K 6275-2:2009
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 原理······························································································································· 2
5 ガスクロマトグラフ法 ······································································································· 2
5.1 試験装置 ······················································································································ 2
5.2 試験片 ························································································································· 3
5.3 試験ガス ······················································································································ 3
5.4 試験方法 ······················································································································ 3
5.5 計算 ···························································································································· 4
6 酸素濃度計法 ··················································································································· 4
6.1 試験装置 ······················································································································ 4
6.2 試験片 ························································································································· 5
6.3 試験ガス ······················································································································ 5
6.4 試験方法 ······················································································································ 6
6.5 計算 ···························································································································· 6
7 試験結果のまとめ方 ·········································································································· 6
8 記録······························································································································· 6
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本ゴム工業会(JRMA)及び財団法人日本規
格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会
の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS K 6275の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 6275-1 第1部:差圧法
JIS K 6275-2 第2部:等圧法
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日本工業規格
JIS
K 6275-2:2009
加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−ガス透過性の求め方−
第2部:等圧法
Rubber, vulcanized or thermoplastic-
Determination of permeability to gases-Part 2: Equal pressure method
序文
この規格は,加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの等圧法によるガス透過性の求め方について規定した日本工業
規格である。
なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。
警告
この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているものとする。この規格は,その使用に関し
て起こるすべての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
1
適用範囲
この規格は,加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの,等圧法によるガス透過性の求め方について規定する。透過
したガス量を測定する方法として,次の2種類がある。
− ガスクロマトグラフ法 この方法では,試験ガスとして混合ガスを用いる。
− 酸素濃度計法 この方法は,試験ガスとして酸素を用いた場合に適用する。
なお,この規格は,国際ゴム硬さ35 IRHD以上の加硫ゴム及び熱可塑性ゴムに適用する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 6200 ゴム−用語
JIS K 6250 ゴム−物理試験方法通則
JIS K 6275-1 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−ガス透過性の求め方−第1部:差圧法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6200及びJIS K 6275-1による。
2
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原理
一定温度に維持された試験セルを,試験片を装着することによって供給側セルと透過側セルとに分割す
る(図1及び図2参照)。供給側セルには試験ガスを,透過側セルにはキャリヤガスを供給する。各セル
の圧力は等しいが(大気圧),試験ガスの分圧は,供給側セルよりも透過側セルのほうが低いので,試験ガ
スが試験片内部へ溶解した後,試験片内部の試験ガス濃度こう(勾)配によって拡散し,試験片界面から
透過側セルへと放散する。この一連の現象をガス透過という。ガス透過度は,キャリヤガス中の試験ガス
濃度を透過ガス検出器によって測定し,求めることができる。試験ガスの透過量は,ガスクロマトグラフ
によって測定する。試験ガスとして酸素を用いる場合には酸素濃度計によって測定することもできる。
なお,ガスクロマトグラフ法では,水分を含んだ試験ガスの測定及び混合試験ガスを用いた場合の成分
分析を行うこともできる。
5
ガスクロマトグラフ法
5.1
試験装置
試験装置は,試験セル,ガスクロマトグラフ,試験ガス調節器などによって構成する。試験装置の例を,
図1に示す。
5.1.1
試験セル 試験セルは,試験片によって分割され,供給側セル及び透過側セルで構成する。供給側
セルは,試験ガスの導入口及び排気口をもち,透過側セルは,キャリヤガスの供給容器及びガスクロマト
グラフに接続されている。試験片の装着面は,ガス漏れが起きないように滑らかで,平らでなければなら
ない。試験セルの材質は,用いるガスに対して不活性なものとし,特に,用いるガスを吸収するものであ
ってはならない。試験片と試験セルとを密閉するためにOリングなどのシール材を用いてもよい。シール
材は,ガス透過度が試験する材料に比べて十分に小さく,ガス透過試験の結果に影響を及ぼさないものを
用いる。ガス透過面の直径は,10〜150 mmとする。ガス透過面の直径は,試料のガス透過度の程度に応
じて決める。
5.1.2
ガスクロマトグラフ ガスクロマトグラフの検出器は,熱伝導度検出器(TCD)を用いたもの,水
素炎イオン化検出器(FID)を用いたものなどがあり,カラムには,充てんカラム,キャピラリカラムを
用いたものなどがある。検出器及びカラムは,含まれている試験ガス及び必要とする感度に応じ,適切な
ものを用いる。
ガスクロマトグラフに用いるキャリヤガスは,JIS K 0114の6.[検出器によるガスの使い分け(キャリ
ヤーガス,付加ガス,燃料ガス及び助燃ガス)]による。
5.1.3
試験ガス調節器 試験ガス調節器は,JIS K 6275-1の箇条6(ガスクロマトグラフ法)による。
5.1.4
キャリヤガス 透過側セルに流すキャリヤガスは,試験ガス成分を含まないもので,ガスクロマト
グラフの分析に影響を与えないものを用いる。ガスクロマトグラフに用いるキャリヤガスと同一成分のガ
スを用いてもよい。
注記 この規格では,透過側セルに流すガスを“キャリヤガス”,ガスクロマトグラフに用いるガスを
“ガスクロマトグラフ用キャリヤガス”と区別している。
5.1.5
温度センサ 試験温度を測定するために,試験セルには温度センサを装着する。また,キャリヤガ
スの温度を測定するため,キャリヤガスの流路に温度センサを装着する。センサは,0.1 ℃まで読み取れ
るものとする。
3
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1
供給側セル
2
透過側セル
3
試験片
4
シール材
5
温度センサ
6
試験ガスボンベ
7
キャリヤガスボンベ
8
流路切替バルブ
9
ガスクロマトグラフ
10 データ処理装置
11 試験ガス調節器
12 キャリヤガス調節器
13 温度測定器
14 ガス透過面直径
図1−ガス透過性試験装置(ガスクロマトグラフ法−FID検出器)の例
5.2
試験片
5.2.1
試験片の形状及び寸法
試験片の形状及び寸法は,JIS K 6275-1の5.2.1(試験片の形状及び寸法)による。
5.2.2
試験片の採取・作製
試験片の採取・作製は,JIS K 6250の8.(試験片の採取・作製)による。
試験片に,異物の混入,気泡,きず,穴又は孔があるものを,試験に用いてはならない。
5.2.3
試験片の数
試験片の数は,3個以上とする。
5.2.4
試験片の厚さの測定
試験片の厚さの測定は,JIS K 6275-1の5.2.4(試験片の厚さの測定)による。
5.3
試験ガス
試験ガスは,JIS K 6275-1の5.3(試験ガス)による。
5.4
試験方法
5.4.1
試験条件
試験条件はJIS K 6275-1の5.4.1(試験条件)による。
なお,試験ガス及びキャリヤガスの圧力は,大気圧を標準とする。
5.4.2
ガス透過面積
ガス透過面積は,JIS K 6275-1の5.4.2(ガス透過面積)による。
5.4.3
検量線
検量線は,JIS K 6275-1の6.4.3(検量線)による。
5.4.4
操作方法
操作方法は,次による。
a) 試験セルの試験片の接触面に真空グリスを薄く均一に塗り,その面に試験片をしわ及びたるみが生じ
ないように装着する。
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 試験片の上にシール材を装着し,ガス漏れが生じないように均一な圧力で固定する。
c) その他の温度で試験する場合は,試験セルを試験温度に設定する。
d) 供給側及び透過側のセルから空気を追い出すために,キャリヤガスをセル内容積及び配管内容積に応
じた流量で十分な時間流し,その後,測定時の流量で流し安定状態を保持する。安定状態でのキャリ
ヤガス温度を記録する。
e) ガスクロマトグラフの記録装置でベースラインの安定を確認する。
f)
ベースラインが安定したら,供給側セルに試験ガスが流れるようにバルブを切り替える。
g) 試験ガスを試験圧力に調整し,一定の流量で供給する。試験片を透過してくる試験ガスは,透過側セ
ルを流れるキャリヤガスに混入し,キャリヤガスと共に計量管を経て排気される。
h) 一定時間ごとに計量管を流路から分離し,次に,ガスクロマトグラフのカラムへ注入して測定する。
又は,流路を切り換えて,一定時間キャリヤガスをガスクロマトグラフへ導入して測定してもよい。
測定しようとする試験ガスに対する検出信号の応答を,データ処理装置で記録する。
i)
クロマトグラフのインテグレータを用いて,測定するガスに対応するクロマトグラムのピーク面積を
求める。
j)
検量線を用いてキャリヤガス中の試験ガスの濃度を求める。
k) これらの測定は,一定時間間隔で行い,測定濃度が定常状態になったときの値を記録する。
5.5
計算
ガス透過度及びガス透過係数は,次による。
a) ガス透過度 ガス透過度は,式 (1) によって算出する。
6
d
0
10
7
022
.0
−
×
×
×
×
×
×
=
D
F
T
P
A
T
GTR
·········································· (1)
ここに,
GTR: ガス透過度[mol/(m2・s・Pa)]
A: ガス透過面積(m2)
Pd: 供給側セルと透過側セルの試験ガスの分圧差(Pa)
T: キャリヤガス温度(K)
T0: 標準状態温度 273.15(K)
F: キャリヤガス流量(m3/s)
D: 測定した試験ガス濃度(ppm)
0.022 7: 標準状態における1 molの気体の体積(m3/mol)
注記 従来,1 molの気体の体積は,22.4 L(0.022 4 m3)として知られているが,これは1気圧(atm)
下の値である。0.1 MPa(1 bar)の下では22.7 L(0.022 7 m3)となる。
b) ガス透過係数 ガス透過係数は,式 (2) によって算出する。
h
GTR
Q
×
=
············································································· (2)
ここに,
Q: ガス透過係数[mol/(m2・s・Pa)]
GTR: ガス透過度[mol/(m2・s・Pa)]
h: 試験片の平均厚さ(m)
6
酸素濃度計法
6.1
試験装置
試験装置は,試験セル,酸素濃度計,試験ガス調節器などによって構成する。試験装置の例を,図2に
示す。
6.1.1
試験セル 試験セルは,試験片によって分割され,供給側セル及び透過側セルで構成する。供給側
5
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セルは,試験ガスの導入口及び排気口をもち,透過側セルは,キャリヤガスの供給容器及び酸素濃度計に
接続されている。試験片装着面は,ガス漏れが起こらないように滑らかで,平らでなければならない。試
験セルの材質は,酸素に対して不活性なものとし,特に酸素を吸収するものであってはならない。試験片
と試験セルとを密閉するためにOリングなどのシール材を用いてもよい。シール材は,ガス透過度が試験
する材料に比べて十分に小さく,ガス透過試験の結果に影響を及ぼさないものを用いる。ガス透過面の直
径は,10〜150 mmとする。ガス透過面の直径は,試料のガス透過度の程度に応じて決める。
6.1.2
酸素濃度計 酸素濃度計には,電解センサ式,隔膜ガルバニ式,隔膜ポーラロ式,ジルコニア式な
どがあり,これらのセンサによって,試験片を透過する酸素ガス濃度を測定する。
6.1.3
試験ガス調節器 試験ガス調節器は,5.1.3による。
6.1.4
キャリヤガス 透過側セルに流すキャリヤガス中の酸素の体積分率は,100 μL/Lを超えてはならな
い。キャリヤガスとしては,検出する酸素に影響を与えない不活性ガス又は検出センサの特性にあったガ
スを用いる。窒素を用いる場合は,JIS K 1107に規定する窒素を用いる。
6.1.5
温度センサ 温度センサは,5.1.5による。
1
供給側セル
2
透過側セル
3
試験片
4
シール材
5
温度センサ
6
試験ガスボンベ
7
キャリヤガスボンベ
8
流路切替バルブ
9
酸素濃度計
10 データ処理装置
11 試験ガス調節器
12 キャリヤガス調節器
13 温度測定器
14 ガス透過面直径
図2−ガス透過性試験装置(酸素濃度計法)の例
6.2
試験片
6.2.1
試験片の形状及び寸法
試験片の形状及び寸法は,5.2.1による。
6.2.2
試験片の採取・作製
試験片の採取・作製は,5.2.2による。
6.2.3
試験片の数
試験片の数は,5.2.3による。
6.2.4
試験片の厚さの測定
試験片の厚さの測定は,5.2.4による。
6.3
試験ガス
試験ガスは,体積分率99.5 %以上の乾燥酸素とする。
6
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酸素透過性の高い材料については,受渡当事者間の協定によって,空気(体積分率21 %の酸素)のよ
うな窒素と酸素との混合ガスを用いてもよい。
6.4
試験方法
6.4.1
試験条件
試験条件は,5.4.1による。
6.4.2
ガス透過面積
ガス透過面積の算出は,5.4.2による。
6.4.3
検出器の校正
検出器の校正は,酸素濃度水準の異なる希釈ガスを用いて,装置それぞれが要求する方法に従って実施
する。希釈ガスの酸素濃度範囲は,試験ガスの予想酸素濃度を包含するものとする。
6.4.4
操作方法
操作方法は,次による。
a) 試験セルの試験片の接触面に真空グリスを薄く均一に塗り,その面に試験片をしわ及びたるみが生じ
ないように装着する。
b) 試験片の上にシール材を装着し,ガス漏れが生じないように均一な圧力で固定する。
c) 供給側及び透過側のセルから空気を追い出すために,キャリヤガスをセル内容積及び配管内容積に応
じた流量で十分な時間流し,その後,測定時の流量で流し安定状態を保持する。安定状態でのキャリ
ヤガス温度を記録する。
d) 酸素濃度計の記録装置でベースラインの安定を確認する。
e) ベースラインが安定したら,供給側セルに試験ガスが流れるようにバルブを切り換える。
f)
試験ガスを試験圧力に調整し,一定の流量で供給する。
g) 試験ガス導入後,透過が定常状態に達し,検出レベルが安定するまで測定を続ける。
h) 検出濃度が定常状態になったときの値を記録する。
6.5
計算
ガス透過度及びガス透過係数は,次による。
a) ガス透過度 ガス透過度は,式 (1) によって算出する[5.5 a) 参照]。
b) ガス透過係数 ガス透過係数は,式 (2) によって算出する[5.5 b) 参照]。
7
試験結果のまとめ方
ガス透過度及びガス透過係数は,それぞれの試験片によって得られた値の平均値を,有効数字3けたで
表す。
8
記録
試験報告書には,次の事項を記録する。
a) この規格の番号及び試験の種類(ガスクロマトグラフ法,酸素濃度計法)
b) 試験片の詳細
1) 試験片の形状,寸法(厚さ),履歴などの詳細
2) 試料の詳細及び成形方法(加硫条件など)
3) 試験片の採取・作製方法
c) 試験の詳細
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) 試験温度
2) 試験ガスの種類,組成及び純度
3) 供給側の試験ガス圧力又は分圧
4) ガス透過面積
d) 試験結果
1) 試験片の数
2) ガス透過度及びガス透過係数の平均値
e) 試験年月日
f)
その他必要事項