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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 3831-1990 

精密ろ過膜エレメント及びモジュールの 

初期流量試験方法 

Testing methods for initial flow rate of membrance filters 

1. 適用範囲 この規格は,精密ろ過膜エレメント及びモジュールの初期流量の試験方法について規定す

る。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没) 

JIS B 7505 ブルドン管圧力計 

JIS B 7551 フロート形面積流量計 

JIS B 8326 油回転真空ポンプ 

JIS B 8342 小形往復空気圧縮機 

JIS K 0101 工業用水試験方法 

JIS K 3802 膜用語 

JIS K 3804 精密ろ過膜エレメントの寸法 

JIS Z 8710 温度測定方法通則 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,規格値で

ある。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 3802によるもののほか,次のとおりとする。 

(1) 前ろ過 試験をするフィルタの目詰まりを抑えるためのろ過処理。 

(2) フィルタディスク シート状のフィルタエレメント。 

(3) フィルタカートリッジ プリーツ状,円筒状などのフィルタエレメント。 

(4) ディスポーザブルフィルタ 使い捨てになっているフィルタアセンブリ。 

(5) フィルタアセンブリ ハウジング又はホルダにフィルタエレメントが組み込まれたもの。 

(6) ホルダ フィルタディスクを使用するための容器。 

3. 試験方法の種類 試験方法の種類は,表1のとおりとする。

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K 3831-1990 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 試験方法の種類 

種類 

対象フィルタ 

減圧ろ過試験方法 

フィルタディスクのうち,JIS K 3804に規定する呼び直径

が13, 25及び47のもの。 

加圧ろ過試験方法 

フィルタディスクのうち,JIS K 3804に規定する呼び直径

が13,25,47,90,142及び293のもの。 

ディスポーザブルフィルタ。 

大流量ろ過試験方法 フィルタディスクのうち直径が293mm以上で多段のもの。 

フィルタカートリッジ。 

4. 試験方法 

4.1 

減圧ろ過試験方法 

4.1.1 

減圧ろ過試験装量 減圧ろ過試験装置(以下,減圧装置という。)は,次のとおりとする。 

(1) 装量の構成及び構造 減圧装置は,真空ポンプ,トラップ,気体圧力調整器,圧力計,減圧ろ過用ホ

ルダ,吸引瓶などで構成し,洗浄が容易で微粒子の混入を防げる構造であること。減圧装置の構成例

を図1に示す。 

図1 減圧装量の構成例 

(2) 真空ポンプ JIS B 8326に規定するポンプのうち排気速度が20λ/min以上で,到達圧力が93.3kPa 

{0.95kgf/cm2} 以下のもの。 

(3) トラップ 容量が1 000ml以上のもの。 

(4) 気体圧力調整器 示度の誤差が±5kPa {0.05kgf/cm2} のもの。 

(5) 圧力計 JIS B 7505に規定する圧力計のうち,精度等級が1.0級以上のもの,又はそれと同等以上の

性能をもつもの。 

(6) 減圧ろ適用ホルダ 容量が500mlのファンネル及び孔が100メッシュ以下の支持板からなるベースを

もつステンレス鋼製,ガラス製又はプラスチックス製のもの。 

なお,支持板は,試験時に圧力によって変形し,又は精密ろ過膜を変形させないもの。 

(7) 吸引瓶 容量が1 000〜4 000mlのもの。 

4.1.2 

器具 器具は,次のとおりとする。 

(1) 温度計 JIS B 7411に規定する温度計のうち50Mのもので,あらかじめJIS Z 8710によって校正した

もの。 

(2) メスシリンダー 容量が100,200,300及び500mlのもの。 

(3) ストップウオッチ 0.1秒まで計測が可能なもの。 

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K 3831-1990  

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4.1.3 

試験液 試験をする精密ろ過膜が親水性の場合は,JIS K 0101の2.(9)(水)に規定する蒸留水又

はイオン交換を行った水とし,疎水性の場合は,製造業者が規定するものとする。 

4.1.4 

準備 準備は,次のとおりとする。 

(1) 試験液の前ろ過 試験をする精密ろ過膜エレメント又はモジュールのフィルタ(以下,試験フィルタ

という。)と同じ孔径の精密ろ過膜で2回,又は試験フィルタの孔径より小さい精密ろ過膜でろ過する。 

(2) 減圧装置及び器具の洗浄 (1)でろ過した試験液を用い,試験時に試験液と接する減圧装置及び器具を

洗浄する。 

(3) 試験液の液温調整 (1)で調整した試験液を製造業者が指定する試験温度に調整する。 

参考 試験液の温度が20〜50℃の範囲で試験を行うのが望ましい。 

(4) 試験フィルタの湿潤 試験フィルタを試験液で,十分に浸せきさせ,ぬらす(1)。 

注(1) 試験フィルタの一方からぬらし,試験フィルタ内部に空気が入らないようにする。 

4.1.5 

操作 操作は,次のとおりとする(図1参照)。 

(1) 減圧ろ過用ホルダに試験フィルタを取り付け,真空ポンプを始動させ減圧ろ過用ホルダの弁(2)を閉じ,

気体圧力調整器によって製造業者が指定する圧力に調整する。 

注(2) 製造業者が指定するバブルポイント値が製造業者が指定する圧力より高い場合,減圧ろ過用ホ

ルダの弁がなくても,あらかじめ試験フィルタをぬらし,減圧ろ過用ホルダに装着することに

よって試験できる。 

(2) メスシリンダーを用いて,4.1.4(3)で調整した試験液を500ml(3)はかりとり,減圧ろ過用ホルダに入れ

た後,減圧ろ過用ホルダの弁を開ける。 

注(3) 初期流量の少ない小孔径の試験フィルタの場合,試験液量を500mlより少なくしてもよい。 

(3) ホルダの弁を開くと同時にストップウオッチを始動させ,試験液の全量が試験フィルタを通過したら

直ちにストップウオッチを止めて時間を読みとり,減圧ろ過用ホルダの弁を閉じる。 

4.2 

加圧ろ過試験方法 

4.2.1 

加圧ろ過試験装置 加圧ろ過試験装置(以下,加圧装置という。)は,次のとおりとする。 

(1) 装置の構成及び構造 加圧装置は,空気圧縮機又は窒素ボンベ,気体圧力調整器,圧力容器,圧力計,

加圧ろ過用ホルダ又はディスポーザブルフィルタ,排気弁などで構成し,洗浄が容易で微粒子の混入

を防げる構造であること。加圧装置の構成例を図2に示す。 

図2 加圧装置の構成例 

(2) 空気圧縮機 JIS B 8342に規定するもの。 

(3) 気体圧力調整器 4.1.1(4)に同じ。 

(4) 圧力計 4.1.1(5)と精度が同じ圧力計で,圧力範囲が0〜600kPa {0〜6kgf/cm2} のもの。 

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(5) 圧力容器 ステンレス鋼製でろ過圧力に耐えるもので,容量が10λ以上のもの。 

(6) 加圧ろ適用ホルダ 孔径が100メッシュ以下で試験フィルタに損傷を与えずろ過圧力に耐える支持板

からなるベースをもつステンレス鋼製又はプラスチックス製のもの。 

4.2.2 

器具 器具は,次のとおりとする。 

(1) 温度計 4.1.2(1)に同じ。 

(2) メスシリンダー 容量が100,200,300,500,1 000,及び2 000mlのもの。 

(3) ストップウオッチ 4.1.2(3)に同じ。 

4.2.3 

試験液 4.1.3に同じ。 

4.2.4 

準備 準備は,次のとおりとする。 

(1) 試験液の前ろ過 4.1.4(1)に同じ。 

(2) 装量及び器具の洗浄 (1)でろ過した試験液を用い,試験時に試験液と接する加圧装置及び器具を洗浄

する。 

(3) 試験液の液温調整 4.1.4(3)に同じ。 

(4) 試験フィルタの湿潤 試験フィルタを試験液で,十分に浸せき又は通液させ,ぬらす(1)。 

4.2.5 

操作 操作は,次のとおりとする(図2参照)。 

(1) すべての弁を閉じて圧力容器に4.2.4(3)で調整した試験液を入れる。 

(2) 加圧ろ過用ホルダに試験フィルタを取り付けた(4)後,圧力容器に低圧を加え,排気弁②及び弁を開き,

配管中の空気を追い出す。空気が完全に排気されたことを排気弁②及び弁から試験液が出ることによ

って確認する。排気後,排気弁②及び弁を閉じる。 

注(4) 試験フィルタがディスポーザブルフィルタのときは,加圧ろ過用ホルダと取り替える。 

(3) 気体圧力調整器を用いて製造業者が指定する圧力に調整する。 

(4) 弁を開け,製造業者が指定する圧力になっていることを圧力計②で確認した後,直ちに加圧ろ過用ホ

ルダ又はディスポーザブルフィルタの二次側にメスシリンダーを置き,試験フィルタの孔径によって

製造業者が指定する量の試験液をろ過するのに要した時間,又は1分間にろ過した試験液量を測定す

る。 

4.3 

大流量ろ過試験方法 

4.3.1 

大流量ろ過試験装置 大流量ろ過試験装置(以下,大流量装置という。)は,次のとおりとする。 

(1) 装置の構成及び構造 大流量装置は,貯液槽,送液ポンプ,弁,圧力計,液体流量計,ハウジング又

はホルダなどで構成し,洗浄が容易で微粒子の混入を防げる構造であること。大流量装置の構成例を

図3に示す。 

図3 大流量装置の構成例 

(2) 貯液槽 容量が100λ以上のもの。 

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(3) 送液ポンプ 50λ/min以上の吐出能力があり,脈動がないもの。 

(4) 圧力計 4.2.1(4)に同じ。 

(5) ハウジング ハウジングヘッド,ハウジングボウル,シール材及びクランプで構成され,ステンレス

鋼製又はプラスチックス製のもの。 

(6) ホルダ 4.2.1(6)に同じ。 

(7) 液体流量計 JIS B 7551に規定する流量計のうち,最小目盛が1λ/min以上で10〜50λ/minの流量を測

定できるもの,又はそれと同等以上の性能をもつもの。 

4.3.2 

器具 

(1) 温度計 4.1.2(1)に同じ。 

4.3.3 

試験液 試験をする精密ろ過膜が親水性の場合は,水道水又はそれと同等以上の純度の水とし,疎

水性の場合は,製造業者が規定するものとする。 

4.3.4 

準備 準備は,次のとおりとする。 

(1) 試験液の前ろ過 4.1.4(1)に同じ。 

(2) 装置及び器具の洗浄 (1)でろ過した試験液を用い,試験時に試験液と接する大流量装置及び器具を洗

浄する。 

(3) 試験液の液温調整 4.1.4(3)に同じ。 

(4) 試験フィルタの湿潤 4.2.4(4)に同じ。 

4.3.5 

操作 操作は,次のとおりとする(図3参照)。 

(1) 弁をすべて閉じ貯液槽に4.3.4(3)で調整した試験液を入れる。 

(2) ハウジング又はホルダに試験フィルタを装着し,弁及びハウジングの排気弁を開き,試験液を流し,

配管中及びハウジング内の空気を追い出す。空気が完全に排気されたことを,弁から試験液が出るこ

とによって確認する。排気後,排気弁並びに排液弁①及び②を閉じる。 

(3) 送液ポンプ及び弁を調整し,製造業者が指定する流量における圧力計①及び②の圧力からその差圧を

読みとるか,又は製造業者が指定する圧力損失に調整し液体流量計によってその時の流量を読みとる。 

5. 計算 

5.1 

初期流量値 初期流量値の算出は,次のとおりとする。 

(1) 試験液が試験時の温度及び圧力における初期流量値は,次の式によって算出する。 

A

t

V

f

×

×

=

60 

ここに, 

f: 試験時の試験液温度及び圧力における初期流量値(ml/min・

cm2又はλ/min・cm2) 

V: ろ過された試験液の体積(ml又はλ) 

t: ろ過時間 (s) 

A: 有効ろ過面積 (cm2) 

なお,大流量ろ過試験の場合,液体流量計から直接流量を読みとるため,初期流量値は,次の式に

よって算出する(5)。 

A

f

f

'

=

ここに, 

f ′: 液体流量計から読みとった流量値(ml/min又はλ/min) 

K 3831-1990  

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注(5) フィルタカートリッジの場合,一般的にはモジュール当たりの初期流量値で表される。 

(2) 試験液温度変化による初期流量値の換算を,次の式によって算出する。 

t

t

f

f

η

η

×

=

ここに, 

ft: 試験液温度t℃での初期流量値(ml/min・cm2又はλ/min・cm2) 

η: 試験時の試験液温度での粘度 (mPa・s) {cP} 

ηt: 試験液温度t℃での粘度 (mPa・s) {cP} 

(3) 試験圧力変化による初期流量値の換算は,製造業者が指定する計算式によって行う。 

5.2 

初期圧力損失値 初期圧力損失値の算出は,次による。 

(1) 試験液が試験時の流量における初期圧力損失値は,次の式によって算出する。 

Px=P1−P2 

ここに, Px: 試験時の流量xにおける初期圧力損失値 (kPa) 
 

P1: 一次側の圧力 (kPa) 

P2: 二次側の圧力 (kPa) 

(2) 試験流量変化による初期圧力損失値の換算は,製造業者が指定する計算式によって行う。 

6. 試験の報告事項 報告事項は,次のとおりとする。 

(1) 試験フィルタ 

(a) 製造業者名 

(b) フィルタの形状又は製品名 

(c) 製品番号 

(d) 製造番号(ロット番号) 

(2) 試験条件 

(a) 試験日時 

(b) 試験者名 

(c) 試験液名 

(d) 試験液温 

(e) 試験液粘度 

(f) 試験圧力 

(g) 使用ホルダ又はハウジング名 

(3) 試験結果 

(a) 初期流量値 5.1(3)で算出した値,及び5.1(3)の計算式 

(b) 初期圧力損失値 5.2(2)で算出した値,及び5.2(2)の計算式 

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純水製造用膜JIS原案調査作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

木 村 尚 史 

東京大学 

(分科会長) 

○ 大 矢 晴 彦 

横浜国立大学 

仲 川   勤 

明治大学 

○ 村 山 義 夫 

財団法人造水促進センター 

岩 崎 岩 次 

社団法人日本工業用水協会 

○ 落 田   実 

通商産業省立地公害局 

○ 阿 部 巳喜雄 

通商産業省基礎産業局 

○ 桜 井 俊 彦 

工業技術院標準部 

○ 神 沢 千代志 

工業技術院化学技術研究所 

安 宅 光 雄 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

山 田 純 男 

工業技術院製品科学研究所 

(MF幹事) 

○ 石 井 蔵之助 

日本ミリポアリミテッド 

○ 松 永 有志夫 

日本ポール株式会社 

○ 成 尾 匡 一 

富士写真フイルム株式会社 

○ 岸   敬 治 

東洋濾紙株式会社 

茶屋道   宏 

旭化成工業株式会社 

中 西 祥 晃 

ダイセル化学工業株式会社 

岩 掘   博 

日東電気工業株式会社 

(代 川崎睦男)  

高 柳 英 夫 

東レ株式会社 

(代 竹内 弘)  

野 中 章 行 

デュポン・ジャパンリミテッド 

水 野 陽 一 

東洋紡績株式会社 

秋 本   稔 

日本電気株式会社 

鈴 木 一 男 

株式会社日立製作所 

○ 藤 江 信 夫 

富士通株式会社 

足 立 一 雄 

三共株式会社 

○ 坂 下   隆 

武田薬品工業株式会社 

(代 田中文彦)  

綱 川 延 孝 

第一製薬株式会社 

石 倉   武 

株式会社東芝 

吉 原 誠 一 

三菱重工業株式会社 

太 田 嘉 治 

野村マイクロ・サイエンス株式会社 

佐 藤   武 

栗田工業株式会社 

○ 鳴 戸   智 

オルガノ株式会社 

(関係者) 

和 田 靖 也 

工業技術院標準部 

浦 野 四 郎 

工業技術院標準部 

飯 嶋 啓 子 

工業技術院標準部 

(事務局) 

柴 田   雄 

財団法人日本規格協会 

黒 木 勝 也 

財団法人日本規格協会 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

○印は,MF分科会委員