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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 3837-1995 

酢酸セルロース膜自動電気泳動装置 

Celluiose acetate membrane automated 

electrophoresis systems 

1. 適用範囲 この規格は,血清などに含まれるたん白質の分画比,A/G比などを酢酸セルロース膜(以

下,セア膜という。)を支持体とする電気泳動で複数試料を同時に測定するための自動装置(以下,装置と

いう。)について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS C 1302 絶縁抵抗計 

JIS K 3600 バイオテクノロジー用語 

JIS K 3610 生体工学用語(生体化学部門) 

JIS X 5101 データ回線終端装置とデータ端末装置とのインタフェース(25ピンインタフェース) 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 3600及びJIS K 3610によるほか,次のとお

りとする。 

(1) セア膜 酢酸セルロース膜を主原料とする多孔性フィルム。 

(2) 分画比 電気泳動図の総面積に対する各成分ピーク面積の百分比。 

(3) AG比 電気泳動図のアルブミンピーク面積とグロブリンピーク総面積の比。 

3. 定格電圧及び定格周波数 装置の定格電圧は,単相交流100V,定格周波数は,50Hz,60Hz又は50Hz

−60Hz共用とする。 

4. 性能 装置は,次の性能を満足しなければならない。 

(1) 繰返し性 6.4(1)の試験方法で試験を行ったとき,アルブミン分画の分画比の変動係数が2.0%以下で

なければならない。 

(2) 耐電圧 6.4(2)の試験方法で試験を行ったとき,異常を生じないこと。 

(3) 絶縁抵抗 6.4(3)の試験方法で試験を行ったとき,5MΩ以上となること。 

(4) 漏れ電流 6.4(4)の試験方法で試験を行ったとき,1mA以下となること。 

(5) 保護接地回路の抵抗 6.4(5)の試験方法で試験を行ったとき,0.1Ω以下であること。 

5. 構造及び構成 

5.1 

構造一般 装置の構造は,次のとおりとする。 

(1) 形状が正しく,組立及び各部の仕上がりが良好で,堅ろうであること。 

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K 3837-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 通常の運転状態で危険の生じるおそれがなく,安全で円滑に作動すること。 

(3) 各部は,容易に機械的・電気的故障を起こさず,危険を生じない構造であること。 

(4) 結露などによって装置の作動に支障を生じない構造であること。 

(5) 光源,ヒータなどの発熱部に接する部分は,熱による変形,及び機能の低下を起こさない構造である

こと。 

(6) 保守点検の際,作業しやすく,危険のない構造であること。 

5.2 

構成 装置は,図1に示す試料塗布部,電気泳動部,電源部,染色処理部,検出測光部,記録部な

どで構成する。 

図1 装置構成の一例 

(1) 試料塗布部 セア膜を供給し湿潤する部分と,複数の試料をセア膜に塗布する部分で構成する。 

(2) 電気泳動部 試料を塗布したセア膜に,定電流又は定電圧で通電し,たん白質成分を電気泳動によっ

て分離する部分で構成する。 

(3) 電源部 泳動電源,各部の駆動電源で構成する。 

(4) 染色処理部 通電の終了したセア膜上のたん白質を,染色又は染色・乾燥する部分で構成する。 

(5) 検出測光部 検出測光部は,泳動像を検出し,光源部からのスリット状の光束で泳動像を走査し,受

光部で得られた単色光の信号を処理して,電気泳動図,各分画比,A/G比などのデータを算出する。 

また,泳動像シートは,再測光できること。 

(6) 記録部 電気泳動図,各分画比,A/G比などを記録する。 

(7) 操作部 装置の各種操作を行う。 

(8) 外部入出力部 JIS X 5101などによるオンライン操作が可能なこと。 

6. 性能試験 

6.1 

試薬 試験に用いる試薬は,次のとおりとする。 

(1) 緩衝液 イオン強度0.05〜0.07,pH8.6のバルビタール緩衝液とする。 

(2) 染色液 色素ポンソー3R(カラーインデックスC.I.16155)又はポンソーS (C.I.27195) を,5〜6%のト

リクロロ酢酸水溶液100mlに,0.4〜0.8gを溶かしたもの。 

(3) 脱色液 1〜3%の酢酸水溶液とする。 

K 3837-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(4) 透明化液 デカヒドロナフタレンを用いる。ただし,測光時,透明化を行わない場合は不要である。 

6.2 

セア膜 試験に用いるセア膜は,次のとおりとする。 

(1) 品質 

(a) 厚さ 100〜180μmで製造業者の設定した厚さに対し,±25μmとする。 

(b) 吸水時間 10秒間以内とする。 

(c) 吸水伸び率 M(マシン方向)1.7%以内,W(幅方向)1.2%以内とする。 

(2) 試験方法 

(a) 厚さ マイクロメータを用いて測定する。 

(b) 吸水時間 直径50mmφの円形セア膜を,蒸留水の水面に一気に浮かせ,均一に半透明化するまでの

時間をストップウオッチを用いて測定する。 

(c) 吸水伸び率 セア膜を23±3℃,(65±5) %(相対湿度)に1時間放置後,長さ方向220mm,幅方向

60mmに裁断し,最小目盛0.5mmのスチール製ものさしで長さ (L0) を測定する。 

次に,水温23±3℃の蒸留水に静かに浮かせ,全面を吸水させ3分間以上放置後,長さ (L1) を測

定し,次の式によって吸水伸び率 (ε) を算出する。 

100

0

0

1

×

=

L

L

L

ε

ここに, 

ε: 吸水伸び率 (%) 

L0: 吸水前の幅方向の長さ (mm) 

L1: 吸水後の幅方向の長さ (mm) 

幅方向2か所を測定し,n=2の平均で表示する。 

6.3 

試験条件 試験条件は,次のとおりとする。 

(1) 周囲温度 20℃以上30℃以下 

(2) 相対湿度 85%以下 

(3) 電源電圧 定格電圧 

(4) 電源周波数 定格周波数 

6.4 

試験方法 試験方法は,次のとおりとする。 

(1) 繰返し性 取扱説明書に記載された方法によって,新しく調製した6.1試薬と6.2セア膜を用いて同一

正常ひと血清[たん白質分画精度管理ひと血清(正常)でもよい。]の並行分析を行い,分画比又は

A/G比を求め,次の式によって平均値 (m),標準偏差 (σ) 及び変動係数 (C.V.) を算出する。 

=

=

1

1

1

X

N

m

N

i

(

)

2

1

2

1

=

=

m

Xi

N

i

σ

100

.

.

×

=m

V

C

σ

ここに, Xi: 第i列の泳動像から求めた分画比又はA/G比 
 

N: 同時並列分析可能な最大試料数 

K 3837-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 耐電圧 装置の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間に定格周波数の交流

1 000Vを1分間加えた後,装置が正常に動作すること。 

(3) 絶縁抵抗 装置の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間の絶縁抵抗をJIS C 

1302に規定する直流500V絶縁抵抗計で測定する。 

(4) 漏れ電流 装置の電気回路を閉の状態で,本体シャーシ端子と大地接地間に電圧計と1kΩ抵抗を並列

に接続して測定する。 

(5) 保護接地回路の抵抗 接触可能導電性部分と電源導入口の端子間に20Aの電流を流したときの抵抗を

測定する。 

7. 表示 装置には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を記載しなければならない。 

(1) 名称及び製造業者が定めた装置の形名又は形式 

(2) 電源の種別及び容量 

(3) 製造業者名又はその略号 

(4) 製造年月又はその略号若しくは製造番号 

8. 取扱説明書 取扱説明書には,次の事項を記載しなければならない。 

(1) 使用方法に関する事項 

(a) 設置場所の選択及び使用周辺温度範囲(製造業者が保証する周辺温度範囲) 

(b) 装置の構造,配線及び配管の概略 

(2) 測定に関する事項 

(a) 測定の準備 

(b) 測定方法 

(c) 測定停止時の処理 

(3) 保守に関する事項 

(a) 試料塗布部,電気泳動槽,染色部,測光部などの清掃及び保守 

(b) 試薬,ランプなどの交換の頻度 

(c) 試薬,ランプなどの交換方法 

(4) 使用上の注意事項 

(a) 日常点検の方法 

(b) 定期点検の方法 

K 3837-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

電気泳動装置JIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

奥 山 典 生 

東京都立大学 

(分科会長) 

島 尾 和 男 

財団法人基礎腫瘍学研究会付属腫瘤研究所 

真 鍋   敬 

姫路工業大学 

本 田   進 

近畿大学 

坂 東 一 彦 

通商産業省機械情報産業局 

地 崎   修 

工業技術院標準部 

坂 岸 良 克 

埼玉大学 

丹 下 順 弘 

武田薬品工業株式会社 

玉 沖 英 恒 

三共株式会社 

柴 谷 武 爾 

田辺製薬株式会社 

村 上 梅 司 

鐘紡株式会社 

日 高 秀 昌 

明治製菓株式会社 

加 藤 和 男 

日本ケミカルリサーチ株式会社 

藤 井 忠 代 

東洋醸造株式会社 

横 尾 義 春 

協和発酵工業株式会社 

須 藤 哲 司 

第一化学薬品株式会社 

岸 井 松 司 

和光純薬工業株式会社 

○ 鈴 木 秀 夫 

オリンパス光学工業株式会社 

八 木 孝 夫 

株式会社島津製作所 

○ 豊 田   隆 

株式会社常光 

重 倉 友 三 

日本バイオラッドラボラトリー株式会社 

河 崎 忠 好 

ファルマシヤ株式会社 

○ 西 村 泰 一 

富士写真フィルム株式会社 

伊 藤 迪 男 

日立計測エンジニアリング株式会社 

○ 千 田 正 昭 

日本分光工業株式会社 

田 中   博 

アブライドバイオシステムジャパン株式会社 

入 江   勉 

株式会社アトー 

○ 瓜 生 敬 志 

ザルトリウス株式会社 

○ 雨 宮 正 剛 

コスモ株式会社 

(事務局) 

柴 田   雄 

財団法人日本規格協会 

備考 ○印は,分科会委員を示す。