K 4827:2004
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日
本工業規格である。
これによって,JIS K 4827:1995は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS K 4827には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定)含水爆薬中間体
附属書2(参考)含水爆薬の種類及び特徴
K 4827:2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 品質 ······························································································································ 1
5. 試験方法 ························································································································ 2
6. 表示 ······························································································································ 3
附属書1(規定)含水爆薬中間体 ····························································································· 4
附属書2(参考)含水爆薬の種類及び特徴 ················································································· 5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 4827:2004
含水爆薬
Slurry explosives, emulsion explosives and their intermediates
1. 適用範囲 この規格は,含水爆薬及び含水爆薬中間体について規定する。ただし,いずれも検定爆薬
を除く。
参考 含水爆薬の種類と及び特徴は,附属書2に示す。含水爆薬には,火薬類取締法が適用される。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記していない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用
する。
JIS K 4800 火薬用語
JIS K 4806 工業雷管及び電気雷管
JIS K 4833 含水爆薬分析方法
JIS K 4810 火薬類性能試験方法
JIS K 4828-4 火薬類危険区分判定試験方法−第4部:試験シリーズ8
JIS K 6718-2 プラスチック−メタクリル樹脂板−タイプ,寸法及び特性−第2部
JIS K 6741 硬質塩化ビニル管
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 4800によるほか,次による。
a) 移動式製造設備 含水爆薬中間体から,含水爆薬を製造するための設備であって,地盤面に対して移
動することができるもの。
b) 定置式製造設備 含水爆薬を製造するための設備であって,移動式製造設備以外のもの。
c) 含水爆薬中間体 含水爆薬を製造するための硝酸アンモニウム及び燃料を主成分とする中間製品であ
って,硝酸アンモニウムエマルション,サスペンション又はゲルをいう。
d) 薬質 雷管が装着しやすい固さ,装てんしやすい流動性など含水爆薬の性質をいう。
4. 品質
4.1
成分 成分は次による。
a) 含水爆薬の水分は,JIS K 4833の6.1(水分)によって試験したとき,質量分率5 %以上でなければ
ならない。
b) 移動式製造設備で製造する含水爆薬には,過塩素酸塩類,塩素酸塩類及び微小中空粒子(ガラス製又
は樹脂製など)を含んではならない。
c) 移動式製造設備で用いる含水爆薬中間体は,附属書1による。
4.2
性能 5.によって試験したとき,表1の規定に適合しなければならない。
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表 1 性能
性能値
適用試験箇条
定置式製造設備で
製造する含水爆薬
移動式製造設備で
製造する含水爆薬
カードギャップ試験値 mm
30〜80
0〜80
5.2
爆速
m/s
4 000〜6 200
−
5.3
爆力
%
50〜75
−
5.4
殉爆度
倍
1以上
−
5.5
低温起爆感度
−15 ℃以下
−
5.6
密度(参考)
g/mL
0.8〜1.3
−
5.7
参考 雷管非起爆性含水爆薬のカードギャップ試験値は,0〜25 mmである。
4.3
薬質 包装品の雷管起爆性含水爆薬は,雷管装着可能な薬質とする。また,包装することなく装て
んして用いる含水爆薬は,装てんしやすいような流動性のある薬質とする。
5. 試験方法
5.1
サンプリング方法 試料は,品質が同一とみなすことができる1ロットの製品から適量採取する。
5.2
カードギャップ試験
5.2.1
試験装置 試験装置は,次による。試験装置の例を付図1に示す。
a) 起爆薬包 JIS K 6741に規定する硬質塩化ビニル管(VP30)に,ペントライト(PETN50:TNT50)
を,密度1 600±50 Kg/m3となるよう,溶てん(填)したもの。中心部にJIS K 4806に規定する雷管
をたてる。
b) カード JIS K 6718-2に規定する1級のメタクリル樹脂板を用いる。
c) 鉄板 試験装置の底板に用いるもの。
5.2.2
操作 操作は,次による。
a) JIS K 6741に規定する硬質塩化ビニル管(VP30)に,試料は通常の仮密度で装てん(填)する。試料
の標準薬温は20 ℃とする。
b) 試験装置を組み立てる。カードギャップは,カードを,試料が爆ごう(轟)しない最大のギャップ長
となるよう適切な枚数を重ね合わせて構成し,ノギスでその厚さを測定する。
c) 雷管を起爆し,鉄板の損しょう状況を調べ,試料の爆ごうの有無を判定する。
d) 同一のカードギャップ長で3回繰り返して行う。
5.2.3
試験結果 3回のいずれも試料が爆ごうしない最大ギャップ長(限界ギャップ長)をカードギャッ
プ試験値とする。ギャップ長は5 mm刻みとし,結果の表示には,試料温度を付記する。
5.3
爆速 JIS K 4810の5.5(爆速)による。
5.4
爆力 JIS K 4810の5.6.1(弾道きゅう砲試験)による。
5.5
殉爆度 端面を垂直に切断した薬包を用い,JIS K 4810の5.2.2(砂上殉爆試験)による。
5.6
低温起爆性能試験 低温起爆性能試験は,次による。
a) 要旨 低温起爆性能試験は,起爆する低温限界温度を測定する方法で,含水爆薬を恒温槽で目的の温
度に冷却し,JIS K 4806に規定する電気雷管で起爆して,その爆ごうの有無を調べる。
b) 装置及び器具 装置及び器具は,次による。
1) 恒温槽 +30〜−20 ℃に温度設定が可能なもの。
2) 温度計 +50〜−30 ℃の温度範囲を測定できる,ガラス製棒状温度計又はサーミスタ温度計。
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c) 操作 操作は,次による。
薬径25〜50 mm,薬量100 g以上の試料を恒温槽に入れ,試料中心部が起爆温度±1.0 ℃になった
とき,恒温槽から取り出し,素早く雷管で起爆する。試料の爆,不爆は,爆こん(痕)の有無,残薬
の有無によって判定する。起爆温度を5 ℃刻みに変えて最低の起爆温度を求める。
d) 試験結果 同一温度で3回試験を行い,3回とも完爆する最低温度を低温起爆感度とする。
5.7
密度 密度は,JIS K 4810の5.7.1(仮比重法A)による。
6. 表示 定置式製造設備で製造する含水爆薬の内装容器及び外装容器には,次の事項を記載しなければ
ならない。ただし,内装容器については,これらのすべてが記載出来ないことが明らかな場合は,その一
部を省略することが出来る。
a) 種類
b) 数量
c) 製造所名
d) 製造年月日
単位 mm
付図 1 カードギャップ試験装置の一例
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附属書1(規定)含水爆薬中間体
1. 適用範囲 この附属書は,含水爆薬中間体について規定する。
2. 種類 含水爆薬中間体の種類は,成分によって1種及び2種とする。
3. 品質
3.1
温度 含水爆薬中間体の温度は,50 ℃以下とする。
3.2
成分 1種及び2種の成分は次のとおりとし,成分分析方法は,JIS K 4833による。
a) 1種 主たる構成成分は,硝酸アンモニウム60〜85 %,水分5 %以上,及び燃料2〜8 %とする。鋭
感剤及び/又は気泡剤を含有してはならない。乳化剤0.5〜4.0 %,可溶性消炎剤0〜10 %及び少量の
添加剤を含むことができる。硝酸アンモニウムの一部を無機硝酸塩に置き換えることができる。
b) 2種 主たる構成成分は,硝酸アンモニウム70〜82 %,水分15〜22 %,及び燃料3〜5 %とする。
鋭感剤及び/又は気泡剤を含有してはならない。乳化剤0.5〜2.5 %を含むことができる。
3.3
性状 性状は,乳化状,懸濁化状又はこう(膠)化状であること。
3.4
危険区分 1種の危険区分は,JIS K 4828-4によって試験し,“火薬類でない”と判定されなければ
ならない。
3.5
密度 2種の密度は,JIS K 4810の5.7.1によって温度20 ℃で試験したとき,次の式によって算出
された密度を超えなければならない。
ρ=−0.002 02X 2+0.065 1X+0.848
ここに, ρ: 密度(g/mL)
X: 水分(%)
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附属書2(参考)含水爆薬の種類及び特徴
序文 この附属書(参考)は,含水爆薬の種類及び特徴について記述するものであり,規定の一部ではな
い。
1. 定置式製造設備の場合 含水爆薬の種類及び特徴は,附属書2表1による。
附属書2表 1 定置式製造設備で製造する含水爆薬の種類及び特徴
種類
特徴
スラリー爆薬
成分
成分として水のほか,
酸化剤 :硝酸アンモニウムを主とする硝酸塩,塩素酸塩,過塩素酸塩など
鋭感剤 :アルミニウム粉末,モノメチルアミンナイトレートなど
粘ちゅう剤:グアガム,CMC,でん粉など
気泡剤 :微小中空粒子,発泡剤など
構造
架橋型水性ゲル又は水性ゲル
性状
弾性又はやや可塑性の薬質
エマルション
爆薬
成分
成分として水のほか,
酸素供給剤:硝酸アンモニウムを主とする硝酸塩,塩素酸塩,過塩素酸塩など
鋭感剤 :硝酸ヒドラジンなど
油剤 :油,ワックスなど
乳化剤 :ソルビタンモノオレエートなどの界面活性剤など
気泡剤 :微小中空粒子,発泡剤など
構造
油中水滴型エマルション
性状
弾性又は可塑性の薬質
2. 移動式製造設備の場合 含水爆薬の種類及び特徴は,附属書2表2による。
附属書2表 2 移動式製造設備で製造する含水爆薬の種類及び特徴
種類
特徴
スラリー爆薬
成分
成分として水のほか,
酸化剤 :硝酸アンモニウム,その他硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属及
びアルカリ土類金属の硝酸塩類
燃料 :エチレングリコール,アルコール,アミン類など
粘ちゅう剤 :グアガム,でんぷん,CMCなど
可溶性消炎剤:食塩,塩化カリウム,塩化カルシウムなど
その他添加剤:酢酸,リン酸塩,尿素,チオ尿素,チオシアン酸ナトリウムなど
鋭感剤 :アルミニウム粉末,モノメチルアミンナイトレートなど
発泡剤 :亜硝酸ナトリウム,亜硝酸アンモニウムなど
構造
架橋型水性ゲル又は水性ゲル
性状
やや可塑性又は可塑性のない薬質
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2表 2 移動式製造設備で製造する含水爆薬の種類及び特徴(続き)
種類
特徴
エマルション
爆薬
成分
成分として水のほか,
酸素供給剤 :硝酸アンモニウム,その他硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属及
びアルカリ土類金属の硝酸塩類
燃料 :軽油,灯油,潤滑油,混合油,パラフィンオイルなど
液状樹脂類,ワックス類など
乳化剤 :ソルビタンモノオレエートなどの界面活性剤など
可溶性消炎剤:食塩,塩化カリウム,塩化カルシウムなど
その他添加剤:酢酸,リン酸塩,尿素,チオ尿素,チオシアン酸ナトリウムなど
発泡剤 :亜硝酸ナトリウム,亜硝酸アンモニウムなど
構造
油中水滴型エマルション
性状
可塑性又は可塑性のない薬質