K 6218-5:2011
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 原理······························································································································· 2
4 試薬······························································································································· 2
5 器具及び装置 ··················································································································· 2
6 試料の調製 ······················································································································ 3
7 測定法手順 ······················································································································ 4
8 試験結果のまとめ方 ·········································································································· 4
9 精度······························································································································· 4
10 試験報告 ······················································································································· 4
附属書JA(参考)精度 ·········································································································· 6
附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 7
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本ゴム工業会
(JRMA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによ
って,JIS K 6218-5:2005は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS K 6218の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 6218-1 第1部:加熱減量の求め方
JIS K 6218-2 第2部:灰分の求め方
JIS K 6218-3 第3部:ふるい残分の求め方
JIS K 6218-4 第4部:トルエン着色透過度の求め方
JIS K 6218-5 第5部:溶媒抽出量の求め方
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日本工業規格
JIS
K 6218-5:2011
ゴム用カーボンブラック−付随的特性−
第5部:溶媒抽出量の求め方
Carbon black for rubber industry-Secondary characteristics-
Part 5: Determination of solvent extractable material
序文
この規格は,2009年に第4版として発行されたISO 6209を基に,技術的内容を変更して作成した日本
工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。また,附属書JAは対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,ゴム用配合剤として用いるカーボンブラック(以下,カーボンブラックという。)の付随的
特性のうち,溶媒抽出量の求め方について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6209:2009,Rubber compounding ingredients−Carbon black−Determination of solvent-
extractable material(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
警告 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているものとする。この規格は,その使
用に関して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,
各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
溶媒抽出量は,カーボンブラックに付着している未反応油分の量を示すものであるが,その
未反応油分として,健康を阻害する多環芳香族化合物が含まれている場合がある。この化合物
は,カーボンブラックに強固に結合しているため,生物学的に不活性であるが,この規格で規
定する試験方法によって,その化合物が脱離する可能性がある。カーボンブラックからの溶媒
抽出物が皮膚に付着しないように注意しなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6216-1 ゴム用カーボンブラック−共通事項−第1部:試料採取方法
注記 対応国際規格:ISO 1124:1988,Rubber compounding ingredients−Carbon black shipment sampling
procedures(IDT)
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JIS K 8680 トルエン(試薬)
JIS Z 8401 数値の丸め方
ISO 1126,Rubber compounding ingredients−Carbon black−Determination of loss on heating
3
原理
試料をトルエンで8〜8.5時間抽出し,溶媒を蒸留除去して抽出物の質量をはかり,この抽出物及び試料
の質量によって,カーボンブラックの溶媒抽出量を求める。
注記 この規格は,カーボンブラック中に含まれ,有機溶剤で抽出可溶な成分の質量を測定する方法
について規定している。この試験方法は,測定精度が高いので,仕様書又は規制の目的にも使
用できる。カーボンブラックに付着している抽出可溶な成分が非常に少ない(0.02 %未満)場
合は,より厳密な分析方法を用いた方がよい場合がある。
なお,トルエン着色透過度(JIS K 6218-4参照)は,カーボンブラック表面から抽出される
物質の質量を光の透過度によって簡便的に表しているのに対して,この規格は,トルエンによ
って抽出される物質の絶対量を測定する方法について規定している。
4
試薬
試薬は,次による。
4.1
トルエン トルエンは,JIS K 8680で規定する特級又はそれと同等の品質のものを用いる。
注記 C.A.S.番号 108-88-3
5
器具及び装置
5.1
抽出装置 抽出装置は,次の二つのタイプのいずれかの装置を用いる(JIS R 3646参照)。
5.1.1
タイプ1 タイプ1は,図1に示す容量150 mLの受けフラスコ,ジャケット付きの被抽出物挿入
部分(以下,抽出用カップという。)及び凝縮器からなるものを用いる。抽出用カップの容量は15〜30 mL
のものを用いる。
5.1.2
タイプ2 タイプ2は,図2に示す容量500 mLの受けフラスコ,凝縮器及び凝縮器についている
保持用爪と穴とをワイヤでつり下げた抽出用カップからなるものを用いる。抽出用カップの容量は,15〜
30 mLのものを用いる。
5.2
円筒ろ紙 円筒ろ紙は,容量15〜30 mLで,カーボンブラックが通過しない目開きのものを用いる。
脱脂した紙製又はアランダム製のどちらでもよく,抽出用カップにちょうどよく収まる大きさのもので,
あらかじめトルエンで円筒ろ紙に含まれるトルエン可溶成分を抽出し,105 ℃で2時間乾燥し,恒量にな
った後に用いる。
5.3
蒸留装置 蒸留装置は,凝縮器付き蒸留装置(ケルダール濃縮器など)又はロータリエバポレータ
(以下,蒸留装置という。)を用いる。
5.4
乾燥器 乾燥器は,自然対流式が望ましく,抽出物を乾燥する場合,70 ℃において±1 ℃に調整可
能で,かつ,温度分布が±5 ℃以内のものを用い,カーボンブラックを乾燥する場合,125 ℃において±1 ℃
に調整可能で,かつ,温度分布が±5 ℃以内のものを用いる。
5.5
脱脂綿又はガラスウール 脱脂綿又はガラスウールは,トルエンで洗浄し,乾燥したものを用いる。
5.6
はかり はかりは,0.1 mgまで測定可能なものを用いる。
5.7
加熱装置 加熱装置は,抽出装置(5.1参照)の加熱に適したものを用いる。
3
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5.8
デシケータ デシケータは,乾燥剤としてシリカゲルを用いる。
5.9
廃液容器 廃液容器は,使用済みのトルエン及びカーボンブラックの抽出物を廃棄するまでに保存
しておけるように蓋付きの容器とする。
1
凝縮器
2
ジョイント34/35
3
抽出用カップ(容量15〜30 mL)
4
ジョイント24/29
5
受けフラスコ(容量150 mL)
1
凝縮器
2
ジョイント34/35
3
保持用爪
4
穴(抽出用カップ)
5
抽出用カップ(容量15〜30 mL)
6
受けフラスコ(容量500 mL)
図1−タイプ1抽出装置の例
図2−タイプ2抽出装置の例
6
試料の調製
試料採取は,JIS K 6216-1による。試料は,乾燥させる前に造粒粒子を粉砕する。粉砕した試料約20 g
をISO 1126によって,乾燥器(5.4参照)を用いて125 ℃で1時間乾燥し,デシケータ(5.8参照)中で
室温まで放冷する。乾燥試料は,試験を実施するまでデシケータ中で保管する。
この乾燥試料から,2回分の試験試料を取り分ける。
注記 規定の温度を超える高温で乾燥したり,赤外線ランプを用いて乾燥すると,抽出物が揮発して
4
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測定結果に影響する場合がある。
7
測定法手順
7.1
調製した試料約10 gを,あらかじめ質量をはかった円筒ろ紙(5.2参照)に入れ,試料及び円筒ろ紙
の質量をはかり,試料の質量(m0)を0.1 mgの桁まではかりとる。脱脂綿又はガラスウール(5.5参照)
を用いて,円筒ろ紙の口を塞ぐ。
抽出量の少ないカーボンブラック(例えば,0.02 %未満)の場合には,試料の質量を20 gまで増やして
もよい。
7.2
洗浄して乾燥した受けフラスコの質量(m1)を0.1 mgの桁まではかり,トルエン(4.1参照)100 mL
を注ぎ入れる。
7.3
試料の入った円筒ろ紙を抽出用カップに入れて抽出装置(5.1参照)を組み立て,蒸発したトルエン
が1時間に10回程度の割合で抽出用カップを満たすように,抽出装置の加熱装置(5.7参照)を調節する。
抽出時間は8〜8.5時間とする。
7.4
加熱を止め,装置を冷却した後,抽出用カップを取り外し,円筒ろ紙を取り出して蓋付きの廃液容
器に捨てる。
7.5
受けフラスコを取り外して蒸留装置(5.3参照)に取り付け,受けフラスコの内容物が5 mL以下に
なるまで,トルエンを蒸留除去する。蒸留したトルエンは,廃液容器に廃棄する。
7.6
蒸留装置を放冷した後,濃縮された抽出物を含む受けフラスコを取り外す。フラスコの口から窒素
ガス(99.9 %以上)を抽出物が飛散しないように軽く吹き付けて,残りのトルエンの大部分を除去する。
7.7
受けフラスコと内容物とを,乾燥器を用いて70±5 ℃で2時間乾燥する。デシケータ中で室温まで
放冷した後,受けフラスコと内容物との質量(m2)を0.1 mgの桁まではかる。
7.8
試験で用いたものと同じ抽出装置を使い,同じ量のトルエンを用いて,空試験を実施する。
7.9
別の試料を用いて測定を2回行う。
8
試験結果のまとめ方
溶媒抽出量は,次の式によって算出する。
(
)
100
Δ
0
1
2
×
−
−
=
m
m
m
m
E
ここに,
E: 溶媒抽出量(%)
m0: 試料の質量(g)
m1: 空の受けフラスコの質量(g)
m2: 乾燥後の抽出物と受けフラスコとの合計質量(g)
Δm: 空試験における受けフラスコの質量増加分(g)
試験結果は,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。
9
精度
精度は,附属書JAを参照する。
10 試験報告
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の番号
5
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b) 試料の履歴
c) 用いた抽出装置のタイプ
d) 2回の試験で得られたそれぞれの結果及び平均値
e) 試験年月日
6
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附属書JA
(参考)
精度
JA.1
精度を求めるために,試験室間試験プログラム(ITP)を3か所の海外の試験室で実施した。この
試験方法の精度の計算は,ISO/TR 9272:2005のレベル2に従って行った。用語及び統計上の詳細について
も,それを参照する。
JA.2
得られた精度は,測定の精度を推定するものである。精度のパラメータをカーボンブラックの合否
判定試験に用いる場合には,これらのパラメータが,対象とするカーボンブラック及び採用した試験に適
用できることを,文書で確認しておかなければならない。
JA.3
タイプ1の試験室間試験プログラムを実施した。得られた併行精度及び再現精度は,短期間の試験
状況を表すものである。3か所の試験室で2種類のカーボンブラックについて,繰返し数6回の試験を行
った。
JA.4
精度の計算結果を,表JA.1に示す。
表JA.1−溶媒抽出量の精度
試料
試験室数
繰返し数
溶媒抽出量
の平均値
(%)
Sr
r
(r)
SR
R
(R)
N326
3
6
0.074
0.021
0.059
80
0.062
0.175
237
N375
3
6
0.267
0.050
0.142
53
0.084
0.238
89
Sr : 併行標準偏差
r
: 併行精度(測定単位で表した値)
(r) : 併行精度(%で表した値)
SR : 再現標準偏差
R
: 再現精度(測定単位で表した値)
(R) : 再現精度(%で表した値)
参考文献 [1] JIS K 6218-4 ゴム用カーボンブラック−付随的特性−第4部:トルエン着色透過度の求
め方
[2] JIS R 3646 化学分析用ガラス器具の共通テーパーすり接手
[3] ISO/TR 9272:2005,Rubber and rubber products−Determination of precision for test method
standards
附属書JB
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 6218-5:2011 ゴム用カーボンブラック−付随的特性−第5部:溶媒抽出量
の求め方
ISO 6209:2009 Rubber compounding ingredients−Carbon black−Determination of
solvent-extractable material
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 試薬
4.1 トルエン
4.1
追加
JIS K 8680に規定した試薬を採用した。 技術的差異はない。
5 器具及び
装置
5.4 乾燥器
5.2.3
温度管理
変更
温度管理方法をJIS K 6218-4に合わせ
た。
技術的差異はない。
5.8 デシケータ
5.2.7
内容について記述なし
追加
デシケータに入れる乾燥剤を追加した。 次回ISO規格の定期見直し時
に提案する。
5.9 廃液容器
−
−
追加
安全及び健康に配慮して廃液容器を追
加した。
次回ISO規格の定期見直し時
に提案する。
7 測定法手
順
7.6 窒素ガス
7
−
追加
残留トルエンを除去するためのガスを
明確にした。
次回ISO規格の定期見直し時
に提案する。
8 試験結果
のまとめ方
数値の丸め方
8
記述なし
追加
JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸
める。
技術的差異はない。
9 精度
−
Annex Aに記載
追加
箇条を追加した。内容は附属書JAに記
載。
技術的差異はない。
10 試験報告
9
用いた溶媒
削除
用いる溶媒は,トルエンだけのため。
次回ISO規格の定期見直し時
に提案する。
附属書JA
(参考)
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6209:2009,MOD
2
K
6
2
1
8
-5
:
2
0
11
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
K
6
2
1
8
-5
:
2
0
11
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。