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(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 試験の項目 ······················································································································ 2
5 試験の一般事項 ················································································································ 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 pH値··························································································································· 3
6.2 粘度 ···························································································································· 3
6.3 密度 ···························································································································· 4
6.4 不揮発分 ······················································································································ 4
6.5 貯蔵安定性 ··················································································································· 5
6.6 凍解安定性 ··················································································································· 5
6.7 起泡力 ························································································································· 6
6.8 消泡性 ························································································································· 6
6.9 洗浄力 ························································································································· 7
6.10 剝離力 ······················································································································· 11
7 試験報告書 ····················································································································· 12
附属書A(参考)試験用フロアーポリッシュの処方例 ································································ 13
附属書B(参考)試験用人工汚こうの処方例············································································· 14
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本フロアーポリッシュ工業会(JFPA)及
び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が
あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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床用洗剤−表面洗剤及び剝離剤−試験方法
Test methods for floor cleaners-Surface cleaner and remover
1
適用範囲
この規格は,建築物の床の表面に付着した汚れを化学的に取り除くことを目的とした業務用の床用洗剤
のうち,表面洗剤及び剝離剤(以下,床用洗剤という。)の試験方法について適用する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 5705 ビニル系床材
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 2001 工業用潤滑油−ISO粘度分類
JIS K 2249-2 原油及び石油製品−密度の求め方−第2部:浮ひょう法
JIS K 2249-3 原油及び石油製品−密度の求め方−第3部:ピクノメータ法
JIS K 3211 界面活性剤用語
JIS K 3920 フロアーポリッシュ試験方法
JIS K 7117-1 プラスチック−液状,乳濁状又は分散状の樹脂−ブルックフィールド形回転粘度計によ
る見掛け粘度の測定方法
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS L 1021-18 繊維製床敷物試験方法−第18部:汚れ試験方法
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8741 鏡面光沢度−測定方法
JIS Z 8781-4 測色−第4部:CIE 1976 L*a*b*色空間
JIS Z 8802 pH測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 3211によるほか,次による。
3.1
フロアーポリッシュ
清掃に用いる化学製品のうち床材の保護・美観のために塗布するもので,乾燥後に皮膜を形成し,経日
後必要なときに,物理的方法・化学的方法によって容易に除去できるものをいい,床用ワックスともいう。
2
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3.2
水性フロアーポリッシュ・ポリマータイプ
主原料のポリマー(合成樹脂など)を水に溶解又は乳化したフロアーポリッシュ。
3.3
表面洗剤
水性フロアーポリッシュ・ポリマータイプを塗布した床面の皮膜に侵入した汚れを除去するための洗剤。
3.4
剝離剤
水性フロアーポリッシュ・ポリマータイプを塗布した床面の皮膜を溶解して除去するための洗剤。
3.5
不揮発分
試料を規定条件で加熱した後の残さ(渣)の質量と元の質量との割合。百分率で表す。
注記 JIS K 5601-1-2で規定している加熱残分と同義。
3.6
消泡性
一定時間後に泡が消える性質。
3.7
剝離力
水性フロアーポリッシュ・ポリマータイプを塗布した床面の皮膜を溶解して除去する能力。
3.8
光沢維持率
水性フロアーポリッシュ・ポリマータイプを塗布したとき得られる光沢度と洗浄後の光沢度との割合。
百分率で表す。
3.9
明度回復率
汚こう(垢)の付着で低下した明度と洗浄後の明度との割合。百分率で表す。
3.10
ドラフトチャンバー
排気機能及び囲われた作業空間をもつもの。
3.11
フロアパッド
不織布又は不織布に研磨剤をコーティングしたもので,床面を洗浄するための清掃用具。洗浄の目的及
び性能によって色分けされている。
4
試験の項目
試験の項目及び試験箇条は,表1による。
3
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表1−試験項目
試験項目
試験箇条
適用する床用洗剤
pH値
6.1
表面洗剤及び剝離剤
粘度
6.2
密度
6.3
不揮発分
6.4
貯蔵安定性
6.5
凍解安定性
6.6
起泡力
6.7
消泡性
6.8
洗浄力
6.9
表面洗剤
剝離力
6.10
剝離剤
5
試験の一般事項
試験に共通する一般事項は,JIS K 0050によるほか,次による。
a) 試験場所の標準状態 試験場所の標準状態は,温度23 ℃±5 ℃,湿度(65±20)%とし,日光の直射
がなく,試験に悪い影響を与えるガス,蒸気,ほこりなどがない換気のできる場所とする。
b) 試料の調製 試験に用いる床用洗剤をJIS R 3503に規定する広口共栓瓶に採取して試料とする。希釈
して使用する床用洗剤は,イオン交換水を用いて所定の希釈倍率に希釈したものを試料とする。
試料は,標準状態の試験場所に1時間以上放置した後,試験に供する。
6
試験方法
6.1
pH値
6.1.1
要旨
pH値の測定は,JIS Z 8802に準拠し,試料のpH値を試験する方法について規定する。
6.1.2
装置
装置は,次による。
a) 恒温槽 温度を20 ℃±0.5 ℃に調節できるもの
6.1.3
手順
pH値の測定手順は,次による。
a) 恒温槽内で試料の温度が20 ℃±0.5 ℃となるように調整する。
b) pH値の測定方法は,JIS Z 8802に規定する方法による。ただし,試験温度は,20 ℃±0.5 ℃とする。
6.2
粘度
6.2.1
要旨
粘度の測定は,JIS K 7117-1に準拠し,ブルックフィールド形回転粘度計を用いて試料の粘度を試験す
る方法について規定する。
6.2.2
装置
装置は,次による。
a) 恒温槽 温度を20 ℃±0.5 ℃に調節できるもの
b) 粘度計 JIS K 7117-1に規定するブルックフィールド形回転粘度計のB形
6.2.3
手順
4
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粘度の測定手順は,JIS K 7117-1に規定する方法による。ただし,試験温度は,20 ℃±0.5 ℃とする。ス
ピンドル番号及び回転数は,指示計が目盛の20 %〜95 %の範囲に入るように選び,1分間回転させたとき
の組合せとする。
6.3
密度
6.3.1
要旨
密度の測定は,JIS K 2249-2に準拠し,浮ひょうを用いて試料の密度を試験する方法,又はJIS K 2249-3
の10.1(毛細管共栓ピクノメータ法の手順)に準拠し,試料と等体積の水との質量を比較して試料の密度
を試験する方法について規定する。
6.3.2
浮ひょう法
6.3.2.1
手順
密度の浮ひょう法の測定手順は,JIS K 2249-2に規定する方法による。ただし,試験温度は20 ℃±0.5 ℃
とする。
6.3.3
毛細管共栓ピクノメータ法
6.3.3.1
手順
密度の毛細管共栓ピクノメータ法による測定手順は,JIS K 2249-3の10.1に規定する方法による。ただ
し,試験温度は20 ℃±0.5 ℃とする。
6.3.3.2
計算
試料の温度及び試験温度が20 ℃のとき,密度は,次の式によって求め,四捨五入して小数点以下2桁に
丸める。
20
W
3
2
3
1
D
W
W
W
W
dt
×
=
−
−
ここに,
dt: 試料の密度(20 ℃)(g/cm3)
W1: 試料を入れたときの質量(g)
W2: 水を入れたときの質量(g)1)
W3: ピクノメータの質量(g)1)
20
W
D: 20 ℃における水の密度[=0.998 20(g/cm3)]
注1) W2及びW3は,定期的にはかって記録しておけば,試験のたびにはかる必要はない。
6.4
不揮発分
6.4.1
要旨
不揮発分の試験は,試料を加熱することで水,溶剤などの揮発する物質を除く試料の不揮発分を試験す
る方法について規定する。
6.4.2
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) ペトリ皿 JIS R 3503に規定する90 mm×15 mmのもの
b) 恒温乾燥機 試料の温度を105 ℃±2.5 ℃の温度範囲に自動的に調節することができ,連続運転の加熱
に適するもの
c) デシケータ JIS R 3503に規定するもの。乾燥剤は,シリカゲル又は塩化カルシウムを用いる。
d) 化学はかり 0.1 mgの桁まで正確にはかることができるもの
e) ドラフトチャンバー
6.4.3
手順
5
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不揮発分の試験手順は,次による。
a) 質量の分かっているペトリ皿に試料2 000 mg±100 mgを載せ,0.1 mgの桁まではかり,これをWSと
する。
b) はかりとった試料を温度105 ℃±2.5 ℃に保った恒温乾燥機の中心部で4時間乾燥してから,デシケー
タ内で室温になるまで放冷し,その質量をはかり,これをWDとする。
c) 試料が引火点の低い溶剤を多く含む場合には,試料にほこりが入らないようにして,恒温乾燥機に入
れる前に,ドラフトチャンバー内に1時間放置して揮発分を排気する。
d) 別の試料について,a) からc) の手順を繰り返す。
6.4.4
計算
不揮発分は,次の式によって二つの試料の計算値をそれぞれ求め,二つの計算値を平均して,有効数字
2桁に丸める。
100
S
D×
=W
W
N
ここに,
N: 不揮発分(%)
WD: 乾燥後の試料の質量(mg)
WS: 乾燥前の試料の質量(mg)
6.5
貯蔵安定性
6.5.1
要旨
貯蔵安定性の試験は,試料を温度50 ℃で14日間保存した後,標準状態に戻し,試料の貯蔵安定性を試
験する方法について規定する。
6.5.2
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) 容器 呼び容量が120 mL,内径が30 mm〜40 mmの無色透明なガラス瓶で,ポリエチレン製の内蓋及
びねじ式の外蓋をもち,密閉できるもの
b) 恒温乾燥機 温度を50 ℃±2 ℃に保つことができるもの
6.5.3
手順
貯蔵安定性の試験手順は,次による。
a) 試料約100 mLをはかりとり,6.5.2 a) の容器に入れて密閉する。
b) 温度50 ℃±2 ℃に保った恒温乾燥機に入れ,14日間経過後に取り出す。
c) 標準状態の試験場所に24時間放置後,試料を振とうかくはんして全体が混ざったら,ゲル化,相分離
及び固形分の沈殿の有無を目視で観察し,結果を記録する。
6.6
凍解安定性
6.6.1
要旨
凍解安定性の試験は,試料を凍結後,標準状態に戻し,試料の凍解安定性を試験する方法について規定
する。
6.6.2
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) 容器 呼び容量が120 mL,内径が30 mm〜40 mmの無色透明なプラスチック瓶で,ポリエチレン製の
内蓋及びねじ式の外蓋をもち,密閉できるもの
b) 冷凍庫 温度を−10 ℃〜−15 ℃に保つことができるもの
6
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6.6.3
手順
凍解安定性の試験手順は,次による。
a) 試料約100 mLをはかりとり,6.6.2 a) の容器に入れて密閉する。
b) 温度−10 ℃〜−15 ℃に保った冷凍庫に入れ,24時間経過後に取り出す。
c) 標準状態の試験場所に24時間放置後,試料を振とうかくはんして全体が混ざったら,ゲル化,相分離
及び固形分の沈殿の有無を目視で観察する。
d) a) からc) の手順を3回繰り返し,それぞれの観察結果を記録する。
6.7
起泡力
6.7.1
要旨
起泡力の試験は,試料を泡立て,その泡の体積によって試験する方法について規定する。
6.7.2
器具
器具は,次による。
a) ビーカー JIS R 3503に規定する呼び容量100 mLのもの
b) メスシリンダー有栓形 JIS R 3505に規定する呼び容量100 mL,目盛1 mLのもの
6.7.3
手順
起泡力の試験手順は,次による。
a) 試料を23 ℃±5 ℃に調整する。
b) きれいに洗浄したメスシリンダーに,試料を泡立てないように,静かに20 mL注ぎ入れた後,専用の
密栓で封じる。
c) b) のメスシリンダーをできるだけ地面に対して垂直になるよう手に持ち,30 cm±10 cmの振り幅,
毎秒1回の速さで上下に計10回振とうさせた後,すぐに密栓を外して静置し,30秒経過後の泡の体
積(mL)を測定する。泡の体積はメスシリンダーを真横から見て,下は液と泡との界面から,上は連
続した泡層の最も低い位置までとし,それぞれ1 mL単位まで読み取った差とする。
d) 三つの試料について,a) からc) の手順を行う。三つの測定値を平均し,四捨五入によって整数位(mL)
に数値を丸める。
6.8
消泡性
6.8.1
要旨
消泡性の試験は,試料を泡立て,5分経過後の泡の体積によって試験する方法について規定する。
6.8.2
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) ビーカー JIS R 3503に規定する呼び容量100 mLのもの
b) メスシリンダー有栓形 JIS R 3505に規定する呼び容量100 mL,目盛1 mLのもの
6.8.3
手順
消泡性の試験手順は,次による。
a) 試料を23 ℃±5 ℃に調整する。
b) きれいに洗浄したメスシリンダーに,試料を泡立てないように,静かに20 mL注ぎ入れた後,専用の
密栓で封じる。
c) b) のメスシリンダーをできるだけ地面に対して垂直になるよう手に持ち,30 cm±10 cmの振り幅,
毎秒1回の速さで上下に計10回振とうさせた後,すぐに密栓を外して静置し,5分経過後の泡の体積
(mL)を測定する。泡の体積はメスシリンダーを真横から見て,下は液と泡との界面から,上は連続
7
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した泡層の最も低い位置までとし,それぞれ1 mL単位まで読み取った差とする。
d) 三つの試料についてa) からc) の手順を行う。三つの測定値を平均し,四捨五入によって整数位(mL)
に数値を丸める。
6.9
洗浄力
6.9.1
要旨
洗浄力の試験は,試料(表面洗剤)で洗浄する前後での光沢度(光沢維持率)及び明度(明度回復率)
によって,試料の洗浄力を試験する方法を規定する。
6.9.2
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) 恒温乾燥機 温度を50 ℃±2 ℃に保つことができるもの
b) ビーカー JIS R 3503に規定する呼び容量1 000 mLのもの
c) 洗浄試験機 JIS K 3920の19.2 c)(洗浄試験機)に規定するもの
d) 洗浄用しゅう動部 JIS K 3920の19.2 d)(洗浄用しゅう動部)に規定するもの
e) 60°鏡面光沢度測定装置 JIS Z 8741に規定するもの
f)
測色計 JIS Z 8781-4に規定するもので,L*a*b*表色系のもの
g) バーコーター 番手#75(巻線径 190 mm,膜厚 約0.171 mm)のもの
h) 刷毛 動物の毛材で金巻タイプのもの
i)
医療ガーゼ 一般医療機器(クラスI)のタイプIのもの
j)
メスピペット JIS R 3505に規定する呼び容量5 mLで最小目盛0.05 mLのもの
k) 青パッド ポリエステル不織布,合成と(砥)粒(酸化アルミニウム)及び合成樹脂系接着剤による
フロアパッドで青色のもの
l)
白パッド ポリエステル不織布及び合成樹脂系接着剤によるフロアパッドで白色のもの
m) ドラフトチャンバー
6.9.3
試験用フロアーポリッシュ
6.9.3.1
試験用フロアーポリッシュの原料
試験用フロアーポリッシュの原料は,表2による。
なお,試験用フロアーポリッシュの処方の例を附属書Aに示す。
表2−試験用フロアーポリッシュの原料
番号
原料
1
イオン交換水
2
イソチアゾリン系防腐剤
3
アクリル系エマルション型アルカリ可溶性樹脂(酸価 100〜150 mgKOH/g,分子量 30 000〜40 000)
4
ふっ素系界面活性剤
5
ジエチレングリコールモノエチルエーテル
6
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル
7
トリブトキシエチルフォスフェート
8
亜鉛架橋型アクリル・スチレン樹脂エマルション(最低造膜温度80 ℃以上)
9
高結晶酸化ポリエチレンワックスエマルション(酸価30 mgKOH/g,粒子径35〜45 nm)
10
シリコーンエマルション型消泡剤
8
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6.9.3.2
試験用フロアーポリッシュの調製
表2の番号1の原料をかくはんしながら,番号2〜番号10の原料を順に加え,最後に30分間かくはん
する。かくはん後,温度5 ℃〜25 ℃の直射日光の当たらない場所に密栓して24時間以上放置する。
6.9.3.3
試験用フロアーポリッシュの保管方法及び有効期限
6.9.3.2で調製した試験用フロアーポリッシュの保管方法は,温度5 ℃〜25 ℃の直射日光の当たらない場
所で容器を密栓して保管する。有効期限は,未開封の状態で調製日から2年間とする。開封した場合は,
開封後1年間とし,いずれか短い期間までとする。
6.9.4
試験用人工汚こう
6.9.4.1
試験用人工汚こうの原料
試験用人工汚こうの原料は,表3による。
なお,人工汚こうの処方の例を附属書Bに示す。
表3−試験用人工汚こうの原料
番号
原料
1
JIS L 1021-18に規定する標準汚れ物質
2
カーボンブラック(平均粒子径24 nm,着色力122 %〜132 %,pH値2.0〜5.0)
3
パラフィン系潤滑油(JIS K 2001に規定するISO粘度グレード番号 VG 7,VG 10)
4
ナフテン系炭化水素溶剤(蒸留範囲150 ℃〜200 ℃)
6.9.4.2
試験用人工汚こうの調製
表3の番号1の原料に番号2〜番号4の原料を混ぜ合わせて調製し,温度5 ℃〜25 ℃の直射日光の当た
らない場所に密栓して24時間以上放置する。
6.9.4.3
試験用人工汚こうの保管方法及び有効期限
6.9.4.2で調製した試験用人工汚こうの保管方法は,温度5 ℃〜25 ℃の直射日光の当たらない場所で容器
を密栓して保管する。有効期限は,調製日から30日間とする。
6.9.5
試験用洗浄液
6.9.5.1
試験用洗浄液の原料
試験用洗浄液の原料は,次による。
a) 炭酸ナトリウム JIS K 8625に規定するもの
b) 高級アルコールエトキシレート 炭素数が12〜15の高級アルコールで,エチレンオキサイドの付加モ
ル数が10〜12のもの
6.9.5.2
試験用洗浄液の調製
ビーカーに,炭酸ナトリウム5 gと高級アルコールエトキシレート5 gと23 ℃±5 ℃のイオン交換水990
gとを入れて,透明になるまでかき混ぜたものを試験用洗浄液とする。
6.9.6
試験基材
JIS A 5705に規定する白色無地の複層ビニル床タイル(FT)(約300 mm×約300 mm)とする。
6.9.7
試験片
6.9.7.1
光沢維持率測定用試験片
光沢維持率測定用試験片は,次による。
a) 試験基材の調整 試験基材の表面を6.9.5.2で調製した試験用洗浄液で青パッドを用いて均一に洗浄し
9
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た後,流水で十分にすすぎ,標準状態の試験場所で乾燥させる。
b) 試験用フロアーポリッシュ塗布前の光沢度の測定 JIS K 3920の15.4 b)(ポリマータイプの場合)に
準拠し,60°鏡面光沢度測定装置を用いて,a) の試験基材の任意の5か所の光沢度を測定し,最大値
及び最小値を除き,残った測定値の平均値を試験用フロアーポリッシュ塗布前の光沢度G1の値とする。
c) 試験用フロアーポリッシュの塗布 b) の試験基材に6.9.3.2で調製した試験用フロアーポリッシュを
メスピペットで滴下し,医療ガーゼを約110 mm×約150 mm(約0.6 g)に切断し,四つ折りにしたも
ので,塗布量が0.9 mL±0.18 mL残るように,均一に塗り広げる。これを4回繰り返して塗り重ねて
仕上げる。このとき,次に塗り重ねる前には十分乾燥させるために標準状態の試験場所で30分間以上
放置する。
d) 加熱促進 c) の試験基材を,50 ℃±2 ℃に保った恒温乾燥機内に24時間放置する。
e) 試験片の調整 d) で調整した試験基材を標準状態の試験場所で1時間以上放置してから,裁断して,
50 mm×150 mmの試験片を3枚作成する。
f)
洗浄前の光沢度の測定 e) で調整した試験片1枚当たり任意の2か所の光沢度を60°鏡面光沢度測
定装置で測定し,試験片3枚の測定結果から最大値及び最小値を除き,残った測定値の平均値を洗浄
前の光沢度G2の値とする。
6.9.7.2
明度回復率測定用試験片
明度回復率測定用試験片は,次による。
a) 試験基材の調整 6.9.7.1 a),c) 及びd) で調整した試験基材を,水を付けた耐水サンドペーパー#2000
で,光沢度が20〜30の間に収まるよう縦横を均一にこす(擦)る。
b) 試験用人工汚こう塗布前の明度の測定 測色計を用いてa) の試験基材の任意の5か所の明度(L*)
を測定し,測定値の最大値及び最小値を除き,残った測定値の平均値を,試験用人工汚こう塗布前の
明度L*1の値とする。
c) 試験用人工汚こうの塗布 b) の試験基材に,6.9.4.2で調製した試験用人工汚こうをバーコーター又は
刷毛を用いて均一に塗布する。刷毛を用いる場合は,人工汚こうが試験基材に15 g±1 g残るようにし,
かつ,表面を必要以上にこす(擦)り付けないようにして,手早く均一に塗り広げる。
d) 加熱促進 c) の試験基材を,ドラフトチャンバー内に1時間放置してから,50 ℃±2 ℃に保った恒温
乾燥機内に24時間放置する。
e) 遊離汚こう成分の除去 d) の試験基材を標準状態の試験場所で1時間以上2) 放置してから,表面に
遊離した汚こう成分を,水道水を流しながら白パッドで軽くなでるように拭き取った後,標準状態の
試験場所で1時間以上乾燥させる。遊離汚こう成分を除去した試験基材は,24時間以内に使用する。
注2) d) の試験基材は,養生期間が1時間から1週間以内のものを使用することが望ましく,最長
でも1か月以内のものを使用する。
f)
明度の確認 測色計を用いてe) の試験基材の任意の箇所の明度(L*)を測定し,L*の値が40〜60に
なっていることを確認する。L*の値が40より低い場合は,再度水道水を流しながら白パッドで洗浄
する。L*の値が60よりも高い場合は,試験基材を再度調整し,明度を確認する。
g) 試験片の調整 f) の試験基材を裁断して,50 mm×150 mmの試験片を3枚作成する。
h) 洗浄前の明度の測定 測色計を用いてg) の試験片1枚当たり任意の2か所の明度(L*)を測定し,
試験片3枚の測定値の最大値及び最小値を除き,残った測定値の平均値を洗浄前の明度L*2の値とす
る。
10
K 3921:2019
6.9.8
手順
光沢維持率及び明度回復率の試験手順は,次による。
a) 試料を23 ℃±5 ℃に調整する。洗浄試験機のパッド押さえ台,白パッド及びおもりの合計質量が500 g
±100 gになるように調整する。
b) 使用する白パッドは,あらかじめ30秒間以上,試料に浸せきした後に引き上げ,液垂れがほぼ収まっ
た状態で洗浄試験機に取り付ける。このとき,洗浄用しゅう動部の位置は,試験片上以外の部分とす
る。
c) 6.9.7.1 f) 及び6.9.7.2 h) において光沢度又は明度を測定した試験片3枚ずつを順番に洗浄試験機に取
り付け,試験片1枚当たり試料を10 mL±2 mLはかりとり,試験片上をほぼ覆うように注ぎ,2分間
放置した後,洗浄試験機を往復25回(1往復を1回とする。)駆動させる。
d) 試験片を取り外して流水で十分にすすぎ,標準状態の試験場所で乾燥させた後,6.9.7.1 f) の試験片に
ついては,60°鏡面光沢度測定装置を用いて光沢度の測定を,6.9.7.2 h) の試験片については測色計を
用いて明度(L*)の測定を,それぞれ試験片1枚当たり任意の2か所行う。
e) 光沢度及び明度について,それぞれ試験片3枚ずつ全ての測定結果の最大値及び最小値を除き,残っ
た測定値の平均値を洗浄後の光沢度G3の値,及び洗浄後の明度L*3の値とする。
6.9.9
計算
洗浄後の光沢維持率及び明度回復率を次によって求める。
a) 光沢維持率 次の式から,洗浄後の光沢維持率を求め,四捨五入によって有効数字2桁に丸める。
100
1
2
1
3
×
−
−
=
G
G
G
G
G
ここに,
G: 光沢維持率(%)
G1: 試験用フロアーポリッシュ塗布前の光沢度
G2: 洗浄前の光沢度
G3: 洗浄後の光沢度
b) 明度回復率 次の式から,洗浄後の明度回復率を求め,四捨五入によって有効数字2桁に丸める。
100
*
*
*
*
*
2
1
2
3
×
−
−
=
L
L
L
L
L
ここに,
L*: 明度回復率(%)
L*1: 試験用人工汚こう塗布前の明度
L*2: 洗浄前の明度
L*3: 洗浄後の明度
6.9.10
洗浄力の評価区分
洗浄力の評価区分は,光沢維持率及び明度回復率によって,表4のとおり区分する。
表4−洗浄力の評価区分
光沢維持率
明度回復率
洗浄力の評価区分
50 %以上
80 %以上
A
50 %以上
60 %以上〜80 %未満
B
50 %以上
40 %以上〜60 %未満
C
50 %以上
40 %未満
D
50 %未満
−
E
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6.10
剝離力
6.10.1
要旨
剝離力の試験は,試験用フロアーポリッシュの皮膜を全て除去するために要する往復(洗浄)回数によ
って,試料(剝離剤)の剝離力を試験する方法について規定する。
6.10.2
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) 恒温乾燥機 温度を50 ℃±2 ℃に保つことができるもの
b) 洗浄試験機 JIS K 3920の19.2 c) に規定するもの
c) ビーカー JIS R 3503に規定する呼び容量1 000 mLのもの
d) 洗浄用しゅう動部 JIS K 3920の19.2 d) に規定するもので,押さえ質量(パッド押さえ台,白パッ
ド及びおもりの合計)が1 125 g±113 gのもの
e) 恒温水槽 浴温を20 ℃±5 ℃に調節できるもので150 mm×150 mm×50 mm以上のもの
f)
青パッド ポリエステル不織布,合成と(砥)粒(酸化アルミニウム)及び合成樹脂系接着剤による
フロアパッドで青色のもの
g) 白パッド ポリエステル不織布及び合成樹脂系接着剤によるフロアパッドで白色のもの
6.10.3
試験基材
JIS A 5705に規定する黒色系のコンポジションビニル床タイル(KT)(約300 mm×約300 mm)とする。
6.10.4
試験片
試験片は,次による。
a) 試験基材の調整 試験基材の表面を6.9.5で調製した試験用洗浄液で青パッドを用いて均一に洗浄し
た後,流水で十分にすすぎ,標準状態の試験場所で乾燥させる。
b) 試験用フロアーポリッシュの塗布 a) の試験基材に6.9.3.2で調製した試験用フロアーポリッシュを
メスピペットで滴下し,医療ガーゼを約110 mm×約150 mm(約0.6 g)に切断し,四つ折りにしたも
ので,塗布量が0.9 mL±0.18 mL残るように,均一に塗り広げる。これを2日間にわたって,1日目
に3回,2日目(1日目塗布後,24時間経過以降)に3回,合計で6回繰り返して塗り重ねて仕上げ
る。このとき,次に塗り重ねる前に十分乾燥させるために標準状態の試験場所で60分間以上放置する。
c) 加熱促進 b) の試験基材を,50 ℃±2 ℃に保った恒温乾燥機内に連続7日間放置する。
d) 試験片の調整 c) で調整した試験基材を標準状態の試験場所で1時間以上放置してから,裁断して,
50 mm×150 mmの試験片を3枚作成する。それらを恒温水槽内に浸せきして1時間後に取り出し,更
に標準状態の試験場所で1日間放置して調整する。
6.10.5
手順
剝離力の試験手順は,次による。
a) 試料を23 ℃±5 ℃に調整する。洗浄試験機のパッド押さえ台,白パッド及びおもりの合計質量が1 125
g±113 gになるように調整する。
b) 使用する白パッドは,あらかじめ30秒間以上,試料に浸せきした後に引き上げ,液垂れがほぼ収まっ
た状態で洗浄試験機に取り付ける。このとき,洗浄用しゅう動部の位置は,試験片以外の部分とする。
c) 1枚の試験片を洗浄試験機に取り付け,試料を10 mL±2 mLをはかりとり,試験片上をほぼ覆うよう
に注ぎ,2分間放置した後,洗浄試験機を往復25回駆動させる。
d) 洗浄試験機から試験片を取り外して流水で十分にすすぎ,標準状態の試験場所で乾燥させた後,フロ
アーポリッシュの除去状態を目視で確認する。
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e) d) でフロアーポリッシュが完全に除去されていなければ,フロアーポリッシュが完全に除去されるま
でc) 及びd) の手順を繰り返し,フロアーポリッシュが完全に除去されるまでの繰返し数によって洗
浄試験機の往復回数(25回の整数倍とする。)を確認する。
f)
残りの2枚の試験片についても同様にb) からe) の手順を行い,3枚の試験片それぞれについてe) で
確認した往復回数によって表5の評価区分を記録する。
6.10.6
剝離力の評価区分
剝離力の評価区分は,フロアーポリッシュの完全除去に要する洗浄試験機の往復回数によって,表5の
とおり区分する。
表5−剝離力の評価区分
完全除去に要する往復回数
剝離力の評価区分
25回,50回
A
75回,100回
B
125回,150回,175回,200回
C
225回以上
D
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試験報告書
試験報告書は,次の事項について記載する。ただし,必要のない事項は省略してもよい。
a) 試験年月日
b) 試験条件(室温,湿度,天候)
c) 床用洗剤の名称
d) 希釈倍率
e) 試験項目(密度は浮ひょう法又は毛細管共栓ピクノメータ法かの別も記載する。)
f)
試験結果
g) 試験における特記すべき事項
h) 試験担当者
参考文献 JIS K 5601-1-2 塗料成分試験方法−第1部:通則−第2節:加熱残分
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附属書A
(参考)
試験用フロアーポリッシュの処方例
A.1 概要
試験用フロアーポリッシュの処方例を表A.1に示す。
表A.1−試験用フロアーポリッシュの処方例
番号
原料
質量分率 %
1
イオン交換水
39.48
2
ケーソンCG/ICP(1.5 %)
0.03
3
プライマルE-1531C(38 %)
2.73
4
サーフロンS-211(1 %)a)
1.42
5
ジエチレングリコールモノエチルエーテル
7.75
6
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル
0.51
7
トリブトキシエチルフォスフェート
1.81
8
プライマルJP-308(39 %)
39.10
9
ハイテックE-4000(40 %)
7.15
10
FSアンチフォーム 013A(56 %)
0.02
合計
100.00
注記1 この処方例によって処方した試験用フロアーポリッシュは,日本フロアーポリッシュ工業会から
買い求めることができる。
注記2 番号2,番号3及び番号8の原料は,商標名であり,ダウ・ケミカル日本株式会社から,番号4
の原料は,商標名であり,AGCセイミケミカル株式会社から,番号9の原料は,東邦化学工業株
式会社から,番号10の原料は,東レ・ダウコーニング株式会社からそれぞれ入手することがで
きる。これらの情報は,この規格の利用者の便宜を図って記載するもので,この製品を推奨する
ものではない。同じ結果が得られる場合は,これと同等の他のものを使用してもよい。
注a) サーフロンS-211(50 %)をあらかじめ有効成分濃度1 %に調製したもの。
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附属書B
(参考)
試験用人工汚こうの処方例
B.1
概要
試験用人工汚こうの処方例を表B.1に示す。
表B.1−試験用人工汚こうの処方例
番号
原料
質量分率 %
1
JIS L 1021-18に規定する標準汚れ物質
50.00
2
カーボンブラックMA-100
2.00
3
スーパーオイルM10
10.00
4
エクソールD-40
38.00
合計
100.00
試験用人工汚こうの粘度が高くて塗布しにくい場合は,原料4を適宜増量して使用してもよい。
注記 番号2の原料は,三菱ケミカル株式会社から,番号3の原料及び番号4の原料はJXTGエ
ネルギー株式会社からそれぞれ入手することができる。これらの情報は,この規格の利用
者の便宜を図って記載するもので,この製品を推奨するものではない。同じ結果が得られ
る場合は,これと同等の他のものを使用してもよい。
なお,番号1〜番号4の原料は,日本フロアーポリッシュ工業会から買い求めることも
できる。