K 6235:2006
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本ゴム工業会
(JRMA)/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 6235 : 1999は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 17564 : 2001,Nitrile rubber−
Determination of residual unsaturation in hydrogenated nitrile rubber (HNBR) by iodine valueを基礎として用いた。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS K 6235には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定) ウィイス溶液の調製方法
附属書1(参考) HNBRのよう素価の測定精度結果
附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表
K 6235:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 原理 ······························································································································ 2
4. 試薬 ······························································································································ 2
4.1 クロロホルム ················································································································ 2
4.2 ウィイス溶液 ················································································································ 2
4.3 よう化カリウム水溶液 (100 g/L) ······················································································· 2
4.4 でんぷん水溶液 (10 g/L) ·································································································· 2
4.5 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準水溶液 ············································································ 2
5. 装置及び器具 ·················································································································· 2
5.1 振とう機 ······················································································································ 2
5.2 恒温水槽 ······················································································································ 2
5.3 化学はかり ··················································································································· 2
5.4 共栓付三角フラスコ ······································································································· 2
5.5 全量ピペット ················································································································ 2
5.6 ビュレット ··················································································································· 2
6. 試験方法 ························································································································ 2
7. 結果の表示 ····················································································································· 3
8. 試験報告書 ····················································································································· 3
附属書A(規定)ウィイス溶液の調製方法 ················································································ 4
附属書1(参考)HNBRのよう素価の測定精度結果 ····································································· 5
附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ··································································· 6
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日本工業規格 JIS
K 6235:2006
原料ゴム−HNBRのよう素価法による
残留不飽和結合量の求め方(定量)
Rubber, raw-Determination of residual unsaturation in HNBR by iodine
value
序文 この規格は,2001年に第1版として発行されたISO 17564,Nitrile rubber−Determination of residual
unsaturation in hydrogenated nitrile rubber (HNBR) by iodine valueを翻訳し,技術的内容を変更して作成した
日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書2(参考)に示す。
警告 この規格の利用者は,通常の試験室の作業に精通しているものとする。この規格は,その使用に関
連して起こるすべての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自の責任
において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
1. 適用範囲 この規格は,原料ゴムの水素化ニトリルゴム(以下,HNBRという。)の残留不飽和結合
量(以下,よう素価という。)を,よう素付加反応によって求める方法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 17564 : 2001,Nitrile rubber−Determination of residual unsaturation in hydrogenated nitrile rubber
(HNBR) by iodine value (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6298 原料ゴム−天然ゴム・合成ゴム−試験用試料の採取手順
備考 ISO 1795 : 2000,Rubber, raw natural and raw synthetic−Sampling and further preparative
proceduresからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8322 クロロホルム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8403 三塩化よう素(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
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JIS K 8920 よう素(試薬)
3. 原理 原料ゴムのHNBRをクロロホルムに溶解する。クロロホルム溶液に過剰のウィイス溶液を加え,
一定時間HNBR中の残留不飽和結合によう素を付加させる。次に,よう化カリウム溶液を加え,遊離した
よう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,よう素価を計算によって求める。
4. 試薬 試薬は,次の分析用試薬を用いる。水は,蒸留水,イオン交換水又はそれと同等のものを用い
る。
4.1
クロロホルム JIS K 8322に規定するもの。
4.2
ウィイス溶液 附属書Aによって調製する。
4.3
よう化カリウム水溶液 (100 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウムを用いて調製する。
4.4
でんぷん水溶液 (10 g/L) JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)を用いて調製する。
4.5
0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準水溶液 JIS K 8001の4.5 (21.2)(0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶
液)に規定するもの。
5. 装置及び器具 装置及び器具は,次による。
5.1
振とう機
5.2
恒温水槽 25 ℃±1 ℃に制御できるもの。
5.3
化学はかり 0.1 mgのけたまではかることができるもの。
5.4
共栓付三角フラスコ 容量が300 cm3のもの(以下,三角フラスコという。)。
5.5
全量ピペット 容量が10 cm3及び25 cm3のもの。
5.6
ビュレット 容量が50 cm3で,0.1 cm3の目盛まで読み取ることができるもの。
6. 試験方法
6.1
JIS K 6298に従って選定した試料をよう素価に応じ,表1に従って,0.1 mgのけたまではかり取り,
三角フラスコに入れる。
表 1 試料の適正採取質量
予想されるよう素価
(よう素g/試料100 g)
試料質量
g
30を超え
0.35〜0.40
15を超え 30以下
0.40〜0.50
8を超え 15以下
0.50〜0.70
8以下
0.90〜1.0
6.2
三角フラスコにクロロホルム (4.1) 50 cm3を加え,栓をして,振とう機を用いて室温で試料を完全に
溶解する。試料が完全に溶解した後,25 ℃±1 ℃の恒温水槽で約30分間静置する。
6.3
恒温水槽から三角フラスコを取り出し,ウィイス溶液 (4.2) 25 cm3をピペットを用いて加え,栓をし,
均一になるまで軽く振り混ぜる。次いで,25 ℃±1 ℃の恒温水槽中に120分±5分間静置し,よう素の付
加反応を終結させる。
3
K 6235:2006
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6.4
次に,恒温水槽から三角フラスコを取り出し,素早くピペットを用いて10 cm3のよう化カリウム水
溶液 (4.3) を加え,直ちに三角フラスコに栓をし,強く振り混ぜる。
6.5
栓を少し緩め,洗浄瓶を用いて,栓及び接合部をできるだけ少量の蒸留水で洗浄し,直接三角フラ
スコ内に流し込む。再び栓をし,緩やかに三角フラスコを振り混ぜた後,室温で5分間静置する。
6.6
次に,チオ硫酸ナトリウム水溶液 (4.5) を用いて,三角フラスコを緩やかに振り混ぜながら滴定す
る。上層の水相が少し黄色になったときに,約1 cm3のでんぷん水溶液 (4.4) を加え,栓をした後,強く
振り混ぜる。よう素でんぷん反応による紫色が消失するまで,三角フラスコをよく振り混ぜながら滴定を
続ける。チオ硫酸ナトリウム水溶液による滴定は,よう化カリウム水溶液を加えてから30分以内に完了さ
せることが重要である。
備考 でんぷん水溶液を加えたときには,クロロホルム相に含まれる未反応のよう素を水相のでんぷ
んと完全に反応させるため,強く振り混ぜることが重要である。
6.7
栓をした後,室温で約30分間三角フラスコを静置する。再び発色したら,滴定液を加えてよく振り
混ぜながら,色が完全に消えるまで滴定する。
6.8
試料を入れないで,6.2〜6.7までの操作によって,空試験を行う。
7. 結果の表示
7.1
よう素価は,次の式によって小数点第2位まで算出する。
m
c
V
V
A
69
.
12
)
(
1
0
×
×
−
=
ここに, A: よう素価(よう素g/試料100 g)
V0: 空試験の滴定量 (cm3)
V1: 試料の滴定量 (cm3)
m: 試料の質量 (g)
c: チオ硫酸ナトリウム溶液の濃度 (mol/L)
12.69: よう素の原子量
000
1
100
)9.
126
(
×
8. 試験報告書 試験報告書には,次の事項を含めなければならない。
a) この規格を引用した旨の記述
b) 試料の履歴
c) よう素価
d) 測定日
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附属書A(規定)ウィイス溶液の調製方法
1. 適用範囲 この附属書は,ウィイス溶液の調製方法について規定する。
2. 調製手順 ウィイス溶液は,次に示す手順で調製する。
a) JIS K 8403に規定する三塩化よう素4.8〜5.2 gを0.1 gの単位まではかり取り,ポリテトラフルオロエ
チレンで被覆した栓の付いたl Lの褐色瓶に入れる。
b) あらかじめJIS K 8920に規定するよう素5.5 gを0.1 gの単位まではかり取り,1 Lの共栓付三角フラ
スコに入れ,JIS K 8355に規定する酢酸640 cm3を加えて溶解する。
c) b) で調製したよう素−酢酸溶液を,三塩化よう素の入った褐色瓶に注意しながら加え,混合する。
d) 褐色瓶に調製日を記入して,冷暗所に保存する。この溶液の使用期限は30日であり,これを過ぎたも
のは使用してはならない。
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附属書1(参考)HNBRのよう素価の測定精度結果
1. 附属書1表1は,ISO/TR 9272に従って実施したこの試験方法の測定精度結果であって,規定の一部
ではない。
2. よう素価の異なる三つの試料(HNBRのグレード)を用いて,四つの試験室において,試験室内の繰
返し精度,試験室間の再現性精度の検討を行った。各試験室では,1週間の間隔をおいて2日間試験を行
い,それぞれの日では複数の試験を行った。
附属書1表 1 HNBRのよう素価の測定精度結果
HNBR
よう素価
(g よう素/
試料100 g)
試験室内
試験室間
平均値
Sr
r
(r)
SR
R
(R)
1
5.05
0.184
0.520
10.30
0.259
0.732
14.50
2
10.38
0.148
0.420
4.05
0.596
1.686
16.24
3
26.86
0.240
0.679
2.53
0.498
1.409
5.25
備考 Sr :試験室内の標準偏差
r :試験室内の再現精度(測定値で表示)
(r) :試験室内の再現精度(%で表示)
SR :試験室間の標準偏差
R :試験室間の再現精度(測定値で表示)
(R):試験室間の再現精度(%で表示)
関連規格 ISO/TR 9272 : 1986 Rubber and rubber products−Determination of precision for test method
standards
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附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 6235 : 2006 原料ゴム−HNBRのよう素価法による残留不
飽和結合量の求め方(定量)
ISO 17564 : 2001,ニトリルゴム−水素化ニトリルゴム (HNBR) のよう素価法による残留不飽和結
合量の求め方
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの評価及びその
内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
1. 適用範囲
1
IDT
−
−
2. 引用規格
JIS K 6298
JIS K 8001
JIS K 8322
JIS K 8355
JIS K 8403
JIS K 8659
JIS K 8913
JIS K 8920
ISO
17564
2
ISO 1795 : 2000
MOD/変更
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
JISからの引用事項は,ISO規格の該当事項
と同等である。
JISは,ISO規格が規定していない,試薬の
内容を,引用規格で規定するため追加。
−
技術的差異は実質的にない。
3. 原理
3
IDT
−
−
4. 試薬
4
試薬の説明
MOD/追加
引用規格追記
技術的差異は実質的にない。
5. 装置及び器具
5
IDT
−
−
6. 試験方法
表1
6
表1
MOD/変更
区切りの値における試料質量が明確になる
よう,表現を変更
次回ISO規格見直し時に提案する。
7. 結果の表示
計算式
7
計算式
MOD/変更
計算式の間違いを修正
次回ISO規格見直し時に提案する。
8. 試験報告書
9
IDT
−
−
6
K
6
2
3
5
:
2
0
0
6
6
K
6
2
3
5
:
2
0
0
6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7
K 6235:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの評価及びその
内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
附属書A(規定)
Annex A
(規定)
IDT
−
−
附属書1(参考)
8
測定精度結果
MOD/削除
本体から附属書(参考)へ移行,ISO規格の
計算結果に誤りがあるため,JISは新たに測
定精度を実施。
次回ISO規格見直し時に提案する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
7
K
6
2
3
5
:
2
0
0
6
7
K
6
2
3
5
:
2
0
0
6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。