2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 3834-1990
精密ろ過膜エレメント及びモジュールの
比抵抗回復特性試験方法
Testing methods for specific resistivity recovery
characteristic of water filtered by membranes
1. 適用範囲 この規格は,精密ろ過膜のフィルタディスク,フィルタカートリッジ及びディスポーザブ
ルフィルタの比抵抗回復特性を透過水の比抵抗を測定することによって,試験する方法について規定する。
備考1. この規格の引用規格を次に示す。
JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没)
JIS B 7546 隔膜式圧力計
JIS B 7551 フロート形面積流量計
JIS K 0552 超純粋の電気伝導率試験方法
JIS K 3802 膜用語
JIS Z 8710 温度測定方法通則
2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
規格値である。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 3802によるほか,次のとおりとする。
(1) フィルタディスク シート状のフィルタエレメント。
(2) フィルタカートリッジ プリーツ状,円筒状などのフィルタエレメント。
(3) ディスポーザブルフィルタ 使い捨てになっているフィルタアセンブリ。
(4) フィルタアセンブリ ハウジング又はホルダにフィルタエレメントが組み込まれたもの。
(5) ホルダ フィルタディスクを使用するための容器。
3. 試験の概要 精密ろ過膜エレメント及びモジュールの比抵抗回復特性試験方法は,精密ろ過膜エレメ
ント及びモジュールに超純水を通水して一次側及び二次側の比抵抗値がほぼ同一となるまでの時間を測定
することによって,精密ろ過膜エレメント及びモジュールの特性を試験する方法である。
4. 比抵抗回復特性試験装置 比抵抗回復特性試験装置(以下,装置という。)は,次のとおりとする。
備考 一次側と二次側の比抵抗値を,同一の比抵抗計を用いて測定するのが好ましい。
(1) 装置の構成及び部品 装置は,バルブ類,配管類,比抵抗計,流量計,記録計,圧力計などで構成し,
構成部品は,ステンレス鋼,プラスチックスなどのさびを発生しにくい材料を用いる。
また,装置は洗浄,清掃及び滅菌が容易で,配管内に液だまりを生じない構成であること。装置の
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構成例を図1に示す。
図1 装置の構成例
(2) バルブ類 ダイアフラム弁,ボール弁又は三方弁を用いる。
(3) 配管 モジュールの透過水側からの比抵抗計までの配管距離は,なるべく短く,かつ配管はデッドス
ペースを少なくする。
(4) 比抵抗計 示度の誤差が±0.4MΩ・cmのもので,温度補償付きのもの(1)。
注(1) JIS K 0552の5.1(1)(a)に規定する電気伝導率計を用いてもよい。
(5) 温度計 JIS B 7411に規定する細分目盛0.5℃の精度をもつもので,あらかじめJIS Z 8710によって,
校正したもの。
(6) 流量計 JIS B 7551に規定する流量計のうち,最小目盛が0.1m3/hのもので,最大測定流量が測定する
流量の1.5〜2倍程度の流量計又はそれと同等以上の性能をもつもの。
(7) 記録計 記録計は,7.の値を正確に読みとることができるもの。
参考 記録計は,ストリップチャート式ペン書き自動平衡記録計,打点式記録計又はデジタルプリン
ター式で,次の性能をもつものが望ましい。
① スパン電圧 200mV
② 応答速度 フルスケールの99%につき2秒以下
③ 記録紙送り速度 0.5mm/minを含む多段変速
④ 不感帯 フルスケールの0.15%
(8) 圧力計 JIS B 7546に規定する圧力計のうち最小目盛が10kPa {0.1kgf/cm2} ,最大目盛が試験時にお
ける圧力の2倍程度,精度等級が1.5級以上のもので,標準圧力計で校正したもの。
5. 供給水 供給水は,逆浸透ろ過・イオン交換を行った超純水で,比抵抗値が18.0MΩ・cm (25℃) 以上
のものを用いる。
6. 操作 操作は,次のとおりとする。一次側と二次側の比抵抗値を,別の比抵抗計を用いて測定する操
作については,附属書に示す。
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6.1
装置の運転準備 装置の運転準備は,次のとおりとする(図1参照)。
(1) 経路A及びBに供給水を通水し,経路Aを通る供給水とBを通る供給水の比抵抗を測定して,これ
が一致するまで装置を洗浄する。
(2) 試験をするフィルタディスク,フィルタカートリッジ及びディスポーザブルフィルタ(以下,試験フ
ィルタという。)をハウジング又はホルダに装着する(2)。
注(2) 試験フィルタがディスポーザブルフィルタのときは,ハウジング又はホルダと取り替える。
(3) 三方弁1及び2の切換えによって流路を経路Bとし,流量調節弁又は供給水供給源のポンプ吐出量の
調節によって徐々に通水し,ハウジング又はホルダ内の空気をハウジング又はホルダの排気弁を少し
開いて放出する。
6.2
測定操作 測定操作は,次のとおりとする。
(1) ハウジング又はホルダ内の空気を排除した後,ハウジング又はホルダの排気弁を閉じて一次側と二次
側の圧力差が10kPa {0.1kgf/cm2} 以上になるように流量調節弁又は供給水供給源のポンプ吐出量を調
節する。
(2) 所定の圧力差になったとき記録計を始動して,この時刻を測定開始時刻(t1)とし,流量計で流量を,温
度計で供給水の温度を読みとる。
(3) 三方弁1及び2の切換えによって供給水を経路Aに通水し,ハウジング又はホルダの一次側の供給水
の比抵抗値を測定する。
(4) 次に,三方弁1及び2の切換えによって供給水を経路Bに通水し,透過水の比抵抗値を測定する(3)。
注(3) 必要な場合は,(3)及び(4)の操作を繰り返し,供給水の比抵抗値の測定を行う。
(5) 測定終了点(t2)は,透過水と供給水の比抵抗値の差が0.5MΩ・cm (25℃) 以内になった時刻とする。
7. 比抵抗値の回復特性の算出 比抵抗回復特性は,記録紙から読み取ったt1及びt2から次の式によって
求める。
t=t2−t1
ここに,
t: 比抵抗回復特性 (min)
t1: 測定開始時刻 (min)
t2: 測定終了時刻 (min)
図2に比抵抗回復特性試験の記録の例を示す。
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図2 比抵抗回復特性試験の記録の例
8. 試験の報告事項 試験の報告事項は,次のとおりとする。
(1) 試験フィルタ
(a) 製造業者名
(b) フィルタの形状又は製品名
(c) 製品番号
(d) 製造番号(ロット番号)
(2) 試験条件
(a) 一次側の比抵抗値 (MΩ・cm) (25℃)
(b) 一次側と二次側の圧力差 (kPa)
(c) 透過水流量 (m3/h)
(d) 試験日時
(e) 試験者名
(3) 試験結果
(a) 比抵抗回復特性 (min)
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附属書 二つの比抵抗計を用いる場合の操作
1. 装置の運転準備 装置の運転準備は,次のとおりとする(附属書図1参照)。
(1) 装置に供給水を通水し,比抵抗計1及び2の測定値が一致するまで装置を洗浄する。
(2) 試験フィルタをハウジング又はホルダに装着する(1)。
注(1) 試験フィルタがディスポーザブルフィルタのときは,ハウジング又はホルダと取り替える。
(3) 弁1及び排気弁を開き,弁2を閉じ流量調節弁又は供給水供給源のポンプ吐出量の調節によって徐々
に通液し,ハウジング又はホルダ内の空気をハウジング又はホルダの排気弁を少し開いて放出する。
2. 測定操作 測定操作は,次のとおりとする。
(1) ハウジング又はホルダ内の空気を排除した後,ハウジング又はホルダの排気弁を閉じて一次側と二次
側の圧力差が10kPa {0.1kgf/cm2} 以上になるように流量調節弁又は供給水供給源のポンプ吐出量を調
節する。
(2) 所定の圧力差になったとき記録計2を始動して,透過水の比抵抗値の測定を開始する。この時刻を測
定開始時刻(t1)とし,流量計で流量を,温度計で供給水の温度を読みとる。
(3) 測定終了点(t2)は,透過水と供給水の比抵抗値の差が0.5MΩ・cm (25℃) 以内になった時刻とする。
附属書図1 一次側と二次側を別の比抵抗計で測定する装置の構成例
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解説表1 純水製造用膜JISの原案調査作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
木 村 尚 史
東京大学
(分科会長)
○ 大 矢 晴 彦
横浜国立大学
仲 川 勤
明治大学
○ 村 山 義 夫 財団法人造水促進センター
岩 崎 岩 次
社団法人日本工業用水協会
○ 落 田 実
通商産業省立地公害局
○ 阿 部 巳喜雄
通商産業省基礎産業局
○ 桜 井 俊 彦
工業技術院標準部
○ 神 沢 千代志
工業技術院化学技術研究所
安 宅 光 雄
工業技術院繊維高分子材料研究所
山 田 純 男
工業技術院製品化学研究所
(MF幹事)
○ 石 井 蔵之助
日本ミリポアリミテッド
○ 松 永 有志夫
日本ポール株式会社
○ 成 尾 匡 一
富士写真フイルム株式会社
○ 岸 敬 治
東洋濾紙株式会社
茶屋道 宏
旭化成工業株式会社
中 西 祥 晃
ダイセル化学工業株式会社
岩 堀 博
日東電気工業株式会社
(代 川崎睦男)
高 柳 英 夫
東レ株式会社
(代 竹内 弘)
野 中 章 行
デュポン・ジャパンリミテッド
水 野 陽 一
東洋紡績株式会社
秋 本 稔
日本電気株式会社
鈴 木 一 男
株式会社日立製作所
○ 藤 江 信 夫
富士通株式会社
足 立 一 雄
三共株式会社
○ 坂 下 隆
武田薬品工業株式会社
(代 田中文彦)
綱 川 延 孝
第一製薬株式会社
石 倉 武
株式会社東芝
吉 原 誠 一
三菱重工業株式会社
太 田 嘉 治
野村マイクロ・サイエンス株式会社
佐 藤 武
栗田工業株式会社
○ 鳴 戸 智
オルガノ株式会社
(関係者)
和 田 靖 也
工業技術院標準部
浦 野 四 郎
工業技術院標準部
飯 嶋 啓 子
工業技術院標準部
(事務局)
柴 田 雄
財団法人日本規格協会
黒 木 勝 也
財団法人日本規格協会
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
備考 ○印は,MF分科会委員。