3
4.3 灰分 ···························································································································· 3
4.4 結合アクリロニトリル量 ································································································· 3
5 原料ゴムの加硫特性及び引張特性評価のための配合物の調製 ···················································· 3
5.1 標準配合 ······················································································································ 3
5.2 混練手順 ······················································································································ 3
6 加硫試験機による加硫特性の評価方法 ·················································································· 7
6.1 ディスク加硫試験機による加硫試験··················································································· 7
6.2 ダイ加硫試験機による加硫試験 ························································································ 7
7 引張試験························································································································· 7
8 試験精度························································································································· 8
9 試験報告書 ······················································································································ 8
附属書JA(参考)練りロール機を使用する方法の試験精度 ·························································· 9
附属書JB(参考)密閉式混練機を1段目,練りロール機を2段目に使用する方法による試験精度 ······ 10
附属書JC(参考)試験片作製法の違いによるムーニー粘度比較データ ·········································· 11
附属書JD(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 13
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
ゴム工業会(JRMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。
これによって,JIS K 6384:2001は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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合成ゴム−NBR−試験方法
Acrylonitrile-butadiene rubber (NBR)-Evaluation procedure
序文
この規格は,1999年に第3版として発行されたISO 4658及びAmendment 1(2004)を基とし,技術的
内容を変更して作成した日本工業規格である。旧規格であるJIS K 6384:2001で規定していた“結合アク
リロニトリル量”の求め方の内容を削除して,JIS K 6451-1及びJIS K 6451-2として独立制定した。これ
によって,この規格では,“結合アクリロニトリル量”については,JIS K 6451-1及びJIS K 6451-2を引用
することとした。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JDに示す。
1
適用範囲
この規格は,合成ゴムNBR(アクリロニトリルとブタジエンとのゴム状共重合体,以下,NBRという。)
の原料ゴムの物理試験方法及び化学試験方法について規定する。さらに,原料ゴムの加硫特性及び引張特
性を評価するための配合物の調製方法(標準配合及び混練方法)並びに加硫特性の評価方法及び引張試験
について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 4658:1999,Acrylonitrile-butadiene rubber (NBR)−Evaluation procedure及びAmendment 1:2004
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
警告 この規格の利用者は,通常の実験室の作業に精通していることを前提とする。この規格は,そ
の使用に関して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用
者は,各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 1410 酸化亜鉛
JIS K 3331 工業用硬化油・脂肪酸
JIS K 6220-2 ゴム用配合剤−試験方法−第2部:有機加硫促進剤及び有機加硫剤
注記 対応国際規格:ISO 11235,Rubber compounding ingredients−Sulfenamide accelerators−Test
methods(MOD)
2
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JIS K 6222-1 ゴム用配合剤−硫黄−試験方法
注記 対応国際規格:ISO 8332,Rubber compounding ingredients−Sulfur−Methods of test(MOD)
JIS K 6228 ゴム−灰分の定量
注記 対応国際規格:ISO 247,Rubber−Determination of ash(MOD)
JIS K 6238-1 原料ゴム−揮発分の求め方(定量)−第1部:熱ロール法及びオーブン法
注記1 対応国際規格:ISO 248,Rubber, raw−Determination of volatile-matter content(MOD)
注記2 対応国際規格で引用しているISO 248は廃止され,ISO 248-1及びISO 248-2に置き換わっ
ている。ISO 248-1は,日本からJIS K 6238-1を基に提案され,国際標準となった規格で
ある。
JIS K 6238-2 原料ゴム−揮発分の求め方(定量)−第2部:自動赤外線乾燥熱重量法
注記 ISO 248-2が,JIS K 6238-2を基に日本から提案され,制定されている。
JIS K 6250 ゴム−物理試験方法通則
注記 対応国際規格で引用しているISO 471は廃止され,ISO 23529に置き換わっているため,こ
の規格では,ISO 23529に対応するJIS K 6250を引用した。
JIS K 6251 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方
注記 対応国際規格:ISO 37,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of tensile stress-strain
properties(MOD)
JIS K 6298 原料ゴム−天然ゴム・合成ゴム−サンプリング及びその後の準備手順
注記 対応国際規格:ISO 1795,Rubber, raw natural and raw synthetic−Sampling and further preparative
procedures(IDT)
JIS K 6299 ゴム−試験用試料の作製方法
注記 対応国際規格:ISO 2393,Rubber test mixes−Preparation, mixing and vulcanization−Equipment
and procedures(MOD)
JIS K 6300-1 未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求
め方
注記 対応国際規格:ISO 289-1,Rubber, unvulcanized−Determinations using a shearing-disc viscometer
−Part 1: Determination of Mooney viscosity(MOD)
JIS K 6300-2 未加硫ゴム−物理特性−第2部:振動式加硫試験機による加硫特性の求め方
注記 対応国際規格:ISO 6502,Rubber−Guide to the use of curemeters(MOD)
JIS K 6451-1 合成ゴム−NBR−結合アクリロニトリル量の求め方−第1部:デュマ法
JIS K 6451-2 合成ゴム−NBR−結合アクリロニトリル量の求め方−第2部:ケルダール法
3
試験室試料の採取
試験室試料は,JIS K 6298の箇条5(試験室試料の採取方法)によって約1.5 kgを採取する。
4
原料ゴムの物理試験方法及び化学試験方法
4.1
ムーニー粘度
ムーニー粘度は,JIS K 6300-1に規定する方法によって求める。測定結果は,ML (1+4) 100 ℃として記
録する。
注記 試験片の作製方法の違いによるムーニー粘度測定データへの影響については,附属書JCを参
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照する。
4.2
揮発分
揮発分は,JIS K 6238-1又はJIS K 6238-2に規定する方法によって求める。
4.3
灰分
灰分は,JIS K 6228に規定する方法によって求める。
4.4
結合アクリロニトリル量
結合アクリロニトリル量は,JIS K 6451-1又はJIS K 6451-2に規定する方法によって求める。
5
原料ゴムの加硫特性及び引張特性評価のための配合物の調製
5.1
標準配合
標準配合を,表1に示す。表中の配合剤が入手できない場合,受渡当事者間の協定によって定められた
ものを用いてもよい。
表1−標準配合
原料ゴム及び配合剤
配合割合(質量部)
NBR a)
酸化亜鉛b)
粉末硫黄c)
ステアリン酸d)
IRB e) <カーボンブラック>
TBBS f) <加硫促進剤>
100.00
3.00
1.50
1.00
40.00
0.70
総質量部
146.20
注a) 箇条3で採取した試験室試料を用いる。
b) JIS K 1410による。
c) JIS K 6222-1による。
d) JIS K 3331による。
e) 工業用標準カーボンブラックIRBは,JIS K 6299の5.3(カーボンブラックの調
製)に従って状態調節したものを用いる。
なお,工業用標準カーボンブラックIRBは,ASTM D4122で規定されている。
f) TBBS(N-tert-butylbenzothiazole-2-sulfenamideは,密閉容器中に室温で貯蔵する。
不溶解分を6か月ごとに確認し,0.75 %を超えた場合,廃棄又は再結晶して使用
する。不溶解分の試験法は,JIS K 6220-2による。
5.2
混練手順
5.2.1
混練装置
密閉式混練機は,JIS K 6299の6.2(密閉式混練機)に規定するものを用いる。練りロール機は,JIS K 6299
の6.1(練りロール機)に規定するものを用いる。
5.2.2
混練操作
混練操作は,全ての配合剤が良好に分散するように,次のいずれかの方法による。
− A1法:密閉式混練機を用いる1段練り法(望ましい方法)
− A2法:密閉式混練機を1段目練り,練りロール機を2段目練りに用いる方法
− B法:練りロール機を用いる方法
なお,混練操作の違いによって得られる混練物は,異なる結果を示す場合がある。
4
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5.2.3
密閉式混練機を用いる方法
5.2.3.1
一般
実混練容積が約65 cm3〜2 000 cm3の密閉式混練機を用いる場合,1回の混練質量は,混練物の密度と実
混練容積(cm3)とから計算された量と同量とする。一連の混練り試験の開始時に,混練り試験と同一配
合を混練機調整用バッチとして混練りする。このバッチは,同時に混練機の掃除用バッチとなる。一連の
混練物を作製する間は,密閉式混練機の条件は,同じにする。また,密閉式混練機の開始温度は,一連の
評価中に変更してはならない。
注記1 具体的な密閉式混練機の条件は,JIS K 6299の附属書B[試験室間試験プログラム(ITP)で
の密閉式混練機の仕様及び条件]を参考にするとよい。
注記2 実混練容積とは,ロータを装着したチャンバ容積に充塡率を乗じた容積である。
5.2.3.2
A1法 密閉式混練機を用いる1段練り法
密閉式混練機を用いる1段練り法(A1法)の混練り操作は,次による。また,各操作の所要時間は,表
2による。
なお,混練りの開始温度は,60 ℃以下の一定温度にしなければならない。また,累積時間後に排出され
た混練物の最終温度が120 ℃を超えてはならない。必要な場合は,排出温度が120 ℃未満になるよう密閉
式混練機の充塡率,開始温度又はロータ回転数を調整する。
a) NBRを投入してラムを下げ,タイマーのスイッチを入れる。
b) NBRを素練りする。
c) ラムを上げ,事前に混合した酸化亜鉛,硫黄,ステアリン酸及び加硫促進剤をこぼさないように注意
して投入し,次いで,カーボンブラックを投入し,投入口に付着した配合剤などを完全に内部に投入
するように掃除してラムを下げる。
注記 事前の混合の方法には,スパチュラで混合する方法,ドライブレンド,乳鉢と乳棒とを用い
る方法,バイコニカルブレンダを用いる方法又はワーリングブレンダを用いる方法がある。
ただし,ワーリングブレンダは,ステアリン酸が溶解し,分散性が悪化することがあるため,
1回3秒以内で混合することが望ましい。
d) 混練りを行う。必要に応じて,短い時間ラムを上げて内部を掃除してラムを下げる。
e) 累積時間が9分になったら,ロータを停止して,混練物を排出する。
f)
排出後,直ちに混練物をロール表面温度50 ℃±5 ℃,ロール間隙0.8 mmのロールに一度通す。
g) 丸め通しを6回行う。
h) 厚さ約6 mmのシートを作製して,混練物を計量する。質量の変化が総質量の理論値から−1.5 %〜+
0.5 %の範囲を外れた場合は,その混練物を廃棄し,練り直さなければならない。
i)
計量した混練物から加硫特性試験用の試料を採取する。
j)
厚さ約2.2 mmとなるように引張試験用のシートをロールを用いて作製する。引張試験片がリング状
試験片の場合,これに適する厚さにシートを作製する。
k) 混練後,加硫するまで,混練物を2時間〜24時間静置する。望ましくは,JIS K 6250に規定する温度
23 ℃±2 ℃,相対湿度(50±10)%で状態調節する。
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表2−各操作における所要時間
単位 分
操作
所要時間
累積時間
a)
b)
c)
d)
0.0
1.0
1.0
7.0
0.0
1.0
2.0
9.0
5.2.3.3
A2法 密閉式混練機を1段目練り,練りロール機を2段目練りに用いる方法
5.2.3.3.1
1段目練り(密閉式混練機)
A2法の1段目練り(密閉式混練機)の混練操作は,次による。また,各操作の所要時間は,表3による。
なお,密閉式混練機のロータの温度を50 ℃±5 ℃を保つように循環水の温度及び流量を調節する。ま
た,必要に応じて,ロータの回転速度を調整して混練する。
a) ラムを上げ,NBRを入れた後,ラムを下げて,素練りを行う。
b) ラムを上げ,あらかじめ混合してあったカーボンブラック,酸化亜鉛及びステアリン酸をこぼさない
ように注意して加え,ラムを下げる。
c) ラムを上げ,投入口とラムの先端とを掃除し,ラムを下げる。
d) 混練する。累積時間が5分になったら,排出する。
e) 排出後,直ちに混練物を,ロール表面温度50 ℃±5 ℃,ロール間隙を1.9 mmに調整した練りロール
機に1回通す。
f)
ロール間隙を3.0 mmに調整し,混練物を練りロール機に1回通す。
g) 混練物の質量を確認する。質量の変化が総質量の理論値から−1.5 %〜+0.5 %の範囲を外れた場合は,
その混練物を廃棄し,練り直さなければならない。
h) 混練後,混練物を2段目練りに移る前に,2時間〜24時間静置する。望ましくは,JIS K 6250に規定
する温度23 ℃±2 ℃,相対湿度(50±10)%で状態調節する。
表3−各操作における所要時間
単位 分
操作
所要時間
累積時間
a)
b)
c)
d)
1.0
2.0
0.5
1.5
1.0
3.0
3.5
5.0
5.2.3.3.2
2段目練り(練りロール機)
A2法の2段目練り(練りロール機)の混練操作は,次による。また,各操作の所要時間は,表4による。
なお,混練中,ロール上のバンクを良好な状態に保つため,ロール間隙は,随時調整しなければならな
い。
a) 練りロール機のロール表面温度を50 ℃±5 ℃,ロール間隙を1.9 mmに調整する。
b) マスターバッチをロールに巻き付け,ロール幅の3/4だけ切り込み,バンクが見えなくなるまでナイ
フを入れ,ロールから剝がれたゴムをナイフを持たない手で円筒状に巻き取り,バンクがなくなった
とき,円筒状のゴムを左右逆転させ,ロールに巻き付ける操作(以下,この操作を,3/4切返しとい
う。)を左右交互に各2回行う。
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c) 硫黄及び加硫促進剤をロール軸方向に均一に加える。
d) 3/4切返しを左右交互に各3回行う。
e) ロールから混練物を切り取り,ロール間隙を約0.8 mmに調整して丸め通しを6回行う。
f)
ロール間隙を3.0 mmに調整して,混練物を一度通し,ロールから切り出す。
g) 切り出した混練物を計量する。質量の変化が総質量の理論値から−1.5 %〜+0.5 %の範囲を外れた場
合は,その混練物を廃棄し,練り直さなければならない。
h) 計量した混練物から加硫特性試験用の試料を採取する。
i)
厚さ約2.2 mmとなるように引張試験用のシートを作製する。引張試験片がリング状試験片の場合,
これに適する厚さにシートを作製する。
j)
混練後,加硫するまで,混練物を2時間〜24時間静置する。望ましくは,JIS K 6250に規定する温度
23 ℃±2 ℃,相対湿度(50±10)%において状態調節する。
表4−各操作における所要時間
単位 分
操作
所要時間
累積時間
a)
b)
c)
d)
e)
−
2.0
0.5
3.0
2.0
−
2.0
2.5
5.5
7.5
5.2.4
B法 練りロール機を用いる方法
練りロール機を用いる方法(B法)の混練操作は,次による。また,各操作の所要時間は,表5による。
なお,混練質量は,標準配合の総質量(g)の4倍で行う。ロール表面温度は,混練中50 ℃±5 ℃を維
持する。混練中ロール上のバンクを良好な状態に保つよう,ロール間隙を調整する。
a) 練りロール機のロール間隙を1.4 mmに調整して,NBRをロールに巻き付ける。
b) 酸化亜鉛,ステアリン酸及び硫黄を加える。
c) 3/4切返しを左右交互に各3回行う。
d) カーボンブラックの半量をロールの幅方向に均一に加える。
e) 3/4切返しを左右交互に各3回行う。
f)
残りのカーボンブラックをロールの軸方向に均一に加える。ロール受皿に落下した配合剤は,捕集し
て全てバンクに戻す。
g) 加硫促進剤を加える。
h) 加硫促進剤が混入したら,3/4切返しを左右交互に各3回行う。
i)
ロールから混練物を切り取り,ロール間隙を0.8 mmに調整して丸め通しを6回行う。
j)
厚さ約6 mmのシートを作製し,混練物を計量する。質量の変化が総質量の理論値から−1.5 %〜+
0.5 %の範囲を外れた場合は,その混練物を廃棄し,練り直さなければならない。
k) 計量した混練物から加硫特性試験用の試料を採取する。
l)
厚さ約2.2 mmとなるように引張試験用のシートを作製する。引張試験片がリング状試験片の場合,
これに適する厚さにシートを作製する。
m) 混練後,加硫するまで,混練物を2時間〜24時間静置する。望ましくは,JIS K 6250に規定する温度
23 ℃±2 ℃,相対湿度(50±10)%において状態調節する。
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表5−各操作における所要時間
単位 分
操作
所要時間
累積時間
a)
b)
c)
d)
e)
f)
g)
h)
i)
2.0
2.0
2.0
5.0
2.0
5.0
1.0
2.0
2.0
2.0
4.0
6.0
11.0
13.0
18.0
19.0
21.0
23.0
6
加硫試験機による加硫特性の評価方法
6.1
ディスク加硫試験機による加硫試験
ディスク加硫試験機による加硫試験は,JIS K 6300-2の8.(ディスク加硫試験)による。
得られた加硫曲線の解析を行い,次の評価項目を求める。
評価項目
:ML,MH,ts1,tc(50),及びtc(90)
また,次の条件で測定を行う。
・ 振動数
:1.7 Hz(100回/分)
・ 振幅角度 :1゜
・ 選択感度 :MHの値が,フルスケールの少なくとも75 %を与えるように選択する。
注記 ゴムの種類によっては,75 %に達しない場合がある。
・ ダイ温度 :160.0 ℃±0.3 ℃
・ 予備加熱 :なし
6.2
ダイ加硫試験機による加硫試験
ダイ加硫試験機による加硫試験は,JIS K 6300-2に規定する方法によって行う。得られた加硫曲線の解
析を行い,次の評価項目を求める。
評価項目
:ML,MH,ts1,tc(50),及びtc(90)
また,次の条件で測定を行う。
・ 振動数
:1.7 Hz(100回/分)
・ 振幅角度 :0.5゜
・ 選択感度 :MHの値が,フルスケールの少なくとも75 %を与えるように選択する。
注記 ゴムの種類によっては,75 %に達しない場合がある。
・ ダイ温度 :160.0 ℃±0.3 ℃
・ 予備加熱 :なし
7
引張試験
引張試験は,JIS K 6251に規定する方法によって行う。加硫は,150 ℃の加硫温度で,20分間,30分間,
40分間,50分間及び60分間の条件の中から,最適加硫及びその前後の加硫状態となる3点の加硫時間を
選択する。また,この代わりに145 ℃の加硫温度で,25分間,35分間,50分間及び75分間の条件の中か
ら,最適加硫及びその前後の加硫状態となる3点の加硫時間を選択してもよい。しかし,これらの条件は,
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150 ℃の加硫条件で得られた結果とは異なる結果になる。試験報告書には,選んだ加硫条件を記録する。
試験片は,望ましくは,JIS K 6250に規定する温度23 ℃±2 ℃,相対湿度(50±10)%において,16
時間〜96時間状態調節した後,引張試験に用いる。
8
試験精度
試験精度は,附属書JA及び附属書JBに示す。
9
試験報告書
試験報告書には,次の事項が含まれていなければならない。
a) この規格の番号
b) 試験に用いたゴムの詳細
c) ムーニー粘度試験片の作製方法(切出し法又はロール通し法)
d) 揮発分測定に用いた試験方法(熱ロール法,オーブン法又は自動赤外線乾燥熱重量法)
e) 結合アクリロニトリル量の測定に用いた試験方法(デュマ法又はケルダール法)
f)
混練方法
g) 標準配合に用いた原材料名
h) 加硫特性評価に用いた試験方法,MHに達した時間
i)
加硫温度及び時間
j)
特記事項
k) 規格にない付帯事項
l)
結果及びそれに使用した単位
m) 試験年月日
9
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附属書JA
(参考)
練りロール機を使用する方法の試験精度
JA.1 一般
室内繰返し精度及び室間再現精度の計算は,ISO/TR 9272に従った。
JA.2 精度詳細
この試験方法の精度は,試験室間試験プログラムによって,3種類のゴムについて,7か所の試験室で,
B法を用いて,2日間にわたって試験したものである。
JA.3 精度評価結果
室内繰返し精度及び室間再現精度の評価結果を,表JA.1に示す。表JA.1に用いた記号の定義は,次に
よる。
sr:測定単位での試験室内標準偏差
r:測定単位での試験室内繰返し精度
同一試験室内での二つの測定結果の差の絶対値が,指定の信頼限界で,この値以下に収まることが期待
される。
(r):パーセントで表した試験室内繰返し精度
二つの測定結果は,同一とみなすことのできる試験材料について,同一の方法を用い,同一条件(人,
装置及び試験室が同じで短時間内の場合)の下に得られる。特に断らない限り,信頼限界は95 %である。
sR:測定単位での試験室間標準偏差
R:測定単位での試験室間再現精度
異なる試験室間での二つの測定結果の差の絶対値が,指定の信頼限界で,この値以下に収まることが期
待される。
(R):パーセントで表した試験室間再現精度
二つの測定結果は,同一とみなすことのできる試験材料について,同一の方法を用い,異なる条件(人,
装置及び試験室が異なる場合)の下に得られる。特に断らない限り,信頼限界は95 %である。
表JA.1−NBRの練りロール機による混練り後の加硫特性及び応力−ひずみ試験の精度
特性
単位
数値幅
試験室内a)
試験室間a)
(Δ)
sr
r
(r)
sR
R
(R)
ML
MH
ts1
tc(90)
dN・m
dN・m
min
min
5.4〜12.4
36.0〜46.7
2.8〜3.9
11.4〜15.3
0.28
0.85
0.10
0.56
0.79
2.41
0.28
1.58
8.9
5.8
8.2
11.8
0.53
2.14
0.49
1.49
1.50
6.05
1.39
4.22
16.9
14.6
40.9
31.5
300 %引張応力
引張強さ
破断伸び
MPa
MPa
%
11.1〜16.3
26.7〜31.4
493〜577
0.63
0.77
13.5
1.78
2.18
38.2
13.0
7.5
7.1
1.11
1.28
31.8
3.14
3.62
90.0
22.9
12.4
16.8
ML (1+4)100 ℃
54.4〜104.3
1.30
3.68
4.63
7.8
22.1
27.8
注a) (r)及び(R)の計算には,数値幅の中央値を用いた。
加硫特性の評価には,ディスク加硫試験機を使用。試験条件は,160 ℃,1.7 Hz,振幅1°にて行った。
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K 6384:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JB
(参考)
密閉式混練機を1段目,練りロール機を2段目に使用する方法による
試験精度
JB.1 一般
室内繰返し精度及び室間再現精度の計算は,ISO/TR 9272に従った。
JB.2 精度詳細
この試験方法の精度は,試験室間試験プログラムによって,1種類のNBRを用い,六つの試験室におい
て,A2法を用いて,3日間にわたって試験したものである。
JB.3 精度評価結果
JB.3.1 一般
室内繰返し精度及び室間再現精度の評価結果を,表JB.1に示す。表JB.1に用いた記号の定義は,次に
よる。
sr:測定単位での試験室内標準偏差
r:測定単位での試験室内繰返し精度
同一試験室内での二つの測定結果の差の絶対値が,指定の信頼限界で,この値以下に収まることが期待
される。
(r):パーセントで表した試験室内繰返し精度
二つの測定結果は,同一とみなすことのできる試験材料について,同一の方法を用い,同一条件(人,
装置及び試験室が同じで短時間内の場合)の下に得られる。特に断らない限り,信頼限界は95 %である。
sR:測定単位での試験室間標準偏差
R:測定単位での試験室間再現精度
異なる試験室間での二つの測定結果の差の絶対値が,指定の信頼限界で,この値以下に収まることが期
待される。
(R):パーセントで表した試験室間再現精度
二つの測定結果は,同一とみなすことのできる試験材料について,同一の方法を用い,異なる条件(人,
装置及び試験室が異なる場合)の下に得られる。特に断らない限り,信頼限界は95 %である。
表JB.1−密閉式混練機を1段目,練りロール機を2段目に使用した混練後の加硫特性の精度
特性
単位
平均値
試験室内a)
試験室間a)
sr
r
(r)
sR
R
(R)
ML
dN・m
8.34
0.18
0.49
5.92
0.82
2.31
27.7
MH
dN・m
35.88
0.81
2.25
6.28
1.92
5.36
15.0
ts1
min
3.58
0.11
0.29
8.23
0.39
1.11
30.9
tc(50)
min
5.19
0.13
0.37
7.05
0.51
1.43
27.6
tc(90)
min
13.44
0.49
1.38
10.26
1.14
3.20
23.8
注a) (r)及び(R)の計算には数値幅の平均値を用いた。
加硫特性の評価には,ディスク加硫試験機を使用した。試験条件は,160 ℃,1.7 Hz,振幅1°にて行った。
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K 6384:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JC
(参考)
試験片作製法の違いによるムーニー粘度比較データ
JC.1 一般
ムーニー粘度測定に使用する試験片の作製法に関し,切出し法とロール通し法との両方を採用した。今
回,代表的な試料を用い,それぞれの作製法のムーニー粘度測定データへの影響を検討した。
次の結果が示すように,試料によっては作製法によって測定値が変わることが確認された。したがって,
試験結果の記録には,試料の作製法を明記する必要がある。
JC.2 ムーニー粘度測定データ
JC.2.1 試料
試料は,JSR株式会社製の次の2種類(同一のロットサンプル)のNBRを使用した。
− N230S(結合アクリロニトリル量35 % 中ムーニー粘度品)
− N230SH(結合アクリロニトリル量35 % 高ムーニー粘度品)
JC.2.2 試験室
試験片の作製及びムーニー粘度の測定は,4社の試験室で実施した。
JC.2.3 試験方法
試験片の作製及び測定は,日を変えて3日,各2回(計6回)実施した。
JC.2.4 測定結果
測定結果を表JC.1に示す。測定データ項の平均値及びσは,各試験室ごとの計六つの測定値の平均値及
び標準偏差である。また,総平均項の総平均値は,四つの試験室の平均値である。
試料によっては,作製法によって測定値が変わることが確認された。
表JC.1−ムーニー粘度,試験片作製法の比較
試料
作製法
試験室
測定データ
総平均
作製法による
差異
平均値
σ
総平均値
N230S
切出し法
a
b
c
d
56.2
55.8
55.9
55.3
0.415
0.259
0.376
0.331
55.8
1.4
ロール通し法
a
b
c
d
57.9
57.1
56.1
57.6
0.398
0.280
0.376
1.420
57.2
N230SH
切出し法
a
b
c
d
65.0
64.2
61.9
61.4
0.301
0.197
0.492
0.418
63.1
19.2
ロール通し法
a
b
c
d
82.3
83.3
80.0
83.6
0.950
0.554
0.585
1.139
82.3
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K 6384:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献 [1] ISO/TR 9272,Rubber and rubber products−Determination of precision for test method standards
[2] ISO 1629,Rubber and latices−Nomenclature
[3] ISO 6472,Rubber compounding ingredients−Abbreviations
[4] ASTM D4122,Standard Practice for Carbon Black−Evaluation of an Industry Reference Black
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K 6384:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JD
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 6384:2016 合成ゴム−NBR−試験方法
ISO 4658:1999,Acrylonitrile-butadiene rubber (NBR)−Evaluation procedure及び
Amendment 1:2004
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3
試験室試料の採取
3
試料の採取及び試験試料の
調製
変更
試験室試料の採取だけの箇条に
変更した。
物理及び化学試験の各引用規格
に,試料の採取及び試験試料の調
製について規定されているため。
分かりやすくしており,技術的差
異はない。
3.1
試験室試料の採取
削除
試験室試料の採取の細分箇条を
削除した。
3.2
試験試料の調製
削除
試験室試料の調製の細分箇条を
削除した。
4.4
結合アクリロニトリル
量
−
追加
結合アクリロニトリル量の測定
方法を追加した。
規格利用者の利便性を考慮して追
加した。
5.2
混練操作
5.2.2
〜
5.2.4
A法及びB法とはしていな
い。
変更
混練操作について,密閉式混練機
を用いた方法をA法(A1法及び
A2法),練りロール機だけの方法
をB法とした。
分かりやすくしており,技術的差
異はない。
5.2.2.2 分散性を考慮した炭酸マグ
ネシウムで被覆した硫黄に
ついて規定されている。ま
たその入手先について
NOTEが記載されている。
削除
炭酸マグネシウムで被覆した硫
黄を用いる混練方法を削除した。
炭酸マグネシウムで被覆した硫黄
は国内では使用していない。
5.2.2.3 硫黄マスターバッチの作製
手順
削除
硫黄マスターバッチの作製手順
を削除した。
国内では実施されていない手順で
ある。
5.2.3.2
A1法 密閉式混練機を
用いる1段練り法
5.2.3
ミニチュア密閉式混練機の
手順
変更
密閉式混練機を用いた1段練り
法として規定した。
JIS K 6299では,密閉式混練機の
サイズにミニチュアサイズも含ま
れるため。ISOに提案する。
3
K
6
3
8
4
:
2
0
1
6
14
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6.1
ディスク加硫試験機に
よる加硫試験
6.1
ISO 3417を引用。
変更
JIS K 6300-2の8.によると規定
した。
JIS K 6300-2の8.は,ISO 3417を
基に規定されているため。規格利
用者の利便性を考慮した。
6.2
ダイ加硫試験機による
加硫試験
6.2
変更
FL,FHを,ML,MHとした。
JISで一般的に使用されているト
ルクであるため。ISOに提案する。
9
試験報告書
9
試験報告書
追加
報告事項のc)として,ムーニー
粘度試験片の作製方法を追加し
た。
ムーニー粘度の試験片の作製方法
は,JIS K 6298で切出し法又はロ
ール通し法のいずれかで行うと規
定されているため,報告事項とし
て追加した。ISOに提案する。
報告事項のe)として,結合アク
リロニトリル量を追加した。
規格利用者の利便性を考慮して原
料ゴムの物理試験方法及び化学試
験方法に追加したため,報告事項
にも加えた。
附属書JA
(参考)
練りロール機を使用す
る方法の試験精度
8
変更
JISでは本文ではなく,附属書に
記載した。
精度データは附属書(参考)とし
た。
附属書JB
(参考)
密閉式混練機を1段目,
練りロール機を2段目
に使用する方法による
試験精度
8.4
変更
JISでは本文ではなく,附属書に
記載した。
精度データは附属書(参考)とし
た。
附属書JC
(参考)
試験片作製法の違いに
よるムーニー粘度比較
データ
−
追加
試験片作製法の違いによるムー
ニー粘度比較データを追加した。
旧規格を踏襲し,追加した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:(ISO 4658:1999,Amd.1:2004,MOD)
3
K
6
3
8
4
:
2
0
1
6
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K 6384:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
3
K
6
3
8
4
:
2
0
1
6