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K 6259

:2004

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本ゴム工業会

(JRMA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS K 6259:1993 は改正され,この規格に置き換えられる。

改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 1431-1:1989,Rubber,vulcanized or

thermoplastic−Resistance to ozone cracking−Part 1 : Static strain test,ISO 1431-2:1994,Rubber,vulcanized or

thermoplastic−Resistance to ozone cracking−Part 2: Dynamic strain test 及び ISO 1431-3:2000,Rubber,

vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking−Part 3 : Reference and alternative methods for

determining the ozone concentration in laboratory test chambers を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS K 6259

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(規定)き裂の評価方法

附属書 2(規定)オゾン濃度の測定

附属書 3(規定)オゾンの分圧と濃度との関係

附属書 4(参考)JIS と対応する国際規格との対比表


K 6259

:2004

(2) 

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

4.

  試験の種類

2

5.

  静的オゾン劣化試験

2

5.1

  目的

2

5.2

  試験装置

3

5.3

  試験片

5

5.4

  試験方法

6

5.5

  試験結果のまとめ方

7

5.6

  記録

8

6.

  動的オゾン劣化試験

9

6.1

  目的

9

6.2

  試験装置

9

6.3

  試験片

9

6.4

  試験方法

9

6.5

  試験結果のまとめ方

10

6.6

  記録

10

附属書 1(規定)き裂の評価方法

12

附属書 2(規定)オゾン濃度の測定

13

附属書 3(規定)オゾンの分圧と濃度との関係

28

附属書 4(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

29


     

日本工業規格

JIS

 K

6259

:2004

加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−

耐オゾン性の求め方

Rubber

,vulcanized or thermoplastic  −

Determination of ozone resistance

序文  この規格は,1989 年に第 3 版として発行された ISO 1431-1:1989,Rubber,vulcanized or thermoplastic

−Resistance to ozone cracking−Part 1 : Static strain test,

1994 年に第 2 版として発行された ISO 1431-2:1994,

Rubber,vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking−Part 2: Dynamic strain test 及び 2000 年に第

1 版として発行された ISO 1431-3:2000,Rubber,vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking−

Part 3 : Reference and alternative methods for determining the ozone concentration in laboratory test chambers を翻

訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧

表をその説明を付けて,

附属書 に示す。

警告  この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているものとする。この規格は,その使用

に関連して起こるすべての安全性の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,

各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置を取らなければならない。

1.

適用範囲  この規格は,静的オゾン劣化試験及び動的オゾン劣化試験による加硫ゴム及び熱可塑性ゴ

ム(以下,加硫ゴムという。

)の耐オゾン性の求め方について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 1431-1:1989

,Rubber,vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking−Part 1 : Static

strain test (MOD)

ISO 1431-2:1994

,Rubber,vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking−Part 2 :

Dynamic strain test (MOD)

ISO 1431-3:2000

,Rubber,vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking−Part 3 :

Reference and alternative methods for determining the ozone concentration in laboratory test

chambers (MOD)


2

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2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 6200

  ゴム用語

JIS K 6250

  ゴム−物理試験方法通則

備考  ISO 471:1995,Rubber−Temperatures,humidities and times for conditioning and testing からの引

用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS K 6251

  加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方

備考  ISO 37:1994 , Rubber , vulcanized or thermoplastic − Determination of tensile stress − strain

properties からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8637

  チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)

JIS K 8913

  よう化カリウム(試薬)

JIS K 9007

  りん酸二水素カリウム(試薬)

JIS K 9019

  りん酸水素二ナトリウム・12 水(試薬)

ISO 13964:1998

  Air quality – Determination of ozone in ambient air – Ultraviolet photometric method

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6200 によるほか,次による。

a)

臨界ひずみ(threshold strain)  加硫ゴムを,所定の温度で,所定のオゾン濃度雰囲気に,所定の時間暴

露したとき,き裂を発生させることのない最大の引張ひずみ。

b)

限界ひずみ(limiting threshold strain)  加硫ゴムのき裂の発生に要する時間が著しく長くなり,事実上

無限大となる場合の最大の引張ひずみ。

c)

動的ひずみ(dynamic strain)  一定周波数の正弦波で与えられるひずみ(通常,引張ひずみ)。

備考  動的ひずみは,最大ひずみ及び周波数で表される。

4.

試験の種類  試験の種類は,次の 2 種類とする。

a)

静的オゾン劣化試験

b)

動的オゾン劣化試験

備考  異なった種類の加硫ゴムの相対的な耐オゾン性は,オゾン濃度,温度などの条件によって著し

く変わるので,規格に規定された試験条件による試験の結果を実用性能と関連付けようとする

場合には,十分な注意が必要である。さらに,この規格による試験は,伸張によって変形した

薄手の試験片について行うので,実際の製品に対する影響は,寸法並びに変形の種類及び程度

によって全く異なることがある。

5.

静的オゾン劣化試験

5.1

目的  この試験は,人工的に発生させた一定濃度のオゾンを含む空気中に,静的な引張ひずみを与

えた試験片を静的に暴露したときの,き裂の状態,き裂発生までの時間又はき裂を発生させない最大引張

ひずみを評価して,加硫ゴムの耐オゾン性を求めるために行う。


3

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5.2

試験装置  試験装置は,試験槽,オゾン発生装置,オゾン濃度調節装置,ガス流量調節装置及び試

験片取付装置によって構成され,それぞれ次による。

なお,試験装置構成の一例を,

  1 に示す。

警告  試験槽からの排気ガスに対する人体の安全確保のため,最大オゾン濃度を 0.1 ppm 以下にして排

出させるために,全密閉式にするか又は適切な排気処理装置を設けなければならない。

  1  試験装置構成の一例

5.2.1

試験槽  試験槽は,外部からの入射光をできるだけ遮断する。槽内の試験片を観察できる窓及び照

明灯を設けてもよい。ただし,観察のとき以外は,点灯してはいけない。オゾンが分解しにくい材料で作

るか,又は内張り(

例  ステンレス,アルミニウムなど)とする。温度は±2  ℃に調節できなければなら

ない。規定の相対湿度を維持できることが望ましい。また,槽内のオゾンと空気とがよく混合するように,

拡散板などを設けることが望ましい。

5.2.2

オゾン発生装置  オゾン発生装置は,次の 2 種類があり,いずれを用いてもよい。

−  オゾン発生用紫外線ランプ

−  無声放電管

槽外から導入する空気は,活性炭,又は他の適切な方法によってオゾン濃度,又はき裂に影響を与える

おそれのある汚染物質を除去しなければならない。

無声放電管を用いるときは,副生成物の窒素酸化物による影響をなくすため酸素を用いなければならな


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  (

1

)  。

注(

1

)  空気を用いてもよいが,窒素酸化物の生成を防ぐため,例えば,放電管内の風速を上げるなど

の措置が必要である。

5.2.3

オゾン濃度調節装置  オゾン濃度調節装置は,自動調節のものが望ましい。試験片が試験槽内にあ

るときに,規定のオゾン濃度を保持できるものでなければならない。また,試験濃度よりもオゾン濃度の

高いオゾンを含む空気を試験槽に入れてはならない。

紫外線ランプを使用するときは,生成されるオゾンの量は,供給電圧又はガス流量を調節するか,ガス

の流れにさらされるランプ部分を遮へいすることによって調節する。無声放電管を使用するときは,生成

されるオゾンの量は,発生機への供給電圧,電極の寸法,酸素流量,又は希釈空気流量を調整することに

よって調節する。オゾンを含む空気の二段希釈を用いて調節してもよい。

試験片の交換又は検査のため試験槽の窓が開閉された場合,オゾン濃度は 30 分以内に規定濃度に復帰で

きなければならない。

5.2.4

オゾン濃度の測定  オゾン濃度の測定は,次のいずれかによる。ただし,紫外線吸収法を基準とす

る。いずれの方法も紫外線吸収法によって校正しなければならない。

a)

紫外線吸収法(自動式)

b)

計器法(自動式)

1)

電気化学的方法

2)

化学発光法

c)

湿式化学法(手動式)

1)

よう素法

2)

修正よう素法

3)

定電流電解法

測定方法及び校正の詳細は,

附属書 による。

5.2.5

ガス流量調節装置  ガス流量調節装置は,試験槽内空気が排出され,かつ,循環できるもので,試

験槽内のオゾンを含む空気の平均流速を,8 mm/s 以上,できれば 12∼16 mm/s に調節することができるも

の。この速度は,試験槽内に送入するガス流量を,試験槽有効断面積で除して求める。比較を目的とした

試験では,風速は±10  %以上変化してはならない。ガス流量は,試験槽を通過するオゾンを含む空気の単

位時間当たりの体積で,試験片によるオゾン分解によって試験槽内オゾン濃度が著しく低下しないように,

十分高くなければならない。オゾン分解の程度は,ゴムの種類,試験条件,その他の状態によって異なる。

一般的には,ガス流量に対する試験片の全面積の比が,12 s/m(

2

)を超えなければよい。この値は必ずしも

十分ではない。疑わしい場合には,オゾン分解を実験的に確かめ,必要なら試験片数を減らすとよい。

高い流速が必要な場合には,600±100 mm/s で制御できるようにファンを設けてもよい。

注(

2

)  この比(s/m)は,試験片表面積(m

2

)を流量(m

3

/s)で除して求める。

参考 12

s/m は,試験槽が 500×500 mm の場合風速が 12 m/s のとき,試験片の総面積が試験槽の水平

断面積の約 15  %に相当することになる。

5.2.6

試験片取付装置  試験片取付装置は,試験片に規定の引張ひずみを与えることができる伸張ジグを

用いる。伸張ジグは,槽内に設置したとき,試験片の長さ方向とオゾンを含む空気の流れ方向とが平行に

なるような位置に試験片を維持できるものでなければならない。

備考  試験片をオゾンを含む空気に均一に暴露するために,機械的に回転する保持器を試験槽内に設

け,この保持器に伸長ジグを取り付ける方法がある。そのような保持器の一例では,試験片の


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軌跡は

図  に示すように,試験片がオゾンを含む空気の流れに直角な面内を毎秒 20∼25 mm の

速度で動き,いずれの試験片も同じ軌跡を続けてたどるようになっていて,試験槽内の同じ位

置を 8∼12 分ごとに通り,試験片の通過した面積が少なくとも,試験槽断面の 40  %になって

いるものが望ましい(

図  の斜線部分)。

  2  試験片の軌跡(斜線部分)

5.3

試験片

5.3.1

試験片の形状及び寸法  試験片の形状及び寸法は,次による。

a)

短冊状で,長さ(つかみ具間)40 mm 以上,幅約 10 mm 及び厚さ 2.0±0.2 mm の表面の平滑なもの。

b)  JIS K 6251

の 6.1(試験片の形状及び寸法)に規定するダンベル状 1 号形。

c) I

字状で,平行部分の長さ 50 mm,平行部分の幅 2.0±0.2 mm,平行部分の厚さ 2.0±0.2 mm,つかみ

部分が 6.5 mm 平方の平滑なもの(

  3 参照)。この試験片は,き裂状態観察法には使用してはならな

い。

なお,必要に応じて JIS K 6251 に規定する試験片を用いてもよい。

単位  mm

  3  字状の試験片

5.3.2

試験片の採取・作製  試験片の採取・作製は,JIS K 6250 の 8.5(試験片の採取・作製)による。

5.3.3

試験片の数  試験片の数は,3 個とする。

5.3.4

試験片の厚さ及び幅の測定  試験片の厚さ及び幅の測定は,JIS K 6250 の 9.(寸法測定方法)によ

る。


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5.3.5

引張ひずみ測定用の標線の付け方  引張ひずみ測定用の標線は,標線間距離を 20 mm 又は 40 mm

とし,試験の結果に影響を与えないようにマーキングしなければならない。また,試験片の中央部分を中

心として正確に付けなければならない。

5.3.6

試験片の選別  試験片に異物の混入したもの,気泡のあるもの,きずのあるもの及び表面を研磨し

たものは,試験に使用してはならない。

5.3.7

試験片の取扱い  異なった組成をもったゴムの相互接触は,オゾンき裂の発生に影響を及ぼすおそ

れのあるオゾン劣化防止剤などの添加剤の移行を起こすので,避けなければならない。このためには,ア

ルミニウムはく又は他の適切な材料を試験片の間に入れるとよい。

試験片の縁辺部分及び引張ひずみを与える伸張ジグのつかみ部分の近辺は,オゾンの影響を受けず,か

つ,しっかり固定できる適切な材料で試験片を挟み,伸長ジグに取り付けるとよい。

5.4

試験方法

5.4.1

試験条件  試験条件は,次による。

a)

試験室の標準温度は,JIS K 6250 の 5.1(試験室の標準温度)による。

b)

試料及び試験片の保管は,JIS K 6250 の 8.2(試料及び試験片の保管)による。ただし,熱可塑性ゴム

の場合には,状態調節及び保管は,成形後直ちに行う。

c)

試験片の状態調節は,JIS K 6250 の 8.3(試験片の状態調節)による。

d)

オゾン濃度は, 500±50 ppb(50±5 pphm)とする。ただし,試料の耐オゾン性及び使用条件によっては,

250±50 ppb(25±5 pphm),1 000±100 ppb(100±10 pphm),2 000±200 ppb(200±20 pphm)などの濃度で

行ってもよい。

備考1.  試験片を,一定の ppb 単位によるオゾン濃度で暴露しても,大気圧の変動がオゾン濃度に影

響を及ぼすので,一定のオゾン分圧のもとで試験を行うために,オゾン濃度をその分圧,す

なわち,ミリパスカル(mPa)単位で表してもよい。

2.

標準大気圧及び温度条件(101 kPa,0  ℃)では,10 ppb の濃度は 1.01 mPa の分圧に相当する。

詳細は,

附属書 による。

e)

試験温度は,40±2  ℃とする。ただし,製品が使用される環境が,例えば,23  ℃,30  ℃近辺の温度

が予想される場合には,23±2  ℃,30±2  ℃などの試験温度で行ってもよい。この場合,40±2  ℃に

おける試験結果と異なることがある。

f)

試験湿度は,通常は,試験温度における相対湿度が 65  %以下であることが望ましい。ただし,多湿

条件下で使用される加硫ゴムについては,相対湿度 80∼90  %で試験を行ってもよい。

g)

引張ひずみは,試験片に規定の間隔の標線を付け,伸長ジグによって与え,次の中から選択する。

(5±1)  %,(10±1)  %,(15±2)  %,(20±2)  %,(25±2)  %,(30±2)  %,(40±2)  %,(50±2)  %,

(60±2)  %,(80±2)  %

必要に応じて,他のひずみを用いてもよい。

備考  引張ひずみは,使用環境で予想される引張ひずみに近いひずみを選択することを推奨する。

h)

試験時間は,次の中から選択する。

2 時間,4 時間,8 時間,24 時間,48 時間,72 時間,96 時間

備考 96 時間以降は,必要に応じ,適切な時間による。

5.4.2

操作方法  操作は,次のいずれかの方法を選択して用いる。

なお,試験片を観察するとき,観察面を手で触れたり,物を当てたりしてはならない。試験片のカット

面は,評価の対象としてはならない。また,比較試験は,同一の方法によって作製した仕上げ面について


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だけ有効とする。

警告  オゾンは毒性が強いので,操作中は注意を払わなければならない。そのためこの試験を行う者

がオゾンに触れるのを最小限にくいとめる方法をとらなければならない。

a)

き裂状態観察法  き裂状態観察法は,次による。

1)

試験片を伸長ジグに取り付け,試験片に 20  %の引張ひずみを与えこれを暗所に入れて室温で 48∼

96 時間状態調節を行う。

2)

試験槽を規定のオゾン濃度及び試験温度に調整する。

3)

試験片を試験槽に入れる。この場合,試験片の長さ方向がオゾンを含む空気流と平行になるように

するとともに,互いに接触しないように取り付ける。

4) 72

時間連続して試験片を暴露した後,試験槽から取り出し,き裂の状態を観察記録する。

なお,引張ひずみ又は時間を変えて試験を行ってもよい。

b)

き裂発生時間測定法  き裂発生時間測定法は,次による。

1)

複数の試験片を伸長ジグに取り付け,試験片にそれぞれ異なった引張ひずみを与えこれを暗所に入

れて室温で 48∼96 時間状態調節する。1 種類の引張ひずみによる場合は,引張ひずみは,20  %と

する。

2)

試験槽を規定のオゾン濃度及び試験温度に調整する。

3)

試験片を試験槽に入れる。この場合,試験片の長さ方向がオゾンを含む空気流と平行になるように

するとともに,互いに接触しないように取り付ける。

4)

試験開始後,2 時間,4 時間,8 時間,24 時間,48 時間,72 時間及び 96 時間ごとに試験槽内の試験

片を観察し,それぞれの引張ひずみ条件ごとにき裂の発生が確認した時間を記録する。

なお,96 時間以降は,必要に応じ適切な時間による。

c)

臨界ひずみ及び限界ひずみ測定法  臨界ひずみ及び限界ひずみ測定法は,次による。

1)

複数の試験片を伸長ジグに取り付け,4 種類以上の引張ひずみを与え,これを暗所に入れて室温で

48∼96 時間状態調節する。

2)

試験槽を規定のオゾン濃度及び試験温度に調整する。

3)

試験片を試験槽に入れる。この場合,試験片の長さ方向がオゾンを含む空気の流れと平行になるよ

うにするとともに,互いに接触しないように取り付ける。

4)

試験開始後 2 時間,4 時間,8 時間,24 時間,48 時間,72 時間及び 96 時間ごとに試験槽内の試験

片を観察し,それぞれの引張ひずみ条件ごとにき裂の発生が確認した時間を記録する。

なお,96 時間以降は,必要に応じ適切な時間による。

5.5

試験結果のまとめ方  試験結果のまとめ方は,次による。

a)

き裂状態観察法の場合  試験片 3 個のき裂状態を観察して,それぞれ附属書     1 及び図  1 によ

って試験時間とともに記録する。

b)

き裂発生時間測定法の場合  それぞれのひずみ条件ごとに,試験片 3 個の,き裂を初めて観察した時

間を記録する。

c)

臨界ひずみ及び限界ひずみ測定法の場合  規定の試験時間後に,き裂が観察されなかった最大の引張

ひずみ及びき裂が観察された最小の引張ひずみを記録し,それを臨界ひずみの範囲として表示する。

ほかに規定がなければ,限界ひずみも求める。

備考  繰返し試験が異なった結果を示したときは,上下限のひずみの範囲を表示する。例えば,10  %,

15  %,及び 20  %ひずみで,3 個の試験片を用いた場合,1 個が 10  %だけでき裂を生じ,1 個


8

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が 15  %でき裂し,3 個すべてが 20  %でき裂を生じればその範囲は,10∼20  %とする。結果

を分かりやすくするために,ひずみ及びき裂発生時間の対数をプロットさせる

  4 のグラフを

補助的に使用してもよい。

この図で,時間は,き裂が観察されない最大時間と,き裂が観察される最小時間の両方をプ

ロットする。できれば,各ひずみでき裂なしの最大時間と,き裂ありの最小時間の間との範囲

を考慮して,滑らかな線を引くと,試験中のいろいろな時点でのひずみの評価及び限界ひずみ

を求めることができる。

  4  臨界ひずみ及び限界ひずみの求め方

5.6

記録  試験成績には,次の事項を記録しなければならない。

a)

適用規格番号及び試験の種類(静的試験法を用いたことを記録する。

b)

試験片の明細

1)

試験片の形状,寸法,履歴の詳細など

2)

種類

3)

試験片の採取作製方法

c)

試験片の数

d)

試験条件

1)

オゾン濃度測定方法及びオゾン濃度(ppb 又は pphm)

2)

試験温度(℃)

3)

試験湿度(%)

(測定した場合)

4)

状態調節の温度及び時間(ひずみを与えた後)

5)

風速(m/s)及び空気流量(m

3

/s)

6)

引張ひずみ(%)

7)

試験時間

8)

回転式試験片保持器の有無


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e)

操作方法

f)

試験結果

g)

試験年月日

h)

その他必要事項

6.

動的オゾン劣化試験

6.1

目的  この試験は,人工的に発生させた一定濃度のオゾンを含む空気中に,動的な引張ひずみを与

えながら試験片を暴露したときの,き裂の状態及びき裂発生までの時間を評価して,耐オゾン性を求める

ために行う。

6.2

試験装置

6.2.1

試験槽  試験槽は,5.2.1 による。

6.2.2

オゾン発生装置  オゾン発生装置は,5.2.2 による。

6.2.3

オゾン濃度調節装置  オゾン濃度調節装置は,5.2.3 による。

6.2.4

オゾン濃度測定装置  オゾン濃度測定装置は,5.2.4 による。

6.2.5

ガス流量調節装置  ガス流量調節装置は,5.2.5 による。

6.2.6

引張装置  引張装置は,上下一対の試験片つかみ具を持ち,その一端が固定され,他端が正弦波を

描く上下往復運動をする構造のものからなる。往復運動はその方向がオゾンを含む空気の流れと同一方向

で,上下つかみ具が平行に同一平面上を移動し,かつ,つかみ具間が最短でひずみがない状態(ひずみ 0)

から,最長で規定の最大の引張ひずみが与えられるものでなければならない。往復運動の周波数は,0.5±

0.025 Hz(毎分 30±1.5 回)とする。

備考  つかみ具は,滑らないように試験片をしっかり固定できるもので,試験片を正確に取付けでき

るような調節器を備えていなければならない。

6.3

試験片  試験片は,5.3 による。

6.4

試験方法

6.4.1

試験条件  試験条件は,次による。

a)

試験室の標準温度は,5.4.1 a)  による。

b)

試料及び試験片の保管は,5.4.1 b)  による。

c)

試験片の状態調節は,5.4.1 c)  による。

d)

オゾン濃度は,5.4.1 d)  による。

e)

試験温度は,5.4.1 e)  による。

f)

試験湿度は,5.4.1 f)  による。

g)

引張ひずみは,試験片に規定の標線を付け,動的試験を行ったときの最高引張ひずみとし,5.4.1 g)  

規定する中から選択する。特に規定がない限り,10  %を用いる。

h)

試験時間は,5.4.1 h)  による。

6.4.2

操作方法  操作方法は,次による。

なお,試験片を観察するとき,観察面を手で触れたり,物を当てたりしてはいけない。試験片のカット

面は,評価の対象としてはならない。また,比較試験は同一の方法によって作製した仕上げ面についてだ

け有効とする。

a)

連続的方法  連続的方法は,次の二つの方法のいずれかによる。

1)

き裂の状態観察法


10

K 6259

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1.1)

試験槽を試験温度及び規定のオゾン濃度に調整する。

1.2)

オゾン発生装置をいったん停止し,オゾンを含む空気を試験槽から排出後,試験片を引張ひずみ

がない状態で引張装置に取り付け,規定の往復運動(周波数:0.5±0.025 Hz)を行ったとき 10  %

の引張ひずみが与えられるように調整する。

1.3)

オゾン発生装置を再び作動させ,規定のオゾン濃度に調整する。このとき試験片は引張ひずみが

ない状態にしておかなければならない。

1.4)

規定のオゾン濃度及び試験温度に到達後,引張装置を作動させ,試験を開始する。

1.5)

72 時間連続して試験片を暴露した後,試験槽から取り出す。

1.6)

き裂の状態を観察記録する。

2)

き裂時間測定法

2.1)

試験槽を試験温度及び規定のオゾン濃度に調整する。

2.2)

オゾン発生装置を停止し,オゾンを含む空気を試験槽から排出後,試験片を引張ひずみがない状

態(引張ひずみ 0  %)で引張装置に取り付け,往復運動を行ったとき選択した引張ひずみの最大

引張ひずみが与えられるように調整する。1 種類の引張ひずみしか用いないときは,引張ひずみは

10  %とする。

2.3)

オゾン発生装置を再び作動させ,規定のオゾン濃度に調整する。このとき試験片は引張ひずみが

ない状態にしておかなければならない。

2.4)

規定のオゾン濃度及び試験温度に到達後,試験を開始する。

2.5)

試験開始後,2 時間,4 時間,8 時間,24 時間,48 時間,72 時間及び 96 時間,必要に応じて,更

にこれを超える適切な時間ごとに最大引張ひずみを与えた状態で試験槽内の試験片を観察し,き

裂の発生が確認された時間を記録する。

b)

断続的方法

1)

試験槽を規定のオゾン濃度及び試験温度に調整する。

2)

オゾン発生装置をいったん停止し,オゾンを含む空気を試験槽から排出後,試験片を引張ひずみが

ない状態で引張装置に取り付け,往復運動を行ったとき,特に規定がない限り,10  %の引張ひずみ

が与えられるように調整する。

3)

オゾン発生装置を再び作動させ,規定のオゾン濃度に調整する。このとき試験片は引張ひずみがな

い状態にしておかなければならない。

4)

規定のオゾン濃度及び試験温度に到達後,試験を開始する。

5)

規定時間連続して,試験片を静的条件及び動的条件下に繰り返し暴露する。静的条件での暴露は,

最大の引張ひずみ状態にしたまま行う。特に規定がない限り,引張ひずみは 10  %を用いる。

なお,動的試験と静的試験との時間及び順序は,当事者間の協定による。

6)

規定の試験時間後,試験片を取り出して,き裂状態を観察し,

附属書 によってき裂の状態を記録

するか,又は規定時間後,若しくは静的試験と動的試験との適切な中間時点で,き裂が発生した時

間を記録する。

6.5

試験結果のまとめ方  試験結果は,試験片 3 個のき裂の状態を観察し,試験時間とともに記録する。

6.6

記録  試験成績には,次の事項を記録しなければならない。

a)

適用規格番号及び試験の種類(動的試験を用いたことを記録する。

b)

試験片の明細

1)

試験片の形状,寸法,履歴など


11

K 6259

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2)

種類

3)

試験片の採取・作製方法

c)

試験片の数

d)

試験条件

1)

オゾン濃度測定方法及びオゾン濃度(ppb)

2)

試験温度(℃)

3)

試験湿度(%)

(測定した場合)

4)

状態調節の温度及び時間(ひずみを与えた後)

5)

風速(m/s)及び空気流量(m

3

/s)

6)

最大引張ひずみ(%)

7)

試験時間

e)

操作方法

1)

連続的方法[

6.4.2a) 1)き裂の状態観察法”  又は  “6.4.2a) 2)き裂時間測定法”のいずれか]

2)

断続的方法(静的試験と動的試験との順序及び時間)

f)

試験結果

g)

試験年月日

h)

その他必要事項


12

K 6259

:2004

     

附属書 1(規定)き裂の評価方法

1.

適用範囲  この附属書は,加硫ゴムのオゾン劣化試験後のき裂を評価する方法について規定する。き

裂の状態は,

附属書 1    1 及び附属書 1    1 による。

附属書   1  き裂の状態

き裂の数及び

ランク付け

き裂の大きさ,深さ及びランク付け

A:き裂少数 
B:き裂多数 
C:き裂無数

1.  肉眼では見えないが 10 倍の拡大鏡では確認できるもの。 
2.  肉眼で確認できるもの。 
3.  き裂が深くて比較的大きいもの(1 mm 未満)。 
4.  き裂が深くて大きいもの(1 mm 以上 3 mm 未満)。 
5. 3 mm 以上のき裂又は切断を起こしそうなもの。

備考  き裂の状態を記録するには,き裂の数,き裂の大きさ及び深さを組み合

わせて表す。 
例  A−4

A−2 B−2 C−2

A−3 B−3 C−3

A−4 B−4 C−4

A−5 B−5 C−5

附属書   1  き裂の状態(倍率×2


13

K 6259

:2004

     

附属書 2(規定)オゾン濃度の測定

1.

適用範囲  この附属書は,加硫ゴムのオゾン劣化試験におけるオゾン濃度の測定方法について規定す

る。

2.

紫外線吸収法による測定及び調節方法(自動式)

2.1

原理  水銀ランプによって 253.7 nm 付近の紫外線を発生させ,紫外線吸収セルを照射する。吸収セ

ルを透過した紫外線は,受光器で検出し,電気信号に変換する。吸収セル内のオゾンを含む空気による紫

外線の吸収がオゾン濃度として計算される。

ランバート・ベア(Lambert-Beer)の法則によると,紫外線吸収セルの紫外線透過率と吸収セルの光路

長,253.7 nm におけるオゾン吸収係数及びオゾン濃度との間には,式(1)の関係がある。

(

)

aCd

I

I

=

=

exp

0

透過率

 (1)

ここに,

I:  オゾンを含む空気の透過率

I

0

:  オゾンを含まない空気の透過率

a: 253.7nm におけるオゾンによる紫外線の吸収係数

(m

2

/

µg)(a =1.44×10

-5

m

2

/

µg)

C:  紫外線吸収セル内の空気の温度及び圧力における質量

オゾン濃度(

µg/m

3

d:  光路長(m)

2.2

装置  装置は,紫外線吸収セル,紫外線水銀ランプ,補償用受光器,ゼロガスフィルタ,サンプリ

ングポンプ,空気流量調節器,流量計,温度指示計,圧力計などから構成される自動オゾン濃度測定及び

調節装置を用いる。その一例を,

附属書 2    1 に示す。

2.3

操作方法  操作方法は,次による。

a)

オゾン試験槽からオゾンを含む空気を,サンプリングポンプによってダストフィルタを通した後,紫

外線吸収セルを通過させる。

b)

ディジタル又は記録計上のオゾン濃度(ppb)を読み取る。

備考 ppb 単位におけるオゾン濃度は,101.3 kPa における体積比 1.0×10

-9

が 0  ℃では 2.141

µg/m

3

20  ℃では 1.995

µg/m

3

,及び 25  ℃では 19.62

µg/m

3

の関係があり,吸収セル内のオゾンを含む

空気の温度及び圧力におけるオゾン濃度(ppb)を演算回路で自動的に計算し,規定のオゾン濃

度に調節するとともに,ディジタル表示器又は記録計上に表示する(

附属書 参照)。


14

K 6259

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附属書   1  紫外線吸収法によるオゾン濃度測定及び調節装置の一例

3.

電気化学的方法

3.1

原理  オゾン(O

3

)を含む空気を,よう化カリウム(KI)緩衝液を含み,かつ,白金陰極と銀(このほう

が好ましい)又は水銀の陽極とをもった電量セル中に通過させ,一定の割合で泡立たせる。

オゾンは,式(2)のように,よう化カリウムと反応してよう素(I

2

)を遊離する。このよう素は,陰極でイオ

ン化され,陽極で除かれて,よう化銀(AgI)又はよう化水銀(Hg

2

I

2

)を生成する。各オゾン分子に対し 2 単位

の電荷が生成され,生じた電流は,オゾン濃度に比例している。セルの起電力は逆起電力でキャンセルさ

れ,周囲の温度及び圧力に対して補正される。

化学反応は,次のとおりである。

2

2

2

3

I

O

KOH

2

O

H

KI

2

O

+

+

+

+

 (2)

陰極側

+

I

2

e

2

I

2

 (3)

陽極側

2

2

I

Hg

Hg

2

e

2

I

2

+

 (4)

ファラデーの法則によって:

C

500

96

2

e

2

I

2

O

3

×

したがって,オゾン 1 g は,2×96 500 クーロンに相当する。

3.2

装置  電気化学的方法による装置は,附属書 図 に示す一般的な電量セルを含む分析器を用いる。

備考  標準的な分析器は,市販されている。

陰極は,オゾンを含む空気が通過中に泡立たせることができる白金製のかごの形をしている。陽極は,

次のうちいずれかでなければならない。ただし,b)が望ましい。

a)

水銀た(溜)め

b)

銀製の渦巻き状網

オゾンによって溶液から遊離したよう素は,陰極でイオン化され,泡立ち作用で矢印の方向に引き起こ

された液体循環によって陽極に送られる。陽極では,不溶性よう化銀又はよう化水銀が,空気流れで導入

されたオゾンと正確に等価なイオン電荷の放出で形成される。

セルは,

附属書 2    3 に示す一般的な種類の分析回路に接続されていなければならない。

直流安定化電源は,オゾンを含まない空気がセルを通過するときにセル端子に現れる標準電位を得るた

めに使用する。この標準電位は,陽極材料に依存する。


15

K 6259

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1.  オゾンを含む空気    2.  空気

3.  陰極    4.  陽極    5.緩衝液    6.  排出

附属書   2  電気化学的方法における分析器

3.3

試薬  よう化カリウム緩衝液は,次の方法で調製する。

試薬特級の次の薬品をはかり取り,塩化物及び硫酸塩を含まない蒸留水 1Lに溶かす。

よう化カリウム(KI)   1.50

g

りん酸水素二ナトリウム(Na

2

HPO

4

) 1.50

g

りん酸二水素カリウム(KH

2

PO

4

) 1.40

g

これは,pH 6.5∼pH 6.8 の緩衝液となる。

3.4

操作  オゾン試験槽から,オゾンを含む空気を摂取し,装置を通過させ,電流計で電流を測る。標

準温度及び大気圧における 150 cm

3

/min のガス流量及び 1 000  ppb のオゾンと仮定すれば,電流の大きさ

(

µA)は,次になる。

55

.

21

60

400

22

10

500

96

2

150

10

000

1

6

9

=

×

×

×

×

×

×

=

I

 (5)

ここに,

I:  電流(

µA)

したがって,この関係からセルを校正し,

附属書 図 に示す代表的な回路では,分析器のセル電流か

らオゾン濃度を求めることができる。


16

K 6259

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1.  微小電流計    2.  安定化電源    3.  セル

附属書   3  電気化学的方法における単純化した分析回路

4.

化学発光法  化学発光装置では,オゾンを含む空気をエチレンの流れと接触するように反応セル中を

通過させ,二つのガスは,約 430 nm における光子の放射によって化学発光反応を生じる。このエネルギ

ーの放射は,光電子増倍管によって測定され,オゾン濃度に比例する電気出力に変換される。

5.

湿式化学的方法

5.1

一般事項  中性よう化カリウム(KI)緩衝液中にオゾンを吸収させると,式(6)に示すように酸化に

よって遊離よう素を生成する。

2

2

2

3

I

O

KOH

2

O

H

KI

2

O

+

+

+

+

 (6)

よう化カリウム標準液にチオ硫酸ナトリウム(Na

2

S

2

O

3

)標準液を加えておくと,遊離よう素とチオ硫酸

ナトリウムとの間に式(7)の反応が生じる。

2NaI

O

S

Na

O

S

Na

2

I

6

4

2

3

2

2

2

+

+

 (7)

したがって,オゾン 1 モルは,チオ硫酸ナトリウム 2 モルと等価である。

湿式化学的方法には,次の三つの方法があり,いずれを用いてもよい。

5.2

よう素法

5.2.1

原理  オゾンは,一定の時間内で過剰なチオ硫酸ナトリウムを含むよう化カリウム緩衝液中に吸収

され,次いで,よう素(I

2

)標準液で,過剰なチオ硫酸ナトリウムを電気計測的に逆滴定する。

5.2.2

装置  装置は,次による。

a)

試薬の調製器具

1) 250

ml 及び 1 000 ml 全量フラスコ。

2) 5

ml 目盛ピペット。

3)

はかり 5 mg まで読み取れるもの。

b)

オゾン吸収装置  オゾン吸収装置は,次のものから構成され,オゾンを含む空気に接したとき,オゾ

ンを顕著に吸収しない材料で作られていなければならない。  すべてのガラス器具は,使用前に数時間

オゾンにさらしておかなければならない。接続管はできるだけ短かくし,少なくとも直径 4 mm とす


17

K 6259

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る。取外しのできない接続管を用いるときは,オゾンと接する面を最小限にしなければならない。

1)

附属書 図 に示す,接続された二つの 100 ml ガラス製ガス吸収瓶。

備考  焼結されたガラス製発泡器を備えた瓶は,測定に影響するので,使用してはならない。    

2)

流量計  精確さ 1  %まで。

3)

温度計  0.5  ℃間隔の目盛付き。

c)

滴定器具

1) 100

ml 全量フラスコ

2) 2

ml ピペット

3) 2

ml ビューレット  0.005 ml 程度まではかれるもの。

4) 250

ml ビーカ

5) 100

ml メスシリンダ

d)

終点検知回路  終点検知回路は,次による(附属書 2    5 参照)。

1)

白金電極 個  直径 2.5 mm,長さ 25 mm で,電気的な接続を備えたガラス管に取り付けられてい

るもの。2 個別々に分けた電極の代わりに,短い距離に一緒に取り付けた一対の電極(ダブル電極)

を使用することができる。後者の場合には,各電極の直径が 1 mm で長さが 6 mm でなければなら

ない。各々の端部は,直径 1.5 mm のボールになっているものでなければならない。ボールとボー

ルとの間の距離は,0.7 mm でなければならない。より小さな表面を備えたダブル電極を使用する

場合,使用される微小電流計の感度は,少なくとも 10 倍増加できるものでなければならない。

2)

微小電流計  範囲:0∼20

µA

3)

抵抗 個  直列に配線され,1 個は,1 000 Ω まで増加することができる可変抵抗で,他の 1 個は,

30 000 Ω の固定抵抗。

4)  1.5 V

電池

5.2.3

試薬  試薬は,すべて特級を用い,その調製は,次による。

a)

よう化カリウム緩衝液  0.1 mol/L のりん酸塩緩衝液を使用する。蒸留水 1L中に次の試薬を溶かして

調製する。

  りん酸水素二ナトリウム二水和物(Na

2

HPO

4

・2H

2

O) 17.8

g

  又はりん酸水素二ナトリウムの異なる水和物に対応する量

  りん酸二水素カリウム(KH

2

PO

4

)

  13.6

g

  よう化カリウム(KI)    30±2 g

この溶液の pH は,6.8 でなければならない。それを使用する前に,遊離よう素を調べる。この目的

のために,溶液を 10 ml とり,2 mol/L の塩酸(HCl)を数滴,でんぷん 5 ml とともに加えたとき,色

変化が生じないことを確かめる。

光に当たらないように,

栓付きの褐色瓶に調製した溶液を保管する。

b)  0.1 mol/L 

チオ硫酸ナトリウム標準液  市販されている認証標準液を用いる。この標準液は,冷暗所に

保管する。この条件下では,この標準液は,6 か月間安定している。

c)

0.002 mol/L 

チオ硫酸ナトリウム標準液  蒸留水で適宜希釈して 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム標準液

から,分析する当日に新しく調製する。例えば,0.1 mol/L 標準液の 5 ml をピペットで,250 ml の全

量フラスコに取り,新たに沸騰させた蒸留水で希釈する。

d)  0.1 mol/L 

よう素標準液  市販されている認証標準液を用いる。この標準液は,冷暗所に保管する。こ

の条件下では,この標準液は,6 か月間安定している。

e)

0.02 mol/L 

よう素標準液  c)と同じ方法で d)の標準液から調製する。


18

K 6259

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単位  mm

1.  ガス入口  2.  ガス出口  3. 29/42 又は 34/45 円すい形のすり合わせ 
4.  ガラス支柱  5.  直径 3 mm の PTFE 製 3 方コック

附属書   4  よう素法におけるオゾン吸収装置の一例


19

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1. 1.5V    2.  白金電極対  3.  微小電流計

附属書   5  修正よう素法における電気計測上の終点検知回路

5.2.4

操作方法  操作方法は,次による。

a)

オゾンの吸収  直列に接続した二つの吸収瓶に空気・オゾンの混合ガスを規定量通過させる。各吸収

瓶には,あらかじめよう化カリウム緩衝液約 100 ml,及び 0.002 mol/L のチオ硫酸ナトリウム標準液を

正確に 2.00 ml 入れておく。  ガス流量は,毎分 1∼3Lでなければならない。また,ガスは,少なくと

も 10 分間通しておかなければならない。時間を±1  秒まで記録する。

b)

滴定  二つの吸収瓶からビーカに溶液を移す。c)  による終点指示方法によって,0.002 mol/L のよう素

標準液で過剰なチオ硫酸ナトリウムを滴定する。

c)

終点指示  過剰なチオ硫酸ナトリウムを含んでいるよう化カリウム緩衝液中に浸せきした二つの電極

間は,低い電位差に維持する。微小電流が電流計を通して流れる。すべてのチオ硫酸ナトリウムが消

費されたときに大きな電流が流れる。終点は,その最低点からの電流計の針の鋭い振れによって指示

される。

d)

ブランク試験  a)∼c)  までの操作と全く同一の方法,ただし,吸収瓶には通常の空気を通して,ブラ

ンク試験を行う。

e)

結果の表示  オゾン濃度は,式(8)によって算出する。

(

)

t

F

p

T

R

c

V

V

×

×

×

×

×

×

×

=

a

b

6

3

,

O

10

5

ϕ

 (8)

ここに,

φ

O,3

オゾン濃度(ppb)

V

b

ブランク試験で使用されたよう素標準液の量(ml)

V

a

実際の測定で使用されたよう素標準液の量(ml)

c: よう素標準液の濃度(mol/L)

T: オゾンを含む空気の温度(K)

p: 流量計の入力側の圧力(hPa)

F: 流量(L/min)


20

K 6259

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t: オゾンを含む空気が吸収瓶を通過した時間(min)

R: 気体定数(8.314 Pa・m

3

・mol

-1

・K

-1

)

5.3

修正よう素法

5.3.1

原理  よう素法を修正した方法で,終点検出装置の電極間の電圧を監視するのに記録計を用いる。

チオ硫酸ナトリウム(Na

2

S

2

O

3

)の薄い水溶液をよう化カリウム(KI)緩衝液に加えチオ硫酸ナトリウムが完

全に消費されるまで継続する。この終点で電圧が急激に上昇する。記録から,反応の完了までの経過時間

を測定し,これによってオゾン濃度を計算する。

5.3.2

装置  装置は,次による。

a)

試薬の調製器具  試薬の調製器具は,5.2.2 a)  による。

b)

オゾン吸収装置  オゾン吸収装置は,5.2.2 b)による。  装置の一例を,附属書 図 に示す。また,

吸収フラスコの詳細の一例を,

附属書 図 に示す。この種のフラスコがない場合には,250 ml の三

つ口フラスコを用いてもよい。吸収フラスコをスターラ上に置く。一対の白金電極又はダブル形の電

極をフラスコに挿入し,フルスケール 50 mV 又は 100 mV の記録計に接続する。チャート速度をスト

ップウォッチで確認する。

5.3.3

試薬  試薬は,試薬特級を用い,その調製は,次による。

a)

よう化カリウム緩衝液  よう化カリウム緩衝液は,5.2.3 a)  による。

b)

チオ硫酸ナトリウム標準液  チオ硫酸ナトリウム標準液は,5.2.3 b)  で規定された 0.1 mol/L チオ硫酸

ナトリウム標準液から,分析する日に新しく調製する。必要とされるチオ硫酸ナトリウム標準液の濃

度は,オゾン濃度に依存し,次の濃度が適切である。

 250

ppb の場合:0.000 1 mol/L

 500

ppb の場合:0.000 2 mol/L

1 000 ppb の場合:0.000 5 mol/L

2 000 ppb の場合:0.001 mol/L

希釈は,ピペット及び全量フラスコを用いて蒸留水で 1 段又は 2 段で行う。


21

K 6259

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1.  バイパス管  2.  熱電対  3.  圧力計  4.流量計  5.  ガス出口  6.  ポンプ

7.  白金電極  8.  記録計  9.  スターラ  10.  吸収フラスコ  11.  ガス入口

附属書   6  修正よう素法における装置の一例

単位  mm

1.  白金電極  2.  ガス出口  3.  ガス入口  4.  スターラの棒

附属書   7  修正よう素法におけるオゾンの吸収フラスコの一例

5.3.4

操作方法  操作は,次による。

a)

バイパス側に,オゾンを含む空気を流し,流量を毎分 1 L/min に調節する。

b)

吸収フラスコによう化カリウム(KI)緩衝液を約 60 ml 及びチオ硫酸ナトリウム標準液をピペットを


22

K 6259

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用いて正確に 5 ml 入れる。よくかき混ぜ,約 10 mm/min の記録紙速度で記録を始める。

c)

オゾンを含む空気の流れ方向を吸収フラスコ側に切り替え,その時点を,記録紙に印を付ける。

なお,ストップウォッチを用い,後で印を付けてもよい。

d)

流量を,必要に応じて,調節して,記録紙上の電圧が急激な上昇を示すまで,吸収操作を継続する。

ストップウォッチを使用するか,又は記録紙上の軌跡から経過時間を測定する。軌跡から経過時間を

測定する場合には,漸次増加する線と基線とが交差する点を終点とする。

e)

特級試薬を用い,かつ,冷暗所に保管した場合には,ブランク試験は必要ない。

f)

オゾン濃度(φ

O

3

)は,式(9)によって算出する。

t

F

p

T

R

c

V

×

×

×

×

×

×

=

6

3

,

O

10

5

ϕ

 (9)

ここに,

φ

O,3

オゾン濃度(ppb)

V: 使用されたチオ硫酸ナトリウム標準液の体積(ml)

c: チオ硫酸ナトリウム標準液の濃度(mol/L)

T: オゾンを含む空気の温度(K)

F: オゾンを含む空気の流量(L/min)

t: 経過時間(min)

p: 流量計入口の圧力(hPa)

R: 気体定数(8.314 Pa・m

3

・mol

-1

・K

-1

)

5.4

定電流電解法

5.4.1

原理  よう化カリウム(KI)及びチオ硫酸ナトリウム(Na

2

S

2

O

3

)を含むりん酸塩緩衝液にオゾンを含

む空気を通してオゾンを吸収したときと吸収しないとき(ブランク)のチオ硫酸ナトリウムの減少量の差

を電気的に計測してオゾン濃度を算出する。

5.4.2

装置  装置は,次による。

a)

オゾン吸収装置  装置の一例を,附属書 図 に示す。褐色ガラス製のものを使用することが望まし

い。この中に,直径 3∼4 mm のガラスビーズを詰める。

b)

終点検知器  回路の一例を,附属書 図 に示す。

c)

定電流電解装置  回路の一例を,附属書 図 に示す。

d)

流量計  湿式流量計(目盛 5 ml)  で,マノメータ及び温度計によって差圧及び水温がはかれるものを用

いる。

e)

その他の器具  ピペット,褐色ビューレット,スターラ及びストップウォッチを用いる。


23

K 6259

:2004

     

単位  mm

1.  ガラスビーズ,直径 3∼4 mm 
2.  オゾンを含む空気の採取管(PTFE 製チューブ),直径 2∼3 mm 
3.  コック,オリフィス直径 3 mm  4.  ガス採取口  5.  ガス排出口

附属書   8  定電流電解法におけるオゾン吸収装置の一例

1.  終点検知用電極  2.  電解用電極  3.  可変抵抗  30 kΩ及び 500 kΩ 
4.  固定抵抗 60 kΩ  5.  微小電流計  フルスケール 200

µA  6.  可変抵抗 2 kΩ

7.  電圧計  フルスケール 0.5 V  8.  微小電流計  フルスケール 10

µA

附属書   9  定電流電解法における電気分解及び終点検出回路の一例


24

K 6259

:2004

     

5.4.3

試薬  試薬は,試薬特級を用い,その調製は,次による。

なお,水は,イオン交換水又は蒸留水を用いる。

a)

りん酸塩緩衝液  0.1 mol/L りん酸水素二ナトリウム(Na

2

HPO

4

)及び 0.1 mol/L りん酸二水素カリウム

(KH

2

PO

4

)の水溶液を体積比 3:2 の割合で混合し,この混合水溶液 100 ml によう化カリウム 10∼20 g

を溶解する。この溶液は,褐色瓶に入れ,冷暗所に保管する。

なお,りん酸水素二ナトリウムは,JIS K 9019 に規定のもの,りん酸二水素カリウムは,JIS K 9007

に規定のもの,及びよう化カリウムは,JIS K 8913 に規定するものを用いる。

b)  0.1 mol/L 

チオ硫酸ナトリウム標準液  JIS K 8001 に従って 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム標準液を調

製し(

1

),これを全量フラスコを使用して 10 倍に薄め,約 0.01 mol/L の濃度とする。

なお

,チオ硫酸ナトリウムは,JIS K 8637 に規定するものを用いる。

注(

1

)  市販で認証標準液が入手できる。

c)

吸収反応液  a)で調製した緩衝液 300 ml に,b)で調製した 0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム標準液 2 ml

を加える。

5.4.4

操作方法  操作は,次による。

a)

試験槽からのオゾンを含む空気の採取管(PTFE チューブ)を

附属書 図 に示す吸収装置の採取口

に連結し,排出口に流量計及び吸収ポンプを連結する。

b)

下部コックを閉じ,吸収反応液 7 ml をピペットで正確に採り,吸収装置の上部から入れる。

c)

吸収ポンプを作動させ,

毎分 2Lの流量でオゾンを含む空気 5Lを吸収させ,

終わったら採取管を外し,

吸収ポンプを止める。

d)

吸収装置の上部から約 100 ml の水を流し込みながら下部コックを開いて,反応した吸収反応液ととも

に容量 250 ml ビーカに流下する。

e)

附属書 図 の白金電極をこのビーカの吸収反応液中に浸し,検知装置の電極に約 0.15 V の電圧を負

荷し,電流計の指示が零位であることを確認する。

f)

電解装置のスイッチを入れ,200

µA の電流を電極間に流して,吸収反応液のよう化カリウムの電気分

解を行う。このとき吸収反応液をスターラによって一定の速さでかき混ぜる(

2

)。

注(

2

)  スターラによるかき混ぜ状態は,試験中は一定にしておく。かき混ぜ状態の変化は,検知装置

の感度を著しく変え,終点指示値が変化して滴定の結果を狂わせる。

g)

電気分解開始と同時にストップウォッチを作動させ,次いで,検知装置の電流計の零位から 0.3

µA を

指示した瞬間にストップウォッチを停止し,その後電解装置のスイッチを切る。このときの電気分解

に要した時間を t

1

(秒)とする。

h)

この操作の後,ビーカの液を捨て水で十分にビーカを洗浄してから,これに新たに吸収反応液 7 ml(ブ

ランク溶液)をピペットで正確に採って入れ,更に 100 ml の水を加えて上記と同様な電気分解を行う。

このときの電気分解に要した時間を t

0

(秒)とする。

i)

オゾン濃度は,式(10)によって算出する。

(

)

(

)

p

T

t

t

×

×

×

×

×

×

×

×

=

760

5

273

500

96

10

760

2

.

11

200

3

1

0

O,3

ϕ

(

)

1

0

760

9

.

12

t

t

p

T

×

=

 (10)

ここに,

φ

O,3

オゾン濃度(ppb)


25

K 6259

:2004

     

T: 流量計水温(絶対温度 K)

p: マノメータ差圧 (mmHg)

t

1

試験溶液の電気分解のために要した時間(s)

t

0

ブランク溶液の電気分解のために要した時間(s)

6.

オゾン濃度測定及び調節装置の校正  本体 5.2.4 に規定する測定及び調節装置の校正は,ISO 13964 

規定によるものとし,それぞれの該当する部分を次に示す。

6.1

紫外線吸収法オゾン濃度一次校正装置による校正

6.1.1

紫外線吸収オゾン濃度一次校正装置  紫外線吸収オゾン濃度一次校正装置は,次による。

a)

紫外線吸収測光装置  低圧水銀放電ランプ,単一又は二重吸収セル,検出・信号処理装置などから構

成される。吸収セル内でオゾンの発生を防ぐために,水銀ランプと吸収セルとの間に石英ガラス窓又

は同等のものを装着し,酸素を光分解してオゾンを発生する波長 185 nm の光をカットし,かつ,253.7

nm で吸収セルを透過できるようにする。検出部は,253.7 nm で吸収セルの透過率を測れるもので,

他の波長からの放射が 0.5  %未満のものでなければならない。この条件を満足するものに,光電面が

セシウムテルルの光電管などがある。吸収セルを通過する光路の長さは±0.5  %以下の精確さをもち,

セル及び導管はオゾンの表面損失を最小限に押さえるように設計されたものでなければならない。紫

外線吸収測光装置の模式図を,

附属書 図 10 に示す。

1.  空気入口  2.  フィルタ  3.  紫外線吸収法オゾン濃度調節器  4.  バイパス弁 
5.  オゾン触媒変換器  6.  紫外線ランプ  7.  光学系  8.  紫外線吸収セル 
9.  受光器  10.  信号処理装置  11.  流量計  12.  空気流量調節器  13.  ポンプ

附属書  10  紫外線吸収測光装置の模式図

b)

オゾン発生装置  校正期間中,一定の流量範囲で,安定した濃度のオゾンを発生できるものでなけれ

ばならない。流量可変のオゾン発生装置を使用できない場合には,オゾンを含まない空気でオゾンを

適宜に希釈するとともに,出力マニホールドに混合チャンバを装備したものを用いる。校正用オゾン

発生装置の模式図を,

附属書 図 11 に示す。


26

K 6259

:2004

     

1.  オゾンを含まない空気  2.  空気流量調節  3.  流量計  4.  オゾン発生装置 
5.  出力マニホールド  6.  紫外線吸収測光装置の入力  7.  校正される装置の入力  8.  排気

附属書  11  オゾン発生装置の模式図

c)

空気流量調節器  校正中安定した空気流量を維持できるもの。

d)

流量計  規定された空気流量が適切に測定できるもの。

e)

ポンプ(吸引形)  吸収セルから必要な空気を引くのに使用するもの。流量が毎分 2Lのものが望ま

しい。

f)

出力マニホールド  オゾンに不活性なほうけい酸塩ガラス又はふっ素樹脂のような素材から作られた

もので,マニホールドの内外圧を等しい圧に保持できるように十分な直径をもっていなければならな

い。

g)

温度指示計  精確さ±0.5  ℃以内のもの。

h)

圧力指示計  精確さ±0.2 kPa 以内のもの。

6.1.2

紫外線吸収法一次校正装置による校正手順  校正手順は,次による。

なお,校正にはオゾンを含まない空気による測定と適切な間隔で少なくとも 5 種類の濃度のオゾンでの

測定を含む。いずれの校正においても,マニホールドに流入する量は,オゾン濃度測定装置に必要な流量

の少なくとも 20  %を大気圧で適切に排気するようにしなければならない。

a)

オゾン濃度測定装置と紫外線吸収法一次校正装置の出力値を記録する。

b)

一定のオゾン濃度になるようにオゾン発生装置を調整する。オゾン濃度は,式(11)によって算出する。

(

)

d

I

I

T

T

P

C

1

10

44

.

1

/

ln

15

.

273

15

.

273

25

.

101

5

0

×

×

×

+

+

×

=

ref

 (11)

ここに,

C

オゾン濃度(

µg/m

3

d

光路長(

m

I

オゾンを含む空気の透過率

I

0

オゾンを含まない空気の透過率

P

光学セル中の圧力(

kPa

T

光学セル中の温度(℃)

T

ref

基準温度(℃)

0

℃又は

20

℃が一般)

c

)

少なくとも

4

種類の他のオゾン濃度についても同様に,d

)

に従って測定する。又は同じ目的を達成す

るためにオゾン発生装置を最高強度で一定に維持し,オゾンを含まない空気の流量を変えてもよい。

d

)

規定の温度及び圧力の条件で,オゾン濃度測定装置の出力値を,対応するオゾン濃度計算値に対して

プロットする。

e

)

直線回帰解析法によってオゾン検量線を描き,適切な応答係数又は傾き(例えば,

1 V

当たりのオゾ

ン濃度

µg/m

3

,交点又は零点からのずれ,及びそれに関係した誤差を確認する。

備考1.

校正の精度を評価するために,この校正を繰り返すことは任意である。

2.

紫外線吸収測光器の吸収セルの内面との接触によってオゾンが若干損失するおそれがある。


27

K 6259

:2004

     

したがって,精確さを高めるには,このようなオゾンの損失を定量的にはかり,算出した濃

度を補正するようにするとよい。

6.1.3

校正の周期  オゾン濃度測定及び調節装置を連続運転中は,少なくとも週

1

回,装置の零点,零ス

パン,操作パラメータなどを調べることが望ましい。さらに,

3

4

か月ごとに多点校正を行うことが望ま

しい。

6.2

紫外線吸収法二次校正装置による校正  二次校正装置による校正は,紫外線吸収法一次校正装置を

オゾン劣化試験装置の設置場所で使用できないときに,一次校正装置と同様に測定できるような簡易形の

二次校正装置を用いて校正してもよい。ただし,二次校正装置は,次の条件を満足していなければならな

い。

a

)

紫外線吸収法一次校正装置に対する校正を,少なくとも年

1

回行う。

b

)

紫外線吸収法一次校正装置に対する精確さは,各測定ごとに±

5

%以内に維持する。

二次校正装置を用いて行うときの校正手順は,一次校正装置に準じて行う。


28

K 6259

:2004

     

附属書 3(規定)オゾンの分圧と濃度との関係

1.

適用範囲  この附属書は,オゾンの分圧とオゾン濃度との関係について規定する。

2.

オゾン分圧とオゾン濃度との関係式  ゴムとオゾンとの反応の割合,又はき裂の度合は,ゴム表面と

オゾン分子との接触率の関数で,したがって,他のすべての要因を一定としたとき,存在するオゾン分子

の数の関数である。

理想気体の状態方程式によれば,温度

(T)

で測定したとき,オゾンを含む空気の体積

(V)

中のオゾンのモル

(n

O

3

)

の関数としてオゾンの分圧

(p

O

3

)

を計算できる。その関係を,式

(1)

に示す。

V

RT

n

p

O,3

O,3

=

 (1)

ここに,

p

 O,3

オゾンの分圧(

mPa

n

O,3

オゾンのモル数

T

温度(

K

V

体積(

m

3

R

気体定数

(R=8.314Pa

m

3

mol

-1

K

-1

)

なお,温度

(273 K)

及び圧力(

1 atm

又は

760

トール又は

1 013 hPa

)の標準条件下では,

1 ppb

0.101mPa

である。

備考1.

同じ温度で,異なる大気圧では,オゾンを含む空気の同一オゾン含有(体積比)に対し,オ

ゾンの分圧とオゾンのモル数とが,大気圧と同じ比率で変化することが,実証できる。

北米で行われた研究所間試験プログラムの結果は,一定のオゾン量(体積)が及ぼすき裂

の度合に対し大気圧の影響が大きいことを示した。

したがって,体積比によるオゾン濃度の表示は,大気圧に差があるときは,不適切である。

その場合には大気圧で補正する必要がある。

2.

表示値の変換は,式

(2)

による。

O,3

578

.

0

ϕ

×

×

=

T

P

C

 (2)

ここに,

C

圧力で補正したオゾン濃度(

µg/m

3

φ

O,3

オゾン濃度(

ppb

P

大気圧(

hPa

T

絶対温度(

K

オゾンの分圧で表すと,

O,3

2

Ο,3

10

ϕ

P

p

=

 (3)

ここに,

  p

 O,3

オゾンの分圧(

mPa

P

大気圧(

hPa

φ

O,3

オゾン濃度(

ppb


29

K 6259

:2004

附属書 4(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS K 6259

:2004  加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方

ISO 1431-1

:1989,加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−オゾンき裂の抵抗性−第 1

部:静的ひずみ試験

ISO 1431-2

:1994,加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−オゾンき裂の抵抗性−第 2

部:動的ひずみ試験

ISO 1431-3

:2000,加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−オゾンき裂の抵抗性−第 3

部:実験室試験槽内のオゾン濃度測定のための標準及び代替方法

(Ⅰ) JIS の規定

(Ⅲ)  国際規格の規定

(Ⅳ) JIS と国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容

  表示箇所:本体 
  表示方法:点線の下線

項目

番号

内容

( Ⅱ )  国 際
規格番号

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策

Static strain test

MOD/変更

Dynamic strain test

MOD/変更

1. 適 用 範

静的オゾン劣化試験及び動

的オゾン劣化試験による加
硫 ゴ ム 及 び 熱 可 塑 性 ゴ ム
(以下,加硫ゴムという。

の耐オゾン性の求め方

ISO 1431-1

ISO 1431-2

ISO 1431-3

1

Reference and 
alternative methods for 
determining the ozone 
concentration in 
laboratory test 
chambers

MOD/変更

JIS

は,対応 ISO 規格 3 件をまと

めたので,個々の ISO 規格の適
用範囲を変更している。 

試験後の評価方法を,ISO 

格は,参考にしているが,JIS
は規定にしている。これを除
けば,構成上の変更で技術的

差異は,軽微である。 
試験後の評価方法は ISO 
提案中。

ISO 1431-1

2 MOD/追加

JIS

は,用語規格を追加。

ISO

規格は,ゴムの用語規格

がない。JIS はあるので引用

した。構成上で,技術的差異
は,軽微。

ISO 1431-2

2 IDT

2. 引 用 規

ISO 1431-3

2

MOD/追加

JIS

は,試薬規格を追加。 ISO 規格は試薬を用いると規

定。JIS は試薬 JIS があるの
で引用した。構成上で,技術
的差異は,軽微。

 

2

X XXX

X


0000

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30

K 6259

:2004

(Ⅰ) JIS の規定

(Ⅲ)  国際規格の規定

(Ⅳ) JIS と国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容 
  表示箇所:本体

  表示方法:点線の下線

項目

番号

内容

( Ⅱ )  国 際
規格番号

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策

3.定義

ISO 1431-1

ISO 1431-2

3.1 
3.2 
3.1

 IDT

IDT 
IDT

4. 試 験 の
種類

 

MOD/追加

JIS

は種類の項を設けた。ISO 

格は適用範囲中で種類を記述。

構成の変更のため,技術的差
異なし。

5. 静 的 オ
ゾ ン 劣 化
試験

5.1 目的 
 
 

ISO 1431-1

4

原理 IDT

ISO

規格は原理を独立した項目

にしているが,JIS は,5.静的オ
ゾ ン 劣 化 試 験 の 項 を 設 け て 規

定。構成の変更のため,技術的
差異なし。

5.2 試験装
置 

ISO 1431-1

5

試験装置 IDT

ISO

規格は試験装置を独立した

項目にしているが,JIS は,5.静
的オゾン劣化試験の項を設けて

規定。構成の変更のため,技術
的差異なし。

5.3  試験
片 

 
 

ISO 1431-1
 


 
 

試験片 IDT

 

ISO

規格は試験片を独立した項

目にしているが,JIS は,5.静的
オゾン劣化試験の項を設けて規

定。構成の変更のため,技術的
差異なし。

 
 

30

K 6259


2004

29

K 6259


2004


31

K 6259

:2004

(Ⅰ) JIS の規定

(Ⅲ)  国際規格の規定

(Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容 
  表示箇所:本体

  表示方法:点線の下線

項目

番号

内容

( Ⅱ )  国 際
規格番号

項目

番号

内容

項 目 ご と の

評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策

5.3.1 試験
片 の 形 状

及び寸法 
 
 

ISO 1431-1

6.2

IDT

ISO

規格は,6.2 で規定している

が,JIS は 5.3 の中で形状寸法の

項を設けて規定。構成の変更のた
め,技術的差異なし。 

5.3.2 試験
片 の 採
取・作製

ISO 1431-1

6.1

IDT

ISO

規格は,6.1 で採取作製,数,

選別,取扱いを規定しているが,

JIS

は項を設けて規定。構成の変

更のため,技術的差異なし。

5.3.3   試
験 片 の 数 
3 個

ISO 1431-1

6.1

IDT

ISO

規格は,6.1 で採取作製,数,

選別,取扱いを規定,JIS は別の

項を設けて規定。構成の変更のた
め,技術的差異なし。

5.3.4   試
験 片 の 厚
さ 及 び 幅
の測定

ISO 1431-1

6.1

IDT

JIS

は,厚さ測定方法の項を設け

て規定。構成の変更のため,及び

ISO

規 格 が 規 定 し て い る ISO 

4661-1

の内容に一致しているた

め,技術的差異なし。

5.3.5   引
張 ひ ず み
測 定 用 の
標 線 の 付

け方

− 

 

MOD/追加 

JIS

は,標線の付け方を記述する

項を追加。 

構成の変更で,追加内容は常

識的事項の追加で,技術的差
異は,軽微。

5.3.6 試験
片の選別 

ISO 1431-1

6.1

IDT

ISO

規格は,6.1 で採取作製,数,

選別,取扱いを規定,JIS は項を
設けて規定。

構成の変更のため,技術的差
異なし。

2

X XXX

X


0000

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32

K 6259

:2004

(Ⅰ) JIS の規定

(Ⅲ)  国際規格の規定

(Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容 
  表示箇所:本体

  表示方法:点線の下線

項目

番号

内容

( Ⅱ )  国 際
規格番号

項目

番号

内容

項目ごとの

評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策

5.3.7   試
験 片 の 取

扱い

ISO 1431-1

6.1

IDT

ISO

規格は,6.1 で採取作製,数,

選別,取扱いを規定,JIS は項を

設けて規定。構成の変更のため,
技術的差異なし。

5.4  試験
方法 

MOD/追加 

JIS

は,試験方法の項を設け試験

条件と操作方法とを規定した。

構成の変更のため,技術的差
異なし。

5.4.1   試
験条件 

ISO 1431-1

8

IDT

ISO

規格は,試験条件の項が独立

しているが,JIS は,試験条件を
6.4 試験方法の項に入れた。構成
の変更のため,技術的差異なし。

5.4.2   操
作方法 

ISO 1431-1

9

IDT  ISO 規格は,独立した項目である

が JIS は,5.4 試験方法の項に移し
た。構成の変更のため,技術的差

異なし。

5.5  試験
結 果 の ま

とめ方

ISO 1431-1

10

MOD/追加

JIS

は,き裂状態を図表による等

級判定方法を追加。

ISO

に提案中。

ISO 1431-1

11

IDT  JIS は,静的試験方法の項に規定。

構成の変更のため,技術的差異な
し。

5.6  記録  

ISO 1431-3

8

IDT  JIS は,静的試験方法の項に規定。

構成の変更のため,技術的差異な
し。 

32

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33

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:2004

(Ⅰ) JIS の規定

(Ⅲ)  国際規格の規定

(Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容 
  表示箇所:本体

  表示方法:点線の下線

項目

番号

内容

( Ⅱ )  国 際
規格番号

項目

番号

内容

項目ごとの

評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策

6. 動 的 オ
ゾ ン 劣 化

試験

6.1  目的

ISO 1431-2

4

IDT  ISO 規格は,原理を独立した項目

にしているが,JIS は,動的オゾ
ン劣化試験の項で規定。構成の変
更のため,技術的差異なし。

6.2  試験
装置

ISO 1431-2

5

IDT  ISO 規格は,試験装置を独立した

項目にしているが,JIS は動的オ

ゾン劣化試験の項に規定。構成変
更のため,技術的差異なし。

6.3  試験

(5.3 による。

ISO 1431-2

6

IDT  5.3 が IDT/追加。構成の変更のた

め,技術的差異なし。

6.4  試験
方法 

− 

 IDT

JIS

は,試験方法の項を設けて試

験条件と操作方法とを規定。構成
変更のため,技術的差異なし。

6.4.1   試
験条件

ISO 1431-2

8

IDT  JIS は,試験方法の項に含めた。

構成の変更のため,技術的差異な
し。

6.4.2   操
作方法

ISO 1431-2

9

IDT  JIS は,試験方法の項に含めた。

構成の変更のため,技術的差異な

し。

6.5  試験
結 果 の ま
とめ方

ISO 1431-2

10

MOD/追加

JIS

は,き裂状態を表及び図によ

る等級判定方法を追加。

ISO

に提案中。

6.6  記録 

ISO 1431-2

11

IDT  JIS は,動的試験方法の項に規定。

構成の変更のため,技術的差異な
し。

2

X XXX

X


0000

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2004


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K 6259

:2004

(Ⅰ) JIS の規定

(Ⅲ)  国際規格の規定

(Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容 
  表示箇所:本体

  表示方法:点線の下線

項目

番号

内容

( Ⅱ )  国 際
規格番号

項目

番号

内容

項目ごとの

評価

技術的差異の内容 

(Ⅴ)  JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策

附属書 1 
(規定)

き裂の評価方法

MOD/追加

JIS

は,等級値と写真とを追加 ISO に提案中。

附属書 2 
(規定)

オゾン濃度の測定

ISO 1431-3






AnnexB

オゾン濃度の測定
装置

校正 
操作 
結果の表示

オゾン濃度測定法

MOD/追加

JIS

は試薬に関する JIS を追加。

また,

附属書を設け,

ISO

の 3. 4. 5.

6. 7.及び AnnexB の項を一括して
規定。

試薬の追加については,技術
的差異は,軽微。そのほかは,

構成の変更のため,技術的差
異なし。

附属書 3

(規定)

オゾンの分圧と濃度との関

ISO 1431-3

AnnexA

オゾンクラックへ

の大気圧の影響

IDT

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  IDT………………  技術的差異がない。

    ―  MOD/追加………  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    ―  MOD/変更………  国際規格の規定内容を変更している。

2.  JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  MOD……………  国際規格を修正している。 

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