サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 4809-1996 

火薬類分析試験方法 

Analytical methods of explosives 

1. 適用範囲 この規格は,JIS K 4801及びJIS K 4805に規定されている火薬類の成分のうち,次に示す

項目の系統分析について規定する。 

(1) 水分 

(2) ニトログリセリン 

(3) ニトログリコール 

(4) ニトロセルロース 

(5) 硝酸塩(硝酸アンモニウム,硝酸カリウム,硝酸ナトリウム) 

(6) 過塩素酸塩(過塩素酸アンモニウム) 

(7) ニトロ化合物[トリニトロトルエン(以下,TNTという。)など] 

(8) 有機可燃物(木粉,でんぷん,木炭,重油,軽油,パラフィンワックスなど) 

(9) けい素鉄 

(10) アルミニウム 

(11) 硫黄 

(12) 塩化ナトリウム 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0068 化学製品の水分測定方法 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0124 高速液体クロマトグラフ分析通則 

JIS K 0127 イオンクロマトグラフ分析通則 

JIS K 4801 産業爆薬 

JIS K 4805 黒色火薬 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8034 アセトン(試薬) 

JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8226 過塩素酸カリウム(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8732 二硫化炭素(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS K 8937 リグロイン(試薬) 

background image

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

2. 分析順序 この規格に定める各種類ごとの分析は,表1の順序で行う。 

表1 分析順序 

種類別 

分析項目 

関連条項 

ダイナマイト 

水分 

6.1.1 

ジエチルエーテル抽出 

6.2 

 ニトログリセリン,ニトログリコール,ニトロ化合物 

6.2.1(1) 

熱水処理 

6.2.2 

水可溶分 

6.2.2.1 

 硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,硝酸カリウム,塩化ナトリウム 

6.2.2.1(1) 

水不溶分 

6.2.2.2 

 ニトロセルロース,でんぷん,木粉 

6.2.2.2(1) 

カーリット 

水分 

6.1.1 

ジエチルエーテル抽出 

6.2 

 ニトロ化合物重油,パラフィンワックス 

6.2.1(2) 

熱水処理 

6.2.2 

水可溶分 

6.2.2.1 

 過塩素酸アンモニウム,硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム 

6.2.2.1(2) 

水不溶分 

6.2.2.2 

 けい素鉄,木粉その他 

6.2.2.2(2) 

アンモン爆薬 

水分 

6.1 

ジエチルエーテル抽出 

6.2 

 ニトロ化合物 

6.2.1(3) 

熱水処理 

6.2.2 

水可溶分 

6.2.2.1 

 硝酸アンモニウム 

6.2.2.1(3) 

水不溶分 

6.2.2.2 

 アルミニウム,木粉 

6.2.2.2(3) 

TNT系爆薬 

水分 

6.1.1 

ジエチルエーテル抽出 

6.2 

 TNT,重油,パラフィンワックス 

6.2.1(4) 

熱水処理 

6.2.2 

水可溶分 

6.2.2.1 

 過塩素酸アンモニウム,硝酸アンモニウム 

6.2.2.1(4) 

水不溶分 

6.2.2.2 

 アルミニウム,木粉 

6.2.2.2(3) 

硝安油剤爆薬 

水分 

6.1.1 

ジエチルエーテル抽出 

6.2 

 軽油 

6.2.1(5) 

 硝酸アンモニウム 

6.2.1(5) 

黒色火薬 

水分 

6.1 

熱水処理 

6.3 

水可溶分(硝酸カリウム) 

6.3.1 

水不溶分の二硫化炭素処理 

6.3.2 

不溶解分(木炭) 

6.3.2 

溶解分(硫黄) 

6.3.2 

background image

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3. 分析系統 この規格に定める分析の基本系統は,図1の系統図のとおりである。 

図1 分析系統 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 一般事項 分析に関する一般事項は,特にことわりのないときはJIS K 0050による。 

5. 試料の調製 

5.1 

試料の調製 硝酸アンモニウムなどの吸湿性物質を含む試料の調製は,調製操作中に吸湿しないよ

うにする。また,硝安油剤爆薬などのように成分中に常温でも揮発するものが配合されている場合は,速

やかに行う。 

5.1.1 

ダイナマイトの試料調製 

(1) こう質状の場合 包装紙を開き,中央部の任意の箇所から約50gを切り取り,ガラス板上で竹へらを

用いて米粒大に細断し,よくかき混ぜ,乾いた試料瓶に入れ密栓して,試料とする。 

(2) 粉状及び半こう質状の場合 包装紙を開き,中央部の任意の数箇所から約10gずつをとり,全体で約

50gとし,これをよくかき混ぜ,乾いた試料瓶に入れ密栓して,試料とする。この場合,防湿材料の

パラフィンなどが混入しないように注意する。 

5.1.2 

カーリット,アンモン爆薬,TNT系爆薬及び硝安油剤爆薬の試料調製 包装紙を開き,中央部の

任意の数箇所から約10gずつをとり,全体で約50gとし,これをよくかき混ぜ,乾いた試料瓶に入れ密栓

して,試料とする。この場合,防湿材料のパラフィンなどが混入しないように注意する。 

5.1.3 

黒色火薬の試料調製 包装紙を開き,任意の数箇所から全体で約10gをとり,粒状のものは粉砕し,

粉末にしたものをよくかき混ぜ,乾いた試料瓶に入れ密栓して,試料とする。 

6. 試験方法(系統分析) 

6.1 

水分 水分の測定は,カールフィッシャー法又は乾燥減量法のいずれかの方法によって行う。 

6.1.1 

カールフィッシャー滴定法 JIS K 0068の4.(カールフィッシャー滴定法)による。 

6.1.2 

乾燥減量法 

(1) 要旨 試料に揮発分を含まないか,又は,加熱によって分解しないものの場合に行う。試料を乾燥器

によって乾燥し、その減量を水分として求める。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 二重壁乾燥器 

(b) 平形はかり瓶 JIS R 3503に規定するもの。 

(3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 粉末又は細断した試料約10gを1mgのけたまで平形はかり瓶に量り取り,これをW1とする。試料

の表面を平らにならし,その厚さが5mm以下になるようにし,75〜85℃の二重壁乾燥器で約3時

間乾燥する。ただし,黒色火薬の場合は,試料約5g,二重壁乾燥器内で3時間以上,温度85〜95℃

とする。 

(b) デシケーター中で放冷した後,その質量を1mgのけたまで量り,これをW2とする。 

(4) 計算 水分は,次の式によって算 出する。 

100

1

2

1

×

=

W

W

W

W

ここに, W 

:水分 (%) 

W1 

:試料の質量 (g) 

W2 

:乾燥後の試料の質量 (g) 

background image

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2 

ジエチルエーテル抽出 

(1) 要旨 試料をジエチルエーテルによって抽出し,抽出分と抽出残分に分け,それぞれを分析する。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) ソックスレー抽出器 

(b) ロータリーエバポレーター 

(c) 二重壁乾燥器 

(d) 抽出用円筒 図2に一例を示す。 

図2 抽出用円筒の一例 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) ジエチルエーテル JIS K 8103に規定するもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料約10gを1mgのけたまで抽出用円筒に量り取り,ソックスレー抽出器を用いてジエチルエーテ

ルで抽出を行う。 

(b) ジエチルエーテルの循環回数は30〜40回,その滴下数は毎分50〜60滴を標準とする。 

(c) 抽出残分は,抽出用円筒のまま80℃の二重壁乾燥器中で約3時間乾燥し,デシケーター中で放冷し

た後,質量を1mgのけたまで量り,これをSʼとする。 

(d) ジエチルエーテルで抽出した溶液からジエチルエーテルを揮散(1)させ,ジエチルエーテル抽出分を

得る。 

注(1) 硝安油剤爆薬の場合には,ジエチルエーテルを揮散させる必要はない。カーリット及びTNT系

爆薬の場合には,ロータリーエバポレーターを用いて揮散させる。 

(5) 計算 ジエチルエーテル抽出分及び抽出残分は,次の式によって算出する。 

(a) ジエチルエーテル抽出分 

100

=

S

S

S

E

ここに, E 

:ジエチルエーテル抽出分 (%) 

Sʼ 

:ジエチルエーテル抽出残分 (g) 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

:6.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) ジエチルエーテル抽出残分 

100

'

'

×

=SS

E

ここに, E' 

:ジエチルエーテル抽出残分 (%) 

S' 

:ジエチルエーテル抽出残分 (g) 

:6.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

6.2.1 

ジエチルエーテル抽出分 

(1) ニトログリセリン,ニトログリコール及びニトロ化合物 

(1.1) 要旨 ダイナマイトに適用し,高速液体クロマトグラフ分析によって,成分の定量分析を行う。 

(1.2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 高速液体クロマトグラフ 次の条件を満たすものとする。 

分離管 ステンレス鋼製,内径3〜6mm,長さ150〜250mm。 

充てん剤 シリカゲルにオクタデシル基(ODS)を化学的に結合したもの。又は,これと同等の分離

性能をもつもの。 

検出器 吸光光度検出器,波長200〜230nm 

(b) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する1 000mlのもの。 

(c) メンブレンフィルター 孔径0.45μm以下。 

(d) マイクロシリンジ 10〜50μlの適当な容量のもの。 

(1.3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) メタノール JIS K 8891に規定するもの。 

(b) 溶離液 水とメタノールをそれぞれ体積1:1の割合で混合したもの。ただし,分離度の調整のため,

メタノールの他アセトニトリル等も使用できる。また,水との比も変えてよい。 

(c) ニトログリセリン,ニトログリコール 火薬類の製造に使用したニトログリセリン,ニトログリコ

ールの混合物 

(d) ニトロ化合物 火薬類の製造に使用したニトロ化合物又は混合物 

(1.4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料の準備 6.2(4)操作(d)で得られたジエチルエーテル抽出分を試料とする。 

(b) 試料溶液の準備 メタノール約40mlを加え,溶解する。この溶液にメタノールを用いて希釈し,

全量フラスコにて1lとする。測定に必要な量を,メンブレンフィルターでろ過したものを試料溶液

とする。 

(c) ニトログリセリン,ニトログリコール及びニトロ化合物の標準溶液の調製 試料のニトログリセリ

ン,ニトログリコールの混合物及びニトロ化合物の公称含有量 (%) を挟む濃度の標準溶液を3〜4

段階濃度で作製する。このとき,溶液の全量は,試料溶液と同様1lとする。 

(d) 測定準備 機器取扱説明書に従って,高速液体クロマトグラフを測定条件で安定させておく。測定

条件は,次のとおりとする。 

カラム槽温度 35〜50℃ 

流量 0.5〜2.0ml/min. 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(e) 測定 マイクロシリンジを使用し,試料導入部から試料溶液を導入する。同時に,標準溶液を導入

する。試料導入量は,両者同量とする。 

(1.5) 定量 ニトログリセリン,ニトログリコール及びニトロ化合物の定量は,次のとおり行う。 

(e) 測定で記録された各標準溶液のクロマトグラムから,検量線を作成し,JIS K 0124の9.4(絶対検量

線法)によって定量する。 

(2) ニトロ化合物,重油及びパラフィンワックス 

(2.1) 要旨 カーリットに適用し,メタノールーリグロイン溶出法によって定量する。ジエチルエーテル

抽出分にメタノールを加えて,溶解分(ニトロ化合物及び重油)と不溶解分(パラフィンワックス)

に分ける。さらに,メタノール溶解分に氷冷したリグロインを加えて,溶解分(重油)と不溶解分

(ニトロ化合物)に分ける。 

(2.2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) ロータリーエバポレーター 

(b) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定する1G4のもの。 

(c) 二重壁乾燥器 

(2.3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) メタノール JIS K 8891に規定するもの。 

(b) リグロイン JIS K 8937に規定するもの。 

(2.4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 6.2(4)操作(d)で得られたジエチルエーテル抽出分に,メタノール約100mlを加えて溶解する。不溶

解分は,るつぼ形ガラスろ過器でろ過し,少量の冷メタノールで洗浄する。温度60〜70℃で約1時

間乾燥し,デシケーター中で放冷した後,質量を1mgのけたまで量り,これをMとする。 

(b) (a)のろ液中のメタノールを再度ロータリーエバポレーターで揮散する。残分に氷冷したリグロイン

約50mlを加えて溶解する。不溶解分をるつぼ形ガラスろ過器でろ過し,さらに20〜30mlの氷冷し

たリグロインでよく洗浄する。温度60〜65℃で約1時間乾燥し,デシケーター中で放冷した後,質

量を1mgのけたまで量り,これをLとする。 

(2.5) 計算 ニトロ化合物,重油及びパラフィンワックスは,次の式によって算出する。 

(a) ニトロ化合物 

100

×

=SL

N

ここに, N 

:ニトロ化合物 (%) 

:リグロイン不溶解分 (g) 

:6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) パラフィンワックス 

100

×

=SM

Pw

ここに, Pw :パラフィンワックス (%) 
 

:メタノール不溶解分 (g) 

:6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(c) 重油 

H=E−PW−N 

ここに, H 

:重油 (%) 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

:6.2.(5)計算(a)で求めたジエチルエーテル抽出分 (%) 

Pw 

:パラフィンワックス (%) 

:ニトロ化合物 (%) 

(3) ニトロ化合物 

(3.1) 要旨 アンモン爆薬に適用し,ジエチルエーテル抽出分はニトロ化合物である。 

(3.2) 定量 6.2(5)計算(a)で求めたジエチルエーテル抽出分がニトロ化合物である。 

(4) TNT,重油及びパラフィンワックス 

(4.1) 要旨 TNT系爆薬に適用し,メタノール−リグロイン溶出法によって定量する。ジエチルエーテル

抽出分にメタノールを加えて,溶解分(TNT及び重油)と不溶解分(パラフィンワックス)に分け

る。さらに,メタノール溶解分に氷冷したリグロインを加えて,溶解分(重油)と不溶解分(TNT)

に分ける。 

(4.2) 装置及び器具 装置及び器具は,6.2.1(2.2)のとおりとする。 

(4.3) 試薬 試薬は,6.2.1(2.3)のとおりとする。 

(4.4) 操作 操作は,6.2.1(2.4)のとおり行う。 

(4.5) 計算 TNT,重油及びパラフィンワックスは,次の式によって算出する。 

(a) TNT 

100

×

=SL

TNT

ここに, TNT :TNT (%) 
 

:リグロイン不溶解分 (g) 

:6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) パラフィンワックス 

100

×

=SM

Pw

ここに, Pw 

:パラフィンワックス (%) 

:メタノール不溶解分 (g) 

S : 6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(c) 重油 

H=E−Pw−TNT 

ここに, H 

:重油 (%) 

:6.2(5)計算(a)で求めたジエチルエーテル抽出分 (%) 

Pw 

:パラフィンワックス (%) 

TNT : TNT (%) 

(5) 軽油 

(5.1) 要旨 硝安油剤爆薬に適用し,ジエチルエーテル抽出分は軽油であり,抽出残分は硝酸アンモニウ

ムである。 

(5.2) 定量 6.2(5)計算(a)で求めたジエチルエーテル抽出分が軽油であり,6.2(5)計算(b)で求めた抽出残分

が硝酸アンモニウムである。 

6.2.2 

ジエチルエーテル抽出残分の熱水処理 

(1) 要旨 ジエチルエーテル抽出残分を熱水処理し,水可溶分と水不溶分に分け,それぞれを分析する。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 二重壁乾燥器 

(b) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定する1G4のもの。 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(c) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する1 000mlのもの。 

(3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 6.2(4)操作(c)で得られたジエチルエーテル抽出残分の全量をビーカーに移し,熱水(2)約100mlを注

いで可溶分を溶かし出す。このとき,試料によっては先の平らなガラス棒で押しつぶす必要がある。 

注(2) ダイナマイトについては,40℃以下の温水で処理する。 

(b) 不溶分は,るつぼ形ガラスろ過器を用いてろ過する(3)。さらに,熱水(4)約100mlで十分に洗い,る

つぼ形ガラスろ過器上の残分をそのまま70℃の二重壁乾燥器で5時間乾燥し(5),デシケーター中で

放冷した後,質量を1mgのけたまで量り,これをAとする。この不溶分は,6.2.2.2水不溶分に述べ

る水不溶分の分析試料とする。 

注(3) カーリット等のように分離し難い場合には,ジエチルエーテル抽出残分を含んだ熱水を遠

心分離機にかけ,不溶分を分離し,その液をデカンテーションによって上澄み液から徐々

にるつぼ形ガラスろ過器を用いてろ過する。 

(4) ダイナマイトについては,40℃以下の温水で処理する。 

(5) ニトロセルロースとでんぷんを含むダイナマイトについては,乾燥を行わない。 

(c) ろ液は全量フラスコ1lに移し入れ,水を標線まで加える。この溶液は,6.2.2.1に述べる水可溶分の

分析試料とする。 

(4) 計算 水可溶分及び水不溶分は,次の式によって算出する。 

(a) 水可溶分(6) 

100

'

×

=

S

A

S

Ws

ここに, Ws 

:水可溶分 (%) 

S' 

:6.2(4)操作(c)で求めたジエチルエーテル抽出残分 (g) 

:試験後の質量 (g) 

:6.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

注(6) ダイナマイトは,次の式によって算出する。 

(

)100

'

×

+

=

S

C

B

S

Ws

ここに, Ws 

:水可溶分 (%) 

S' 

:6.2(4)操作(c)で求めたジエチルエーテル抽出残分 (g) 

:6.2.2.2水不溶分(1.4)操作(d)で求められる質量 (g) 

:6.2.2.2水不溶分(1.4)操作(d)で求められる質量 (g)  

S : 6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) 水不溶分 

100

'

×

=SA

Ws

ここに, Ws'  

:水不溶分 (%) 

:試験後の質量 (g) 

S : 

6.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

6.2.2.1 

水可溶分 

(1) 硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,硝酸カリウム及び塩化ナトリウム 

(1.1) 要旨 ダイナマイトに適用し,陽イオン(ナトリウムイオン及びカリウムイオン)は原子吸光分析

法によって,陰イオン(硝酸イオン及び塩化物イオン)はイオンクロマトグラフ分析法によって行

10 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

う。陽イオンと陰イオンの分析結果を組み合わせることによって各成分の定量を行う。 

(1.2) 陽イオンの分析 陽イオンの分析は,次のとおりとする。 

(1.2.1) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 原子吸光光度計 JIS K 0121の4.(装置)による。 

(b) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する100mlのもの。 

(c) ビーカー JIS R 3503に規定する150mlのもの。 

(d) 時計皿 

(e) 加熱板 

(1.2.2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 硝酸 JIS K 8541による。 

(b) 硫酸 JIS K 8951による。 

(c) 標準液 JIS K 8001の4.3(標準液)による。 

(1.2.3) 操作 操作は,次のとおり行う(7)。 

注(7) 全操作にわたって空試験を行う。 

(a) 試料の準備 6.2.2(3)操作(c)で得られた溶液を分析試料とする。 

(b) 水可溶分の分解 最終溶液の陽イオン濃度として0.01mg/ml以下となるようにメスピペットで分取

し,ビーカーに移す。硝酸15mlを加え時計皿でふたをし,加熱板上で加熱して試料を完全に溶か

す。ビーカーを加熱板からおろし硫酸1mlを加える。濃い無水硫酸の煙が出るまでビーカーを加熱

板で加熱し,炭化物を完全に分解する。 

(c) 測定用試料溶液の準備 ビーカーを加熱板からおろし,放冷した後,水20〜25mlを加え,再び加

温して内容物を溶解する。不溶解物があれば放冷後,ろ紙を用いて全量フラスコ100mlにろ過する。

次いで,ビーカー及びろ紙を水で洗浄し,ろ液と合わせて水を標線まで加える。 

(d) 標準液の調製 JIS K 8001の4.3による。 

(e) 測定準備 機器取扱説明書にしたがって,原子吸光光度計を測定条件で安定させておく。 

(f) 検量線の作成 標準液を試料溶液と同様にして吸光度を測定する。JIS K 0121の7.1(定量法)によ

って検量線を作成する。 

 (g)  測定 試料溶液の吸光度をJIS K 0121の6.4(測定)に従って,測定する。空試験についても同

様に吸光度を測定し,試料溶液の吸光度を補正する。 

(1.2.4) 計算 陽イオンであるナトリウムイオン及びカリウムイオンは,次の式によって算出する。 

(a) ナトリウムイオン 

100

10

'

×

×

=S

P

N

N

a

a

ここに, Na 

:ナトリウムイオン (%) 

Na′ :検量線から求めたナトリウムイオンの質量  (mg) 

:希釈倍数 

:6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) カリウムイオン 

100

10

'

×

×

=S

P

K

K

ここに, K 

:カリウムイオン (%) 

K′ 

:検量線から求めたカリウムイオンの質量 (mg) 

11 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

:希釈倍数 

:6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(1.3) 陰イオンの分析 陰イオンの分析は,次のとおりとする。 

(1.3.1) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) イオンクロマトグラフ JIS K 0127の4.(装置の構成)による。 

(b) マイクロシリンジ 

(c) メンブレンフィルター 孔径0.45μm以下 

(1.3.2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 標準液 JIS K 0127の6.(検量線用溶液)による。 

(b) 溶離液 JIS K 0127の4.3(溶離液)による。 

(1.3.3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料の準備 6.2.2(3)操作(c)で得られた溶液を分析試料とする。 

(b) 測定用試料溶液の準備 最終溶液の陰イオン濃度として0.01mg/ml以下になるように希釈し,メン

ブレンフィルターにてろ過する。 

(c) 標準液の調製 JIS K 0127の6.による。 

(d) 溶離液の調製 (1.3.2)試薬(b)の溶離液をメンブレンフィルターにてろ過する。 

(e) 測定準備 機器取扱説明書に従って,イオンクロマトグラフを測定条件で安定させておく。測定条

件の参考例を次に示す。 

方式 

分離カラムと除去カラムを組み合わせた方式 

カラム 

−N+R3をイオン交換基とした多孔性化学結合系充てん剤を充てんしたもの。 

カラム温度 

40℃ 

溶離液 

炭酸水素ナトリウム/炭酸ナトリウム=4/4mmol,流量1ml/min. 

除去液 

15mmol/l硫酸,流量1ml/min. 

検出器 

電気伝導度検出器 

試料導入量 

50μl 

(f) 測定 シリンジを使用し,試料導入部から試料溶液を導入する。同時に,標準液を導入する。 

(1.3.4) 計算 陰イオンである硝酸イオン及び塩化物イオンは,次の式によって算出する。 

(a) 硝酸イオン 

100

10

'

3

3

3

×

×

×

=S

P

NO

NO

ここに, NO3 

:硝酸イオン (%) 

NO3′ 

:検量線から求めた硝酸イオンの質量 (mg) 

:希釈倍数 

: 6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) 塩化物イオン 

100

10

'

×

×

=S

P

Cl

Cl

ここに, Cl 

:塩化物イオン (%) 

Cl′ 

:検量線から求めた塩化物イオンの質量 (mg) 

: :希釈倍数 

6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(1.4) 各成分の計算 水可溶分の各成分である硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,硝酸カリウム及び塩

12 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

化ナトリウムは,陽イオンと陰イオンの分析結果から,次の式によって算出する。 

(a) 硝酸カリウム 

1.

39

1.

101

3

×

=K

KNO

ここに, KNO3 

:硝酸カリウム (%) 

:カリウムイオン (%) 

(b) 塩化ナトリウム 

5.

35

4.

58

×

=Cl

NaCl

ここに, NaCl 

:塩化ナトリウム (%) 

Cl 

:塩化物イオン (%) 

(c) 硝酸ナトリウム 

0.

23

0.

85

4.

58

0.

23

3

×

×

=

NaCl

Na

NaNO

ここに, NaNO3 

:硝酸ナトリウム (%) 

Na 

:ナトリウムイオン (%) 

NaCl 

:塩化ナトリウム (%) 

(d) 硝酸アンモニウム 

0.

62

0.

80

0.

85

0.

62

1.

101

0.

62

3

3

3

3

4

×

×

+

×

=

NaNO

KNO

NO

NO

NH

ここに, NH4NO3 

:硝酸アンモニウム (%) 

NO3 

:硝酸イオン (%) 

KNO3 

:硝酸カリウム (%) 

NaNO3 

:硝酸ナトリウム (%) 

(2) 過塩素酸アンモニウム,硝酸アンモニウム及び硝酸ナトリウム 

(2.1) 要旨 カーリットに適用し,陽イオン(ナトリウムイオン)は原子吸光分析法によって,陰イオン

(硝酸イオン及び過塩素酸イオン)は,イオンクロマトグラフによって行う。陽イオンと陰イオン

の分析結果を組み合わせることによって各成分の定量を行う。 

(2.2) ナトリウムイオン(陽イオン)の分析 ナトリウムイオンの分析は,次のとおりとする。 

(2.2.1) 装置及び器具 装置及び器具は,6.2.2.1(1.2.1)による。 

(2.2.2) 試薬 試薬は,6.2.2.1(1.2.2)による。 

(2.2.3) 操作 操作は,6.2.2.1(1.2.3)による。 

(2.2.4) 計算 ナトリウムイオンは,次の式によって算出する。 

100

10

'

×

×

=S

P

Na

Na

ここに, Na 

:ナトリウムイオン (%) 

Na′ :検量線から求めたナトリウムイオンの質量 (mg) 

:希釈倍率 

:6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(2.3) 陰イオンの分析 陰イオンの分析は,次のとおりとする。 

(2.3.1) 装置及び器具 装置及び器具は,6.2.2.1(1.3.1)による。 

(2.3.2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 標準液 JIS K 0127の6.による。 

13 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(b) 溶離液 JIS K 0127の4.3による。 

(c) 過塩素酸イオン標準液 (1 000mg CIO4−/l) JIS K 8226に規定する過塩素酸カリウムをあらかじめ

110℃で4時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.393gを全量フラスコ1 000mlに移し,水

を加えて溶かし,さらに,水を標線まで加えて混合する。 

(2.3.3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料の準備 6.2.2.1水可溶分(1.3.3)操作(a)による。 

(b) 測定用試料溶液の準備 6.2.2.1水可溶分(1.3.3)操作(b)による。 

(c) 標準液の調製 (2.3.2)試薬(a)及び(c)の標準液を希釈し,3〜4段階濃度で作製する。 

(d) 溶離液の調製 6.2.2.1水可溶分(1.3.3)操作(d)による。 

(e) 測定準備 6.2.2.1水可溶分(1.3.3)操作(e)による。 

(f) 測定 6.2.2.1水可溶分(1.3.3)操作(f)による。 

(2.3.4) 計算 陰イオンである硝酸イオン及び過塩素酸イオンは,次の式によって算出する。 

(a) 硝酸イオン 

100

10

'

3

3

3

×

×

×

=S

P

NO

NO

ここに, NO3 

:硝酸イオン (%) 

NO3′ :試料溶液中の硝酸イオンの質量 (mg) 

:希釈倍数 

:6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) 過塩素酸イオン 

100

10

'

3

4

4

×

×

×

=S

P

ClO

ClO

ここに, ClO4′ :過塩素酸イオン (%) 
 

ClO4 

:試料溶液中の過塩素酸イオンの質量 (mg) 

:希釈倍数 

:6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(2.4) 各成分の計算 水可溶分の各成分である過塩素酸アンモニウム,硝酸アンモニウム及び硝酸ナトリ

ウムは,陽イオンと陰イオンの分析結果から,次の式によって算出する。 

(a) 過塩素酸アンモニウム 

5.

99

5.

117

4

4

4

×

=ClO

ClO

NH

ここに, NH4ClO4 

:過塩素酸アンモニウム (%) 

ClO4 

:過塩素酸イオン (%) 

(b) 硝酸ナトリウム 

0.

23

0.

85

3

×

=Na

NaNO

ここに, NaNO3 

:硝酸ナトリウム (%) 

Na 

:ナトリウムイオン (%) 

(c) 硝酸アンモニウム 

0.

62

0.

80

0.

23

0.

62

3

3

4

×

×

=

Na

NO

NO

NH

ここに, NH4NO3 

:硝酸アンモニウム (%) 

14 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

NO3 

:硝酸イオン (%) 

Na 

:ナトリウムイオン (%) 

(3) 硝酸アンモニウム 

(3.1) 要旨 アンモン爆薬に適用し,水可溶分は硝酸アンモニウムである。 

(3.2) 定量 6.2.2(4)計算(a)で求めた水可溶分が硝酸アンモニウムである。 

(4) 過塩素酸アンモニウム及び硝酸アンモニウム 

(4.1) 要旨 TNT系爆薬に適用し,イオンクロマトグラフ法によって定量する。 

(4.2) 装置及び器具 装置及び器具は,6.2.2.1(1.3.1)による。 

(4.3) 試薬 試薬は,6.2.2.1(2.3.2)による。 

(4.4) 操作 操作は,6.2.2.1(2.3.3)による。 

(4.5) 計算 過塩素酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムは,6.2.2.1(2.3.4)によって,算出する。 

(4.6) 各成分の計算 過塩素酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムは,次の式によって算出する。 

(a) 過塩素酸アンモニウム 

5.

99

5.

117

4

4

4

×

=ClO

ClO

NH

ここに, 

NH4ClO4 :過塩素酸アンモニウム (%) 

ClO4 :過塩素酸イオン (%) 

(b) 硝酸アンモニウム 

00

.

62

04

.

80

3

3

4

×

=NO

NO

NH

ここに, 

NH4NO3 :硝酸アンモニウム (%) 

NO3 :硝酸イオン (%) 

6.2.2.2 

水不溶分 

(1) ニトロセルロース,でんぷん及び木粉 

(1.1) 要旨 ダイナマイトに適用し,水不溶分をアセトン溶解させる。溶解分がニトロセルロースである。 

(1.2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 二重壁乾燥器 

(b) メスシリンダー JIS R 3505に規定する100ml有栓形のもの。 

(c) 洗浄瓶 共栓つきのもの。 

(d) 全量ピペット JIS R 3505に規定する50mlのもの。 

(1.3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) アセトン JIS K 8034による。 

(1.4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 6.2.2(3)操作(b)で得られた水不溶分をアセトンを用いてことごとくメスシリンダーに洗い流す。 

(b) 約90mlまでアセトンを加えて密栓し,よく振とうしてニトロセルロースを溶解させる。 

(c) 100mlの目盛までアセトンを加えて,よく混合し,約9時間以上静置して不溶解分を沈降させる。 

(d) 上澄み液(8)50mlを全量ピペットを用いてビーカー100mlにとり,水5mlを加え静かに水浴上で蒸発

乾固した後,さらに,80℃の二重壁乾燥器中で2時間乾燥した後,質量を1mgのけたまで量り,こ

れをCとする。 

注(8) 残りの溶液の全量をビーカー100mlに移し,さらに少量の水で洗い出し,静かに水浴上で

蒸発乾固し,さらに80℃の二重壁乾燥器中で2時間乾燥した後,質量を1mgのけたまで量り,

15 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

これをBとして6.2.2注(6)の計算に用いる。 

(1.5) 計算 ニトロセルロース,でんぷん及び木粉は,次の式によって算出する。 

(a) ニトロセルロース 

100

×

=S

C

NC

ここに, NC 

:ニトロセルロース (%) 

:試験後の質量 (g) 

:6.1.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) でんぷん及び木粉 

R=Ws′−NC 

ここに, R 

:でんぷん及び木粉 (%)  

Ws′ 

:6.2.2(4)計算(b)で求めた水不溶分 (%)  

NC 

:ニトロセルロース (%)  

(2) けい素鉄,木粉その他 

(2.1) 要旨 カーリットに適用し,水不溶分はけい素鉄,木粉その他である。 

(2.2) 定量 6.2.2(4)計算(b)で求めた水不溶分が,けい素鉄,木粉その他である。 

(3) アルミニウム及び木粉 

(3.1) 要旨 アンモン爆薬及びTNT系爆薬に適用し,水不溶分に塩酸を加えて塩酸溶解分(アルミニウム)

と不溶解分(木粉)に分ける。 

(3.2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 乾燥器 

(b) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定する1G4のもの。 

(3.3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 塩酸 (1+1)  JIS K 8180に規定する塩酸を用いて調製する。 

(3.4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 6.2.2(3)操作(b)で得られた水不溶分をるつぼ形ガラスろ過器ごとビーカーに移し入れ,塩酸 (1+1) 

20mlを加え,加熱溶解する。 

(b) アルミニウムが溶解したら,るつぼ形ガラスろ過器を取り出し,水で十分に洗浄する。 

(c) るつぼ形ガラスろ過器を70℃で5時間乾燥し,デシケーター中で放冷した後,質量を1mgのけたま

で量り,これをGとする。 

(3.5) 計算 アルミニウム及び木粉は,次の式によって算出する。 

(a) 木粉 

100

'

×

=SG

R

ここに, R'  

:木粉 (%) 

:試験後の質量 (g) 

:6.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) アルミニウム 

Al=Ws′−R' 

ここに, Al 

:アルミニウム (%) 

Ws′ 

:6.2.2(4)計算(b)で求めた水不溶分 (%) 

R′ 

:木粉 (%) 

16 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3 

熱水処理 黒色火薬については,熱水で処理し,水可溶分(硝酸カリウム)と水不溶分(木炭及び

硫黄)に分ける。 

6.3.1 

水可溶分(硝酸カリウム) 

(1) 要旨 黒色火薬を熱水処理して硝酸カリウムを定量する。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定する3G4のもの。 

(b) 乾燥器 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) ジフェニルアミン溶液 JIS K 8001の4.4(指示薬)に規定するもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料約5gを1mgのけたまでるつぼ形ガラスろ過器に量り取る。熱水約25mlを加えて,かきまぜた

後,吸引ろ過する。ろ液がジフェニルアミン溶液で硝酸イオンの反応を示さなくなるまで,この操

作を繰り返す。 

(b) 水不溶分をるつぼ形ガラスろ過器のまま,90℃の乾燥器で2時間以上乾燥し,デシケーター中で放

冷した後,質量を1mgのけたまで量り,これをJとする。 

(5) 計算 硝酸カリウムは,次の式によって算出する。 

100

3

×

=

S

J

S

KNO

ここに, KNO3 :硝酸カリウム (%) 
 

:水不溶分の質量 (g) 

:6.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

6.3.2 

水不溶分の二硫化炭素処理 

(1) 要旨 水不溶分を二硫化炭素で処理し,溶解分(硫黄)と不溶解分(木炭)に分けて,それぞれを定

量する。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定する3G4。 

(b) 乾燥器 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 二硫化炭素 JIS K 8732に規定するもの。 

(b) メタノール JIS K 8891に規定するもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 6.3.1水可溶分(4)操作(b)で得られた水不溶分の入ったるつぼ形ガラスろ過器に,二硫化炭素約15ml

を加えて,かきまぜた後,吸引ろ過する。この操作を5〜6回繰り返す。さらに,メタノール約15ml

を加えて,吸引ろ過する。 

(b) 二硫化炭素不溶解分をるつぼ形ガラスろ過器のまま,105℃の乾燥器で2時間以上乾燥し,デシケー

ター中で放冷した後,質量を1mgのけたまで量り,これをTとする。 

(5) 計算 硫黄及び木炭は,次の式によって算出する。 

(a) 木炭 

100

×

=ST

Q

17 

K 4809-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

Q :木炭 (%) 

T :二硫化炭素不溶解分の質量 (g) 

S :6.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

(b) 硫黄 

100

×

=

S

T

J

Su

ここに, Su 

:硫黄 (%)  

:水不溶分の質量 (g)  

:二硫化炭素不溶解分の質量 (g)  

:6.1で求めた水分を計算によって差し引いた試料の質量 (g) 

7. 安全についての注意事項 安全のため,次の事項に十分注意しなければならない。 

7.1 

火薬類の取扱いについては,火薬類取締法令の諸規定に従うこと。 

7.2 

安全・衛生及び環境保全については,JIS K 0050に規定されている化学分析上の注意事項に従うこ

と。 

JIS K 4809 改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

本委員会 

小委員会 

(委員長) 

長 田 英 世 

九州工業大学(名誉教授) 

○ 

(主査) 

山 下 忠 孝 

東洋大学(名誉教授) 

○ 

○ 

田 村 昌 三 

東京大学 

○ 

増 田   優 

通商産業省基礎産業局化学製品課 

○ 

成 田 公 明 

通商産業省環境立地局保安課 

○ 

吉 田 正 典 

工業技術院物資工学工業技術研究所 

○ 

岡 林 哲 夫 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

○ 

因   幸二郎 

財団法人日本規格協会 

○ 

中 軸 美智雄 

社団法人全国火薬類保安協会 

○ 

坂 上   威 

日本火薬工業会 

○ 

○ 

北 島 英 二 

中国化薬株式会社 

○ 

○ 

伊 藤 孝 滋 

日本化薬株式会社 

○ 

○ 

坂 口 道 明 

日本油脂株式会社 

○ 

○ 

比 嘉   清 

旭化成工業株式会社 

○ 

○ 

寺 山 英 一 

日本カーリット株式会社 

○ 

○ 

和 田 惣 一 

日本工機株式会社 

○ 

○ 

橋 田 安 弘 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

○ 

(事務局) 

早 川 岩 男 

日本火薬工業会 

竹 村   章 

日本火薬工業会