K 6217-1:2008
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 原理······························································································································· 2
4 器具及び装置 ··················································································································· 2
5 試薬······························································································································· 3
6 溶液の調製 ······················································································································ 3
7 溶液の標定 ······················································································································ 5
7.1 概要 ···························································································································· 5
7.2 チオ硫酸ナトリウム溶液 ································································································· 5
7.3 よう素溶液 ··················································································································· 6
8 試験手順························································································································· 7
8.1 試験条件 ······················································································································ 7
8.2 試料の調製 ··················································································································· 7
8.3 測定 ···························································································································· 7
9 試験結果のまとめ方 ·········································································································· 8
10 SRBによる確認·············································································································· 8
11 精度及びかたより ··········································································································· 8
12 記録 ····························································································································· 8
附属書A(参考)試薬のCAS番号 ··························································································· 9
附属書JA(参考)精度及びかたより ······················································································· 10
附属書JB(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 12
K 6217-1:2008
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本ゴム工業会
(JRMA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによ
って,JIS K 6217-1:2001は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS K 6217の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 6217-1 第1部:よう素吸着量の求め方(滴定法)
JIS K 6217-2 第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法
JIS K 6217-3 第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法
JIS K 6217-4 第4部:オイル吸収量の求め方(圧縮試料を含む)
JIS K 6217-5 第5部:比着色力の求め方
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 6217-1:2008
ゴム用カーボンブラック−基本特性−
第1部:よう素吸着量の求め方(滴定法)
Carbon black for rubber industry-Fundamental characteristics-
Part 1: Determination of iodine adsorption number (Titrimetric method)
序文
この規格は,2006年に第4版として発行されたISO 1304を基に,技術的内容を変更して作成した日本
工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。
警告 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているものとする。この規格は,その使用に
関連して起こるすべての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自の責
任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
1
適用範囲
この規格は,ゴム用配合剤として用いるカーボンブラック(以下,カーボンブラックという。)の基本特
性のうち,よう素吸着量の求め方について規定する。この規格では,次の二つの滴定方法について規定す
る。
− A法:ビュレット及び指示薬としてでんぷんを用いる滴定法
− B法:自動滴定装置による電位差滴定法
注記1 よう素吸着量はカーボンブラックの表面積と相関性があり,一般に窒素吸着比表面積に合致
している。しかし,揮発分又は溶媒で抽出可能な物質を多く含む場合には,この値はかなり
低下する。このような場合,よう素吸着量は必ずしもカーボンブラックの比表面積の指標と
はならない。また,カーボンブラックの熱履歴も,よう素吸着量に影響する因子の一つであ
る。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 1304:2006,Rubber compounding ingredients−Carbon black−Determination of iodine
adsorption number (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,“修正している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
2
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6216-2 ゴム用カーボンブラック−共通事項−第2部:検定用標準カーボンブラック
JIS K 6218-1 ゴム用カーボンブラック−付随的特性−第1部:加熱減量の求め方
注記 対応国際規格:ISO 1126,Rubber compounding ingredients−Carbon black−Determination of loss
on heating (MOD)
JIS K 8392 サリチル酸(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8920 よう素(試薬)
JIS K 8922 よう素酸カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS R 3505 ガラス製体積計
注記 対応国際規格:ISO 385:2005,Laboratory glassware−Burettes,ISO 648:1977,Laboratory
glassware−One-mark pipettes及びISO 1042:1998,Laboratory glassware−One-mark volumetric
flasks(全体評価:MOD)
JIS Z 8401 数値の丸め方
3
原理
乾燥したカーボンブラックをはかりとり,標準よう素溶液と混合し,混合物を遠心分離する。上澄みの
よう素溶液をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この滴定値及び試料の質量から,カーボンブラックの
よう素吸着量を算出する。
4
器具及び装置
器具及び装置は,次による。
4.1
はかり はかりは,6.1.5及び7.3.5のよう素のひょう量には0.01 gまではかれるものを,ほかのひょ
う量には,0.1 mgまではかれるものを用いる。
4.2
乾燥器 乾燥器は,自然対流式が望ましく,125 ℃において±1 ℃に調整可能で,かつ,乾燥器内
温度分布が±5 ℃以内のものを用いる。
4.3
全量フラスコ 全量フラスコは,JIS R 3505に規定するクラスAで,次のものを用いる。
a) 容量2 000±0.60 mLのもの。
b) 容量1 000±0.40 mLのもの。
4.4
分注器 分注器は,容量25±0.03 mLのもの,又は次の全量ピペットを用いる。
a) 容量20±0.03 mLのもの。
b) 容量25±0.03 mLのもの。
JIS R 3505に規定するクラスA以外のピペットを用いる場合は,温度補正をして蒸留水で0.01 mLまで
正しく校正を行う。真の供給量は,その読み取った容量に補正値をプラス(又はマイナス)する。高精度
の容量決定(7.2.2,7.3.2,8.3.3,8.3.6,8.3.8参照)に関しては,20 mL及び25 mLのピペットも同じ精度,
同じ考え方で検量線補正するのが望ましい。
3
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.5
デジタルビュレット デジタルビュレットは,目盛0.01 mLのゼロ点調整付きで,±0.05 mLの許容
差をもつもの,又は高精度,サイドアーム充てん形で,0.05 mL目盛の自動ゼロ調整できるビュレット(A
法だけ)を用いる。
a) 容量25±0.05 mLのもの。
b) 容量50±0.05 mLのもの。
JIS R 3505に規定するクラスA以外のビュレットを用いる場合は,温度補正をして蒸留水で0.01 mLま
で正しく校正を行う。真の供給量は,その読み取った容量に補正値をプラス(又はマイナス)する。
4.6
栓付き瓶 栓付き瓶は,容量250 mL及び500 mLのすり合わせガラス栓付きのものを用いる。
4.7
ガラス瓶 ガラス瓶は,容量2 Lのすり合わせガラス栓付きのものを用いる。
4.8
着色ガラス瓶 着色ガラス瓶は,容量1 L及び2 Lのすり合わせガラス栓付きのかっ(褐)色瓶を用
いる。
4.9
遠沈管 遠沈管は,ねじ込みキャップ及びポリエチレンライナをもつ容量50 mLのものを用いる。
コルク,ゴム又は金属の栓は用いてはならない。
4.10 機械式振とう機 機械式振とう機は,振幅が25 mm,1分間に240回往復するものを用いる。
4.11 遠心分離機 遠心分離機は,容量50 mLの遠沈管を1分間に1 000回転以上できるものを用いる。
4.12 デシケータ 乾燥剤としてシリカゲルを使用。
4.13 マグネチックスターラ及び回転子
4.14 自動滴定装置(B法だけ) 自動滴定装置は,電位差滴定のための整備された電極をもつものを用い
る。
5
試薬
試薬は,次による。
5.1
水 水は,脱イオン処理又は蒸留処理したものを用いる。
5.2
よう素(I2) よう素は,JIS K 8920に規定するものを用いる。
5.3
よう化カリウム(KI) よう化カリウムは,JIS K 8913に規定するものを用いる。
5.4
よう素酸カリウム(KIO3) よう素酸カリウムは,JIS K 8922に規定するものを用いる。
5.5
チオ硫酸ナトリウム五水和物(Na2S2O3・5H2O) チオ硫酸ナトリウム五水和物は,JIS K 8637に規
定するものを用いる。
5.6
アミルアルコール(C5H11OH)
5.7
硫酸(H2SO4) 硫酸は,JIS K 8951に規定するものを用いる。
5.8
でんぷん(溶性)(A法だけ) でんぷん(溶性)は,JIS K 8659に規定するものを用いる。
5.9
サリチル酸(C7H6O3)(A法だけ) サリチル酸は,JIS K 8392に規定するものを用いる。
注記 上記試薬のCAS番号を,附属書Aに示す。
6
溶液の調製
6.1
よう素溶液
0.023 64 mol/L[よう素(5.2参照)1部に対し,よう化カリウム(5.3参照)9.5部を含む]のよう素溶液
の調製は,次による。
なお,測定結果は,溶液中のよう素及びよう化カリウム濃度に依存するので,溶液の調製及び標定の作
業は,7.3に従って,正確に行う。
4
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.1.1
よう化カリウム(5.3参照)114.00±0.01 gを,100 mLビーカにはかりとる。
6.1.2
よう化カリウムの3/4の量を,漏斗を用いて容量2 Lの全量フラスコ(4.3参照)に入れる。
6.1.3
よう化カリウムを,溶解させるに十分な水(5.1参照)を加えてかき混ぜて溶解させた後,室温に
なるまで静置する。
6.1.4
よう化カリウムの残量を,250 mLビーカに移し,水(5.1参照)を加えて溶解させる。
6.1.5
よう素12.00±0.01 gを,磁製スプーンを用いてすり合わせガラス栓付きはかり瓶(4.1参照)には
かりとる。
6.1.6
よう素を漏斗を用いて6.1.3で調製したよう化カリウム溶液に移す。
6.1.7
すり合わせガラス栓付きはかり瓶を,6.1.4で調製したよう化カリウム溶液の一部で完全に洗浄し,
洗浄液を漏斗を用いて容量2 Lの全量フラスコに入れる。
6.1.8
6.1.4で調製したよう化カリウム溶液の残りで漏斗を洗浄する。
6.1.9
水(5.1参照)を全量フラスコの標線近くまで加え,すり合わせガラス栓をして2〜3回逆さにして
均一にした後,1時間静置する。
6.1.10 フラスコの栓を取り,標線まで水(5.1参照)を加えた後,回転子を入れてマグネチックスターラ
の中速度で少なくとも2時間かくはんする。
なお,中速度とは,渦深さが5 mmになる程度である。
6.1.11 溶液を栓付き着色ガラス瓶(4.8参照)に移し,一晩以上放置する。
6.2
チオ硫酸ナトリウム溶液
0.05 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次による。
ただし,0.039 4 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液を用いてもよい。この場合には,溶液の調製及びよう
素吸着量の計算式を修正しなければならない。
6.2.1
チオ硫酸ナトリウム五水和物(5.5参照)24.817±0.005 gを,容器にはかりとる。
6.2.2
はかりとったチオ硫酸ナトリウムを,漏斗を用いて容量2 Lの全量フラスコ(4.3参照)に入れる。
6.2.3
1 Lの水(5.1参照)を,漏斗を注意深く洗浄しながら加える。
6.2.4
アミルアルコール10 mLをフラスコに加え,結晶が完全に溶解するまで強く振とうする。
6.2.5
標線まで水(5.1参照)を加えた後,回転子を入れてマグネチックスターラの中速度(6.1.10参照)
で2時間かくはんする。
6.2.6
溶液をガラス瓶(4.7参照)に移す。
6.3
よう素酸カリウム/よう化カリウム溶液
0.008 33 mol/Lのよう素酸カリウム/よう化カリウム溶液の調製は,次による。
6.3.1
乾燥器(4.2参照)で,適量のよう素酸カリウム(5.4参照)を125±1 ℃で1時間乾燥し,デシケ
ータ(4.12参照)中で室温まで冷却する。
6.3.2
よう化カリウム(5.3参照)57.0±0.1 gをはかりとり,容量1 Lの全量フラスコ(4.3参照)にとっ
た200 mLの水(5.1参照)に溶解する。室温になるまで放置する。
6.3.3
乾燥したよう素酸カリウム(6.3.1参照)1.783 3±0.000 1 gをはかりとり,よう化カリウム溶液に
入れる。
6.3.4
標線まで水(5.1参照)を加えて全量フラスコの栓をし,全量フラスコを4〜5回逆さにして溶液を
均一にする。
6.3.5
溶液を栓付き着色ガラス瓶(4.8参照)に移す。
なお,よう素酸カリウム/よう化カリウム溶液は,この測定法の一次標準溶液であり,十分な注意のも
5
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
とに作製する必要がある。
6.4
硫酸
質量分率20 %の硫酸の調製は,次による。
6.4.1
水(5.1参照)175 mLをメスシリンダにとり,容量250 mLの三角フラスコに入れる。
6.4.2
濃硫酸(5.7参照)25 mLを,小さなメスシリンダにとる。
6.4.3
注意深く三角フラスコの水(6.4.1参照)に濃硫酸を注ぎ,静かにかくはんする。使用したメスシ
リンダをこの希釈した硫酸液で洗浄して,この洗浄液も三角フラスコに戻す。このとき,水で洗浄しては
ならない。
6.4.4
溶液を容量250 mLの栓付き瓶(4.6参照)に移し,栓をして室温まで冷却する。
6.5
でんぷん指示薬(A法だけ)
質量分率0.25 %のでんぷん指示薬の調製は,次による。
6.5.1
容量50 mLのビーカに水(5.1参照)25 mLをはかりとり,溶性でんぷん(5.8参照)2.5 g及びサ
リチル酸(5.9参照)2 mgを入れ,ガラス棒でかくはんする。
6.5.2
容量2 000 mLのビーカに水(5.1参照)1 000 mLをはかりとり,沸騰させる。
6.5.3
6.5.1で調製したでんぷん懸濁液を,かくはんしながら沸騰水に加えた後,約10分間沸騰させる。
6.5.4
室温まで冷却して安定させた後,透明な部分を容量500 mLの栓付き瓶(4.6参照)にとり,栓を
する。
7
溶液の標定
7.1
概要
よう素酸カリウム/よう化カリウム溶液は,チオ硫酸ナトリウム溶液を標定する一次標準溶液として用
いる。このチオ硫酸ナトリウム溶液は,よう素溶液を標定する二次標準溶液として用いる。
7.2
チオ硫酸ナトリウム溶液
7.2.1
チオ硫酸ナトリウム溶液は,調製後,24時間静置し,50 mLのビュレット(又はデジタルビュレ
ット)(4.5参照)に未標定のチオ硫酸ナトリウム溶液を入れ,先端から2〜3 mL流し,目盛に合わせる(デ
ジタルビュレットでは,チューブ内を流し,ゼロ点調整をする)。
7.2.2
よう素酸カリウム/よう化カリウム溶液(6.3参照)20 mL を,全量ピペット(4.4参照)で容量
250 mLの三角フラスコにはかりとる。
7.2.3
よう素を遊離させるために質量分率20 %の硫酸(6.4参照)を約3 mL加え,よく混合する。
7.2.4
でんぷんを指示薬とした滴定法(A法)
でんぷんを指示薬とした滴定法(A法)の手順は,次による。
7.2.4.1
ビュレットからチオ硫酸ナトリウム溶液を,色が淡黄色になるまで滴下し,ビュレット先端及び
フラスコ内を水(5.1参照)で洗浄する。
7.2.4.2
でんぷん指示薬(6.5参照)を,5 mL加える。
7.2.4.3
溶液の青色がほとんど消えるまでチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定を続け,ビュレット先端及びフ
ラスコ内を水(5.1参照)で洗浄する。
7.2.4.4
1滴ずつ滴下(又はデジタルビュレットの0.01 mL目盛の滴下)し,溶液の青色が完全に消える
までゆっくりと滴定を続ける。
7.2.4.5
滴定量V1を,0.025 mL(又は0.01 mL)まで読み取る。
なお,ガラスビュレットで0.025 mLまで読み取るために,拡大鏡を用いるのが望ましい。
6
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7.2.4.6
7.2.3〜7.2.4.5の操作を再度繰り返し,2回測定する。
7.2.4.7
7.2.6によってチオ硫酸ナトリウム溶液の濃度を求める。
7.2.5
電位差滴定法(B法)
電位差滴定法(B法)の手順は,次による。
7.2.5.1
滴定するビーカを自動滴定装置に置き,溶液に電極を浸し,装置のマニュアルに従ってチオ硫酸
ナトリウム溶液で滴定を開始する。
7.2.5.2
滴定が終わったら,滴定装置に表示された滴定量V1を,±0.01 mLの精度で読み取る。
7.2.5.3
7.2.2,7.2.3,7.2.5.1及び7.2.5.2の操作を再度繰り返し,2回測定する。
7.2.6
チオ硫酸ナトリウム溶液の濃度C1(mol/L)は,式(1)によって算出する。
1
1
3
33
8
00
.0
6
20
V
C
×
×
=
································································· (1)
ここに,
20: よう素酸カリウム/よう化カリウム溶液(6.3参照)の
体積 (mL)
6: 定数
0.008 333: よう素酸カリウム/よう化カリウム溶液(6.3参照)の
濃度 (mol/L)
V1: 滴定に要したチオ硫酸ナトリウム溶液の2回の平均体積
(mL)
7.3
よう素溶液
7.3.1
7.2.1と同様に標定したチオ硫酸ナトリウム溶液を,ビュレット(又はデジタルビュレット)に入
れる。
7.3.2
未標定のよう素溶液20 mLを全量ピペット(4.4参照)を用いて,容量250 mLの三角フラスコ又
は自動滴定装置用のビーカにはかりとる。
7.3.3
フラスコ内のよう素溶液を,標定されたチオ硫酸ナトリウム溶液で,7.2.4又は7.2.5の操作によっ
て滴定する。
7.3.4
よう素溶液の濃度C2 (mol/L)は,式(2)によって算出する。
20
2
1
2
2
×
×
=
C
V
C
············································································· (2)
ここに,
V2: 滴定に要したチオ硫酸ナトリウムの平均体積 (mL)
C1: 7.2.6で算出したチオ硫酸ナトリウム溶液の濃度 (mol/L)
2: 定数
20: チオ硫酸ナトリウム溶液の体積 (mL)
7.3.5
よう素溶液の濃度C2は,0.023 64±0.000 05 mol/Lでなければならない。濃度がこの範囲外の場合
には,溶液を次のように調製する。
− 高すぎるときは,溶液1 L当たり,0.023 64 mol/Lを超える0.000 1 mol/Lに対して4.2 mLの水(5.1参
照)を加える。
− 低すぎるときは,溶液1 L当たり,0.023 64 mol/Lを下まわる0.000 1 mol/Lに対して0.03 gのよう素を
加える。
7
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,よう素溶液は,高濃度の溶液から調製するほうが容易である。いずれの測定法においても,調製
した溶液をよく混合して7.3の操作によって標定する必要がある。
8
試験手順
8.1
試験条件 試験は,温度23±2 ℃,相対湿度(50±5) %の条件で行うことが望ましい。
試薬及び装置は,用いる前に少なくとも数時間,同一の部屋で,温度平衡下で保持することが望ましい。
試薬及び試験装置が蒸気などで汚染されると測定結果が変わるので,試験室は,これらの汚染がないよ
うにする。
8.2
試料の調製 カーボンブラック試料の一定量を,JIS K 6218-1によって,125±1 ℃で1時間乾燥し,
デシケータ中で室温まで冷却する。試験の用意ができるまでは,試料はデシケータ中で保管する。
検定用標準カーボンブラック(以下,SRBという。)の場合は,恒量になるまで乾燥しなければならな
い。
なお,カーボンブラックの造粒品は,粉砕する必要はない。未造粒品は,必要ならば乾燥前に圧縮し,
かさ密度を上げておいてもよい。
8.3
測定
8.3.1
カーボンブラックの試料を遠沈管(4.9参照)に,表1に従い0.1 mgまではかりとる。予測される
よう素吸着量値に相当する試料質量を用いる。結果が,予測されるよう素吸着量の値を外れたときは,そ
の結果に相当する試料質量で再測定する。
8.3.2
表1の試料質量は,8.3.3によるよう素溶液25 mLを用いる場合の量である。異なるよう素溶液量
及び異なる試料質量を用いる場合は,この比率が表1に合致しなければならない。
50 mLの遠沈管を用いる場合は,試料質量1.000 gが上限であり,これを超える場合は適切な容量の遠沈
管を用いる。
表1−よう素吸着量と試料質量との関係
予測されるよう素吸着量
g/kg
試料質量
mg
よう素溶液と試料質量との比率
mL/g
0〜130.9
500
50:1
131.0〜280.9
250
100:1
281.0〜520.9
125
200:1
521.0以上
62.5
400:1
8.3.3
全量ピペット(又は分注器)(4.4参照)を用いて0.023 64 mol/Lのよう素溶液25 mLを試料の入っ
た遠沈管に加え,素早く栓をする。
8.3.4
遠沈管を振とう機(4.10参照)に振とう方向と平行に固定し,240ストローク/分で1分間振とう
する。
8.3.5
振とう後すぐに,遠心分離機(4.11参照)にセットする。遠心分離機の速度が毎分1 000回転に達
してから,造粒品では1分間,非造粒品では3分間,毎分1 000回転以上の速度で遠心分離を行う。
8
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8.3.6
遠心分離後,素早くよう素溶液を容量50 mLのビーカに移し,カーボンブラック試料は遠沈管の
底に残す。分離後,素早く全量ピペット(4.4参照)で正確にこの溶液20 mLをとり,容量250 mLの三角
フラスコに移す。遠沈管から直接よう素溶液20 mLを,カーボンブラックを入れないようにしてとっても
よい。滴定をすぐに行わない場合は,溶液を小さな瓶に移し,栓をする。
8.3.7
0.05 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液で,20 mLのよう素溶液を7.2.4(でんぷんを指示薬とした滴
定法)又は7.2.5(電位差滴定法)の操作によって滴定する。
8.3.8
よう素溶液のブランク値VBを決めるため,試料を入れないで8.3.3〜8.3.7の操作によって滴定し,
0.025 mL(又は0.01 mL)まで求める(7.2.4.5参照)。
8.3.9
ブランク値は,2回の測定値の平均値とする。
なお,ブランク値は,1日に1回測定すればよい。ただし,新しい溶液を用いる場合には,その都度測
定する。3交替勤務で試験する場合は,各交替の開始時に1回ブランク試験することが望ましい。
8.3.10 チオ硫酸ナトリウム溶液及びよう素溶液が正常であれば,平均ブランク値は18.91±0.05 mLの範
囲にある。これを外れる場合は,一方又は両方の溶液を再確認しなければならない。
9
試験結果のまとめ方
よう素吸着量(IA)は,式(3)によって算出し,JIS Z 8401に従って小数点以下1けたに丸める。
m
C
V
V
V
IA
1
82
.
253
25
)
2
B
S
B
×
×
×
×
−
=(
·············································· (3)
ここに,
IA: よう素吸着量 (g/kg)
VB: ブランクに要したチオ硫酸ナトリウム溶液の体積 (mL)
VS: この試験に要したチオ硫酸ナトリウム溶液の体積 (mL)
C2: よう素溶液の濃度 (mol/L)
m: カーボンブラック試料質量 (g)
25: 8.3.3におけるよう素溶液の体積 (mL)
253.82: よう素の分子量
10 SRBによる確認
この試験手順が適切に実施されていることを,JIS K 6216-2に規定するSRBを用いて確認することが望
ましい。SRB値が許容範囲を外れる場合は,6.3の一次標準溶液も含め,新しい溶液を作製して測定しな
ければならない。
11 精度及びかたより
精度及びかたよりは削除し,附属書JAに移した。
12 記録
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の規格番号
b) 試料の履歴
c) 試験条件
d) 試験結果
e) 変更した試験方法の内容
9
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
f)
試験年月日
10
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
試薬のCAS番号
序文
この附属書は,この規格で用いる試薬のCAS番号を示すもので,規定の一部ではない。
表A.1−試薬のCAS番号
箇条
化学名
分子式
CAS a) 番号
5.2
よう素
I2
7553-56-2
5.3
よう化カリウム
KI
7681-11-0
5.4
よう素酸カリウム
KIO3
7758-05-6
5.5
チオ硫酸ナトリウム五水和物
Na2S2O3・5H2O
10102-17-7
5.6
アミルアルコール
CH3−(CH2)3−CH2OH
71-41-0
5.7
硫酸
H2SO4
7664-93-9
5.8
粉末溶性でんぷん
(C6H10O5)n
9005-84-9
5.9
サリチル酸
HO−C6H4−COOH
69-72-7
注a) CAS: Chemical Abstract Service
11
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
精度及びかたより
序文
この附属書は,2006年に発行されたISO 1304の箇条11について,その内容を変更することなく翻訳し
記載するものであって,規定の一部ではない。
JA.1
精度
JA.1.1
この試験方法の精度の計算は,ISO/TR 9272:2005[参考文献2) 参照]のレベル2に従って行っ
た。用語及び統計上の詳細については,それを参照する。
JA.1.2
得られた精度は,測定の精度を予測するものである。精度のパラメータをカーボンブラックの合
否判定試験に用いる場合には,これらのパラメータが,対象とするカーボンブラック及び採用した試験に
適用できることを,文書で確認しておかなければならない。
JA.1.3
タイプ1の試験室間試験プログラムを実施した。得られた併行精度及び再現精度は,短期間の試
験状況を表すものである。A法(でんぷんを指示薬とする滴定)は,7の試験室で3種類のSRBについて
異なる2日間にそれぞれ2度試験を行った(ここでp=7,q=3,n=4)。B法(自動滴定)は,23の試験
室で3種類のSRBについて異なる2日間にそれぞれ2度試験を行った(ここでp=23,q=3,n=4)。試
験結果は,1度の測定から得られたものであり,偏差は測定していない。
JA.1.4
精度の計算結果をよう素吸着量の小さい順に表JA.1(A法)及び表JA.2(B法)に示す。疑わし
いデータは除き,残った試験室数を表に記した。
JA.1.5
よう素吸着量の平均値に対する精度は,次のとおりである。
a) 併行精度(試験室内繰返し精度) よう素吸着量の併行精度(%値)は,A法で1.25 %,B法で2.15 %
となった。二つの試験結果(又は定量値)にA法で1.25 %,B法で2.15 %より大きな差が出た場合
は,疑わしいと考え,何らかの適切な精査を要する。
b) 再現精度(試験室間精度) よう素吸着量の再現精度(%値)は,A法で3.80 %,B法で6.19 %とな
った。個別の試験機関で得られた二つの試験結果(又は定量値)にA法で3.80 %,B法で6.19 %よ
り大きな差が出た場合は,疑わしいと考え,何らかの適切な精査を要する。
JA.2
かたより
かたよりとは,平均的な測定値と標準値(真の値)との差である。測定値は,この測定法によってだけ
求められるので,この測定方法に対する標準値というものは存在しない。したがって,かたよりを求める
ことができない。
12
K 6217-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表JA.1−精度管理データ(A法)
試料
試験室数
よう素吸着量
平均値
g/kg
試験室内
試験室間
sr
r
(r)
sR
R
(R)
A (N115)
4
158.21
0.268
0.758
0.479
1.302
3.760
2.376
B (N772)
5
32.67
0.170
0.482
1.475
0.607
1.784
5.460
C (N330)
5
80.77
0.432
1.221
1.512
0.678
2.274
2.816
平均値
5
90.55
−
−
−
−
−
−
プール値
−
−
0.309
0.875
1.250
0.917
2.738
3.803
ここに,
sr : 併行標準偏差
r : 併行精度(測定単位で表した値)
(r) : 併行精度(%で表した値)
sR : 再現標準偏差
R : 再現精度(測定単位で表した値)
(R) : 再現精度(%で表した値)
表JA.2−精度管理データ(B法)
試料
試験室数
よう素吸着量
平均値
g/kg
試験室内
試験室間
sr
r
(r)
sR
R
(R)
A (N115)
19
160.55
0.570
1.612
1.005
2.519
7.306
4.551
B (N772)
20
33.38
0.400
1.131
3.387
0.911
2.814
8.430
C (N330)
19
82.47
0.344
0.972
1.178
1.360
3.969
4.812
平均値
19
92.13
−
−
−
−
−
−
プール値
−
−
0.448
1.268
2.150
1.734
5.068
6.190
注記 記号の説明は,表JA.1に示す。
注記 A法(でんぷんを指示薬とする滴定)とB法(自動滴定)との平均値の間には統計的解析によ
って有意差があることが認められた。A法のよう素吸着量の平均値は,B法のそれよりも約1 %
小さい。この現象は理由が明確ではない。二つの方法の精度を比較するとき,A法は7試験室,
B法は23試験室で実施したという差のあることを認識する必要がある。
参考文献 1) ASTM D 4821,Standard Guide for Carbon Black−Validation of Test Method Precision and Bias
2) ISO/TR 9272:2005,Rubber and rubber products−Determination of precision for test method
standards
附属書JB
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 6217-1:2008 ゴム用カーボンブラック−基本特性−第1部:よう素
吸着量の求め方(滴定法)
ISO 1304:2006 Rubber compounding ingredients−Carbon black−Determination of iodine
adsorption number
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 器具及び
装置
4.1 はかり
4.12 デシ
ケータ
4.1
追加
JISでは0.01 g精度のはかり
を追加した。
よう素は,昇華性物質であり,感度の高いは
かりではひょう量できないため,感度の低い
はかりを追加した。ISO規格の次回見直し時
に提案する。
4.12
追加
JISではデシケータに入れる
乾燥剤を追加した。
ISO規格の次回見直し時に提案する。
5 試薬
試薬の種類
5.2〜
5.5
試薬の規定なし。
追加
対応する試薬のJIS番号を追
加し,明示した。
技術的差異はない。
硫酸
5.7
硫酸の濃度で規定。
変更
JIS番号を追加し,明示した。 技術的差異はない。
でんぷん
サリチル酸
5.8
5.9
試薬の規定なし。
追加
JIS番号を追加し,明示した。 技術的差異はない。
6 溶液の調
製
よう素溶液
6.1.5
よう素をはかりで
12.000±0.005 gひょう
量。
変更
JISでは,よう素のひょう量
を12.00±0.01 gとした。
よう素は,感度の高いはかりではひょう量で
きないため,感度の低いはかりに変更した。
ISO規格の次回見直し時に提案する。
7 溶液の標
定
7.3.5
0.025 4 gのよう素を加
える。
変更
JISでは,加えるよう素を
0.03 gに変更した。
よう素は昇華性物質であり,グラム単位で下
二けたまでしか,ひょう量できないため変更
した。ISO規格の次回見直し時に提案する。
9 試験結果
のまとめ方
9
追加
JIS Z 8401に従って小数点以
下1けたに丸める。
技術的差異はない。
2
K
6
2
1
7
-1
:
2
0
0
8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
10 SRBに
よる確認
JIS K 6216-2に規定
するSRBで確認
10
ASTM D 4821記載の
SRBで確認。
変更
ISO規格もJISも同じSRBを
使用。
技術的差異はない。
11 精度及
びかたより
精度管理データ
11
−
削除
附属書JA(参考)に移した。 精度管理データは,元となる計算方法を
ISO/TR 9272から引用しているが,JISでは
ISO/TRを引用できないため,精度及びかたよ
りの箇条を附属書に移し,ISO/TR 9272:2005
を参考文献として記載し,それを参照するこ
とにした。
なお,技術的差異はない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 1304:2006,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除················国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加················国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更················国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ···············国際規格を修正している。
2
K
6
2
1
7
-1
:
2
0
0
8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。