K 4830 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人 全国火薬類保安協会 (AJASE) か
ら工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきと申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,通
商産業大臣が制定した日本工業規格である。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 4830 : 1999
硝安油剤爆薬のフレキシブル
中型容器性能試験方法
Performance testing methods for flexible
intermediate bulk containers of
ammonium nitrate fuel oil explosives
序文 この規格は,1997年に国際連合から発行された“危険物の輸送に関する勧告 (Recommendations on
the transport of dangerous goods):容器包装の試験方法”第10改訂版を元に技術的内容を変更することなく
作成した日本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,重力によって排出できる硝安油剤爆薬を収納するフレキシブル中型容器(1)の
性能試験方法について規定する。
注(1) 中型容器の容量は3.0m3以下とする。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
a) フレキシブル中型容器 (Flexible intermediate bulk containers) フィルム,織布,その他の柔軟素材又
はその組合せによって構成された本体(内部コーティング又はライナーがある場合はこれを含む。),
附属設備及び荷役用具。
b) 本体 (Body) 開口及び閉鎖装置を含む容器そのもの。ただし,附属設備を含まない。
c) 樹脂クロス (Woven plastics) 適切なプラスチック材料の延伸テープ又は単繊維から作られたもの。
d) 附属設備 (Service equipment) 充てん,排出,通気及び安全装置。
e) 荷役用具 (Handling device) 本体に取り付けられた又は本体の延長から形成されるつり索,輪,環又
は枠。
f)
最大許容質量 (Maximum permissible mass) フレキシブル中型容器で運搬することができる最大の質
量で,フレキシブル中型容器に表示されている質量。
g) ライナー (Liner) 本体に別途挿入された筒又は袋。ただし,本体の主要部分を構成しないものをい
い,ライナー自体の開口部の閉鎖具を含む。
3. フレキシブル中型容器の分類と記号 フレキシブル中型容器の分類と記号は,その構成材料の種類及
び構造によって表1のとおり区分する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1 フレキシブル中型容器の分類と記号
材質
細分類
記号
H 樹脂クロス
コーティングされたもの
13H2
ライナー付きのもの
13H3
コーティングされ,かつ,ライナー付きのもの 13H4
L 織布
コーティングされたもの
13L2
ライナー付きのもの
13L3
コーティングされ,かつ,ライナー付きのもの 13L4
M 紙袋
多層,かつ,防水性のもの
13M2
4. 性能試験の種類 フレキシブル中型容器の性能試験の種類は,次による。
a) 頂部つ(吊)り上げ試験
b) 裂け伝ぱ(播)試験
c) 積重ね試験
d) 落下試験
e) 引落し試験
f)
引起し試験
5. 性能試験
5.1
試料の準備 試料の準備は,次のとおり行う。
a) 試料 試料は,取り扱われるフレキシブル中型容器と同じでなければならない。
b) 試料に収納する物質 取り扱われるフレキシブル中型容器には,硝安油剤爆薬を充てんしなければな
らない。試験結果に影響を及ぼさなければ,硝安油剤爆薬と同一の物理的性質(質量,粒径など)を
もつ代替物質を用いることができる。
なお,試験結果に影響を及ぼさないように配慮される限り,硝安油剤爆薬又は代替物質の質量を調
整するためにやむを得ない場合は,擬鉛片入りの袋などのおもりを用いてもよい。
c) 試料の状態調節 紙製のフレキシブル中型容器は,次のいずれかの温度及び相対湿度で24時間以上状
態調節を行う。
1) 温度23℃±2℃及び湿度 (50±2) %
2) 温度20℃±2℃及び湿度 (65±2) %
3) 温度27℃±2℃及び湿度 (65±2) %
備考 平均値が,これらの規定の範囲内に入らなければならないが,短時間に生じる,相対湿度の±
5%以内の変動は差し支えない。
5.2
試料の兼用 一つの試験に合格したフレキシブル中型容器を,他の試験に用いてもよい。
5.3
性能試験方法 フレキシブル中型容器の性能試験は,次による。
a) 頂部つり上げ試験 頂部つり上げ試験は,表2による。
3
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表2 頂部つり上げ試験方法
項目
試験方法
1. 適用
表1に示すフレキシブル中型容器のうち,頂部又は側部からつり上げるように設計されたすべての
フレキシブル中型容器に適用する。
2. 試料の準備
試料に,最大許容質量の6倍に相当する荷重が均一にかかるように5.1 b)に示す収納する物質を充
てんする。
3. 試験手順
充てんした試料をつり具によって床面から離れるまでつり上げ,そのままの状態で5分間保持する。
なお,同等以上に効力のあるほかの試験手順を行うことができる。
b) 裂け伝ぱ試験 裂け伝ぱ試験は,表3による。
表3 裂け伝ぱ試験方法
項目
試験方法
1. 適用
表1に示すすべてのフレキシブル中型容器に適用する。
2. 試料の準備
試料に,容量の95%以上の体積で,最大許容質量に相当する荷重が均一にかかるように5.1 b)に示
す収納する物質を充てんする。
3. 試験手順
充てんした試料を床面に置き,底面と内容物の頂部との中間位置に,その試料の主軸と45度の角度
に側面材を貫通する長さ100mmのナイフの切り傷をつける。次に,この状態の充てんした試料に
最大許容質量の2倍相当の荷重を均一に加え,5分間以上保持する。
なお,充てんした試料が頂部又は側部からつり上げるように設計されている場合は,続いて追加
した荷重を取り除いた状態で,その試料が床面から離れるまでつり上げ,5分間保持する。
c) 積重ね試験 積重ね試験は,表4による。
表4 積重ね試験方法
項目
試験方法
1. 適用
表1に示すすべてのフレキシブル中型容器に適用する。
2. 試料の準備
試料に,容量の95%以上の体積で,最大許容質量に相当する荷重を均一にかかるように5.1 b)に示
す収納する物質を充てんする。
3. 試験手順
(1) 充てんした試料の積重ね試験荷重は,充てんした試料の上に運搬などの取扱い中積み重ねよう
とする個数の同一型式のフレキシブル中型容器の合計最大許容質量の1.8倍に相当する荷重と
する。
なお,合計最大許容質量には,容器の質量を加える。
(2) 充てんした試料を,堅固な水平面に底を下にして置き,次のいずれかの方法で(1)に規定する積
重ね試験荷重を均等に加え,24時間放置する。
(a) 充てんした試料に,最大許容質量を充てんした1個以上の同型式の充てんした試料を積み重
ねる。
(b) 充てんした試料の頂部に平板を載せ,規定の積重ね試験荷重を加える。
d) 落下試験 落下試験は,表5による。
表5 落下試験方法
項目
試験方法
1. 適用
表1に示すすべてのフレキシブル中型容器に適用する。
2. 試料の準備
試料に,容量の95%以上の体積で,最大許容質量に相当する荷重を均一にかかるように5.1 b)に示
す収納する物質を充てんする。
3. 試験手順
充てんした試料を,堅固で弾力性がなく平滑な水平面に,底部を下にして1.2mの高さから落下させ
る。
容量0.45m3以下の充てんした試料については,これに加えて,最も弱い側面を下にして同様に落
下させる。
e) 引落し試験 引落し試験は,表6による。
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表6 引落し試験方法
項目
試験方法
1. 適用
表1に示すすべてのフレキシブル中型容器に適用する。
2. 試料の準備
試料に,容量の95%以上の体積で,最大許容質量に相当する荷重を均一にかかるように5.1 b)に示
す収納する物質を充てんする。
3. 試験手順
充てんした試料の頂部のいずれかの部分を,堅固で弾力性がなく平滑な水平面に1.2mの高さから引
き落とす。
f)
引起し試験 引起し試験は,表7による。
表7 引起し試験方法
項目
試験方法
1. 適用
表1に示すフレキシブル中型容器のうち,頂部又は側部からつり上げるように設計されたすべての
フレキシブル中型容器に適用する。
2. 試料の準備
試料に,容量の95%以上の体積で,最大許容質量に相当する荷重を均一にかかるように5.1 b)に示
す収納する物質を充てんする。
3. 試験手順
横置きした充てんした試料を,一つのつり具(つり具が四つある場合は,二つのつり具)で,0.1m/s
以上の速度で,充てんした試料が床面から離れるまで引き上げる。
5.4
性能試験の判定基準 フレキシブル中型容器の性能試験判定基準は,表8による
表8 性能試験の判定基準
項目
判定基準
a) 頂部つり上げ試験 試料の本体又はそのつり具に,安全な運搬などの取扱いを阻害するおそれのある損傷がないこと。
b) 裂け伝ぱ試験
裂け目の伝ぱが,試料の初期の裂け長さの25%以下であること。
c) 積重ね試験
安全な運搬などの取扱いを阻害するおそれのある損傷がなく,かつ,内容物が漏れないこと。
d) 落下試験
内容物の漏れがないこと。ただし,衝撃時の閉鎖装置,縫い目などからの漏れは,その後,試料を
再度床面からつり上げたとき,引き続いて漏れがない場合は合格とする。
e) 引落し試験
内容物の漏れがないこと。ただし,衝撃時の閉鎖装置,縫い目などからの漏れは,その後,引き続
いて漏れがない場合は合格とする。
f) 引起し試験
試料の本体又はつり具に,安全な運搬などの取扱いを阻害するおそれのある損傷がないこと。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 4830 原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
長 田 英 世
九州工業大学名誉教授
田 村 昌 三
東京大学
小 川 秀 樹
通商産業省環境立地局保安課
西 出 徹 雄
通商産業省基礎産業局化学課
白 取 健 治
運輸省鉄道局技術企画課
高 橋 美佐男
警察庁生活安全局銃器対策課
藤 原 修 三
工業技術院物質工学工業技術研究所極限反応部
鶴 田 利 行
財団法人日本規格協会規格調整委員会
八十川 欣 勇
社団法人日本海事検定協会
横 地 重 範
日本通運株式会社
山 田 真
日本貨物鉄道株式会社鉄道技術本部技術開発室
坂 上 威
日本火薬工業会
見 上 攻
社団法人日本火薬銃砲商組合連合会
阿 部 要
社団法人日本包装技術協会
積 田 茂 昭
日本フレキシブルコンテナ工業会
田 中 純 司
株式会社ナショナルマリンプラスチック
小 篠 亮 三
シバタ工業株式会社
(オブザーバー)
八 田 勲
工業技術院標準部材料規格課
(事務局)
児 島 寿 夫
社団法人全国火薬類保安協会
福 島 正
社団法人全国火薬類保安協会