サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

background image

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 4813-1974 

トリニトロトルエン 

Trinitrotoluene 

C6H2 (NO2) 3CH3 

1. 適用範囲 この規格は,火薬用のトリニトロトルエン(以下TNTという。)について規定する。 

引用規格: 

JIS K 8858 ベンゼン(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS Z 8801 標準ふるい 

2. 種類 TNTの種類は,次の3種類とする。 

等級1 

等級2 

等級3 

3. 品質 トリニトロトルエンは,5.試験方法により試験し,次の表に適合しなければならない。 

表 

種類 

項目 

等級1 

等級2 

等級3 

形状 

プレーク状 

結晶状 

結晶状,粒状又は粉状 

色 

淡黄色ないしにぶい黄色 

淡黄色ないしにぶい黄色 

淡黄色ないしにぶい黄色 

凝固点 

(℃) 

80.2以上 

80.2以上 

76.0以上 

水分 

(%) 

0.10以下 

0.10以下 

− 

酸度(硫酸として) (%) 

0.01以下 

0.01以下 

0.01以下 

アルカリ度 

なし 

なし 

なし 

ベンゼン不溶解分 

(%) 

0.05以下 

0.05以下 

0.10以下 

厚さ 

(mm) 

平均  0.64以下 
最高  1.02 

粒度1190μm通過量 (%) 

95以上 

− 

4. 試料採取方法 同一ロットの製品50t又はその端数ごとを一まとめとして,次の方法により採取する。 

(1) 9箱以下の場合 各箱から500gずつすくい採って混合し,インクリメント縮分して250gの試料を二

つ作り,一つを試験用試料とし,他を予備試料として保管する。 

(2) 10箱以上の場合 全数の箱からランダムに選んだ10箱の各箱から500gずつすくい採って混合し,イ

background image

K 4813-1974  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ンクリメント縮分して250gの試料を二つ作り,一つを試験用試料とし,他を予備試料として保管する。 

5. 試験方法 

5.1 

色 試料を白紙又はガラス板上に広げて肉眼で観察する。 

5.2 

凝固点 

5.2.1 

装置及び器具 

(1) 凝固点試験装置 図に示す装置を用いる。 

図 凝固点試験装置 

(2) 補正温度計 温度目盛1℃のもの。 

(3) 標準温度計 測定用のもので温度目盛0.1℃のもの。 

(4) 広口びん 容量約1000mlのもの。 

(5) 凝固点測定用試験管 直径25mm,長さ約150mmのもの。 

(6) 保護管 直径40mm,長さ約180mmのもの。 

(7) かきまぜ棒 黄銅製,アルミニウム製又はガラス製のもの。 

5.2.2 

操作 

(1) 試料(1)約50gを凝固点測定用試験管に採り,95〜100℃の蒸気浴中でとかす。 

(2) 標準温度計の水銀球部が溶解した試料のほぼ中央にくるように差し込む。 

補正用温度計の水銀球部は,標準温度計の試料液面から出た水銀柱の21の高さのところに取り付け

K 4813-1974  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。 

(3) 測定中はかきまぜ棒を1分間に約60回の割合でたえず上下し,かきまぜて温度の変化を観察する。 

(4) 試料の温度が上昇し最高になっときの温度 (T) を標準温度計から読み取ると同時に,そのときの補正

温度計の温度(2) (t) を読み取る。 

(5) 次の式によって凝固点を算出する。 

T=t+0.00016 (t−t') n 

ここで 

T: 凝固点 (℃)  

t: 温度計Fの示度 (℃)  

t': 補助温度計の示度 (℃)  

n: 露出部にある水銀柱の度数範囲 

注(1) 等級3の試料については,あらかじめ乾燥して水分を0.1%以下にしたものを用いる。 

(2) 補正温度計の (t) を標準温度計の水銀中の平均温度とする。 

5.3 

水分 

5.3.1 

装置及び器具 

(1) 平形はかりびん JIS R 3503(化学分析用ガラス器具)に規定した平形はかりびん60mm×30mmのも

の。 

(2) デシケーター JIS R 3503に規定した上口デシケーターにJIS K 8951〔硫酸(試薬)〕を入れたもの。 

(3) 化学はかり 

5.3.2 

操作 

(1) 試料約10gを重量既知の平形はかりびんに正確にはかりとる。 

(2) これをデシケーター中に入れ100〜360mmHgに減圧し,30分間乾燥して減量をはかる。 

(3) 次の式によって水分を算出する。 

水分 (%) =

100

)

(

)

(

×

g

g

試料

減量

5.4 

酸度 

5.4.1 

装置,器具及び試薬 

(1) ビーカー JIS R 3503に規定した容量200ml及び300mlのもの。 

(2) クレゾールレッド指示薬 

(3) N/20水酸化ナトリウム溶液 

(4) かきまぜ棒 

5.4.2 

操作 

(1) 試料約10gをビーカー(容量200ml)に正確にはかりとり,温水100mlを加え蒸気浴上で加熱しなが

ら,ときどきかきまぜ棒でかきまぜ,試料を溶解する。 

(2) 冷却後溶液をビーカー(容量300ml)に移しとる。 

(3) (1)で使用したビーカー(容量200ml)に再び温水50mlを加えて抽出を繰り返し,(2)の抽出液と合わ

せてよく冷却する。 

(4) この溶液にクレーゾールレッド指示薬を入れ,N/20水酸化ナトリウム溶液で滴定する。 

(5) 次の式により酸度を硫酸分として算出する。 

酸度 (%) =

100

1000

20

49

×

×

×

×

S

F

A

K 4813-1974  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに  

A: N/20水酸化ナトリウム溶液の消費量 (ml)  

F: N/20水酸化ナトリウム溶液の力価 

S: 試料の重さ (g)  

5.5 

アルカリ度 5.4と同様に操作して抽出水を作り,ブロムチモルブルーを指示薬として加え,アルカ

リ性反応を呈しないときはアルカリ性なしとする。 

5.6 

ベンゼン不溶解分 

5.6.1 

器具及び試薬 

(1) ビーカー JIS R 3503に規定した容量200mlのもの。 

(2) ベンゼン JIS K 8858〔ベンゼン(試薬)〕 

(3) ガラスろ過器 JIS R 3503に規定したIG 4のもの。 

(4) デシケーター JIS R 3503に規定したもの。 

(5) 湯浴及び乾燥器 

5.6.2 

操作 

(1) 5.5.2(1)注(1)に準じてあらかじめ乾燥した試料約10.0gを正確にビーカーにはかりとりベンゼン100ml

を加えて湯浴上で少し温めて溶解する。 

(2) 溶解後,重量既知のガラスろ過器を用いてろ過し,残分を少量のベンゼンで十分に洗浄する。 

(3) 残分をガラスろ過器のまま100℃で1時間乾燥したのち,デシケーター中で放冷後,その重さをはか

る。 

(4) 次の式によってベンゼン不溶解分を算出する。 

ベンゼン不溶解分 (%) =

100

×

S

B

ここに 

B: 乾燥後の残分の重さ (g)  

S: 試料の重さ (g)  

5.7 

フレークの厚さ 1001mmまで測定することができるマイクロメーター又はダイヤルゲージ等を使用

し,100個の厚さを個々に測定して,その平均の厚さ及び最高の厚さを記録する。 

5.8 

結晶の粒度 試料100gを受ざらを付けた規定JIS Z 8801(標準ふるい)の網ふるい1190μmに入れ,

ふたをして3分間振とうして,ふるい上の試料をはかり,ふるいを通過したものの百分率を求める。 

6. 包装 TNTの包装は,火薬類取締法等の法令に定めるところによらなければならない。 

7. 表示 TNTには,火薬類取締法等の法令に定める表示をしなければならない。 

K 4813-1974  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

化学部会 TNT専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

疋 田   強 

東京大学工学部 

大 田 耕 二 

通商産業省基礎産業局 

伊 藤 清 蔵 

通商産業省公害保安局 

椎 野 和 夫 

東京工業試験所 

菊 地 邦 雄 

工業技術院標準部 

松 田 幹 雄 

日本カーリット株式会社 

町 田 尚 久 

北洋火薬株式会社 

桜 井   博 

日本化薬株式会社 

佐 藤   晃 

日本油脂株式会社 

浜 野 元 継 

日本産業火薬会 

(事務局) 

吉 田 信 之 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

小 沢 祥 浩 

工業技術院標準部繊維化学規格課