2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 3833-1990
精密ろ過膜エレメント及び
モジュールの拡散流量試験方法
Testing methods for diffusive flow through membrane filters
1. 適用範囲 この規格は,液体及び気体のろ過に用いられる精密ろ過膜のフィルタディスク,フィルタ
カートリッジ及びディスポーザブルフィルタの細孔に満たされた液体中を拡散する気体流量の試験方法に
ついて規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 6803 溶断器用圧力調整器
JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没)
JIS B 7505 ブルドン管圧力計
JIS B 8241 継目なし鋼製高圧ガス容器
JIS B 8342 小形往復空気圧縮機
JIS B 8372 空気圧用減圧弁
JIS K 0101 工業用水試験方法
JIS K 1107 高純度窒素
JIS K 3802 膜用語
JIS K 8102 エタノール (95)[エチルアルコール (95)](試薬)
JIS K 8839 2-プロパノール(イソプロピルアルコール)(試薬)
2. この規格の中で { } を付けてある単位及び数値は,従来単位によるものであって,規格値
である。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 3802によるほか,次のとおりとする。
(1) フィルタディスク シート状のフィルタエレメント。
(2) フィルタカートリッジ プリーツ状,円筒状などのフィルタエレメント。
(3) ディスポーザブルフィルタ 使い捨てになっているフィルタアセンブリ。
(4) フィルタアセンブリ ハウジング又はホルダにフィルタエレメントが組み込まれたもの。
(5) ホルダ フィルタディスクを使用するための容器。
3. 装置 装置は,空気圧縮機又は窒素ボンベ,減圧弁,気体圧力調節器,圧力計,気体流量計,記録計,
ハウジング又はホルダ,バルブ類,管などで構成する。気体流量計を図1に示すようにハウジング又はホ
ルダの一次側に設置する場合と,図2に示すように二次側に設置する場合がある。
備考 装置組み立て後,部品及び機器の接続部から試験用ガスの漏れがないことを確認すること。
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K 3833-1990
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 気体流量計をハウジングの一次側に設置する場合の構成例
図2 気体流量計をハウジングの二次側に設置する場合の構成例
4. 器具 器具は,次のとおりとする。
(1) ハウジング ステンレス鋼製又はプラスチックス製のもの。
(2) 減圧弁 JIS B 8372に規定するもの。
(3) 弁 気密性のよいもの。
(4) 気体圧力調整器 JIS B 6803に規定するもの。
(5) 圧力計 JIS B 7505に規定するもので,精度等級は0.5級以上のもの。
(6) 精密圧力計 最小目盛が5.0kPa {0.05kgf/cm2} のもの。
(7) 排液弁 気密性のよいもの。
(8) 気体流量計 示度の誤差が±1ml/minの誤差で気体流量を測定できるもの。
(9) 配管 980kPa {10kgf/cm2} 以上の圧力に耐え,耐食性に優れ,粒子,溶出物などの流出が少ないもの。
(10) 窒素ガスボンベ JIS B 8241に規定する高圧ガス容器使用のもの。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(11) 空気圧縮機 JIS B 8342に規定するもの。
(12) 記録計(1) 試験用ガス拡散流量を記録できるもの。
注(1) 直接気体流量計から読みとってもよい。
(13) 温度計 JIS B 7411に規定する温度計,半導体センサー方式によるデジタル温度計又はその他の方式
による温度計をあらかじめ標準温度計で校正したもので,使用条件に耐えるもの。
5. 試験液 精密ろ過膜の種類によって,次のいずれかを試験液とする。試験時の液温は,20±5℃とする。
(1) 水 JIS K 0101の2.(9)(水)に規定する蒸留水若しくはイオン交換水又はこれらと同等以上の水。
(2) エタノール JIS K 8102に規定するもの。
(3) 2-プロパノール JIS K 8839に規定するもの。
(4) 60vol%2-プロパノール水溶液 (3)の2-プロパノールと(1)の水を容積比率6 : 4で調製したもの。
6. 試験用ガス 試験用ガスは,次のとおりとする。
(1) 空気 オイルミストを除去した清浄なもの。
(2) 窒素 JIS K 1107に規定する2級の窒素,又はこれと同等以上のもの。
7. 操作
7.1
拡散流量試験の準備 次のいずれかの方法に従って試験をするフィルタディスク,フィルタカート
リッジ又はディスポーザブルフィルタ(以下,“試験フィルタ”という。)を試験液でよく湿らせる(図1
及び図2参照)。
(1) 方法A
(a) 洗浄した適切な容器に試験液を満たす。
(b) 容器の試験液中に試験フィルタを浸せきし,試験フィルタに試験液でよく湿らせる。
(c) 試験フィルタを容器から出し,ハウジング又はホルダに取り付け(2),すべての弁を閉じる。
注(2) 試験フィルタがディスポーザブルフィルタのときは,ハウジング又はホルダと取り替える。
備考 精密ろ過膜の親水性,フィルタカートリッジ又はディスポーザブルフィルタの構造,フィルタ
カートリッジの構成部品の材質などによって精密ろ過膜の細孔中に試験液が満たされるまでの
時間が異なるので注意を要する。この時間は,通常は5〜60分である。
(2) 方法B
(a) 試験フィルタをハウジング又はホルダに取り付ける(2)。
(b) すべての弁を閉じる。
(c) 弁1及び排気弁を開き,一次側弁から試験液を送り,ハウジング又はホルダを試験液で満たす(3)。
注(3) ポンプを用いて送液する場合には,回転数を小さく設定してポンプを運転し,徐々に試験液を
送り,ハウジング又はホルダを試験液で満たす。
(d) 排気弁から試験液が出始めたら排気弁を閉じる。
(e) 図1の場合は弁5及び二次側排液弁を,図2の場合は弁3及び二次側排液弁を開き,通液を継続し,
試験フィルタの精密ろ過膜の細孔を試験液で満たす。
(f) 通液を停止し,弁1を閉じ,弁2を開き,空気圧縮機又は窒素ガスボンベから試験用ガスを低圧(4)
で送り,二次側排液弁から試験液を排出する。
注(4) 減圧弁・気体圧力調整器で調節する。
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(g) 試験液が排出されたら,すべての弁を閉じる。
7.2
拡散流量試験 7.1(1)又は(2)の方法で準備したシステムについて,(1)又は(2)の方法に従って試験を
行う。
(1) 気体流量計をハウジング又はホルダの一次側に設置した場合(図1参照)
(a) 弁2,弁5及び弁6を開く。
(b) 空気圧縮機又は窒素ガスボンベから圧縮した試験用ガスを減圧弁まで送る。
(c) 減圧弁を調節して試験用ガスを490kPa {5kgf/cm2} 程度に減圧し,更に,気体圧力調整器で圧力調
節を行い,ハウジング又はホルダの一次側の圧力をあらかじめ定めた圧力(5)まで徐々に昇圧する。
注(5) あらかじめ定めた圧力は,精密ろ過膜のバブルポイント以下とする。
(d) 弁2を閉じ,弁3及び弁4を開く。
(e) 昇圧した圧力を維持し,ハウジング又はホルダの一次側に流れる試験用ガスの流量が安定したら,
試験用ガスの流量及び温度を測定し,記録する。
備考 (c)で一次側の圧力が定めた圧力に達した後,試験用ガスの供給を止め,所定の時間保持し,一
次側の圧力の降下を測定して拡散流量を算出する方法もある(附属書参照)。
(2) 気体流量計をハウジング又はホルダの二次側に設置した場合(図2参照)
(a) 弁2及び弁3を開く。
(b) 空気圧縮機又は窒素ガスボンベから圧縮した試験用ガスを減圧弁まで送る。
(c) 減圧弁を調節して試験用ガスを490kPa {5kgf/cm2} 程度に減圧し,更に,気体圧力調整器で圧力調
節を行い,ハウジング又はホルダの一次圧をあらかじめ定めた圧力(5)まで徐々に昇圧する。
(d) 弁4を開き,気体圧力調整器で圧力調節を行い昇圧した圧力を維持し,このときのハウジング又は
ホルダの二次側に流れる試験用ガスの流量が安定したら,試験用ガスの流量及び温度を測定し記録
する。
8. 試験結果の表し方 7.2の測定値を次の式によって20℃, 101kPa {1atm} の状態に,理想気体として換
算し,拡散流量とする。
v
t
V
273
293
+
=
ここに, V: 20℃, 1気圧の理想気体として換算した試験用ガスの流量
(ml/min)
t: 試験用ガスの測定温度 (℃)
v: 試験用ガスの測定流量 (ml/min)
9. 試験の報告事項 報告は,次の事項について記入する。
(1) 試験フィルタ
(a) 製造業者名
(b) フィルタの形状又は製品名
(c) 製品番号
(d) 製造番号(ロット番号)
(e) 有効ろ過面積
(2) 試験条件
(a) ハウジングの製造業者名,形式
(b) ハウジングの一次側圧力
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(c) 試験液の種類,温度
(d) 試験用ガスの種類,温度
(e) 試験日時
(f) 試験者名
(3) 試験結果
(a) 拡散流量値 (ml/min)
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附属書 一次側の圧力降下を測定して拡散流量を求める方法
1. 適用範囲 この附属書は,一次側の圧力降下を測定することによって,拡散流量を求める方法につい
て規定する。
2. 拡散流量試験
(1) 規格本体7.1(1)又は7.1(2)の方法に準じて附属書図1の試験フィルタの精密ろ過膜の細孔を試験液で満
たした後,一次側及び二次側の試験液を排出し,すべての弁を閉じる。
(2) 弁2,弁5及び弁6を開く。
(3) 空気圧縮機又は窒素ガスボンベから圧縮した試験用ガスを減圧弁まで送る。
(4) 減圧弁を調節して試験用ガスを490kPa {5kgf/cm2} 程度に減圧し,更に,気体圧力調整で圧力調節を
行い,ハウジング又はホルダの一次側の圧力をあらかじめ定めた圧力(1)まで徐々に昇圧する。
注(1) あらかじめ定めた圧力は,精密ろ過膜のバブルポイント以下とする。
(5) 弁3を開き,気体圧力調整器を調節して,圧力計が(4)で定めた圧力を示すようにする。
(6) 弁2を閉じ,所定の時間(2)保持する。
また,保持の前後で試験用ガスの温度を測定する。
注(2) 試験フィルタの有効ろ過面積などによって異なるが,通常5分から20分である。
(7) この間降下した圧力を精密圧力計で測定し,拡散流量を算出する。
備考 拡散流量の算出に当たっては,ハウジング内のフィルタの一次側の容積を考慮する。
附属書図1 一次側の圧力降下を測定して拡散流量を求める方法
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純水製造用膜JISの原案調査作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
木 村 尚 史
東京大学
(分科会長)
○ 大 矢 晴 彦
横浜国立大学
仲 川 勤
明治大学
○ 村 山 義 夫
財団法人造水促進センター
岩 崎 岩 次
社団法人日本工業用水協会
○ 落 田 実
通商産業省立地公害局
○ 阿 部 巳喜雄
通商産業省基礎産業局
○ 桜 井 俊 彦
工業技術院標準部
○ 神 沢 千代志
工業技術院化学技術研究所
安 宅 光 雄
工業技術院繊維高分子材料研究所
山 田 純 男
工業技術院製品科学研究所
(MF幹事)
○ 石 井 蔵之助
日本ミリポアリミテッド
○ 松 永 有志夫
日本ポール株式会社
○ 成 尾 匡 一
富士写真フイルム株式会社
○ 岸 敬 治
東洋濾紙株式会社
茶屋道 宏
旭化成工業株式会社
中 西 祥 晃
ダイセル化学工業株式会社
岩 掘 博
日東電気工業株式会社
(代 川崎睦男)
高 柳 英 夫
東レ株式会社
(代 竹内 弘)
野 中 章 行
デュポン・ジャパンリミテッド
水 野 陽 一
東洋紡績株式会社
秋 本 稔
日本電気株式会社
鈴 木 一 男
株式会社日立製作所
○ 藤 江 信 夫
富士通株式会社
足 立 一 雄
三共株式会社
○ 坂 下 隆
武田薬品工業株式会社
(代 田中文彦)
綱 川 延 隆
第一製薬株式会社
石 倉 武
株式会社東芝
吉 原 誠 一
三菱重工業株式会社
太 田 嘉 治
野村マイクロ・サイエンス株式会社
佐 藤 武
栗田工業株式会社
○ 鳴 戸 智
オルガノ株式会社
(関係者)
和 田 靖 也
工業技術院標準部
浦 野 四 郎
工業技術院標準部
飯 嶋 啓 子
工業技術院標準部
(事務局)
柴 田 雄
財団法人日本規格協会
黒 木 勝 也
財団法人日本規格協会
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
備考 ○印は,MF分科会委員。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
空気ろ過膜JIS原案調査作成委員会 構成表
氏名
所属
◎ 仲 川 勤
明治大学
○ 神 沢 千代志
工業技術院化学技術研究所
岡 林 啓 夫
基礎産業局
和 田 靖 也
工業技術院標準部
池 田 征 夫
味の素株式会社
島 田 光太郎
合同酒精株式会社
橋 本 葭 人
千代田化工建設株式会社
井 川 潤
東洋濾紙株式会社
石 井 蔵之助
日本ミリポア・リミテッド
松 永 有志夫
日本ポール株式会社
松 尾 繁
富士写真フィルム株式会社
(関係者)
滝 嶋 匡 次
工業技術院標準部
飯 嶋 啓 子
工業技術院標準部
松 本 満 男
通商産業省基礎産業局
志 賀 一 之
財団法人バイオインダストリー協会
備考 ◎印は委員長,○印は分科会長。