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K 6234 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

今回の制定は,国際規格に整合させるために,ISO 7269 : 1995 を基礎として用いた。

JIS K 6234 : 1998

には,次に示す

附属書がある。

附属書 A(規定)  遊離硫黄の定量−銅網法及び亜硫酸ナトリウム法による分析に及ぼす各種市販加

硫促進剤の影響


日本工業規格

JIS

 K

6234

: 1998

ゴム−遊離硫黄の定量

Rubber

−Determination of free sulfur

序文  この規格は,1995 年に第 2 版として発行された ISO 7269, Rubber−Determination of free sulfur を基に,

対応する部分については対応国際規格を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成し

た日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目を日本工業規格として追加してい

る。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。

警告  この規格の利用者は,通常の実験室の作業に精通しているべきである。この規格は,その使用

に関連して起こるすべての安全上の問題を扱おうとするものではない。この規格の利用者は,

各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置を講じ,各国の規制条件に合致すること

を確認しなければならない。

1.

適用範囲

1.1

この規格は,加硫ゴム中の遊離硫黄の定量方法について規定する。この方法には,4 種類ある。すな

わち,銅網法(A 法及び B 法)2 種,亜硫酸ナトリウム法及び臭素法である。

1.2

銅網法は,4.の制限事項に従うならば,未加硫ゴムにも適用できる。

1.3

附属書 には,遊離硫黄定量法における各種加硫促進剤中の硫黄の影響を示す。

備考  この規格の対応国際規格は,ISO 7269 : 1995, Rubber−Determination of free sulfur である。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの

規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年(又は発行年)を付

記していない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 6229

  ゴム−溶剤抽出物の定量

備考  ISO 1407 : 1992, Rubber−Determination of solvent extract からの引用事項は,この規格の該当

事項と同等である。

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

備考  ISO 383 : 1976, Laboratory glass ware−Interchangeable conical joints からの引用事項は,この規

格の該当事項と同等である。

3.

原理

3.1

銅網法  法及び 


2

K 6234 : 1998

3.1.1

銅網法 法  試料中の遊離硫黄をアセトン抽出する。アセトンを入れたフラスコ内に,らせん状

に巻いた清浄な銅網を入れること以外は,JIS K 6229 に規定する溶剤抽出物の定量と同じ方法で抽出する。

銅は,抽出された硫黄と反応して硫化銅になる。これを塩酸で処理する。生成した硫化水素を酢酸カドミ

ウム溶液にとおし,生成した硫化カドミウムを,よう素滴定法で定量する。

3.1.2

銅網法 法  この方法は,じん速法であって,抽出温度を高めるために容量を小さくした (6cm

3

)

蒸気ジャケット付ソックスレー抽出器を用いて抽出時間を短くする以外は銅網法 A 法と同じである。

3.2

亜硫酸ナトリウム法  試料中の遊離硫黄を水溶性の亜硫酸ナトリウムと反応させ,生成したチオ硫

酸ナトリウムをよう素滴定法で定量する。

3.3

臭素法  試料中の遊離硫黄を JIS K 6229 に規定する方法でアセトン抽出し,抽出物を試料とする。

臭素と水を加えて反応させ,過剰の塩化バリウム溶液を加える。硫酸バリウムとして沈殿法によって定量

する。

なお,この方法は,ISO 法(銅網法 A 法,B 法及び亜硫酸ナトリウム法)では測定に適さない遊離硫黄

の多い場合にも適用できる。

4.

制限事項

4.1

銅網法では,通常単体硫黄だけが定量される。チウラムジスルフィド及びジアミノスルフィドのよ

うな単体硫黄と同等の硫黄を含む加硫促進剤が存在する場合は,測定値が大きくなることがある。さらに,

アセトンに溶けない形の単体硫黄すなわち“不溶性”又は無定形硫黄と呼ばれている単体硫黄の形で添加

されている場合には,未加硫ゴムの分析に適さない。試料中の全遊離硫黄量は,0.2mg∼10mg でなければ

ならない。

4.2

亜硫酸ナトリウム法は,単体硫黄と同等の硫黄を含む加硫促進剤及び老化防止剤の存在に対する反

応性が高いため,この方法は,未加硫ゴムに用いてはならない。

4.3

単体硫黄と同等の硫黄を含む化合物が存在しない場合は,どの方法も同等である。

備考  実際には,遊離単体硫黄の定量に加えて,チウラムジスルフィド及びポリスルフィド中の硫黄

のような配位結合した反応性硫黄もこの方法で検出されることがある。

5.

銅網法  

5.1

試薬及び材料  この分析には,分析用認証試薬及び蒸留水又は同等の純度の水を用いる。

5.1.1

アセトン

5.1.2

酢酸カドミウム緩衝溶液  酢酸カドミウム二水和物 [(CH

3

COO)

2

Cd

・2H

2

O] 25g

及び酢酸ナトリウ

ム三水和物 [(CH

3

COO) Na

・3H

2

O]

5.1.3

銅網  目の開きが 250

µm∼420µm(40 メッシュ∼60 メッシュ)のもの。

5.1.4

ろ紙又はポリアミド布  ゴム試料を包むために用いる。

5.1.5

塩酸  (1+1)  水 1 容に塩酸[

ρ

20

=1.18Mg/m

3

, 36% (m/m)

]1 容を加える。

5.1.6

硝酸  (HNO

3

)

=10mol/dm

3

  水 6 容に硝酸[

ρ

20

=1.42Mg/m

3

, 70% (m/m)

]10 容を加える。

5.1.7

よう素溶液  (I

2

)

≒0.025mol/dm

3

5.1.8

チオ硫酸ナトリウム標準溶液  (Na

2

S

2

O

3

)

=0.05mol/dm

3

5.1.9

でんぷん  1g/100cm

3

溶液

5.1.10

窒素ガス

5.1.11

グリセリン  実験用試薬


3

K 6234 : 1998

5.2

器具  図 及び図 に示す器具の組立には,通常の実験室用器具に加えて,5.2.15.2.10 に示す器具

が必要である。同じ機能をもつものであれば,代わりの器具を用いてもよい。すべてのすり合わせガラス

継手は,JIS R 3503 の要求事項に従うものであって,組立前にグリセリン(5.1.11 参照)を塗布し,漏れ

がないように密着させなければならない。

5.2.1

抽出フラスコ(A)  容量 150cm

3

,34/35 すり合わせガラス継手付き

5.2.2

ソックスレー抽出器(Y)  34/35 すり合わせ及び 34/35 すり合わせ付きサイホンカップ (P) の容量が

20cm

3

∼30cm

3

のもの。

5.2.3

グラハム冷却器(Z)  液が滴下しやすいように先端を斜めにカットした 34/35 すり合わせ付き。

5.2.4

異径アダプター(D)  14/23 すり合わせ及び 34/35 すり合わせ付き。組み立てたときに抽出フラスコ

(5.2.1)

の底から 3mm 以内の位置まで届くガス導入管を備えたもの。

参考  “異径アダプター”は原国際規格では“Rgduction adapter”である。

5.2.5

三角フラスコ(J)  容量 250cm

3

,24/29 すり合わせガラス継手付き。

5.2.6

ガス洗浄瓶(KL)

5.2.7

受けフラスコアダプター(E)  10/19 すり合わせ及び 24/29 すり合わせ付き。内部に密封された導出

管を備えたもの。

5.2.8

リービヒ冷却器(F)  有効長さ約 22cm,液が滴下しやすいように先端を斜めにカットした 14/23 す

り合わせ,14/23 すり合わせ及び 10/19 テーパーすり合わせ継手付枝管が付いたもの。

5.2.9

滴下漏斗(G)  容量 100cm

3

,14/23 すり合わせ継手付き。ステムに 14/23 活せんが付いたもの。

5.2.10

微小浸せきろ過器(エミッヒ型)(H)  ステム長さ約 75mm,ディスク径 10mm,開孔度等級 3 級。

5.2.11

実験室用ミル

5.3

操作

5.3.1

銅網の作り方

5.3.1.1

銅網(5.1.3 参照)約 5g を幅 10mm のひも状に切り,直径約 20mm のらせん状に軽く丸める。銅

線で輪を作り,適切な場所で巻いたものを留めておくと便利である。

5.3.1.2

使用する直前に,銅網の表面がさびのない輝色を呈するまで数秒間硝酸(5.1.6 参照)に浸す。繰

り返し十分に水洗して酸を完全に除去した後,アセトン(5.1.1)で洗浄し,乾燥させる。

5.3.2

遊離硫黄の抽出

5.3.2.1 1.7mm

のふるい目を通るようにゴムを細かく切断するか,又は厚さが 0.5mm 以下になるまで薄く

圧延する。試料約 1g を 0.1mg まで量る[質量=m (g)]

。硫黄が明らかにブルームを起こしている場合には,

試料約 0.5g を 0.1mg まで量る。

未加硫ゴムの場合には,遊離硫黄の含有量が 10mg 以下になるように試料を採取する。

5.3.2.2

5.3.1

に規定されたように調製した,らせん状の銅網を 150cm

3

抽出フラスコ(A)5.2.1 参照)内に

置き,さらに 5.3.2.3 の手順で試料を 4 時間以上抽出する。

5.3.2.3

質量を量った試料をろ紙又はポリアミド布(5.1.4 参照)

(あらかじめアセトンで洗浄しておく。

に包み,ゴムが下に落ちないように,また,ゴムが互いに重なり合わないように軽く丸める。これをソッ

クスレー抽出器(Y)(5.2.2 参照)に入れ,抽出フラスコ(A)にアセトン 75cm

3

を注ぎ入れる。器具を組み立

て,蒸留されたアセトンが 1 時間に 10 回∼20 回サイホンカップを満たすように加熱速度を調節する。

5.3.2.4

抽出時間が経過した時点で,銅網がひどく黒ずんでいる場合は,5.3.1 の銅網の作り方によって別

に準備した,らせん状銅網を加え,さらに 2 時間抽出する。

表面の黒ずみが認められない場合には,約 10mm 角の銅網片を加えて 1 時間抽出する。


4

K 6234 : 1998

5.3.2.5

抽出フラスコを取り外し,異径アダプター(D)(5.2.4 参照)に移し,微小浸せきろ過器(H)(5.2.10

参照)を用いてアセトンをろ過して除く。約 20cm

3

ずつの熱アセトンでらせん状銅網を 3 回洗浄する。1

回ごとに洗浄液を微小浸せきろ過器を用いて除去する。

5.3.3

抽出した遊離硫黄の定量

5.3.3.1

銅網を入れた抽出フラスコ(A)に微小浸せきろ過器(H)及び異径アダプター(D)を取り付け,

図 

示す装置を組み立てる。酢酸カドミウム溶液(5.1.2 参照)100cm

3

を三角フラスコ(J)(5.2.5 参照)に入れ,

ガス洗浄瓶(K)及び(L)(5.2.6 参照)にも約 10mm の深さまで酢酸カドミウム溶液を注ぎ入れる。装置に窒

素ガス(5.1.10 参照)を流して空気を追い出した後,三角フラスコ(J)内に,1 秒間に約 1 回泡が注入され

るように,窒素ガスの流量を調節する。

5.3.3.2

漏斗(G)(5.2.9 参照)を用いて塩酸(5.1.5 参照)50cm

3

を抽出フラスコ(A)に徐々に注ぎ入れ,穏

やかに加熱して沸騰させ,そのまま緩やかに 20 分∼30 分間沸騰させる。時間とともに窒素ガスの流量を

増やし,硫化水素を抽出フラスコ内に完全に行きわたらせる。ガス洗浄瓶(K)内の溶液は無色透明でなけれ

ばならない。溶液が無色透明でない場合には,窒素ガスの流量が多すぎたことを意味する。この場合には,

前よりも少量の試料を用い,ガス流量を下げて試験を繰り返す。受けフラスコアダプター(E)(5.2.7 参照)

を冷却器の枝管から外す。このアダプターは傾けて置く。抽出フラスコ内によう素が過剰に存在するよう

に既知容量 のよう素溶液(5.1.7 参照)

(通常は 20cm

3

が適している。

)をピペットで量り採り,三角フラ

スコ(J)に加える。

5.3.3.3

よう素を導入管に付着した沈殿とともに十分に反応させ,沈殿が完全に溶解したら管を外してよ

く水洗する。溶液を約 15℃まで冷却する。でんぷん溶液(5.1.9 参照)を指示薬として,過剰のよう素をチ

オ硫酸ナトリウム標準溶液(5.1.8 参照)で滴定する。その体積を  (V

1

)

とする。

5.3.3.4

5.3.3.2

で使用した同じ容量 のよう素溶液(5.1.7 参照)及び酢酸カドミウム溶液(5.1.2 参照)

100cm

3

を用いて,試料を加えず同じ手順で空試験を行う。滴定に要したチオ硫酸ナトリウム標準溶液の体

積を  (V

2

)

とする。

5.3.3.5

空試験に要したチオ硫酸ナトリウム溶液の体積と定量に要したチオ硫酸ナトリウム溶液の体積

の差が,硫化カドミウムと反応したよう素量である。

5.4

結果の表示  遊離硫黄は,次の式によって算出し,質量%で表す。

m

c

V

V

)

(

2

.

3

1

2

ここに,

V

1

定量中に過剰のよう素と反応したチオ硫酸ナトリウム標準
溶液(5.1.8)の体積 (cm

3

)

5.3.3.3 参照)

V

2

空試験に用いたよう素溶液(5.1.7)Vcm

3

に等しい滴定に要し

たチオ硫酸ナトリウム標準溶液(5.1.8)の体積 (cm

3

)

5.3.3.4

参照)

c

滴定に使用したチオ硫酸ナトリウム標準溶液(5.1.8)の実際
の濃度 (mol/dm

3

)

m

試料の質量 (g) (5.3.2.1 参照)

参考  係数は,原国際規格には,1.6 と記載されているが,3.2 が正しい。

6.

銅網法  

6.1

試薬  5.1 銅網法の A 法を参照


5

K 6234 : 1998

6.2

器具  図 に示す器具の組立には,通常の実験室用器具に加えて,6.2.16.2.4 に示す器具が必要で

ある。同じ機能をもつものであれば,代わりの器具を用いてもよい。すべてのすり合わせガラス継手は,

JIS R 3503

の要求事項に従うものであって,組立前にグリセリン(5.1.1.1 参照)を塗布し,漏れがないよ

うに密着させなければならない。

6.2.1

抽出フラスコ(A)  容量 150cm

3

  34/35 すり合わせガラス継手付き。

6.2.2

ソックスレー抽出器(B)  19/23 すり合わせ及び 14/19 すり合わせ付き。サイホンカップの容量が

6cm

3

のもの。

外管付きソックスレー抽出器の代わりに,JIS K 6229 

図 に示す型のソックスレー抽出器を用いても

よい。

6.2.3

グラハム冷却器(C)  液が滴下しやすいように先端を斜めにカットした 19/26 すり合わせ付き。

6.2.4

異径アダプター(X)  34/35 すり合わせ及び 14/19 すり合わせ付き。

6.3

操作  5.3 に規定する銅網法 A 法の手順と同じであるが,5.3.2.2 は,次のように読み替えるものとす

る。

5.3.1 に規定されたように調製した,らせん状の銅網を

図 の 150cm

3

抽出フラスコ(A)(6.2.1 参照)

内に置き,さらに 5.3.2.3 の規定する手順で試料を 1 時間以上抽出する。

5.3.2.4

は,次のように読み替えるものとする。

“抽出時間が経過した時点で銅網がひどく黒ずんでいる場合は,銅網の作り方(5.3.1 参照)によって別

に準備した,らせん状銅網を加え,さらに 10 分間抽出する。銅網表面の黒ずみが認められない場合は,約

10mm

角の銅網片を加えて 10 分間抽出すれば十分である。

さらに,5.3.2.5 は,次のように読み替えるものとする。

“抽出フラスコを取り外し,異径アダプター(X)(6.2.4 参照)に移し,微小浸せきろ過器(H)(5.2.10 

照)を用いてアセトンをろ過しながら除く。約 20cm

3

ずつの熱アセトンで,らせん状銅網を 3 回洗浄する。

1

回ごとに洗浄液を微小浸せきろ過器を用いて除去する。

6.4

結果の表示  5.4 を参照のこと。

7.

亜硫酸ナトリウム法

7.1

試薬及び材料  この分析には,分析用認証試薬及び蒸留水又は同等の純度の水を用いる。

7.1.1

亜硫酸ナトリウム溶液  無水亜硫酸ナトリウム (Na

2

SO

3

) 50g

又は亜硫酸ナトリウム 7 水和物

(Na

2

SO

3

・7H

2

O) 100g

を 1dm

3

の水に溶かす。この溶液は,1 週間に 1 度新しく調製しなければならない。

7.1.2

流動パラフィン

7.1.3

活性炭(粒状)  ガス吸収用に 250℃∼300℃で 45 分間加熱して活性化したもの。

7.1.4

ホルムアルデヒド溶液  300g/dm

3

∼400g/dm

3

7.1.5

氷酢酸

7.1.6

よう素溶液 (I

2

) 

≒0.025mol/dm

3

7.1.7

チオ硫酸ナトリウム標準溶液  (Na

2

S

2

O

3

)

=0.05mol/dm

3

7.1.8

でんぷん溶液  1g/100cm

3

7.1.9

けい藻土

1)

  (ろ過助材)

7.2

器具  通常の実験室用器具に加えて,次の器具を用いる。

                                                        

1)

 Celite 545

又は同等の市販製品が適している。この情報は,この規格の利用者に便宜をはかるためのもの

であって,この規格がこの製品を推奨するものではない。


6

K 6234 : 1998

7.2.1

三角フラスコ  容量 500cm

3

ほうけい酸ガラス製

7.2.2

ブフナー漏斗  60mm

7.2.3

ブフナーフラスコ

7.2.4

加熱板

7.2.5

実験室用ミル

7.3

操作

7.3.1 1.7mm

のふるい目を通るようにゴムを細かく切断するか,又は厚さが約 0.5mm 以下になるまで薄

く圧延する。試料約 2g を 0.1mg まで量る。試料を三角フラスコ(7.2.1 参照)に移し,亜硫酸ナトリウム

溶液(7.1.1 参照)100cm

3

を加え,泡立ちを防ぐために流動パラフィン(7.1.2 参照)3cm

3

∼5cm

3

を加える。

三角フラスコを時計皿でふたをし,加熱板(7.2.4 参照)上で 4 時間緩やかに沸騰させる。

7.3.2

三角フラスコを冷却し,活性炭(7.1.3 参照)5g を加え,30 分間静置する。

7.3.3

底に定性ろ紙を敷き,その上に約 5mm の厚さでけい藻土(7.1.9 参照)のろ過層を設けたブフナー

漏斗(7.2.2 参照)を用いて減圧ろ過する。25cm

3

ずつの熱水で三角フラスコを 3 回続けて洗浄し,ろ過し

た洗浄液をブフナーフラスコ(7.2.3)に回収する。ろ過残さをさらに 25cm

3

の熱水で洗浄する。

7.3.4

ブフナーフラスコ内のろ液にホルムアルデヒド溶液(7.1.4 参照)10cm

3

を加え,5 分間静置した後,

氷酢酸(7.1.5 参照)5cm

3

を加える。かき混ぜながら液の温度が約 15℃になるまで冷却し,よう素が過剰

に存在するようによう素溶液(7.1.6 参照)をピペットで正確に量り加える。十分にかき混ぜてから,でん

ぷん溶液(7.1.8 参照)数滴を加え,過剰のよう素をチオ硫酸ナトリウム標準溶液(7.1.7 参照)で滴定する。

その体質を V

3

とする。

7.3.5

同じ試薬を用いて,試料を入れないで空試験を行う。滴定に要したチオ硫酸ナトリウム標準液の体

積を V

4

とする。

7.4

結果の表示  遊離硫黄は,次の式によって算出し,質量%で表す。

m

c

V

V

)

(

2

.

3

3

4

ここに,

V

3

試料の滴定に要したチオ硫酸ナトリウム標準溶液(7.1.7)
体積 (cm

3

)

7.3.4 参照)

V

4

空試験に要したチオ硫酸ナトリウム標準溶液(7.1.7)の体積 
(cm

3

)

7.3.5 参照)

c

滴定に使用したチオ硫酸ナトリウム標準溶液(7.1.7)の実際
の濃度 (mol/dm

3

)

m

試料の質量 (g)

参考  原国際規格は,括弧の中が  (V

3

V

4

)

と記載されているが,上の式が正しい。

8.

臭素法

備考  この試験方法は,発行後 5 年間で廃止する。

8.1

試薬  この分析には,分析用認証試薬及び蒸留水又は同等の純度の水を用いる。

8.1.1

アセトン

8.1.2

2

−ブタノン(IIR の場合の抽出用)

8.1.3

臭素


7

K 6234 : 1998

8.1.4

塩化バリウム溶液  塩化バリウム二水和物(結晶)100g を水 1dm

3

に溶かし,塩酸[

ρ

20

=1.183 6%

(m/m)

]2 滴を加える。

溶液が濁り又は沈殿を生じたときは,水浴上で加熱したのち,ろ過して使用する。

8.2

器具  通常の実験室用器具に加えて次の器具を用いる。

8.2.1

ろ紙又は円筒ろ紙抽出に使用するろ紙又は円筒ろ紙は,あらかじめアセトンで抽出する。

8.2.2

抽出装置

8.2.3

トールビーカー容量 250cm

3

8.2.4

ろ過器

8.2.5

加熱板

8.2.6

るつぼ

8.2.7

電気炉

8.3

操作

8.3.1

試料約 2g を 0.1mg まで正しく量る。ろ紙又は円筒ろ紙に包み,JIS K 6229 に規定する方法でアセ

トン抽出を行う。得られた抽出物を試料とし,これに水 50cm

3

及び臭素 2cm

3

∼3cm

3

を加え,時計皿でふた

をし,フラスコを水浴上で 30 分間加熱したのち,時計皿を取り除き,溶液がほとんど無色になるまで注意

しながら加熱する。次に,これをトールビーカー(8.2.3 参照)中にろ過し,水を加えて約 150cm

3

とする。

一度煮沸した後,過剰の塩化バリウム溶液(8.1.5 参照)を加え,硫酸バリウムを沈殿させて,これをろ過

する。沈殿物を水洗し,洗液に塩素イオンが認められなくなるまで洗浄した後,乾燥する。これを,るつ

ぼ中で強熱 (650℃∼900℃)  灰化し,硫酸バリウムとしてその質量  (A)  を量る。

8.3.2

同じ試薬を用いて,試料を入れないで空試験を行う。その質量  (B)  を量る。

8.4

結果の表示遊離硫黄は,次の式によって算出し,質量%で表す。

100

4

137

.

0

)

(

×

×

m

B

A

ここに,

A

:  本試験における硫酸バリウムの質量 (g)

B

:  空試験における硫酸バリウムの質量 (g)

m

:  試料の質量 (g)

9.

試験報告書  試験報告書には,次の事項を記録する。

a)

この規格を引用した旨の記述

b)

試料を完全に特定するために必要なすべての詳細情報

c)

使用した方法−銅網法 A 法,B 法,亜硫酸ナトリウム法又は臭素法

d)

定量結果

e)

測定中の異常現象

f)

この規格又はこの規格に引用されている規格に含まれない操作又は任意の操作をしたときの記述

g)

試験年月日


8

K 6234 : 1998

図 1  銅網法 法による遊離硫黄の定量に用いる典型的な装置


9

K 6234 : 1998

図 2  銅網法 法による遊離硫黄の定量に用いる典型的な装置


10

K 6234 : 1998

図 3  銅網法 法による遊離硫黄の定量に用いる典型的な装置


11

K 6234 : 1998

附属書 A(規定)  遊離硫黄の定量−銅網法及び亜硫酸ナトリウム法による

分析に及ぼす各種市販加硫促進剤の影響

(この情報は,マレーシアゴム製造研究会の Ton Abdul Razak 研究所から提供されたもの)

加硫促進剤

見かけ遊離硫黄%

銅網法

見かけ遊離硫黄%

亜硫酸ナトリウム法

ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド 22.5

26.4

ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド 20.0

20.3

4, 4

'

−ジチオモルホリン 10.3

21.0

4

−モルホニリル−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド 6.1

20.0

イソプロピルキサントゲン酸亜鉛 4.6

3.5

テトラメチルチウラムジスルフィド (TMTD)

1.4

38.6

ジメチルジチオカルバミルスルフェンアミド 0.92

16.6

テトラメチルチウラムモノスルフィド (TMTM)

<0.01 33.3

ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛 (ZnMDC)

<0.01 21.4

2

−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛

<0.01 5.1

エチレンチオ尿素 (EU)

<0.01 7.6

ジ−n-y ブチルジチオりん酸のジシクロヘキシルアミン塩

<0.01 8.0

N

−シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド−2 (CBS)

<0.01 0.7

2

−メルカプトベンゾチアゾール (MBT)

<0.01 12.5

2, 2

'

−ジベンゾチアジルジスルフィド (MBTS)

<0.01 11.2


12

K 6234 : 1998

ゴム製品分析方法原案作成委員会・分科会  構成表

氏名

所属

委員会  分科会

(委員長)

本  間  輝  武

神奈川工科大学応用化学科

西  本  右  子

神奈川大学理学部

増  田      優

通商産業省基礎産業局化学製品課

大  嶋  清  治

通商産業省工業技術院標準部材料規格課

中  室  輝  夫

通商産業省工業技術院標準部材料規格課

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

鈴  木      守

社団法人日本ゴム協会

神  代      啓

社団法人日本化学工業協会

秋  山  節  夫

株式会社ブリヂストン研究部

永  武  寿  宏

横浜ゴム株式会社

浅  田  美佐子

株式会社ゼオン分析センター

伊  藤  政  幸

日本原子力研究所

小  野  茂  之 NOK 株式会社筑波技術研究所

鹿  庭  正  昭

国立衛生試験所療品部

塩  沢      功

鬼怒川ゴム工業株式会社

岩  田  知  晴

株式会社明治ゴム化成

福  岡      清

ニチアス株式会社鶴見研究所

橋  本  和  信

東海ゴム工業株式会社

中  村  修  蔵

株式会社興国ゴム技術研究所

栗  田  光  造

古河電気工業株式会社平塚研究所

中  村  博  雄

日本合成ゴム株式会社四日市工場

鈴  木  裕  次

財団法人化学品検査協会

(事務局)

三  須      武

社団法人日本化学工業協会

濱  島  俊  行

社団法人日本化学工業協会

伊  藤  茂  樹

財団法人化学品検査協会

備考  ◎は,委員長又は分科会主査を示す。

文責  塩沢  功  鬼怒川ゴム工業株式会社