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(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 ゴムに関する用語の分類 ···································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
3.1 表記方法 ······················································································································ 2
3.2 原料ゴムに関する用語 ···································································································· 2
3.3 配合剤に関する用語 ······································································································· 6
3.4 加工に関する用語 ········································································································· 13
3.5 加硫に関する用語(配合剤及び加工を除く。) ···································································· 18
3.6 試験に関する用語(原料試験,未加硫物試験及び化学試験) ················································· 21
3.7 試験に関する用語(加硫物試験及び物理試験) ··································································· 23
3.8 製品及び半製品に関する用語 ·························································································· 32
3.9 リサイクルに関する用語 ································································································ 34
3.10 エコロジーに関する用語 ······························································································· 35
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 36
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本ゴム工業会(JRMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規
格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規
格である。これによって,JIS K 6200:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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ゴム−用語
Rubber-Vocabulary
序文
この規格は,2012年に第6版として発行されたISO 1382を基としている。旧JISは,ISO 1382:2002を
基として2008年に発行されたが,その後,同ISO規格は,収録用語を補強するため,用語の追加・改正・
削除を繰り返し,2008年及び2012年に改正された。これらの変更点について国際規格との整合性を図る
と共に,日本国内で汎用的に使用されているゴム用語を新たに追加し,ユーザーの利便性向上を図る目的
で,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,ゴム産業で用いる主な用語及び定義について規定する。
注記1 この規格は,ゴムに関する用語になじみがない人にも役に立ち,かつ,ゴムに関する他の規格
並びにゴムに関する出版物及び報告書において使用する用語を選ぶ指針となる。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 1382:2012,Rubber−Vocabulary(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
ゴムに関する用語の分類
ゴムに関する用語の分類は,表1による。
表1−ゴムに関する用語の分類
分類
番号
原料ゴムに関する用語
1000番台
配合剤に関する用語
2000番台
加工に関する用語
3000番台
加硫に関する用語(配合剤及び加工を除く。)
4000番台
試験に関する用語(原料試験,未加硫物試験及び化学試験)
5000番台
試験に関する用語(加硫物試験及び物理試験)
6000番台
製品及び半製品に関する用語
7000番台
リサイクルに関する用語
8000番台
エコロジーに関する用語
9000番台
2
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3
用語及び定義
3.1
表記方法
用語及び定義の表記方法は,次による。
a) 二つ以上の用語をコンマ“,”を挟んで併記してあるものは,それぞれ同義語又は略語であり,それら
の用語の適用は同等とする。
b) 特定の分野に限定している用語には,用語の後の丸括弧内に使用分野を示す。
c) 本文中に単独名詞で“力”と表現している言葉は“外力”の意味とする。
3.2
原料ゴムに関する用語
a) 原料ゴムに関する一般用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1001
エラストマー
弱い力で変形し,力を除いた後,急速にほぼ元の形状寸法に
戻る高分子材料。
elastomer
1002
原料ゴム,
生ゴム,
バージンゴム
ゴム製品を製造するための天然ゴム又は合成ゴム。
注記 通常は配合剤を含まないが,オイル及び/又は充塡剤
を含むものもある。
raw rubber,
virgin rubber
1003
ゴム
柔軟性及び弾性をもつ,原材料,中間材料,製品などの総称。
常温でゴム(状)弾性をもつ。
注記 ゴムは,力を与えると大きく変形するが,力を除くと
ほぼ元の形状にすぐに戻る。通常,混合物からなり,
その主成分となる高分子が化学的又は物理的に架橋さ
れている。
rubber
1004
粉末ゴム,
ゴムパウダー
粒子状ゴムの総称。ラテックスを噴霧若しくは乾燥するか,
又は加硫ゴム若しくは未加硫ゴムを粉砕して作る。
powdered rubber
1005
ベール
取引,輸送などのために原料ゴムを圧縮成形したもの。
bale,
rubber bale
1006
伸長結晶化
伸長すると分子鎖の配向が生じて,一部分が結晶化すること。
注記 天然ゴムのような高度な立体規則性のある分子におい
て生じる。
strain induced
crystallization
1007
ミクロ構造
高分子の立体規則性,分岐,モノマーなどの結合状態。
注記 特にジエン系ゴムにおいては,ジエンモノマーの結合
状態(シス-1,4結合,トランス-1,4結合,1,2結合,3,4
結合など)の比率を示す。
microstructure
b) ゴム重合関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1101
重合
単量体(モノマー)から高分子化合物を生成する反応。
注記 重合には,付加重合,縮合重合,重付加,付加縮合な
どがある。
polymerization
1102
解重合
重合体から,単量体又は比較的低分子量の重合体への分解。
depolymerization
1103
共重合
2種類以上の単量体からなる重合。
copolymerization
1104
乳化重合
石けん及び/又は界面活性剤によって,1種類以上の単量体
を,安定なミセル状水系分散体の中で重合する方法。
emulsion polymerization
1105
付加重合
水又は他の低分子物質が分離生成することなく,単量体が連
結し合って高分子を生成すること。
注記 通常は,不飽和化合物又は環状化合物が,それぞれ不
飽和結合又は環を開裂して高分子を生成することをい
う。狭義にはビニル化合物の重合をいう。
addition polymerization
1106
溶液重合
1種類以上の単量体を有機溶剤に溶解させて,重合する方法。 solution polymerization
3
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1107
重合体
1種類以上の原子又は原子団(構成単位)の多数の繰返しで
特徴付けられた分子からなる物質。
注記 これらの構成単位は,相互に連結しており,その数を1
個又は少数増減させても物質の特徴的な性質が大きく
変化しない程度に十分大きい。
polymer
1108
共重合体,
コポリマー
2種類以上の異なる単量体から合成された重合体。
copolymer
1109
三元重合体
3種類の単量体から合成された重合体。
注記 三元共重合体ということもある。
terpolymer
1110
単量体
同一の分子,又は異なる分子と反応して重合体を生成するこ
とのできる低分子量の物質。
monomer
1111
重付加
2官能以上の単量体間で付加反応を繰り返す高分子の生成反
応。
注記 代表的な例として,ジイソシアネートとジオールとの
反応によるポリウレタンの生成,及びジイソシアネー
トとジアミンとの反応によるポリ尿素の生成がある。
polyaddition
1112
主鎖改質
加硫及び他の反応の結果,高分子鎖に引き起こされる,架橋
以外の化学変化。
main-chain modification
1113
単量体単位
高分子を構成する繰返し単位のうち,原料となるモノマー分
子に相当する部分。
注記 例えば,ポリエチレンの単量体単位は,-CH2CH2-であ
る。
monomeric unit
1114
バウンドモノマー
重合反応において,同一タイプ又は異なるタイプの単量体と
結合した単量体。
注記 バウンドモノマーは,一般に重合体中の百分率で表す。
例 SBRにおける結合スチレン量及びNBRにおける結合ア
クリロニトリル量。
(1313 結合アクリロニトリル量,1314 結合スチレン量参照)
bound monomer
1115
ホモポリマー
1種類の単量体によって合成された重合体。
homopolymer
1116
ホワイトスポッ
ト,
ウエットスポット
原料ゴム中の局部的な高水分量による白濁斑点。
注記 ホワイトスポットは,素練りの効果を減少し,混合中
に原料ゴムへのカーボンブラックの取込み性を阻害す
る傾向がある。
white spots,
wet spots
c) 天然ゴム関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1201
天然ゴム
バラゴムノキから得られるシス-1,4-ポリイソプレン。
注記 製造法・格付け方法によって,RSS(ribbed smoked
sheet),TSR(technically specified rubber)などがある。
natural rubber
1202
ガタパーチャ,
グタペルカ,
グッタペルカ
サポタセア属の木から取れる,トランス-1,4-ポリイソプレン
を主成分とする硬い熱可塑性物質。
gutta-percha
1203
バラタ
ミムソプス・グオサロ属の木から取れる,トランス-1,4-ポリ
イソプレンを主成分とする硬い熱可塑性物質。
balata
1204
グアユールゴム
グアユールゴムノキから,ゴム及び樹脂を抽出して分離した
シス-1,4-ポリイソプレン。
guayule rubber
1205
グラフト天然ゴム
天然ゴムに各種のモノマーをグラフト重合させたゴム。原料
としてはラテックスと固形ゴムとが用いられる。
注記 メタクリル酸メチルグラフト物が一般的である。
grafted natural rubber
4
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1206
ゴム炭化水素
(天然ゴムの)
たんぱく質などの非ゴム成分を含まない,天然ゴム中のポリ
イソプレン成分。
rubber hydrocarbon
(natural rubber)
1207
スキムラバー
天然ゴムラテックスの濃縮中に分離された,濃度のうすいラ
テックスから得られるゴム。
skim rubber
1208
色指数
ロビボンド(Lovibond)色見本との比較によって得られる,
TSR(天然ゴム)の色に対する等級。
colour index
1209
可塑度残留指数,
PRI
天然ゴムにおいて,既定の条件下で空気加熱老化させたとき
の,老化前に対する老化後の可塑度の比。
plasticity retention index
1210
ベールコーティン
グ
マーキングを容易にするため,又は他との粘着防止のために,
天然ゴムのベールの表面に施される被覆。
bale coating
d) 合成ゴム関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1301
合成ゴム
天然ゴムに対応するもので,化学的に合成されたゴム弾性を
示すポリマーの総称。
synthetic rubber
1302
ジエン系ゴム
ブタジエン,イソプレンなどの共役二重結合をもつジエンモ
ノマーを主原料とし,主鎖に不飽和炭化水素結合をもつゴム。
diene rubber
1303
樹脂配合ゴム
樹脂を添加して加硫ゴムの硬さを増加させたゴム配合物。樹
脂を配合することで,加工性を阻害することなく加硫ゴムの
硬度を増加させることができる。
resin rubber
1304
油展ゴム
プロセスオイルを比較的高い割合で含む原料ゴム。
注記 オイルの割合は,通常,重合体100部に対し15部以上。
oil-extended rubber
1305
伸展油,
エクステンダーオ
イル
油展ゴムの製造の際に用いる石油系軟化材。
extender oil
1306
粒状化ゴム
原料ゴム又は未加硫配合ゴムを,細断して直径15 mm以下の
粒子状にしたもの。
注記 製造,移送及び貯蔵中に固まらないように表面処理し
たものもある。
granulated rubber
1307
線状重合体
単量体単位が分岐しないで直鎖状に結合している重合体。
linear polymer
1308
枝分かれ重合体
直鎖状の分子が,環状ではなく分岐構造をもって結合してい
る重合体。
branched polymer
1309
ブロック重合体
互いに隣接するブロックが,異なる単量体で構成されている
重合体。同種の単量体からなるブロックであっても,その組
成又は連鎖分布が異なる。
注記 ブロック共重合体ということもある。
block polymer,
block copolymer
1310
グラフト重合体
主鎖と異なる一種又は複数種のブロックが側鎖として結合し
た重合体。
注記 グラフト共重合体ということもある。
graft polymer,
graft copolymer
1311
立体規則性重合体
繰返し単位の立体構造が,規則的な配列をとっている重合体。
注記 例えば,ジエン類の重合体では,シス-1,4重合体及びト
ランス-1,4重合体,並びに主鎖に不斉炭素原子をもつア
イソタクチック重合体,シンジオタクチック重合体,
及びアタックチック重合体がある。
stereoregular polymer
1312
立体特異性重合
立体規則性重合体を形成する重合。
stereospecific
polymerization
1313
結合アクリロニト
リル量
NBR中の共重合アクリロニトリル量。質量分率で表す。
bound acrylonitrile
content
1314
結合スチレン量
SBR中の共重合スチレン量。質量分率で表す。
bound styrene content
5
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1315
動的加硫系熱可塑
性エラストマー,
TPV
動的架橋によって作られた,化学的に加硫したゴム相をもつ
熱可塑性エラストマー。
thermoplastic
vulcanizate
1316
熱可塑性エラスト
マー,
熱可塑性ゴム,
TPE
常温ではゴムの性質を示し,高温では塑性流動性を示すエラ
ストマー。
thermoplastic elastomer,
thermoplastic rubber
1317
熱硬化性樹脂
熱によって架橋し,溶剤に溶解しない重合体。
thermoset,
thermosetting resin
1318
ブロッキング
材料間の意図しない固着。
blocking
1319
ブロッキング防止
剤
ゴム表面間の意図しない固着の危険を防ぐ,又は減少させる
ために用いる添加剤。
anti-blocking agent
1320
ブロック
共重合体中における,同種の単量体の連鎖部分。
block
1321
ポリウレタン
主鎖中にウレタン結合-NHCOO-をもつポリマーの総称。
polyurethane
1322
石けん分
乳化重合に用い,生ゴム中に残存する石けん。石けんの量,
含有率など,定量的意味合いで用いられる場合もある。
soap content
1323
有機酸分
乳化重合に用いる石けんに由来し,生ゴム中に残存する脂肪
酸。脂肪酸の量,含有率など,定量的意味合いで用いられる
場合もある。
organic-acid
e) ラテックス関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1401
ラテックス
重合体の水性コロイド分散体。
latex
1402
ゴムラテックス
天然ゴム又は合成ゴムからなる水性コロイド分散体。
rubber latex
1403
安定化ゴムラテッ
クス
早期凝固を防止する処理をしたラテックス。
stabilized rubber latex
1404
遠心分離ラテック
ス
遠心分離によって,しょう(漿)液を分離し,ゴム濃度を高
めたラテックス。
centrifuged rubber latex
1405
前加硫処理ラテッ
クス,
加硫ラテックス
粒子が部分的に加硫されたラテックス。
注記 フィルム及び一部の製品は,このラテックスを単に乾
燥して作られる。
prevulcanized rubber
latex
1406
クリームラテック
ス
クリーミング及び分離したしょう(漿)液を除去することに
よって,ゴム濃度を高めたラテックス。
creamed rubber latex
1407
蒸発濃縮ラテック
ス
水分を蒸発させて濃縮したラテックス。
evaporated rubber latex
1408
濃縮天然ゴムラテ
ックス
フィールドラテックスの水分を一部除去して濃縮し,凝固安
定性,腐敗などによる変質を防ぐため,アンモニア及び/又
は防腐剤を添加した天然ゴムラテックス。
natural latex concentrate
1409
フィールドラテッ
クス
濃縮又は他の処理前の天然ゴムラテックス。
注記 防腐剤を含んでいることもある。防腐剤は,ゴムの木
から得られたそのままの状態を維持するために加え
る。
field latex
1410
保存処理ゴムラテ
ックス
腐敗及びそれに伴う凝固を防止する処理をしたラテックス。
preserved rubber latex
1411
ウェッビング
ラテックスから浸せき型を引き上げるときに,型と表面との
間に発生する,薄いラテックス皮膜。
webbing
1412
ウェッビング防止
剤
ラテックスに浸せきするとき,浸せき製品の隣り合う部分に
発生するウェッビングを防ぐために,添加する配合剤。
anti-webbing agent
1413
ガムディップ
繊維をゴムのりに浸すことによって,ゴムを含浸させる工程。 gum dipping
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1414
乾燥後残さ
試験条件で,揮発せずに残った物質の量を質量分率で表した
値。
residue after drying
1415
乾燥ゴム分
ラテックス又はゴム溶液中に含まれるゴム量を,質量分率で
表したもの。
dry rubber content
1416
凝固分
原料ラテックス中に存在する凝固物の乾燥質量。全固形物に
対する質量分率で表す。
coagulum content
1417
シュヴァルツ値
所定の機械的な条件を与えた後に,測定を行う糸ゴムのモジ
ュラスの値。
Schwartz value
1418
しょう(漿)液
(ゴムラテックス
の)
天然ゴムラテックスの分散媒体。
serum
(rubber latex)
1419
スラッジ
(ゴムラテックス
の)
原料天然ゴムラテックス中の沈殿物。
sludge
(rubber latex)
1420
全アルカリ分
天然ゴムラテックス中に含まれるアルカリ全量をアンモニア
量に換算して示したもの。
total alkali content
1421
全固形分
試験条件で乾燥後,揮発せずに残った物質の量を質量分率で
表した値。
total solids
1422
乳濁液
液体中に,他の液体粒子を,コロイド粒子又はそれより粗大
な粒子として分散した混合液。
emulsion
1423
ブローダウン
空気を吹き込みながら,かくはん(攪拌)することによって,
ラテックスからアンモニアを除く工程。
blowing down
3.3
配合剤に関する用語
a) 配合剤に関する一般用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2001
配合剤
加工性の改良,製品物性の向上,増量剤としての利用などを
目的に,ゴム又はラテックスに添加する物質。
compounding ingredient
b) 加硫関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2101
硫黄
天然ゴム,不飽和合成ゴムなどに用いる加硫剤として最も多
く使用される物質。二硫化炭素に可溶する結晶形と,不溶で
ある無定形とがある。
sulfur
2102
硫黄供与剤,
サルファードナー
硫黄を含む化合物。加硫反応中に硫黄を解離放出して加硫剤
として働く。
sulfur donor
2103
一次加硫促進剤
二つ以上の加硫促進剤を併用する場合,主導的な加硫促進力
をもつ加硫促進剤。配合量の多い加硫促進剤をいう場合もあ
る。
primary accelerator
2104
架橋剤
原料ゴムに混合して加熱などの処理を行い,架橋構造を形成
させるための薬剤。
例 硫黄,金属酸化物,オキシム類,ポリアミン,有機過酸
化物,変性フェノール樹脂
crosslinking agent
2105
架橋助剤
非硫黄加硫系において,低濃度で架橋効率を増加させ,特性
を変化させるのに用いる配合剤。
注記 この用語は,一般に有機過酸化物による架橋に用いる。
crosslinking co-agent,
co-agent
2106
加硫促進助剤
加硫促進剤の効果を増強するために,少量用いる配合剤。酸
化亜鉛を代表とする金属酸化物,ステアリン酸を代表とする
脂肪酸などがある。
activator
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2107
加硫剤
架橋剤として用いる硫黄又は硫黄化合物。
vulcanizing agent,
curative,
curing agent
2108
加硫促進剤
架橋反応速度の増大及び/又は製品の物性を向上させるため
に,加硫剤と共に少量用いる配合剤。
accelerator
2109
初期加硫抑制剤
加工及び加硫の温度で,ゴム配合物の架橋が始まるまでの時
間を延ばすための配合剤。
注記 初期加硫抑制剤は,架橋の開始時期を遅らせるだけで,
加硫速度にはほとんど影響を与えない点で,加硫遅延
剤とは異なる。多くの加硫遅延剤は,全体として加硫
反応を抑制し,加硫速度を低下させる。
prevulcanization
inhibitor
2110
遅延剤,
リターダー
ゴム配合物の加硫又は架橋速度を遅くさせるために用いる配
合剤。特に硫黄加硫の場合は,加硫遅延剤という。
retarder
2111
遅効性促進剤
スコーチ安定性が良好で,かつ,加硫速度の速い一群の有機
加硫促進剤。スルフェンアミド系がこれに属し,最も多く使
用されている。
delayed-action
accelerator
2112
超促進剤
速い加硫速度が得られる高活性の促進剤。
注記 低温加硫によく用いられる。
ultra-accelerator
2113
二次加硫促進剤,
ブースター
二つ以上の加硫促進剤を併用する場合,一次加硫促進剤に少
量添加して加硫時間,物性などを調節するための加硫促進剤。
secondary accelerator,
booster
2114
酸化亜鉛,
亜鉛華
ジエン系ゴムでは加硫促進助剤,クロロプレンゴム,ハロゲ
ン化ブチルゴムなどでは加硫剤及び受酸剤として用いる配合
剤。耐熱性の向上に寄与する。
zinc oxide
2115
活性酸化亜鉛,
活性亜鉛華
微粒子の酸化亜鉛。
注記 一般的な酸化亜鉛に比べて効果が大きく,配合量を削
減することができるため,透明又は半透明の製品に用
いられる。
active zinc oxide
2116
酸化マグネシウム,
マグネシア
クロロプレンゴム,ビニリデンフルオリド系ふっ素ゴム,ク
ロロスルホン化ポリエチレンなどの受酸剤として用いる配合
剤。
magnesium oxide,
magnesia
2117
有機過酸化物
-O-O-基をもつ有機化合物。熱解離によって生じる酸素ラジカ
ルが,ゴムから水素原子を引き抜き,分子ラジカルを発生さ
せる。発生した分子ラジカル同士が結合して架橋構造を作る
ことで,架橋剤として作用する。
organic peroxide
c) 劣化,老化関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2201
安定剤
乾燥,加工及び貯蔵の各工程を通して,物性を初期値又はそ
れに近い値に保持するために,原料ゴム中に存在するか又は
原料ゴムに添加する老化防止剤。
stabilizer
2202
オゾン劣化防止剤
オゾンによる劣化を遅らせるために用いる配合剤。
antiozonant
2203
屈曲亀裂防止剤
周期的変形によって生じる亀裂の発生及び成長を遅らせるた
めに用いる配合剤。
anti-flex-cracking agent
2204
酸化防止剤
酸化による劣化を遅らせるために用いる配合剤。
antioxidant
2205
紫外線吸収剤
日光及び/又は他の光源中の紫外線成分によって起こる劣化
を,紫外線を吸収することによって抑制する配合剤。
UV absorber
2206
熱老化防止剤
熱による劣化を遅らせるために用いる配合剤。
heat stabilizer
2207
非汚染性老化防止
剤
汚染性のない老化防止剤。フェノール系,ベンズイミダゾー
ル系,チオウレア系,リン系老化防止剤などがこれに属する。
non-staining antioxidant
8
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2208
老化防止剤,
劣化防止剤
老化による質の低下を遅らせるために用いる配合剤。
注記 酸化防止剤,オゾン劣化防止剤,ワックス類,その他
保護物質などの添加剤の総称である。
antidegradant
d) 補強,充塡剤関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2301
アグリゲート
(カーボンブラッ
クの)
カーボンブラックの一次凝集体であり,最小構成単位。微球
状の基本粒子同士が融着し,連鎖状又は不規則な鎖状に枝分
かれした複雑な凝集形態を示す。
注記 通常,基本粒子が数個から数十個の凝集体で,数十〜
数百ナノメートルの大きさ。
aggregate
(carbon black)
2302
アグロメレート
(カーボンブラッ
クの)
カーボンブラックの二次凝集体であり,アグリゲート(一次
凝集体)同士がファンデルワールス力,単なる集合,付着,
絡み合いなどによって緩く結合し形成した凝集体。
注記 通常,数十〜数百ミクロンの大きさ。
agglomerate
(carbon black)
2303
カーボンブラック
炭化水素の不完全燃焼又は熱分解によって得られ,95 %以上
の炭素からなる,数百ナノメートル以下のアグリゲート構造
をもつ物質。
carbon black
2304
アセチレンブラッ
ク
アセチレンを原料として作るカーボンブラック。導電性カー
ボンブラックとして使用される。
acetylene carbon black
2305
サーマルブラック
空気又は炎のない状態で,液状若しくはガス状炭化水素又は
それらの混合物を,制御された条件下で熱分解して得られる
カーボンブラック。
thermal carbon black
2306
チャネルブラック
チャネル鋼の背面に炎を当てて,付着したカーボンをかき取
る方法で製造されたカーボンブラック。
channel carbon black
2307
導電性カーボンブ
ラック
ストラクチャーが発達している,グラファイト率が高い,粒
子径が小さいなどの特徴をもち,ゴムなどに配合したとき,
優れた導電性を示すカーボンブラック。
conductive carbon black
2308
ファーネスブラッ
ク
炉の中に炭化水素を噴射し,不完全燃焼させて作るカーボン
ブラック。
なお,原料に天然ガスを使うものをガスファーネスカーボ
ンブラック,原料に油を使うもの(天然ガスと併用する場合
を含む。)をオイルファーネスカーボンブラックという。
furnace carbon black
2309
ランプブラック
植物系,石油系,石炭油系などの原料油を不完全燃焼させて
作る比較的粒子が大きく,ゴムに対する補強性が弱いカーボ
ンブラック。
注記 墨,墨汁,ペイント,線香,建築材,鋳型又は金型の
離型剤などの用途がある。
rump carbon black
2310
圧縮試料のオイル
吸収量,
24M4オイル吸収
量,
COAN
アグリゲートが絡み合ったアグロメレート(弱い集合体)を
機械的圧力によって壊した後,測定したオイル吸収量。
注記1 金属性シリンダーにカーボンブラックを充塡し,
24 000 psi(1 690 kg/cm2)の圧力で圧縮する操作を4
回繰り返した後のオイル吸収量を測定する。
注記2 COANは,oil absorption number of compressed sample
の意味である。
oil absorption number of
compressed sample
2311
オイル吸収量,
OAN
(カーボンブラッ
クの)
所定の質量のカーボンブラックに,フタル酸ジブチル(DBP),
パラフィン油,エポキシ化脂肪酸(FEA)のいずれかを徐々
に加え,最大トルクの70 %時のオイル消費量。
注記 カーボンブラックのストラクチャーの発達程度を表す
指標として用いられる。
oil absorption number
(carbon black)
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2312
かさ密度
粉末,造粒粒子などの固体の単位体積当たりの見掛けの質量。 pour density,
bulk density
2313
気相法シリカ,
乾式シリカ
四塩化けい素を酸素,水素雰囲気下で燃焼して合成した無水
けい酸の白色微粒子粉末。透明ゴム用充塡剤として使用する。
fumed silica
2314
沈降性シリカ,
湿式シリカ
けい酸ナトリウム(水ガラス)水溶液を酸又はアルカリ雰囲
気下で中和して製造した含水けい酸の微粒子。補強性充塡剤
として使用する。
precipitated silica
2315
凝集体径分布
アグリゲート(一次凝集体)の大きさの分布。カーボンブラ
ックにおいては,水に分散させて遠心沈降径(ストークス径)
から求める。
aggregate size
distribution
2316
クレー
広義には陶土,カオリン,タルク,ベントナイトなどの総称。
粒子径の違いによってハードクレー(補強性)とソフトクレ
ー(非補強性)とがある。
clay
2317
鉱物充塡剤
鉱物由来の充塡剤。
例 クレー,炭酸カルシウム,シリケイト
mineral filler
2318
黒度
光の反射率で比較したカーボンブラックの黒さ。
注記 粒子が小さいほど黒い。
blackness
2319
充塡剤
ゴム又はゴムラテックスに,主に補強又は経済的目的で,比
較的大量に加える配合剤。
filler
2320
水分含有量
(カーボンブラッ
クの)
カーボンブラックに吸収又は吸着した水分の質量分率。
moisture content
(carbon black)
2321
ストラクチャー
(カーボンブラッ
クの)
アグリゲートの慣用名で,カーボンブラックの基本粒子が融
着した,複雑な凝集体構造。
structure
(carbon black)
2322
造粒特性
造粒粒子の大きさの分布,個々の造粒粒子の硬さ,微粉量,
かさ密度などの造粒した粒子の主要な特性。
pellet property
2323
造粒粒子径分布
目開きの異なる数種類のふるいを,目開きの小さい順に載せ,
造粒粒子を通過させたときに,各ふるい上に残る造粒粒子の
質量分率。
pellet size distribution
2324
造粒粒子の硬さ
(カーボンブラッ
クの)
規定条件下で,カーボンブラックの一粒の造粒粒子を割るか,
又は砕くのに必要な力。
individual pellet crush
resistance
(carbon black)
2325
タルク
水和けい酸マグネシウムを主成分とするりん片状で,淡黄色
の柔らかい充塡剤。
talc
2326
炭酸カルシウム
重質炭酸カルシウムと沈降製炭酸カルシウムとに分けられ
る,充塡剤の一種。
calcium carbonate
2327
ディスク遠心沈降
法
カーボンブラックの基本特性の一つである凝集体径分布を求
める方法。分散液を遠心沈降させ,ストークス径を求める。
disk centrifuge
photosedimentometry
2328
トルエン着色透過
度
(カーボンブラッ
クの)
カーボンブラックに含まれる,原料オイルの未熱分解有機物
の残留度を表す指標。特定波長における純トルエンの透過度
と,カーボンブラックのトルエン抽出液の透過度との比で求
める。
toluene discolouration
(carbon black)
2329
比着色力
(カーボンブラッ
クの)
カーボンブラックを白色顔料(酸化亜鉛)と共にビヒクルで
練り,ガラス板などに塗ったときの反射率を測定し,標準品
の反射率と対比して指数で表したもの。
注記 標準品としては,米国のASTMに規定しているITRB
が用いられる。
tinting strength
(carbon black)
10
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2330
比表面積
(カーボンブラッ
クの)
粉体の単位質量当たりの表面積。粒子が小さいほど比表面積
が大きくなる。カーボンブラックの細孔を含む全比表面積は,
よう素吸着法,窒素吸着法などで測定される。
specific surface area
(carbon black)
2331
微粉量
(カーボンブラッ
クの)
カーボンブラックの造粒特性の一つで,造粒されていない部
分,又は一旦造粒され,再度破砕された部分の量。規定のふ
るいでふるった後の質量分率で示す。
fines content
(carbon black)
2332
不活性充塡剤
補強効果をもたない充塡剤。
inert filler
2333
ペレット,
造粒粒子
(カーボンブラッ
クの)
取扱い及び加工を容易にするため,粉状カーボンブラックを
1 mm程度の球状に固めたもの。
pellet
(carbon black)
2334
補強剤,
補強性充塡剤
ゴムの機械的強度を増加させるために用いる配合剤。
reinforcing agent,
reinforcing filler
2335
マスストレングス
(カーボンブラッ
クの)
所定条件下で,造粒カーボンブラックを凝集固化させる最小
の力。
mass strength
(carbon black)
2336
よう素吸着量
(カーボンブラッ
クの)
規定の条件下で,カーボンブラック1 kg当たりに吸着される,
よう素の量(g)。
注記 カーボンブラックの表面積の尺度を表す。
iodine adsorption
number
(carbon black)
2337
粒子
(カーボンブラッ
クの)
分離できる最小の識別可能な球又は球状に近いもの。
particle
(carbon black)
2338
一次平均粒子径
(カーボンブラッ
クの)
電子顕微鏡を用いて測定した一次粒子の粒子径を統計的に処
理した平均径。
例 個数平均径,面積平均径,体積平均径
average particle
diameter
(carbon black)
2339
一次粒子径
凝集体を形成している一次粒子の大きさ。
particle diameter
2340
一次粒子径分布
凝集体を形成している一次粒子の大きさの分布。ヒストグラ
ム,積算分布などで表す。
particle size distribution
e) 加工,加工助剤関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2401
アロマ系オイル
通常,芳香族炭化水素を少なくとも35 %以上含む炭化水素系
プロセスオイル。
aromatic oil
2402
ナフテン系オイル
ナフテン系炭化水素を質量分率30 %〜45 %含む炭化水素系
プロセスオイル。
naphthenic oil
2403
パラフィン系オイ
ル
飽和炭化水素を質量分率50 %以上含む炭化水素系プロセス
オイル。
paraffinic oil
2404
プロセスオイル
加工助剤として用いる,石油又は他の素材から得られる炭化
水素オイル。
process oil
2405
加工助剤
ゴム配合物の加工性を改良する配合剤。
processing aid
2406
可塑剤
ゴム又はゴム製品に柔軟性を与えるために用いる配合剤。特
に低温時の柔軟性を改良するために用いる。
plasticizer
2407
滑剤
押出時の摩擦を低減するために,又は成形品を金型から取り
出すことを容易にするために用いる配合剤。
lubricant,
mould lubricant
11
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2408
サブ,
ファクチス
加工助剤として用いる,不飽和油(植物油,魚油又は合成エ
ステル)と硫黄又は塩化硫黄とを反応させて作られる固形配
合剤。
注記 “ファクチス”という言葉は,米国のアメリカンサイ
アナミド社の,この定義に該当する特定の製品の登録
商標である。
rubber substitute,
factice
2409
素練り促進剤,
しゃく解剤,
ペプタイザー
機械的作用若しくは熱又はこの両者によるゴムの軟化を,化
学作用によって促進するために用いる配合剤。
peptizer
2410
軟化剤
加硫物の硬さを下げるために,又は未加硫ゴムの粘度を低下
させるために用いる配合剤。
softener
2411
粘着付与剤
未加硫ゴムの粘着性を増大させるために用いる配合剤。
tackifier
2412
樹脂
不定形の比較的大きな分子の塊で,特定の軟化点をもつ有機
物質。
注記 樹脂は,軟化剤,粘着付与剤,加工助剤,補強剤,加
硫剤などとして用いる。
resin
2413
多環芳香族炭化水
素
2個以上の環に共有する炭素原子をもつ,2個以上の芳香環か
らなる有機化合物。
polycyclic aromatic
hydrocarbon
2414
ベイエリア水素
三つ以上の縮合環をもつ非線形の多環芳香族炭化水素に特徴
的な,環で囲まれた三面凹域内の水素。
注記 H-NMRのあるシフト領域で検出できる。
bay region hydrogen
2415
ミネラルラバー
石油系アスファルトから製造される配合剤。
注記1 粘着付与剤,軟化剤として用いられる。
注記2 この用語は,誤称であり,ミネラルラバーは,ゴム
ではない。
mineral rubber
f)
特殊配合剤関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2501
カップリング剤
(充塡剤の)
充塡剤粒子とゴムとの間に化学結合を作ることによって,補
強効果を高める配合剤。
coupling agent
(filler)
2502
顔料
着色するために用いる不溶性の添加剤。
pigment
2503
吸水剤
最終製品中の空洞を少なくするため,配合ゴム中に存在する
水分を吸収するのに用いる配合剤。
desiccant
2504
接着促進剤
ゴムと他の材料との接着を促進させるため,未加硫ゴムに 添
加する配合剤。
adhesion promoter
2505
染料
着色するために用いる可溶性の添加剤。
dyestuff
2506
帯電防止剤
製品の表面に発生する静電気の蓄積を防止するために添加す
る配合剤。
antistatic agent
2507
着色剤
ゴムに色彩を与えるための顔料又は染料。
colourant
2508
難燃剤
樹脂又はゴムに,耐燃焼性を付与又は改良する目的で,添加
混入又は表面塗布する薬剤。
flame retardant
2509
発泡剤
中空又は発泡製品を製造する場合に,化学的又は熱的作用に
よって,気体を生成させるために用いる配合剤。
blowing agent,
foaming agent
2510
付香剤
特殊な香りを与えるためにゴムに添加する配合剤。
re-odorant
12
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g) ゴムラテックス用配合剤関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2601
安定剤
(ゴムラテックス
の)
配合又はその後の加工の間,ゴム粒子の凝集及び凝固を防止
するため,ラテックスに添加する配合剤。
stabilizer
(rubber latex)
2602
感熱剤
(ゴムラテックス
の)
高温域だけで効果があるゲル化剤。
heat sensitizer
(rubber latex)
2603
気泡安定剤
(ゴムラテックス
の)
発泡させた泡が,ラテックスフォームの製造時に破泡しない
よう,安定化させる配合剤。
foam stabilizer
(rubber latex)
2604
起泡剤
(ゴムラテックス
の)
ラテックスフォームを製造するときに,起泡形成を容易にす
る配合剤。
foaming agent
(rubber latex)
2605
凝固剤
(ゴムラテックス
の)
ラテックスを凝固させるために用いる配合剤。
coagulant,
coagulating agent
(rubber latex)
2606
凝固防止剤
(天然ゴムラテッ
クスの)
バクテリアの作用による急速な凝固を抑制するため,フィー
ルドラテックスに添加する物質。
(1409フィールドラテックス参照)
anticoagulant
(natural rubber latex)
2607
凝集剤
(ゴムラテックス
の)
ラテックスに加えたとき,フロキュレーションを起こす物質。
(3514フロキュレーション参照)
flocculant
(rubber latex)
2608
クリーミング剤
(ゴムラテックス
の)
クリーミング速度を早めるためにラテックスに添加する物
質。
(3506クリーミング参照)
creaming agent
(rubber latex)
2609
ゲル化剤
(ゴムラテックス
の)
ゲル化を起こさせる物質。
(3508ゲル化参照)
gelling agent
(rubber latex)
2610
湿潤剤
(ゴムラテックス
の)
ラテックス混合物の表面張力を減少させるために用いる配合
剤。
wetting agent
(rubber latex)
2611
消泡剤
(ゴムラテックス
の)
最終製品のピンホール又は膨れの原因となる,ラテックス中
の気泡の生成を防止するために用いる配合剤。
anti-foaming agent
(rubber latex)
2612
増粘剤
(ゴムラテックス
の)
ラテックス及びその混合物の粘度を増大させるために少量添
加する配合剤。
thickener
(rubber latex)
2613
乳化剤
(ゴムラテックス
の)
水に不溶性の液状配合剤の乳化を容易にするために用いる界
面活性剤。
emulsifying agent
(rubber latex)
2614
分散剤
(ゴムラテックス
の)
水系への固形配合剤の分散を容易にするために用いる界面活
性剤。
dispersing agent
(rubber latex)
2615
防腐剤
(ゴムラテックス
の)
腐敗及びそれに伴う凝固を防止するために,濃縮前又は濃縮
後に未配合ラテックスに加える物質。
preservative
(rubber latex)
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K 6200:2019
3.4
加工に関する用語
a) 加工に関する一般用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3001
混入異物
ゴム製品,ゴム配合物などを製造するときに,目的成分以外
の物質が誤って又は自然に混入したもの。
foreign matter
3002
スティッキー
未加硫ゴムなどのべとついた性質。
注記 過度に素練りしたゴム,又は軟化剤,粘着剤などが多
量に配合されたゴムに見られる。
sticky
3003
ブラックスコーチ
カーボンブラックを含む未加硫ゴムが,それらの相互作用に
よって,著しい粘度上昇を示す,EPDMに顕著な現象。
black scorch
b) 混練り関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3101
バッチ
混練り操作の1回分で得られる混合物。
batch
3102
ウエットマスター
バッチ
重合停止後のラテックス又は,溶液状態のゴムに,伸展油,
カーボンブラックなどを混合・分散し共凝固させた後に,乾
燥又は脱溶剤して得られる混合物。
wet masterbatch
3103
マスターバッチ
配合物を製造するときに,原料として用いるゴムと,一つ以
上の配合剤とが,よく分散している配合量既知の混合物。加
工性の改良又は最終製品の特性向上のために用いる。
注記 この用語は,加硫剤以外の薬品又は充塡材とゴムとの
混合物に対して主に用いられる。
masterbatch
3104
混合物
配合剤とゴムとを混ぜ合わせたもの。
mix
3105
混練り
原料ゴムとゴム配合剤とを混合し,機械的せん断力を加えて
ゴムに可塑性をもたせると同時に充塡剤及び配合剤をゴム中
に分散させる作業。
mixing
3106
素練り
機械的せん断力,空気中の酸素の作用,ペプタイザー,熱,
又はこれらの組合せによって,原料ゴム又は配合物の分子量
を不可逆的に低下させる工程。
(2409ペプタイザー参照)
mastication
3107
ノンプロ練り,
A練り
ゴムに,加硫系配合剤を含めないで混練りする作業。
注記 A練りは日本独自の用語である。
non-productive mixing,
masterbatch mixing
3108
プロ練り,
B練り
ゴムに,ノンプロ練りで除いた配合剤を混練りする作業。
注記 B練りは日本独自の用語である。
productive mixing,
final mixing
3109
メルトミキシング
樹脂の溶融点以上で,ゴムと樹脂とを混ぜ合わせる,熱可塑
性ゴムのブレンド物製造方法。
melt mixing
3110
充塡率
ゴムを密閉式混練機によって混練りする際の,混練機の容量
に対する仕込み全材料の容量比。体積分率で表す。
filling factor
3111
バギング
ロール機による混練り作業において,ロール間隙を通過した
ゴムバンドが,ロールに巻き付かずに浮き上がる現象。
bagging
3112
バンク
ロール機若しくはカレンダーのロール間隙,又はのり引き機
のバー若しくはナイフに生じる材料のたまり。
bank
3113
分散
最適かつ均一な性質を得るため,せん断力を用いて,一つ以
上の配合剤を,ゴム,ゴムブレンド又はゴムマトリックスに
散在させる操作。
dispersion
3114
予備分散
最終配合物の原料として用いるため,あらかじめ1種以上の
配合材を必要な割合で,よく分散させること。
predispersion
14
K 6200:2019
c) 押出し,圧延関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3201
圧延
塑性変形材料に,圧力を加えながら延伸し,板又は棒状に成
形する作業。
rolling
3202
押出し
ダイを通して材料を連続的に成形する操作。
extrusion
3203
カレンダー収縮
カレンダーで圧延されたゴム配合物が,圧延方向に対して収
縮すること。
calender shrinkage
3204
粉付け
他の表面との粘着を防ぐため,ゴムの表面に粉末を散布する
操作。
dusting,
chalking
3205
ゴム引き
被着体にゴムを含浸及び/又は被覆する操作。
rubberize
3206
シーティング,
ぶ出し
ゴム若しくはゴム配合物,又はゴムのり若しくは凝固ラテッ
クスを,シート状に薄く延ばす操作。
sheeting
3207
スキムコーティン
グ,
トッピング
ゴムとシートとの間に大きなせん断力を加えずに,ゴム配合
物又は混合物の薄い層をシートに張る工程。
skim coating,
topping
3208
ストレーニング
配合したゴム中に含まれている,粒径の大きな配合剤又は異
物を,網の目を通過させて除去する工程。
straining
3209
スパイダーライン
押出ヘッドのスパイダー又はブリッジのスポークに一致する
押出ゴム断面の放射状の融合ライン。
spider line
3210
ダイスェル
押出物の断面寸法と,対応するダイ開口部の寸法との差。
注記 通常は,断面積の増加百分率として表す。
die swell
3211
ドウ
配合ゴム及び溶剤からなる,滑らかな表面をもつ,のり引き
に用いるペースト状の塊。
dough
3212
熱入れ
後工程をより容易にするために,機械的なせん断力及び熱に
よって,ゴム及びゴム混合物を軟らかくする操作。
warm-up
3213
フリクションコー
ティング,
フリクショニング
カレンダーのせん断作用によって,繊維にゴムを被覆する操
作。
friction coating,
frictioning
3214
ブリッジ
押出機のヘッドを支える2本の支持脚。
注記1 支持脚が3本以上の場合はスパイダーという。
注記2 押出機の入口又は出口付近で材料が架け橋状につな
がった状態を表す場合がある。
bridge
3215
プルーフィング
流体の透過を防止するか,又は他の特殊な保護作用を与える
ために,適切な配合ゴムを布にコートする操作。
proofing
3216
より
(より数)
原糸又は繊維のストランドの,単位長さ当たりの軸に対する
より数。
twist
(amount of)
d) 成形関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3301
圧縮成形
被成形物を金型キャビティー内に直接置き,金型を閉じ,加
圧して成形する工程。
compression moulding
3302
ウエルドマーク,
ウエルドライン,
ニットマーク,
ニットライン
金型内のピン,コアなどの下流で,流れが合流するところに
できる線状のマーク。
注記 外観上だけでなく,強度的な欠陥となる場合がある。
weld mark,
weld line,
knit mark,
knit line
3303
型ずれ
型の合わせ目のずれによって生じた,製品の変形。
off-register,
off-set,
mismatch
3304
キャビティー
成形品を形作るために充塡される金型内の空間。
cavity
15
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3305
くぼみ,
ピット,
ホール
小さく,かつ,浅い表面のへこみ。
crater,
pit,
hole
3306
グリーン
加硫前のゴム配合物を表す形容詞。
例 グリーン強度,グリーンタイヤ
green (adj.)
3307
クロスマーク,
布目跡
ゴムの表面に残された布目の跡。
cloth mark
3308
染み出し
処理された表面から,処理されていない表面へのゴムのにじ
み出し。
strike-through
3309
射出成形
金型の型締め圧とは別の圧力で,別個のチャンバーから閉じ
た金型内に,ゴム配合物を充塡して成形する工程。
injection moulding
3310
ショット
1成形サイクルの間に金型内に送り込まれる材料の量。
shot
3311
スピュー
ゴムの流れを安定化させるために,金型の合わせ目以外に設
けた微小部に生じる突出部。
spew
3312
スピューライン,
フラッシュライン
金型合わせ目に生じる成形品表面上の線。
spew line,
flash line
3313
成形
通常,熱及び圧力を加えることによって,金型で材料を成形
する工程。
moulding
3314
成形収縮
常温で測定した製品と金型との寸法差。
moulding shrinkage
3315
トランスファー成
形
金型の一部にあるチャンバー内の配合ゴムを,金型を締め付
ける力によって,一つ以上の閉じた金型内に圧入して,成形
する工程。
transfer moulding
3316
なまづくり
金型に充塡するための,適切な形及び体積をもつゴム配合物。 blank
3317
バックラインド
金型成形品のばり部分に生じる,表面から内部に収縮してい
る欠陥。
back-rind,
retracted spew
3318
ばり
金型の合わせ目で,成形品の表面にはみ出した材料。
flash
3319
ばり取り
ばりを取り除く工程。
deflashing
3320
ピンホール
材料表面の極めて小さな貫通孔。
pinhole
3321
フローマーク
流動先端部の不完全な融合によって生じる,製品のマーク又
はすじ。
flow marks
3322
フローライン
ゴム材料が成型機内を流れる際に生じた線状痕。
flow line
3323
離型剤
加硫ゴム又は樹脂を,型から離れやすくするために,あらか
じめ型又は成形材料に塗布する物質。成形材料に添加して成
形品を型から取り出しやすくすることもある。
注記 主に界面活性剤が使われる。
mould release agent,
release agent,
mould lubricant
e) 加工機械関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3401
押出機
材料をスクリュー又は油圧ラムによって,ダイを通過させて,
材料を連続して成形する機械。
extruder
3402
押出機ヘッド
押出機のダイ及びダイホルダー取付部分。
extruder head
3403
カレンダー
表面温度,ロール間隙及び回転数を選択できる,2本以上の
平行なロールをもち,精度のよい厚さ及び/又は良好な表面
特性をもつシーティング及びコーティングを行う装置。
calender
3404
クロスヘッド
押出機のシリンダーの中心線に対し,直角方向に,ゴム又は
樹脂の材料が押し出される押出機ヘッド。
cross-head
3405
混練機
機械的なせん断作用によって,ゴム中に配合剤を混練し,分
散させて,混合物又は配合物を作るための機械。
mixer
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K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3406
密閉式混練機
素練り及び/又はゴム中に配合剤を混入し,分散させるため
の密閉空間に,一つ以上のローターをもち,温度調節器を備
えた混練機。
internal mixer
3407
かみ(噛)合式密
閉型混練機
各々翼をもつ2本のローターが互いにかみ合うように設計さ
れており,ローターと壁面との間のせん断力と,2本のロー
ター間での圧縮・せん断力とが得られるようにした密閉型の
混練機。
internal mixer with
intermeshing rotor
3408
接線式密閉型混練
機
各々2〜4個の翼をもつ2本のローターが互いに内側で接する
程度の隙間をもって逆方向に回転し,チャンバー壁面とロー
ターとの間で強いせん断力が得られるようにした密閉型の混
練機。
tangential internal mixer
3409
スクリュー
押出機のバレルに沿って,ゴムを押し進めるために用いる,
一つ以上のら旋状の溝をもつ回転する部材。
screw
3410
ストレーナー
固形の異物を除去するために,ゴム又はゴム配合物が,ふる
いを通過するように設計した,押出機用の装置。
strainer
3411
スプルー
金型の流路の一つで,金型の流入口とランナーとを結ぶ流路。
一般に円すい状のものが多い。
sprue
3412
精砕ロール機
再生ゴムの加工,スコーチした生地の加工,配合剤の粉砕な
どの作業に用いる,回転比の高い2本のロールからなる練り
ロール機。
refiner
3413
粗砕ロール機
ゴム又は混合物を,破砕又は小片に切断するための,深い波
形又はピラミッド型の溝をもつ,2本のロールからなる強力
な練りロール機。
cracker
3414
2本ロール機
素練り,混練り,ブレンド,熱入れ又はシーティングを行う
ための調整可能な間隙をもち,しばしば加熱又は冷却され,
通常,異なる速度で回転する,二つの互いに逆回転するロー
ルを備えた機械。
two-roll mill,
mill
3415
ダイ
材料が押し出され,押出物の形状が形成される押出機の口金
部分。
die
3416
ダイライン
認識用その他の用途に用いる,押し出したチューブ又はカバ
ーの上に意図的に付けた筋状の突起。
注記 筋入り外被も含む。
die line
3417
ドクターブレード,
ドクターナイフ,
ドクターバー,
スプレッダーバー,
スプレッダーナイ
フ
ゴムのり又はラテックスを均等に塗布するためのブレード。
doctor blade,
doctor knife,
doctor bar,
spreader bar,
spreader knife
3418
ニップ
中心線上でのロール機又はカレンダーのロール表面間の間
隙。
注記 材料を混練り又はカレンダーリングのために用いるロ
ール間の空隙をいうこともある。
nip
3419
のり引き機
ブレードを用いて,シート材の表面に,ゴムのり又はラテッ
クスを塗布するための機械。
spreader
3420
フリクション比
二つの隣接するロール(ロール機,カレンダー又は精砕ロー
ル機)の表面速度比。
friction ratio
3421
ボールミル
硬いボールを入れた回転ドラム式の粉砕機。
ball mill
3422
ロール
カレンダー又は2本ロール機の主要回転部を構成する円筒。
roll
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f)
ゴムラテックス加工関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3501
感熱浸せき法
(ゴムラテックス
の)
ラテックスを高温でゲル化させる配合剤を含む配合ラテック
スに,金型又は浸せき型を漬ける方法。
heat-sensitive dipping
(rubber latex)
3502
機械的安定度
(ゴムラテックス
の)
ラテックスに,所定の条件下で,機械的なせん断力を加えた
ときに起こる凝固に対する,抵抗性の度合い。
mechanical stability
(rubber latex)
3503
凝固
(ゴムラテックス
の)
ラテックス中に分散している粒子の不可逆的な凝集。
注記 凝固によって,重合体の連続相及びしょう(漿)液の
分散相が形成される。
coagulation
(rubber latex)
3504
凝集
(ゴムラテックス
の)
可逆的又は不可逆的なラテックス粒子の会合。
agglomeration
(rubber latex)
3505
凝着浸せき法
(ゴムラテックス
の)
金型及び浸せき型を,最初に凝固剤溶液に漬け,引き上げ,
乾燥してから,配合ラテックス中に浸せきする方法。
coagulant dipping
(rubber latex)
3506
クリーミング
(ゴムラテックス
の)
重力によって底又は表面近くで,しょう(漿)液に囲まれた
ラテックスのゴム粒子が可逆的に集合した状態。
注記 一般的にはクリーミング剤の添加によって起こる。
creaming
(rubber latex)
3507
ゲル
(ゴムラテックス
の)
ラテックスを凝固するときに,初期に生成する液体を含んだ
ゴム粒子の集合体又はその状態。
gel
(rubber latex)
3508
ゲル化
(ゴムラテックス
の)
ゲルを形成する工程。
gelling
(rubber latex)
3509
湿潤ゲル強度
凝集体の内部で,水を含みゲル化したラテックスフィルムの
強度。
注記 ラテックスを加工する上で重要な性質である。
wet gel strength
3510
熟成
(ゴムラテックス
の)
次工程前に,気泡の除去及びゴム粒子の部分的な前加硫をさ
せるために,管理状態の下で貯蔵する操作。
maturation
(rubber latex)
3511
浸せき
(ゴムラテックス
の)
配合ラテックス浴中に浸せきすることによって,金型又は浸
せき型の上にゴム層を沈着させる工程。
dipping
(rubber latex)
3512
フォーマー
ディッピング法及び/又はラッピング法で成形されるゴム製
品の形状を与えるための芯材。ゴム製品は,成形後に芯材か
ら分離される。
former
3513
注型
液状物質を,金型の中又は整備した表面に導入し,外圧を加
えずに固化する工程。
casting
3514
フロキュレーショ
ン
(ゴムラテックス
の)
ラテックスの液相中に分散するゴム粒子の,緩い結び付き(と
きには可逆的)による部分的な凝集の形成。
flocculation
(rubber latex)
3515
前凝固物
(ゴムラテックス
の)
ラテックスが,取扱いの不注意によって,部分的に凝固した
物。
precoagulum
(rubber latex)
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
3516
リーチング
(ゴムラテックス
の)
ラテックスから製造した製品の水溶性物質を除くために,水
で洗浄する工程。
注記 これによって,透明性を改善し,水溶性物質のブルー
ミングを防ぎ,電気抵抗が増加し,水吸収性が減少す
るなどの効果が得られる。
leaching
(rubber latex)
3.5
加硫に関する用語(配合剤及び加工を除く。)
a) 加硫に関する一般用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4001
架橋点間分子量
網目構造中の隣り合う架橋点間の分子鎖の分子量。
molecular weight
between crosslinks
4002
架橋密度
加硫ゴムの単位体積又は単位質量当たりの架橋の数。
crosslink density
4003
加硫度
加硫ゴムの物性(弾性率,伸び,引張強さ,硬さなど)を指
標化した加硫の程度。
degree of cure
4004
加硫速度
配合ゴムごとに定められた加硫状態に達するまでに要した時
間を用いた指標,又は標準ゴムの加硫時間との比。
cure rate
4005
加硫不足
最適加硫に到達していない加硫状態。
注記 加硫時間,温度,加硫系薬剤量の不足,又はこれらの
組合せによって生じる。
undercure
4006
加硫戻り
最適加硫状態を超えて,弾性率などの物理特性が低下する現
象。
reversion
4007
最適加硫
要求される性質の大部分を満足するか,又は特定の性質が最
適値となる加硫条件。
optimum cure
4008
スコーチ
ゴム配合物の,意図しない早期加硫。
scorch
4009
バンピング,
ブレッシング
ガス又は蒸気を逃がすために,加硫工程の初期において,短
時間の間,型の圧力を抜く操作。
bumping,
breathing
4010
ベア
型の細かな形状への,ゴム充塡不足に起因する欠陥。
bareness
4011
ジスルフィド結合
硫黄による架橋において,架橋点間が硫黄原子2個で結合さ
れている架橋。
disulfide bond
4012
ポリスルフィド結
合
硫黄による架橋において,架橋点間が連続した3個以上の硫
黄原子で結合されている架橋。
polysulfide bond
4013
モノスルフィド結
合
硫黄による架橋において,架橋点間が一原子の硫黄だけで結
合されている架橋。
monosulfide bond
4014
硫化物硫黄
無機又は有機硫化物として,加硫物中に存在する硫黄。
sulfide sulfur
b) 架橋及び加硫の種類関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4101
架橋
網目構造を作るため,ゴム分子鎖間又は分子鎖内を化学結合
で結ぶ反応。
注記 その結果生じる,二つのゴム分子鎖間若しくは同一ゴ
ム分子鎖内の二つの部位を結合する化学結合又は原子
(団)をいう場合もある。
crosslinking,
crosslink
4102
加硫
分子鎖間を化学的に結合させること。
vulcanization,
cure
4103
アミン加硫
ヘキサメチレンジアミン,テトラエチレンペンタミン,ヘキ
サメチレンジアミンカルバメートなどのポリアミンをアクリ
ルゴム,ふっ素ゴム,塩素化ポリエチレンなどに配合して形
成する架橋。
amine cure
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
4104
イオン架橋
マレイン酸,アクリル酸,メタクリル酸などをブタジエンな
どと共重合し,そのアニオン性解離基と多価金属カチオンと
の間のイオン結合で架橋すること。
ionic crosslinking
4105
過酸化物架橋
有機過酸化物を用いる架橋,又はその架橋操作。
peroxide crosslinking,
peroxide cure
4106
加硫状態
加硫不足,最適加硫,過加硫などに分類される加硫の程度。
定量的にはS-S曲線,引張応力,膨潤度,加硫曲線などから
評価される。
state of cure
4107
高周波加硫,
UHF
高周波の誘電損失による加硫方法。通常は,空気加熱と併用
する。
microwave
vulcanization,
ultra high frequency
vulcanization
4108
室温加硫
室温近辺で起こる加硫。
注記 通常は起こらないので,特別な加硫系が必要となる。
room-temperature
vulcanization,
cold cure
4109
樹脂加硫
反応性合成樹脂を加硫剤として用いる加硫。加硫剤としてア
ルキルフェノールホルマリン樹脂を用いるブチルゴムの加硫
がある。
resin cure
4110
電子線架橋
電子加速器によって得られる高エネルギーの電子線を原料ゴ
ムに照射し,架橋構造を生成させる架橋,又はその架橋操作。
electron beam
crosslinking
4111
動的架橋
熱可塑性樹脂と適度に反応性のあるゴム状ポリマーとを十分
に溶融混合し,化学的に架橋したゴム相をもつ熱可塑性エラ
ストマーを生成させるプロセス。
注記 同じ無架橋組成に比べて,熱硬化ゴムの物性に匹敵す
る結果が得られる。
dynamic vulcanization
4112
後加硫
熱源の除去後,残留熱によって持続する加硫反応。
aftercure
4113
過加硫
最適加硫を超えた加硫の状態。
注記 過加硫は,一般に,加硫時間の長すぎ,加硫温度の高
すぎ,過剰な加硫剤,又はこれらの組合せによって生
じる。
overcure
4114
一次加硫
加工の都合で最適加硫まで行わないで,途中で加硫操作を止
めること。この場合,半加硫又は予備加硫ともいう。
precure,
prevulcanization,
primary cure
4115
二次加硫,
追加硫
ゴム製品の性能を向上させるため,又は加硫を完了させるた
めに,一次加硫に続いて加熱下に置くこと。
secondary cure,
post cure
4116
平たん加硫
加硫温度で,実際の加硫期間中にモジュラスが最大値になり,
その状態を持続するタイプの加硫。
plateau cure,
flat cure
4117
マーチングモジュ
ラスキュア,
マーチングキュア
加硫温度で,モジュラスが急激に増加した後も,徐々に増加
を続けていくが,最大値には達しないタイプの加硫。
marching modulus cure,
marching cure
4118
前加硫
(ゴムラテックス
の)
原料ラテックスに加硫剤,加硫促進剤,活性化剤,安定剤な
どを添加して加熱し,分散状態のまま行う加硫。
precure,
prevulcanization
(rubber latex)
4119
巻蒸し加硫
ゴム引布又は薄層ゴムシートを,加硫用ドラムに巻き付けた
状態で加硫缶に収容して行う加硫。
wrapped cure
4120
リバーティングキ
ュア,
ピーキーキュア
加硫温度でモジュラスが最大値に達し,その後,時間の経過
とともにモジュラスが減少するタイプの加硫。
reverting cure,
peaky cure
4121
連続加硫
特別に設計された加熱装置の中を,ゴムを連続して通過させ
ながら行う加硫。
continuous
vulcanization
20
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4122
硫黄加硫系
加硫するために,硫黄単体又は硫黄供与剤を用いる加硫系。
conventional sulfur
vulcanizing system
4123
加硫系
ゴムを加硫するために必要な薬剤の組合せ。硫黄−加硫促進
剤系,硫黄供与系(無硫黄加硫),過酸化物加硫(架橋)系,
キノイド加硫(架橋)系,樹脂加硫(架橋)系,ポリアミン
加硫(架橋)系などがある。
vulcanizing system
4124
半有効加硫系
硫黄,硫黄供与剤,及び通常の硫黄加硫系と有効加硫系との
中間配合量の,加硫促進剤からなる加硫系。主にジエン系ゴ
ムに用いる。
semi-efficient
vulcanizing system,
semi-EV system
4125
非硫黄加硫系
架橋するために,硫黄単体及び硫黄供与剤を必要としない加
硫系。
non-sulfur vulcanizing
system
4126
無硫黄加硫系
硫黄単体を配合しないで,硫黄を全て,硫黄化合物から供給
する加硫系。
sulfur donor vulcanizing
system
4127
有効加硫系,
EV加硫系
加硫剤として硫黄を有効に利用する加硫系。主として熱的に
安定なモノスルフィド架橋を含む網目構造を生成するもの
で,低濃度の硫黄単体と高濃度の加硫促進剤との組合せから
なる。
efficient vulcanizing
system,
EV vulcanizing system,
EV system
c) 加硫用機械関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4201
塩浴,
LCM
ゴム押出しと連続した加硫工程の熱媒体として用いる,無機
塩の共融混合物。
注記 亜硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの共融混合物が一
般的である。
salt bathliquid,
liquid curing medium
4202
オートクレーブ
蒸気又は気体によって,ゴムの加硫を行う加圧容器。
autoclave
4203
加硫缶
加硫に用いる筒状の缶。ゴム成形品を入れ,蒸気又は加熱ガ
ス体でゴムを加硫するのに用いる。
vulcanizer,
autoclave
4204
加硫プレス,
デイライトプレス,
プレス
金型を加圧する熱板を2枚以上備えた装置。
platen press,
daylight press,
press
4205
蒸気加硫缶
水蒸気によって加圧して加硫する缶。
steam pan
4206
デイライト
加硫プレスの固定盤と可動盤の作用面との最大間隙。
daylight
4207
熱板
プレス中で,一つ以上の金型に,熱及び圧力を加える平らな
金属の板。
platen
d) 加硫物関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4301
金型汚染
連続的に成形を繰り返すことによって,金型各部にゴム配合
物の成分が固着若しくは堆積すること,又は金型表層部の腐
食などによって損傷すること。
mould pollution,
mould staining
4302
スコーチマーク
スコーチから生じる表面の欠陥。
scorch mark
4303
モールド汚れ
金型表面に堆積した付着物による汚れ。
mould fouling
21
K 6200:2019
3.6
試験に関する用語(原料試験,未加硫物試験及び化学試験)
a) 原料試験,未加硫物試験及び化学試験に関する一般用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5001
アレニウスプロッ
ト
活性化エネルギーを算出するために,縦軸に反応速度定数の
対数,横軸に絶対温度の逆数をとったプロット。このプロッ
トから得られる回帰直線の勾配から,活性化エネルギーを求
めることができる。
Arrhenius plot
5002
エネルギー弾性
物質を引き伸ばすと,元に戻ろうとする弾性。内部エネルギ
ー(原子間,分子間ポテンシャル)の増加に由来する。
energetic elasticity
5003
エントロピー弾性
温度を一定にして体積を変化させたときのエントロピー変化
によって生じる弾性。
注記 変形されてエントロピーが小さくなった系が,元の状
態に戻ろうとすることに由来する。ゴム配合物では,
エントロピー由来の力がエネルギー由来の力に比べ,
圧倒的に大きい。
entropic elasticity
5004
オクルードラバー
充塡剤表面の凹凸の中,充塡剤間,充塡剤ネットワークの間
隙などに取り込まれたゴム。変形しにくいので,充塡剤のよ
うに振る舞う。
occluded rubber
5005
カーボンゲル
ゴムとカーボンブラックとの混合又は混練り時に,ゴム分子
鎖とカーボンブラックとの化学結合又は物理吸着によって生
成される複合体。生成物は,有機溶剤に不溶となり,生成量
はゴムの分子量,カーボンブラックの非表面積及び混合,混
練り条件に依存する。
carbon gel
5006
試験室間試験プロ
グラム,
ITP
同一試料,同一条件,同一試験室で,短時間内に繰り返し行
った試験のばらつき(試験室内繰返し精度),及び複数の試験
室で行った試験のばらつき(試験室間再現精度)を求め,試
験法又は試験装置の信頼性を検証する方法。
interlaboratory test
programme
b) 試料,試料調製関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5101
試料
母集団の情報を得るために,母集団から取られた一つ以上の
サンプリングの単位。単に試験に供する試験片のことを指す
場合もある。
sample,
test sample
5102
試験片
試験のために適切な形状及び寸法に調製した材料片。
test piece,
test specimen
5103
状態調節
試験結果の再現性を図るために,試料又は材料を規定の温度,
湿度などに規定時間静置する操作。
conditioning,
environmental
conditioning
5104
機械的状態調節
試験に先立って試験片に所定の変形を与える操作。
mechanical conditioning
5105
質量部,
pphr,
phr
ゴム質量100に対する各種配合剤の質量比率。単に“部”と
表現することもある。
parts per hundred rubber
5106
純ゴム配合物
加硫に必要な量の配合剤,少量の加工助剤,着色剤及び安定
剤を含み,カーボンブラックなどの補強材を用いない配合物。
gum stock,
gum compound
5107
配合表
ゴム組成物を構成する配合材の比率を示した表。一般的には,
ゴムを100とした比率で表す。
formulation,
recipe
5108
標準配合物
標準配合剤を用いて,規定された配合表によって配合し,標
準混練り操作によって作られた配合物。
standard compound
5109
列理
材料の異方性に起因して生じる,ゴム及び/又は充塡剤粒子
の一方向への配向。
grain
22
K 6200:2019
c) 原料ゴム関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5201
ガラス転移
ポリマーの非晶部が,ガラス状とゴム状との間で可逆的に相
転移すること。
注記 この変化が起こる温度範囲の中点を,ガラス転移点又
はガラス転移温度(Tg)という。
glass transition
5202
コールドフロー
室温以下の温度において,重力の作用で起こる低速度の変形。 cold flow
5203
ポリマーゲル
原料ゴムにおいて,ゴム分子が網目状化して溶剤に溶けずに
残るゴム部分。
polymer gel
d) 未加硫ゴム関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5301
ガーベイダイ押出
試験
決められた形状の口金(ガーベイダイ)を用いて配合ゴムの
押出加工性を評価する試験。試験によって得られた押出指数
(表面,縁,角,多孔性などから総合的に判断された指数)
を標準配合のそれと比較し,押出加工性を評価する。
Garvey die extrusion
test
5302
加工性
原料ゴム又は配合ゴムの,ゴム用加工機械の加工のしやすさ。 processability
5303
可塑性
原料ゴム又は未加硫ゴム混合物において,変形させた力を除
去した後も,その変形を保つ性質。
注記 “高可塑性”は変形したままであることを示す。
plasticity
5304
可塑度
規定の圧縮力,時間及び温度の条件下で,変形させた後の試
験片の厚さに基づく可塑性の尺度。
plasticity number
5305
加硫試験
未加硫ゴムに温度,振幅のひずみ,応力などを加え,得られ
る動的な応力応答(トルク)又はひずみ応答の時間依存性か
ら,加硫度,加硫温度,最適加硫条件などを評価する試験。
cure test
5306
グリーン強度
原料ゴム又は未加硫ゴム配合物の引張ひずみ又は破断に対す
る応力のこと。加硫前の加工作業性に大きく影響する。
green strength
5307
ゲルゴム
特定の溶剤に不溶なゴム部分。
gel rubber
5308
ゾルゴム
特定の溶剤に可溶なゴム部分。
sol rubber
5309
腰の強さ
生ゴム又は未加硫ゴムの加工性を表す慣用語の一つで,硬さ,
強さ,弾性などの要素が複合されたもの。
nerve
5310
ムーニー粘度
ムーニー粘度計によって求める,原料ゴム又はゴム配合物の
粘度。
Mooney viscosity
5311
スコーチタイム,
ムーニースコーチ
早期加硫を判断する指標となる時間。通常,最低ムーニー値
から,粘度が規定の値増加するまでの時間を用いる。
scorch time,
Mooney scorch
5312
粘着性試験
試料の粘着の強さを測定する試験。未加硫ゴム同士,又は未
加硫ゴムと相手材との圧着後の剝離に要する力を測定する。
tackiness test
5313
バウンドラバー
溶剤で抽出できないほど,充塡剤と強く結合しているゴム。
bound rubber
e) 化学試験関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5401
塩酸不溶分
加硫ゴムの灰分を塩酸で処理した後に,不溶分をろ過又は燃
焼して得た残さ。
hydrochloric
acid-insoluble
5402
灰分
試料を,規定条件下で灰化したときの残さ。
ash
5403
か性カリ数
(ゴムラテックス
の)
固形分100 gを含むラテックスに対して中和点に達するまで
に添加した水酸化カリウムのグラム数。
注記 数値の高いラテックスは,非ゴム分の分解が進行して
有機酸が増大し,不安定なコロイドとなる。
caustic potassium
number,
KOH number
(rubber latex)
23
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5404
加熱減量
原料ゴム,ゴム用配合剤,ゴム配合物などを,所定の温度で
恒量になるまで加熱したときの損失分の質量分率。
heating loss
5405
揮発性脂肪酸数,
VFA数
(ゴムラテックス
の)
全固形分100 g当たりの,揮発性脂肪酸と当量の水酸化カリ
ウムのグラム数。
volatile fatty acid
number,
VFA number
(rubber latex)
5406
揮発分
試料を規定条件下で加熱したときに気化した成分。
volatile matter
5407
強熱減量
試料を1 000 ℃〜1 200 ℃に強熱したときの減少量。質量分
率で表す。
ignition loss
5408
結合硫黄
所定の方法で抽出後も加硫物中に残存する硫黄。
注記 この硫黄は,有機成分(例えば,加硫ゴム又はサブ中
の有機硫黄)及び/又は無機成分(例えば,硫酸バリ
ウムのような無機硫黄)に結合している。
combined sulfur
5409
ケルダール法
有機化合物中の窒素定量方法の一種。試料を濃硫酸で分解し,
発生するアンモニアを定量する。天然ゴムの窒素含有量,NBR
の結合アクリロニトリル量などの定量に用いられる。
Kjeldahl method
5410
ゴム炭化水素
(加硫ゴムの)
加硫ゴム中のゴム成分。加硫ゴムから溶剤抽出分,カーボン
ブラック,硫黄及び無機材料を除いた残分を示す。
rubber hydrocarbon
(vulcanized rubber)
5411
全硫黄
硫黄の由来又は化学形態は問わず,試料に含まれている全て
の硫黄。一般的には,その量を表す。
注記 通常は加硫ゴムを対象とするが,各配合剤を含むこと
もある。
total sulfur
5412
窒素吸着比表面積
圧力と窒素吸着量との関係から,BET式を用いて求めた比表
面積。単点法及び多点法がある。
specific surface area by
nitrogen adsorption
5413
抽出性硫黄
規定の条件下で,規定の溶剤を用いて抽出できる,ゴム配合
物中又は加硫物中の硫黄。
extractable sulfur
5414
ふるい残分
粉体を標準ふるいにかけたときの残さ。
sieve residue
5415
遊離硫黄
ゴム配合物中又は加硫物中の未結合硫黄。
free sulfur
5416
溶剤抽出
溶剤を用いて原料ゴム又は加硫ゴム中の溶剤可溶成分を分離
する操作。
solvent extraction
5417
よう素価
試料100グラムに付加するよう素のグラム数で,油脂,ゴム
などの不飽和度,及びEPDM,水素化NBR,樹脂などの二重
結合量を表す値。
iodine value
3.7
試験に関する用語(加硫物試験及び物理試験)
a) 加硫物試験及び物理試験に関する一般用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6001
網目
ゴム分子鎖の絡み合いを伴う,ゴム分子鎖間の結合又はゴム
分子鎖内の結合によって形成される三次元網目構造。
network
6002
損失角
正弦波振動応力と振動ひずみとの位相差δ(0°≦δ≦90°)
loss angle
6003
損失正接,
タンデルタ,
tan δ
正弦波振動応力と振動ひずみとの位相差δ(損失角)の正接
(tan δ)。損失弾性係数と貯蔵弾性係数との比に等しい。
tangent of loss angle,
tan delta
6004
ダイラタンシー
小さいせん断速度には液体のように振る舞うのに,大きいせ
ん断速度には固体のように振る舞う性質。液体と固体粒子と
の混合物で観測される。
dilatancy
6005
弾性
変形を与えた力を除去したときに,元の形状及び寸法に,瞬
時に回復しようとする性質。
elasticity
24
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6006
弾性係数,
弾性率
応力とひずみとの間の比例関係を表すのに用いられる定数又
はその総称。
elastic modulus
6007
チキソトロピー
温度を変えることなく,単に機械的な振動,揺動,静置によ
って可逆的に繰り返されるゾル−ゲル転移の現象。速いせん
断変形を加えると粘度が低下するが,せん断変形を停止する
と粘度が増大する。
thixotropy
6008
粘性
変形を与えた力を除去したときに,元の形状及び寸法に回復
するまでに,時間の遅れを要する性質。
注記 流体では,変形に対してせん断応力が発生する性質を
粘性という。
viscosity
6009
粘弾性
材料が変形したときの粘性と弾性との組合せ。
注記 それぞれが,時間,温度,応力及びひずみ速度の影響
を受ける。
viscoelasticity
6010
破損包絡線,
破壊包絡線,
破断包絡線
温度及び変形速度を変えて引張試験を行ったとき,破断時の
応力を伸びに対してプロットして得られるマスター曲線。破
壊に対し,温度と変形速度の効果とが等価であることを示す。
failure envelope
6011
反発弾性率
振り子を所定の衝突質量及び衝突速度で,試験片に衝突させ
たときの,与えたエネルギーに対する戻りのエネルギーの比。
注記 反発弾性率は,パーセントで表す。
rebound resilience
6012
フォークト模型
1個のばね(弾性率G)と1個のダッシュポット(粘性率η)
とを並列に結合した力学的模型。
Voigt model
6013
マックスウェル模
型
1個のばね(弾性率G)と1個のダッシュポット(粘性率η)
とを直列に結合した力学的模型。
Maxwell model
6014
ムーニー−リブリ
ンプロット
横軸に伸長比λの逆数,縦軸に応力σとしてσ/(λ−λ−2)をとり,
一軸伸長試験の結果をプロットしたグラフ。このプロットか
ら架橋密度などが求められる。
Mooney-Rivlin plot
b) 静的試験関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6101
永久ひずみ
ゴムに変形を与えた後,負荷を取り去り放置しても,完全に
は元に戻らない永久に残るひずみ。
注記1 慣行として,除荷して所定時間経過した後の残留ひ
ずみのことをいう。
注記2 残存変位と元の長さとの比を百分率で表す。
permanent set
6102
圧縮永久ひずみ
圧縮変形を起こす力を完全に除去した後も残存する変形。
注記1 固形ゴムでは,圧縮永久ひずみは,規定の条件下で
測定し,一般に元のたわみ又は変形に対する百分率
で表す。
注記2 スポンジ材料では,圧縮永久ひずみは,規定の条件
下で測定し,一般に元の厚さに対する百分率で表す。
compression set
6103
セット
変形を生じさせる力を,完全に取り除いた後の残留ひずみ。
set
6104
切断後のセット
引っ張って切断させた後の残留ひずみ。
set after break
6105
圧縮試験
加硫ゴムの試験片を圧縮し,その圧縮力とひずみとの関係を
測定する試験。試験は,所定のひずみに対する圧縮力を測定
する場合と,所定の圧縮力に対するひずみを測定する場合と
がある。
compression test
6106
応力
試験片が受ける力を,作用する断面積で除した値。
stress
6107
応力緩和
所定のひずみの下での経時的な応力の減少。
stress relaxation
25
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6108
応力緩和試験
試験片に引張ひずみ又は圧縮ひずみを与えて保持し,時間と
ともに減少する引張応力又は圧縮応力を測定する試験。引張
応力緩和と圧縮応力緩和とがある。
stress relaxation test
6109
硬さ
ゴムに所定の力を加えたときの抵抗。デュロメーター硬さ,
国際ゴム硬さなどがある。
hardness
6110
国際ゴム硬さ,
IRHD
規定の力で押針を試験片に押し込み,その侵入深さをIRHD
単位で表すゴムの硬さ。
注記 IRHDのスケールでは,押針を押し込んだときに,測定
可能な抵抗を示さない材料を0とし,全くへこみのな
い材料を100とする。
international rubber
hardness degrees
6111
デュロメーター硬
さ
押針を試験片に押し込んだときの押込み深さから求めるゴム
の硬さ。
durometer hardness
6112
マイクロハードネ
ス
通常の装置では小さすぎる試験片又は薄いシート類での測定
が可能な,通常よりは小さい押針をもち,小さい押込み力を
適用する測定器具で測定した硬さ。
注記 マイクロハードネスは,装置及び操作法を示したもの
であって,ゴムの性質を示すものではない。
micro hardness
6113
ガフ・ジュール効
果
ひずみを与えた状態で,温度を上げると加硫ゴムが収縮し,
下げると元に戻る現象。
注記 ひずみを与えた状態で温度を上げていくと弾性応力は
温度上昇とともに増大する。同様に,所定の伸びを与
えて温度を上げると,ひずみが増加する。
Gough-Joule effect
6114
グラブ法引張試験
引布試験片幅の一部を,規定のジグでつかむ引張試験。
grab test
6115
クリープ
所定の応力の下での,経時的なひずみの増大。
creep
6116
抗張積
切断時伸びと引張強さとの積。
注記 試験片が切断するまでに要する仕事量にほぼ比例す
る。
tensile product
6117
ぜい化温度
規定の条件下で試験片に衝撃曲げを与えたときに,用いた試
験片の50 %が破壊する温度。
注記 試験片に破壊が生じない最も低い温度を意味すること
もある。
brittleness temperature
6118
静的ばね定数
静的状態で力(荷重)をたわみで除した値。
static spring constant
6119
静摩擦力
静止している物体に接触面と平行な力を加えていったとき,
物体を運動させないように発生する,同じ大きさで向きが反
対の力。
static friction
6120
静摩擦係数
静摩擦力を垂直抗力で除した値。
注記 滑り出したときの摩擦係数を最大静摩擦係数という。
static coefficient of
friction
6121
動摩擦力
ある面に接していて,運動している物体に働く摩擦力。
dynamic friction
6122
動摩擦係数
動摩擦力を垂直抗力で除した値。
dynamic coefficient of
friction
6123
切断時伸び,
破断時伸び
切断時の試験片の伸び。
elongation at break,
ultimate elongation
6124
接着
二つの材料表面が,互いに化学的及び/又は物理的な力で接
合している状態。
adhesion
6125
接着強さ
製品又は試験片の,接着部分の界面を剝離させる力。
adhesion strength
6126
ネッキング
材料を延伸したときの,結晶部の構造変化による,不可逆的
な断面積の減少。
necking
6127
伸び
ゴム材料の,初期長に対する伸びの割合。百分率で表す。
注記 変形前の長さ(L0),変形後の長さを(L)とすると,
伸びは[(L−L0)/L0×100]となる。
percent elongation
26
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6128
伸長比
ゴム材料の,初期長に対して何倍伸びたかを表した値。
注記 変形前の長さ(L0),変形後の長さを(L)とすると,
伸長比はL/L0となる。
stretch ratio
6129
ひずみ
力による物体の元の寸法からの変化。
strain
6130
引裂き
切りきず又は鋭角的若しくは局部的な変形の箇所で,高応力
の集中によって生じた,ゴムの機械的な破壊。
tear
6131
引裂エネルギー
新たな破壊面,クラック面などを生成させるのに必要な,単
位面積当たりのエネルギー。
注記 温度及び引裂速度に依存するが,ガラス転移温度を基
準に換算することで,ゴム種に関係なく一定になる。
Tear energy
6132
引裂強さ
規定の試験片を引き裂くのに要する最大の力。
注記 この力は,試験片の主軸に平行に作用する。
tear strength
6133
引張永久ひずみ
試験片を伸長した力を除去した後も,残留する伸び。
tension set
6134
引張応力
試験片を引っ張るために加える力を試験片の初期断面積で除
した値。
tensile stress
6135
引張強さ
試験片を引っ張って切断させるのに要した引張応力。
tensile strength
6136
引張モジュラス
試験片を,所定の伸びになるまで引っ張ったときの応力。
注記 例えば,300 %伸ばしたときの応力を300 %モジュラス
という。
tensile stress at a given
elongation,
tensile modulus
6137
標線
ひずみ測定のために,試験片に付けられる規定の間隔の印(マ
ーク)。
bench marks,
reference marks
6138
標線間距離
規定の標線間の距離。
gauge length
6139
体積抵抗
試験片を挟んで設定した,一対の電極間の直流電圧を,電極
に挟まれた試験片の内部を流れる電流で除した抵抗値。
注記 一般にゴムは電気絶縁性であるが,金属粒子カーボン
微粉末を加えることで導電性を付与することができ
る。
volume resistance
6140
表面抵抗
試験片の同一表面に設置した,一対の電極間の直流電圧を,
表面を流れる電流で除した抵抗値。
注記 金属などの導体では表面電流は無視できるが,高分子
などの誘電体では内部を流れる電流よりも表面電流の
ほうが大きくなることもある。
surface resistance
6141
マリンス効果
変形及び回復によって生じる,加硫ゴムの弾性モジュラスの
減少。
Mullins effect
6142
S-S曲線
試験片を,所定の速度で引っ張ったときの,ひずみと応力と
の関係をプロットした曲線。
stress strain curve
c) 動的試験関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6201
減衰係数
加えた力のうち,変形と直交する(90度位相がずれた)力の
成分を,変形速度で除した値。
damping constant
6202
時間−温度換算則
粘弾性挙動において,温度の変化を観測時間の変化又は周波
数の変化に換算することができるという半経験則。
注記 温度を高くすることが周波数を低く(時間を長く)す
ることと対応し,温度を低くすることが周波数を高く
(時間を短く)することに対応することが知られてい
る。
time-temperature
superposition
principle
27
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
6203
マスターカーブ
異なる温度で測定された粘弾性値の時間依存性曲線(又は周
波数依存曲線)を,対数時間軸(又は対数周波数軸)に沿っ
て平行移動させて得られる合成曲線。
注記 このときの移動量をシフトファクターという。
master curve
6204
シフトファクター
異なる温度で測定された粘弾性値の時間依存性曲線(又は周
波数依存曲線)を,時間−温度換算則に従い,対数時間軸(又
は対数周波数軸)に沿って平行移動することによって合成曲
線(マスターカーブ)を作るときの移動量。
shift factor
6205
ウイリアムズ・ラ
ンデル・フェリ
ー式,
WLF式
シフトファクターaTの温度依存性を求める,次の経験式。
)
(
)
(
)
log(
r
2
r
1
T
T
C
T
T
C
aT
−
+
−
−
=
Trは基準温度,C1,C2は原料ゴムに依存した定数
である。
注記 この式は,多くのポリマーで成り立つことが知られて
いる。
Williams Landell Ferry
(WLF) equation
6206
実効応力
変形1サイクルにおける,応力の二乗の,時間的平均値の平
方根。
注記 対称的な正弦応力では,この値は,応力振幅を2で除
したものと等しい。
root-mean-square stress
6207
実効ひずみ
変形1サイクルにおける,ひずみの二乗の,時間的平均値の
平方根。
注記 対称的な正弦ひずみでは,この値は,ひずみ幅を2で
除したものと等しい。
root-mean-square strain
6208
振動伝達率
弾性支持系において,振動源の加振力及び変位がその支持系
を通して他に伝わる割合を表す量。
vibration
transmissibility
6209
損失せん断弾性係
数,
損失せん断弾性率
せん断応力を,90度位相がずれたせん断ひずみで除した値。 loss shear modulus
6210
損失たて弾性係数,
損失たて弾性率
法線応力を,90度位相がずれた法線ひずみで除した値。
loss Young's modulus
6211
耐屈曲亀裂性
ゴムに屈曲を繰り返し与えることによる,化学的・物理的作
用での表面の亀裂の発生・成長への抵抗性。
flex crack resistance
6212
耐衝撃性
衝撃力による破壊に対する抵抗。
impact resistance
6213
対数減衰率
減衰振動において,同位相の連続する振幅の比の自然対数。
logarithmic decrement
6214
貯蔵せん断弾性係
数,
貯蔵せん断弾性率
せん断ひずみと同位相の,せん断応力成分を,ひずみで除し
た値。
elastic shear modulus,
storage shear modulus
6215
貯蔵たて弾性係数,
貯蔵たて弾性率
法線ひずみと同位相の,法線応力成分を,ひずみで除した値。 elastic Young's modulus,
storage Young's modulus
6216
動的ばね定数
動的状態でたわみと同位相の力(荷重)を,たわみで除した
値。
注記 単にばね定数ということもある。
dynamic spring constant,
spring constant
6217
動倍率
(防振ゴムの)
動的ばね定数と静的ばね定数との比。
dynamic-to-static
modulus ratio
(rubber vibration
isolator)
6218
発熱
温度上昇を伴うようなヒステリシスの結果,材料内部で生じ
る,熱エネルギーの蓄積。
heat build-up
6219
ヒステリシス
変形から回復までの1サイクルにおいて,エネルギー損失を
もたらす現象。
hysteresis
28
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6220
ヒステリシスロス
変形から回復までの1サイクルにおける,機械的エネルギー
の損失。
注記 通常は,温度上昇として現れる。
hysteresis loss
6221
ひずみ振幅
ひずみが振動的に変化するときの振幅。
strain amplitude
6222
機械的疲労限界
繰返し変形において,化学的作用のない状態で疲労寿命の著
しい減少を生じない程度に,試験片又は製品に加えられる最
大の繰返しひずみ。
mechanical fatigue limit
6223
屈曲試験
試験片に所定の曲げ応力又は,曲げひずみを繰り返し与える
動的疲労試験。
注記 試験機として,デマチャ屈曲試験機,スコット屈曲試
験機,ロス屈曲試験機などがある。
flexing test
6224
屈曲寿命
所定の方法で屈曲される試験片が,規定の疲労状態となる屈
曲回数。
flex life
6225
引張疲労
引張応力を,試験片又は製品に繰り返し与えたとき,亀裂の
成長によって破壊が生じる過程。
tension fatigue
6226
引張疲労試験
試験片に,規定の周波数で引張変形を繰り返し与え,疲労寿
命,残留ひずみ,最大ひずみ,最大応力,見掛けの最大ひず
みエネルギー密度などを求める試験。
tension fatigue test
6227
疲労寿命
(動的における)
試験片又は製品を,規定条件下で変形させたとき,規定の疲
労破壊状態になる変形回数。
fatigue life
(dynamic)
6228
疲労破壊
周期的変形による,試験片又は製品の劣化。
注記 劣化速度は,ひずみ,温度,酸素,オゾン,反応性液
体などに影響される。
fatigue breakdown
6229
複素せん断弾性係
数,
複素せん断弾性率
せん断応力のせん断ひずみに対する比。
注記 複素数で表す。
complex shear modulus
6230
複素たて弾性係数,
複素たて弾性率
法線応力の法線ひずみに対する比。
注記 複素数で表す。
complex Young's
modulus
6231
フレクソメーター
試験
試験片に曲げ,圧縮,伸長及び/又はせん断によって,周期
的な変形を与える試験。
注記1 材料試験では,温度上昇及び/又は発熱の影響を測
定する試験にだけ適用する。
注記2 引布では,屈曲疲労試験をフレクソメーター試験と
いう。
flexometer test
6232
ペイン効果
補強性充塡剤を配合したゴムで,ひずみが大きくなるに伴い,
動的弾性率が低下する現象。
注記 ひずみが大きくなるに伴い補強性充塡剤間で形成して
いる網目状の内部構造が破壊し,動的弾性率が低下す
る。
Payne effect
6233
アブレージョンパ
ターン
ゴムが摩擦によって摩耗するとき,摩擦面に形成される摩耗
痕。
注記 摩擦方向に対し,垂直方向に模様が形成されることが
多い。
abrasion pattern
6234
摩耗
表面を接触させながら運動する二つの物質の一方又は双方に
おいて,摩擦によって接触表面が擦り減る現象。
abrasion
6235
摩耗抵抗
ゴム表面での機械的作用による摩耗に対する抵抗性。
注記 摩耗抵抗は,摩耗抵抗指数として表す。
abrasion resistance
6236
摩耗抵抗指数
同じ規定条件下で測定した,試料ゴムの体積損失に対する標
準ゴムの体積損失の比。
注記 百分率で表す。
abrasion resistance
index
29
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6237
摩耗量
摩耗前の質量に対する摩耗減量の百分率,又は与えられた単
位仕事量当たりの摩耗容量。
abrasion loss
6238
もみ試験
引布試験片を二つのつかみ具に固定し,規定の押圧力で往復
摩擦した後の状態を評価する試験。
crease-flex test
6239
レジリエンス
試験片を変形させる入力エネルギーに対する,瞬間的に回復
したときの出力エネルギーの比。
resilience
d) 老化,劣化関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6301
老化
ある時間,ある環境下に材料をさらす操作,又はその結果生
じる材料特性の不可逆的な変化。
ageing
6302
空気加熱老化,
熱酸化老化
空気中で,加熱することによって生じる諸特性の変化。
注記 通常,空気中での熱劣化は酸化を伴い,架橋の増加(硬
化劣化)及び/又は分子鎖切断(軟化劣化)を起こす。
air oven ageing,
thermal oxidative
degradation
6303
自然老化
自然条件下での老化。
注記 自然老化は屋外及び屋内で起こるが,ウェザリングと
いう用語は屋外暴露だけに用いられる。
natural ageing
6304
促進老化
短時間で,自然老化の影響を反映するように意図した,試験
環境での老化。
注記 劣化速度は,通常は温度の上昇によって速くなる。酸
素又は空気圧の上昇,湿度の上昇など,他の条件の変
化が組み合わされることもある。
accelerated ageing
6305
棚老化
製造から最終使用までの,貯蔵期間中の老化。
shelf ageing
6306
熱劣化
外部から与えられた熱,又は内部に発生した熱による温度上
昇で起こる劣化。
thermal degradation
6307
耐候性
自然環境のうち,主として日光,雨雪,温度及び湿度による
色,外観,物理特性などの変化に対する抵抗性。
注記 日光,温度及び湿度に対する抵抗性を耐光性,オゾン
に対する抵抗性を耐オゾン性ともいう。
weather resistance
6308
耐熱老化性
規定温度に所定時間保持して加熱したゴム材料の物理的,化
学的,外観上などの変化を,加熱前後で比較し,変化量の大
小及びその傾向等から評価する熱老化に対する抵抗性。
heat ageing resistance
6309
ウェザリング
屋外暴露において,日光,オゾン,酸素,湿度,温度のよう
な,物質に有害な要因の組合せ。
weathering
6310
屋外暴露試験
試料を屋外に直接さらして日光,雨,温湿度,ガスなどの自
然条件の下で老(劣)化を行わせる試験。
outdoor exposure test
6311
オゾン劣化試験
人工的に発生させた低濃度のオゾンを含む空気中に,試験片
を暴露したときの,亀裂の状態又は亀裂発生までの時間を評
価する試験。
ozone cracking test
6312
空気加熱老化試験
加熱空気によって常圧下で老化させ,老化前後の物性値を比
較して熱老化特性を評価する試験。実際の使用温度より高い
温度で行う促進老化試験と,使用温度で実施する熱抵抗性試
験とに分類される。
air oven ageing test
6313
耐候性試験
屋外暴露,又は太陽光,温度,湿度,降雨などの自然条件を
人工的に再現して,材料の劣化を測定する試験。
weathering test
6314
オゾン亀裂
オゾンの作用によって,引張ひずみの直角方向に生じるゴム
表面の亀裂。
注記 通常,主鎖に不飽和結合をもつゴムに起こる。
ozone cracking
30
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6315
クレージング
光劣化によって,ゴムの表面に現れるランダムパターンの浅
い亀裂の形成。
注記 オゾン亀裂とは異なり,クレージングはゴムに作用す
る引張ひずみに依存しない。
crazing
6316
促進暴露
屋外暴露の影響を促進した,実験的条件で行う,試料の暴露。 artificial weathering
6317
耐光暴露色堅ろう
度,
耐光堅ろう度
光暴露によって生じる色変化の抵抗性。
注記 色堅ろう度は,一般的に視感による評価(基準色又は
標準色を使用)又は計器による評価によって判定する。
colour-fastness on
exposure to light,
light fastness
6318
貯蔵硬化
貯蔵中の原料ゴム又は未加硫ゴムの粘度の増加。
注記 貯蔵硬化は,低温結晶化とは異なり,熱的に可逆性で
はない。
storage hardening
6319
貯蔵寿命
材料又は製品が,製造後に,規定の条件下で,規定の性質を
維持する期間。
storage life,
shelf life
6320
チョーキング
劣化によって,ゴム表面に粉状残さが生成されること。
chalking
6321
日光亀裂,
日光チェッキング
日光暴露によって生じるゴム表面のひび割れ,クレージング
又は亀裂。
sunlight cracking,
sunlight checking
6322
フロスティング
空気中でオゾンの作用によって,ゴム表面に艶のないブルー
ム状の物質が生成する現象。
frosting
6323
ポットライフ
反応性液状熱硬化性組成物の,使用可能な期間。
pot life
6324
限界ひずみ
(静的オゾン試験
の)
規定の暴露条件(温度,オゾン濃度など)では,亀裂が生じ
ないと推定される最大の引張ひずみ
limiting threshold strain
(static ozone testing)
6325
臨界ひずみ
(静的オゾン試験
の)
規定の温度及びオゾン濃度雰囲気において,規定の暴露時間
内に,オゾン亀裂を生じない最大の引張ひずみ。
threshold strain
(static ozone testing)
e) 現象に関するもの
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6401
移行
配合ゴムに溶解している配合剤が,高濃度の方から低濃度の
方へ移動すること,又は配合ゴムに溶解している配合剤が,
それと接触している他の配合ゴムへ移動すること。
migration
6402
移行汚染
ゴムと接触した被汚染材の周囲及び周辺に発生する汚染。
migration stain
6403
汚染
熱,圧力又は日光の環境下で,配合剤による加硫ゴム又は他
の接触するものに生じる汚れ。
注記 汚染の分類としては,移行汚染,浸透汚染,接触汚染
及び溶出汚染がある。
stain
6404
汚染試験
ゴムが他の材料に接触したときに,その面又は周辺に生じる
接触汚染及び移行汚染,ゴムからの溶出成分を含んだ水と接
触して発生する溶出汚染,ゴムの表面を被覆している物質を
通り抜けて発生する浸透汚染などを評価する試験。
staining test
6405
浸透汚染
加硫ゴムを被覆している被汚染材を通り抜けて発生する汚
染。
penetration stain
6406
接触汚染
ゴムに直接接触した被汚染材の表面部分に生じる汚れ。
contact stain
6407
溶出汚染
ゴムからの液状溶出成分に接して,被汚染材表面に生じる汚
れ。
extraction stain
31
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6408
色うつり
(糸及びフォーム
裏打ち織物の)
糸又は織物による,意図しない色の移行。
注記 例としては,染料若しくは着色剤を含む水,又は類似
液体に浸せきしたときの色の移行,染色した他の材料
と直接接触し,ブリード又は昇華によって起こる色の
移行などがある。
colour staining
(of thread and form)
6409
ウィッキング
圧力差又は毛細管現象によって,繊維単体,又は引布の繊維
部分に沿って生じる,気体又は液体の移動。
wicking
6410
気体透過性
気体が,ゴムなどの高分子材料を通過する性質。透過係数は,
気体のゴム中への溶解度と拡散速度との積で求められる。測
定方法として差圧法,等圧法,容積法などがある。
gas permeability
6411
吸水試験
ゴム試験片及び製品の吸水による性質の変化を調べる試験。
質量増加を測定する方法と電気的性質の変化を測定する方法
とがある。
water absorption test
6412
水蒸気透過速度
所定の蒸気圧力差で,所定の時間に,試験片の単位面積当た
りに,一方の面から他方の面に透過する水蒸気の速度。
water vapour
transmission rate
6413
粘着性
(未加硫ゴムの)
未加硫ゴム又は配合ゴムの接触する表面同士が,互いに密着
しようとする性質。
tack
(unvulcanized rubber)
6414
プラッキング
接着された2層を剝離する場合,むしり取られたゴムが界面
にところどころ残る現象。
plucking
6415
ブリード
ゴム表面へ液体の配合剤又は液状物質が染み出る現象,及び
染み出たもの。
bleeding
6416
ブルーム,
ブルーミング
ゴム配合物の表面に配合剤が移行し,被覆,結晶化(花模様)
などが現れる現象,及び移行した物質。
bloom,
blooming
6417
膨潤
試験片を液体に浸したり,蒸気にさらしたりしたときに生じ
る,試験片の体積の増加。
swelling
f)
試験機関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6501
打抜き機
ゴム試料及び製品を打ち抜いて,試験片を作製する装置。
punching machine
6502
可塑度計
材料の可塑性を測定する装置。
注記 プラストメータと呼ばれる市販装置は,所定の力で製
品に生じた変位を測定するものである。
plastimeter,
plastometer
6503
キャピラリーレオ
メーター
様々なL/D比(管長/管径比)の細管を用い,流体の流量速
度と円管内の両端での圧力差とを測定することによって,試
料の粘度を測定する装置。
capillary rheometer
6504
ディスク加硫試験
機
試料が充塡されているダイ中空部の中に,ねじり振動を行う
両円すいディスクをもつ加硫試験機。
oscillating-disc
curemeter
6505
デュロメーター
押針によって,ゴムの硬さを測定する器具。
durometer
6506
伸び計
引張試験において,伸びを測定する器具又は装置。
extensometer
6507
反発弾性試験機
ゴムの反発弾性率を測定する装置。振り子を衝突させる方式
によって,リュプケ式,トリプソ式,ショブ式などの試験機
がある。
resilience tester
6508
疲労試験機
試験片に繰返し応力又は繰返し変位を与えて疲労させる振動
試験機。引張型,圧縮型,屈曲型,回転型などがある。
fatigue tester
6509
摩耗試験
種々の条件で摩耗量を測定する試験,又は耐摩耗性を評価す
る試験。試験の方法によって,アクロン摩耗試験,ウィリア
ムス摩耗試験,テーバー摩耗試験,ピコ摩耗試験,DIN摩耗
試験,改良ランボーン摩耗試験などがある。
abrasion test
32
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6510
ロータレス加硫試
験機,
ダイ加硫試験機
ダイ中空部の中に充塡した試料に,応力又はひずみを与える
ために,一方のダイが他方に対してねじり又は線上の振動を
行う,二つのダイをもつ振動式加硫試験機。
rotorless curemeter,
moving die curemeter
6511
B型粘度計
液状試料中で規定のローターを規定の速さで回転させ,得ら
れたトルクから粘度を求める回転式粘度計。ラテックス,ゴ
ム溶液の粘度測定に用いられる。
Brookfield type
viscometer
3.8
製品及び半製品に関する用語
a) 半製品関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7001
エボナイト
原料ゴムに多量の硫黄を加え,加硫して得られる硬いゴム。
ebonite
7002
押出物
押出加工製品。
extrudate
7003
加硫物,
加硫ゴム
配合ゴムを加硫して得られるもの。
vulcanizate,
vulcanized rubber
7004
成形品
(製品の)
型によって作られた製品。
moulding
(product)
7005
配合物
単一又は複数のゴムと,最終製品として必要な全ての配合剤
とをよく混ぜた混合物。
compound
7006
ブリスター
表面に袋状又はへこみ状として現れるゴム製品の欠陥。
blister
b) ゴム製品関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7101
ホース
内面層,補強層,及び一般には外面層から構成される可とう
性の菅。流体の輸送及び圧力の伝達に用いられる。
hose
7102
ゴム管
補強層のない,ゴム材料からなる可とう性の管。
rubber tube,
rubber tubing
7103
液圧用ホース
エネルギー伝達の目的で,油圧を主とする液圧装置及び液圧
回路に用いるホース。
hydraulic hose
7104
樹脂チューブ
補強層のない,合成樹脂材料からなる可とう性の管。
thermoplastic tube,
plastic tubing
7105
樹脂ホース
合成樹脂の内面層,糸又は同線の補強層,及び合成樹脂の外
面層から構成されるホース。
plastics hose
7106
スパイラルホース
内面層の外側に,糸又は鋼線をら旋状に巻き付けて補強層と
したホース。一般には,互いに逆方向に巻き付けられた2層
で1組としている。
spiralled hose
7107
布巻きホース
内面層の外側に,布を巻き付けて補強層としたホース。
wrapped-ply hose,
wrapped hose
7108
ブレードホース
内面層の外側に,糸又は鋼線を編んで補強層としたホース。
braided hose
7109
防振ゴム
車両などの機械設備に取り付けて,荷重を支えると同時に振
動の伝達を防止するゴム。
rubber vibration isolator
7110
液体封入式防振ゴ
ム
ゴムの中空殻体に液体を封入し,動的特性を調整した防振ゴ
ム。
hydraulic rubber
vibration isolator
7111
エンジンマウント
車両において,車体にエンジンの振動伝達を防止する防振ゴ
ム。
engine mount
7112
ブッシュ型防振ゴ
ム
内筒と外筒との間に,ゴムを接着又は圧入した防振ゴム。
bush type isolator
7113
免震ゴム
地盤と構造物との間に設置し,地震の揺れ及び力を低減させ
るゴム。積層ゴム支承,高減衰積層ゴム支承,鉛入り積層ゴ
ム支承などがある。
seismic isolation rubber
33
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7114
積層ゴム
薄いゴム層と鋼板とを交互に積層し,加硫接着した複合構造
体で,積層された方向には高い剛性をもち,積層と直交する
方向には低い剛性をもつ弾性支承。主に免震用支承及び橋り
ょう(梁)用支承に用いられる。
laminated rubber
7115
支承
上部構造物と下部構造物との間に設け,上部構造の荷重を下
部構造へ伝える部材。構造物に所定の自由度を与え,温度変
化,重力変動,地震動などを吸収する変形機能及び回転機能
をもつ。
bearing
7116
高減衰積層ゴム支
承
内部ゴムに大きな減衰性のあるゴム素材を用いた積層ゴム。
主として,建屋の免震用支承及び橋りょう(梁)用支承とし
て使用される。
high damping rubber
bearing
7117
鉛入り積層ゴム支
承
積層ゴムの積層方向に設けられた穴に鉛プラグを挿入して,
鉛の塑性変形による減衰機能を付与した弾性支承。主に建屋
の免震用支承及び橋りょう(梁)用支承に用いられる。
lead rubber bearing
7118
被覆ゴム
ゴムなどの部材を,酸素,オゾン,紫外線などの劣化から長
期間保護するカバーゴム。免震用の積層ゴムなどに用いる。
cover rubber
7119
ゴムアスファルト
ゴムを添加した改質アスファルト。
asphalt rubber,
rubber-modified asphalt
7120
引布
布の片面又は両面に,単一又は複数のゴム及び/又は樹脂系
材料を接着させたシート。
coated fabric
7121
メカニカルガスケ
ット
隙間又は継ぎ目から物質が通過するのを防ぐため,固定面の
間に挟む変形可能な製品。
mechanical gasket
7122
メカニカルパッキ
ング
相互に動く表面の間で,物体の通過を防ぐか,又は通路を調
節するために用いる変形可能な製品。
mechanical packing
7123
O-リング
静的又は動的な条件下で,加工溝に適した正確な寸法の円形
断面をもち,一体で成形した環状の製品。
O-ring
c) 発泡製品関係
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7201
セル
発泡材料,多孔質体などの内部にある,一部又は全部を壁に
よって取り囲まれた,単一の小さい空隙。
cell
7202
独立気泡
全体を,それ自身の壁によって囲まれ,他の気泡とは連結し
ていない気泡。
closed cell
7203
連続気泡
全体が,それ自身の壁で完全に密閉されず,他の気泡又は外
部と相互につながっている気泡。
open cell
7204
発泡材料
全体に分散した気泡(連続及び/又は独立)を多数もつ材料。 cellular material
7205
コアード発泡材料
最大表面に垂直に成形されているか,又は切り込まれている,
通常は,柱状(必ずしも柱状でなくてもよい。)の多数の孔を
もち,その孔が一部分又は全体に存在する発泡材料。
cored cellular material
7206
独立気泡材料
大部分の気泡が,内部的につながっていない発泡材料。
closed-cell cellular
material
7207
軟質発泡材料
ゴム,ウレタンなどの柔らかい材料からなる,全体に分散し
た気泡(連続及び/又は独立)を多数もつ材料。
cellular polymeric
flexible materials
7208
発泡ウレタン
構成する樹脂が,ポリウレタンである発泡材料。
urethane foam
7209
発泡ゴム
固形ゴム配合物から作られた独立気泡の発泡ゴム。
expanded rubber
7210
スポンジゴム
主として連続性気泡からなり,固形ゴム配合物から作られる
発泡ゴム。
sponge rubber
34
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7211
フォームラバー
ほぼ連通化したセルによって構成される発泡ゴム。通常は,
液状の材料から作られる。
注記 この用語は,固形の材料(例えば,熱可塑性ゴム)か
ら作られる発泡製品にも用いられる。
foam rubber
7212
ラテックスフォー
ム
ゴムラテックスから製造した発泡体。
latex foam
7213
アプライドスキン
(発泡材料の)
発泡製品に貼り付けられた,ゴム状弾性体の薄い表面層。
applied skin
(cellular material)
7214
スキン
(発泡材料の)
発泡材料の表面で比較的密度の高い層。
skin
(cellular material)
7215
つぶれ
(発泡材料の)
製造過程中に起こる発泡構造の破壊に起因する,発泡材料の
意図しない高密度化。
collapse
(cellular material)
7216
発泡じま(縞)
正常な気泡構造とは異なる発泡材料内部の層。
cellular striation
7217
フィッシュ
(発泡材料の)
発泡材料での割れ又は裂け。
fissure
(cellular material)
7218
ボイド
(発泡材料の)
発泡材料の中に発生した空洞。通常の気泡より著しく大きい
もの。
void
(cellular material)
3.9
リサイクルに関する用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8001
凝着防止剤
(粉末ゴムの)
粉末ゴムを生産するとき,粉末ゴム同士が凝着しないように
用いられる添加剤。
partitioning agent
(powdered rubber)
8002
再生剤
再生ゴムを製造する目的で添加する,希釈剤,伸展油,可塑
剤,加工助剤などの薬剤。
reclaiming agent
8003
ゴム粉
加硫ゴムの粉砕によって得られるゴム微粉末,ゴム粉末,ゴ
ムペレット,ゴムチップなど。又は工程発生ゴムで,金属片,
繊維,土砂,その他の異物が目視では認められないもの。
recycled vulcanized
particulate rubber,
powdered rubber
8004
ゴム微粉末
使用済みゴム製品を機械的に処理して得られる,大きさが0.1
mm以下程度のゴム粉。
fine powdered rubber
8005
ゴム粉末
使用済みゴム製品を機械的に処理して得られる,大きさが0.1
mm〜1 mm程度のゴム粉。
ground vulcanized
rubber,
crumb
8006
ゴムペレット
使用済みゴム製品を機械的に処理して得られる,大きさが1
mm〜10 mm程度のゴム粉
granulated rubber,
granulated recycle rubber
8007
ゴムチップ
使用済みゴム製品を機械的に破砕して得られる,大きさが10
mm〜50 mm程度のゴム粉。
chip rubber
8008
バフ粉
加硫ゴムを機械的に摩滅させて生じるゴム粉。
buffings
8009
再生カーボンブラ
ック,
回収カーボンブラ
ック
ゴム配合物を熱処理して得られる,カーボンブラック。
recycled carbon black,
recovered carbon black
8010
再生ゴム
加硫ゴムを熱的,機械的,化学的な方法によってゴム分子を
切断し可塑化したゴム。混練り時間の短縮・押出成形時の寸
法安定性を改良する加工助剤及び増量剤として用いられる。
注記 従来,日本では,再生ゴムと脱硫ゴムとが同義語とし
て用いられていたが,現実には脱硫は行われておらず,
再生ゴムと称することがふさわしい。
reclaimed rubber,
reclaim
8011
スクラップゴム
使用済みゴム製品又は工程発生品。
scrap rubber
35
K 6200:2019
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8012
タイヤ再生ゴム
トレッド・ビード等部材ごとに分けることなく,タイヤ全て
のゴムを原料とした再生ゴム。
whole-tyre reclaim
8013
脱硫
加硫ゴム中の結合硫黄を微生物的,化学的な方法等で取り除
き,可塑化(硫黄結合を解離)するプロセス(工程)。
devulcanization
8014
脱硫ゴム
再生ゴムの中で,加硫ゴム中の結合硫黄を微生物的,化学的
などの方法で解離し可塑化したゴム。
注記 硫黄結合を残したまま可塑化したゴムは“再生ゴム”
という。
devulcanizate
8015
凍結破砕法
液体窒素及び他の冷媒を用いてゴムを極低温処理し,目的の
大きさに破砕する方法。
cryogenic size reduction
8016
ひじき状ゴム
直径(D)が約5 mm未満で,長さ(L)との比(L/D)が,2
以上の大きさの,ひじき状のゴム片。
elongated fiber-like
rubber particle
8017
リサイクルゴム
スクラップゴムのうち,再使用可能なゴム。再生ゴムなどの
原料ゴムとして用いられる。
recyclate rubber,
recycled rubber
3.10 エコロジーに関する用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
9001
バイオベース度
製品中のバイオマス由来成分の含有量。全炭素量に占めるバ
イオマス由来炭素量の割合(炭素分率),又は製品質量に占め
るバイオマス由来成分質量の割合(質量分率)で表す。
biobased content
9002
バイオマス
生物由来の有機性資源で,化石資源を除いたもの。
biomass
参考文献
ISO 472:2013,Plastics−Vocabulary及びAmendment 1:2018
JIS K 6316:2017 ゴム粉の試験方法
ゴム用語辞典 第3版,日本ゴム協会編
36
K 6200:2019
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 6200:2019 ゴム−用語
ISO 1382:2012,Rubber−Vocabulary
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
2 ゴムに関
する用語の
分類
−
−
追加
箇条3の用語及び定義に記載され
ている9項目の表題をまとめて,表
1に追加した。
この規格の使い方を分かりやすくし
たもので,実質的な差異はない。
3 用語及び
定義
3.1 表記方法
2
−
追加
箇条3の用語及び定義の表記方法
についての規定を追加した。
この規格の使い方を分かりやすくし
たもので,実質的な差異はない。
3.2 原料ゴムに関する
用語
2
−
追加
“伸長結晶化”ほか12用語を追加
した。
一部はISOに提案済み。
その他も次回ISO改訂時に提案する。
3.3 配合剤に関する用
語
2
−
追加
“硫黄”ほか28用語を追加した。 一部はISOに提案済み。
その他も次回ISO改訂時に提案する。
2
dibutyl
phthalate
absorption number,DBP
absorption number
solvent discolouration
変更
使用する試薬の変更に伴い次の用
語を変更した。
2311 オイル吸収量,OAN(カーボ
ンブラックの)
2328 トルエン着色透過度(カーボン
ブラックの)
ISOに提案済み。
3.4 加工に関する用語
2
−
追加
“スティッキー”ほか13用語を追
加した。
一部はISOに提案済み。
その他も次回ISO改訂時に提案する。
3.5 加硫に関する用語
(配合剤及び加工を除
く。)
2
−
追加
“架橋点間分子量”ほか11用語を
追加した。
一部はISOに提案済み。
その他も次回ISO改訂時に提案する。
3.6 試験に関する用語
(原料試験,未加硫物
試験及び化学試験)
2
−
追加
“アレニウスプロット”ほか18用
語を追加した。
一部はISOに提案済み。
その他も次回ISO改訂時に提案する。
2
K
6
2
0
0
:
2
0
1
9
37
K 6200:2019
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び
定義(続き)
3.7 試験に関する用語
(加硫物試験及び物理
試験)
2
−
追加
“ダイラタンシー”ほか51用語を
追加した。
一部はISOに提案済み。
その他も次回ISO改訂時に提案する。
3.8 製品及び半製品に
関する用語
2
−
追加
“ホース”ほか20用語を追加した。 ISO適用範囲外の製品用語のため,
ISOには提案しない。
3.9 リサイクルに関す
る用語
2
pyrolitic carbon
変更
より適切な次の用語に変更した。
8009 再生カーボンブラック,回収
カーボンブラック
ISOに提案済み。
3.10 エコロジーに関
する用語
2
−
追加
“バイオベース度”ほか1用語を追
加した。
ISOに提案済み。
−
2
−
削除
次の用語は,国内では使用していな
いので削除した。
bowl
cupping,dishing
delta Mooney value
factory scrap
knuckles
tensile stress at yield
−
−
2
−
削除
次の用語は,危険な試験によって,
試験規格を廃止したため,用語も削
除した。
oxygen-bomb ageing
ISOに提案済み。
−
2
−
削除
次の用語は,ゴム固有の用語ではな
いので削除した。
bonding agent
chemical bonding
elastomeric
first-order transition
inhibitor
surfactant
tactic polymer
−
2
K
6
2
0
0
:
2
0
1
9
38
K 6200:2019
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び
定義(続き)
−
2
−
削除
次の用語は,より具体的な各種用語
でカバーしているため削除した。
modulus
−
−
−
−
記号リスト
削除
利便性はないので削除した。
−
−
−
−
フランス語による索引 削除
JISには不要なので削除した。
−
−
−
−
ロシア語による索引
削除
JISには不要なので削除した。
−
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 1382:2012,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
K
6
2
0
0
:
2
0
1
9