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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K3835-1990 

精密ろ過膜エレメント及びモジュールの 

細菌捕捉性能試験方法 

Testing methods for determining bacterial retention of membrane filters 

1. 適用範囲 この規格は,試験菌としてシュードモナスデミニュータ (Pseudomonas diminuta) を用いて,

空気又は液体ろ過用精密ろ過膜のフィルタディスク,フィルタカートリッジ及びディスポーザブルフィル

タの細菌捕捉性能を試験する方法について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,付表1に示す。 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

規格値である。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 3802によるほか,次のとおりとする。 

(1) 細菌捕捉性能 精密ろ過膜エレメント及びモジュールの評価に用い,次の式で定義する値。 

B

A

M

10

log

=

ここに, 

M: 細菌捕捉性能(1)(無次元) 

A: 精密ろ過膜に負荷した試験菌の総数。 

B: 試験用分析フィルタに捕捉された試験菌の数。 

注(1) 対数減少値又はLRV (Log Reduction Value) とも表現される。 

(2) フィルタディスク シート状のフィルタエレメント。 

(3) フィルタカートリッジ プリーツ状,円筒状などのフィルタエレメント。 

(4) ディスポーザブルフィルタ 使い捨てになっているフィルタアセンブリ。 

(5) フィルタアセンブリ ハウジング又はホルダにフィルタエレメントが組み込まれたもの。 

(6) ホルダ フィルタディスクを使用するための容器。 

3. 試験菌,試薬及び培地 

3.1 

試験菌 試験菌は,シュードモナスデミニュータATCC 19146又はIFO 14213とする。 

3.2 

試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(1) 水 JIS K 0101の2.(9)(水)に規定する蒸留水若しくはイオン交換水又はそれと同等以上の水。 

(2) 塩化ナトリウム JIS K 8150に規定するもの。 

3.3 

培地 培地は,次のとおりとする。 

(1) 加塩乳糖ブイヨン培地 三角フラスコ2 000mlに水970mlを入れ,塩化ナトリウム7.6gを加えて溶か

す。別に,ラクトースブロスの粉末又はか(顆)粒1.3gを水100mlに溶かしたものから30mlをとり,

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この三角フラスコに入れ,pHを6.9±0.1に調整し,121℃で約20分間高圧蒸気滅菌する。 

(2) 標準寒天培地 肉エキス5.0g,ペプトン10.0g,ぶどう糖1.0g及び寒天15〜18gを水1 000mlに溶か

し,滅菌後のpHが7.0〜7.2となるように調整(2)し,121℃で約20分間高圧蒸気滅菌する。 

注(2) 既製の乾燥粉末培地を用いて調製してもよい。 

(3) ラクトースブロス (Lactose Broth) ペプトン5.0g,肉エキス3.0g及び乳糖5.0gを水1 000mlに加え,

pHを6.9±0.2に調整(2)する。 

4. 器具 器具は,次のとおりとする。 

(1) 分析用精密ろ過膜 直径142mm,孔径0.45μm以下のもの。 

(2) ペトリ皿 (3)直径約50mm及び約150mmのガラス製のもの。 

注(3) ペトリ皿は,乾熱滅菌器を用い170℃で3時間乾熱滅菌をしておく。市販のプラスチックス製滅

菌シャーレを用いてもよい。 

(3) 三角フラスコ JIS R 3503に規定するもの。 

(4) 乾熱滅菌器 150〜200℃に調節できるもの。 

(5) 高圧蒸気滅菌器 121℃以上に加熱でき,210kPa {2.1kgf/cm2} 以上の器内絶対圧力で使用できるもの。 

(6) ふ卵器 30±2℃に調節ができるもの。 

(7) クリーンベンチ JIS B 9922に規定するもの。 

(8) 圧力容器 容積12l以上のステンレス鋼製の容器で,0〜350kPa {0〜3.5kgf/cm2} の圧力計を備えたも

の。 

(9) 142mmフィルタホルダ ステンレス鋼製のもの。 

(10) ハウジング ステンレス鋼製のもの。 

(11) フィルタアセンブリ 精密ろ過膜エレメント又はモジュールを組み込んだホルダ又はハウジング。 

(12) マニホールド 121℃の高圧蒸気滅菌に耐える分岐管。 

(13) 圧力計 測定圧力範囲が0〜400kPa {0〜4kgf/cm2} のダイアフラム式圧力計,又はそれと同等以上の

性能をもつもの。 

(14) 温度計 JIS B 7411に規定する温度計,半導体センサー方式によるデジタル温度計,又はその他の方

式による温度計をあらかじめ標準温度計で校正したもの。 

(15) 流量計 JIS B 7551に規定する流量計のうち,最小目盛が測定する流量の5〜10%で,最大測定流量が

測定する流量の1.5〜2倍程度の流量計又はそれと同等以上の性能をもつもの。 

5. 試験装置の構成及び構成部品 試験装置は,圧力調整器,耐圧貯蔵容器,流量計,試験フィルタアセ

ンブリ,対照分析フィルタアセンブリ,試験用分析フィルタアセンブリなどで構成し,構成部品は,次に

よる。構成例を図1に示す。 

備考 弁4は2方向弁で,必要に応じて設置し,試験フィルタの浸せき液などを排出するときに用い

る。 

(1) 試験フィルタアセンブリ 試験をするフィルタディスク,フィルタカートリッジ及びディスポーザブ

ルフィルタ(以下,試験フィルタという。)並びにそれを組み込んだホルダ又はハウジング。 

(2) 対照用分析フィルタアセンブリ 対照試験のための直径142mmのフィルタディスクを組み込んだ

142mmフィルタホルダ。 

(3) 試験用分析フィルタアセンブリ 試験フィルタの試験のための直径142mmのフィルタディスク及び

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フィルタディスクを組み込んだ142mmホルダ。 

図1 試験フィルタの細菌捕捉性能試験装置 

6. 準備 

6.1 

試験菌の同定 試験菌の同定は,附属書1による。 

6.2 

試験菌液の準備 試験菌液は,滅菌した加塩乳糖ブイヨン培地又は0.9%食塩水にあらかじめ作製し

ておいた保存用試験菌液を加えて調製する(4)。試験用保存菌液の調製方法は,附属書2による。 

注(4) 試験菌液の濃度は,特定しないが,試験を行ったときに,ろ過膜に,有効ろ過面積1cm2当たり

107以上負荷されるようにする。 

6.3 

試験装置の準備 試験装置の準備は,次のとおりとする。 

(1) 試験フィルタアセンブリの準備 

(a) 試験フィルタホルダ又はハウジングに取り付け(5),ホルダ又はハウジングの入口及び出口を高圧蒸

気滅菌用紙で包み,取扱説明書に従い高圧蒸気滅菌(6)を行う。 

注(5) 試験フィルタがディスポーザブルフィルタのときは,ホルダ又はハウジングと取り替える。 

(6) インライン高圧蒸気滅菌を行ってもよい。 

備考 滅菌が行われているかどうかを生物学的インジケーター(7)又は熱電対(8)を用いて確認する。 

注(7) 通常,耐熱試験菌であるバチルスステアロサーモフィラス (Bacills stearothermophilus) が用いら

れる。 

(8) 滅菌する部分が所定温度になっていることを確認するためのもの。 

(b) JIS K 3832若しくはJIS K 3833又は取扱説明書に従って無菌的に完全性試験を行い,試験フィルタ

の破損などの欠陥がないことを確認する。 

(c) 組立てを行うまでクリーンベンチ内に置く。 

(2) 対照用分析フィルタアセンブリ及び試験用分析フィルタアセンブリの準備 

(a) 対照用分析フィルタアセンブリ及び試験用分析フィルタアセンブリに分析用精密ろ過膜を組み込む。 

(b) フィルタアセンブリの入口及び出口に高圧蒸気滅菌用チューブを取り付け,チューブの末端を高圧

蒸気滅菌用紙で包み,取扱説明書に従い高圧蒸気滅菌を行う。 

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(3) マニホールド及び接続ホースの滅菌 

(a) 弁を開いて接続したマニホールド及び接続ホースを高圧蒸気滅菌用紙に包み,高圧蒸気滅菌器に入

れて滅菌する。 

また,フィルタアセンブリを接続ホースを介してマニホールドに接続し,インラインで高圧蒸気

滅菌を行ってもよい。 

備考 滅菌が行われているかどうかを生物学的インジケーター(7)又は熱電対(8)を用いて確認する。 

(b) 組立てを行うまでクリーンベンチ内に置く。 

(4) 耐圧貯蔵容器及び試験フィルタアセンブリの上流側配管類 

耐圧貯蔵容器及び試験フィルタアセンブリ上流側配管類は,使用前によく洗浄し,消毒を行った後,

無菌水ですすぎ洗いをしておく。 

備考 耐圧貯蔵容器は,5%の次亜塩素酸ナトリウムの1 000分の1希釈液又は消毒用エタノールで消

毒した後,十分に水洗する。 

7. 細菌捕捉性能試験操作 本試験を実施する前に,図1の装置の配管の接続をクリーンベンチ内で無菌

的に行った後,次の対照試験を行う。 

7.1 

対照試験 対照用分析フィルタアセンブリを用い,次のとおり行う。 

(1) 耐圧貯蔵容器に滅菌した緩衝液又は塩化ナトリウム溶液 (0.9%) (以下,液という。)を入れる。 

(2) 弁1, 2及び3を閉じる。 

(3) 耐圧貯蔵容器内を210kPa {2.1kgf/cm2} に加圧する。 

(4) 弁1を徐々に開き,試験フィルタアセンブリに液を満たす。このとき,試験フィルタアセンブリの通

気弁を開いておき,試験フィルタアセンブリに液が満たされたなら,通気弁を閉じる。 

(5) 弁3を開き,弁1を調節して耐圧貯蔵容器内の液の全量を対照分析フィルタアセンブリでろ過する。 

(6) ろ過が終了した後,加圧を停止し,耐圧貯蔵容器内を大気圧に戻す。 

(7) 弁3と対照用分析フィルタアセンブリの間をクランプで締め,弁3とクランプの間でチューブを切断

し,対照用分析フィルタアセンブリをクリーンベンチに移す。 

(8) 対照用分析フィルタアセンブリの二次側から吸引して対照用分析フィルタアセンブリの全液を除き分

析用精密ろ過膜を取り出し,標準寒天培地の入ったペトリ皿に入れ,30±2℃で培養し,72時間及び7

日後のコロニー数を計数する(9)。 

注(9) この分析用精密ろ過膜の培養は,本試験の分析用精密ろ過膜の培養と同時に行う。この対照試

験では,いかなる細菌も検出されてはならない。細菌が検出された場合には,試験フィルタの

細菌捕捉性能試験全体を無効とする。 

7.2 

本試験 図1の装置で試験フィルタアセンブリを用い,次のとおり行う。この試験は,7.1の対照試

験実施後直ちに行う。 

(1) 試験菌液の必要量を耐圧貯蔵容器に入れる。 

(2) 試験菌液の生菌数を附属書3によって測定する。 

(3) 通気弁を開き,弁1を徐々に開いて,試験フィルタアセンブリに試験菌液を満たし,液が満たされた

ら,通気弁を閉じる(10)。 

注(10) 排気は,殺菌剤の入った液中に導く。 

(4) 弁1と弁2を調節して,試験フィルタの有効ろ過面積1cm2当たり (2-4) ×10-3l/minの流速又は最大

210kPa {2.1kgf/cm2} の差圧で試験用分析フィルタアセンブリに通液し,試験菌液の全量をろ過する。 

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(5) ろ過終了後,加圧を停止し,耐圧貯蔵容器内を大気圧に戻す。 

(6) 弁2を閉じ,弁2と試験用分析フィルタアセンブリの間の接続チューブをクランプで締め,クランプ

と弁2の間を切断し,試験用分析フィルタアセンブリをクリーンベンチに移す。 

(7) 試験用分析フィルタアセンブリの二次側から吸引してアセンブリの液を除き,分析用精密ろ過膜を取

り出し,標準寒天培地の入ったペトリ皿に入れ,30±2℃で培養し,48時間及び7日後のコロニー数

を計数する。 

また,コロニーが試験菌であるかを6.1により識別する(11)。 

注(11) 試験菌以外の細菌が存在していた場合には,この試験は無効とする。 

(8) 細菌捕捉性能試験終了後,JIS K 3832若しくはJIS K 3833又は取扱説明書に従って試験フィルタの完

全性試験を行う。 

8. 計算 次の式によって,細菌捕捉性能を算出する。 

B

A

M

10

log

=

ここに, M: 細菌捕捉性能(無次元) 
 

A: 精密ろ過膜に負荷した試験菌の総数。 

B: 試験用分析フィルタに捕捉された試験菌の数。 

備考 試験菌の数が0の場合は,Bに1を用いて,

B

A

M

10

log

と表示できる。 

9. 試験の報告事項 試験の報告事項は,次のとおりとする。 

(1) 試験フィルタ 

(a) 製造業者名 

(b) フィルタの形状又は製品名 

(c) 製品番号 

(d) 製造番号(ロット番号) 

(e) 表示孔径 

(f) 有効ろ過面積 

(2) 試験条件 

(a) 試験圧力(入口,出口) 

(b) 試験用懸濁液の温度 

(c) 流量 

(d) 試験日時 

(e) 試験者名 

(3) 試験菌液中の菌数 

(4) ろ液中の菌数 

(a) 対照試験の結果,分析用精密ろ過膜にコロニーが観察された場合は,コロニー数。 

(b) 本試験の結果,分析用精密ろ過膜にコロニーが観察された場合は,コロニー数(シュードモナスデ

ミニュータのコロニー数とその他のコロニー数別)。 

(5) 試験フィルタの完全性 

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(a) 試験条件 

(b) 試験結果(合否の判定を含む。) 

(6) 試験フィルタの細菌捕捉性能 

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附属書1 試験菌の同定方法 

1. 適用範囲 この附属書は,この規格で用いられる試験菌の同定方法について規定する。 

2. 器具 器具は,次のとおりとする。 

(1) 顕微鏡 JIS B 7132に規定するもの。 

(2) 接眼マイクロメータ 

(3) 対物マイクロメータ 

3. 同定 試験菌の同定は,次の方法によって行う。 

(1) コロニーの形態 コロニーの形態が,次のとおりであることを確認する。 

(a) コロニーは,黄色みを帯びた灰褐色で,わずかに膨らみ,つやのある円い形状をしている。 

(b) コロニーは,30℃で,24時間後では,肉眼での観察は困難な大きさであるが,36〜48時間後には直

径1〜2mmになる。 

(2) 観察 顕微鏡観察によって,次の確認をする。 

(2.1) グラム染色による観察 

(a) グラム染色を行う。 

(b) 校正した接眼マイクロメータ及び分解能の高い油浸対物レンズを備えた光学顕微鏡を用いて標本を

観察する。 

幾つかの視野を操作し,菌を観察して,菌の大きさ,菌の分散状態を調べる。 

(c) 染色標本はグラム陰性で,約 (0.3〜0.4) × (0.6〜1.0) μmのかん菌で,主に単独の細胞として存在

していることを確認する。 

(2.2) べん(鞭)毛染色による観察 

(a) べん毛染色を行う。 

(b) 校正した接眼マイクロメータ及び分解能の高い油浸対物レンズを備えた光学顕微鏡を用いて標本を

観察する。 

幾つかの視野を操作して,菌を観察する。 

(c) 一本の極べん毛をもっていることを確認する。 

4. 生化学的特徴 生化学的試験の結果が附属書1表1のとおりであることを確認する。 

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附属書1表1 生化学試験の結果 

生化学試験の項目 

試験の結

果 

芽胞形成 

− 

グルコース酸化発酵培地(開放) 

− 

グルコース酸化発酵培地(密閉) 

− 

3%エタノール酸化発酵培地(開放) 

+ 

3%エタノール酸化発酵培地(密閉) 

− 

インドール 

− 

メチルレッド 

− 

アセチルメチルカルビノール 

− 

ゼラチナーゼ 

− 

好気性 

+ 

カタラーゼ 

+ 

チトクローム(インドフェノール)オキシダーゼ 

+ 

マッコンキー寒天培地での発育 

+ 

硝酸塩還元 

+ 

デオキシリボヌクレアーゼ 

− 

セトミリド耐性 

− 

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附属書2 保存用試験菌液の調製方法 

1. 適用範囲 この附属書は,細菌捕捉性能試験における試験菌液の調製に用いられる試験用保存菌液の

調製方法について規定する。 

2. 培地 培地は,次のとおりとする。 

(1) ソイビーンカゼインダイジェスト寒天培地 ソイビーンカゼインダイジェスト寒天培地の取扱説明書

に従って調製する。 

(2) ソイビーンカゼインダイジェストブイヨン培地 ソイビーンカゼインダイジェストブイヨンの取扱

説明書に従って調製する。 

(3) 加塩乳糖ブイヨン培地 本体3.3(1)に同じ。 

3. 細菌捕捉性能における保存用試験菌株の調製方法 細菌捕捉性能における保存用試験菌株(以下,保

存菌株という。)の調製は,次のとおりとする。 

(1) 試験菌を平板塗抹法によって培養し,附属書1に規定した方法によって試験菌の同定を行う。 

(2) (1)で培養したコロニーをソイビーンカゼインダイジェスト寒天斜面培地(1)に植菌し,30±2℃で24時

間培養する。 

注(1) ソイビーンカゼインダイジェスト寒天の代わりに,ソイビーンカゼインダイジェスト半流動寒

天によるせん刺培養を用いてもよい。 

4. 保存用試験菌液の調製 保存用試験菌液の調製は,次のとおりとする。 

(1) 滅菌したソイビーンカゼインダイジェストブイヨン培地10mlに3.で調製した保存菌株を植菌し,30

±2℃で24時間培養する。 

(2) 加塩乳糖ブイヨン培地1 000mlに,(1)で培養した菌液2mlを入れてよくかくはんする。 

(3) (2)の菌液を30±2℃で24時間培養する(2)。 

注(2) 使用に先立ち4℃で8時間まで保存できる。 

(4) (3)で培養した菌液が試験菌の純粋培養液であることを確認する。 

(5) 附属書3によって(3)の保存懸濁液中の生菌数を測定する。 

(6) 附属書1によって試験菌であることを同定する。 

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附属書3 生菌数の測定方法 

1. 適用範囲 この附属書は,生菌数の測定方法について規定する。 

2. 器具 器具は,次のとおりとする。 

(1) クリーンベンチ JIS B 9922に規定するもの。 

(2) ピペット JIS R 3505に規定するもの。 

(3) メンブレンフィルタ 格子マーク付き,直径約50mm,孔径0.45μm以下のもの。 

(4) フィルタホルダ(1) (3)のメンブレンフィルタを装着できるファネル付き吸引形ろ過器。 

注(1) メンブレンフィルタを組み込んだフィルタホルダをフィルタホルダアセンブリと呼ぶ。 

(5) ペトリ皿 直径47mm,ガラス製又はプラスチックス製のもの。 

3. 試薬及び培地 試薬及び培地は,次のとおりとする。 

(1) ペプトン水 (0.1%) ペプトン1gを1lの水に溶かし,121℃で30分間高圧蒸気滅菌したもの。 

(2) 塩化ナトリウム溶液 (0.9%) 塩化ナトリウム9gを水1lに溶かしたもの。 

(3) 生菌数測定用寒天培地 ソイビーンカゼインダイジェスト寒天培地又は普通寒天培地をペトリ皿に流

したもの。 

(4) ソイビーンカゼインダイジェスト寒天 ソイビーンカゼインダイジェスト寒天の製造業者の取扱説明

書に従って調製する。 

4. 操作 

4.1 

試料の希釈 ペプトン水 (0.1%) を用いて,試料の10-3, 10-4, 10-5及び10-6倍の4段階の希釈を行う。 

4.2 

メンブレンフィルタを用いる方法 

(1) 4.1で調製した10-4, 10-5及び10-6倍の希釈液1mlをそれぞれピペットでとり,滅菌したフィルタホルダ

アセンブリでそれぞれのろ過を行う。この際フィルタホルダのファネル内にあらかじめ,滅菌した塩

化ナトリウム溶液 (0.9%) 50mlを入れておき,そこに希釈液1mlを入れる。 

(2) ろ過終了後,滅菌した塩化ナトリウム溶液 (0.9%) 50mlでファネル壁を洗い,そのままろ過をする。 

(3) メンブレンフィルタをファネルから取り出し,生菌数測定用寒天培地上に置き,30±2℃の温度で48

時間培養する。 

(4) コロニー数を数え(2),試料の生菌数を求める。 

注(2) コロニー数が,通常20〜200となる希釈液から生菌数を算出する。 

4.3 

平板塗抹法を用いる方法 

(1) ピペットを用いて4.1で調製した10-3, 10-4及び10-5倍の希釈液0.1mlを採取して,生菌数測定用寒天培

地に塗布し,30±2℃の温度で48時間培養する。 

(2) コロニー数を数え(3),試験用懸濁液中の生菌数を求める。 

注(3) コロニー数が,通常30〜300となる希釈液から生菌数を算出する。 

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付表1 引用規格 

JIS B 7132 液浸系レンズ用生物顕微鏡 

JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没) 

JIS B 7551 フロート形面積流量計 

JIS B 9922 クリーンベンチ 

JIS K 0101 工業用水試験方法 

JIS K 3802 膜用語 

JIS K 3832 精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法 

JIS K 3833 精密ろ過膜エレメント及びモジュールの拡散流量試験方法 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製化学用体積計 

12 

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純水製造用膜JISの原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

木 村 尚 史 

東京大学 

(分科会長) 

○ 大 矢 晴 彦 

横浜国立大学 

仲 川   勤 

明治大学 

○ 村 山 義 夫 

財団法人造水促進センター 

岩 崎 岩 次 

社団法人日本工業用水協会 

○ 落 田   実 

通商産業省立地公害局 

○ 阿 部 巳喜雄 

通商産業省基礎産業局 

○ 桜 井 俊 彦 

工業技術院標準部 

○ 神 沢 千代志 

工業技術院化学技術研究所 

安 宅 光 雄 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

山 田 純 男 

工業技術院製品科学研究所 

(MF幹事) 

○ 石 井 蔵之助 

日本ミリポアリミテッド 

○ 松 永 有志夫 

日本ポール株式会社 

○ 成 尾 匡 一 

富士写真フイルム株式会社 

○ 岸   敬 治 

東洋濾紙株式会社 

茶屋道   宏 

旭化成工業株式会社 

中 西 祥 晃 

ダイセル化学工業株式会社 

岩 堀   博 

日東電気工業株式会社 

(代 川崎睦男)  

高 柳 英 夫 

東レ株式会社 

(代 竹内 弘)  

野 中 章 行 

デュポン・ジャパンリミテッド 

水 野 陽 一 

東洋紡績株式会社 

秋 本   稔 

日本電気株式会社 

鈴 木 一 男 

株式会社日立製作所 

○ 藤 江 信 夫 

富士通株式会社 

足 立 一 雄 

三共株式会社 

○ 坂 下   隆 

武田薬品工業株式会社 

(代 田中文彦)  

綱 川 延 孝 

第一製薬株式会社 

石 倉   武 

株式会社東芝 

吉 原 誠 一 

三菱重工業株式会社 

太 田 嘉 治 

野村マイクロ・サイエンス株式会社 

佐 藤   武 

栗田工業株式会社 

○ 鳴 戸   智 

オルガノ株式会社 

(関係者) 

和 田 靖 也 

工業技術院標準部 

浦 野 四 郎 

工業技術院標準部 

飯 嶋 啓 子 

工業技術院標準部 

(事務局) 

柴 田   雄 

財団法人日本規格協会 

黒 木 勝 也 

財団法人日本規格協会 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

備考 ○印は,MF分科会委員。 

13 

K3835-1990 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

空気ろ過用膜JIS原案調査作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

◎ 仲 川   勤 

明治大学 

○ 西 村 正 人 

大阪市立工業研究所 

岡 林 哲 夫 

通商産業省基礎産業局 

和 田 靖 也 

工業技術院標準部 

秋 山   茂 

北里大学 

武 部 英 日 

明治製菓株式会社 

鈴 木   顕 

キリンビール株式会社 

広 瀬 幸 夫 

三菱油化株式会社 

松 永 有志夫 

日本ポール株式会社 

松 尾   繁 

富士写真フイルム株式会社 

高 橋 典 秋 

エイコーフィルター株式会社 

原   芳 明 

伊藤忠化工機販売株式会社 

(関係者) 

滝 嶋 匡 次 

工業技術院標準部 

飯 嶋 啓 子 

工業技術院標準部 

松 本 満 男 

通商産業省基礎産業局 

志 賀 一 之 

財団法人バイオインダストリー協会 

備考 ◎印は委員長,○印は分科会長。