K 6269 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格はJIS K 7201 : 1995(酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法)の中から,ゴムに関する
規定を取り出し,新たにJIS K 6269として制定した。
プラスチックに関する規定については,ISO 4589-2 : 1996 (Plastics−Determinaition of burning behaviour by
oxygen index−Part 2 : Ambient-temperature test) に整合したJIS K 7201-2(プラスチック−酸素指数法による
燃焼性の試験方法−第2部:室温における試験)として新たに制定した。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6269 : 1998
加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの
酸素指数法による燃焼性試験方法
Testing method of flammability using the oxygen index method
for rubber, vulcanized or thermoplastic
1. 適用範囲 この規格は,酸素指数法によって加硫ゴム及び熱可塑性ゴム(以下,加硫ゴムという。)の
燃焼性を測定する試験方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 1101 酸素
JIS K 1107 高純度窒素
JIS K 2240 液化石油ガス(LPガス)
JIS K 6200 ゴム用語
JIS K 6250 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの物理試験方法通則
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6200によるほか,次による。
a) 酸素指数 酸素指数 (O. I. ) とは,規定の試験条件下において,材料が燃焼を持続するのに必要な酸
素及び窒素の混合ガス中の容量パーセントで表される最低酸素濃度の数値をいう。
4. 装置及び附属品
4.1
試験装置 試験装置(以下,装置という。)は,燃焼部,ガス供給部,測定部及び点火器からなり,
次の諸条件を満たさなければならない。代表的な装置の例を付図1に示す。
4.1.1
燃焼部 燃焼円筒及び試験片支持具で構成する。
a) 燃焼円筒 燃焼円筒は,内径75
30
+mm,高さ450±5mmの耐熱ガラス製で,直径4±1mmのガラス粒
を底部から100±5mmの厚さに均等に満たしたものである。燃焼中に試験片の炭化物などが落下する
ため,ガラス粒の上方に金属製の網を置かなければならない。
なお,試験時の規定混合ガス流量11.4l/minのとき,円筒内の混合ガスの流速は4±1cm/sとなる。
b) 試験片支持具 燃焼円筒の中央部で,垂直に試験片を支持することができる構造のもの。
4.1.2
ガス供給部 ガス供給部は,酸素及び窒素ボンベ,圧力計,圧力調整器,バルブ及びホースで構成
する。使用する酸素は,JIS K 1101又はこれと同等以上のもの,窒素はJIS K 1107の2級又はこれと同等
以上のものとする。
2
K 6269 : 1998
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4.1.3
測定部 測定部は,酸素流量計(最小目盛0.1l/min,流量調節バルブ付き),窒素流量計(最小目
盛0.1l/min,流量調節バルブ付き),ガス混合器,圧力計,圧力調整器,清浄器及び点検バルブで構成する。
ただし,各流量計は1年ごとに校正しなければならない。
4.1.4
点火器 点火器の先端の内径は約3mmで,規定の長さに炎を調節することができ,燃焼円筒の上
方から挿入して,試験片に点火することが容易な構造のものとし,熱源は,JIS K 2240の1種1号又は同
等のものを用いる。
4.2
U字形保持具 5.1の表1のB号によって試験する場合に用いるアルミニウム製保持具で,付図2に
示す形状,寸法のもの。
4.3
ストップウォッチ 燃焼時間を測定するためのもので,0.2秒まで測定できるもの。
4.4
測厚器 試験片の幅及び厚さを測定するためのもので,JIS K 6250の7.7.1(厚さの測定)のA法に
規定するもの。
5. 試験片
5.1
試験片の支持方法による区分 試験片の支持方法によって二つに区分し,形状・寸法は表1のとお
りとする。
表1 試験片
試験片の支持方法
試験片の形状・寸法
区分
記号
試験片を自立させて試験する場合
A号
長さ 70以上150mm以内
幅
6.5±0.5mm
厚さ
3.0±0.5mm
試験片をU字形保持具に取り付け
て試験する場合
B号
長さ 150mm
幅
60mm
厚さ 試料の厚さ
5.2
試験片の作製 試験片は,規定寸法に成形できる加硫型を用いて加硫を行い作製するか,又は製品
から機械加工によって切り取った後,研磨機などで仕上げを行う。
なお,試験片は,10個以上準備するとよい。
6. 試験条件 試験条件は,次のとおりとする。
a) 試験室の標準状態は,JIS K 6250の7.1(試験室の標準状態)による。
b) 試料及び試験片の保管は,JIS K 6250の7.2(試料及び試験片の保管)による。
c) 試験片の状態調節は,JIS K 6250の7.3(試験片の状態調節)による。
備考 安全管理のため,燃焼性試験を行う際に発生する煙,すす,熱,有害な成分などを除去するた
めに,排気装置を設ける。ただし,燃焼円筒内の流量に影響を及ぼしてはならない。
7. 試験方法
7.1
装置の点検 装置の点検は,次のとおりとする。
7.1.1
試験を始める前に,点検用バルブを作動させて,接続部にガス漏れがないことを確認する。
7.1.2
照合試験片を用いて,装置の確認を行う。
参考 充てん材を含まないポリメタクリル酸メチルの注型品から,5.1のA号に規定する試験片の寸
法に切り出した試験片に,酸素指数の値付けをしたものを,財団法人科学技術戦略推進機構[〒
3
K 6269 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
111-0052 東京都台東区柳橋2-22-13,TEL03 (3862) 4841]で,頒布している。
7.2
操作
7.2.1
試験片を,次の方法に従って取り付ける。
a) A号は,試験片の上端部が燃焼円筒の上端部から100mm以上の距離に位置するように,垂直に試験
片支持具に取り付ける。
b) B号は,付図2に示すU字形保持具を用いて,2枚の保持枠の間に試験片を挟み,上端部,中央部及
び下端部を,又は必要に応じて数箇所を,ねじ,カード止めクリップなどで固定した後,試験片の上
端部が燃焼円筒の上端部から100mm以上の距離に位置するように,垂直に試験片支持具に取り付け
る。
7.2.2
あらかじめ,試料の燃焼継続に必要な最低酸素濃度を推定できる場合は,付表1から該当する酸素
流量及び窒素流量を選んで装置をセットする。推定できない場合は,試験片に空気中で点火し,燃焼状態
を調べ,このとき試験片が速やかに燃えるときは,酸素濃度を約18%から開始するとよい。また,試験片
が着火しないときは,酸素濃度約25%又はそれ以上の濃度から開始するとよい。濃度を変える場合は,付
表1によって酸素と窒素の流量の割合を決定する。ただし,燃焼円筒内の総流量は,11.4l/minであること
を確認し,その割合の平衡を継続して保つようにしなければならない。
7.2.3
点火器の先端を上向きにして,炎の長さを15〜20mmに調節する。
7.2.4
酸素及び窒素流量調節バルブを開き,燃焼円筒内に約30秒間ガスを放出した後,試験片の上端に
点火する。この場合,試験片の上端部全体が着炎し,炎状に燃えることを確認した後に点火器の炎を取り
去り,直ちに燃焼時間及び燃焼長さの測定を開始する。
7.2.5
次のa)又はb)の操作を,試験片を取り替えて繰り返し,試験片の燃焼時間が3分以上継続して燃
焼するか,又は着炎後の燃焼長さが50mm以上燃え続けるのに必要な最低の酸素流量及びそのときの窒素
流量を求める。ただし,燃焼中はそれらの流量を変えてはならない。
a) 試験片の燃焼時間が3分を超える場合,又は燃焼長さが50mmを超える場合は,いずれも酸素濃度が
高すぎるので付表1に従って酸素流量を順次下げていく。
b) 着炎後すぐに消えるか,燃焼時間が3分未満又は燃焼長さが50mm未満で消える場合は,いずれも酸
素濃度が低すぎるので,付表1に従って酸素流量を順次上げていく。
8. 計算 7.2.5によって試験を行い,酸素指数 (O. I.) は,次の式によって小数点以下2けたまで算出す
る。試験回数は3回とし,その平均値を求め,JIS Z 8401によって小数点以下1けたに丸める。
[]
[][]100
.
2
2
2
×
N
O
O
I
O
+
=
ここに,
O. I. : 酸素指数 (%)
[O2] : 7.2.5で得られた酸素の流量 (l/min)
[N2] : 上記に対応した窒素の流量 (l/min)
9. 記録 試験成績には,次の事項を記録しなければならない。
a) 試験片の詳細(材料の種類,作製方法,区分,形状・寸法など)
b) 酸素指数を決定したときの方法(燃焼時間又は燃焼長さ)
c) 燃焼時間(秒)又は燃焼長さ (mm)
d) 酸素指数の個々の値及び平均値
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e) 燃焼状態(燃焼中の異常な挙動,例えば,炭化,溶融,垂れ,曲がりなどがあった場合)
f)
その他必要事項
付表1 酸素濃度と酸素流量及び窒素流量との関係表
酸素濃度
(%)
酸素流量
(l/min)
窒素流量
(l/min)
酸素濃度
(%)
酸素流量
(l/min)
窒素流量
(l/min)
酸素濃度
(%)
酸素流量
(l/min)
窒素流量
(l/min)
5.3
0.60
10.80
21.1
2.40
9.00
36.8
4.20
7.20
5.7
0.65
10.75
21.5
2.45
8.95
37.3
4.25
7.15
6.1
0.70
10.70
21.9
2.50
8.90
37.7
4.30
7.10
6.6
0.75
10.65
22.4
2.55
8.85
38.2
4.35
7.05
7.0
0.80
10.60
22.8
2.60
8.80
38.6
4.40
7.00
7.5
0.85
10.55
23.2
2.65
8.75
39.0
4.45
6.95
7.9
0.90
10.50
23.7
2.70
8.70
39.5
4.50
6.90
8.3
0.95
10.45
24.1
2.75
8.65
39.9
4.55
6.85
8.8
1.00
10.40
24.6
2.80
8.60
40.4
4.60
6.80
9.2
1.05
10.35
25.0
2.85
8.55
40.8
4.65
6.75
9.6
1.10
10.30
25.4
2.90
8.50
41.2
4.70
6.70
10.1
1.15
10.25
25.9
2.95
8.45
41.7
4.75
6.65
10.5
1.20
10.20
26.3
3.00
8.40
42.1
4.80
6.60
11.0
1.25
10.15
26.8
3.05
8.35
42.5
4.85
6.55
11.4
1.30
10.10
27.2
3.10
8.30
43.0
4.90
6.50
11.8
1.35
10.05
27.6
3.15
8.25
43.4
4.95
6.45
12.3
1.40
10.00
28.1
3.20
8.20
43.9
5.00
6.40
12.7
1.45
9.95
28.5
3.25
8.15
44.3
5.05
6.35
13.2
1.50
9.90
28.9
3.30
8.10
44.7
5.10
6.30
13.6
1.55
9.85
29.4
3.35
8.05
45.2
5.15
6.25
14.0
1.60
9.80
29.8
3.40
8.00
45.6
5.20
6.20
14.5
1.65
9.75
30.3
3.45
7.95
46.1
5.25
6.15
14.9
1.70
9.70
30.7
3.50
7.90
46.5
5.30
6.10
15.4
1.75
9.65
31.1
3.55
7.85
46.9
5.35
6.05
15.8
1.80
9.60
31.6
3.60
7.80
47.4
5.40
6.00
16.2
1.85
9.55
32.0
3.65
7.75
47.8
5.45
5.95
16.7
1.90
9.50
32.5
3.70
7.70
48.2
5.50
5.90
17.1
1.95
9.45
32.9
3.75
7.65
48.7
5.55
5.85
17.5
2.00
9.40
33.3
3.80
7.60
49.1
5.60
5.80
18.0
2.05
9.35
33.8
3.85
7.55
49.6
5.65
5.75
18.4
2.10
9.30
34.2
3.90
7.50
50.0
5.70
5.70
18.9
2.15
9.25
34.6
3.95
7.45
50.4
5.75
5.65
19.3
2.20
9.20
35.1
4.00
7.40
50.9
5.80
5.60
19.7
2.25
9.15
35.5
4.05
7.35
51.3
5.85
5.55
20.2
2.30
9.10
36.0
4.10
7.30
51.8
5.90
5.50
20.6
2.35
9.05
36.4
4.15
7.25
52.2
5.95
5.45
52.6
6.00
5.40
60.5
6.90
4.50
68.4
7.80
3.60
53.1
6.05
5.35
61.0
6.95
4.45
68.9
7.85
3.55
53.5
6.10
5.30
61.4
7.00
4.40
69.3
7.90
3.50
53.9
6.15
5.25
61.8
7.05
4.35
69.7
7.95
3.45
54.4
6.20
5.20
62.3
7.10
4.30
70.2
8.00
3.40
54.8
6.25
5.15
62.7
7.15
4.25
70.6
8.05
3.35
55.3
6.30
5.10
63.2
7.20
4.20
71.1
8.10
3.30
55.7
6.35
5.05
63.6
7.25
4.15
71.5
8.15
3.25
5
K 6269 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
酸素濃度
(%)
酸素流量
(l/min)
窒素流量
(l/min)
酸素濃度
(%)
酸素流量
(l/min)
窒素流量
(l/min)
酸素濃度
(%)
酸素流量
(l/min)
窒素流量
(l/min)
56.1
6.40
5.00
64.0
7.30
4.10
71.9
8.20
3.20
56.6
6.45
4.95
64.5
7.35
4.05
72.4
8.25
3.15
57.0
6.50
4.90
64.9
7.40
4.00
72.8
8.30
3.10
57.5
6.55
4.85
65.4
7.45
3.95
73.2
8.35
3.05
57.9
6.60
4.80
65.8
7.50
3.90
73.7
8.40
3.00
58.3
6.65
4.75
66.2
7.55
3.85
74.1
8.45
2.95
58.8
6.70
4.70
66.7
7.60
3.80
74.6
8.50
2.90
59.2
6.75
4.65
67.1
7.65
3.75
75.0
8.55
2.85
59.6
6.80
4.60
67.5
7.70
3.70
75.4
8.60
2.80
60.1
6.85
4.55
68.0
7.75
3.65
試験装置の名称
No.
名称
No.
名称
1
燃焼円筒
12, 18
ガス清浄器
2
試験片
13
ガス混合器
3
試験片支持具
14
酸素流量計
4
金属製金網
16
酸素圧力計
5
ガラス粒
17
酸素圧力調整器
6
もれ点検圧力計
19, 20, 27, 29
バルブ
7
閉止弁
21, 22
供給圧力計
8
窒素流量計
23, 24
圧力調整器
9, 15
微調節バルブ
25, 26
元圧力計
10
窒素圧力計
28
窒素ボンベ
11
窒素圧力調整器
30
酸素ボンベ
付図1 試験装置
6
K 6269 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図2 U字形保持具
JIS K 6269(加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの酸素指数法による燃焼性試験方法)原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
戸 原 春 彦
元・東京電機大学
(委員)
西 出 徹 雄
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
當 間 満 義
日本ゴム工業会
井 田 誠
社団法人日本自動車技術会
平 田 博 之
ゴムベルト工業会
塩 野 武 男
社団法人日本電線工業会
隠 塚 裕 之
財団法人化学品検査協会
安 藤 巽
元・鬼怒川ゴム工業株式会社
相 村 義 昭
日本ゼオン株式会社
江 口 力 人
NOK株式会社
佐 藤 親 弘
株式会社上島製作所
三田村 勝 昭
スガ試験機株式会社
三 橋 健 八
横浜ゴム株式会社
和 田 法 明
バンドー化学株式会社
(事務局)
中 川 剛 章
社団法人日本ゴム協会