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(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 原理······························································································································· 4
5 試験装置························································································································· 4
6 試験装置の校正 ················································································································ 7
7 試験片···························································································································· 7
7.1 試験片の採取・作製 ······································································································· 7
7.2 保護フィルム ················································································································ 7
8 試験温度························································································································· 7
9 試験方法························································································································· 7
9.1 概要 ···························································································································· 7
9.2 試験片の取付け ············································································································· 7
9.3 粘度試験 ······················································································································ 7
9.4 応力緩和試験 ················································································································ 8
10 結果のまとめ方 ·············································································································· 8
11 試験精度 ······················································································································· 9
12 試験報告書 ···················································································································· 9
附属書A(規定)試験装置の校正 ··························································································· 10
附属書B(参考)試験精度 ···································································································· 12
附属書JA(参考)せん断弾性率とムーニー粘度との相関性 ························································· 14
附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 23
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まえがき
この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本ゴム工業会(JRMA)及び
一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があ
り,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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未加硫ゴム−ロータレス密閉式レオメータを用いた
粘度及び応力緩和の求め方
Rubber, unvulcanized-Determination of viscosity and stress relaxation
using a rotorless sealed rheometer
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたISO 13145を基とし,技術的内容を変更して作成した日
本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。
1
適用範囲
この規格は,原料ゴム又は未加硫配合ゴムの一定条件下での粘度及び応力緩和の求め方について規定す
る。
警告1 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。この規格は,
その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格
の利用者は,各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
警告2 この規格で規定している試験を行う上で,使用する物質,生成する物質及び廃棄物が,環境
に及ぼす有害性を考慮し,取扱い及び廃棄を含む全ての行為に関しては,これらの関連する
法令・規制要求事項に従う。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 13145:2012,Rubber−Determination of viscosity and stress relaxation using a rotorless sealed
shear rheometer(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6200 ゴム−用語
注記 対応国際規格:ISO 1382,Rubber−Vocabulary
JIS K 6300-1:2013 未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイム
の求め方
2
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注記 対応国際規格:ISO 289-1:2005,Rubber, unvulcanized−Determinations using a shearing-disc
viscometer−Part 1: Determination of Mooney viscosity及びISO 289-2:1994,Rubber, unvulcanized
−Determinations using a shearing-disc viscometer−Part 2: Determination of pre-vulcanization
characteristics
JIS K 6300-2:2001 未加硫ゴム−物理特性−第2部:振動式加硫試験機による加硫特性の求め方
注記 対応国際規格:ISO 6502:1999,Rubber−Guide to the use of curemeters この対応国際規格は,
2018年に改訂されISO 6502-3:2018,Rubber−Measurement of vulcanization characteristics using
curemeters−Part 3: Rotorless curemeterとなっている。
JIS Z 8401 数値の丸め方
ISO 18899:2013,Rubber−Guide to the calibration of test equipment
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6200によるほか,次による。
3.1
ロータレス密閉式レオメータ(rotorless sealed shear rheometer)
温度を制御した二つのダイで構成されるキャビティの中に試験片を充塡し,一方のダイを他方に対して
ねじり振動を与えることによって,試験片に応力又はひずみを与え,粘弾性特性を測定する試験機。
3.2
正弦波ひずみ,γ(t)(sinusoidal strain)
キャビティを構成するダイの振動によって生じるひずみ。
注記 正弦波ひずみは,次の式によって求められる。
γ(t)=γ0 sin(ωt)
ここに,
γ0: 最大ひずみ振幅
ω: ねじり角速度
3.3
損失角,δ(loss angle)
ひずみと応力との位相角。
注記1 損失角は,材料の粘性挙動の尺度である。粘弾性体の場合,損失角は0°〜90°の値を取る。
損失角が90°のときは理想的なニュートン液体である。
注記2 損失角の正接は,損失正接(tan δ)又は損失係数となる。
3.4
複素トルク,S*(complex torque)
正弦波ひずみを付与することで装置によって測定したトルク。
注記 複素トルクは,複素数(S*=S'+iS")で表されるベクトルである。
3.5
貯蔵トルク,S'(elastic torque)
正弦波ひずみと同位相のトルクの値。
注記 貯蔵トルクは,次の式によって求められる。
S'=|S*| cos δ
3
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3.6
損失トルク,S"(loss torque)
正弦波ひずみに対して90°位相が遅れたトルク。
注記 損失トルクは,次の式によって求められる。
S''=|S*| sin δ
3.7
複素せん断弾性率,G*(complex shear modulus)
複素せん断応力を複素せん断ひずみで除した値。
注記1 複素せん断弾性率は,次の式によって求められる。
G*=G'+iG"
注記2 一般的に複素せん断弾性率G*は,|G*|(G*の絶対値)として表される。
|G*|は,S*の絶対値にキャビティ形状に関連する幾何学的係数を乗じた複素せん断応力を
与えられたひずみで除して求める。
具体的には,この規格で規定する試験装置の場合,複素せん断ひずみは,正弦波ひずみの
最大ひずみ振幅に等しく,複素せん断弾性率は,次の式によって求められる。
σ(複素せん断応力)=S*/(2/3×π×R3)
|G*|=σ/γ0=|S*|/(2/3×π×R3)/γ0
ここに,
R: ダイの半径
π: 円周率
3.8
貯蔵せん断弾性率,G'(elastic shear modulus)
せん断ひずみと同位相のせん断応力を,せん断ひずみで除した値。
注記1 貯蔵せん断弾性率は,次の式によって求められる。
G'=|G*| cos δ
注記2 一般的に同位相のせん断応力は,複素せん断応力とせん断ひずみとを用いて,次の式によっ
て求められる。
σ'(同位相のせん断応力)=σ(複素せん断応力)×cos δ=S* cos δ/(2/3×π×R3)
G'=|G*| cos δ=σ'/γ0=σ cos δ/γ0=|S*| cos δ/(2/3×π×R3)/γ0
3.9
損失せん断弾性率,G''(loss shear modulus)
せん断ひずみに対して90°位相が遅れたせん断応力を,せん断ひずみで除した値。
注記1 損失せん断弾性率は,次の式によって求められる。
G''=|G*| sin δ
注記2 一般的に90°位相が遅れたせん断応力は,複素せん断応力とせん断ひずみとを用いて,次の
式によって求められる。
σ''(90°位相が遅れたせん断応力)=σ(複素せん断応力)×sin δ
=S* sin δ/(2/3×π×R3)
G"=|G*| sin δ=σ''/γ0=σ sin δ/γ0=|S*| sin δ/(2/3×π×R3)/γ0
3.10
損失正接,tan δ(tangent of the loss angle)
4
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損失せん断弾性率と貯蔵せん断弾性率との比。
4
原理
粘度の測定は,一定のひずみ,温度及び周波数において密閉されたキャビティ内で,一方のダイにねじ
り振動を加えて試験片を変形させることで発生するひずみによって,試験片に生じるトルク(貯蔵トルク
S',損失トルクS''及び複素トルクS*)を,特定の温度,周波数及び振幅の条件下で測定し,複素せん断弾
性率,貯蔵せん断弾性率,損失せん断弾性率,損失正接及び応力緩和を求める。
応力緩和は,一定の静的ひずみ及び一定温度下でのトルク低下から求める。この試験は,原料ゴム又は
未加硫配合ゴムで広範囲の粘度領域の測定にも応用することが可能である。
注記 せん断弾性率とJIS K 6300-1:2013に規定するムーニー粘度との相関性を,附属書JAに記載す
る。
5
試験装置
5.1
一般 試験装置には,ロータレス密閉式レオメータ(図1参照)を用いる。ロータレス密閉式レオ
メータは,キャビティに試験片を規定の力で密封し,加熱する二つのダイからなる。
試験装置は,JIS K 6300-2:2001の11.1による。ただし,装置のねじり振動数は,毎秒0.1回(0.1 Hz)
以下,試験片に与えるひずみ率は,150 %以上を選択可能でなければならない。
5.2
振動装置 試験装置の後ろに組み込まれる振動装置(図1参照)は,モータによって一方のダイ(通
常は下側)から試験片にねじり振動を与える。
振動振幅θは,適用するひずみに応じて変えることができる。加えられた最大ひずみ振幅γ0を求める場
合は,試験で使用した振動振幅及びダイの形状(双円すい形)から,次の式によって求める。
γ0=θ/φ
ここに,
φ: 双円すい形ダイの特性角
注記 図1の例ではφ=7°10′,150 %ひずみの場合θ=10°40′である。
5
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単位 mm
a) 測定原理図
図1−ロータレス密閉式レオメータの例
6
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単位 mm
b) ダイ(上及び下)
c) 試験片
1 ヒータ
5 上部ダイ
9 シール材
2 下部ダイ
6 温度センサ
10 振動装置
3 下部シール板
7 トルク測定装置
11 溝部
4 上部シール板
8 試験片
図1−ロータレス密閉式レオメータの例(続き)
7
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6
試験装置の校正
試験装置の校正は,附属書Aによる。
7
試験片
7.1
試験片の採取・作製
試験片の採取・作製は,JIS K 6300-1:2013の5.3.1による。ただし,試験片の体積は,キャビティの容
積よりも大きめ(一般的に,キャビティの1.1倍〜1.2倍)とし,ダイを閉じたときにダイの全ての端部か
ら少量の材料が押し出される体積とする。試験片の体積は,図1に示す典型的なロータレス密閉式レオメ
ータでは,4 cm3〜5 cm3である。試験片は,一定量を適切な装置で打ち抜いて作製する。再現性をより良
くするために,試験片間の質量のばらつきの目安は,±0.5 gとする。試験前の試験片の状態調節は,(23
±5)℃で3時間以上行うことが望ましい。
7.2
保護フィルム
試験片とダイとの間に保護フィルム(例えば,0.025 mm厚)を挿入してもよい。保護フィルムの使用に
よって,ダイ内部に残った材料の洗浄が不要となる。保護フィルムは,試験片と反応してはならない。ま
た,保護フィルムは,試験結果に影響を及ぼす可能性があるので,使用する場合は,それらの仕様(材料,
最高使用温度,厚さ,剛性など)を報告書に記載する。
注記 保護フィルムに適した材料には,セロハン,ポリエステル,ナイロン,高密度ポリエチレン
(100 ℃以下の測定),無地のコーティングされていない布地などがある。
8
試験温度
試験温度は,100 ℃とする。ただし,受渡当事者間で取り決めた,異なる温度で測定してもよい。
注記 温度が高すぎると,試験片が劣化する場合がある。
9
試験方法
9.1
概要
この試験方法は,粘度試験と応力緩和試験とで構成する。応力緩和試験が不要な場合は,粘度試験だけ
を行ってもよい。ダイを閉じた状態で両方のダイの温度を試験温度にする。試験片を充塡する前に,必要
なゼロ調整,及び力又はトルク測定装置の範囲の選択をしなければならない。
9.2
試験片の取付け
試験片の取付け及びダイの開閉は,できるだけ速やかに行う。試験片を挿入した直後にダイを閉じる。
試験片を取り除いた後,ダイの温度が設定値の±0.3 ℃のときは,すぐに別の試験片を挿入することができ
る。そうでない場合は,ダイを閉じて温度を設定値まで回復させる。
試験片とダイとの間に保護フィルムを使用しない場合,試験片による汚染がダイ上に蓄積する可能性が
あり,汚染が発生した場合,最終トルク値に影響を及ぼす可能性がある。汚染の発生を検出するために標
準ゴムを使用してもよい。汚染が発生した場合は,それを除去しなければならない。クリーニングには細
心の注意を払う必要があり,試験機の製造元の指示に従う。
注記 ムーニー粘度の標準ゴムとしては,ASTM D5900[1]に規定するIRM 241などがある。
9.3
粘度試験
粘度試験は,次の手順を連続的に行う。
a) 予熱 ダイが静止し,ダイを閉じた状態で,100 ℃で1分間保持する。
8
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b) 100 ℃での時間掃引 下側のダイを0.1 Hzの周波数で150 %の正弦波ひずみ振動を合計6回加え,最
後の3回の周期で測定した損失角δ,並びにS',S''及びS*の最大トルクからせん断弾性率(G',G''及
びG*)を算出し,各々の結果の平均値を求める。
9.4
応力緩和試験
応力緩和試験は,次の手順を連続的に行う。
a) 予熱 ダイが静止し,ダイを閉じた状態で,100 ℃で1分間保持する。
b) 100 ℃での時間掃引 下側のダイに0.1 Hzの周波数で150 %の正弦波ひずみ振動を合計6回加える。
c) 応力緩和 試験片をダイに静止させた状態で,100 ℃で1分間保持する(この操作は,掃引後の残留
応力除去に必要である。)。その後,0.1 Hz相当の速度で150 %ひずみを1回加える。この直後のトル
ク(S*0)を測定する。さらに,1秒後(S*1)及び20秒後(S*20)のトルクを測定する。トルク測定
の間は,150 %のひずみを35秒間維持する。
10
結果のまとめ方
試験結果のまとめ方は,次による。数値の丸め方は,JIS Z 8401の規則Aに従って丸め,有効数字3桁
で表す。
なお,9.3によって得られた値から求める,150 %ひずみにおける複素せん断弾性率G*は,ゴムの粘性
挙動を評価するための代表的なパラメータとなる(3.7参照)。
a) せん断弾性率 せん断弾性率のまとめ方は,次による。
1) 150 %ひずみにおける複素せん断弾性率G*(kPa) 150 %ひずみにおけるG*は,次の式によって
求め,|G*|(150 %)として表す。
|G*|(150 %)=|S*|×1 000/(2/3×π×R3)/γ0(150 %) (kPa)
ここに,
S*: 複素トルク(N・m)
π: 円周率
R: ダイの半径(m)
γ0(150 %): 150/100
2) 150 %ひずみにおける貯蔵せん断弾性率G'(kPa) 150 %ひずみにおけるG'は,次の式によって求
め,G'(150 %)として表す。
G'(150 %)=|G*|(150 %)×cos δ (kPa)
ここに,
δ: 損失角
3) 150 %ひずみにおける損失せん断弾性率G''(kPa) 150 %ひずみにおけるG''は,次の式によって
求め,G''(150 %)として表す。
G''(150 %)=|G*|(150 %)×sin δ (kPa)
4) 150 %ひずみにおける損失正接tan δ 150 %ひずみにおけるtan δは,次の式によって求め,tan δと
して表す。
tan δ(150 %)=G''(150 %)/G'(150 %)
b) 応力緩和 応力緩和は,150 %ひずみを与えてから1秒後のトルク低下率(ΔS1)及び20秒後のトル
ク低下率(ΔS20)として表し,次による。
1) 1秒後のトルク低下率ΔS1(%) ΔS1は,次の式で求める。
ΔS1=S*1/S*0×100
ここに,
S*1: 150 %ひずみを与えて1秒後の複素トルク
S*0: 150 %ひずみを与えた直後の複素トルク
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2) 20秒後のトルク低下率ΔS20(%) ΔS20は,次の式で求める。
ΔS20=S*20/S*0×100
ここに,
S*20: 150 %ひずみを与えて20秒後の複素トルク
S*0: 150 %ひずみを与えた直後の複素トルク
11
試験精度
試験精度は,附属書Bを参照。
12
試験報告書
試験報告書には,次の事項を記録しなければならない。
a) 試料の詳細
1) サンプルの明細,履歴など
2) 試料及び試験片の採取・作製方法
b) 試験方法
1) この規格の番号及び名称
c) 試験の詳細
1) 試験室の温度
2) 試験前の状態調節の時間及び温度
3) ロータレス密閉式レオメータの種類
4) 使用したフィルム(上側及び下側)の仕様
5) この規格に規定されていない手順の詳細
6) 試験した試験片の数
7) 試験温度
d) 試験結果
1) 個々の試験結果
2) 個々の試験結果の平均値
e) 試験年月日
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附属書A
(規定)
試験装置の校正
A.1 一般
試験装置の校正は,製造元の指示に従って実施する。力又はトルクは,使用範囲の数点を測定する。さ
らに,校正点は,使用中に確認できる条件が含まれることが望ましい。安定したゴム標準配合物で,定期
的に試験することによって,一貫した性能を保つことができる。
A.2 点検
試験装置の校正を行う場合,事前に,校正する項目の現状を,校正報告書又は証明書で記録された点検
結果によって確認する。校正が,納入時の状態の校正なのか,又は異常若しくは欠陥を修理した後の校正
なのかも確認する。
試験装置が,規定した測定値を含め,要求試験精度を満たしていて,校正する必要がない場合も,その
ことを確認する。要求測定値が変化しやすい傾向にある場合は,定期点検の必要性を詳細な校正方法に記
載する。
A.3 試験装置の校正計画
試験装置の校正及び点検は,この規格の要求事項である。校正周期については,特に規定がない場合,
ISO 18899:2013の指針を参考にして使用者の自由裁量で決めてもよい。
表A.1に,規定する校正項目,必要条件などを含む校正計画を示す。校正項目及び測定値は,試験装置
本体,装置の一部又は補助的な装置にも適用する。
それぞれの校正項目についての校正には,ISO 18899:2013,その他の発行文書,又は試験方法に詳細に
規定された手順を用いてもよい(ISO 18899:2013よりも詳細に規定した校正方法が記載されている場合に
は,それを用いる。)。
それぞれの項目の校正周期は,記号で示し,各記号の意味は,次による。
N 初期確認
S
ISO 18899:2013による標準的な校正周期
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表A.1−校正計画
校正項目
必要条件
ISO 18899:2013の箇条番号
校正周期
ダイの表面硬度
JIS K 6300-2:2001による
15.5
N
ダイの寸法
JIS K 6300-2:2001による
15.2
S
型締め力
JIS K 6300-2:2001による
21.3
S
発振周波数
(0.1±0.005)Hz
23.3
S
温度分解能
0.1 ℃
18
N
温度精度
±0.3 ℃
18
S
予熱時間及び応力回復時間
1 min
18
S
トルク変換器の精度
±1 %
21.4
S
記録計の応答時間
≦1 s
14.6
S
表A.1に規定する項目に加えて,次の機器の使用も含んでおり,それら全てに校正が必要である。校正
方法は,ISO 18899:2013による。
a) ダイの寸法を測定するための機器
b) 型締め力確認用ロードセル
c) タイマ
d) ひずみ測定装置
e) 状態調節及び試験温度を監視するための温度計
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附属書B
(参考)
試験精度
B.1
概要
ISO/TR 9272:2005[2]に従って,試験室間試験プログラム(Interlaboratory Test Program)を実施し,繰返
し精度及び再現精度を求めた。
B.2
実験の詳細
この測定は,13か所の試験室が参加し,異なる3種類の試験片を使用して行われた。
実験室内での繰返し回数は,2回で7日間の間隔をおいて実施した。測定時には,試験片と各ダイとの
間にPET保護フィルム(厚さ0.025 mm)を1枚ずつ挿入し,次のパラメータを求めた。
a) 粘度試験において,最後の3回の周期の間に測定した平均値から貯蔵せん断弾性率(G'),損失せん断
弾性率(G'')及び損失正接(tan δ)を求めた。
b) 応力緩和試験において,1秒後のトルク低下率ΔS1(%)及び20秒後のトルク低下率ΔS20(%)を求
めた。
B.3
精度の結果
タイプ1(試験室間)で求めた試験精度を表B.1〜表B.5に示す。表中の記号は,次による。
sr
:試験室内の標準偏差
r
:測定単位での試験室内繰返し精度
(r) :試験室内繰返し精度(%)
sR :試験室間の標準偏差
R
:測定単位での試験室間再現精度
(R) :試験室間再現精度(%)
表B.1−150 %ひずみにおけるG'の精度データ
ゴム材料
平均
kPa
試験室内
試験室間
sr
r
(r)
sR
R
(R)
Nd BR
21.39
0.342
0.97
4.5
0.642
1.82
8.5
SBR 1723
17.86
0.302
0.86
4.8
0.498
1.41
7.9
TSR 20
52.19
1.424
4.03
7.7
2.110
5.97
11.4
表B.2−150 %ひずみにおけるG''の精度データ
ゴム材料
平均
kPa
試験室内
試験室間
sr
r
(r)
sR
R
(R)
Nd BR
29.31
0.313
0.89
3.0
0.576
1.63
5.6
SBR 1723
18.59
0.261
0.74
4.0
0.368
1.04
5.6
TSR 20
34.18
0.325
0.92
2.7
0.954
2.70
7.9
13
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表B.3−150 %ひずみにおけるtan δの精度データ
ゴム材料
平均
kPa
試験室内
試験室間
sr
r
(r)
sR
R
(R)
Nd BR
1.36
0.011
0.03
2.3
0.014
0.04
2.9
SBR 1723
1.04
0.013
0.04
3.4
0.027
0.08
7.2
TSR 20
0.66
0.016
0.05
6.9
0.017
0.05
7.4
表B.4−150 %ひずみにおける1秒後のトルク低下率
ゴム材料
平均
kPa
試験室内
試験室間
sr
r
(r)
sR
R
(R)
Nd BR
88.33
0.143
0.40
0.5
2.282
6.56
7.3
SBR 1723
81.83
0.186
0.53
0.6
1.990
5.63
6.9
TSR 20
63.21
0.536
1.52
2.4
2.297
6.50
10.3
表B.5−150 %ひずみにおける20秒後のトルク低下率
ゴム材料
平均
kPa
試験室内
試験室間
sr
r
(r)
sR
R
(R)
Nd BR
97.41
0.191
0.54
0.6
0.305
0.86
0.9
SBR 1723
94.53
0.220
0.62
0.7
0.273
0.77
0.8
TSR 20
87.47
0.374
1.06
1.2
1.361
3.85
4.4
14
K 6297:2020
附属書JA
(参考)
せん断弾性率とムーニー粘度との相関性
JA.1 概要
ロータレス密閉式レオメータで測定したせん断弾性率(G',G''及びG*)とJIS K 6300-1:2013に従って
測定したムーニー粘度との相関性の検証を実施した。
JA.2 試験の詳細
この試験は,3か所の試験室が参加し,異なる12種類の試験片を用いて2013年10月〜2014年4月の間
に実施した。試験の詳細は,次による。
a) 試験装置 試験装置は,次による。
1) ロータレス密閉式レオメータ この規格に基づくもの(試験機 #1及び試験機 #2)
2) ムーニー粘度計 JIS K 6300-1:2013に基づくもの(試験機 #3及び試験機 #4)
b) 試験条件 試験条件は,次による。
1) ロータレス密閉式レオメータ
1.1) 試験温度
:100 ℃
1.2) 予熱時間
:1 min
1.3) ひずみ率
:±150 %
1.4) 試験時間
:1 min(ひずみ振動6回)
2) ムーニー粘度計
2.1) 試験温度
:100 ℃
2.2) 予熱時間
:1 min
2.3) ロータ形状
:L形
2.4) ロータ回転時間
:4 min
c) 測定する物性値 測定する物性値は,次による。
1) ロータレス密閉式レオメータ 最後の3回の周期で測定した貯蔵トルク(S'),損失トルク(S'')及
び複素トルク(S*)の最大トルクの平均値から貯蔵せん断弾性率(G'),損失せん断弾性率(G''),
複素せん断弾性率(G*)及び損失正接(tan δ)を求めた。
2) ムーニー粘度計 ムーニー粘度[ML(1+4),100 ℃]
d) 試験片の種類 原料ゴム及び未加硫配合ゴム
e) 配合条件及び混練り条件 JIS K 6251:2017[3]の附属書A及びJIS K 6264-2:2005[4]の附属書2に従う。
f)
相関性 G'(150 %),G''(150 %)及び|G*|(150 %)と[ML(1+4),100 ℃]との相関性・繰返し
精度を算出した。
JA.3 試験の結果
JA.3.1 原料ゴムによるせん断弾性率とムーニー粘度との相関性試験結果
原料ゴムによるせん断弾性率とムーニー粘度との相関性試験結果は,次による。
a) 試験片は,異なる5種類の原料ゴムとして2種のクロロプレンゴム(CR #1及びCR #2),ニトリルゴ
15
K 6297:2020
ム(NBR),水素添加ニトリルゴム(HNBR)及びシリコーンゴム(Q)を選定した。実験結果を表JA.1
及び表JA.2に,相関性のグラフを図JA.1〜図JA.3に示す。
表JA.1−原料ゴムにおけるせん断弾性率とムーニー粘度との相関性データ(その1)
ロータレス密閉式レオメータ
ムーニー粘度
試験機 #1
試験機 #3
G'
kPa
G''
kPa
|G*|
kPa
tan δ
S*
N・m
ML1+4
CR #1
1
17.84
27.47
32.75
1.539 9
0.906
44.6
2
17.84
27.47
32.75
1.539 9
0.906
44.3
3
17.85
27.38
32.68
1.534 0
0.904
45.4
平均
17.843
27.440
32.727
1.537 93
0.905 3
44.77
標準偏差
0.004 9
0.053 0
0.041 7
0.003 4
0.001 2
0.569
CV
0.03 %
0.19 %
0.13 %
0.22 %
0.13 %
1.27 %
CR #2
1
54.37
52.87
75.84
0.927 5
2.098
121.1
2
53.55
52.99
75.34
0.989 6
2.084
120.8
3
52.96
52.41
74.50
0.989 6
2.061
121.6
平均
53.627
52.757
75.227
0.968 90
2.081 0
121.17
標準偏差
0.710 3
0.309 6
0.675 3
0.009 9
0.018 7
0.404
CV
1.32 %
0.59 %
0.90 %
1.00 %
0.90 %
0.33 %
NBR
1
7.60
16.60
18.26
2.184 2
0.505
30.3
2
7.60
16.68
18.33
2.194 3
0.507
30.0
3
7.51
16.48
18.11
2.194 3
0.501
31.3
平均
7.570
16.587
18.233
2.190 93
0.504 3
30.53
標準偏差
0.051 6
0.099 3
0.110 4
0.005 8
0.003 1
0.681
CV
0.68 %
0.60 %
0.61 %
0.27 %
0.61 %
2.23 %
HNBR
1
64.78
76.12
99.95
1.175 0
2.765
147.8
2
64.06
76.35
99.67
1.191 8
2.757
147.3
3
64.94
74.70
98.98
1.150 4
2.738
147.7
平均
64.593
75.723
99.533
1.172 40
2.753 3
147.60
標準偏差
0.465 6
0.892 8
0.501 3
0.020 8
0.013 9
0.265
CV
0.72 %
1.18 %
0.50 %
1.78 %
0.50 %
0.18 %
Q
1
10.73
23.75
26.06
2.214 8
0.721
39.5
2
10.54
23.68
25.92
2.246 0
0.717
39.1
3
10.71
23.84
26.14
2.225 1
0.723
39.2
平均
10.660
23.757
26.040
2.228 63
0.720 3
39.27
標準偏差
0.102 6
0.080 5
0.110 4
0.015 9
0.003 1
0.208
CV
0.96 %
0.34 %
0.42 %
0.72 %
0.42 %
0.53 %
16
K 6297:2020
表JA.2−原料ゴムにおけるせん断弾性率とムーニー粘度との相関性データ(その2)
ロータレス密閉式レオメータ
ムーニー粘度
試験機 #2
試験機 #4
G'
kPa
G''
kPa
|G*|
kPa
tan δ
S*
N・m
ML1+4
CR #1
1
16.90
25.75
30.80
1.523 7
8.50
41.5
2
17.03
25.79
30.90
1.514 4
8.52
41.9
3
16.71
25.56
30.53
1.529 6
8.42
41.8
4
16.87
25.69
30.73
1.522 8
8.48
42.0
5
16.64
25.65
30.58
1.541 5
8.43
42.1
平均
16.830
25.688
30.708
1.526 40
8.470
41.86
標準偏差
0.160 9
0.089 6
0.153 2
0.010 31
0.043 6
0.230
CV
0.95 %
0.48 %
0.62 %
0.50 %
0.62 %
0.55 %
CR #2
1
51.69
51.09
72.68
0.988 4
20.05
117.6
2
51.15
51.03
72.25
0.997 7
19.93
117.2
3
49.47
50.68
70.82
1.024 5
19.54
117.6
4
51.21
50.64
72.02
0.988 9
19.87
117.7
5
51.32
50.84
72.24
0.990 6
19.94
117.5
平均
50.968
50.856
72.002
0.998 0
19.866
117.52
標準偏差
0.863 3
0.201 8
0.702 7
0.015 3
0.193 5
0.192
CV
2.28 %
0.43 %
1.35 %
1.87 %
1.34 %
0.16 %
NBR
1
7.16
14.97
16.59
2.090 8
4.48
26.9
2
6.93
14.87
16.41
2.145 7
4.53
27.0
3
7.03
15.13
16.69
2.152 2
4.60
26.7
4
7.16
15.13
16.74
2.113 1
4.62
27.1
5
7.12
15.35
16.92
2.155 9
4.67
27.0
平均
7.080
15.090
16.670
2.131 54
4.580
26.94
標準偏差
0.099 2
0.182 8
0.188 3
0.028 4
0.075 2
0.152
CV
1.64 %
0.87 %
0.86 %
1.58 %
0.79 %
0.56 %
HNBR
1
72.18
82.53
109.64
1.143 4
30.27
143.5
2
72.53
81.72
109.26
1.126 7
30.13
142.7
3
74.26
83.75
111.93
1.127 8
30.87
143.6
4
75.29
82.49
111.69
1.095 6
30.82
144.8
5
75.30
83.06
112.11
1.103 1
30.92
144.2
平均
73.912
82.710
110.926
1.119 32
30.602
143.76
標準偏差
1.488 0
0.752 5
1.362 3
0.019 6
0.372 0
0.789
CV
1.53 %
1.24 %
1.31 %
0.82 %
1.29 %
0.55 %
Q
1
10.17
20.81
23.16
2.046 2
6.39
35.4
2
10.37
20.84
23.28
2.009 6
6.42
35.3
3
10.27
20.91
23.29
2.036 0
6.43
35.4
4
10.30
20.81
23.22
2.020 4
6.41
35.5
5
10.27
20.68
23.09
2.013 6
6.37
35.6
平均
10.276
20.810
23.208
2.025 16
6.404
35.44
標準偏差
0.072 0
0.083 4
0.084 1
0.015 5
0.024 1
0.114
CV
0.97 %
0.25 %
0.31 %
0.93 %
0.32 %
0.32 %
17
K 6297:2020
図JA.1−貯蔵せん断弾性率(G')とムーニー粘度との相関性(原料ゴム)
図JA.2−損失せん断弾性率(G'')とムーニー粘度との相関性(原料ゴム)
18
K 6297:2020
図JA.3−複素せん断弾性率(|G*|)とムーニー粘度との相関性(原料ゴム)
b) 原料ゴムでは,貯蔵せん断弾性率(G'),損失せん断弾性率(G'')及び複素せん断弾性率(|G*|)は,
ムーニー粘度と良好な直線的相関を得た。
このことから,ロータレス密閉式レオメータによって測定された原料ゴムのG',G''及び|G*|は,従
来のムーニー粘度に対して代替指標としての有用性が認められた。
JA.3.2 未加硫配合ゴムによるせん断弾性率とムーニー粘度との相関性試験結果
未加硫配合ゴムによるせん断弾性率とムーニー粘度との相関性試験結果は,次による。
a) 試験片は,原料ゴムとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びエチレンプロピレンゴム(EPDM)
を使用し,異なる7種類の未加硫配合ゴムを選定した。実験結果を表JA.3及び表JA.4に,相関性の
グラフを図JA.4〜図JA.6に示す。
19
K 6297:2020
表JA.3−未加硫配合ゴムにおけるせん断弾性率とムーニー粘度との相関性データ(SBR)
ロータレス密閉式レオメータ
ムーニー粘度
試験機 #1
試験機 #3
試験機 #4
G'
kPa
G''
kPa
|G*|
kPa
tan δ
S*
N・m
ML1+4
ML1+4
SBR
(CB35phr)
JIS K 6251
1
23.30
35.21
42.22
1.510 8
1.168
46.0
57.8
2
22.62
34.84
41.54
1.539 9
1.149
44.7
57.8
3
23.14
35.10
42.04
1.516 6
1.163
45.0
57.7
4
23.14
35.23
42.15
1.522 4
1.166
44.8
57.7
5
23.24
35.25
42.22
1.516 6
1.168
45.1
57.8
平均
23.088
35.126
42.034
1.521 26
1.162 8
45.12
57.76
標準偏差
0.241 9
0.152 1
0.255 6
0.010 0
0.007 1
0.462
0.049
CV
1.05 %
0.44 %
0.61 %
0.66 %
0.61 %
1.02 %
0.08 %
SBR
(CB50phr)
JIS K 6251
1
29.91
45.53
54.48
1.522 4
1.507
57.3
74.8
2
29.83
45.76
54.62
1.534 0
1.511
57.4
74.8
3
29.83
45.59
54.48
1.528 2
1.507
57.0
74.7
4
29.91
45.88
54.77
1.534 0
1.515
58.0
74.8
5
29.51
45.62
54.33
1.545 8
1.503
56.9
74.7
平均
29.798
45.676
54.536
1.532 88
1.508 6
57.32
74.76
標準偏差
0.148 4
0.126 9
0.148 7
0.007 8
0.004 1
0.387
0.049
CV
0.49 %
0.28 %
0.27 %
0.51 %
0.27 %
0.67 %
0.07 %
SBR
(CB75phr)
JIS K 6251
1
46.96
70.14
84.41
1.493 8
2.335
91.2
109.0
2
46.37
69.53
83.58
1.499 4
2.312
90.1
109.1
3
45.93
69.13
83.00
1.505 1
2.296
91.3
109.1
4
47.61
70.05
84.70
1.471 5
2.343
89.6
109.1
5
47.67
70.41
85.02
1.477 0
2.352
89.0
109.2
平均
46.908
69.852
84.142
1.489 36
2.327 6
90.24
109.10
標準偏差
0.681 5
0.460 1
0.744 9
0.013 0
0.020 6
0.896
0.063
CV
1.45 %
0.66 %
0.89 %
0.87 %
0.89 %
0.99 %
0.06 %
SBR
(CB60phr)
JIS K 6264-2
1
18.32
27.58
33.11
1.510 0
0.916
39.0
46.1
2
18.33
27.49
33.04
1.499 4
0.914
39.4
46.0
3
18.20
27.40
32.90
1.505 1
0.910
39.7
46.0
4
18.28
27.52
33.04
1.505 1
0.914
39.1
46.1
5
18.41
27.61
33.19
1.499 4
0.918
39.8
46.2
平均
18.308
27.520
33.056
1.503 80
0.914 4
39.40
46.08
標準偏差
0.068 5
0.073 5
0.095 6
0.004 0
0.002 7
0.316
0.075
CV
0.37 %
0.27 %
0.29 %
0.19 %
0.29 %
0.80 %
0.16 %
SBR
(CB80phr)
JIS K 6264-2
1
27.30
40.32
48.69
1.477 0
1.347
55.1
64.2
2
27.31
40.18
48.59
1.471 5
1.344
56.4
64.1
3
26.67
39.83
47.93
1.493 8
1.326
55.9
64.1
4
27.15
39.94
48.30
1.471 5
1.336
55.6
64.2
5
27.23
40.06
48.44
1.471 5
1.340
55.5
64.1
平均
27.132
40.066
48.390
1.477 06
1.338 6
55.70
64.14
標準偏差
0.238 0
0.172 7
0.265 4
0.008 6
0.007 3
0.434
0.049
CV
0.88 %
0.43 %
0.55 %
0.59 %
0.55 %
0.78 %
0.10 %
SBR
(CB100phr)
JIS K 6264-2
1
44.75
61.59
76.13
1.376 4
2.106
78.2
90.2
2
44.39
61.09
75.52
1.376 4
2.089
78.8
90.0
3
44.88
61.32
75.99
1.366 3
2.102
79.0
90.3
4
44.77
61.40
75.99
1.371 3
2.102
80.3
90.2
5
44.96
61.44
76.13
1.366 3
2.106
78.8
90.2
平均
44.750
61.368
75.952
1.371 34
2.101 0
79.02
90.18
標準偏差
0.195 4
0.164 4
0.224 9
0.004 5
0.006 3
0.694
0.098
CV
0.44 %
0.27 %
0.30 %
0.33 %
0.30 %
0.88 %
0.11 %
20
K 6297:2020
表JA.4−未加硫配合ゴムにおけるせん断弾性率とムーニー粘度との相関性データ(EPDM)
ロータレス密閉式レオメータ
ムーニー粘度
試験機 #1
試験機 #3
試験機 #4
G'
kPa
G''
kPa
|G*|
kPa
tan δ
S*
N・m
ML1+4
ML1+4
EPDM
JIS K 6251
1
12.72
28.44
31.16
2.235 5
0.862
33.9
42.1
2
12.67
28.47
31.16
2.246 0
0.862
33.2
42.0
3
12.72
28.44
31.16
2.235 5
0.862
33.5
42.0
4
12.84
28.71
31.45
2.235 5
0.870
32.9
42.0
5
12.73
28.60
31.31
2.246 0
0.866
33.4
41.9
平均
12.736
28.532
31.248
2.239 70
0.864 4
33.38
42.00
標準偏差
0.056 1
0.106 8
0.116 5
0.005 1
0.003 2
0.331
0.063
CV
0.43 %
0.37 %
0.37 %
0.23 %
0.37 %
0.99 %
0.15 %
図JA.4−貯蔵せん断弾性率(G')とムーニー粘度との相関性(未加硫配合ゴム)
21
K 6297:2020
図JA.5−損失せん断弾性率(G'')とムーニー粘度との相関性(未加硫配合ゴム)
図JA.6− 複素せん断弾性率(|G*|)とムーニー粘度との相関性(未加硫配合ゴム)
b) 未加硫配合ゴムでは,貯蔵せん断弾性率(G'),損失せん断弾性率(G''),及び複素せん断弾性率(|G*|)
は,ムーニー粘度と良好な直線的相関を得た。
このことから,ロータレス密閉式レオメータによって測定された未加硫配合ゴムのG',G''及び|G*|
は,従来のムーニー粘度に対して代替指標としての有用性が認められた。
JA.3.3 試験結果のまとめ
原料ゴム及び未加硫配合ゴムの各試料試験片を使用して,せん断弾性率とムーニー粘度との相関性を試
験した結果,いずれの条件においても貯蔵せん断弾性率(G'),損失せん断弾性率(G'')及び複素せん断
22
K 6297:2020
弾性率(|G*|)は,ムーニー粘度と良好な直線的相関を得た。このことからロータレス密閉式レオメータ
によって測定された各種ゴムのせん断弾性率(G',G''及びG*)は,従来のムーニー粘度に対する代替指
標として有用であることが認められた。
注記 一般的にムーニー粘度が100を超える試料の測定では,試験装置のロータ部と試料との間に滑
りが発生する場合があるので,正確な測定には十分に注意する必要がある。
参考文献
[1] ASTM D5900,Standard Specification for Physical and Chemical Properties of Industry Reference Materials
(IRM)
[2] ISO/TR 9272:2005,Rubber and rubber products−Determination of precision for test method standards
[3] JIS K 6251:2017 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方
[4] JIS K 6264-2:2005 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐摩耗性の求め方−第2部:試験方法
23
K 6297:2020
附属書JB
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 6297:2020 未加硫ゴム−ロータレス密閉式レオメータを用いた粘度及び
応力緩和の求め方
ISO 13145:2012,Rubber−Determination of viscosity and stress relaxation using a
rotorless sealed shear rheometer
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 原理
−
4
原理
追加
測定できる特性値の詳細を追加
規格内で用いる用語の定義を分か
りやすくするための修正。
5 試験装置 5.1 一般
5.1
一般
変更
JIS K 6300-2に同一形式装置の概
要が記載されているので,“JIS K
6300-2:2001の11.1による。”とし
た。
他のJISとの関連性を分かりやす
くするための修正。
7 試験片
7.1 試験片の採取・
作製
7.1
試験片の採取・作製
追加
ムーニー粘度試験との整合性を保
つため,“試験片の採取・作製は,
JIS K 6300-1:2013の5.3.1による。”
を追加。
対応国際規格には,試験片の採
取・作製方法の具体的な記載がな
いため,試験手順を分かりやすく
するための修正。
変更
現在,一般的に市販されている試験
装置のキャビティ容積を満たすた
めの試験片体積の参考目安を明記。
試験結果の再現性向上のための修
正。
9 試験方法 9.1 概要
9
試験方法
追加
対応国際規格では粘度試験及び弾
性率(応力緩和)試験が同じ手順で
あるが,厳密には異なる手順である
ので,明確化のため,それぞれの手
順として分離することを明記。
対応国際規格では曖昧な手順であ
り,分かりやすくするための追加。
2
K
6
2
9
7
:
2
0
2
0
24
K 6297:2020
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9 試験方法
(続き)
9.3 粘度試験
9
試験方法
追加
対応国際規格では粘度試験及び弾
性率(応力緩和)試験が同じ手順で
あるが,厳密には異なる手順である
ので,明確化のため,それぞれの手
順として分離。
具体的に求めるべき測定値として
“最後の3回の周期で測定した平
均トルクを求める。”を明記。
対応国際規格では具体的な試験手
順及び測定値の求め方が規定され
ていないので明確にするため追
加。
9.4 応力緩和試験
9
試験方法
追加
c) 150 %ひずみの時間の規定を追
記。
対応国際規格では曖昧な内容を分
かりやすくするための追加。
10 結果の
まとめ方
結果のまとめ方
10
結果のまとめ方
追加
対応国際規格では数値の丸め方は
規定していない。
JISでは,試験結果の有効桁数を
明確にするために追加。
変更
対応国際規格で規定している試験
報告の様式を修正。
JISで規定している一般的な試験
報告様式へ修正。
追加
対応国際規格で規定していない測
定値の単位,計算方法を追加。
対応国際規格では曖昧な内容を分
かりやすくするための追加。
12 試験報
告書
試験報告書作成の
方法
12
報告書記載順序
変更
一般的なJISの報告様式に従って
項目順序を修正。
JISで規定している一般的な試験
報告様式へ変更。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 13145:2012,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
K
6
2
9
7
:
2
0
2
0