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K 4828-1 : 1998  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 4828-1 : 1998 

火薬類危険区分判定試験方法− 

第1部 試験シリーズ5 

Test methods for the hazard classification of explosives− 

Part 1 : test series 5 

序文 この規格は,1995年に国際連合から発行された“危険物の輸送に関する勧告” (Recommendations on 

the Transport of Dangerous Goods) の附属書“試験方法及び判定基準のマニュアル第2改訂版” (Manual of 

Tests and Criteria, Second revised edition) を基に作成した日本工業規格である。 

1. 適用範囲 この規格は,火薬類(危険物の輸送に関する勧告でクラス1に指定されたもの。)が大量爆

発の危険性をもつが,非常に鈍感な爆発性をもつ物質であるかどうかを評価し,危険区分1.5を判定する

ための試験方法について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの規格は,その最新版を適用する。 

JIS K 4800 火薬用語 

JIS K 4806 工業雷管及び電気雷管 

3. 用語の定義 この規格に用いる主な用語の定義は,JIS K 4800によるほか,次のとおりとする。 

3.1 

クラス1 次に掲げるものをいう。 

a) 爆発性物質。ただし,運搬などの取扱いをするには,あまりにも危険性が高いもの又は有する危険性

により他のクラスに分類するのが妥当なものを除く(その物質自体に爆発性をもたないが,ガス,蒸

気又は粉じんの爆発性雰囲気を生成する物質は,クラス1にはならない。)。 

b) 爆発性物品。ただし,運搬などの取扱い中の偶発的な点火又は起爆でもその物品の外部に噴射,火炎,

煙,熱又は高音を発生する程度の量若しくは性質の爆発性物質を含有しない物品を除く。 

c) 上記a)及びb)以外の物質及び物品であって,爆発効果又は花火効果を生じさせる目的で製造されたも

の。 

3.2 

爆発性物質 その物質自体の化学反応によって高温,高圧及び高速のガスを発生し,周辺に損害を

及ぼす固体物質,液体物質又はこれらの混合物をいい,火工物質(1)は,ガスを発生しないものでも爆発性

物質とされる。 

注(1) 火工物質とは,非爆発性で持続性の発熱化学反応により熱,光,音若しくはこれらの組合せの

効果を発生させるように作られた物質又は物質の混合物をいう。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.3 

物質 爆発性物質及び爆発性物質以外の物質であって爆発効果又は花火効果を生じさせる目的で製

造されたもの。 

3.4 

爆発性物品 一以上の爆発性物質を含有する物品をいう。 

3.5 

物品 爆発性物品及び爆発性物品以外の物品であって爆発効果又は花火効果を生じさせる目的で製

造されたもの。 

3.6 

危険区分1.5 大量爆発の危険性はあるが,非常に鈍感な爆発性物質をいう。 

3.7 

大量爆発 ほぼ瞬時にほとんどすべての包装品に影響を及ぼすような爆発をいう。 

3.8 

包装品 物質又は物品を運搬などの取扱いのための容器包装及びそれに収納されている内容物から

なり,包装作業が完了したものをいう。 

4. 試験コード及び名称 試験コード及び名称は,表1のとおりとする。 

表1 試験コード及び名称 

試験コード 

試験名称 

タイプ5 (a)  

雷管感度試験 

タイプ5 (b)  

アメリカDDT(1)試験 

タイプ5 (c)  

危険区分1.5に対する外部火災試験 

注(1) Deflagration to Detonation Transition の略 

5. 試験条件 試験条件は,次のとおりとする。 

5.1 

物質の密度は,タイプ5(a)及び5(b)の試験の結果に重大な影響があるので,密度を測定する。 

備考 試料の質量と密度は,常に記録する。 

5.2 

物質の物理的状態又は密度が変わるおそれがある条件で運搬などの取扱いが行われる場合を除き,

試験は周囲温度で実施する。 

5.3 

試験は,タイプ5(a), 5(b)及び5(c)のすべてを実施する。 

6. 試験方法 

6.1 

タイプ5(a):雷管感度試験 

6.1.1 

要旨 激しい機械的衝撃に対する感度を評価するため,試料に雷管による衝撃を与えて,爆ごうの

有無を証拠板に残るこん跡で調べる。 

6.1.2 

装置及び材料 装置及び材料は,次のとおりとする。 

a) 感度試験装置 感度試験装置は,使用する証拠板の材質に鋼と鉛の2種類があり,いずれかを用いる

(図1及び図2参照)。 

b) 試料容器(紙筒) 試料容器は,鋼製の証拠板の場合は,最小径80mm,長さ160mm,厚さ最大1.5mm

の,また鉛製証拠円柱の場合は,直径86mm,長さ126mmの,スパイラル巻きのボール紙筒で,底部

は試料を保持するために十分な強度をもつ膜で覆われたもの。 

c) 雷管 雷管は標準雷管とし,JIS K 4806に規定する雷管,Standard detonator (European) 又はNo.8 (USA) 

Detonatorを用いる。 

d) 証拠板 証拠板は,次のいずれかを用いる。 

1) 鋼製証拠板 鋼製証拠板は,160mm×160mm,厚さ1mmの鋼板。 

2) 鉛製証拠円柱 鉛製証拠円柱は,直径51mm,長さ102mmの鉛円柱。 

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e) 鋼製リング 鋼製リングは,鋼製証拠板の場合に使用するもので,高さ50mm,内径100mm,厚さ3.5mm

のもの。 

f) 

鋼板 鋼板は,鉛製証拠円柱の場合に使用するもので,150mm×150mm,厚さ25mmのもの。 

6.1.3 

試料の調製 試料の調製は,次のとおりとする。 

a) 試料は3等分して,紙筒に充てんする。 

1) 試料が粒状物質の場合は,3分の1ずつ追加して充てんした後,紙筒を50mmの高さから垂直に落

下させて固める。 

2) 試料がゲル状物質の場合は,注意深く空げきを除くように詰める。 

備考 どの場合も,紙筒の中の試料の最終密度は,包装品の密度になるべく近づける。 

b) 試料が直径80mm以上のカートリッジに特別に高い密度で詰められている場合は,元のカートリッジ

をそのまま使用する。元のカートリッジが大きくて試験に不便があるときは,長さ160mm以上の部

分を切り取って使用する。 

備考 この場合の雷管の挿入面は,カートリッジの切断面と反対の面とする。 

c) 温度によって感度が影響される試料は,試験前に28℃〜30℃で最低30時間保温する。 

d) 高い周囲温度で運搬などの取扱いが行われる場合で,多孔質硝酸アンモニウムを含むものは,試験前

に25℃→40℃→25℃→40℃→25℃の温度サイクル試験を行う。 

6.1.4 

操作 操作は,次のとおりとする。 

a) 紙筒を,図1又は図2のとおりセットする。 

b) 雷管を試料の上部中央に,雷管長と等しい深さに挿入する。 

c) 安全な位置から雷管を起爆する。 

d) 証拠板を調査する。 

e) 明確な試験結果が得られなければ,試験は3回行う。 

6.1.5 

評価 次のいずれかの結果を得た場合は,“+”と評価し,その他の場合は“−”と評価する。 

a) 鋼製証拠板が裂けるか又は貫通(証拠板を通して光が見える。)する。 

備考 証拠板の膨れ,き裂又は折れ曲がりは含まない。 

b) 鉛製証拠円柱の中央が,最初の長さから3.2mm以上圧縮される。 

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図1 雷管感度試験装置(鋼製証拠板使用) 

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図2 雷管感度試験装置(鉛製証拠円柱使用) 

6.2 

タイプ5(b):アメリカDDT試験 

6.2.1 

要旨 爆燃から爆ごうへ転移する傾向を評価するため,鋼管の一端に鋼板製の証拠板を溶接した容

器に試料を密封した後,試料を発火させて証拠板の状況からDDTの程度を調べる。 

6.2.2 

装置及び材料 装置及び材料は,次のとおりとする。 

a) DDT試験装置 DDT試験装置は,図3に示す。 

b) 試料容器(鋼管) 鋼管は,長さ457mm,内径74mm,厚さ7.6mmで,一端には130mm×130mm,

厚さ8mmの鋼製の証拠板を溶接し,他の一端は鋼製のふたのできるもので,点火具脚線を引き出す

ための小孔を備えたもの。 

c) 点火具 点火具は,酢酸セルロース製の厚さ0.54mm,直径21mmの円筒形で,点火薬包及び抵抗線

からなるもの。 

1) 点火薬包 点火薬包は,5gの黒色火薬(粒度は,20番ふるい0.8mmを100%通過し,50番ふるい

0.297mmで50%残留する。)を入れた,長さは約16mmのもの。 

2) 抵抗線 抵抗線は,電気抵抗0.343オームで直径が0.30mm,長さ25mmのニッケルクロム合金線を

小さい輪状にし,その両端に二本の絶縁された銅導線の点火具脚線を取りつけたもの。 

6.2.3 

試料の調製 試料の調製は,次のとおりとする。 

a) 周囲温度で試料を鋼管の中へ230mmまで詰める。 

b) 点火具を鋼管の図3の位置に挿入し,銅導線を張りエポキシ樹脂で密封する。 

c) 試料の充てん 

1) ゼラチン状の試料の場合は,試料をできるだけ包装品の密度になるように詰める。 

2) 粒状の試料の場合は,試料を鋼管を繰り返したたいて密に詰める。 

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6.2.4 

操作 操作は,次のとおりとする。 

a) 鋼管を垂直に立てる。 

b) 20V変圧器からの15Aの電流で発火させる。 

c) 爆燃から爆ごうへの転移が起こらなければ,試験は3回行う。 

6.2.5 

評価 証拠板を貫通する孔があいた場合は“+”と評価し,証拠板を貫通する孔がない場合は,“−”

と評価する。 

単位mm 

図3 アメリカDDT試験装置 

6.3 

タイプ5(c):危険区分1.5に対する外部火災試験 

6.3.1 

要旨 物質が火災にさらされたときに爆発するかどうかを評価するために,物質の包装品を火炎に

包まれるような環境に置いて,爆発の有無を観察する。 

6.3.2 

装置及び材料 装置及び材料は,次のとおりとする。 

a) 金属製格子 金属製格子は,試料を支持し,かつ適切に加熱できるものとする。 

1) 木材燃料を用いる場合の金属製格子の高さは,地上1.0mとする。 

2) 液体炭化水素燃料を用いる場合の金属製格子の高さは,地上0.5mとする。 

備考 金属製格子上の試料を固定するためにひも又はワイヤを使用してもよい。 

b) 燃料 燃料は,30分間以上又は試料が火災によって明白に反応するのに十分な時間燃焼を継続する量

の木材,液体炭化水素燃料又はプロパンガスとする。 

備考 木材と液体炭化水素燃料の組合せを使用してもよい。 

1) 木材は,空気乾燥した木材片(断面約50mm×50mm)とする。 

2) 液体炭化水素燃料は適宜なものとし,試料の占める面積より大きい液体炭化水素燃料皿を使用する。 

備考 皿は,試料の占める面積より,すべての方向に1m以上の広がりのある大きさとする。 

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c) 点火装置 点火装置は,二方向以上から燃料に点火できるものとする。 

備考 木材の場合,灯油を浸した木材及び木毛付きの点火用火工品とする。 

d) カメラ カメラは,カラーで記録できる映画用又はビデオ用とする。 

6.3.3 

試料の調製 試料の調製は,次のとおりとする。 

a) 試料は,包装品と同じ形態及び形状とする。 

b) 全試料の体積は,0.15m3以上とし,正味全薬量は,200kgを超える必要はない。 

6.3.4 

操作 操作は,次のとおりとする。 

a) 試料は,金属製格子の上にできるだけ密着して置く。 

b) 燃料は,金属製格子の下に次のように配置する。 

1) 燃料が木材の場合,火炎が試料を包むように配置する。 

備考1. 適切な方法としては,木材片を井げた状(木材の間隔は約100mmがよい。)に金属製格子の

下面まで積み上げることが望ましい。 

2. 積み上げる木材の占める広さは,試料の占める位置から,すべての方向に1m以上の広がり

のあること。 

2) 燃料が液体炭化水素燃料の場合,金属製格子の下に液体炭化水素燃料皿を配置する。 

備考 液体燃料を使用する場合,試料と燃料との間に消火作用又はその逆の反応が起こると試験結果

に影響する。 

3) 燃料がプロパンガスの場合,金属製格子とバーナーとの間隔は,火炎が試料を適切に包むような距

離とする。 

c) 燃料は,二方向から同時に点火する。 

備考1. 風速6m/sを超えるときは,試験を行わない。 

2. 消火後,十分な安全待機時間をおく。 

d) 火災の区域から,大きな音や破片が飛散するような爆発の有無を観察する。 

e) 試験は,通常1回行う。 

備考 使用した木材,その他の燃料が使い果たされたときに試料の燃え残りがある場合は,より多量

の燃料,火炎の強さ及び/又は持続時間を増加して再度試験する。 

6.3.5 

評価 試験で爆発した場合は“+”と評価し,その他の場合は“−”と評価する。 

7. 判定 判定は,次のとおりとする。 

タイプ5(a), 5(b)及び5(c)試験のすべての結果が,“−”と評価されたものは,危険区分1.5と判定し,い

ずれかの結果が,“+”と評価されたものは,危険区分1.5以外と判定する。 

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JIS K 4828-1 原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

長 田 英 世 

九州工業大学名誉教授 

田 村 昌 三 

東京大学 

服 部 和 良 

通商産業省環境立地局保安課 

西 出 徹 雄 

通商産業省基礎産業局化学課 

大 嶋 清 治 

工業技術院標準部材料規格課 

藤 森 泰 明 

運輸省鉄道局技術企画課 

高 橋 美佐男 

警察庁生活安全局銃器対策課 

西   正 典 

防衛庁装備局艦船武器課 

飯 田 光 明 

工業技術院物質工学工業技術研究所 

鶴 田 利 行 

財団法人日本規格協会規格調整委員会 

小 松 洋 児 

日本通運株式会社 

宮 澤 幸 成 

日本貨物鉄道株式会社 

八十川 欣 勇 

社団法人日本海事検定協会 

阿 部   要 

社団法人日本包装技術協会 

五 味 加 吉 

社団法人日本猟用資材工業会 

坂 上   威 

日本火薬工業会 

二 股 英 雄 

社団法人日本煙火協会 

(事務局) 

児 島 寿 夫 

社団法人全国火薬類保安協会 

岡 林 忠 志 

社団法人全国火薬類保安協会