2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K3901-1992
くつクリーム
Shoe polish
1. 適用範囲 この規格は,天然の皮を なめした つやのある革を甲用材料とした一般歩行用の革ぐつに
用いる くつクリーム(以下,くつクリームという。)について規定する。
備考1. 別名,くつ墨という。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没)
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 5400 塗料一般試験方法
JIS K 6551 くつ用革
JIS K 8937 リグロイン(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8102 物体色の色名
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
JIS Z 8741 鏡面光沢度測定方法
JIS Z 8802 pH測定方法
2. 種類及び性状 くつクリームの種類及び性状は,表1のとおりとする。
表1 種類及び性状
種類
性状
成分など
油性
−
ワックスと有機溶剤を主成分としたもの。
乳化性
ペースト状
ワックスと有機溶剤の混合物を水と乳化しペースト状としたもので,
容器を横に傾けたとき容易に中身が流出しないもの。
液状
ワックスと有機溶剤の混合物を水と乳化し液状としたもので,容器を
横に傾けたとき直ちに中身が流出するもの。
3. 品質 くつクリームの品質は,4.によって試験したとき,表2のとおりとする。
2
K3901-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2 品質
項目
種類及び性状
油性
乳化性
ペースト状
液状
安
定
性
高温安定性
±
h
2
2
38
℃
容器を横に傾けたとき中
身が流出しないこと。
容器を横に傾けたとき中
身が流出しないこと。
流動性を失わないこと。
低温安定性
±h
2
2
5
℃
容器を横に傾けたとき中
身が流出しないこと。
容器を横に傾けたとき中
身が流出しないこと。さら
に,指先で触れてみて著し
く堅くなく,容易に採取で
きること。
流動性を失わないこと。
光沢増加度
10.0以上
6.0以上
10.0以上
pH値
4.0以上10.0未満
4.0以上10.0未満
4.0以上10.0未満
不揮発分 %
20以上
15以上
5以上
不揮発分の溶け始
めの温度 ℃
60以上
50以上
50以上
4. 試験方法
4.1
一般事項 試験において共通する一般事項は,JIS K 0050による。
4.2
試料採取方法 試料の採取方法は,JIS K 5400の2.(3)(採取個数)による。
4.3
試験場所の標準状態 試験場所の標準状態は,JIS Z 8703に規定する常温 (20±15℃) ,常湿 [(65
±20) %] とする。
4.4
安定性
4.4.1
要旨 試料を容器ごと高温及び低温中で保持した後,中身の状態を調べる。
4.4.2
装置 恒温槽 温度を38±2℃及び5±2℃に保つことができるもの。
4.4.3
操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 高温安定性 試料の製品容器を,ふたをしたまま38±2℃に保った恒温槽に入れ,2時間後に取り出し
て直ちに中身の状態を調べる。
(2) 低温安定性 試料の製品容器を,ふたをしたまま5±2℃に保った恒温槽に入れ,2時間後に取り出し
て直ちに中身の状態を調べる。
4.5
光沢増加度
4.5.1
要旨 牛革(甲革)の試料塗布前と試料塗布後の光沢度を光沢度計を用い測定し,その光沢度の差
から求める。
4.5.2
装置及び材料 装置及び材料は,次のとおりとする。
(1) 光沢度計 JIS Z 8741に規定する装置で45°鏡面光沢度を測定できるもの。
(2) 試験片 JIS K 6551に規定する牛革(甲革)でつやのあるものを用い,寸法は約60×120mmとし,
リグロイン処理後の鏡面光沢度は7.0±3.0の範囲に入るものを使用する。
(3) ガーゼ 日本薬局方に規定するタイプI又はII。
(4) リグロイン JIS K 8937に規定するもの。
4.5.3
操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 試験片の表面をリグロインを含ませたガーゼでふき,乾燥した後,光沢度計を用い,中央部分の異な
る4か所の光沢度を測定し,平均値を求める。
3
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(2) (1)の試験片に試料約0.1gを均一に塗布して5分間放置する。
(3) (2)の試験片の表面をガーゼを用い,20秒間軽くこすりつやを出す。この面を再び光沢度計を用いて(1)
と同じ4か所を測定し,試料塗布後の光沢度平均値を求める。
4.5.4
計算 光沢度増加度は,次の式によって算出する。
⊿G=GB−GA
ここに, ⊿G: 光沢度増加度
GA: 試料塗布前のリグロイン処理後の光沢度平均値
GB: 試料塗布後の光沢度平均値
4.6
pH値
4.6.1
要旨 試料に水を加え,加熱して溶かし,放冷後ろ過して得られた ろ液について,pH計を用いて
pH値を求める。
4.6.2
装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(1) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II,又はこれと同等以上のもの。
(2) ビーカー JIS R 3503に規定するもの。
(3) ろ紙 JIS P 3801に規定する5種A。
4.6.3
操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 試料約5gをビーカーに量り取り,水100mlをかき混ぜながら加える。
(2) ワックスが完全に溶融状態を保つように10分間かき混ぜながら加熱し,25℃まで放冷した後,ろ紙を
用いてろ過する。
(3) 得られた水溶液のpH値をJIS Z 8802の7.2(測定方法)によって測定し,2回の平均値をpH値とす
る。
4.7
不揮発分
4.7.1
要旨 試料を乾燥器で乾燥し,その前後の質量差から不揮発分を求める。
4.7.2
装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(1) 平形はかり瓶 60×30mm
(2) 乾燥器 温度110±2℃に保つことができるもの。
(3) デシケーター シリカゲルなどの乾燥剤を入れたもの。
4.7.3
操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 試料3〜5gを質量既知の平形はかり瓶2個に手早くふたをして,それぞれ10mgのけたまで量り取る。
(2) ふたを取り,110±2℃の乾燥器に入れ,4時間乾燥する。
(3) 乾燥器から取り出し,デシケーター中で1時間放冷した後,ふたをしてその質量を10mgのけたまで
量る。
4.7.4
計算 不揮発分は,次の式によって算出し,2回の平均値を不揮発分とする。
100
×
WA
WB
R=
ここに,
R: 不揮発分 (%)
WA: 試料の質量 (g)
WB: 乾燥後の試料の質量 (g)
4.8
不揮発分の溶け始める温度
4
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4.8.1
要旨 試料を入れた細管を水中に浸し加熱したとき,試料が溶け始めて細管中で試料が浮上すると
きの温度を測定し,不揮発分の溶け始める温度として求める。
4.8.2
装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(1) 温度計 JIS B 7411に規定する100度温度計又はこれと同等のもので,校正をしたもの。
(2) ビーカー 100ml及び1l
(3) 細管 内径1mm,外径2mm以下及ぴ長さ50〜80mmで両端が開いているもの。
4.8.3
操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 4.7.3で得た不揮発分をビーカー100mlに移し取り,注意しながらできるだけ低温で融解する。
(2) 融解した試料を細管中に吸い上げ,約10mmの高さとする。
(3) 細管から試料が流出しないように保ち,10℃以下に24時間放置するか又は少なくとも1時間氷冷する。
(4) 細管中の試料の層の中央が温度計の水銀球の中央外側にくるように輪ゴムで取り付ける。
(5) これをビーカー1lに取った約800mlの水の中に浸し,温度計の下端を水面下約30mmの深さに置く。
(6) ビーカーの水をかき混ぜながら最初は1分間に2℃ずつ上昇するように加熱し,予想できる溶け始め
る温度より10℃低い温度に達したときは1分間に0.5℃上昇するよう加熱する。
(7) 試料が細管中で上昇し始める温度を読み取り,不揮発分の溶け始める温度とする。ただし,この場合
2回の平均値とする。
4.9
試験結果の数値の表し方 4.5〜4.8の試験結果は,規定の数値より1けた下の位まで求め,JIS Z 8401
によって丸める。
5. 検査 4.によって試験し,表2の規定に適合しなければならない。
6. 容器 容器は,くつクリームの乾燥を防止することのできるものを用いる。
7. 表示 容器ごとに,次の事項を表示しなければならない。ただし,極めて小さい容器で表示が困難な
場合は,(1),(2)及び(4)については最小包装単位でもよい。
表示は,容器のふた,キャップなどの見やすい箇所に印刷又は証紙によって表示する。色名は,JIS Z 8102
に従って表示する。ただし,JIS Z 8102で規定していない色名のものについてはこの限りでない。
(1) 種類及び性状
(2) 製造業者名又はその略号
(3) 製造番号又はロット番号
(4) 正味質量又は正味容量
(5) 色名(色名の色及び色名を示す文字)
参考 “くつ墨”については,家庭用品品質表示法で表示が規制されている。
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
化学製品部会 せっけん・洗剤・油脂専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
楢 崎 英 男
新技術開発事業団
橋 本 哲太郎
社団法人日本油化学協会
中 島 邦 推
通商産業省基礎産業局
細 川 幹 夫
工業技術院標準部
石 毛 和 之
通商産業省通商産業検査所
浅 原 照 三
東京大学名誉教授
丹 野 博 実
財団法人化学品検査協会
天 野 立 爾
国民生活センター
松 岡 万里野
財団法人日本消費者協会
吉 岡 初 子
主婦連合会
馬 替 泰
日本石油洗剤株式会社
八 木 祐四郎
社団法人全国ビルメンテナンス協会
廣 江 利
東都製靴工業協同組合
樽 谷 忠 則
株式会社リンレイ
齊 藤 友 尚
ユシロ化学株式会社
坂 平 和 博
コニシ株式会社
若 杉 若次郎
株式会社コロンブス
品 川 次 郎
株式会社品川油化研究所
谷 口 嘉 清
株式会社谷口化学工業所
(事務局)
高 橋 潔
工業技術院標準部繊維化学規格課
平 塚 智 章
工業技術院標準部繊維化学規格課
JIS K 3901 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
橋 本 哲太郎
千葉工業大学
寺 西 大三郎
通商産業省基礎産業局化学製品課
細 川 幹 夫
工業技術院繊維化学規格課
須 藤 和 義
通商産業省通商産業検査所
若 杉 若次郎
株式会社コロンブス
伊 藤 政 夫
サンエッチ株式会社
品 川 次 郎
株式会社品川油化研究所
栗 原 正 平
株式会社ジュエル
谷 口 嘉 郎
株式会社谷口化学工業所
青 木 茂 治
株式会社ライカ
河 野 嘉 徳
日新理化産業株式会社
谷 中 俊 憲
日本靴塗料工業会
(事務局)
阪 本 公 昭
通商産業省通商産業検査所
吉 田 敏 昭
通商産業省通商産業検査所