K 4833:2004
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
K 4833:2004
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 分析順序 ························································································································ 2
4. 分析系統 ························································································································ 2
5. 共通事項及び試料の調整 ··································································································· 3
6. 分析方法 ························································································································ 3
7. 安全についての注意事項 ··································································································· 5
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日本工業規格 JIS
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含水爆薬分析方法
Analytical methods of slurry explosives and emulsion explosives
1. 適用範囲 この規格は,JIS K 4827に規定する含水爆薬及び含水爆薬中間体のうち,次に示す成分の
系統分析について規定する。
− 水分
− 硝酸塩(硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,硝酸メチルアミン)
− 過塩素酸塩(過塩素酸アンモニウム,過塩素酸ナトリウム)
− 塩化ナトリウム
− アルミニウム
− 油類・乳化剤
− 微小中空粒子
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 4809 火薬類分析試験方法
JIS K 4827 含水爆薬
JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬)
JIS K 8680 トルエン(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
2
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3. 分析順序 種類及び分析順序は,表1による。
表 1 分析順序
種類別
分析項目及び処理方法
適用箇条
スラリー爆薬及び
その中間体
水分
メタノール及び水処理
アルミニウム及び微小中空粒子
水処理
硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,メチルアミン硝酸塩及び
塩化ナトリウム
6.1
6.2.1
6.2.1
6.2.2
6.2.2
エマルション爆薬
及びその中間体
水分
ジエチルエーテル・トルエン及び水処理
アルミニウム及び微小中空粒子
分液処理
油類及び乳化剤
硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,過塩素酸アンモニウム,
過塩素酸ナトリウム及び塩化ナトリウム
6.1
6.3.1
6.3.1
6.3.2
6.3.3
6.3.4
4. 分析系統 基本的な分析系統は,図1及び図2による。
図 1 スラリー爆薬及びその中間体の分析系統
水分
(6.1)
試
料
メタノール及び
水処理
(6.2.1)
水処理
(6.2.2)
不溶分
可溶分
不溶分
可溶分
アルミニウム,微小中空粒子
(6.2.1)
硝酸アンモニウム
硝酸ナトリウム
メチルアミン硝酸塩
塩化ナトリウム
(6.2.2)
3
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図 2 エマルション爆薬及びその中間体の分析系統
5. 共通事項及び試料の調整 分析方法の共通事項は,JIS K 0050による。また,試料の調整は,次によ
る。
a) 包装品 包装品の場合は,包装を除き,中央部の任意の箇所から約10 gを採取し試料とする。
b) 非包装品 非包装品の場合は,任意の箇所から約10 gを採取し試料とする。
6. 分析方法
6.1
水分 含水爆薬及びその中間体の水分の測定は,JIS K 0068の4.(カールフィッシャー滴定法)に
よる。
6.2
スラリー爆薬及びその中間体の分析方法
6.2.1
メタノール及び水処理 メタノール及び水処理は,次による。
a) 要旨 試料をメタノール及び水によって処理し,不溶分中のアルミニウム及び微小中空粒子を分析す
る。
b) 装置及び器具 装置及び器具は,次による。
1) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定する3G4のもの。
2) 乾燥機 100 ℃,2時間以上乾燥できるもの。
3) デシケータ シリカゲルなどの有効な乾燥剤を入れた密閉構造の容器。
c) 試薬 JIS K 8891に規定するメタノールを用いる。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料の質量を正確にはかり取り,メタノール約100 mLを加える。試料が均一に分散するまでかく
はんして可溶分を溶かす。
2) 上記1)で得られたメタノール処理液をるつぼ形ガラスろ過器で吸引ろ過する。さらに,不溶分を
水で数回洗浄した後,乾燥機で約100 ℃,2時間以上乾燥する。その後,デシケータ中で室温まで
水分
(6.1)
試
料
ジエチルエーテル・
トルエン及び
水処理
(6.3.1)
不溶分
可溶分
アルミニウム,微小中空粒子
(6.3.1)
分液処理
(6.3.2)
水可溶層
硝酸アンモニウム
硝酸ナトリウム
過塩素酸アンモニウム
過塩素酸ナトリウム
塩化ナトリウム
(6.3.4)
ジエチルエーテル・
トルエン可溶層
油類,乳化剤
(6.3.3)
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
放冷した後,不溶分の質量を1 mgのけたまで計る。
e) 計算 アルミニウム及び微小中空粒子の質量分率は,次の式によって算出する。
100
2
3
1
×
=W
W
W
ここに,
W1: アルミニウム及び微小中空粒子の質量分率(%)
W2: 試料採取量(g)
W3: 6.2.1のd)の2)で得られた不溶分の質量(g)
f)
定量 不溶分中のアルミニウム及び微小中空粒子の各々の量は,JIS K 4809の6.2.2.2の(3)の方法に従
って定量する。
6.2.2
水処理 水処理は,次による。
a) 要旨 試料を水によって処理し,可溶分中の硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,メチルアミン硝酸
塩及び塩化ナトリウムを分析する。
b) 器具 JIS R 3505に規定する100 mLの全量フラスコを用いる。
c) 操作 試料の質量を全量フラスコに正確にはかり取り,水で標線まで希釈する。試料が均一に分散す
るまでかくはんした後,不溶分が沈殿するまで静置する。試料が固化している場合は,希塩酸などで
処理し試料が分散した後,水で標線まで希釈する。
d) 定量 可溶分中の硝酸塩(硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,及び硝酸メチルアミン)及び塩化ナ
トリウムは,JIS K 4809の6.2.2.1の方法によって定量する。
6.3
エマルション爆薬及びその中間体の分析方法
6.3.1
ジエチルエーテル・トルエン及び水処理 ジエチルエーテル・トルエン及び水処理は,次による。
a) 要旨 試料をジエチルエーテル,トルエン及び水によって処理し,可溶分中の油類,乳化剤,硝酸塩,
過塩素酸塩類などと不溶分中のアルミニウム及び微小中空粒子を分析する。
b) 装置及び器具 装置及び器具は,次による。
1) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定する3G4のもの。
2) 乾燥機 100 ℃,2時間以上乾燥できるもの。
3) デシケータ シリカゲルなどの有効な乾燥剤を入れた密閉構造の容器。
c) 試薬 試薬は,次による。
1) ジエチルエーテル JIS K 8103に規定するもの。
2) トルエン JIS K 8680に規定するもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料の質量を正確にはかり取り,ジエチルエーテル約100 mLを加える。試料が均一に分散するま
でかくはんして可溶分を溶かす。さらに,トルエン約50 mLを加えてかき混ぜ,可溶分を溶かす。
2) 1)で得られたジエチルエーテル・トルエン処理液をるつぼ形ガラスろ過器で吸引ろ過する。さらに,
不溶分を温めたトルエン約20 mLで数回洗い,水約100 mLで洗った後,乾燥機で約100 ℃,2時
間以上乾燥する。その後デシケータ中で室温まで放冷した後,不溶分の質量を1 mgのけたまで計
る。
e) 計算 アルミニウム及び微小中空粒子の質量分率は,次の式によって算出する。
100
5
6
4
×
=W
W
W
ここに,
W4: アルミニウム及び微小中空粒子質量分率(%)
W5: 試料採取量(g)
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
W6: 6.3.1のd)の2)で得られた不溶分の質量(g)
f)
定量 アルミニウム及び微小中空粒子の各々の量は,6.2.1のf)の方法により定量する。
6.3.2
分液処理 分液処理は,次による。
a) 要旨 6.3.1のd)の2)で得られたジエチルエーテル・トルエン・水可溶分を分液ロートに移し,ジ
エチルエーテル・トルエン可溶層(油類,乳化剤)及び水可溶層(硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウ
ム,過塩素酸アンモニウム,過塩素酸ナトリウム及び塩化ナトリウム)に分ける。
b) 器具 JIS R 3503に規定する分液ロートを用いる。
c) 操作 操作は,6.3.1のd)の2)で得られたジエチルエーテル・トルエン・水可溶層を分液ロートに
移し,分液ロートで振り混ぜ,静置して,ジエチルエーテル・トルエン層と水層とに分液する。
6.3.3
油類及び乳化剤の定量 油類及び乳化剤の定量は,次による。
a) 要旨 ジエチルエーテル・トルエン可溶分中のジエチルエーテル及びトルエンを揮散させて,油分及
び乳化剤分を定量する。
b) 器具 器具は,次による。
1) ロータリーエバポレータ 減圧,加温下で有機溶剤などを揮散できるもの。
2) 乾燥機 100 ℃,2時間以上乾燥できるもの。
3) デシケータ シリカゲルなどの有効な乾燥剤を入れた密閉構造の容器。
c) 操作 6.3.2のc)の操作で得られたジエチルエーテル・トルエン層は,ロータリーエバポレータを用
いて減圧下で約30〜70 ℃でジエチルエーテル及びトルエンを揮散させる。その後,乾燥機で約100 ℃,
2時間以上乾燥し,デシケータ中で室温まで放冷した後,質量を1 mgのけたまではかる。
d) 計算 油類及び乳化剤の質量分率は,次の式によって算出する。
100
5
8
7
×
=W
W
W
ここに,
W7: 油類及び乳化剤量(%)
W8: 6.3.3のc)の操作で得られた質量(g)
W5: 試料採取量(g)
6.3.4
硝酸塩,過塩素酸塩及び塩化ナトリウムの定量 6.3.2のc)の操作で得られた水層中の硝酸塩及び
過塩素酸塩は,JIS K 4809の6.2.2.1に規定する方法によって定量する。
7. 安全についての注意事項 安全のため,次の事項に十分注意しなければならない。
a) 火薬類の取扱いについては,火薬類取締法令の諸規定に従う。
b) 安全,衛生及び環境保全については,JIS K 0050に規定する化学分析上の注意事項に従う。