K 6252
:2007
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲
1
2
引用規格
1
3
用語及び定義
2
4
原理
2
5
試験装置
3
5.1
試験片の打抜き型
3
5.2
切込み装置
6
5.3
引張試験機
6
5.4
つかみ具
6
6
試験片
7
6.1
試験片の種類
7
6.2
試験片の採取・作製
7
6.3
切込みあり試験片の切込み
8
6.4
試験片の列理
8
6.5
試料及び試験片の状態調節
8
7
試験片の数
8
8
試験温度
8
9
試験方法
8
9.1
試験片の厚さ及び幅の測定
8
9.2
試験片つかみ具の移動速度
9
9.3
引き裂く力の読取り方
9
10
計算
9
11
試験精度
10
12
記録
10
附属書 JA(参考)読取り顕微鏡によるデルフト形試験片の全幅の測定方法
11
附属書 JB(参考)JIS と対応する国際規格との対比表
12
参考文献
15
K 6252
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本ゴム工業会
(JRMA)
及び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによっ
て,JIS K 6252 : 2001 は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
日本工業規格
JIS
K
6252
:2007
加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引裂強さの求め方
Rubber, vulcanized or thermoplastic
Determination of tear strength
序文
この規格は,
2004
年に第 2 版として発行された ISO 34-1 及び 1996 年に第 1 版として発行された ISO 34-2
を基に,使用者の利便性などを図るため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,
附属書 JB に示す。
警告 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているものとする。この規格は,その使用に
関して起こるすべての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自
の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
1
適用範囲
この規格は,加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの,切込みなしアングル形試験片,切込みありアングル形試験
片,クレセント形試験片,トラウザ形試験片及びデルフト形試験片を用いる引裂強さの求め方について規
定する。
注記 1 デルフト形試験片は,アングル形試験片,クレセント形試験片及びトラウザ形試験片が採取・
作製できない場合,又は特に小さな製品から採取する場合に適している。
注記 2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 34-1 : 2004
,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of tear strength−Part 1 :
Trouser, angle and crescent test pieces
ISO 34-2 : 1996
,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of tear strength−Part 2 :
Small (Delft) test pieces
(全体評価:MOD)
なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,修正していること
を示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS K 6200
ゴム用語
JIS K 6250
ゴム−物理試験方法通則
注記 対応国際規格:ISO 23529 : 2004,Rubber−General procedures for preparing and conditioning test
pieces for physical test methods (MOD)
2
K 6252
:2007
JIS K 6272
ゴム−引張,曲げ及び圧縮試験機(定速)−仕様
注記 対応国際規格:ISO 5893 : 2002,Rubber and plastics test equipment−Tensile, flexural and
compression types (constant rate of traverse)
−Specification (MOD)
JIS K 6274
ゴム及びプラスチック−引裂強さ及び接着強さの求め方における波状曲線の解析
注記 対応国際規格:ISO 6133 : 1998,Rubber and plastics−Analysis of multi-peak traces obtained in
determinations of tear strength and adhesion strength (IDT)
JIS Z 8401
数値の丸め方
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6200 及び JIS K 6250 によるほか,次による。
3.1
切込みなしアングル形引裂強さ (unnicked angle tear strength)
アングル形試験片を引き裂くのに要する力の最大値を,試験片の厚さで除した値。
3.2
切込みありアングル形及びクレセント形引裂強さ (nicked angle or crescent tear strength)
アングル形及びクレセント形試験片の切込みを起点として引き裂くのに要する力の最大値を,試験片の
厚さで除した値。
3.3
トラウザ形引裂強さ (trouser tear strength)
トラウザ形試験片の切込みを起点として引き裂くのに要する力の中央値を,JIS K 6274 によって求め,
試験片の厚さで除した値。
3.4
デルフト形引裂強さ (delft tear strength)
デルフト形試験片の切込みを起点として引き裂くのに要する力の最大値を,試験片の切込み外側の断面
積を 8 mm
2
当たりに換算した値。
4
原理
引裂強さは,規定した打抜き型で打ち抜いた試験片を引き裂くのに要する力の最大値又は中央値から求
める。引き裂く力の測定には,つかみ具の移動速度が一定の引張試験機を用いる。試験片には,切込みな
し試験片,切込みあり試験片及び中心に切込みの入った小さな試験片があり,試験片の種類が異なると引
裂強さの値の直接比較はできない。
切込みなしアングル形試験片を用いる方法は,引裂きの発生及び引裂きの成長・伝ぱ(播)を組み合わ
せた試験である。引裂きは,試験片のアングル位置の応力が上昇して発生し,更に応力が大きくなると引
裂きが成長・伝ぱ(播)する。しかし,試験片を破壊するのに要する力全体を測定するので,引裂きの発
生と成長・伝ぱ(播)との二つの成分を分離することはできない(参考文献 [1] 参照)
。
切込みありアングル形試験片及びクレセント形試験片を用いる方法は,あらかじめ試験片に入れた切込
みから,引裂きが成長・伝ぱ(播)するのに要する力を測定する。この方法は,引裂きの成長・伝ぱ(播)
速度が,つかみ部の移動速度と直接関係しない(参考文献 [2] 参照)
。
トラウザ形試験片を用いる方法は,あらかじめ試験片に入れた切込みから,引裂きが成長・伝ぱ(播)
するのに要する力を測定する。
ほかの試験片に比べ,
切込みの影響及び弾性率の影響を比較的受けにくい。
3
K 6252
:2007
この方法は,引裂きの成長・伝ぱ(播)速度が,つかみ部の移動速度と直接関係する。ゴムの種類によっ
ては,滑らかな引裂きの成長・伝ぱ(播)が得られず,結果の解析が難しい場合がある。
デルフト形試験片を用いる方法は,小さな試験片の幅方向の切込みを起点とした引裂きが成長するのに
要する力を測定する。
5
試験装置
5.1
試験片の打抜き型
アングル形,クレセント形及びトラウザ形試験片用の打抜き型の形状及び寸法は,
図 1 による。デルフ
ト形試験片の場合は,試験片の形状が結果に影響を与えやすいため,
図 2 に例示する打抜き型のジグを用
い,打抜きと同時に切込みを入れる。
打抜き型に用いる打抜き刃先の形状及び保守は,JIS K 6250 による。
4
K 6252
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単位 mm
a)
アングル形
b)
クレセント形
c)
トラウザ形
図 1−アングル形,クレセント形及びトラウザ形試験片用打抜き型の形状及び寸法
5
K 6252
:2007
単位 mm
図 2−デルフト形試験片用打抜き型のジグの例
6
K 6252
:2007
5.2
切込み装置
試験片に切込みを入れるための切込み装置の刃は,きずのないかみそり刃又は鋭利な刃先の刃物を用い
る。
切込みありアングル形試験片及びクレセント形試験片の切込み装置は,次による。
a)
試験片を固定し,刃が移動する切込み装置では,切込み部において試験片をしっかり固定する。刃は,
試験片に対し直角な面を保持し,切込みを入れるのに適切な位置に配置する。刃の取付部は,左右に
動かないようにし,刃を試験片に対し直角に保持しながら,切込み位置に切込みを入れるよう,装置
に取り付ける。
b)
刃を固定し,試験片が移動する切込み装置では,試験片を保持する位置を,規定の切込み長さにする
ため細かく調整する。
c)
刃の取付部及び試験片保持部の位置は,予備試験片を用いて切込みを入れ,顕微鏡で切込み長さを測
定して,調整する。切込み装置の刃は,切込み前に水又は石けん(鹸)水でぬらしてから用いる。
トラウザ形の試験片の場合は,鋭利なカッタ又はかみそりを用いる。
切込み長さは,6.1(試験片の種類)によって規定する。切込み長さの寸法測定装置は,0.05 mm の測定
精度をもつものを用いる。そのために,顕微鏡などを用いてもよい。顕微鏡は,照明付き移動台を備える,
倍率 10 倍以上のものが望ましい。接眼レンズは,試験片の切込み長さが分かるように,格子線又は十字線
を備えるものがよい。台の移動距離は,読取り顕微鏡で測定してもよい。
注記 引裂試験片の切込みに適した装置の詳細を記載した文献を,参考文献[3]に示す。
5.3
引張試験機
引張試験機は,JIS K 6272 の 2 級以上の精度をもつものを用いる。
注記 慣性式(振子式)の試験機は,摩擦及び/又は慣性の影響によって,結果が異なる可能性があ
る。この場合には,慣性力の影響がない非慣性式(例えば,電気式,光学式)の試験機を用い
るとよい。
5.4
つかみ具
つかみ具は,引き裂く力の増大とともに試験片を自動的に締め付け,試験片の幅方向に均一に力がかか
る機能をもつものを用いる。また,つかみ具は,試験片に締付け力が均等に,かつ,引張軸線上に収まる
ように装置へ取り付ける。アングル形試験片及びクレセント形試験片を測定する場合,試験片をつかみ具
に差し込む深さは,平行部の範囲内で試験片が十分な締め付けをもつ程度とする。トラウザ形試験片のつ
かみ具への取付けは,
図 3 による。
7
K 6252
:2007
図 3−トラウザ形試験片のつかみ具への取付け
6
試験片
6.1
試験片の種類
試験片の種類は,次による。
a)
切込みなしアングル形試験片 切込みなしアングル形試験片は,図 1 a)に示す打抜き型で打ち抜いた
試験片とする。
b)
切込みありアングル形試験片 切込みありアングル形試験片は,切込みなしアングル形試験片の内角
頂点の所に試験片面と直角方向に長さ 1.0 mm±0.2 mm の切込みを入れた試験片とする。
c)
クレセント形試験片 クレセント形試験片は,図 1 b) に示す打抜き型で打ち抜き,くぼみの中央に試
験片面と直角方向に長さ 1.0 mm±0.2 mm の切込みを入れた試験片とする。
d)
トラウザ形試験片 トラウザ形試験片は,図 1 c) に示す打抜き型で打ち抜き,短辺部の中央に,長辺
部と平行に 40 mm±5 mm の切込みを入れた試験片とする。
e)
デルフト形試験片 デルフト形試験片は,図 2 に示す構造の打抜き型で打ち抜くと同時に,試験片の
長辺部と短辺部の中心に,短辺部と平行に 5.0 mm±0.1 mm の切込みを入れた試験片とする。打ち抜
いた試験片の形状及び寸法を,
図 4 に示す。
単位
mm
図 4−デルフト形試験片の形状及び寸法
6.2
試験片の採取・作製
試験片の採取・作製は,JIS K 6250 によって,均一な厚さのシートから打ち抜いて作製する。シートの
厚さは,2.0 mm±0.2 mm が望ましい。製品から切り出したシート及び/又は研磨したシートから試験片を
作製するときは,この限りでない。
試験片に異物の混入しているもの,気泡のあるもの及びきずのあるものは,試験に用いてはならない。
8
K 6252
:2007
6.3
切込みあり試験片の切込み
6.3.1
切込みありアングル形試験片,クレセント形試験片及びトラウザ形試験片の切込み
切込みありアングル形試験片,クレセント形試験片及びトラウザ形試験片の切込みは,5.2 に規定する切
込み装置に従い,試験片の厚さ方向に対して平行(試験片の上下面に対しては直角)に入れる。
なお,トラウザ形試験片の切込みは,引裂きの起点となる部分に 1 mm 切り込む。
切込みを入れた試験片は,直ちに試験を行う。ただし,すぐに試験ができない場合は,試験をするまで
JIS K 6250
に規定する試験室の標準温度で保管する。しかし,試験片に切込みを入れてから試験までの時
間は,24 時間を超えてはならない。
なお,老化後に試験を行う場合,試験片の切込みは,老化後に入れる。
6.3.2
デルフト形試験片の切込み
デルフト形試験片の切込みは,
図 2 に示す形状の切込み刃を設けた打抜き型のジグによって,試験片の
厚さ方向に対して平行(試験片の上下面に対しては垂直)に打抜きと同時に切り込む。切込みを入れた試
験片は,直ちに試験を行う。ただし,すぐに試験ができない場合は,試験をするまで JIS K 6250 に規定す
る試験室の標準温度で保管する。しかし,試験片に切込みを入れてから試験までの時間は,24 時間を超え
てはならない。
6.4
試験片の列理
引裂強さは,特に列理(グレーン)の方向に影響されやすいので,採取した試験片の列理に対する方向
を表示しなければならない。できれば,互いに 90 度の 2 方向(列理の方向に対し直角及び平行)で測定で
きるように試験片を採取する。デルフト形試験片は,列理の方向と引張り方向とが直角になるように試験
片を採取する。製品などから採取し,列理方向が明確でない場合,その旨を記録する。
引裂きの方向は,アングル形試験片,クレセント形試験片及びデルフト形試験片の場合には,試験片の
長さの方向に直角,トラウザ形試験片の場合には試験片の長さの方向に平行とする。
6.5
試料及び試験片の状態調節
試料及び試験片の状態調節は,次による。
a)
試験片を打ち抜くシートは,打ち抜く前に 3 時間以上,JIS K 6250 に規定する試験室の標準温度で静
置する。
b)
打ち抜いた試験片の状態調節は,JIS K 6250 による。
c)
切込みを入れた試験片の状態調節は,6.3 による。
7
試験片の数
試験片の数は,アングル形試験片,クレセント形試験片及びトラウザ形試験片の場合には,同一方向で
5
個以上,できれば方向を変え 5 個以上ずつとする。デルフト形試験片の場合には,同一方向で 3 個,望
ましくは方向を変え 3 個ずつとする。
8
試験温度
試験温度は,JIS K 6250 に規定する標準試験温度とする。標準試験温度以外の温度で試験を行う場合に
は,JIS K 6250 のその他の試験温度から選択する。
9
試験方法
9.1
試験片の厚さ及び幅の測定
9
K 6252
:2007
厚さの測定は,JIS K 6250 に規定する方法によって,引裂き付近の少なくとも 3 か所以上で行い,その
中央値を試験片の厚さとする。一つの試験片の測定した厚さのばらつきが,厚さの中央値から 2.0 %を超
えるものを用いてはならない。
グループ間で比較を行うときは,それぞれのグループの厚さの中央値は,すべてのグループの厚さの中
央値から 10 %以上異なってはいけない。
デルフト形試験片の切込み外側の全幅は,打抜き刃の幅と切込み刃の幅との差を用いる。
注記 デルフト形試験片の幅を読取り顕微鏡によって測定する方法を,附属書 JA に示す。
9.2
試験片つかみ具の移動速度
引裂試験における試験片つかみ具の移動速度は,次による。
a)
切込みなしアングル形試験片 500
mm/min
±50 mm/min
b)
切込みありアングル形試験片 500
mm/min
±50 mm/min
c)
クレセント形試験片
500
mm/min
±50 mm/min
d)
トラウザ形試験片
100
mm/min
±10 mm/min
e)
デルフト形試験片
500
mm/min
±50 mm/min
9.3
引き裂く力の読取り方
試験機のつかみ具に試験片を取り付ける。試験片を 9.2 のつかみ具の移動速度で引っ張り,次の方法で
引き裂く力を読み取る。
a)
切込みなしアングル形試験片,切込みありアングル形試験片及びクレセント形試験片の場合は,試験
片が切断に至るまでの最大の引き裂く力を読み取る。
b)
トラウザ形試験片の場合は,試験片が切断に至るまでの引き裂く力と引裂時間とのグラフ(波状曲線)
を記録し,このグラフから引き裂く力の中央値を JIS K 6274 によって求める。
c)
デルフト形試験片の場合は,つかみ具の間隔を 30 mm とし,切込みが中央になるよう取り付け,試験
片が切断に至るまでの引き裂く力の最大値を読み取る。
10
計算
引裂強さは,箇条 7 に規定する数の試験片によって得られた値の中央値を JIS Z 8401 によって丸めの幅
0.1
のけたで表し,範囲値も求める。
a)
切込みなしアングル形試験片,切込みありアングル形試験片,クレセント形試験片及びトラウザ形試
験片の引裂強さは,次の式で求める。
t
F
T
=
R
ここに, T
R
: 引裂強さ (kN/m)
F
: 切込みなしアングル形試験片,切込みありアングル形試験片,
クレセント形試験片の場合は,引き裂く力の最大値 (N),
トラウザ形試験片の場合は,JIS K 6274 によって求めた引き裂
く力の中央値 (N)
t
: 試験片の厚さ (mm)
b)
デルフト形試験片の引裂強さは,次の式で求める。
bt
F
F
8
0
=
ここに, F
0
: 引裂強さ (N)
10
K 6252
:2007
8
: b (4 mm) 及び t (2 mm) の名目上の値の積
F
: 引き裂く力の最大値 (N)
b
: 切込み外側の全幅 (mm)
t
: 試験片の厚さ (mm)
11
試験精度
(対応国際規格では,試験精度を規定しているが,結果に基づく判定のための規定項目がないため,不
採用とした。
)
12
記録
試験成績表には,次の事項を記録する。
a)
規格番号
b)
試料識別の詳細
c)
試験片の種類
d)
引裂強さの中央値,範囲値及び個々の測定結果
e)
各試験片の厚さの中央値
f)
試験片の列理に対する引裂方向
g)
試験温度
h)
アングル形試験片の場合,切込みの有無
i)
試験中及び試験後の特記事項[例 切込みの引裂きの成長・伝ぱ(播)方向]
j)
試験年月日,分かれば加硫年月日
11
K 6252
:2007
附属書 JA
(
参考)
読取り顕微鏡によるデルフト形試験片の全幅の測定方法
序文
この附属書は,
読取り顕微鏡によるデルフト形試験片の全幅の測定方法について記載するものであって,
規定の一部ではない。
JA.1
趣旨
デルフト形試験片の引き裂かれた実際の幅は,切込み外側の全幅に相当する。切込みの幅は,本体 9.1
(試験片の厚さ及び幅の測定)の規定に基づき,打抜き刃の幅と切込み刃の幅との差を用いる。しかし,
同じ打抜き刃によって試験片を作製しても,硬さの異なる加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの場合に,切込み長
さ及び試験片の幅において変動が生じることがある。さらに,切込みがその深さ方向に均一にならないこ
と及び/又は切り込まれた表面が広くなることがある。このため正確を期すためには,測定方法は困難で
一般的ではないが次の方法で,切込みの幅を測定することが望ましい。
JA.2
測定
JA.2.1
読取り顕微鏡
読取り顕微鏡は,倍率 10 倍以上で 0.01 mm 間隔の目盛をもつものを用いるとよい。
JA.2.2
測定方法
打抜き型から打ち抜いた切込み入りの予備試験片を用い,その予備試験片の切込み面の部分をかみそり
刃で切断し,試験時に引き裂かれる幅(切込みの両外側の全幅)を測定する。かみそり刃で切断された切
込みの両外側の全幅を,読取り顕微鏡で測定する。切込みの端は,
図 JA.1 に示すようにわい曲しており,
切込みの両側の幅を測定する場合は,そのわい曲を考慮する。左側 b
1
の幅は,線 AB から全体の面積が S
1
+S
2
=S
3
となる仮想線 A
′B′までの距離とする。右側においても同様に,全体の面積 S
1
′+S
2
′=S
3
′となる線
C
′D′を推定し,b
2
の幅を得る。切込み両外側の引き裂かれるゴムの全幅 b は,b
1
+b
2
となる。
単位 mm
図 JA.1−デルフト形試験片の切断面
12
K 6252
:2007
附属書 JB
(
参考)
JIS
と対応する国際規格との対比表
JIS K 6252 : 2007
加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引裂強さの求め方
ISO 34-1 : 2004
Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of tear strength
−Part 1 : Trouser, angle and crescent pieces
ISO 34-2 : 1996
Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of tear strength
−Part 2 : Small (Delft) test pieces
(Ⅰ) JIS の規定
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JIS と国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
箇条番号及び
名称
内容
(Ⅱ)
国際
規格
番号
箇 条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
(Ⅴ) JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
1
適用範囲
5
種の引裂強さを規定
ISO 34-1
ISO 34-2
1
1
4
種を規定
1
種を規定
変更
二つの ISO 規格を一つの JIS に,
まとめた。
構成の変更であり,技術的な差は
ない。
2
引用規格
3
用語及び定義
四つの引裂強さを定義
ISO 34-1
3
三つの引裂強さを
定義
追加
用語及び通則の JIS を引用。
デルフト形の定義を追加。
二つの ISO 規格を統合したため
で実質的な差異はない。
ISO 34-1
1
,4
変更
原理に関する記載を,適用範囲か
ら移動。
構成の変更であり,技術的な差は
ない。
4
原理
ISO 34-2
3
一致
試 験 片 の 打 抜 き 型 の 規
定に,
JIS K 6250
を引用。
ISO 34-1
5
−
追加
ISO
規格は,試験片の打抜型の規
定に,ISO 23529 を引用していな
い。
分かりやすくするための引用で,
技術的な差はない。
5
試験装置
引 張 試 験 機 は , JIS K
6272
の 2 級以上
ISO 34-2
4
変更
デルフト形試験片の最大引裂力の
測定範囲を変更。
測定範囲は,ISO 34-1 に整合さ
せるよう ISO 34-2 改正時に提案
する。
試 験 片 の 採 取 ・ 作 製 に
JIS K 6250
を引用。
ISO 34-1
ISO 34-2
6
5.1
−
追加
ISO
規格は,試験片の採取・作製
に,ISO 23529 を引用していない。
分かりやすくするための追加で,
技術的な差はない。
6
試験片
列理について補足説明
列理について簡単
に説明
追加
分かりにくいので,説明を追加。
7
試験片の数
ISO 34-1
ISO 34-2
7
5.3
一致
12
K 625
2
:
2
007
12
K 625
2
:
2
007
13
K 6252
:2007
(Ⅰ) JIS の規定
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JIS と国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
箇条番号及び
名称
内容
(Ⅱ)
国際
規格
番号
箇 条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
(Ⅴ) JIS と国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
8
試験温度
ISO 34-1
ISO 34-2
8
6
一致
9
試験方法
9.1
試験片の厚さ
及び幅の測定
ISO 34-1
ISO 34-2
9
5.2.1
寸法測定
削除
顕微鏡によるデルフト形試験片の
幅測定を附属書 JA(参考)に変更。
ISO
規格に実際的に測定困難,と
の記述あるので JIS は参考とし
た。ISO 規格からの削除を提案す
る。
9.2
試験片つかみ
具の移動速度
ISO 34-1
ISO 34-2
9
4.1
つかみ具の移動速
度
一致
9.3
引き裂く力の
読取り方
ISO 34-1
ISO 34-2
9
7
操作方法
一致
10
計算
計算式
ISO 34-1
ISO 34-2
10
8
計算式
変更
引裂強さの記号を変更。また,値
の丸め方を規定。
引張試験の引張強さと区別する
ためで,技術的な差異はない。
11
試験精度
ISO 34-1
ISO 34-2
11
9
精度データ
削除
日本は ITP に参加しておらず,ま
た結果に基づく判定規定項目もな
いため JIS では削除。
次回 ITP に参加し,次の JIS 改正
時に採用する。
12
記録
ISO 34-1
ISO 34-2
12
10
一致
附属書 JA(参考) 読取り顕微鏡によるデ
ルフト形試験片の全幅
の測定方法
ISO 34-2
5.2.2
試験片の全幅の測
定方法
削除
ISO
規格に実際的に測定困難であ
り一般的な方法でない,と記載さ
れており参考とした。
ISO
規格からの削除を提案する。
JIS
と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 34-1:2004,ISO 34-2 : 1996:MOD
13
K 625
2
:
2
007
13
K 625
2
:
2
007
14
K 6252
:2007
注記 1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致技術的差異がない。
− 削除国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更国際規格の規定内容を変更している。
注記 2 JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD 国際規格を修正している。
14
K 625
2
:
2
007
14
K 625
2
:
2
007
15
K 6252
:2007
参考文献
[1] KAINRADL, P. and HANDLER, F., Rubber Chemistry and Technology, 33, 1960, pp.1438
[2] BUIST,
J.M.,
Rubber Chemistry and Technology, 23, 1950, pp.137
[3] BUIST, J. M. and KENNEDY, R. L., India Rubber Journal, 110, 1946, pp.809